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【発明の名称】 雨水貯溜層の貯溜水を毛管現象で基盤層が吸水し緑化基盤、放熱基盤とする軽質炭酸カルシウムを主要基盤材に使用した建築物屋上,壁面のヒートアイランド現象軽減工法
【発明者】 【氏名】佐伯 弘矩

【要約】 【課題】ヒートアイランド現象の問題になる時期において、雨水の有効活用ができ、自然吸水で基盤層を湿潤に保ち、乾燥に強く根腐れを起こさない植物による屋上緑化工法及び資材、植物の開発利用。

【解決手段】屋上緑化、壁面緑化等に使用する。その特徴は、ヒートアイランド現象を軽減するために雨水を貯留する層を基盤層の下部に持ち、貯溜水を基盤層が一部槽底部に接着させる構造で、毛細管現象を以って基盤層を湿潤に保ち、苔の活着を促進すると共に、緑化の維持、管理労力の省力化を実現している。その構造は、屋上緑化の排水層を枠で囲み、防水シートの縁を持ち上げることで貯溜槽としている。貯溜層を土縛シートで隔絶して、混練した製糖副産石灰を打設して基盤とする単純構造で特別な技術を必要としない。夏季以外は、防水シートの一部を外せば、貯溜機能が排水機能に変わる簡便、廉価の屋上緑化工法とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水シートで囲われた、雨水を貯溜する空隙構造を持つ層を基盤層の下部に持ち、貯溜水を毛細管現象で上部の基盤層に供給し、好アルカリ性苔をもって緑化する工法。
【請求項2】
防水シートで囲われた、雨水を貯溜する空隙構造を持つ層を放熱層の下部に持ち、貯溜水を毛細管現象で上部の放熱層に供給するヒートアイランド防止工法。
【請求項3】
防水シートで囲われた、雨水を貯溜する空隙構造を持つ層を基盤層の裏面に持ち、貯溜水を毛細管現象で表部の基盤層に供給し、好アルカリ性苔をもって行なう壁面の緑化工法。
【請求項4】
防水シートで囲われた、雨水を貯溜する空隙構造を持つ層を放熱層の裏面に持ち、貯溜水を毛細管現象で表部の放熱層に供給するヒートアイランド防止工法。
【請求項5】
有機繊維物質、無機軽量物質の固着力向上、安定凝固材として使用する軽質炭酸カルシウムは、水酸化石灰を炭酸ガスで結晶化させて製造するが、その際に有機物と結合させることでシックイのごとき固化性質はもたない軽質炭酸カルシウムを加え吸水性、保水性、通気性の改良を行なった緑化基盤工法。
【請求項6】
防水工事後の壁面を網状合成繊維、又は金網を張り〔請求項5〕を塗り込め、緑化基盤とし緑化する工法。
【発明の詳細な説明】【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、構造物表面を苔で被覆する工法である。苔の培地基盤層の下部に、雨水の貯溜層を持ち、毛細管現象で雨水を培地基盤層に吸水させ、湿潤を保ち潅水管理を軽減すると共に蒸散させることで、ヒートアイランド現象の緩和及び輻射熱の遮断をはかる都市環境改善に用する発明である。
【背景技術】
【0001】
植生の葉面は、蒸散活動をしており、周辺気温を低下させている。また植生に覆われた構造物は、輻射熱から隔絶され省エネ効果が認められ、そのため屋上緑化が促進されており、種々の工法、資材が実用化されてさまざまな植生が導入されているが、苔を主たる植生としたものはない。
【0002】
屋上は、植生の生育に必要な土壌が存在しない。したがって、人工土壌、植生基盤材と称する材料に、次のような性質を備えたものが商品化されている。即ち屋上は、大きな荷重が掛けられないために軽量であることが求められる。これは、植生の根はある程度伸長する必要があるため、植生基盤層に一定のボリュウムが要求されている。当然、使用量と反比例して比重を軽くすることが求められる。植生基盤材を軽くすると、基盤材の風散、植生樹木の風倒等、風害を受けやすく、且つ、地被植生の固定力が小さいため、別途力学的な安定構造が設計され、施工費に反映している。
【0003】
更に、屋上緑化の植生は、適宜の潅水が不可欠である。潅水回数軽減のために、限られた基盤層内に植生の生育に必要な水分を確保できるように、高い保水能力を備えているものが多い。半面、植生の根腐れ防止のためには排水構造は不可欠となっている。
【0004】
植生の維持管理は、晴天が続くと潅水作業を必要とする。潅水に使用する水は、上水若しくは雨水貯溜水を使用しているが、散水そのものは人力若しくは自動散水設備によっており、地上における放置状態では永続的緑化は難しい。
【0005】
屋上に降る雨水は、屋上緑化の恵みとなっているが、余剰水、表面流水は排水されている。
【0007】
緑化コンクリートは、植生の生育基盤となる物質を含有しているが、苔を選択的に培養する目的のものではない。
【0008】
透水性コンクリート等、透水、保水機能のある建築資材は存在するが、基礎はいずれも排水構造となっており、貯水機能のある基礎構造と組み合わせたものはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
水の蒸散によるヒートアイランド現象の緩和。
【0010】
雨水の貯溜とその有効利用法。
【0011】
屋上、壁面の軽量緑化工法の開発。
【0012】
施工、管理経費の縮減工法。
【0013】
苔の選択的導入物質の活用。
【0014】
乾燥に強く、根腐れの問題がない緑化植物の選択。
【0015】
寒冷期には、貯水機能を排水機能に簡便にできる構造。
【課題を解決解決するための手段】
【0016】
本発明では、毛細管現象及び濡れタオルが、気化熱を奪い冷却効果を示す周知の自然現象を利用している。
【0017】
集水面積に降った雨の表面流水は、砕石グリッドから防水シートで囲まれた基盤下部の雨水貯留槽に貯溜水として確保される。吸水の構造は、基盤層の一端が貯留槽底部に至る一体構造をもち、この部分より液深が下がっても吸水する。
【0018】
軽質炭酸カルシュウムは、石灰と同じくシックイ、モルタル的施工が可能であり、混合練りも容易で施工に特別の技術を要しない。ビロード苔は、好アルカリ性の性質を持ち、軽質炭酸カルシュウムはその優良な培地である。
【0019】
苔類の自然植生を観察すれば、酸性を好むもの、アルカリ性を好むものに大別できる。ビロード苔は、コンクリート側溝の側面、擁壁の目地部等、一般植物の侵入困難な所でも生息する好アルカリ性の苔で乾燥に強く培地をほとんど必要としていない。本工法では、このビロード苔の生育環境を最適ならしめるものである。
【0020】
ヒートアイランド現象の減少時期は、外枠の天端まで持ち上げている防水シートの一部を外せば貯水槽機能が排水層に変ずる。
【発明の効果】
【0021】
貯溜雨水を毛細管現象で植生基盤に吸水させたことで、基盤表面より水が蒸散し基盤層内部の温度は外気温に比べ低く恒温状態を保つ。併せて、導入した植生は、蒸散の相乗効果を示す。
【0022】
ヒートアイランド現象の緩和は、屋上緑化に芝を導入した場合と差異はないが、潅水等管理費の経費が縮減できる。
【0023】
軽質炭酸カルシュウムは、粘土状物質であり人工土壌資材の保水性には劣るが、貯溜層から毛細管現象で吸水する結果、潅水作業は必要ない。
【0024】
湿潤状態の軽質炭酸カルシュウムで生育したビロード苔は、緑色も美麗で鑑賞に堪える。且つ、貯溜水のない冬場の乾燥状態において、発色は落ちるが枯死することもなく梅雨時期には緑色も復活し衰退することはない。
【0025】
本発明は、A−A断面図、B−B断面図に示すように原理、構造が単純で、施工に特段の技術を要さず経費縮減屋上緑化工法を実現した。
【0026】
精製糖業界における製糖副産石灰は、有機物結合をさせた軽質炭酸カルシウムの代用に充分であり、本品は市販されておらずリサイクルに多大の費用が掛かっている。これの有効利用は、エネルギーの削減となり省資源に寄与する。
【発明を実施するための最良の方法】
【実施例1】
【0027】
h=10cmの外枠(木製)を矩形に組みます。この場合h=10cmが貯溜水のオバーフローの高さになります。矩形の大きさは、1mです。
【0028】
外枠の上端から防水シートを敷き、貯留槽とします。
【0029】
その上にt=5cmで単粒砕石25mmを敷均します。その際に表面流水を砕石貯留槽に導入するため〔図2〕a−a断面図の如く砕石層の一部を表面まで溝状に施工します。集水された雨水は、下部砕石層の空隙に貯溜されます。空隙率は30〜35%程度で、1平方メートル当り15〜18リットルを貯水します。
【0030】
砕石の上にt=1mmの土木シートで砕石と製糖副産石灰層を隔離できるように敷きます。
【0030】
製糖副産石灰を漆喰、モルタル練りの要領で、黒曜石パーライトφ径5〜25mmを加え軽量化を図り施工しやすい硬さに練ります。練りあがったものを不織布の上にt=5〜6cmの厚さで水勾配を取って均厚に打設し、木コテ押さえとします。
【0031】
その際、製糖副産石灰層の一部は、矩形のいずれかに辺に平行にW=10cmの巾で製糖副産石灰層が底面に接着するように、〔図3〕B−B断面図となるよう鈎形に施工します。この部分で砕石層の液深が低下しても吸水できるように施工します。
【0032】
ブリージング水が引いたら表面に箒目を立て、ビロード苔の胞子の着床をしやすくし、苔の自然繁殖で緑化します。
【0033】
貯水槽には、初期注水を行ない施工完了とします。
【実施例2】
【0034】
h=10cmの外枠(木製)を矩形に組みます。この場合h=10cmが貯溜水のオバーフローの高さになります。矩形の大きさは、1mです。
【0035】
外枠の上端から防水シートを敷き、貯留槽とします。
【0036】
その上にt=5cmで単粒砕石25mmを敷均します。その際に表面流水を砕石貯留槽に導入するため〔図2〕A−A断面図の如く砕石層の一部を表面まで溝状に施工します。集水された雨水は、砕石の空隙に貯溜されます。空隙率は30〜35%程度で、1平方メートル当り15〜18リットルを貯水します。
【0037】
砕石の上にt=1mmの土木シートを砕石と製糖副産石灰層を隔離できるように敷きます。
【0038】
製糖副産石灰にパーライト20リットル、ピートモス5kgを加え、施工しやすい硬さに練ります。練りあがったものを不織布の上にt=10cmの厚さで水勾配を取って均一に打設します。
【0039】
その際、製糖副産石灰の一部は、矩形のいずれかに辺に平行にW=10cmはマッドケーキ層が底面に接着する〔図3〕B−B断面図となるようにに施工します。この部分で砕石層の液深が低下しても吸水できるように施工します。
【0040】
打設された製糖副産石灰の上にティフトン芝を張り転圧します。
【0041】
貯水槽に初期注水を行ない施工完了します。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面図
【図2】a−a断面図
【図3】b−b断面図
【出願人】 【識別番号】505204952
【氏名又は名称】名谷園造園土木株式会社
【出願日】 平成17年5月2日(2005.5.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−304760(P2006−304760A)
【公開日】 平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願番号】 特願2005−161960(P2005−161960)