| 【発明の名称】 |
農業用塩化ビニル系樹脂フィルム用ベタツキ防止液 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 希望
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| 【要約】 |
【課題】農業用塩化ビニル系樹脂フィルムについて特別なフィルム加工を施さなくても、フィルム表面に塗布することにより、フィルムの透明性を低下させることが無く、フィルム同士のベタツキを防止し、展張作業や換気のためのフィルムの巻き上げ、巻き下げ作業等の作業性に優れ、効果の持続性に優れたベタツキ防止液を提供すること。
【解決手段】アマイド系化合物水分散液と無機粒子水分散体とからなり、希釈後における濃度が、アマイド系化合物が0.0001〜0.02%であり、無機粒子が0.06〜0.40%となることを特徴とする農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液であり、具体的には、アマイド系化合物水分散液と無機粒子水分散体とを、固形分比が0.1:99.9〜4.5〜95.5となるように混合したベタツキ防止液である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アマイド系化合物水分散液と無機粒子水分散体とからなり、希釈後における濃度が、アマイド系化合物が0.0001〜0.02%であり、無機粒子が0.06〜0.40%となることを特徴とする農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液。 【請求項2】 アマイド系化合物水分散液と無機粒子水分散体とを、固形分比が0.1:99.9〜4.5〜95.5となるように混合したことを特徴とする請求項1に記載の農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液。 【請求項3】 無機粒子水分散体がコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1または2に記載の農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、農業用塩化ビニル系樹脂フィルム用ベタツキ防止液に係わり、詳細には、ハウスへの展張作業や換気のために樹脂フィルムの巻き上げ、巻き下げ等に際し、樹脂フィルム同士のベタツキを防止する液に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、農業用ハウスや、トンネル等の農業用施設の被覆材としては、軟質塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエステルフィルムや、これらの積層フィルム等の合成樹脂フィルムが使用されている。そのなかでも、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムは、他の合成樹脂フィルムに比較して各種添加剤が配合し易いものであり、種々の特性を付与することができるため、光線透過率、保湿性、機械的強度、耐久性、作業性、経済性に優れたフィルムとして、最も広く使用されているものである。 【0003】 しかしながら、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムは、上記のような優れた特性を持つ反面、配合された可塑剤、防曇剤、安定剤等の各種添加剤が使用中に表面側にしみ出すため、表面がベタつき、フィルム同士が密着してしまい、展張作業、換気のためのフィルムの巻き上げ、巻き下げ作業の作業性が悪いといった欠点を有している。 【0004】 そのため、従来から、フィルム自体をスムースに巻き上げ、巻き下げすることができるように、換気部分(フィルムの巻き上げ、巻き下げ部分)のフィルム表面に梨地模様を施すか、あるいは粉を塗布する等の処理が行われていた。例えば、エンボスロール等により、フィルム表面に梨地の凹凸を施し、フィルム表面同士の密着を防止するもの(特許文献1)であるが、フィルムの透明性が悪化し、作物の生育に支障がきたす可能性があると共に、可塑剤等のブリードによるフィルム表面のベタツキを防止するには不十分なものであった。さらに、フィルムの生産時にこのような加工をする必要があり、フィルムを展張する場所によって使い分けをする等の対応が必要になり、使用対応が容易ではなかった。 また、フィルム表面に炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどの粉末を散布してベタツキを防止する方法は、初期効果は良好なものであるが、風雨などにより、粉末が離脱すると共に、効果がなくなっていくために、持続性の面での問題があった。 【0005】 そのため、シリカ、タルク、カーボン、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン等の微粒子状無機粒子を塩化ビニル樹脂に添加して、フィルムを成形することでフィルム表面に無機粒子の微細な凹凸を形成する方法もあるが、フィルム表面のベタツキは少なくなるものの、フィルム自体の透明性や透光性が悪化し、植物の生育の面で好ましくない問題があった。 【0006】 また、フィルムの換気部分(フィルムの巻き上げ、巻き下げ部分)の少なくとも一方を梨地加工とし、該フィルムの片面あるいは両面にアクリル樹脂等を塗布し防塵性を持たせた農業用ビニルフィルムも登場している(特許文献2)。このフィルムはフィルムの巻き上げ、巻き下げ部分におけるフィルムのベタツキを梨地加工することで防止すると共に、残りのフィルムを平滑な部分とし、そのフィルム自体に防塵性を持たせ、透明性の悪化を防止しようとするものである。しかしながら、かかるフィルムにあっては、フィルムの加工は煩雑なものであり、換気部分と一般用のフィルム部分とを使い分ける必要があり、作業性等を悪化させるものであった。 【0007】 さらに、フィルム上に、コロイド状無機化合物の水性分散液と水性オルガノポリシロキサンエマルジョン、すなわちシリコン系化合物の水系バインダー液との混合物からなるベタツキ防止液を塗布する技術も提案されている(特許文献3)。この方法は、フィルム自体を特別に加工するものではなく、換気を行うフィルムの巻き上げ、巻き下げ部分に防止液を塗布するという簡単な方法でフィルムのベタツキを防止する点で優れたものである。しかしながら、使用する水性オルガノポリシロキサンエマルジョンとコロイド状無機化合物に対する塩化ビニル系樹脂フィルムの密着性が悪いために、防止液の調製時や塗布作業時に作業性が悪く、かつ、無機物が欠落しやすいためにベタツキ防止効果の持続性が悪いという問題があった。 【特許文献1】特開2002−315446号公報 【特許文献2】特開2000−4684号公報 【特許文献3】特開2000−129210号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 したがって本発明は、上記のような問題点を解決するものであって、従来から汎用されている農業用塩化ビニル系樹脂フィルムについて、特別な加工をフィルム成形時に施さなくとも、ビニルハウス等に展張した後に、換気のためにフィルムの巻き上げ、巻き下げ作業を行うフィルム表面に塗布するだけで、フィルムの透明性を低下させることなく、フィルム同士のベタツキによる密着を防止し、フィルムの巻き上げ、巻き下げ作業性に優れ、効果の持続性に優れた農業用塩化ビニル系樹脂フィルム用ベタツキ防止液を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 かかる課題を解決するために、本発明者は鋭意検討した結果、従来使用されているシリコン系化合物の水系バインダー液に替えて、アマイド系化合物の水系バインダー液を使用した場合に、塩化ビニル系樹脂フィルムに対する密着性がよく、含有させるコロイド状無機化合物によるベタツキ防止効果の持続性が極めて良好なものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0010】 したがって、本発明は、その態様として; (1)アマイド系化合物水分散液と無機粒子水分散体とからなり、希釈後における濃度が、アマイド系化合物が0.0001〜0.02%であり、無機粒子が0.06〜0.40%となることを特徴とする農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液; (2)アマイド系化合物水分散液と無機粒子水分散体とを、固形分比が0.1:99.9〜4.5〜95.5となるように混合したことを特徴とする前記1に記載の農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液; (3)無機粒子水分散体がコロイダルシリカであることを特徴とする前記1または2に記載の農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液; である。 【発明の効果】 【0011】 本発明が提供する農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液は、フィルム自体を特別なフィルムとして加工する必要が無く、無機粒子水分散体とアマイド系化合物水分散液とを混合し、換気を行うフィルム部分に塗布(噴霧)することにより、効率的にフィルム同士のベタツキを防止しうるものであり、その作業性は極めて良好なものである。 また、無機粒子水分散体と共に使用するアマイド系化合物水分散液は、極めて少量のアマイド系化合物の成分濃度を有する水系バインダー液あることから、フィルムの塗布面に対する白化がなく、透明性を損なうことなく、長期間にわたり、良好なベタツキ防止効果を発揮することができる。 さらに、従来のシリコン系化合物の水系バインダー液に替えてアマイド系化合物の水系バインダー液を使用したことにより、塩化ビニル系樹脂フィルムに対する密着性がよく、含有させるコロイド状無機化合物によるベタツキ防止効果の持続性が極めて良好なものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 本発明のベタツキ防止液は、上記したように、その基本的態様は、無機粒子水分散体とアマイド系化合物水分散液とからなる農業用塩化ビニル樹脂フィルム用ベタツキ防止液である。 使用される無機粒子水分散体の無機粒子としては、シリカ、アルミナ、リチウムシリケートなどのコロイド状物質を使用することができるが、なかでもコロイド状シリカ(コロイダルシリカ)が好ましく使用される。 【0013】 また、本発明で使用するアマイド系化合物水分散液は、無機粒子水分散体と混合する水系バインダー液としてのエマルジョン溶液である。本発明においては、特にアマイド系化合物水分散液を、無機粒子水分散体に対する分散液として使用することにより、フィルムに対するワックス効果が発揮される。したがって、フィルム表面に塗布された無機粒子を継続的にフィルム表面上に保持し得ることにより、ベタツキ防止効果が持続することとなる。 【0014】 さらに、このアマイド系化合物水分散液は、滑剤としての性質を発揮するものでもあり、したがって農業用塩化ビニル樹脂フィルムの巻き上げ、巻き下げ作業をよりスムースに行い得る効果を、より優れたものとすることができる。 【0015】 水系バインダー液として用いられるアマイド系化合物水分散液に含有するアマイド系化合物としては、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸のアミドおよびビスアマイド系化合物があげられるが、なかでも、エチレンビスステアロアミドおよびステアリン酸アミドが好ましく使用することができる。 【0016】 本発明のベタツキ防止液にあっては、上記した無機粒子水性分散体とアマイド系化合物水分散液との混合液からなるものである。かかる混合液は、水で希釈して農業用塩化ビニル樹脂フィルムに塗布することによって使用される。当該混合液中に含有されるアマイド系化合物ならびに無機粒子の濃度としては、希釈後の濃度がアマイド系化合物にあっては0.0001〜0.02%となり、無機粒子にあっては0.06〜0.40%となるように調製されるのがよい。 【0017】 したがって、本発明が提供するベタツキ防止液にあっては、アマイド系化合物水分散液と無機粒子水分散体とを、固形分比で0.1:99.9〜4.5:95.5となるように混合するのがよい。 【0018】 上記のように、本発明においてはベタツキ防止液中に含有されるアマイド系化合物の濃度が、極めて低濃度であることが一つの特徴である。アマイド系化合物を大量に使用した場合には、このアマイド系化合物によりフィルム表面が白化し、透明性を損なうこととなる。また、あまりにも少量すぎると、バインダーとしての効果がなく、無機粒子をフィルム正面に保持することができない。 したがって本発明にあっては、この低濃度によりフィルム塗布面への白化を防止することができ、透明性を損なうことなく、長期間にわたり、良好なベタツキ防止効果を発揮することができるのである。 【0019】 無機粒子水分散体の調製方法としては、無機粒子を直接アマイド系化合物水分散液に必要量を混合分散させてもよいし、無機粒子を予めアマイド系化合物水分散液に必要量以上に分散させたものを作製しておき、それを水系バインダー樹脂液に添加して、成分調節を行って作成してもよい。 【0020】 なお、本発明のベタツキ防止液は、水中への均一な分散性を更に向上させるために、界面活性剤を添加してもよい。そのような界面活性剤としては各種の界面活性剤をあげることができ、なかでも非イオン性の界面活性剤を使用するのがよい。 【0021】 本発明が提供するベタツキ防止液が適用される農業用塩化ビニル樹脂フィルムとしては、その組成が塩化ビニル系樹脂、可塑剤および安定剤を主成分とし、必要に応じてフッ素系化合物等の防霧剤、非イオン系界面活性剤等の防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加工助剤、滑剤、帯電防止剤、無機充填剤、防かび剤、防藻剤、着色剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。 その種類、添加量としては、従来の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに使用可能な添加剤を、通常の添加量で添加すればよく、特に制限はない。 【0022】 なお、塩化ビニル系樹脂としては、通常塩化ビニル系樹脂フィルムに使用されるものであれば使用することができる。具体的には、ポリ塩化ビニル樹脂、または塩化ビニルと他のモノマー、例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、マレイン酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、高級ビニルエーテル等との共重合体、もしくはこれらのブレンド体が挙げられる。 【0023】 本発明のベタツキ防止液は、水で希釈され、これらの農業用塩化ビニル樹脂フィルム表面に塗布(噴霧)されるものであるが、その塗布量は、水との希釈比率により一概に限定されず、所望のベタツキ防止効果が得られる量を塗布すればよい。 【実施例】 【0024】 以下に本発明を実施例および比較例により、より詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0025】 実施例1〜4/比較例1〜5: 下記表1に記載の処方により、本発明のベタツキ防止液および比較例のベタツキ防止液を得、水で希釈し、全量を5,000mLとして一般農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに塗布し、そのベタツキ防止効果と透明性を確認した。 ベタツキ防止効果としては、後記する巻きほぐし試験、ベタツキ防止液のフィルム上への塗布の持続性、フィルムの外観変化を評価し、併せてその結果を表中に示した。 【0026】 【表1】
【0027】 表中における注記は、以下のとおりである。 *1:アマイド系化合物水分散液:SA−20(日本化成社製);固形分比 20% *2:シリコン系化合物水分散液:SH−7024(東レ・ダウコーニング社製);固形分比 35% *3:コロイダルシリカ水分散体:スノーテックス20(日産化学社製);固形分比 20%;粒子径 20nm 【0028】 *4:ベタツキ防止効果の試験方法および評価方法は以下のとおりである。 長さ16m、高さ0.6m、間口1mのハウスを作製し、一般農業用塩化ビニル樹脂フィルムを展張して、屋根部のフィルムを切り取った。そこに実施例1〜4および比較例1〜5で調製したベタツキ防止液を吹き付けた10cm×30cm四方のフィルムを、塗布面をハウス内部に向けて並べて取り付けた(各サンプル5枚ずつ)。各期間経過後に、それぞれ測定サンプルとした(試験期間:2004年11月15日〜2004年12月13日)。 【0029】 (1)巻きほぐし及び効果の持続性について 上記で得た測定サンプルのフィルムを、直径:1.9cm/長さ:14cmの鉄管に巻き付け、70℃/7時間放置後、傾斜が60度の板の上に貼り付け、鉄管の自重で落下するまで時間を計測した。 (2)評価は以下のとおりである。 ◎:3分以内 ○:3〜4分 △:4〜5分 ×:5分以上 【0030】 *5:フィルムの外観は、上記の測定サンプルフィルムの透明性について、目視により測定した。 評価は以下の基準にしたがった。 (透明性に問題ない)◎>○>△>×(フィルムが白くなり透明性が悪い) 【0031】 以上の実施例および比較例の結果からも判明するように、本発明のベタツキ防止液は、良好な結果を示していることが理解された。 特に、比較例4および5は特許文献3に開示される水系バインダー液としてシリコン系化合物水分散液を用いたベタツキ防止液であるが、ベタツキ防止効果の持続性が悪いものであるのに対し、本発明のベタツキ防止液はアマイド系化合物水分散液を使用することで、水系バインダー液が低濃度であっても、効果の持続性が極めて良好であることが判明した。 【産業上の利用可能性】 【0032】 以上記載のように、本発明は、フィルムの透明性を害することなく、ハウスへの展張作業や換気のために樹脂フィルムの巻き上げ、巻き下げ等を行うに際し、樹脂フィルム同士のベタツキを防止するベタツキ防止液を提供するものであり、アマイド系化合物水分散液と無機粒子水分散体とからなるベタツキ防止液である。本発明のベタツキ防止液は、フィルム自体を特別なフィルムとして加工する必要が無く、換気を行う部分に塗布(噴霧)することにより、効率的にフィルム同士のベタツキを防止し得るものであり、その効果の持続性にも優れたものである。 したがって、その作業性は極めて良好なものであり、展張作業や換気のためのフィルムの巻き上げ、巻き下げ作業がより容易なものとなり、その作業労力の軽減が図れ、産業上の利用度は多大なものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000077 【氏名又は名称】アキレス株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083301 【弁理士】 【氏名又は名称】草間 攻
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| 【公開番号】 |
特開2006−280208(P2006−280208A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月19日(2006.10.19) |
| 【出願番号】 |
特願2005−100819(P2005−100819) |
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