| 【発明の名称】 |
袋体 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 泰明
|
| 【要約】 |
【課題】上面部が、透水性を有するとともに、栽培される芝などの草や花、樹木等の根の定着率がよく、これらの植物を安定して保持することが可能な袋体を提供する。
【解決手段】袋体50は、内部に人工軽量土53を充填する袋体であって、規則的に配置された網目54を有する織布で形成された上面部51と、透水性を有するとともに植物の根を通さない防根性を有する不織布で形成された底面部とにより形成されている。上面部51を形成する織布は、縦糸および横糸によって規則的に配置された網目54が形成されるように織られたものである。芝などの草や花、樹木等の植物の根は、網目54から侵入して人工軽量土53に絡みつくとともに、縦糸および横糸にも絡みつくので、植物は、袋体50にしっかりと固定されて袋体50の上面に定着することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人工の軽量土を内部に充填する袋体であって、 規則的に配置された網目を有する織布で形成された上面部と、 透水性を有するとともに植物の根を通さない防根性を有する不織布で形成された底面部と を有する袋体。 【請求項2】 前記織布は、非生分解性の繊維で形成されたものである請求項1記載の袋体。 【請求項3】 前記網目は、0.5mm四方より大きく形成されるとともに、前記人工の軽量土よりも小さく形成されたものである請求項1または2記載の袋体。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、人工の軽量土を内部に充填して芝などの草や花、樹木等を栽培するための袋体に関する。 【背景技術】 【0002】 ビルやマンションなどの建物や自動車から出る排熱、アスファルトからの放熱などが大きい都市部では、郊外に比べて気温が高くなるヒートアイランド現象が問題となっている。このようなヒートアイランド現象を緩和する方法として、省エネや、建物の断熱化、または建物の壁面や屋上を緑化することが考えられている。特に、建物の屋上の緑化については、建物内に伝達する熱を大幅に低減することができることから、近年非常に注目されている。 【0003】 上記のような建物屋上の緑化を推進するために、さまざまな緑化システムが開発されている。例えば、特許文献1に記載の地被植物栽培ユニットは、人工の軽量土を袋体内に充填したものである。この地被植物栽培ユニットの袋体を多数並べて固定し、この袋体に植物を栽培して建物の屋上を緑化することが可能となる。 【0004】 【特許文献1】特開平8−149905号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 特許文献1には、袋体の上面部が、地被植物の根を袋体内に通すことができる親根性と透水性とを有する不織布で形成されているので、多数の根が不織布を突き抜けて人工土壌に達し、地被植物の根を袋体に安定に固定することができると記載されている。しかし、元来不織布は、糸の形態を経ずに、繊維シート(ウェブ)を機械的・化学的・熱的に処理し、接着剤や繊維自身の融着力で接合して作る布であり、透水性や通気性は確保できるものの、地被植物の根が不織布を突き抜けることは難しい。特に、主根から生えている側根やひげ根、これらの根に生えている根毛などは非常に柔らかく、不織布を突き抜けるほどの力を持っていないので、袋体に絡みつくことは非常に難しいと考えられる。 そこで、本発明は、上面部が、透水性を有するとともに、栽培される芝などの草や花、樹木等の根の定着率がよく、これらの植物を安定して保持することが可能な袋体を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の袋体は、人工の軽量土を内部に充填する袋体であって、規則的に配置された網目を有する織布で形成された上面部と、透水性を有するとともに植物の根を通さない防根性を有する不織布で形成された底面部とを有することを特徴とする。 【0007】 人工の軽量土を内部に充填する袋体の上面部は、縦糸と横糸とで織られた織布で形成されている。これにより、袋体の上面部には、規則的に配置された網目が形成される。袋体の上面部が網目を有することにより、芝などの草や花、樹木等の植物のあらゆる根が複数の網目から侵入し、充填された袋体内部の人工の軽量土に絡みつく。また、これらの根は、織布の縦糸および横糸にも絡みつきながら網目より内部へと侵入する。このようにして、根が袋体にしっかりと固定されて定着するので、これにより、植物を安定して保持することが可能となる。また、種子から発芽したばかりの状態における柔らかい根毛でも、抵抗なく上面部の複数の網目より容易に内部へと侵入することができる。従って、種子の状態から植物を栽培することもできる。 【0008】 また、袋体の底面部から植物の根が張り出してしまうと、この根は、袋体を載置する容器やコンクリート等の壁面に張り付いてしまい、容器やコンクリートの壁面を汚染したり損傷させてしまったりすることがある。 本発明の袋体は、底面部が、透水性を有するとともに植物の根を通さない防根性を有する不織布で形成されたことにより、植物の生長に必要のない無駄な水分は袋体外部へと排出するが、袋体の上面部の網目から侵入し、充填される人工の軽量土に絡みついた植物の根を、袋体の底面部から外部へと張り出させることなく、袋体の内部で生長させることができる。従って、袋体内部の水はけを良くしつつも、植物の根が袋体の底面部から張り出すことにより発生する、容器やコンクリートの壁面の損傷を防ぐことができる。 【0009】 なお、織布は、非生分解性の繊維で形成されたものである方が望ましい。 生分解性の繊維で形成された縦糸および横糸によって織布を作製すると、植物の栽培中に袋体の上面部が分解されてしまい、この分解された部分から人工の軽量土が飛び出してしまうので、植物を栽培する土台部分が崩壊してしまう。そうなると、袋体の上面部に栽培されていた植物を安定して保持することが困難となる。これに対し、本発明の袋体の上面部を形成する織布の縦糸および横糸は、非生分解性の繊維で形成することで、植物の栽培中でも分解されることがない。従って、人工の軽量土を確実に保持し続けることができ、また、植物の根が、袋体の上面部を形成する縦糸や横糸、ならびに充填される人工の軽量土にしっかりと絡みついた状態を維持することができるので、植物を半永久的に安定した状態で保持することができる。 【0010】 また、網目は、0.5mm四方より大きく形成されるとともに、人工の軽量土よりも小さく形成されたものである方が望ましい。 網目の大きさが0.5mm四方より大きく形成されるとともに、人工の軽量土よりも小さく形成されたことにより、透水性を維持しつつも、植物の根が網目から容易に侵入しやすく、また、縦糸や横糸に絡みつき易い状態とすることができ、また、内部に充填した人工の軽量土が袋体から飛び出ることを防ぐことができる。なお、網目を0.5mm四方より小さくすると、透水性が低下するとともに、根の直径が大きい樹木等の根が袋体内部に侵入しにくくなったり絡みつきにくくなったりする。また、網目を人工の軽量土より大きくすると、袋体から人工の軽量土が飛び出してしまい、袋体が内部に人工の軽量土を保持することができなくなる。 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、以下の効果を奏する。 (1)人工の軽量土を充填する袋体の上面部が、規則的に配置された網目を有する織布で形成されたことにより、植物を安定して保持することができる。また、ある程度生長した状態の植物だけでなく、種子の状態から植物を生長させることができる。よって、栽培できる植物の種類が増えるとともに、これらの植物の生長の過程を楽しむこともできる。 (2)袋体の上面部を形成する織布が非生分解性の繊維で形成されたことにより、植物の栽培中でも袋体の上面部が分解されないので、植物を半永久的に安定した状態で保持することができる。 (3)網目の大きさが0.5mm四方より大きく形成されるとともに、人工の軽量土よりも小さく形成されたことにより、透水性を維持しつつも、植物の根が網目から容易に侵入しやすく、また、縦糸や横糸に絡みつき易い状態とすることができる。また、人工の軽量土が袋体から飛び出さないようにすることができるので、植物を栽培する土台部分が崩壊することを防ぐことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下に図を用いて本実施の形態の袋体について説明する。図1は、本実施の形態の袋体の斜視図である。図2は、図1のA−A線断面図である。 【0013】 図1および図2に示すように、本実施の形態の袋体50は、内部に人工軽量土53を充填する袋体であって、規則的に配置された網目54を有する織布で形成された上面部51と、透水性を有するとともに植物の根を通さない防根性を有する不織布で形成された底面部52とにより形成されている。袋体50は、平面視60cm四方の正方形に形成されており、上面部51と底面部52との端部同士を縫い合わせることによって内部に人工軽量土53を充填するための空間を確保している。 【0014】 上面部51を形成する織布は、縦糸および横糸によって規則的に配置された網目54が形成されるように織られたものである。網目54は、約1mm四方の格子状に形成されている。なお、網目54は、格子状に限定されるものではなく、ハニカム状のものや、菱形状や円形状に形成された網目を連続して配置させたものであってもよい。 【0015】 また、網目54の大きさは、植物の根が侵入しやすく、また、透水性を確保するために0.5mm四方より大きく形成され、更に、後述する人工軽量土53が袋体50から飛び出さないように、人工軽量土53の大きさよりも小さく形成された方が望ましく、この範囲内であればどのような大きさに設定してもよい。また、植物を種子の状態から栽培する場合、網目54を種子の大きさよりも大きくすると、上面部51の表面に蒔いた種子が袋体50の内部に落ちやすく、意図しない方向から植物が生長したりすることがあり、見た目があまりよくないので、種子の大きさも考慮して、網目54の大きさを設定するとよい。 【0016】 また、縦糸および横糸は、非生分解性の繊維で形成されている。非生分解性の繊維としては、レーヨン,アセテート等の再生繊維、半合成繊維やウール,絹,綿,麻等の天然繊維とポリエステル,ナイロン(商標)などに代表されるポリアミド系の合成繊維,アクリル,ポリプロピレン,ポリエチレン,塩化ビニル系等の合成繊維や熱接着性合成繊維から、夫々選択された混合繊維等を使用することができる。 【0017】 本実施の形態における袋体50の内部に充填される人工軽量土53は、10mm角の略立方体に形成された人工の軽量土であり、フェノール樹脂などの材料により形成されたものである。この人工軽量土53は、高い保水性を有している。また、後述する盛土に供給する水のろ過フィルタとしても機能する。 【0018】 次に、本実施の形態における袋体50の使用態様について説明する。図3は、本実施の形態における袋体の使用態様を示す断面図である。 【0019】 図3に示すように、本実施の形態における袋体50は、植物栽培容器1とセットとなって使用される。まず、建物の屋上やベランダの所定の位置に植物栽培容器1を設置する。広い場所にこの植物栽培容器1を設置するときは、列状に配置したりマトリクス状に配置したりする。複数の植物栽培容器1を連結するときは、連結具として両端にネジ溝が形成されたボルト1個とナット2個を準備し、連結する周枠同士の連結溝を合わせ、ボルトを配置した状態で、周枠同士をナットで両側から締め付けて固定することで、複数の植物栽培容器1を連結していく。 【0020】 次に、底壁3の大きさに合わせて形成した金網やパンチングメタルや網状に形成した樹脂成型品を土床支持板10として、底壁3に放射状に形成されたリブ3bの上に配置する。リブ3bは、それぞれの上端辺により形成される仮想面が、水平面となるよう設けられているので、土床支持板10を載置しても、水平に保つことができる。 【0021】 そして、水平に配置された土床支持板10に人工軽量土53が充填された袋体50を載置して、芝や季節に応じた種を散布する。更にその上から袋体50に盛土70を適度の厚みとなる程度に盛る。苗や、開花した状態の植物80を袋体50に配置する場合には、1本配置するごとに周囲に盛土70を盛って植物が倒れないようにしていく。 【0022】 このようにして植栽が終わると水を散布する。散布された水は、盛土70にしみ込んでいき、植物80の根から吸収されるとともに、盛土70を通過した水は、高い透水性を有する袋体50の上面部51から袋体50の内部へと伝わる。そして、袋体50の内部に充填されている人工軽量土53に吸収される。人工軽量土53は高い保水性を有しているので、袋体50の内部に伝わった水は人工軽量土53に保持される。なお、袋体50の底面部52は透水性を有する不織布で形成されているので、人工軽量土53が保持しきれなかった水は、植物栽培容器1の底壁3へと伝わって外部へと排出される。 【0023】 袋体50の上面部51に蒔かれた種は、発芽するとともに柔らかい根を張り始める。そして、袋体50の上面部51を形成する織布の規則的に配置された網目54のうち、もっとも近い位置にある網目54から袋体50の内部へと侵入する。または、織布の縦糸や横糸に絡みつきながら、袋体50の内部へと侵入する。そして、更に根は生長しながら袋体50の内部に充填された人工軽量土53まで伸び、人工軽量土53に絡みつく。 【0024】 また、袋体50の上面部51に芝などの草や花、樹木等の植物80を植栽する場合は、すでに生長した根が植物の下部から伸びている。四方へと広がった根のそれぞれの先端部は、もっとも近い位置にある網目54から袋体50の内部へと侵入したり、織布の縦糸や横糸に絡みついたりしながら、更に生長を続ける。そして、袋体50の内部に充填された人工軽量土53まで伸び、人工軽量土53に絡みつく。 【0025】 このようにして伸びた根は、袋体50の上面部51を形成する織布の縦糸や横糸や、袋体50の内部に充填された人工軽量土53に絡みつくので、植物は袋体50に固定される。 【0026】 植物80は更に生長を続けることにより、根は更に伸びていくが、袋体50の底面部52は、防根性を有する不織布で形成されているので、袋体50の内部に侵入した根が袋体50の底面部52から張り出すことなく、袋体50の内部に充填された周囲の人工軽量土53に更に絡みつき、袋体50の内部で根が張り巡らされる。これにより、更に植栽された植物80は、袋体50にしっかりと固定されるので、植物のなかでも、特に樹木等が大きく生長してその重量が大きくなっても、袋体50は安定して植物80を保持することができる。 【0027】 また、生長した植物80の根は、袋体50の底面部52から張り出すことがないので、植物栽培容器1の底壁3を汚染したり損傷したりすることを防ぐことができる。 【0028】 以上のように、本実施の形態における袋体50によれば、芝などの草や花、樹木等の植物80の根が袋体50にしっかりと固定されて定着するので、植物80を安定して保持することができる。また、やわらかい根であっても網目54より容易に袋体50の内部に侵入することが可能であるので、ある程度生長した状態の植物80だけでなく、種子の状態から植物を生長させることができる。従って、栽培できる植物の種類が増えるとともに、これらの植物の生長の過程を楽しむこともできる。 【0029】 また、本実施の形態における袋体50は、縦糸および横糸とが、非生分解性の繊維で形成されたことにより、植物80の栽培中に袋体50の上面部51を形成する縦糸および横糸とが分解されてしまい、内部に充填している人工軽量土53がこの分解された部分から飛び出してばらばらになり、植物80を栽培する土台部分が崩壊することを防ぐことができる。 【0030】 また、本実施の形態における袋体50の上面部51は高い透水性を有するとともに、内部に充填される人工軽量土53が高い保水性を有しているので、盛土70に散布された水は袋体50の内部に容易に伝わり、人工軽量土53が水分を吸収して十分に保持することができる。これにより、人工軽量土53は、袋体50の内部で水分を保持して植物の根に必要な量だけ水分を与えることができる。従って、本実施の形態における袋体50によれば、ベランダに設置した場合において水やりを怠ったり、建物屋上に設置した場合において長く雨が降らなかったりしても、枯らすことなく植物を栽培することができる。 【0031】 なお、本実施の形態における縦糸および横糸は、ナイロンなどの比較的硬い繊維ではなく、水に濡れるとしなやかさを増すような柔らかい繊維で形成された方が望ましい。このような繊維で袋体50の上面部51を形成することによって、袋体50に水をかけると、袋体50は植物栽培容器1の形状になじむ。従って、施工時に作業者が上から袋体50を押しつけて、植物栽培容器1の形状に合わせるといった作業を行う必要がない。 【産業上の利用可能性】 【0032】 本発明の袋体によれば、上面部が透水性を有するとともに、栽培される芝などの草や花、樹木等の根の定着率がよいので、植物を安定して保持することができる。従って、建物の屋上やベランダなどを緑化するために用いられる袋体として好適に用いられる。 【図面の簡単な説明】 【0033】 【図1】本実施の形態の袋体の斜視図である。 【図2】図1のA−A線断面図である。 【図3】本実施の形態における袋体の使用態様を示す断面図である。 【符号の説明】 【0034】 1 植物栽培容器 3 底壁 3b リブ 10 土床支持板 50 袋体 51 上面部 52 底面部 53 人工軽量土 54 網目 70 盛土 80 植物
|
| 【出願人】 |
【識別番号】505182236 【氏名又は名称】株式会社ウィル・コーポレーション 【識別番号】505183727 【氏名又は名称】佐々木 康浩
|
| 【出願日】 |
平成17年5月18日(2005.5.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099508 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100116296 【弁理士】 【氏名又は名称】堀田 幹生
|
| 【公開番号】 |
特開2006−320243(P2006−320243A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月30日(2006.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願2005−146072(P2005−146072) |
|