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【発明の名称】 植物の栽培方法
【発明者】 【氏名】斉藤 洋介
【住所又は居所】愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザキ電機株式会社内

【要約】 【課題】電解生成酸性水を生育途中の植物の葉に散布して、同植物の生長を助成する植物の栽培方法において、散布する電解生成酸性水に起因する葉面の酸焼けの発生を回避する。

【解決手段】植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値との関係を予め見出し、散布を許容される電解生成酸性水を散布すべき植物の葉の葉緑素値に基づいて選定し、または、散布すべき植物を同植物の葉の葉緑素値に基づいて選定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解生成酸性水を生育途中の植物の葉に散布して、同植物の生長を助成する植物の栽培方法であり、前記植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値との関係を予め見出し、散布を許容される電解生成酸性水を散布すべき植物の葉の葉緑素値に基づいて選定し、または、散布すべき植物を同植物の葉の葉緑素値に基づいて選定することを特徴とする植物の栽培方法。
【請求項2】
電解生成酸性水を生育途中の植物の葉に散布して、同植物の生長を助成する植物の栽培方法であり、前記植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値との関係を予め見出し、電解生成酸性水を散布する際に散布すべき植物の葉の葉緑素値を測定して、当該測定値に基づいて散布を許容される電解生成酸性水を選定し、選定された電解生成酸性水を当該植物の葉に散布することを特徴とする植物の栽培方法。
【請求項3】
電解生成酸性水を生育途中の植物の葉に散布して、同植物の生長を助成する植物の栽培方法であり、前記植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値との関係を予め見出し、電解生成酸性水の散布を予定している植物の葉の葉緑素値を測定して、当該測定値が予め選定されている電解生成酸性水が散布を許容される範囲から外れている場合には、当該植物に水または肥料含有水を散布し、または、水または肥料含有水を潅水して、当該測定値が前記電解生成酸性水が散布を許容される範囲内とした後に、前記電解生成酸性水を当該植物の葉に散布することを特徴とする植物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の栽培方法に関し、時に、電解生成酸性水を生育途中の植物の葉に散布して、同植物の生長を助成する植物の栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物を栽培する場合、生育途中の植物の葉に水を散布して、当該植物の生長を助成することが一般に行われている。また、近年、電解生成水の細菌類や病害虫等に対する殺菌能に着目して、当該電解生成水を生育途中の植物の葉に水を散布して、当該植物の生長を助成する栽培方法が行われている。当該栽培方法では、殺菌能を有する電解生成水を採用することが不可欠であることから、電解生成水として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カリシウム等の電解質を含有する希薄水溶液を被電解水とする、有隔膜電解にて生成される強酸性の電解生成酸性水が採用されるのが一般である。
【0003】
しかしながら、当該電解生成酸性水は酸性度が高いことから、当該電解生成酸性水が散布等により植物の葉に付着すると、葉が枯れたり変色したりする薬害が発生するおそれが大きい。本発明では、かかる薬害を酸焼けと称するが、植物の葉面に酸焼けが発生すると、葉を主として食する農作物にあっては品質を大きく損なうことになり、さらには、植物の全体の生育をも損なうおそれがある。このため、電解生成酸性水を散布する手段を採る栽培方法では、葉面の酸焼けの発生についてはこれを避けなければならない。このため、電解生成酸性水を散布する手段を採る栽培方法において、葉面の酸焼けの発生に対処する方法がすでに提案されており、例えば、発明の名称「殺菌性を有する農業用電解水及び製造装置」の下で特許出願され(特許文献1)、また、発明の名称「電解水交互散布栽培方法」の下で特許出願されている(特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2002−104908号公報
【特許文献2】特開2002−335764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した特許文献1にて提案されている農業用電解水は、好ましくは、pHが3.5〜8.5で、有効塩素濃度が1ppm〜200ppmである電解生成水であって、当該農業用電解水を使用することのより、生育途中の植物の葉面の酸焼けを防止しようとするものである。しかしながら、電解生成水においては、pHが4.5以上の弱酸性の電解生成水であっても、散布の対象とする植物の種類や生育状態によっては、葉面に頻繁に酸焼けが発生することが確認されており、当該農業用電解水が、植物の葉面の酸焼けに対処するのに十分な電解生成水とはいえないという問題がある。
【0005】
その上、当該農業用電解水を製造するには、煩雑な製造方法および複雑な製造装置を採ることことを必要としている。当該農業用電解水の製造では、具体的には、無隔膜電解と有隔膜電解とを併せて採用していて、塩化ナトリウムや塩化カリウム等の電解質を含有する希薄水溶液を無隔膜電解槽にて電解し、有隔膜電解では、無隔膜電解にて生成された電解生成水を被電解水として陽極側電解室に導入するとともに、電解質を含有する希薄水溶液を被電解水として陰極側電解室に導入してそれぞれ電解して、次亜塩素酸を含有する電解生成水(当該農業用電解水)を生成している。このような製造方法は、1台の無隔膜電解槽または有隔膜電解槽を採用する製造方法に比較して煩雑で、しかもコストの高い製造装置を使用することになって、製造される農業用電解水の製造コストが格段に高くなるという問題がある。
【0006】
一方、上記した特許文献2にて提案されている栽培方法は、植物の葉に対して、電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水とを交互に散布する方法である。当該栽培方法では、塩化カリウムや塩化マグネシウム等の電解質を含有する希薄水溶液を被電解水とする有隔膜電解にて生成される強酸性の電解生成酸性水と強アルカリ性の電解生成アルカリ性水を、植物の葉に交互に散布することにより、一方の電解生成水の散布に伴う散布障害を他方の電解生成水を散布することにより回避しようとするものである。
【0007】
当該栽培方法では、強酸性の電解生成酸性水の散布に伴う散布障害である葉面の酸焼けの発生を回避するには、強酸性の電解生成酸性水の散布後、時間を置くことなく、強アルカリ性の電解生成アルカリ性水を速やかに、かつ、電解生成酸性水が付着する全ての葉面に万遍なく散布する必要がある。しかしながら、強酸性の電解生成酸性水を植物に散布した後、散布すべき電解生成水を、強酸性の電解生成酸性水から強アルカリ性の電解生成アルカリ性水に速やかに切替えるには、然るべき切替え装置を使用しないかぎり容易ではなく、また、散布すべき電解生成生成水を、強アルカリ性の電解生成アルカリ性水に速やかに切替えたとしても、当該電解生成アルカリ性水を、強酸性の電解生成酸性水が付着している全ての葉面に万遍なく散布することは不可能に近い。
【0008】
従って、当該栽培方法を採用して、強酸性の電解生成酸性水の散布に伴う散布障害である葉面の酸焼けの発生を回避するには、電解生成水の切替え用の特殊な切替え装置を必要とするという問題があり、さらには、強酸性の電解生成酸性水の付着に起因する葉面の酸焼けの発生に対して十分には対処し得ないという問題がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、上記した特許文献1,2にて提案されている、強酸性の電解生成酸性水の散布に伴う散布障害である葉面の酸焼けの発生を回避する手段で生じる、上記した各問題を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電解生成酸性水を生育途中の植物の葉に散布して、同植物の生長を助成する植物の栽培方法に関する。本発明に係る植物の栽培方法では、前記植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値との関係を予め定め、散布を許容される電解生成酸性水を散布すべき葉の葉緑素値に基づいて選定し、または、散布を許容される植物を葉の葉緑素値に基づいて選定することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る栽培方法においては、前記植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉面の葉緑素値との関係を予め定め、電解生成酸性水を散布する際に散布すべき植物の葉の葉緑素値を測定して、当該測定値に基づいて散布を許容される電解生成酸性水を選定し、選定された電解生成酸性水を当該植物の葉に散布するようにすることができる。
【0012】
また、本発明に係る栽培方法においては、前記植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値との関係を予め定め、電解生成酸性水の散布を予定している植物の葉の葉緑素値を測定して、当該測定値が予め選定されている電解生成酸性水が散布を許容される範囲から外れている場合には、当該植物に水または肥料を含有する水を散布し、または潅水して、当該測定値が前記電解生成酸性水が散布を許容される範囲内とした後に、前記電解生成酸性水を当該植物の葉に散布するようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る植物の栽培方法によれば、散布を許容される電解生成酸性水を、散布すべき植物の葉の葉緑素値に基づいて的確に選定することができ、また、散布すべき植物を選定されている電解生成酸性水が散布を許容される範囲内のもとすることができる。このため、本発明に係る栽培方法を採用すれば、電解生成酸性水の散布に伴う散布障害である葉面の酸焼けの発生を確実に回避することができる。
【0014】
また、本発明に係る植物の栽培方法において、散布を許容される特性の電解生成酸性水は、有隔膜電解槽を有する1台の電解水生成装置による電解にて、電解条件を適宜変更することにより容易に生成されることから、本発明に係る植物の栽培方法を採用すれば、廉価な電解生成酸性水を採用することができるという大きな利点があり、また、葉面の酸焼けの発生を確実に回避し得る電解生成酸性水を的確に選定することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、電解生成酸性水を生育途中の植物の葉に散布して、同植物の生長を助成する植物の栽培方法である。本発明者は、当該栽培方法による生育途中の植物においては、散布される電解生成酸性水に起因する当該植物における葉の酸焼けの発生は、当該電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値とに密接に関係するとの知見を得て、本発明に到達したものである。
【0016】
すなわち、本発明に係る植物の栽培方法では、電解生成酸性水を生育途中の植物の葉に散布して、同植物の生長を助成する植物の栽培方法であり、前記植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値との関係を予め見出し、散布を許容される電解生成酸性水を散布すべき植物の葉の葉緑素値に基づいて選定し、または、散布を許容される植物を同植物の葉の葉緑素値に基づいて選定するものである。
【0017】
本発明者は、電解生成酸性水の散布に起因する生育途中の植物の葉に発生する酸焼けの要因について鋭意研究した結果、酸焼けの要因として大きく関わるものと推測される、電解生成酸性水の特性である有効塩素濃度については、有効塩素濃度間における相関係数は(+)になったり(−)になったりすること、および、pH間におけり相関係数は一律(−)であって、有効塩素濃度が大きくなるにつれてその傾向が顕著であるとの知見を得た。これらの現象は、植物の葉の酸焼けに対する要因が電解生成酸性水の有効塩素濃度よりpHの方が大きいことを意味している。
【0018】
本発明者は、かかる知見に基づき、電解生成酸性水を散布すべき植物の葉の葉緑素値(SPAD値)と酸焼けの相関について検討した結果、植物における葉の酸焼けの要因にあっては、当該植物の葉の緑素値が大きく影響しているとの知見を得た。また、電解生成酸性水のpH間における相関係数は(−)であることから、葉の葉緑素値が大きいほど酸焼けし難いとの知見を得た。
【0019】
図1〜図4に示すグラフは、本発明に係る栽培方法の一実施例にて得られた結果に基づいて、各pHの電解生成酸性水における葉の葉緑素値と葉面の酸焼け率(%)との関係を示すグラフであって、これらのグラフから解るように、葉面の酸焼けの発生を防止し得る電解生成酸性水の特性(pH)、換言すれば、葉に散布することを許容される電解生成酸性水の特性(pH)は、葉の葉緑素値(SPAD値)により判定することができる。また、散布すべき決定されている電解生成酸性水が葉面の酸焼けの発生を防止し得る植物については、葉の葉緑素値(SPAD値)により判断することができる。
【0020】
従って、これらの知見に基づき、本発明である、散布すべき植物の葉の酸焼けと電解生成酸性水の特性と同植物における葉の葉緑素値との関係を予め見出し、散布を許容される電解生成酸性水を散布すべき植物の葉の葉緑素値に基づいて選定し、または、散布を許容される植物を同植物の葉の葉緑素値に基づいて選定するという発明に想到することができる。当該発明は、具体的には、下記に示す構成からなるものである。
【0021】
すなわち、電解生成酸性水を散布する際に散布すべき植物の葉の葉緑素値を測定して、当該測定値に基づいて散布を許容される電解生成酸性水を選定し、選定された電解生成酸性水を当該植物の葉に散布することを特徴とする植物の栽培方法、および、電解生成酸性水の散布を予定している植物の葉の葉緑素値を測定して、当該測定値が予め選定されている電解生成酸性水が散布を許容される範囲から外れている場合には、当該植物に水または肥料含有水を散布し、または潅水して、当該測定値が前記電解生成酸性水の散布が許容される範囲内とした後に、前記電解生成酸性水を当該植物の葉に散布することを特徴とする植物の栽培方法を成立させることできる。
【0022】
本発明に係る植物の栽培方法によれば、散布を許容される電解生成酸性水を、散布すべき植物の葉の葉緑素値に基づいて的確に選定することができ、また、散布すべき植物を、予め選定されている電解生成酸性水の散布の許容範囲のもとすることができる。このため、本発明に係る栽培方法を採用すれば、電解生成酸性水の散布に伴う散布障害である葉面の酸焼けの発生を確実に回避することができる。
【0023】
ところで、本発明に係る植物の栽培方法において、散布を許容される特性の電解生成酸性水は、有隔膜電解槽を有する1台の電解水生成装置による電解にて、電解条件を適宜変更することのよって容易に生成されるもので、本発明に係る植物の栽培方法を採用すれば、廉価な電解生成酸性水を採用することができるという大きな利点があり、また、葉面の酸焼けの発生を確実に回避し得る電解生成酸性水を的確に選定することができるという利点がある。
【実施例】
【0024】
(実験1):本実験では、生育途中の大葉の葉に各種の供試水(水道水,電解生成酸性水)を散布して、大葉の生長を助成する栽培を行い、大葉の葉面に対する各供試水のpHおよび有効塩素濃度の影響(酸焼け)を確認する試験を行った。本実験で散布に供する電解生成酸性水として、塩化カリウムを含有する希薄水溶液を被電解水とする有隔膜電解にて、電解条件を変更して生成した20種類の電解生成酸性水を採用した。各電解生成酸性水の特性については、下記の表1に示す。
【0025】
【表1】


【0026】
本実験では、栽培する実験区を、散布に供する各電解生成酸性水(供試水1〜18)に対応して18区画と、水道水を散布する1区画と、無散布の1区画の合計20区画とし、各実験区に同一条件で大葉を栽培し、生育途中の大葉の葉に週1回の割合で、各電解生成酸性水の同一量を同一の条件で均等に散布し、葉面に酸焼けが見付かった時点(3回目の散布後1週間目)で栽培を終了し、各実験区で栽培している大葉の葉を、上から1節目(生長点の次ぎの葉)、2節目、3節目毎に採取した。採取した大葉の葉については、各区画毎および各節目毎に、酸焼けの発生率(%)を算出し、かつ、葉の葉緑素値(SPAD)を色差計による色差法に基づき測定した。得られた結果を、下記の表2に示す。なお、葉の葉緑素は、葉の窒素成分(硝酸態、アンモニア態)と比例関係にある。このため、本実施例では、葉の窒素成分量を測定して、得られた窒素成分量に基づいて、葉緑素値(SPAD)を算出する方法を採ることもできる。
【0027】
【表2】


【0028】
表2に示す結果からは、大葉の葉面の酸焼けと、散布した各電解生成酸性水の特性である有効塩素濃度およびpH、大葉の葉の葉緑素値(SPAD)それぞれの相関を解析することができる。これらの相関を下記の表3〜5にそれぞれ示す。但し、表3は有効塩素濃度と酸焼けの相関(ピアソンの相関係数の検定,危険率5%)、表4はpHと酸焼けの相関(ピアソンの相関係数の検定,危険率5%)、表5は葉緑素値(SPAD)と酸焼けの相関(ピアソンの相関係数の検定,危険率5%)をそれぞれ示している。
【0029】
但し、各表3〜5における|t値|については、|t値|>t(0.975)の場合、相関は危険率5%で有意であると判定する。また、P値については、P値が0.01以下では危険率1%で相関は有意であると判定し、かつ、0.05以下では危険率5%で相関は有意であると判定する。また、表4における「有効塩素」の欄は、有効塩素濃度(ppm)を示す。相関の目安は、下記の表6に示している。
【0030】
【表3】


【0031】
【表4】


【0032】
【表5】


【0033】
【表6】


【0034】
(考察):相関を示す各表3〜5を参照すると、酸焼けの要因について、有効塩素濃度(ppm)とpHを比較した場合、有効塩素濃度では、相関係数が(+)になったり(−)になったりしているのに対して、pHでは、相関係数が一律(−)であって、有効塩素濃度が大きくなるほどその傾向が顕著となっている。このため、酸焼けの要因は、有効塩素濃度に比較してpHの方が大きいものと判断される。また、葉の葉緑素値(SPAD)は酸焼けの要因としては大きく、葉の葉緑素値(SPAD)では、相関係数が一律(−)であって、pHが大きくなるほどその傾向が顕著となっている。また、相関が一律(−)であることから、葉の葉緑素値(SPAD)が大きいほど酸焼けし難いものと判断される。このため、表2に示す結果に基づいて、各pH値における葉緑素値(SPAD)と酸焼け率(%)の関係をグラフにしたものを図1〜4に示す。
【0035】
図1〜4を参照すると、大葉の葉に酸焼けが発生しない葉緑素値(SPAD)の限界値は、pH2.6では葉緑素値(SPAD)33.8、pH2.8では葉緑素値(SPAD)33.4、pH3.0では葉緑素値(SPAD)33.4、pH4.5では葉緑素値(SPAD28.9であることが確認できる。かかる結果は、pH2.6の電解生成酸性水が散布を許容される大葉は、葉緑素値(SPAD)が33.4以上のものであること、pH2.8の電解生成酸性水が散布を許容される大葉は、葉緑素値(SPAD)が33.8以上のものであること、pH3.0の電解生成酸性水が散布を許容される大葉は、葉緑素値(SPAD)が30.1以上のものであること、pH4.5の電解生成酸性水が散布を許容される大葉は、葉緑素値(SPAD)が28.9以上のものであることが確認される。
【0036】
従って、大葉の栽培において、生育途中の大葉の葉に散布すべき電解生成酸性水としては、大葉の商品価値の高い葉を採取してその葉緑素値(SPAD)を測定し、測定された葉緑素値(SPAD)に対応する散布を許容されるpHの電解生成酸性水を選定する。これにより、大葉の栽培において、生育途中の大葉の葉に散布する電解生成酸性水に起因する酸焼けの発生を回避することができる。
【0037】
また、上記した各解析結果を応用して、大葉の栽培において、電解生成酸性水の散布を予定している大葉の葉の葉緑素値を測定して、当該測定値が予め選択されている電解生成酸性水の散布を許容される範囲から外れている場合には、当該大葉に水または肥料含有水を散布し、または、水または肥料含有水を潅水して、当該測定値が前記電解生成酸性水が散布を許容される範囲内とした後に、当該電解生成酸性水を当該植物の葉に散布する方法を採用することができる。
【0038】
(実験2):本実験では、大葉の栽培において、電解生成酸性水を散布するに際して、散布すべき大葉の葉の葉緑素値(SPAD)を高める手段を施した。葉の葉緑素値(SPAD)を高める手段としては、生育途中の大葉に対して水道水を潅水する方法(第1の方法)、生育途中の大葉に対して液体肥料を潅水する方法(第2の方法)、および、液体肥料を葉面に散布する方法(第3の方法)の3通りの方法を採用した。
【0039】
本実験では、上記した大葉の栽培を4区画で行い、生育途中の大葉の葉に電解生成酸性水を散布する2時間前に、上記した各方法を施し、その後に生育途中の大葉の葉に電解生成生成酸性水を散布する方法を採った。第1の方法を採った場合には、葉緑素値(SPAD)は約10%増加し、第2の方法を採った場合には、葉緑素値(SPAD)は約10%増加し、第3の方法を採った場合には、葉緑素値(SPAD)は約50%増加しているのを確認した。これらの栽培方法によって栽培された大葉の葉面での酸焼けの発生率(%)を算出した。得られた結果を、下記の表7に示す。
【0040】
【表7】


【0041】
(考察):表7を参照すると、大葉の葉に電解生成酸性水を散布するに先だって、大葉に水または液体肥料を潅水することにより、また、液体肥料を葉に散布することにより、大葉の葉の葉緑素値(SPAD)を高めて、大葉の葉の葉緑素値(SPAD)を、予め設定されている特性の電解生成酸性水が散布を許容される葉緑素値(SPAD)の範囲内にし、または、散布を許容される葉緑素値(SPAD)の範囲に近づけることができる。このため、大葉の葉に電解生成酸性水を散布するに先だって、大葉の葉の葉緑素値(SPAD)を的確に高めれば、電解生成酸性水の散布に起因する葉面の酸焼けの発生を回避することができる。
【0042】
なお、本実験では、大葉に水道水と液体肥料を潅水した場合では、大葉の葉の葉緑素値(SPAD)の増加率はほぼ同等で、葉面の酸焼け防止効果も同等の結果を得ているが、このような現象は、大葉の当該液体肥料に対する吸収性の遅延に起因しているものと推測される。従って、電解生成酸性水を大葉に散布する何日か前に液体肥料を潅水しておけば、葉の葉緑素値(SPAD)の増加率を高めて、葉面の酸焼け防止効果を一層確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】pH2.6の電解生成酸性水における葉緑素値(SPAD)と酸焼け率(%)の関係をグラフである。
【図2】pH2.8の電解生成酸性水における葉緑素値(SPAD)と酸焼け率(%)の関係をグラフである。
【図3】pH3.0の電解生成酸性水における葉緑素値(SPAD)と酸焼け率(%)の関係をグラフである。
【図4】pH4.5の電解生成酸性水における葉緑素値(SPAD)と酸焼け率(%)の関係をグラフである。
【出願人】 【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
【住所又は居所】愛知県豊明市栄町南館3番の16
【出願日】 平成17年4月28日(2005.4.28)
【代理人】 【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一

【識別番号】100076842
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 幹夫

【公開番号】 特開2006−304678(P2006−304678A)
【公開日】 平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願番号】 特願2005−130815(P2005−130815)