| 【発明の名称】 |
壁面緑化システム |
| 【発明者】 |
【氏名】古澤 浩一 【住所又は居所】東京都千代田区内神田1−4−23 コジマビル3F株式会社ドコー内
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| 【要約】 |
【課題】恒久的な建築物に当たる家屋の壁面等を対象として、これら建築物の直立した壁面を緑化するに際し、ごく簡便な機構を用いて灌水用の水を均等に分配し、それに基づき直立面内に均等な灌水を行うことを可能とし、緑化植物の着実な育成と繁殖に帰結させ得るようにした壁面緑化システムを提供することを課題とする。
【解決手段】水平レベルを維持した複数の保水樋に、上下方向に延びる複数の給水管、及び長さを保水樋の長さより短くかつ給水限界距離以内に規制した給水分配手段から給水を分配し、同保水樋から毛細管現象を利用した灌水手段によりプランタに灌水することにより、コンパクト化された構成の下で均一に分散した灌水を可能とする緑化システムを得た。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 家屋等建築物の直立した壁に対して上下方向で並列に取付けられ水平レベルを維持して横方向に延びる複数の保水樋、前記壁に横方向で互いに所定間隔離して取付けられ上下方向に延びる複数の給水管、上記保水樋のそれぞれに対応して設けられ上記給水管から分岐して同保水樋のそれぞれに給水を分配する複数の給水分配手段、上記給水管の上流に設けられ同給水管に給水を供給する給水供給手段、上記保水樋のそれぞれに対応し上記壁の表面に対して着脱可能に設けられた緑化植物の植生に供する複数のプランタ、及び各プランタと保水樋を連通し毛細管現象により保水樋からプランタに灌水する灌水手段を有し、上記給水分配手段は、それぞれが対応する保水樋の横方向の長さより短く、かつ上記給水管を介して互いに連通するものの長さの総和が同給水分配手段を延長した場合の給水限界距離以内となる短管状部材で構成したことを特徴とする壁面緑化システム。 【請求項2】 上記給水管は、上記壁の上部で水平に延びて配置した上部ヘッダ管と、同上部ヘッダ管に連通する上昇給水管と、同上部ヘッダ管から下方に延びて下端を閉塞し上記壁の横方向で互いに所定間隔離して配置された複数の下降給水管で構成され、同下降給水管に設けた給水分配手段を介して上記保水樋に連通したことを特徴とする請求項1に記載の壁面緑化システム。 【請求項3】 上記給水管は、上記壁の下部で水平に延びて配置した下部ヘッダ管と、同下部ヘッダ管から上方に延びて上端を閉塞し上記壁の横方向で互いに所定間隔離して配置された複数の上昇供給管で構成され、同上昇供給管に設けた給水分配手段を介して上記保水樋に連通したことを特徴とする請求項1に記載の壁面緑化システム。 【請求項4】 上記保水樋は、表面側を上記壁の表面と同一面にして同壁に取付けられ、各保水樋に対応して上記プランタを同壁の外面又は内面に配設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の壁面緑化システム。 【請求項5】 上記プランタは、ポケット型プランタ、又は長尺型プランタ等種々の形態を選択し得ることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の壁面緑化システム。 【請求項6】 上記直立した壁は、その下端部に横方向に延びる集水樋を配設し、上記壁、プランタ、又は保水樋等の余剰水を集水可能にしたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の壁面緑化システム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、恒久的な建築物に当たる家屋の壁面、又は石材、コンクリートブロック、金属材料等で構築された塀の壁面を対象として、これら建築物の直立した壁面を緑化する壁面緑化システムに関するものである。 【背景技術】 【0002】 既に周知の事項となっているように、昨今の市民生活は科学技術の目ざましい発達に支えられて著しく向上し、生活環境のみならず産業環境も豊かになってきているが、反面その代償と言わんばかりに、温暖化現象やヒートアイランド現象等を含めて公害問題や環境汚染問題も顕著となり、これらの諸問題は地域的に見ても首都圏、特定の工業地帯というように特定の地域、地区に止まらず広域に亘り、今や全地球規模の弊害として市民生活を脅かすようになって来た。 【0003】 従って上記した様な科学技術の発達に支持された豊かな市民生活は、環境調和問題と共存することが強く求められるようになって来ており、単に行政からの指導のみならず、市民コミュニティでの問題としても取り上げられるなど強く認識されるようになり、特に温暖化現象やヒートアイランド現象に係る市民生活に直結する住環境問題に関しては身近かな環境調和問題として捉え、都市部、地方部を問わず住環境の緑化計画が導入されるようになって来ている。 【0004】 この種緑化計画の一環として、家屋の屋上をはじめとして同家屋の壁面、そして家屋に付随する塀の表面等々の緑化技術は、始原的にはヨーロッパ、特にドイツに端を発し、全世界的に広まりつつあり、わが国においては近時行政指導を含めて緑化基準が強化されたこともあって、当該緑化技術が加速的に普及する趨勢にある。 【0005】 このような緑化技術のわが国における発展の過程を振り返ってみると、この種の緑化技術は椰子繊維質等の薄層のマットに適宜の緑化植物を植生してこれを屋上に敷設するもの等に端を発している。 【0006】 しかし前記のように薄層のマットに植生を施していわゆる植生マットを形成し、これを単に敷設するという構成では、風の影響による植生マットの捲れや飛散をはじめとして、同植生マットの移動によりこのマット中に在る床土等の土壌が流出するとか、また、薄層であるために水分の蒸発が激しく、植生が枯れてしまうとか、同植生自体の成長が進んで緑化植物が過剰に繁殖し、薄層での支持がダメージを受ける等々の問題が顕在化し、このような不具合の発生を防止して緑化植物の安定的な成長を促すことの出来る、より適切な植生マットの開発に試行錯誤が重ねられている。 【0007】 しかも上記植生マットの敷設面は、平坦な屋上を始点とし、傾斜面となる屋根表面、更に立設された壁、塀等の表面という様に、水平面に対する角度ゼロから90度の範囲に亘り、重力の影響を受ける傾斜面への採用を可能にして対象区域を広げると共に、この植生マット表面にプランタ等を組み入れて緑化植物の植生を行う形態まで応用範囲を拡張し、更に緑化対象建築物の範囲及び緑化植物の種類を含めて多様化する傾向にある。 【特許文献1】特開平6−253684号公報(図1:壁面15に対する植生パレット2の設置、及び灌水パイプ11による水槽5から土壌3への灌水。) 【特許文献2】特開平8−228616号公報(図7、図8、図11のプランター22の配列、及び不織布25を含むハンガー兼給水パイプ24による灌水タンク10からプランター22への灌水。) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 上記のように住環境の緑化計画の一環としての家屋の屋上、壁面等の緑化技術は、試行錯誤を重ねつつ着実に進歩し成長しており、植生される緑化植物も乾燥に耐え得る品種の改良もなされているものの、同緑化植物が植生位置に確実に根付き、かつ着実に繁殖するためには適切な灌水は不可欠なテーマである。 【0009】 しかも、水の流れが止まる家屋の屋上のような平面、または水の流れが緩やかとなる傾斜屋根のような比較的なだらかな傾斜面はともかく、水の流れが重力の影響を全面的に受けることになる家屋の壁、又は家屋に併設される塀等の様な直立した壁面では、その垂直面内に均等に灌水を行うことは高度の技術と熟練を要することとなる。 【0010】 ましてこの種の緑化システムでは、居住区間としての密度が高ければ高い程省スペース化の要求等から小型化された簡便な構成が好ましく、かつ、望まれることとなり、これらの配慮が十分になされた上直立壁面に対して水を均一に分散し、均一の灌水に至る工夫については、その発想を含めて上記特許文献1、2を始めその他の文献にも見当たらない。 【0011】 本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、家屋等の建築物の直立する壁面に対して、ごく簡便な機構を用いて灌水用の水を均等に分配することを基本とし、同均等な分配に基づき上記直立面内に均等な灌水を行うことを可能とし、緑化植物の着実な育成と繁殖に帰結させ得るようにした壁面緑化システムを提供することを課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明は上記した課題を解決すべくなされたもので、請求項1〜6に記載の各発明に対応させて以下に第1〜第6の手段に区分して説明すると、 本発明はその第1の手段として、 家屋等建築物の直立した壁に対して上下方向で並列に取付けられ水平レベルを維持して横方向に延びる複数の保水樋、前記壁に横方向で互いに所定間隔離して取付けられ上下方向に延びる複数の給水管、上記保水樋のそれぞれに対応して設けられ上記給水管から分岐して同保水樋のそれぞれに給水を分配する複数の給水分配手段、上記給水管の上流に設けられ同給水管に給水を供給する給水供給手段、上記保水樋のそれぞれに対応し上記壁の表面に対して着脱可能に設けられた緑化植物の植生に供する複数のプランタ、及び各プランタと保水樋を連通し毛細管現象により保水樋からプランタに灌水する灌水手段を有し、上記給水分配手段は、それぞれが対応する保水樋の横方向の長さより短く、かつ上記給水管を介して互いに連通するものの長さの総和が同給水分配手段を延長した場合の給水限界距離以内となる短管状部材で構成したことを特徴とする壁面緑化システム、を提供するものである。 【0013】 また、本発明は第2の手段として、 上記第1の手段において、上記壁の上部で水平に延びて配置した上部ヘッダ管と、同上部ヘッダ管に連通する上昇給水管と、同上部ヘッダ管から下方に延びて下端を閉塞し上記壁の横方向で互いに所定間隔離して配置された複数の下降給水管で構成され、同下降給水管に設けた給水分配手段を介して上記保水樋に連通したことを特徴とする壁面緑化システム、を提供するものである。 【0014】 また本発明は第3の手段として、 上記第1の手段において、上記給水管は、上記壁の下部で水平に延びて配置した下部ヘッダ管と、同下部ヘッダ管から上方に延びて上端を閉塞し上記壁の横方向で互いに所定間隔離して配置された複数の上昇供給管で構成され、同上昇供給管に設けた給水分配手段を介して上記保水樋に連通したことを特徴とする壁面緑化システム、を提供するものである。 【0015】 また本発明は第4の手段として、 上記第1乃至第3の手段の何れかにおいて、上記保水樋は、表面側を上記壁の表面と同一面にして同壁に取付けられ、各保水樋に対応して上記プランタを同壁の外面又は内面に配設したことを特徴とする壁面緑化システム、を提供するものである。 【0016】 また本発明は第5の手段として、 上記第1乃至第4の手段の何れかにおいて、上記プランタは、ポケット型プランタ、又は長尺型プランタ等種々の形態を選択し得ることを特徴とする壁面緑化システム、を提供するものである。 【0017】 そしてまた本発明は第6の手段として、 上記第1乃至第5の手段の何れかにおいて、上記直立した壁は、その下端部に横方向に延びる集水樋を配設し、上記壁、プランタ、又は保水樋等の余剰水を集水可能にしたことを特徴とする壁面緑化システム、を提供するものである。 【発明の効果】 【0018】 すなわち、本出願の請求項1に記載の発明によれば、家屋等建築物の直立した壁に対して上下方向で並列に取付けられ水平レベルを維持して横方向に延びる複数の保水樋、前記壁に横方向で互いに所定間隔離して取付けられ上下方向に延びる複数の給水管、上記保水樋のそれぞれに対応して設けられ上記給水管から分岐して同保水樋のそれぞれに給水を分配する複数の給水分配手段、上記給水管の上流に設けられ同給水管に給水を供給する給水供給手段、上記保水樋のそれぞれに対応し上記壁の表面に対して着脱可能に設けられた緑化植物の植生に供する複数のプランタ、及び各プランタと保水樋を連通し毛細管現象により保水樋からプランタに灌水する灌水手段を有し、上記給水分配手段は、それぞれが対応する保水樋の横方向の長さより短く、かつ上記給水管を介して互いに連通するものの長さの総和が同給水分配手段を延長した場合の給水限界距離以内となる短管状部材で構成して壁面緑化システムを構成しているので、プランタに灌水される水は、上流の給水供給手段を発して給水管に至り、同給水管に設けたドリップチューブ又はリーキパイプ等の様な短管状部材で形成した給水分配手段により分配されて一旦保水樋に貯えられ、次いで同保水樋から毛細管現象を利用した灌水手段によりプランタに対して灌水されることとなる。 【0019】 ここで注目すべき点の一つは、上記保水樋が水平レベルを維持していることであり、このため同保水樋に供給された給水は壁の横方向(幅方向)に亘って安定して保持され、灌水手段の毛細管現象によりプランタに向けて規制された分量の灌水がなされることであるが、更に、特に注目しなければならない事項は、上記灌水手段で灌水が行われる前提として上記保水樋に供給される給水が簡便な構成の給水分配手段を経て給水管から保水樋に的確に分散、分配される点である。 【0020】 すなわち、この給水分配手段は、それぞれが対応する保水樋の横方向の長さより短く、しかも上記給水管を介して互いに連通するものの長さの総和が同給水分配手段を延長した場合の給水限界距離以内となる短管状部材で構成されているので、給水管から枝管状に分岐する個々の給水分配手段自体の長さは基本的に短尺なものであり、かつ、同給水分配手段の総延長距離についても、供給管単位で区画される単位ループに組み入れられる複数の給水分配手段の合計長さが規制されることとなる給水限界距離と比べて小さいものであり、このようなコンパクトな構成で上記供給管から保水樋に至る給水を的確に分散、分配し、この適切な分散、分配の結果が上記灌水手段へ反映されて狙いとする好適な灌水が完遂され得ることとなる。 【0021】 また、本出願の請求項2に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明において、上記給水管は、上記壁の上部で水平に延びて配置した上部ヘッダ管と、同上部ヘッダ管に連通する上昇給水管と、同上部ヘッダ管から下方に延びて下端を閉塞し上記壁の横方向で互いに所定間隔離して配置された複数の下降給水管で構成され、同下降給水管に設けた給水分配手段を介して上記保水樋に連通して壁面緑化システムを構成しているので、前記請求項1に記載の発明のようにプランタに灌水すべく上流の給水供給手段から送り出されて保水樋に貯えられる給水は、上昇給水管を経て上部ヘッダ管に至り、同上部ヘッダ管から複数の下降給水管に分かれて下降して各下降給水管に設けた給水分配手段を介して上記保水樋に給水されることとなる。 【0022】 すなわち、上記壁の上部で水平に延びて配置した上部ヘッダ管を経て壁面に分布して配置された複数の下降給水管に供給されることにより、簡便な構成にも係わらず壁面内における給水の分散、分配はより一層均一化が図られ、保水樋、灌水手段に至る過程が整備され、上記灌水手段の好適な機能へと反映され、狙いとする好適な灌水が完遂され得ることとなる。 【0023】 また、本出願の請求項3に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明において、上記給水管は、上記壁の下部で水平に延びて配置した下部ヘッダ管と、同下部ヘッダ管から上方に延びて上端を閉塞し上記壁の横方向で互いに所定間隔離して配置された複数の上昇供給管で構成され、同上昇供給管に設けた給水分配手段を介して上記保水樋に連通して壁面緑化システムを構成しているので、前記請求項1に記載の発明のようにプランタに灌水すべく上流の給水供給手段から送り出されて保水樋に貯えられる給水は、上記壁の下部で水平に延びて配置した下部ヘッダ管を経て壁の横方向に分布され、複数の上昇供給管それぞれに設けた給水分配手段を介して上記保水樋に給水されることとなる。 【0024】 すなわち、上記壁の横方向における給水の分散、分配については、水平に延びる下部ヘッダ管と、同下部ヘッダ管から上昇する複数の上昇供給管との関連構成により均一化を図り、この給水の分散、分配に要する圧力を上流に設けた給水供給手段に依存するという極めて簡便でシンプルな構成となり、同給水供給手段として例えば一般の水道管への連結も可能とし、全体として簡便な構成で灌水手段の好適な機能へ結び付け、最終的な狙いとする好適な灌水が完遂され得ることとなる。 【0025】 また、本出願の請求項4に記載の発明によれば、前記請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、上記保水樋は、表面側を上記壁の表面と同一面にして同壁に取付けられ、各保水樋に対応して上記プランタを同壁の外面又は内面に配設して壁面緑化システムを構成しているので、前記請求項1乃至3の発明に加え、上記壁面に対する保水樋の配置、配列及び同保水樋と機能的に密接不可分の関係となりがちなプランタの配置、配列を同壁面との関係で選択可能とすることにより、外観に変化を持たせることが出来るようにし、壁面緑化システムの設計の自由度を増し、かつ、応用、活用範囲を拡張することができる。 【0026】 また、本出願の請求項5に記載の発明によれば、前記請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、上記プランタは、ポケット型プランタ、又は長尺型プランタ等種々の形態を選択し得るようにして壁面緑化システムを構成しているので、前記請求項1乃至4の発明に加え、プランタの形態をポケット型プランタ、又は長尺型プランタという様に種々の形態を選択することにより、プランタに植生し育成する緑化植物の種類の選択範囲を拡張し、これにより壁面緑化システムの外観に変化を持たせ、同壁面緑化システムの応用、活用範囲を拡張することができる。 【0027】 そしてまた、本出願の請求項6に記載の発明によれば、前記請求項1乃至5の何れかに記載の発明において、上記直立した壁は、その下端部に横方向に延びる集水樋を配設し、上記壁、プランタ、又は保水樋等の余剰水を集水可能にして壁面緑化システムを構成しているので、前記請求項1乃至5の発明に加え、灌水の結果として壁面又はプランタを経由して滴下する余剰水、又は保水樋の位置で生じる余剰水等を集水樋に集め、壁面の周辺に不要な水分の漏洩、滴下を防止して周辺環境の美化を維持することが出来る。 【発明を実施するための最良の形態】 【0028】 本発明の実施の第1形態について図1乃至図4に基づいて説明する。 図1は本実施の形態に係る壁面緑化システムの全貌を概略的に示す部分破断正面図、図2(a)、(b)、(c)はそれぞれ図1のA部、B部、C部を拡大して示す要部拡大図、図3は図1のD−D断面詳細図、図4は図3に対応する部位の応用変形例を示す断面詳細図である。 【0029】 本実施の形態において、1は家屋の直立した壁面を示し、木造、鉄筋を内蔵したRC構造、鋼材を内蔵したSRC構造、又はI型鋼材を内蔵したS構造等種々の材料から選択された材料で作られた恒久的な壁面であり、ここではRC構造とした新築家屋の壁面を想定している。 【0030】 2は保水樋で、同保水樋2は上記壁面1の横方向(幅方向)に延び、水平レベルを維持して同壁面1に取付けられている。 この保水樋2はプラスチック、陶磁器、又は金属材等で箱型に構成されており、長手方向に延びる一方の側面を上記壁面1と実質的に同一面となるようにして壁の内部に組み込まれ、アンカーボルト、コンクリートビス等の適宜の固着具2aにより壁面1に一体的に固定されている。 【0031】 また、保水樋2は好ましくは幅方向に約90cm、又は180cmの長さを有し、上記したように水平レベルを維持して壁面1の横方向に延ばして配置されるが、同一の長さの複数の保水樋2が同壁面1の上下方向に段々状に並列に並べられている。 そして複数の保水樋2を上下方向に並列配置した領域を一つの単位壁面とすれば、この単位壁面が横方向に多数並べられて保水樋2を全面に亘って分布し配置した壁面1が構成されることになる。 【0032】 3は給水用の上昇給水管で、同上昇給水管3は上記壁面1の側端に上下方向に延びて配置され、同壁面の上端位置で複数の単位壁面にまたがって横方向に延びる上部ヘッダ管4に連通している。 なお上記上昇給水管3は、壁面1の側端に1本配置した例を示したが、これに限定されるものでないことは言うまでもなく、同上昇給水管3を中央寄りの位置に設けること、また、1本だけでなく複数本設けることも可能である。 【0033】 5は下降給水管で、同下降給水管5は上記保水樋2が横方向に延びて区画される位置、換言すれば上記単位壁面の区切り位置に応じて上部ヘッダ管4に連絡し、同上部ヘッダ管4から下方に延びて設けられ、かつ、その下端位置で閉塞されている。 【0034】 本実施の形態においてはこの様に通常は1本の上昇給水管3と複数本の下降給水管5が上部ヘッダ管4を介して連通するが、本明細書中においては、これら上昇給水管3と上部ヘッダ管4、そして下降給水管5を併せて給水管と総称する場合がある。 【0035】 6はドリップチューブで、同ドリップチューブ6は上記下降給水管5に一端を連結し、同下降給水管5が隣接する保水樋2のそれぞれに対してその上部空間内で長手方向に並行して張り出して設けられ、先端を閉塞しかつ同保水樋2中に液滴下部6aを臨ませて配置されている。 【0036】 なおドリップチューブ6の呼称は、液が不透過の本体チューブの一部に液が滲み出て透過する部分(本明細書ではこの部分を「液滴下部6a」と言う)を例えば長手方向に30cm間隔毎に複数箇所設けることにより、この部分から滲み出た液が保水樋2中に滴下することからこの様に命名している。 【0037】 従ってドリップチューブ6は、その長さが長くなると上記液の滴下のために流れ方向に向かって流れの圧力が徐々に低下することとなり、上記のように通常は30cm間隔を目処に液滴下部6aを設けているので、一般の水道管圧では大体70m程進行すると圧力がゼロとなって流れが停止することとなるので、本明細書においてはこの例のように背圧が無くなり、流れの停滞が生じることとなる距離を「給水限界距離」と言う。 【0038】 そして本実施の形態においては、ドリップチューブ6の長さを約30cmとし、その長さ範囲に上記液滴下部6aを2箇所設けて先端を閉塞したものを採用しているので、長手方向に約90cm、又は180cmの長さとした保水樋2に比べて、ドリップチューブ6の1本の長さは約1/3〜1/6と短く、しかも互いに連通する関係にある上昇給水管3と上部ヘッダ管4、そして複数の下降給水管5で形成する経路を単位ループと呼称するとき、この単位ループ中に含まれ上記下降給水管から分岐する複数のドリップチューブ6の長さの総和は上記給水限界距離の目処となる70m以下となるように設定されている。 【0039】 また、ここではドリップチューブ6を例示したが、同ドリップチューブ6の代替品として市販されているものに、内蔵した液がチューブ状表面の全面に亘って滲みだす構造を有し、上記ドリップチューブ6に機能的に近似するリーキチューブがあるので、本明細書においてはこれらドリップチューブとリーキチューブ等を総称して「給水分配手段」と言う。 【0040】 7は集水管で、同集水管7は上記単位壁面の区切り位置で上下に延びて配置され、上記下降給水管5と同様に同集水管7に隣接配置された対応する各保水樋2にそれぞれ連通している。 すなわち、上記したように下降給水管5は保水樋2の一端側に配置されドリップチューブ6を介して保水樋2に給水経路を連通するが、集水管7は保水樋2の他端側に上記下降給水管5と対応して配置され、各保水樋2の底面から少し上方に設けた余剰水流出口7aを介して段々状の保水樋2のそれぞれと連通し、かつ、下端を壁面1の下端で横方向に延びて設置した集水樋8と連通している。 【0041】 9はポケットプランタで、同ポケットプランタ9は折り返した先端部9aを有し、同先端部9aを上記保水樋2の一方の側面に形成した取付部2bを介して保水樋2の内部に挿入し、同保水樋2に係止されることにより、相対的に壁面1に対して取付けられることになる。 【0042】 すなわち本実施の形態においてポケットプランタ9は保水樋2に係止したものを示しているが、同ポケットプランタ9の取付け相手は保水樋2に限定されるものではなく、適宜の取付け部材を用いて直接壁面1、又はその近傍に取付けても良く、要するに取付け手段の如何を問わず結果として相対的に壁面1に対して取付けられるものであれば良い。 【0043】 なお、ポケットプランタ9は保水樋2の取付部2bの配置位置に横方向に多数並べて配置され、また、要すればボルトやフック等の適宜の固定手段により保水樋2、又は壁面1に対して直接的に固着、固定されてもよく、このように配置されたポケットプランタ9には適宜の緑化植物10が植生されることになる。 【0044】 しかしながらポケットプランタ9は、壁面1又は保水樋2に対する取付け形態が如何様であっても保水樋2から灌水されることが必要であり、このためにポケットプランタ9は繊維質素材を不織布状に集合させた部位を有し、この部位の断面内に毛細管現象が生じて水分を吸い上げ、その水分を分散させる構造とし、ポケットプランタ9自体が同ポケットプランタ9内に灌水を行う灌水手段を兼ねることが好ましいが、上記した特許文献2で示すような毛細管現象を生じる補助部材を併設すること、そして同補助部材を併設することによりプラスチックや陶磁器製のプランタを用いること、そしてまたポケットプランタ9に代えて長尺型の樋状プランタを用いることも出来る。 【0045】 なお、ポケットプランタ9はここに必要な土壌等を収納し、緑化植物10を植生し育成することになるが、この植生、育成の過程で緑化植物に必要となる水分を、同緑化植物が吸収できるようにポケットプランタ9、又はこれと同等の容器に供給することを、本明細書においては「灌水」と表現し、この灌水のために直接寄与する部材を「灌水手段」と称している。 【0046】 11はポンプで、同ポンプ11は上記した上昇給水管3の上流側に配置され、併設されたバッテリ12、コントローラ13等により制御されて貯水槽14に収容した水分を上記上昇給水管3に供給する給水供給手段を構成している。 【0047】 なお、この貯水槽14は適宜の導管で上水に連通し、フロートバルブ15等の適宜の手段により貯水量を制御され、またオーバフローについては適宜の液面位置を下水に連通して全体の水位をコントロールする構成を有し、併せて上記集水樋8の下流側を同貯水槽14に連通することにより上記集水樋8に集まる保水樋2等からの余剰水を収容することが出来る。 【0048】 また、ここでは給水供給手段としてポンプ11で加圧されるものを例示しているが、同ポンプ11の採用に代えて上記上昇供給管3を水道管に直接接続し、水道圧を利用する手法を選ぶことも可能である。 【0049】 上記のように構成された本実施の形態によれば、貯水槽14に溜められた給水はポンプ11を含む給水供給手段により加圧され、壁面1の一端側に配置された上昇給水管3で案内されて上部ヘッダ管4に至り、上記上部ヘッダ管4から下降する複数の下降給水管5にそれぞれ分散される。 【0050】 次いで上記上部ヘッダ管4によるヘッド圧と、これに加えられる上記ポンプ11を含む給水供給手段による圧力を受け、上記給水は各下降給水管5から分岐する給水分配手段となるドリップチューブ6に充填され、同ドリップチューブ6の液滴下部6aから雫状に間歇的に滴下して水平に配置された保水樋2内に分配され、壁面1の全体に行き渡る。 【0051】 この時ドリップチューブ6は保水樋2の長手方向の長さに比べ1/3〜1/6と短く、しかも、上記したように単位ループ内での複数のドリップチューブ6の長さの総和は同ドリップチューブ6の給水限界距離以下としたコンパクトな構成となっているので、壁面1全体に亘って配置された保水樋2への給水の分配は、素早く、しかも均一に行われることとなる。 【0052】 そして上記したように保水樋2内にはポケットプランタ9の先端部9aが折り返して配置され、かつポケットプランタ9は細孔構造の繊維質素材で形成されているので、この細孔構造により毛細管現象が生じ、保水樋2に溜められた水分はポケットプランタ9に向けて灌水されることになる。 【0053】 すなわち、ポケットプランタ9の一部が灌水手段として機能し、ドリップチューブ6により保水樋2内に分配された給水がポケットプランタ9内に灌水として分散され、緑化植物10の植生、育成に寄与することになる。 【0054】 なお保水樋2内に分配されて溜められる水分は、灌水手段によりポケットプランタ9に灌水される水量より多くなり水位が上昇すると、所定位置に開口する余剰水流出口7aから集水管7、及び壁面1の下部に配置した集水樋8を経由して貯水槽14に帰還される。 【0055】 またポケットプランタ9及び壁面1に余剰の水分が生じると、壁面1の下部に横方向に延びて集水樋8が設けられているので、これらの余剰水は集水樋8に集められ、貯水槽14へと集められることになる。 【0056】 かくして本実施の形態によれば、短尺のドリップチューブ6を採用した簡便な構成にもかかわらず、まず多数の保水樋2それぞれに給水が均一に行き渡り、同保水樋2が水平レベルを維持することにより上記均一分布された給水は壁面1の全面に亘って安定的に保持され、次いで同保水樋2からポケットプランタ9自体で形成する灌水手段により毛細管現象を巧みに利用してポケットプランタ9に対して的確に灌水がなされる。 【0057】 繰り返し述べれば、先ず上部ヘッダ管4に供給された給水は、同上部ヘッダ管4の設置位置のヘッド圧とポンプ11の加圧とにより、保水樋2にくらべて十分に短いドリップチューブ6の背圧を確保し、同ドリップチューブ6から保水樋2に確実、正確に給水を分配する。 【0058】 このようにして保水樋2に給水が移行されると、同保水樋2が水平を維持していることと相俟って同保水樋2には給水が均一に分配され保持されるので、同保水樋2から灌水手段の毛細管現象でポケットプランタ9に移送される灌水も均一分散を維持して確実、安定して行われることとなる。 【0059】 すなわち、本実施例によれば給水から灌水に至るまで壁面1の全面に亘って均一に行うものであり、しかもこれを簡便でコンパクトな構成によって実行することが出来る。 【0060】 なお、保水樋2に過剰な給水がなされて余剰水が生じた場合、またはポケットプランタ9に供給された灌水が余剰となり、同ポケットプランタ9そして壁面1を経由して下方に移動した場合には、保水樋2の余剰水は余剰水流出口7aから集水管7を経て集水樋8に至り、また、その他の余剰水は壁面1から集水樋8に至り、貯水槽14に帰還することとなり、壁面1の下方部分及びその周辺領域を水浸しにすることもなく、余剰水の回収を行うことも出来る。 【0061】 なお、図4は本実施の形態の部分的な変形例を示し、保水樋2を壁面1の表面と同一面から裏面を超えて内部まで幅を広げ、かつ、格子部材9zで区画して同保水樋2の上にポケットプランタ9を配置すると共に、同格子部材9zの下方にドリップチューブ6及び余剰水流出口7aを設け、壁面1の内方から壁面1の表面に向けて緑化植物10が伸び出して繁殖するようにしたものである。 【0062】 この部分変形例では、上記したように保水樋2を壁面1の内方に広げてポケットプランタ9をその上に配置しているので、保水樋2からポケットプランタ9に対する灌水は、毛細管現象を利用すべく不織布で形成した灌水部材9xで行うこととなる。 【0063】 従ってこのポケットプランタ9は、底面灌水型プランタと称呼することも出来、また、壁面1と同一平面を形成する一側面を着脱可能な蓋状面9yとし、上記格子部材9z、保水樋2、ドリップチューブ6等に容易に接近可能としたものであり、図3で詳細に説明したものと実質的に同様のものであるので、図3と対比して同一部分に同一符号を付して示し、重複する説明は省略する。 【0064】 次に本発明の実施の第2形態について図5、図6に基づいて説明する。 図5は本実施の形態に係る壁面緑化システムの全貌を概略的に示す部分破断正面図、図6(a)、(b)、(c)はそれぞれ図5のA部、B部、C部を拡大して示す要部拡大図である。 【0065】 すなわち本実施の形態は前記実施の第1形態が、給水系統を上下方向に延びる上昇給水管3、同上昇給水管3に連通する上部ヘッダ管4、そして同上部ヘッダ管4に連通して下降方向に延びる下降給水管5を基本部分とし、これを給水管と総称して骨格を構成していたのに対して、これら上昇給水管3、上部ヘッダ管4、及び下降給水管5を除き、これに代えて上記下降給水管の位置に新たに複数の上昇供給管25を設け、またこれら複数の上昇供給管25を束ねる下部ヘッダ管24を設け、同下部ヘッダ管24と上昇供給管25とにより給水管を構成し、かつ、上記新たな上昇供給管25のそれぞれに、保水樋2に対応させてドリップチューブ6を設けたものである。 【0066】 従って本実施の形態では、この点を除き他の構成、及びそれに伴う作用、効果は前記実施の第1形態と同一につき、同一部分については図面中に前記実施の第1形態と同一の符号を付して示し、前記実施の第1形態の説明を援用することにより重複する説明は省略する。 【0067】 すなわち本実施の形態によれば、コントローラ13で調整されポンプ11を含む給水供給手段により加圧されて、給水ラインを経て下部ヘッダ管24に供給された給水は、同下部ヘッダ管24から上昇する複数の上昇供給管25に分配され、各上昇供給管25に行き渡る。 【0068】 この過程で給水は各上昇供給管25から分岐するドリップチューブ6にも行き渡ることになるが、このような経過を経て単位ループ内に給水が行き渡ったことにより、各ドリップチューブ6の液滴下部6aから対応する保水樋2に給水の滴下が始まり、時間の経過と共に各保水樋2に必要な給水が分散、配布されることになる。 【0069】 上記のようにして各保水樋2に分散、配布された給水は、灌水手段の毛細管現象により保水樋2からポケットプランタ9へ灌水され、緑化植物の育成に寄与することとなる。 【0070】 なお、本実施の形態における上記給水供給手段は前記実施の第1形態と同様にポンプ11等に代えて通常の水道管に直結することも可能であり、特に本実施の形態においては、給水管の構成が下部ヘッダ管24と上昇供給管25に限定されることから、上記実施の第1形態に比べより一層コンパクト化した構成の下で、ポケットプランタ9又はこれに代わる長尺プランタへ適切な灌水を行うことが出来るものでる。 【0071】 以上、本発明を図示の実施の形態を中心に部分的な変形、応用を含めて説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構成に種々の変更を加えてもよいことは言うまでもない。 【図面の簡単な説明】 【0072】 【図1】本発明の実施の第1形態に係る壁面緑化システムの全貌を概略的に示す部分破断正面図である。 【図2】図1の要部を拡大して示し、(a)はA部、(b)はB部、(c)はC部の要部拡大図である。 【図3】図1のD−D断面詳細図である。 【図4】図3に対応する部位の応用変形例を示す断面詳細図である。 【図5】本発明の実施の第2形態に係る壁面緑化システムの全貌を概略的に示す部分破断正面図である。 【図6】図5の要部を拡大して示し、(a)はA部、(b)はB部、(c)はC部の要部拡大図である。 【符号の説明】 【0073】 1 壁面 2 保水樋 2a 固着具 2b 取付部 3 上昇給水管 4 上部ヘッダ管 5 下降給水管 6 ドリップチューブ 6a 液滴下部 7 集水管 7a 余剰水流出口 8 集水樋 9 ポケットプランタ 9a 先端部 9x 灌水部材 9y 蓋状面 9z 格子部材 10 緑化植物 11 ポンプ 12 バッテリ 13 コントローラ 14 貯水槽 15 フロートバルブ 24 下部ヘッダ管 25 上昇供給管
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| 【出願人】 |
【識別番号】000134604 【氏名又は名称】株式会社ドコー 【住所又は居所】東京都千代田区内神田1丁目4番2号 コジマビル3F 【識別番号】500260609 【氏名又は名称】古澤 浩一 【住所又は居所】東京都杉並区宮前3−24−6
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| 【出願日】 |
平成17年4月18日(2005.4.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100069246 【弁理士】 【氏名又は名称】石川 新
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| 【公開番号】 |
特開2006−296230(P2006−296230A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月2日(2006.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願2005−119420(P2005−119420) |
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