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【発明の名称】 農産物解析方法,農水産業情報表現方法,そのシステム,楽曲生成装置,トレーサビリティシステム,作業開始予告システム
【発明者】 【氏名】本郷 千春

【氏名】佐野 芳彦

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートセンシングデータを解析して、農産物に関する各種の情報を得る農産物解析方法であって、
所定のサンプル地点における地下部のデータを測定・採取するステップ1,
前記サンプル地点におけるリモートセンシングデータと、前記ステップ1で得た地下部のデータを解析して、両者の相関関係を得るステップ2,
を含むことを特徴とする農産物解析方法。
【請求項2】
リモートセンシングデータを解析して、農産物に関する各種の情報を得る農産物解析方法であって、
所定のサンプル地点における地上部のデータを測定・採取するステップ1,
前記サンプル地点における地下部のデータを測定・採取するステップ2,
前記サンプル地点におけるリモートセンシングデータと、前記ステップ1で得た地上部のデータを解析して、両者の相関関係を得るステップ3,
前記サンプル地点におけるリモートセンシングデータと、前記ステップ2で得た地下部のデータを解析して、両者の相関関係を得るステップ4,
前記サンプル地点における地上部のデータと地下部のデータを解析して、両者の相関関係を得るステップ5,
を含むことを特徴とする農産物解析方法。
【請求項3】
農水産業情報の表現方法であって、
前記農水産業情報に、予め用意した音楽のフレーズを割り当てるステップ1,
このステップ1によって割り当てられたフレーズを所定の順序で合成して楽曲を得るステップ2,
を含むことを特徴とする農水産業情報表現方法。
【請求項4】
前記農水産業情報を、予め定めたグループに分けるステップ3,
このステップ3によって分けられたグループに、前記フレーズを割り当てるステップ4,
を含むことを特徴とする請求項3記載の農水産業情報表現方法。
【請求項5】
情報の利用者の要求に対応した少なくとも一つの農水産業情報に対して、前記ステップ1のフレーズ割り当て処理を行なうことを特徴とする請求項3又は4記載の農水産業情報表現方法。
【請求項6】
農水産業情報に基づいて楽曲を生成する楽曲生成装置であって、
予め用意された多数の音楽のフレーズ,
前記農水産業情報に、前記フレーズを割り当てるフレーズ割当て手段,
このフレーズ割当て手段によって割り当てられたフレーズを、所定の順序で合成して楽曲を得る楽曲合成手段,
を備えたことを特徴とする楽曲生成装置。
【請求項7】
前記農水産業情報を、予め定めたグループに分けるグループ分け手段を備えており、
このグループ分け手段によって分けられたグループに、前記フレーズ割当て手段によってフレーズを割り当てることを特徴とする請求項6記載の楽曲生成装置。
【請求項8】
請求項6又は7記載の楽曲生成装置によって生成された楽曲を、対応する農水産物の販売現場で再生するための再生手段を備えたことを特徴とする農水産業情報表現システム。
【請求項9】
前記再生手段が、楽曲生成の対象となる情報を選択する情報選択手段を備えており、これによって選択された情報に対応して前記楽曲生成装置が楽曲を生成することを特徴とする請求項8記載の農水産業情報表現システム。
【請求項10】
請求項8又は9記載の農水産情報表現システムによって、農水産物の履歴に関する情報を表現することを特徴とするトレーサビリティシステム。
【請求項11】
農業における作業の開始を作業者に対して予告する作業開始予告システムであって、
圃場に設置されたセンサ手段,
該センサ手段によって検知された農業情報の測定値を、前記作業者によって予め設定された設定値と比較する判定手段,
該判定手段によって作業の開始が判定されたときに楽曲を生成して前記作業者に提供し、作業の開始を予告する楽曲生成手段,
を備えたことを特徴とする作業開始予告システム。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートセンシングデータ(例えば、衛星や航空機などのプラットフォームにセンサを搭載して観測・撮影した画像などのラスタデータ)やGISデータなどのベクタデータを利用した農産物解析方法,農水産業情報表現方法,そのシステム,楽曲生成装置,トレーサビリティシステム,作業開始予告システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リモートセンシングを利用した農産物に関する解析手法としては、例えば、下記特許文献1に記載された「植物の活力度評価方法」がある。これは、植物の活力度を航空機や衛星などによるリモートセンシングにより評価する際の評価精度の向上を目的とし、森林樹木、果樹、農作物など対象植物の活力度評価のために、
(1)現地で実際に対象植物の陽葉の分光特性データを測定する現地調査を行い、それを基準データとしてデータベース化し、(2)データベースにおける基準データの検索を行って、分光特性データの収集グランドトゥルースを行い、前記現地データの処理を行って樹勢情報などを算出し、(3)その算出結果から最適RSデータおよび解析手法を検討して、リモートセンシングにより森林樹木などの植物の活力度を評価することを特徴とするものである。このようなリモートセンシングデータから求めた活力度ないし植生指数を使って農作物の収量等を導きだす研究は、他にも多数報告されている。
【0003】
更に、いずれの手法にせよ、得られた解析結果は、農作物の生産者,加工業者,消費者等にも提供される。例えば、生産者には収穫の時期や収量,あるいは病気の発生などを予測するための情報として利用される,加工業者には確保すべき季節労働者の人数や加工に要する燃料などを予測するための情報として利用される。最近は、一般消費者にも、それらの情報が提供される。食品の安全性という観点から、その生産流通履歴の追跡可能性(トレーサビリティ)が注目されており、食品に対する偽装表示やBSEなどによって食品の安全性に対する不安が広がったことから、それに答えるため、食品に関する情報が消費者に提供される。
【特許文献1】特開2002−360070公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した背景技術では、次のような不都合がある。
(1)衛星,航空機,ラジコンヘリコプタ,クレーン,三脚などに搭載した光学センサは、地表面はよいが、土などの栽培培地に隠れて見えない地下収穫部のリモートセンシングデータを直接観測できない。地中に収穫部がある根菜類に対しても、各種の情報が得られると好都合である。
(2)次に、情報の提供を受けても、その意味内容を正確に把握するために相当の知識を必要とし、必ずしも的確に情報が利用されるとは限らない。例えば、農産物中に含まれる糖分の程度を示す情報として糖度があるが、その数値を示されても、素人はなかなか理解できない。
(3)更に、利用者に対して情報が一方的に提供されているのみであり、利用者側に情報の選択権がないのが現状である。
【0005】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、リモートセンシングを利用した農産物解析を根菜類についても行い、各種の情報を得ることである。他の目的は、解析結果の情報を理解しやすい形態で表現して、情報の有効利用を図ることである。更に他の目的は、情報の利用者が必要な情報を選択できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の農産物解析方法は、リモートセンシングデータを解析して、農産物に関する各種の情報を得る農産物解析方法であって、所定のサンプル地点における地下部のデータを測定・採取するステップ1,前記サンプル地点におけるリモートセンシングデータと、前記ステップ1で得た地下部のデータを解析して、両者の相関関係を得るステップ2,を含むことを特徴とする。
【0007】
他の発明の農産物解析方法は、同様の農産物解析方法であって、所定のサンプル地点における地上部のデータを測定・採取するステップ1,前記サンプル地点における地下部のデータを測定・採取するステップ2,前記サンプル地点におけるリモートセンシングデータと、前記ステップ1で得た地上部のデータを解析して、両者の相関関係を得るステップ3,前記サンプル地点におけるリモートセンシングデータと、前記ステップ2で得た地下部のデータを解析して、両者の相関関係を得るステップ4,前記サンプル地点における地上部のデータと地下部のデータを解析して、両者の相関関係を得るステップ5,を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の農水産業情報表現方法は、前記農水産業情報に、予め用意した音楽のフレーズを割り当てるステップ1,このステップ1によって割り当てられたフレーズを所定の順序で合成して楽曲を得るステップ2,を含むことを特徴とする。主要な形態の一つは、前記農水産業情報を、予め定めたグループに分けるステップ3,このステップ3によって分けられたグループに、前記フレーズを割り当てるステップ4,を含むことを特徴とする。更に他の形態は、情報の利用者の要求に対応した少なくとも一つの農水産業情報に対して、前記ステップ1のフレーズ割り当て処理を行なうことを特徴とする。
【0009】
本発明の楽曲生成装置は、農水産業情報に基づいて楽曲を生成する楽曲生成装置であって、予め用意された多数の音楽のフレーズ,前記農水産業情報に、前記フレーズを割り当てるフレーズ割当て手段,このフレーズ割当て手段によって割り当てられたフレーズを、所定の順序で合成して楽曲を得る楽曲合成手段,を備えたことを特徴とする。主要な形態の一つは、前記農水産業情報を、予め定めたグループに分けるグループ分け手段を備えており、このグループ分け手段によって分けられたグループに、前記フレーズ割当て手段によってフレーズを割り当てることを特徴とする。
【0010】
本発明の農水産業情報表現システムは、前記楽曲生成装置によって生成された楽曲を、対応する農水産物の販売現場で再生するための再生手段を備えたことを特徴とする。主要な形態の一つは、前記再生手段が、楽曲生成の対象となる情報を選択する情報選択手段を備えており、これによって選択された情報に対応して前記楽曲生成装置が楽曲を生成することを特徴とする。
【0011】
本発明のトレーサビリティシステムは、前記農水産情報表現システムによって、農水産物の履歴に関する情報を表現することを特徴とする。本発明の作業開始予告システムは、農業における作業の開始を作業者に対して予告する作業開始予告システムであって、圃場に設置されたセンサ手段,該センサ手段によって検知された農業情報の測定値を、前記作業者によって予め設定された設定値と比較する判定手段,該判定手段によって作業の開始が判定されたときに楽曲を生成して前記作業者に提供し、作業の開始を予告する楽曲生成手段,を備えたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リモートセンシングデータと地下部の採取データとの相関関係が得られるので、地中で収穫が行われる根菜類に対しても、リモートセンシングデータを利用した農産物解析を良好に行うことができる。また、農水産業情報を音楽化するので、情報を理解しやすい形態で提供することができ、情報の有効利用を図ることができる。また、利用者が必要とする情報を選択することができ、柔軟性のある双方向の情報提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
最初に、図1〜図4を参照しながら本発明の実施例1を説明する。本実施例は、農業情報ないし農産物情報の解析方法の実施例である。図1には解析手順が示されている。まず、衛星10や航空機などによって農地の地表面が撮像され、リモートセンシング画像(衛星画像)12が得られる(ステップSA)。そして、そのリモートセンシング画像12から、予め定めたサンプル地点Pにおけるデジタルデータを読み取る(ステップSB)。例えば、B2(緑波長帯),B4(近赤外波長帯)などにおける放射輝度のデジタルデータを抽出する。一方、前記撮像地点の農地では、適宜のサンプル地点を定め、各サンプル地点Pにおける土や農産物などをサンプリングする(ステップSK)。そして、サンプル地点Pにおける地上部のデータを測定・採取するとともに(ステップSL)、地下部のデータも同様に測定・採取する(ステップSM)。なお、測定・採取とは、測定及び採取の両者又はいずれか一方の意である。地上部のデータとしては、例えば作物の草丈,SPAD値(葉緑素計で測定したクロロフィル量)などがある。地下部のデータとしては、規格別収量,デンプン価などがある。
【0015】
次に、上述したリモートセンシングデータと、地上部のデータを比較・解析し、両者の相関関係(具体的には相関式)を求める(ステップSC)。また、リモートセンシングデータと、地下部のデータを比較・解析し、両者の相関関係を求める(ステップSD)。更に、必要があれば、地上部のデータと地下部のデータを比較・解析して、両者の相関関係を得る(ステップSE)。
【0016】
図2には、具体例が示されている。図中の点は、前記サンプル地点におけるデータを示し、実線が相関式のグラフである。まず、同図(A)には、リモートセンシングデータと地上部のデータとの相関関係の一例が示されている。同図の横軸は(SPAD×草丈)値,縦軸は(B2/B4)比である。同図に示すように、(SPAD×草丈)値の増加に伴って(B2/B4)比は低下する傾向にあることが分かる。
【0017】
同図(B)には、リモートセンシングデータと地下部のデータとの相関関係の一例が示されている。同図の横軸は(B2/B4)比,縦軸は収量である。同図に示すように、(B2/B4)比の増加に伴って収量は低下する傾向にあるが、その程度は(B2/B4)比が高いほど小さくなる傾向にあることが分かる。このグラフを利用することで、リモートセンシングデータの(B2/B4)比から根菜類の農作物の収量を予測することが可能となる。
【0018】
同図(C)には、リモートセンシングデータと地下部のデータとの相関関係の他の例が示されている。同図の横軸はB3DN値(赤波長帯における放射輝度のディジタル値),縦軸はデンプン価である。同図に示すように、B3DN値が180前後でデンプン価はピークとなることが分かる。
【0019】
同図(D)には、地上部のデータと地下部のデータの相関関係の一例が示されている。同図の横軸は(SPAD×草丈)値,縦軸は収量である。同図に示すように、(SPAD×草丈)値の増加に伴って収量も増加する傾向にあり、(SPAD×草丈)値が高いほど増加の程度も高くなることが分かる。
【0020】
以上のようにして得たデータや相関関係(式)を、リモートセンシング画像のディジタル値に代入して計算し、結果を可視化処理して示すと、図3のようになる。同図は、上述した図2のリモートセンシング画像12に含まれている各圃場ないし菜園について、リモートセンシングデータから作物生育評価マップ14を作成した例である。まず、同図(A)のリモートセンシング画像12に含まれる各圃場の(B2/B4)比のデータを得る。次に、上述した図2(C)の(B2/B4)比と収量との相関関係を利用し、各圃場の収量を求める。収量の程度をハッチングで示すと、図3(B)に示すようになる。これにより、各圃場の収量を視覚的に表現することができる。同様にして、図3(C)の土壌図16は、各圃場の土壌の様子をハッチングで示したものである。
【0021】
図4には、馬鈴薯の品種である「メークイン」の収量について実際に得た相関関係を示す。まず、図4(A)はリモートセンシングデータと地上部のデータとの関係を示すもので、(SPAD×草丈)値が大きくなると(B2/B4)比は低下する傾向にある。図4(B)はリモートセンシングデータと地下部のデータとの関係を示すもので、(B2/B4)比が0.55付近で収量がピークとなる傾向にある。図4(C)は地上部のデータと地下部のデータの関係を示すもので、(SPAD×草丈)値が増大すると収量もほぼ比例して増大する。
【0022】
図5には、同じく「メークイン」のデンプン価について実際に得た相関関係を示す。まず、図5(A)はリモートセンシングデータと地上部のデータとの関係を示すもので、(SPAD×草丈)値が大きくなるとB3DN値も増加する傾向にある。図5(B)はリモートセンシングデータと地下部のデータとの関係を示すもので、B3DN値が180付近でデンプン価がピークとなる傾向にある。図5(C)は地上部のデータと地下部のデータの関係を示すもので、SPAD値が増大するとデンプン価も増大する傾向にある。
【0023】
以上のように、本実施例によれば、
(1)最初に、圃場ないし菜園のリモートセンシングデータと地上部のデータとの相関関係を求める,
(2)次に、前記リモートセンシングデータと地下部のデータとの相関関係を求める,
(3)更に、必要があれば、前記(1)及び(2)の相関関係を利用して、地上部のデータと地下部のデータとの相関関係を求める,
という手順で解析を行なうことで、地上のみならず、地下に収穫物が形成される馬鈴薯などの根菜類についても、衛星などによって得たリモートセンシングデータを利用して収量などの情報を良好に得ることができる。
【実施例2】
【0024】
次に、図6〜図11を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする。本実施例は、以上のようにして得た情報を含む各種の農業空間情報の利用に関するものである。
【0025】
農作物については、図6に示すように、リモートセンシングデータ,GISデータ,気象情報,土壌情報,生育状況(例えば上述した収量やデンプン価),作付け履歴,肥培履歴,農薬散布履歴,風景写真,生産者の顔写真などの様々な情報,センサなどにより集めた地上観測データ,坪狩りなどによって得た収量・品質データ,市況情報,・・・(以下「農業空間情報」と総称する)20が関係している。これらの農業空間情報20は、生産者22,消費者26などに提供される。例えば、
a,生産者22には、予想される病気の発生時期や収穫時期を知らせる,
b,農業利用センター24には、生産者に対するアドバイスの資料を提供する,
c,消費者26や販売者27には、安全性やおいしさの情報を提供する,
d,農業組合28には、集荷・出荷の計画に必要な情報を知らせる,
e,加工工場30には、収量や品質,季節労働者の人数や燃料の算出に必要な情報を提供する,
という具合である。このように、同じ情報を複数のユーザが共有して利用することで、全体としてコストを削減することができる。
【0026】
ところが、生産者22,農業利用センター24,農業組合28などのような農業に関する専門知識がある場合には、提供された情報を理解し、有効に活用することができるが、特に消費者26は専門知識を持ち合わせていないので、提供された情報を理解できず、有効に活用できない可能性が高い。一方、最近は、上述したように、特に安全性の観点から農産物の生産流通履歴の追跡可能性,いわゆるトレーサビリティが求められている。本実施例は、このような点に着目したもので、専門知識をもたない消費者に分かりやすく情報を提供するようにしたものである。
【0027】
図7には、本実施例の楽曲生成装置の構成が示されている。同図において、楽曲生成装置は、演算処理装置100に、ディスプレイ102,入力装置104,出力装置106,データメモリ110,プログラムメモリ120が接続されており、コンピュータを利用して構成することができる。また、後述する情報選択再生装置134,144,・・・も接続されている。
【0028】
これらのうち、演算処理装置100は、CPU,RAM,ROMを含む。ディスプレイ102は、液晶パネルなどによって構成されている。入力装置104には、キーボードやマウスが含まれる。出力装置106は、例えばプリンタによって構成されている。データメモリ110及びプログラムメモリ120は、例えばハードディスクによって構成されている。
【0029】
データメモリ110には、農業空間データ112,フレーズデータ114が用意されており、また、選択データ115や、合成された楽曲データ116も格納されるようになっている。これらのうち、農業空間データ112には、例えば、前記実施例1で示したリモートセンシングデータ,測定・採取データ,相関式などが含まれる。もちろん、農業空間情報全般としてよい。図8(A)には、その一例が示されている。同図の例は、各圃場毎に、SPAD値,草丈,収量,デンプン価のデータを集めたものである。例えば、圃場B−3のSPAD値は「29.36」,草丈は「106.80」,収量は「27233.33」,デンプン価は「14.8」という具合である。他の圃場についても、図示のとおりである。
【0030】
フレーズデータ114は、農業空間データ112を楽曲に変換するための音楽フレーズのデータである。フレーズは、例えば1小節程度の長さとなっている。本実施例では、PCT出願に基づく国際公開番号WO 03/081572として公開された「表現生成方法,表現生成装置,表現生成システム」の手法が利用される。これによれば、音楽のフレーズのテーブルが用意される。音楽フレーズは、機能和声の原則に従って作曲される。このため、音楽フレーズがどのような並び方をしたとしても、聞き手は違和感のないまとまりのある楽曲として聞くことができる。
【0031】
本実施例では、上述した農業空間データ112が図9のようにグループ化され、各グループ毎に図10に示すようにフレーズが用意されている。まず、図9から説明すると、SPAD値が「30.15」未満はグループ1,「32.75」未満はグループ2,それ以上はグループ3という具合である。同様に、草丈が「93.96」未満はグループ1,「113.17」未満はグループ2,それ以上はグループ3という具合である。他の収量やデンプン価も、図示のとおりである。そして、図10に示すフレーズリストに従って、該当するフレーズが各グループに割り当てられる。例えば、SPAD値のグループ1にはフレーズS1aが割り当てられ、グループ2にはフレーズS2aが割り当てられ、グループ3にはフレーズS3aが割り当てられる。また、草丈のグループ1にはフレーズS1bが割り当てられ、グループ2にはフレーズS2bが割り当てられ、グループ3にはフレーズS3bが割り当てられる。他の収量やデンプン価も、図示のとおりである。このような図9及び図10がフレーズデータ114としてデータメモリ110に格納されている。
【0032】
次に、選択データ115は、情報選択再生装置134,144,・・・によって前記農業空間データ112のうち、いずれのデータが買物客によって選択されたかを示すデータである。
【0033】
次に、図11を参照して、上述した情報選択再生装置134,144,・・・について説明する。図11には売り場の様子が示されており、陳列台130,140上には農産物132,142が積まれている。陳列台130,140には、それぞれ情報選択再生装置134,144が設けられている。情報選択再生装置134は、農業空間情報に含まれる情報のうちのいずれかを選択するための選択ボタン135A〜135C,楽曲の再生を指示するためのスイッチ136,スピーカ138を備えている。選択ボタン135A〜135Cによる選択結果は、選択データ115としてデータメモリ110に格納されるようになっている。他の情報選択再生装置144,・・・についても同様である。これらの情報選択再生装置134,144,・・・は、有線,無線などの適宜の手段で楽曲生成装置に接続されている。もちろん、LAN,インターネットなど、公知の各種の手法を適用してよい。
【0034】
図7に戻って、プログラムメモリ120には、演算処理装置100で実行されるグループ分けプログラム122,フレーズ割当てプログラム124,楽曲合成プログラム126が用意されている。これらのうち、グループ分けプログラム122は、図8に示した農業空間データ112が図9のいずれのグループに属するかを振り分けるプログラムである。例えば、圃場B−3は、
a,SPAD値:「29.36」であるからグループ1,
b,草丈:「106.80」であるからグループ2,
c,収量:「27233.33」であるからグループ2,
d,デンプン価:「14.8」であるからグループ3,
という具合である。
【0035】
フレーズ割当てプログラム124は、グループ分けプログラム122によって分けられたグループに図10のフレーズを割り当てるプログラムである。例えば、前記圃場B−3の場合は、同図にハッチングで示すように、
a,SPAD値:グループ1であるからフレーズS1a,
b,草丈:グループ2であるからフレーズS2b,
c,収量:グループ2であるからフレーズS2c,
d,デンプン価:グループ3であるからフレーズS3d,
という具合である。なお、図10に示すフレーズ中、デンプン価に対応するフレーズは例えばリズムのフレーズとなっており、他のフレーズはメロディのフレーズとなっている。
【0036】
楽曲合成プログラム126は、前記フレーズ割当てプログラム124によって割り当てられたフレーズを合成して一つの楽曲とするプログラムである。各フレーズが例えばMIDIファイルの場合、それらを合成して一つのMIDIファイルを生成してもよいし、各MIDIファイルを順に再生するプログラムのような形式であってもよい。合成された楽曲データ116は、データメモリ110に格納される。
【0037】
次に、本実施例の全体動作を説明する。なお、農業空間データ112には、農産物132,142が収穫された圃場の各データが含まれるものとする。
(1)買物客が情報を選択しない場合・・・最初に、買物客が情報選択再生装置134,144の選択ボタンをまったく操作せず、いずれの情報も選択されていない場合について説明する。買物客が、例えば農産物132の情報選択再生装置134のスイッチ136を押したとすると、演算処理装置100では、まずグループ分けプログラム122が実行される。これにより、図8(A)に示すように、農産物132の農業空間データが図9に示すグループに分けられる。例えば、農産物132が圃場B−3で収穫されたものであるときは、図8(B)に示すようにグループ分けされる。
【0038】
次に、演算処理装置100では、フレーズ割当てプログラム124が実行される。これにより、図8(A)の各グループに対して図10に示すフレーズが割り当てられる。例えば、圃場B−3には、図10にハッチングで示すように、フレーズS1a,S2b,S2c,S3dが割り当てられる。
【0039】
次に、演算処理装置100では、楽曲合成プログラム126が実行される。これにより、割り当てられたフレーズに基づいて楽曲が合成される。前記圃場B−3の場合、例えば図8(C)に示すように合成が行なわれて楽曲が生成される。すなわち、フレーズS1a,S2b,S2cが順番に並べられてメロディを形成し、そのリズムがフレーズS3dによって決定されるという具合である。合成された楽曲データ116は、情報選択再生装置134に出力される。情報選択再生装置134では、楽曲データが演奏され、対応する音楽がスピーカ138から出力される。同様に、農産物142の場合は、該当する圃場の農業空間データ112に基づいて楽曲が生成され、情報選択再生装置144で楽曲が演奏される。
【0040】
(2)買物客がいずれかの情報を選択した場合・・・次に、買物客が選択ボタンを押していずれかの情報を選択した場合について説明する。例えば、情報選択再生装置134,144の選択ボタン135A,145Aを押すと「甘さ」を選択し、選択ボタン135B,145Bを押すと「食感」を選択できるものとする。ここで、買物客が、農産物132,142の甘さを比較するため、選択ボタン135A,145Aを押したとすると、選択結果は、演算処理装置100を通じてデータメモリ110に選択データ115として格納される。
【0041】
次に、演算処理装置100では、農業空間データ112の農産物132,142のデータのうち、糖分のデータに対して、上述したグループ分け,フレーズ割当て,楽曲合成が行なわれ、合成された楽曲データ116がデータメモリ110に格納される。図12(A)にはその様子が示されており、糖分のメロディフレーズの楽曲となっている。この楽曲データ116は、情報選択再生装置134,144のスイッチ136,146が押されたときにそれぞれ出力され、スピーカ138,148で再生される。すなわち、買物客がスイッチ136を押すと、農産物132の糖分の音楽が再生され、買物客がスイッチ146を押すと、農産物142の糖分の音楽が再生されるという具合である。
【0042】
一方、買物客が、農産物132,142の甘さ及び食感を比較するため、選択ボタン135A,135B,145A,145Bを押したとすると、選択結果は、演算処理装置100を通じてデータメモリ110に選択データ115として格納される。演算処理装置100では、農業空間データ112の農産物132,142のデータのうち、糖分及びデンプン価のデータに対して、上述したグループ分け,フレーズ割当て,楽曲合成が行なわれ、合成された楽曲データ116がデータメモリ110に格納される。例えば、ジャガイモの場合、デンプン価の程度が食感,いわゆるホクホク感に強く影響すると考えられるので、食感が選択されたときにデンプン価を対応させることとしている。他の情報についても同様である。
【0043】
図12(B)にはその様子が示されており、糖分のメロディフレーズに対してデンプン価のリズムフレーズが合成された楽曲となっている。この楽曲データ116は、情報選択再生装置134,144のスイッチ136,146が押されたときにそれぞれ出力され、スピーカ138,148で再生される。すなわち、買物客がスイッチ136を押すと、農産物132の糖分+食感の音楽が再生され、買物客がスイッチ146を押すと、農産物142の糖分+食感の音楽が再生されるという具合である。
【0044】
買物客は、以上のようにして演奏された曲を頼りに、商品を選択することができる。例えば、このメロディのジャガイモは甘いとか、あるいは甘くホクホク感があるとか、このメロディのみかんは酸味が強いとか、などである。また、前回作った料理のときに使ったジャガイモと同じような曲のジャガイモを購入することで、同様においしい料理を作ることができるという具合である。
【0045】
以上のように、本実施例によれば、買物客ないし消費者に対して、農業空間情報が加工されて音楽表現として提供されるので、農産物に関する専門的知識がなくても、農産物や生育状況などを評価することができる。また、買物客が選択した情報,すなわち買物客の要求に対応して楽曲が生成・提供されるので、買物客は必要な情報のみに基づいて農産物の良否を判断することができる。すなわち、農産物の属性に応じた音楽を演奏することで、データを単に提示する場合と比較して、買物客の感性により強く訴えることができるという感性融合型の情報提供が可能となる。特に、農産物の生産流通履歴に関する情報を音楽として表現することで、トレーサビリティシステムとして活用することができる。
【実施例3】
【0046】
次に、図13を参照しながら、本発明の実施例3について説明する。上述した実施例は、買物客に対して情報を音楽として表現して提供する場合を示したが、本実施例は、生産者に対して提供する場合である。図13において、農産物の圃場200には、各種センサ,例えば温度センサ202が必要数設置されている。これら温度センサ202の検知信号は、適宜の無線ないし有線手段によって情報センター210に送信されるようになっている。
【0047】
情報センター210は、データロガー212,データメモリ214,判定装置220,楽曲生成装置222を備えている。これらのうち、データロガー212は、上述した温度センサ202から受信したデータを、データメモリ214に測定値216として記録するためのものである。データメモリ214には、ユーザ設置値218も格納されている。判定装置220は、測定値216とユーザ設定値218を比較して、測定値216がユーザ設定値218に達したかどうかを判定する機能を有する。楽曲生成装置222は、上述した実施例と同様にして、楽曲を生成するための装置である。
【0048】
生産者230は、前記情報センター210にユーザ設定値218を送信するとともに、情報センター210から楽曲データを受信して再生するコンピュータや携帯電話などの情報端末を有している。
【0049】
例えば、圃場200の温度が所定値以上となったときに、その旨を音楽で生産者230に伝えて圃場200に農薬を散布するような場合を想定して説明すると、まず、生産者230は、農薬散布が必要な温度の値を情報センター210に送信する。情報センター210は、受信した温度の値をユーザ設定値218としてデータメモリ214に格納する。
【0050】
一方、圃場200の温度は、温度センサ202によって監視されており、検知信号が情報センター210に送信される。情報センター210では、受信した温度データがデータロガー212によって記録され、測定値216としてデータメモリ214に格納される。この測定値216は、判定装置220でユーザ設定値218と比較される。そして、測定値216がユーザ設定値218よりも大きくなったとき、すなわち圃場200の温度がユーザ設定温度よりも高くなったときは、楽曲生成装置222によってその旨の楽曲が生成され、生産者230に送信される。生産者230は、それを聞いて農薬散布などの防除作業240を圃場200に施す。この場合に、圃場200における農産物の生育状況など他の情報も考慮して楽曲を生成するとともに、これを生産者230に提供することで、圃場200における生育状況をより的確に把握することができ、更には、農薬の種類や散布量などの選択に役立てることができる。
【0051】
このように、本実施例によれば、農業空間情報が音楽として生産者に提供されるので、農産物に関する専門的知識がなくても、生育状況などを評価することができ、農業空間情報の有効利用を図ることができる。また、生産者に対して一方的に農業情報が提供されるのではなく、生産者が自己の圃場や農作物の状況に応じて最適な値を設定し、これに基づいて情報の提供を受けることができる。販売者や加工工場などに対しても同様である。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例では、数値で表される農業空間データの数値をグループ化してフレーズを割当てたが、他の方法で音楽を割り当ててもよい。例えば図14(A)に示す例は、草丈の百の位の値によってフレーズを割り当てる例で、百の位の値が0のときはフレーズF0a,1のときはフレーズF1a,2のときはF2aがそれぞれ割り当てられる。図14(B)に示す例は、原産地に対応した既成の民謡の楽曲を割り当てる例で、北海道はソーラン節,栃木は八木節,・・・という具合である。図14(C)の例は、収穫時期に対応した既成の童謡の楽曲を割り当てる例である。図14(D)の例は、加工地に対応した楽器のフレーズを割り当てる例である。その他、曲のテンポを増減する,キーを変更する,リズムを変更する,ジャンルを変更するなど、必要に応じて各種の設定としてよい。
(2)前記実施例では、本発明を野菜類に適用した場合であるが、果物類など他の農産物にも適用可能である。また、野外で栽培可能な農産物のみならず、温室等施設内で栽培される農産物にも適用可能である。
(3)前記実施例では、圃場毎に楽曲を生成したが、生産者毎,産地毎,農産物毎,収穫時期毎など、適宜の対象に対して楽曲を生成してよい。
(4)前記実施例では、得られた楽曲データを当該農産物の売り場で演奏する例を示したが、農業空間データを数値やバーコード等で売り場に表示し、それを図7の楽曲生成装置が格納された携帯電話機やバーコード読み取り装置に入力し演奏させることも可能である。また、楽曲生成装置をサーバに配置し、インターネットを通じて携帯電話等でアクセスして生成した楽曲を得るようにしてもよい。
(5)前記実施例は、本発明を農産物に適用したものであるが、水産物にも適用でき、更には農水産物の加工品など各種の産品に対しても適用可能である。また、国内のみならず外国産の産品についても、同様に適用可能である。
(6)前記実施例は、スーパーマーケットなどで産品を販売する場合を例示したが、例えばインターネットのホームページで産品を販売するような場合にも本発明は適用可能である。いわゆるインターネット上のショッピングモールの場合、実際に商品を手にとってみるということはできず、通常は産品の写真などの画像が提供されるのみである。しかし、本発明を適用し、産品の情報を音楽として提供するようにすれば、買い手側は、その産品の画像のみではなく、音楽からも産品の属性を知ることができ、産品の選択などに好都合である。例えば、ジャガイモの写真だけよりも、甘さや食感を表現した音楽が演奏されれば、そのジャガイモがどのようなものか、より身近に感じ取ることができる。あるいは、香水などのような場合、香りをインターネットを通じて買い手側に伝えることは困難であるが、香りを音楽として表現し、インターネットを通じて買い手側に送信して再生・演奏することで、多数の香水の中から自分の好みの香りのものを選択する際に非常に便利である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、リモートセンシングデータと地上部及び地下部の採取データとの相関関係を利用することで、根菜類についてもリモートセンシングデータから有益な情報を得ることができ、生産者等に提供することができる。また、農水産業情報を楽曲として表現することで、消費者等に分かりやすく農水産業情報を提供することができ、トレーサビリティの分野に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例1の解析手順を示す説明図である。
【図2】前記実施例1によって得られた相関関係の一例を示すグラフである。
【図3】前記実施例1の解析結果を視覚的に示す説明図である。
【図4】前記実施例1をメークインについて適用した場合のグラフである。
【図5】前記実施例1をメークインについて適用した場合のグラフである。
【図6】農業空間情報とその利用形態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例2の装置構成を示すブロック図である。
【図8】前記実施例2における農業空間データとそのグループ化,及びフレーズ構成を示す説明図である。
【図9】前記実施例2における農業空間データとグループとの関係を示す説明図である。
【図10】前記実施例2におけるグループと音楽フレーズとの関係を示す説明図である。
【図11】売り場における楽曲再生の様子を示す説明図である。
【図12】買物客が情報を選択した場合の楽曲の構成例を示す説明図である。
【図13】本発明の実施例3を示す説明図である。
【図14】農業空間情報とフレーズとの他の関連付けの例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
10:衛星
12:リモートセンシング画像(衛星画像)
14:作物生育評価マップ
16:土壌図
20:農業空間情報
22:生産者
24:農業利用センター
26:消費者
27:販売者
28:農業組合
30:加工工場
100:演算処理装置
102:ディスプレイ
104:入力装置
106:出力装置
110:データメモリ
112:農業空間データ
115:選択データ
114:フレーズデータ
116:楽曲データ
120:プログラムメモリ
122:グループ分けプログラム
124:フレーズ割当てプログラム
126:楽曲合成プログラム
130,140:陳列台
132,142:農産物
134,144:情報選択再生装置
135A〜135C,145A〜145C:選択ボタン
136,146:スイッチ
138,148:スピーカ
200:圃場
202:温度センサ
210:情報センター
212:データロガー
214:データメモリ
216:測定値
218:ユーザ設定値
220:判定装置
222:楽曲生成装置
230:生産者
240:農薬散布
F,S:フレーズ
P:サンプル地点

【出願人】 【識別番号】505117696
【氏名又は名称】本郷 千春
【識別番号】596112147
【氏名又は名称】佐野 芳彦
【出願日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【代理人】 【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔

【公開番号】 特開2006−280289(P2006−280289A)
【公開日】 平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願番号】 特願2005−105489(P2005−105489)