| 【発明の名称】 |
移動体搭載用の生育度測定装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀尾 光広
【氏名】紺屋 秀之
【氏名】西村 洋
【氏名】林 和信
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| 【要約】 |
【課題】簡易な構成で生育診断を短時間に行うことができる移動体搭載用の生育度測定装置を提供する。
【解決手段】圃場の上空を移動可能な移動体HEに搭載され、植物の生育度を測定する装置であって、前記圃場の植物から反射された太陽光を分光して受光し、2種以上の特定波長の光強度を測定する第1の受光部10と、太陽光を前記第1の受光部と同一波長に分光して受光し、光強度を測定する第2の受光部20と、前記第1の受光部が測定した光強度と前記第2の受光部が測定した光強度とに基づいて、前記植物の生育指標を求める演算部30とを含む移動体搭載用の生育度測定装置である。本生育度測定装置によると、第1の受光部が測定対象とした圃場に生育している植物群落全体から反射される太陽光の光強度を測定するだけであるので、簡易な構成で極めて簡便に植物の生育診断を行うことができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圃場の上空を移動可能な移動体に搭載され、植物の生育度を測定する装置であって、 前記圃場の植物から反射された太陽光を分光して受光し、2種以上の特定波長の光強度を測定する第1の受光部と、 太陽光を前記第1の受光部と同一波長に分光して受光し、光強度を測定する第2の受光部と、 前記第1の受光部が測定した光強度と前記第2の受光部が測定した光強度とに基づいて、前記植物の生育指標を求める演算部とを含む、ことを特徴とする移動体搭載用の生育度測定装置。 【請求項2】 前記演算部は、前記圃場の植物を地上で測定したデータと相関関係がある生育指標を算出することを特徴とする請求項1に記載の移動体搭載用の生育度測定装置。 【請求項3】 前記演算部は、前記第1の受光部が測定した光強度と前記第2の受光部が測定した光強度との比から、前記植物の赤色光についての反射率Rと近赤外光についての反射率NIRとを求め、次式(1)に代入して、 (NIR−R)/(NIR+R)・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 前記生育指標として、第1の生育指標を算出することを特徴とする請求項2に記載の移動体搭載用の生育度測定装置。 【請求項4】 前記演算部は、前記第1の受光部が測定した光強度と前記第2の受光部が測定した光強度との比から、前記植物の赤色光についての反射率Rと近赤外光についての反射率NIRとを求め、次式(2)に代入して、 ((NIR−R)/(NIR+R))/√((1−NIR)2+R2)・・・(2) 前記生育指標として、第2の生育指標を算出することを特徴とする請求項2に記載の移動体搭載用の生育度測定装置。 【請求項5】 前記移動体が圃場での位置を確認するための位置情報取得装置を更に備え、前記位置情報取得装置からの情報を用いて圃場に関する生育度データを作成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の移動体搭載用の生育度測定装置。 【請求項6】 前記移動体は、圃場の上空を移動するヘリコプタ、飛行船、及び気球を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の移動体搭載用の生育度測定装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ヘリコプタ等の移動体に搭載して圃場の植物の生育度を光学的に測定する装置に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、農作物を栽培する農家の負荷軽減や農作物の生育状態を効率的かつ的確に把握するためリモートセンシング(遠隔探査)技術を利用して農作物の生育状態を監視する方法あるいは装置について研究がなされている。リモートセンシングは、カメラ等の検出手段と対象物とが遠く離れた状態で観測を行う技術である。一般的には地球(対象物)の状態を知るために,航空機(数百メートル〜数キロメートル上空)や衛星(数百キロメートル〜数万キロメートル上空)にカメラを搭載して観測をおこなう方法を指すが、ここでは圃場の上空を移動するヘリコプタ等にカメラやセンサを搭載して農作物の生育状態を観測する場合をいう。 【0003】 農作業においては、農作物の生育状態に合せて施肥を行うことが必要である。施肥を行う時期や施肥量が不適切であると、期待する収穫を得ることができず、また商品価値の低い農産物となってしまう。そのため、農家等にとって施肥の時期やその量を決定することは極めて重要な事項である。従来にあっては、(1)植物の草丈、(2)茎数、(3)葉色(SPAD値または葉色板示度)等を基に植物の生育度を求め、その生育度に合せて施肥時期や施肥量を決定していた。 【0004】 上記(1)植物の草丈とは、株の根元から葉の先端までの長さである。人が田畑に入り、適当な1株の葉を手で揃え、物差で株の根元から葉の先端までの長さを測定する。また、上記(2)茎数とは一株当たりの茎の数である。これも人が田畑に入り、適当な株を選び、手でより分けながらその茎数を数えている。また、上記(3)葉色(SPAD値または葉色板示度)の測定では、通常、ハンディータイプの葉色計で葉を挟み込み、光の透過率からSPAD値を計測したり、葉色板(色見本)を対照して目視により判定している。 【0005】 上記のように、従来の一般的な生育測定は何れも作業者が田畑に入り、煩雑な作業をしなければならず、多大な労力を要する。また、農作物の乾物重を測定する場合もあるが、乾燥までに最短でも数十時間を要するので迅速な生育診断を行えない。 【0006】 圃場の農作物の生育状態を適切にモニタリングできれば、その生育状態に応じてエリア毎に施肥等の条件を制御できる。これにより農作物の最適生育条件を与えることができ、作物収量を増加させることができる。また、施肥の必要なエリアを特定できるので一括均に施肥を行う場合と比べて施肥量をトータル的に抑制できるので、肥料コストを削減して農業経営の収益改善になる。また、過剰な施肥が避けられるので地球環境の保全に大きく貢献することができる。 【0007】 農作物の生育状態のモニタリングには、化学的な土壌分析、作物中の窒素成分分析、作物の葉緑素濃度測定等の方法があるが、いずれも測定結果を得るまで時間を要したり、あるいは測定作業に非常に労力を要したりするため、最適な施肥タイミングを逃してしまったり、大規模な圃場に適用し難いなどの問題があった。これに対してリモートセンシング技術を用いた光学的解析による農作物の生育状態測定は、測定の即時性、簡便さから大規模農場における農作物生産管理技術として有効である。よって、産業用の無人ヘリコプタ等の移動体(以下、ヘリコプタと称して説明する)を用いたリモートセンシング技術の実用化が望まれている。 【0008】 例えば特許文献1は、デジタルカメラをヘリコプタに搭載して圃場を撮影し、近赤外光の撮影画像を分析して、農作物の葉部の画像面積あるいは葉からの近赤外反射光量を測定して生育量を求める生育測定方法や装置について開示する。特に、特許文献1の装置はデジタルカメラの光学特性に基づく撮影画像のレベル誤差等を補正する手段などを含むので、測定精度を向上させて圃場に植生している植物の詳細な状態を正確に診断できる。 【0009】 【特許文献1】特開2003−9664号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 特許文献1で開示する技術は圃場の状態を詳細に把握するため多数の画素を有するデジタルカメラで撮影して、画素毎にデータ処理をして解析するという手法をとっている。そのためにヘリコプタを圃場の上空での所定高さ(例えば50m程度)に維持して(ホバリングして)撮影を行うことが必要となる。その際には、測定対象とした範囲が画像内に納まるようにヘリコプタを位置制御すること、また画像のブレを防止するため機体がふらつくかない様にヘリコプタを操作することが必要である。よって、ヘリコプタの操作に熟練を要すると共に、正確な測定を行うために時間を要するので作業効率の点で問題があった。 【0011】 また、ヘリコプタをホバリングするとロータ(回転羽根)からの下向きの風(ダウンフォース)で作物を寝せた状態にしてしまうと正確な画像を撮影できない。そこで、ヘリコプタは一定の高度以上(例えば50m以上)でホバリングさせる必要がある。ところが、ヘリコプタを高い高度で飛行させるには、操作者に高度な操縦技術が求められ安全上の問題が生じることがある。そのためヘリコプタの操縦に関して特別な技能講習を受けた者に操縦が限られてしまう。 【0012】 また、ヘリコプタに搭載するデジタルカメラや周辺機器は高価であるので農家への負担が大きくなる。さらに、デジタルカメラとしては100万画素以上のものが使用される。よって、撮像した画像を画素解析して生育度を確認するためには膨大なデータ処理するので長時間を要する。 【0013】 なお、ヘリコプタに動画を撮影するビデオカメラを搭載し、動画に基づいて圃場の植物の生育度診断をすることが考えられる。この場合にはヘリコプタを移動しながら撮影すればよいので、上記で問題となっているホバリングをする必要がなくなる。しかし、動画の撮影では範囲を特定せずに連続撮影を行うのでヘリコプタにGPS(Global Positioning System)装置を搭載して位置情報と撮影画像とを正確にリンクさせることが必要となる。そのために動画の画像解析は静止画を扱う場合より更に膨大な量のデータ処理を行うことが必要となる。その結果として作業効率が低下することになる。また、撮影画像がブレ易く、ブレのある動画は信頼度が低いので圃場の生育度を正確に診断することができないという場合がある。 【0014】 本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で生育診断を短時間に行うことができる移動体搭載用の生育度測定装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0015】 上記目的は、圃場の上空を移動可能な移動体に搭載され、植物の生育度を測定する装置であって、前記圃場の植物から反射された太陽光を分光して受光し、2種以上の特定波長の光強度を測定する第1の受光部と、太陽光を前記第1の受光部と同一波長に分光して受光し、光強度を測定する第2の受光部と、前記第1の受光部が測定した光強度と前記第2の受光部が測定した光強度とに基づいて、前記植物の生育指標を求める演算部とを含む、ことを特徴とする移動体搭載用の生育度測定装置により達成できる。 【0016】 本発明によると、第1の受光部が測定対象とした圃場に生育している植物群落全体から反射される太陽光の光強度を測定するだけであるので、簡易な構成で極めて簡便に生育診断を行うことができる。 【0017】 また、前記演算部は、前記圃場の植物を地上で測定したデータと相関関係がある生育指標を算出することが好ましい。このような生育指標を用いると地上で蓄積したデータを流用できるので、新たにデータを構築する手間を省くことができる。 【0018】 また、前記演算部は、前記第1の受光部が測定した光強度と前記第2の受光部が測定した光強度との比から、前記植物の赤色光についての反射率Rと近赤外光についての反射率NIRとを求め、次式(1)に代入して、 (NIR−R)/(NIR+R)・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 前記生育指標として、第1の生育指標を算出することとしてもよい。 【0019】 また、前記演算部は、前記第1の受光部が測定した光強度と前記第2の受光部が測定した光強度との比から、前記植物の赤色光についての反射率Rと近赤外光についての反射率NIRとを求め、次式(2)に代入して、 ((NIR−R)/(NIR+R))/√((1−NIR)2+R2)・・・(2) 前記生育指標として、第2の生育指標を算出することとしてもよい。 【0020】 また、前記移動体が圃場での位置を確認するための位置情報取得装置を更に備え、前記位置情報取得装置からの情報を用いて圃場に関する生育度データを作成するように形成することが好ましい。 【0021】 なお、前記移動体は、圃場の上空を移動するヘリコプタ、飛行船、及び気球を含めることができる。 【発明の効果】 【0022】 以上説明したように、本発明の移動体搭載用の生育度測定装置によると、簡易な構成で生育診断を短時間に行うことができる。よって、作業効率の向上とコストの低減を図ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0023】 以下、本発明に係る移動体搭載用の生育度測定装置の実施形態を図面を参照して説明する。なお、ここでは移動体としてヘリコプタを用い、圃場の水稲の生育度を求める場合を一例として説明する。 【0024】 図1は、実施例に係る生育度測定装置1を適用したヘリコプタHEの様子を模式的に示した図である。ヘリコプタHEの機体下部に第1の受光部としての第1受光センサ10が配置されている。第1受光センサ10は、圃場の水稲から反射される太陽光を受光する。この第1受光センサ10は機体下部に設けた懸架装置2を介してヘリコプタHEにセットされている。懸架装置2は第1受光センサ10が常に鉛直下方向に向くように姿勢を制御する。この懸架装置2は公知の構造を採用すればよい。例えば、機械的な構成で第1受光センサ10が鉛直下方向へ向くように調整するものでもよいし、アクチュエータを内蔵して電気的な制御により第1センサ10が鉛直下方向へ向くように調整するものでもよい。 【0025】 ヘリコプタHEのテール部TL上には第2の受光部としての第2受光センサ20が上向き姿勢で固定されている。この第2受光センサ20は太陽光を直接に受光する。第2受光センサ20は太陽光を受光するのに妨げとならないようにロータRTの回転中心よりも外側、図示のようにテール部TLの端部側に設置することが望ましい。なお、第2受光センサ20についても常に鉛直上方向に向くように懸架装置2と同様の姿勢制御装置を介して固定してもよいが、ヘリコプタHEがほぼ水平姿勢となったときに受光すれば太陽光を受光できるのでテール部に直接にセットすることができる。 【0026】 生育度測定装置1は、上記の第1受光センサ10及び第2受光センサ20と、これらに接続される操作制御装置30を備えて構成されている。操作制御装置30はこれら受光センサを制御すると共に、受光センサが検出する光強度に基づいて所定の演算を実行する。図1では、操作制御装置30を機体内に配置した状態を一例として示しているが、機体の設計に応じて適当な箇所に設置すればより。なお、このヘリコプタHEには位置情報取得装置としてGPS装置40が搭載されており、GPSアンテナ41でGPS信号を受信してヘリコプタHEの位置を確認できる。GPS装置40の位置情報は操作制御装置30に供給されている。 【0027】 図2は、生育度測定装置1が備える2個の受光センサ10、20について示した図であり、(A)はヘリコプタの機体に下向きに設置される第1受光センサ10を拡大して示した斜視図、(B)はテール部に上向きに設置される第2受光センサ20を拡大して示した斜視図である。 【0028】 第1受光センサ10について説明する。この第1受光センサ10は圃場と対向するように下向き姿勢で配置され、水稲から反射する太陽光を受光する。この第1受光センサ10は、デジタルカメラのように多数の画素で圃場を撮影するのとは異なり、受光範囲に設定された圃場に植生している水稲全体から反射された光を複数に分けて受光するのではなく一体の光として受光する。すなわち、第1受光センサ10は測定対象した範囲に生育している植物群落全体から反射される太陽光の光強度を検出するものである。 【0029】 この第1受光センサ10は、特定波長の光を受光する複数の受光素子を備えている。例えば、第1受光センサ10は赤色(例えば波長650nm)用の受光素子11a、近赤外光(例えば波長850nm)用の受光素子11b及び緑色(例えば波長550nm)用の受光素子11cを備えている。なお、ここで採用する受光素子は公知のものでよい。受光素子としては、例えばSiフォトダイオードやスペクトルメータなどを使用できる。また、入射光を赤色光、近赤外光または緑色光に分光するために、図示しない分光フィルタが各受光素子の受光面に付設されている。 【0030】 (B)で示す第2受光センサ20は、太陽光を直接に受光するように上向き姿勢で配置されている。この第2受光センサ20は、第1受光センサ10と同一の特定波長を受光するように設定されている。すなわち、第2受光センサ20も同様に、赤色用の受光素子21a、近赤外光用の受光素子21b及び緑色用の受光素子21cを備え、各受光素子の受光面には分光フィルタが付設されている。なお、太陽光の入射角度の影響を避けるために拡散板を分光フィルタの前面に更に取付けてもよい。上記第1受光センサ10についても拡散板を取付けてもよい。 【0031】 図3は、生育度測定装置1と、これを電波で遠隔操作するリモートコントローラ50(以下、リモコン50と称す)を含めて示した機能ブロック図である。前述したように生育度測定装置1は、第1受光センサ10、第2受光センサ20及び操作制御装置30を備えている。そして、この操作制御装置30はリモコン50により操作者が遠隔操作できるようになっている。リモコン50は、操作者が指示入力を行うためのボタン等を備えた操作部51、文字や画像を表示する表示部52、生育度測定装置1との電波の送受信を行う通信部53等を備えている。これらの各部は制御部54により制御されている。 【0032】 操作制御装置30はインターフェース部31を介して前述した第1受光センサ10及び第2受光センサ20に接続されている。操作制御装置30は、さらにリモコン50との間で信号の送受信を行う通信部32、記憶部33、演算部34及びこれらを全体的に制御する制御部35を含んでいる。これらの各部はバス36を介して互いに接続されている。制御部35は例えばCPU(Central Processing Unit)を中心にして形成したマイクロコンピュータである。 【0033】 上記記憶部33は、例えばCD-ROM、DVD−ROM、HDD、電気的に書換が可能なメモリ等の記憶装置により構成される。この記憶部33には制御部35を駆動するためのプログラムを格納する他、生育指標に関する一連のデータを記憶することができる。なお、ヘリコプタHGに搭載したGPS装置40もインターフェース部31を介して生育度測定装置1に接続されている。よって、制御部35は圃場の位置情報も付加した生育指標マップを作成できる。このように圃場毎の生育指標に関する生育データも記憶部33に記憶するようにしてもよい。 【0034】 第1受光センサ10は、水稲から反射する太陽光の近赤外光や赤色光の光強度を測定する。第2受光センサ20は、太陽光を直に受光して近赤外光や赤色光の光強度を測定する。制御部35は演算部34を制御して、受光センサ10及び受光センサ20が測定した光強度を用いて後述する生育指標を算出させる。制御部35は生育指標を算出するためのプログラムを記憶部33から読み出して演算部34を制御して生育指標を算出させる。 【0035】 演算部34は、赤色光について第2受光センサ20の測定値に対する第1受光センサ10の測定値の比として反射率Rを算出する。演算部34は、同様に、近赤外光について第2受光センサ20の測定値に対する第1受光センサ10の測定値の比として反射率NIRを算出する。なお、演算部34は制御部35の一部として実現してもよい。 【0036】 さらに、演算部34は上記反射率R及び反射率NIRを次式に参入することにより、第1の生育指標I及び第2の生育指標IIを算出する。
第1の生育指標Iは、次式(1)による。 生育指標I=(NIR−R)/(NIR+R)・・・・・・・・・・・・(1) この第1の生育指標Iは、正規化植生指数(NDVI:Normalized Difference Vegetation Index)と称される生育指標で植物の茎葉の窒素含有量と極めて高い相関がある。 【0037】 第2の生育指標IIは、次式(2)による。 生育指標II= ((NIR−R)/(NIR+R))/√((1−NIR)2+R2)・・・・(2) この生育指標IIは、正規化植生指数(NDVI)を√((1−NIR)2+R2)で除したものである。これらの生育指標I及びIIについては後述する。 【0038】 本生育度測定装置1は、GPS装置40とも接続しておくことで圃場における水稲の位置を確認して生育度データに測定位置情報を付加してマップ化することもできる。更に、測定時期や気候データ(天候、気温等)等を付加してもよい。そして、これらの情報を年次データとして蓄積し、生育計画に反映させることにより、より効率的な生育が可能になる。このような一連のデータは記憶部33に記憶しておき後にリモコン50を操作して読出できるようにしてもよいし、電波を介して瞬時にリモコン50側へ送信するようにしてもよい。 【0039】 上記構成の生育度測定装置1は、水稲からの反射光を1個の第1受光センサ10で受光し、その光強度に基づいてデータ処理を行うだけである。その際に、第2受光センサ20で太陽光を直に受光し、参照光として反射率を求めるだけである。従来のようにデジタルカメラで圃場を撮影して多数データを処理する必要がない。よって、本実施例の生育度測定装置1は、デジタルカメラを利用する場合と比較して、光学系の機器構成が簡素化されると共に、データ処理を行う電算機系の構成も簡素化できる。しかも、データ処理が極めて短時間に実行されるので光強度に基づいて迅速に水稲の生育状態を診断できる。よって、生育度測定装置1は、低コストで作業効率の高い生育度測定装置となる。 【0040】 なお、従来においてデジタルカメラで圃場を撮影したのは、圃場を画像で捉え、画像データから水稲の生育ムラまで判定しようとしたからである。そのために、画素毎のデータ処理を行って詳細に圃場内の状態を確認していた。しかしながら、日本を含めて先進的な農業を行っている地域における圃場は、十分な管理のもとで農作物が育成されている。その結果、1つの圃場に植生している水稲はほぼ均質に成長しており、生育状態のばらつきは少ないという実情がある。よって、ある圃場についてカメラ撮影して画素毎の分析をしなくても、圃場全体からの反射光はここに育成している水稲の状態を反映していることになる。そこで、本実施例の生育度測定装置1は、圃場からの反射光を1つ受光センサ(第1の受光センサ10)で受光して水稲の生育診断を行う。従来とは異なり、測定対象とした圃場から1つの情報(すなわち、測定対象とした植物群落全体からの平均値となる反射光)を処理するだけであるので極めて簡便に生育診断を行うことができる。 【0041】 そして、生育度測定装置1の演算部34が算出する前述した生育指標I及び生育指標IIは、地上における測定結果と相関関係を有するものである。この点について説明する。植物の生育度の測定については、地上における測定技術の蓄積がある。例えば光反射強度を基に測定植物の葉色(SPAD値)、草丈を求めるための指標等、植物の生育度を診断するため多くの生育指標が案出されている。演算部34が算出する第1の生育指標Iとしての正規化植生指数(NDVI)も、このような生育指標の1つである。 【0042】 その一方で、リモートセンシング技術との組合せで圃場の上空で受光した反射光の光強度を用いて植物の生育度を診断する技術、有効な生育指標については未だ十分な研究がなされてないという実情がある。そこで、本願発明者は蓄積がある地上での測定結果(データ)を利用することに着目したものである。先に本願発明者は、植物から反射された太陽光と、直の太陽光とを地上にて受光センサで測定して、反射率R及び反射率NIRから生育判断するための生育指標として正規化植生指数(NDVI)を提案している(特開2004−301810参照)。この正規化植生指数(NDVI)は、例えば水稲の幼穂形成期頃までの時期及び出穂期よりも後の時期での生育状態を診断するときなどに有効な指標となる。 【0043】 図4は、水稲(品種:「ひとめぼれ」)の茎葉窒素含有量と生育指標GI(Growth Index)との関係について一例を示した図である。なお、この生育指標GIは正規化植生指数(NDVI)を100倍したものである。この図で示されるように、生育指標GIと水稲の茎葉窒素含有量とは指数関数(図ではy=0.1248e0.0483x)の回帰曲線で近似できる。決定係数R2が0.9394と1に近く相関が極めて高い。この図によって正規化植生指数(NDVI)が極めて有効な生育指標であることを確認できる。 【0044】 そして、ヘリコプタHEに搭載した実施例の生育度測定装置1により得られた測定結果(データ)から求めたNDVIと地上での測定結果(データ)から求めたNDVIとの関係を確認したところ、図5で示すように決定係数R2が0.8019となり高い相関があることを確認した。よって、生育度測定装置1の演算部34が算出する第1の生育指標I(NDVI)は、地上で得たNDVIと同様に水稲の生育診断に活用できる。また、地上測定で蓄積したNDVIに関するデータを活用すれば、新たにデータを構築する手間を省いて生育診断を行える。 【0045】 さらに、生育度測定装置1の演算部34が算出する前述した第2の生育指標IIは、NDVIを√((1−NIR)2+R2)で除したものである。図6は、地上測定の結果について水稲の茎葉窒素含有量と第2の生育指標IIとの関係を示しており、1次関数(図ではy=3.9451x−1.0718)の回帰直線で近似される。決定係数R2が0.9362と1に近く相関が極めて高い。この第2の生育指標IIを用いると茎葉窒素含有量を全期間に亘りに確認できる。水稲の全生育期間で茎葉窒素含有量を確認して生育診断を行える。 【0046】 なお、上記√((1−NIR)2+R2)は本願発明者が案出したものである。水稲が最も成長したときには稲が圃場を覆う割合が高くなるので反射率NIRが大きくなる。その一方で、水稲が成長すると色が濃くなる(窒素含有が多くなる)と反射率Rが小さくなる。√((1−NIR)2+R2)は、(反射率NIR,反射率R)=(1.0,0)の点を設定し、この点と受光部で測定した光強度に基づいて定まる点(反射率NIR,反射率R)との距離を指標とする。NDVIを√((1−NIR)2+R2)で除した生育指標IIを用いると、適正穂肥の判定、籾数の推定、収量の推定及び品質の推定を行うことができる指針となる。この生育指標IIについても、生育度測定装置1により得られた測定結果と地上の測定結果との相関が高いことが確認された。よって、生育度測定装置1の演算部34が算出する第2の生育指標IIも有効な指標となる。この第2の生育指標IIについても蓄積したNDVIに関するデータを活用できる。 【0047】 以下、生育度測定装置1の動作をまとめて説明する。操作者が測定対象の圃場にヘリコプタHEが位置していることを確認して、リモコン50の操作部51からの入力指示により生育度測定装置1の制御部35が動作を開始する。制御部35は、太陽光を直接に測定する第2受光センサ20の出力(光強度)と、水稲により反射された太陽光を測定する第1受光センサ10の出力(光強度)とを演算部34に供給し、それぞれの波長についての反射率RとNIR反射率を算出させる。反射率は次式(3)により算出される。
反射率= (受光センサ10が測定した光強度)/(受光センサ20が測定した光強度) ・・・・・・(3) なお、測定精度を高めるため各受光センサ10、20の暗室内での出力(ダーク値)を予め確認しておき、それぞれの実測値からダーク値を引いた補正値の比を用いて反射率を得てもよい。また、水稲からの反射光を受光する第1受光センサ10の反射率については、さらに白色板校正係数を掛けて補正した反射率を用いてもよい。白色板校正を行う際には、光強度の測定の前後において太陽光を白色板に当てて、その反射光の光強度を受光センサ10で測定して白色板校正係数を求めればよい。 【0048】 そして、演算部34は反射率R及び反射率NIRを式(1)に代入して第1の生育指標Iを算出する。 第1の生育指標I(NDVI)= (NIR−R)/(NIR+R)・・・・・(1) また、反射率R及び反射率NIRを式(2)に代入して第2の生育指標IIを算出する。 第2の生育指標II= ((NIR−R)/(NIR+R))/√((1−NIR)2+R2)・・ ・(2) 【0049】 以上のように、生育度測定装置1によると、第1の生育指標I及び第2の生育指標IIは瞬時に算出される。求められた生育指標と蓄積データとを比較することで水稲の生育診断を短時間に行える。生育度測定装置1は測定対象とした圃場の植物群落全体から平均値なる反射光を受光するだけでよいので動画を扱う場合と同様にヘリコプタHEが移動しながら測定できる。また、画像のブレのような問題は生じない。 【0050】 上記実施例では地上測定するデータと相関がある生育指標として、第1の生育指標I(正規化植生指数(NDVI))と、NDVIを√((1−NIR)2+R2)で除した第2の生育指標IIを例示したがこれに限らない。また、上記では赤色光と近赤外光とにより算出される第1の生育指標Iと第2の生育指標IIについて説明したので、この点では緑色光(例えば波長550nm)用の受光素子12cは省略可能である。しかし、緑色光の反射率を用いる生育指標を新たに設定してもよい。 【0051】 上記実施例では、植物の一例として生育度測定装置1を水稲に適用した場合について説明したが、生育に伴い茎葉中の窒素含有量が変化する植物に好適に使用できる。例えば、実施例の生育度測定装置1は、水稲の他、麦やお茶の生育診断に好適に使用できる。 【0052】 以上、本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。 【図面の簡単な説明】 【0053】 【図1】実施例に係る生育度測定装置を適用したヘリコプタHEの様子を模式的に示した図である。 【図2】生育度測定装置が備える2個の受光センサについて示した図であり、(A)はヘリコプタの機体に下向きに設置される第1受光センサを拡大して示した斜視図、(B)はテール部に上向きに設置される第2受光センサを拡大して示した斜視図である。 【図3】生育度測定装置と、これを電波で遠隔操作するリモートコントローラ50を含めて示した機能ブロック図である。 【図4】水稲の茎葉窒素含有量と第2の生育指標との関係について一例を示した図である。 【図5】実施例の生育度測定装置により得られたデータから求めたNDVIと地上でのデータから求めたNDVIとの関係について一例を示した図である。 【図6】水稲の茎葉窒素含有量と第2の生育指標との関係について一例を示した図である。 【符号の説明】 【0054】 1 移動体搭載用の生育度測定装置 10 第1受光センサ(第1の受光部) 20 第2受光センサ(第2の受光部) 30 操作制御装置 34 演算部 35 制御部 40 GPS装置 50 リモコン R 赤色光の反射率 NIR 近赤外光の反射率 HE ヘリコプタ(移動体)
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| 【出願人】 |
【識別番号】501203344 【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
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| 【出願日】 |
平成17年5月10日(2005.5.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087480 【弁理士】 【氏名又は名称】片山 修平
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| 【公開番号】 |
特開2006−314215(P2006−314215A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月24日(2006.11.24) |
| 【出願番号】 |
特願2005−137907(P2005−137907) |
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