トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 無植生表面の緑化材および緑化方法
【発明者】 【氏名】矢口 進
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田工業株式会社内

【氏名】有賀 久道
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田工業株式会社内

【氏名】古暮 宏
【住所又は居所】東京都中央区日本橋人形町1−19−9 モスキャッチシステムサービス株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無植生表面に付着させる緑化材であって、
コケ植物と、このコケ植物の育成床となる土状物と、前記コケ植物と土状物とを前記無植生表面に付着させる接合剤と、を含む緑化材。
【請求項2】
高分子凝集剤および増粘剤のいずれか一方または両方をさらに含む請求項1に記載の緑化材。
【請求項3】
着色料をさらに含む請求項1または2に記載の緑化材。
【請求項4】
さらに水を含み、含水比が50〜2000%である請求項1から3のいずれかに記載の緑化材。
【請求項5】
前記コケ状物を1〜30質量部、前記土状物を2〜30質量部、前記接合剤を0.01〜20質量部含む請求項4に記載の緑化材。
【請求項6】
緑化材を無植生表面に付着させる緑化方法であって、
前記緑化材として、コケ植物と、このコケ植物の育成床となる土状物と、前記コケ植物と土状物とを無植生表面に付着させる接合剤と、水と、を含んでなるスラリーを用いる緑化方法。
【請求項7】
前記無植生表面の付着性を向上させる表面処理を行なった後、表面処理した無植生表面に前記緑化材を付着させる請求項6に記載の緑化方法。
【請求項8】
前記表面処理は、前記無植生表面に接合剤を付着させる処理である請求項7に記載の緑化方法。
【請求項9】
前記表面処理は、前記無植生表面に網体を密着させる処理である請求項7に記載の緑化方法。
【請求項10】
前記無植生表面は、傾斜角度が45〜90°の人工物表面である請求項6〜9いずれかに記載の緑化方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタルやコンクリート表面、および岩盤や法面等の無植生表面を緑化する緑化材および緑化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
造成工事によって生じる斜面、モルタル、コンクリート等で作られた構造物の屋上や壁面は一般に植物が生育していない無植生表面となっている。このような無植生表面は風雨に直接さらされるために劣化し易く、また景観を損ねるため、これら無植生表面を保護し、緑化する様々な緑化方法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、造成工事により生じる岩盤を保護するため、コケ植物を繊維シート上で育成することによりコケ群落がシート上に繁茂するコケ群落シートを形成させ、このコケ群落シートを岩盤表面に張り付ける岩盤の緑化方法が開示されている。また特許文献2には、建物の外壁のようなほぼ垂直の壁面を緑化する方法として、壁面にマットを取り付ける取り付け手段を設け、客土とコケ植物等が吹き付けられたマットを前記取り付け手段によって壁面に取り付ける方法が開示されている。
【0004】
これらの公知技術によれば、植物の育成基盤(土壌)を有さない岩盤や建物の壁面を植物で覆って保護するとともに緑化することができる。
【0005】
また、無植生表面の緑化方法としては、従来、スラリー状の緑化材を緑化対象表面に吹き付けまたは塗布する方法も知られている。スラリー状の緑化材を用いる緑化方法では、緑化材を緑化対象表面に吹き付け、または塗布するという簡易な操作で無植生表面を緑化できる。
【特許文献1】特開平6−173267号公報
【特許文献2】特開2004−194608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された緑化方法では、繊維シートを基材として予めコケ植物を繁茂させてコケ群落を形成する必要があり、コケ群落シートの敷設に際しては、実質的にはコケ植物を緑化対象表面に移植する緑化方法に近い作業が必要となる。また、特許文献2に開示された緑化方法でも、緑化対象表面に取り付け手段を取り付ける必要があり、壁面を穿孔する必要があるといった手間がかかる。
【0007】
一方、構造物の表面は人工的に形成された滑らかな表面であり、また岩盤表面も造成地の斜面等に比べると滑らかであるため、スラリー状の緑化材は付着し難く、特にこれらの無植生表面がほぼ垂直であるような場合はスラリー状の緑化材で緑化することは困難である。さらには、スラリー状の緑化材には、緑化材を無植生表面に固着させるために種々の接合剤が用いられるが、これら接合剤は多量に使用すると植物種子の発芽や育成を妨げる場合があり、緑化工事を施された無植生表面上で植物が充分に生育しない問題もあった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みて、凹凸が少なく、ほぼ垂直に屹立する壁面であっても簡易に緑化工事を行なうことができ、しかも植物が良好に生育する無植生表面の緑化材および緑化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的には、本発明は以下を提供する。
【0010】
(1) 無植生表面に付着させる緑化材であって、 コケ植物と、このコケ植物の育成床となる土状物と、前記コケ植物と土状物とを前記無植生表面に付着させる接合剤と、を含む緑化材。
【0011】
(2) 高分子凝集剤および増粘剤のいずれか一方または両方をさらに含む(1)に記載の緑化材。
【0012】
(3) 着色料をさらに含む(1)または(2)に記載の緑化材。
【0013】
(4) さらに水を含み、含水比が50〜2000%である請求項1から3のいずれかに記載の緑化材。
【0014】
(5) 前記コケ状物を1〜30質量部、前記土状物を2〜30質量部、前記接合剤を0.01〜20質量部含む請求項4に記載の緑化材。
【0015】
(6) 緑化材を無植生表面に付着させる緑化方法であって、 前記緑化材として、コケ植物と、このコケ植物の育成床となる土状物と、前記コケ植物と土状物とを無植生表面に付着させる接合剤と、水と、を含んでなるスラリーを用いる緑化方法。
【0016】
(7) 前記無植生表面の付着性を向上させる表面処理を行なった後、表面処理した無植生表面に前記緑化材を付着させる(6)に記載の緑化方法。
【0017】
(8) 前記表面処理は、前記無植生表面に接合剤を付着させる処理である(7)に記載の緑化方法。
【0018】
(9) 前記表面処理は、前記無植生表面に網体を密着させる処理である(7)に記載の緑化方法。
【0019】
(10) 前記無植生表面は、傾斜角度が45〜90°の人工物表面である(6)〜(9)のいずれかに記載の緑化方法。
【0020】
ここで「無植生表面」とは、岩、コンクリート、およびモルタル等の無機物の表面であって、植物が実質的に生育していない表面を意味する。無植生表面には、造成工事により生じた法面、岩盤のような自然物の表面と、コンクリートやモルタルで作られた建物等の屋上、壁面といった人工物の表面が含まれる。本発明に係る緑化材は、特に岩盤や人工物表面といった比較的滑らかで、植物の生育基盤となる土状粒子が実質的に存在していない無植生表面に特に好適に適用できる。ここで、「土状粒子が実質的に存在しない」とは土状粒子からなる層が3cm以下であること、または対象面の硬さが山中式土壌硬度計による測定で23以上であることを意味する。
【0021】
また緑化材に混合するコケ植物の種類は特に限定されないが、ハイゴケ、スナゴケ、シノブゴケ、フデゴケ、コモジゴケ、ホソバオキノゴケ等が好ましい。コケ植物は胞子体を用いてもよいが、配偶体(すなわち、コケの本体)を2〜50mm程度にしたものを用いることが好ましい。緑化材はコケ植物を乾燥質量で1〜30質量部含むことが好ましく、緑化工事の際にはコケ植物を乾燥質量で0.05kg/m以上、好ましくは0.1〜0.5kg/mとなるように無植生表面に散布する。
【0022】
「土状粒子」とは、好ましくは粒径が10mm以下であり、無機物であっても有機物であってもよい。具体的には有機系の土状粒子としては、バーク堆肥、木材チップ、腐葉土、ピートモス、およびパルプなどが挙げられ、無機系の土状粒子としては、壌土(粘土分が20〜40%程度混ざった土)、砂土(粘土分が5〜20%程度混ざった土)、炭化物、軽石、ベントナイト、ゼオライト、パーライト、およびバーミキュライト等が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。土状粒子は緑化材中に乾燥質量で2〜30質量部の割合で含まれることが好ましく、緑化工事の際には乾燥質量で0.05kg/m以上、好ましくは0.15〜1kg/mとなるように無植生表面に散布されることが好ましい。
【0023】
接合剤としては有機または無機の接合剤を用いることができ、特に合成樹脂等の有機接合剤が好ましい。無機系の接合剤としては、セメント、モルタル、アスファルト、石膏、および酸化マグネシウム等が挙げられ、有機系の接合剤としては塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル酸系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、およびウレタン系樹脂等が挙げられ、具体的にはポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアルコール、およびポリウレタンが例示される。塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の合成樹脂を用いる場合、粉末のものを用いて緑化工事の際に加水して緑化材をスラリー状にしてもよいが、エマルジョンのものを用いることが好ましい。
【0024】
緑化材は乾燥質量で0.01〜20質量部の接合剤を含むことが好ましい。また粉末の合成樹脂接合剤を用いる場合、緑化工事の際に接合剤が乾燥質量で0.01kg/m、好ましくは0.02〜0.3kg/m、エマルジョンの合成樹脂接合剤を用いる場合は、0.02kg/m、好ましくは0.04〜0.5kg/mの散布量となるように緑化材を調整することが好ましい。
【0025】
高分子凝集剤としては、粒子を架橋する作用を有する任意の高分子凝集剤を使用することができる。具体的には、アニオン系高分子凝集剤として、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、マレイン酸共重合物およびポリアクリルアミドの部分加水分解物等がある。また、カチオン系高分子凝集剤として、ポリエチレンイミン、水溶性アニリン樹脂、ポリチオ尿素、およびポリビニルピリジン等がある。さらに、ノニオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド、およびポリオキシエチレン等が挙げられる。
【0026】
増粘剤としては、メラミンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸の化合物、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等の合成高分子、デキストリン、キサンタンガム、グアーガム等の天然高分子等を用いることができる。高分子凝集剤または増粘剤を緑化材に含ませる場合は、混合割合は0.001〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部とすることが好ましい。また、着色料としては、任意の顔料を用いることができ、特に緑系の着色料を混合割合0.005〜2質量部で含ませることが好ましい。
【0027】
緑化材は含水比50〜2000%の水を含んだ状態で緑化工事に供されることが好ましく、特に、水平面や緩斜面(傾斜度0〜45°未満)を緑化対象面とする場合は含水比200〜2000%とし、傾斜度が45°以上の急斜面や垂直壁面を緑化する場合は含水比を50〜1500%とすることが好ましい。本発明に係る緑化材は、コケ植物、土状粒子、接合剤、水、さらに必要に応じて高分子凝集剤および増粘剤のいずれか一方または両方の混合割合を調整することにより、用途に応じて適切な粘度を与えることができ、様々な傾斜度および摩擦性を備える無植生表面に簡易に散布し、また良好に付着させることができる。
【0028】
なお、緑化材の含水比は以下の手順により求める。すなわち、あらかじめ空のアルミ皿等の測定用容器の質量を測定し、測定用容器自体の質量(M)を求めておく。この測定用容器に湿潤状態の(すなわち、乾燥処理を行なっていない)緑化材を入れ、緑化材が入った状態で測定用容器の質量を測定して乾燥前の質量(M)を求める。次に、湿潤状態の緑化材が入った測定用容器を110℃の温度条件とした乾燥機に入れて、質量変化が認められなくなるまで乾燥させた後、乾燥された緑化材が入った測定容器の質量を測定して乾燥後の質量(M)を求める。これら質量から、下記式に従って含水比を算出する。
【0029】
【数1】


【0030】
特にコケ植物、土状粒子、および接合剤の含有割合は、乾燥質量でコケ植物2質量部〜25質量部に対して、土状粒子5〜25質量部、接合剤0.1〜10質量部とすることが好ましい。すなわち、本発明では、緑化材にコケ植物を含ませることで土状粒子と接合剤との含有量を少なくし、緑化材を薄く散布してコケ植物の生育を促進し、かつ、緑化対象となる無植生表面を確実に保護する。
【0031】
本発明に係る緑化材ではコケ植物を含有させており、コケ植物は緑化材に含まれる土状粒子に仮根を伸ばすことで本体を支え、本体の表面から水分を吸収して生育でき、土状粒子の含有量を少なくしても無植生表面で良好に生育する。すなわち、本発明では、緑化材に含まれる土状粒子の含有量を減らすことができる。このため、緑化材の厚さを薄くすることができる。具体的には、芝等の高等植物の種子を緑化材として配合する場合は緑化材の厚さは3cm以上必要であるところ、本発明の緑化材は1cm以下の厚さにできる。
【0032】
このように本発明によれば、緑化材の自重による滑落を抑制して施工できる。また、本発明に係る緑化材は荷重制限のある屋根等にも好適に用いることができる。さらに、本発明に係る緑化材は接合剤を含んでいるため、施工面が強風にさらされても緑化材が剥離することを防止できる。一方で本発明では緑化材を厚く付着させる必要がないため、接合剤の含有量を抑制しても無植生表面と土状粒子およびコケ植物は良好に結合する。したがって結合剤によるコケ植物の生育阻害が防止され、コケ植物による緑化が促進される。
【0033】
なお、本発明に係る緑化材はコンクリート表面や屋根のような表面が滑らかな人工物や岩盤等にそのまま適用することができる。しかし、傾斜度が45°を超えるような急峻な無植生表面では、施工時に緑化材が流れ落ちることを防止するために、無植生表面をあらかじめ表面処理して付着性を高めておくことが好ましい。無植生表面の表面処理法としては、無植生表面に粘着性を付与する方法や無植生表面を粗面化する方法等が挙げられる。
【0034】
具体的には、上述した結合剤をあらかじめ無植生表面に付着させることにより、無植生表面の粘着性を付与する方法が挙げられ、この場合は結合剤が完全に乾く前に緑化材の吹付けを行うことが好ましい。また、無植生表面を削って粗面化する方法や、無植生表面を網体で覆って粗面化する方法等も挙げられる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、従来、パネルやシートを用いなければ緑化が困難であった建造物の垂直壁面や切り立った岩盤等に緑化材を吹き付け等により散布するだけで緑化工事を行なうことができる。また本発明によれば、岩盤や建造物壁面のように植物の育成基板となる土状粒子が保持されていない無植生表面に、僅かな量の土状粒子を付着させれば緑化を図ることができるため、緑化材を厚く付着させる必要がない。このため、緑化材の滑落を抑制して容易に緑化工事を行なうことができ、緑化工事に要する費用を低減し、屋根等の荷重制限のある無植生表面も緑化できる。また、強風にさらされても剥離し難く、かつ、緑化材に含まれるコケ植物の配偶体が土状粒子や接合剤に覆われて生育が阻害されるおそれを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。以下、同一部材については同一符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0037】
図1は、本発明に係る緑化材を用いる緑化方法の第1実施形態を示す模式図である。図1に示す実施形態では、本発明に係る緑化材11はスラリー状であり、図示しないタンクから供出して、モルタルやコンクリートの吹き付け用のノズル付きホース21から無植生表面としての岩盤31に吹き付ける。本実施形態では岩盤31は道路造成工事に伴って生じたものであり、傾斜角は50°で表面の硬さは山中式土壌硬度計で25である。
【0038】
緑化材11としては、コケ植物として20〜50mmの長さに切ったハイゴケとスナゴケとの混合物を乾燥質量で13質量部、土状粒子として緑化工事用ファイバーを20質量、接合剤として酢酸ビニル樹脂のエマルジョンを13質量部、水を50質量部、さらにポリアクリルアミド系水溶性高分子の0.2%水溶液を4質量部含み、団粒化させたものを用いた。この緑化材11はホース21の先から岩盤31に厚さ5〜10mmとなるように吹き付けた。
【0039】
緑化材11を吹き付けるホース21とタンクとの間には、空気圧縮機やポンプ等が設けられ、タンクから供出された緑化材11を岩盤31に吹き付けるように構成されている。上記操作完了後、7日間自然乾燥させることにより、岩盤31には厚さ約10mmの保護層41が形成され、工事完了後120〜180日間でコケ植物が保護層41の表面積の約80%を覆う程度まで繁茂した。
【0040】
なお、この緑化材11は流動性が低いため、上述した機械による吹き付けに代えて岩盤31にコテを用いて塗布してもよい。また、岩盤31は緑化材11の吹き付けに先立ち、網目50mm程度の網状シートで覆ってもよい。
【0041】
図2は本発明に係る緑化材を用いる緑化方法の第2実施形態を示す模式図であり、無植生表面としてコンクリート製のマンション屋上32に緑化材12を塗布する場合を示す。マンション屋上32は地面に対してほぼ水平であり、本実施形態では、水はけを良くするために軽石を敷き詰めた後、柄杓22を用いて緑化材12を厚さ5〜10mmとなるように散布した。緑化材12としては、コケ植物として10〜30mmの長さに切ったハイゴケとスナゴケとの混合物を乾燥質量で3質量部、土状粒子として緑化工事用ファイバーとゼオライトとの混合物を6質量部、接合剤として酢酸ビニル樹脂のエマルジョンを2.2質量部、水を88.8質量部含むものを使用した。
【0042】
緑化材12の散布後、2日間で緑化材12は固化して厚さ約10mmの保護層42が形成され、さらに180日で保護層42の表面積の50〜60%を覆う程度にコケ植物が繁茂した。
【0043】
図3は本発明に係る緑化材を用いる緑化方法の第3実施形態を示す模式図であり、無植生表面としてモルタル製の屋根瓦を有する家屋の屋根33に緑化材13をホース21で吹き付けて付着させる場合を示す。屋根33は傾斜角が30°であり、本実施形態では、緑化材13を厚さ5〜10mmとなるように吹き付けた。緑化材13としては、コケ植物として20〜50mmの長さに切ったハイゴケとスナゴケとの混合物を乾燥質量で9質量部、土状粒子としてパーク堆肥とバーミキュライトとの混合物を14質量部、接合剤として酢酸ビニル樹脂のエマルジョンを7質量部、水を70質量部含むものを使用した。
【0044】
緑化材13の散布後、2日間で緑化材13は固化して厚さ約10mmの保護層43が形成され、さらに120日で保護層43の表面積の約70%を覆う程度にコケ植物が繁茂した。
【0045】
なお、第2実施形態において、緑化材12は柄杓22に代えてホース21等を用いて機械的に吹き付けてもよく、第3実施形態では緑化材13を柄杓22やバケツ等で屋根33上に撒いてコテ等で均一となるように広げてもよい。
【0046】
図4は本発明に係る緑化材を用いる緑化方法の第4実施形態を示す模式図であり、無植生表面としてコンクリート製の建物の外壁面34に緑化材11をホース21で吹き付けて付着させる場合を示す。外壁面34は地面に対してほぼ垂直である。外壁面34には緑化材11を吹き付ける前に、外壁面34に釘状物を取り付けて、この釘状物に網目50mmのポリエチレン製の網状シート44の外縁を絡ませることで、外壁面34表面を網状シート44が覆うようにした。
【0047】
次いで、外壁面34に緑化材11を厚さ5〜10mmとなるように吹き付け、網状シート44を挟んだ状態で外壁面34に保護層41を形成させた。本実施形態で用いた緑化材11は、第1実施形態の緑化材と同じ組成である。
【0048】
緑化材11の散布後、3日間経過して緑化材11は固化した後の保護層41の厚さは平均8mmで、コケ植物の繁茂状況としては、緑化工事完了から180日経過後で、保護層41の表面積の40〜50%をコケ植物が覆う状態となった。
【0049】
本発明によれば、スラリー状にして用いる緑化材に緑化用の植物としてコケ植物と、このコケ植物の生育基盤となる土状粒子と、接合剤と、を含ませることで岩盤や構造物表面のように、植物生育基盤が保持され難い滑らかな無植生表面を簡略な作業で容易に緑化できる。すなわち本発明の緑化材によれば、緑化材を厚く散布することなく平滑な無植生表面にコケ植物の生育基盤を保持させることができる。このため、コケ植物の生育が土状粒子や接合剤に阻害される問題を低減し、従来はスラリー状の緑化材では緑化できなかった無植生表面でも緑化できる。また、緑化材は薄く散布するため、緑化工事を迅速に行なうことができ、また緑化材の使用量も少なくて済む。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、建物の表面や岩盤等の無植生表面を保護し緑化するために利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係る緑化方法を示す模式図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る緑化方法を示す模式図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る緑化方法を示す模式図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る緑化方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0052】
11〜13 緑化材
31〜34 無植生表面
【出願人】 【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿3丁目4番7号
【識別番号】505162308
【氏名又は名称】モスキャッチシステムサービス株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋人形町1−19−9
【出願日】 平成17年4月28日(2005.4.28)
【代理人】 【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ

【公開番号】 特開2006−304710(P2006−304710A)
【公開日】 平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願番号】 特願2005−132531(P2005−132531)