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【発明の名称】 刈込機
【発明者】 【氏名】中村 雅道
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内

【氏名】岡村 英澄
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内

【要約】 【課題】刈込機において、駆動源の出力を増大させることなく切断能力を向上させる。

【解決手段】側縁にバリカン刃を備えた一対の重複されたブレード6,7と、回転運動を発生するモータ4と、その回転運動をブレード6,7の往復運動に変換する変換機構23と、を備えた刈込機1において、モータ4と変換機構23との間にインパクト機構24を介在させて設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側縁にバリカン刃を備えた一対の重複されたブレードと、回転運動を発生する駆動源と、前記回転運動を前記ブレードの往復運動に変換する変換機構と、を備えた刈込機において、
前記変換機構に作用する負荷が規定値以下の場合には前記駆動源からの駆動力を連続的に前記変換機構に伝達し、前記変換機構に作用する負荷が規定値を超えた場合には前記駆動源からの駆動力を蓄積しこの蓄積した力を打撃により前記変換機構に与えるインパクト機構を、前記駆動源と前記変換機構との間に介在させて設けたことを特徴とする刈込機。
【請求項2】
前記インパクト機構は、
前記駆動源により回転駆動される駆動軸と、
打撃部を有し、前記駆動軸に嵌合して共に回転運動を行うハンマと、
前記打撃部と係合する被打撃部を有して前記変換機構に連結され、前記打撃部と前記被打撃部との係合により前記ハンマと共に回転運動を行うアンビルと、
前記変換機構に規定値を超えた負荷が作用した場合に前記駆動軸の回転運動を前記ハンマの前記アンビルからの後退運動に変換するカム機構と、
前記ハンマの後退により前記駆動源の駆動力を蓄積すると共に、前記ハンマの後退により前記打撃部と前記被打撃部との係合が外れた後に打撃を伴って前記打撃部と前記被打撃部とを係合させるバネと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の刈込機。
【請求項3】
前記変換機構は、前記アンビルに対面して設けられると共に前記アンビルと前記ブレードとに連結された偏心カムを備え、
前記アンビルの径は、前記偏心カムの径よりも大きく形成され、前記アンビルは、前記偏心カムの前記アンビル側への移動を規制することを特徴とする請求項2に記載の刈込機。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植木や生け垣などの刈り込みを行う刈込機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植木や生け垣等の刈り込みを行う刈込機として、側縁に櫛状のバリカン刃が形成された一対の重複されたブレードを駆動源の駆動力によって往復運動させて、バリカン刃を噛み合わせることにより、互いのバリカン刃間に位置する枝などの切断対象物を切断するものがある。
【特許文献1】特開2000−308850号公報
【特許文献2】実開平6−41443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような刈込機では、太い枝を切断するために切断能力の向上を図るには、駆動力を大きくすればよい。しかしながら、単純に駆動源を大型化してその出力を大きくすることで駆動力を大きくしたのでは、比較的小さい駆動力で切断できる小枝などの切断対象物の切断も大きな駆動力によってなされるので、エネルギーを無駄に消費してしまい、不経済である。
【0004】
本発明の目的は、刈込機において、駆動源の出力を増大させることなく切断能力を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、側縁にバリカン刃を備えた一対の重複されたブレードと、回転運動を発生する駆動源と、前記回転運動を前記ブレードの往復運動に変換する変換機構と、を備えた刈込機において、前記変換機構に作用する負荷が規定値以下の場合には、前記駆動源からの駆動力を連続的に前記変換機構に伝達し、前記変換機構に作用する負荷が規定値を超えた場合には前記駆動源からの駆動力を蓄積しこの蓄積した力を打撃により前記変換機構に与えるインパクト機構を、前記駆動源と前記変換機構との間に介在させて設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刈込機において、前記インパクト機構は、前記駆動源により回転駆動される駆動軸と、打撃部を有し、前記駆動軸に嵌合して共に回転運動を行うハンマと、前記打撃部と係合する被打撃部を有して前記変換機構に連結され、前記打撃部と前記被打撃部との係合により前記ハンマと共に回転運動を行うアンビルと、前記変換機構に規定値を超えた負荷が作用した場合に前記駆動軸の回転運動を前記ハンマの前記アンビルからの後退運動に変換するカム機構と、前記ハンマの後退により前記駆動源の駆動力を蓄積すると共に、前記ハンマの後退により前記打撃部と前記被打撃部との係合が外れた後に打撃を伴って前記打撃部と前記被打撃部とを係合させるバネと、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の刈込機において、前記変換機構は、前記アンビルに対面して設けられると共に前記アンビルと前記ブレードとに連結された偏心カムを備え、前記アンビルの径は、前記偏心カムの径よりも大きく形成され、前記アンビルは、前記偏心カムの前記アンビル側への移動を規制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、駆動源の出力を増大させることなく切断能力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態を図1ないし図5に基づいて説明する。図1は、本実施形態の刈込機を示す側面図、図2は、その一部を示す底面図、図3は、刈込機の内部構造を示す縦断側面図である。
【0010】
図1ないし図3に示すように、刈込機1は、本体部2と、この本体部2から突出して設けられたバリカン刃部3とを有している。この刈込機1は、概略的には、本体部2に内蔵した駆動源であるモータ4が発生する回転運動を駆動伝達系5でバリカン刃部3のブレード6,7の往復運動に変換し、ブレード6,7の側縁に設けたバリカン刃6a(上刃),7a(下刃)により、植木や生け垣の枝等の切断を行うものである。
【0011】
刈込機1は、図1での左側をユーザに近い側(手前側)として、グリップ8と補助グリップ9とを把持して使用される。また、本体部2の前部(図1での右側の部分)には、保護カバー10が装着されている。
【0012】
この刈込機1には、本体部2から前方に向けて、相互に平行な上押板11及び下押板12が延設されており、これら上押板11及び下押板12の間に、一対(二枚)の重設されたブレード6,7が狭持されている。ブレード6,7は、結合部13によって相対的に往復運動可能に締結されており、二つのブレード6,7が長手方向に往復運動することで、上側のブレード6の側縁に形成された上刃6aと下側のブレード7の側縁に形成された下刃7aとの間の間隙14に導入された枝等の切断対象物(図示せず)が切断される。
【0013】
図4は、駆動伝達系5を示す縦断側面図、図5は、その底面図である。駆動伝達系5は、モータ軸21に連結された減速機構22と、モータ4が発生させた回転運動をブレード6,7の往復運動に変換する変換機構23と、減速機構22と変換機構23との間に介在して設けられ減速機構22からの出力を連続的又は打撃によって変換機構23に伝達するインパクト機構24とを備えている。
【0014】
減速機構22は、モータ軸21の先端部(下端部)に設けられたピニオンギヤ25に噛み合う一対のプラネットギヤ26、ハウジング27に固定されたリングギヤ28などから構成される遊星歯車機構である。プラネットギヤ26は、軸29を介して駆動軸30に回動自在に連結している。この減速機構22は、モータ軸21の回転を減速して駆動軸30に伝達する。
【0015】
変換機構23は、ブレード6,7に連結されこれらのブレード6,7を往復運動させるための偏心カム31(31a,31b)を有している。偏心カム31は、略円盤状に形成され、後述するインパクト機構24の出力軸43下部の上下にそれぞれ中心をずらして固定され、出力軸43の回転により回転する。また、偏心カム31は、互いに回転の位相が180度ずれるように配置され、上側の偏心カム31aが前側に突出したときには、下側の偏心カム31bが後側に突出し、上側の偏心カム31aが後側に突出したときには、下側の偏心カム31bが前側に突出するようになっている。また、ブレード6,7には、それぞれ偏心カム31a,31bと係合する図示しない連係孔が設けられ、連係孔に偏心カム31a,31bが係合してブレード6,7が差動的に前後方向に往復運動する。
【0016】
インパクト機構24は、変換機構23に作用する負荷が規定値以下の場合には、モータ4からの駆動力を連続的に変換機構23に伝達し、変換機構23に作用する負荷が規定値を超えた場合にはモータ4からの駆動力を蓄積しこの蓄積した力を打撃により変換機構23に与えるものである。
【0017】
具体的には、インパクト機構24は、駆動軸30、ハンマ41、アンビル42などによって構成されている。ハンマ41は、出力軸43側の面に突出形成された打撃部44を備えた略円筒形状を有する部材であり、カム機構45を介して駆動軸30に回転自在に外嵌している。このカム機構45は、駆動軸30の外周面適所に形成された断面V字形のカム溝46aと、ハンマ41の内周面に形成されたカム溝46bと、両カム溝46a,46bに係合する剛球47とを備えて構成されており、ハンマ41は、このカム機構45により駆動軸30に対し相対的な軸方向の移動及び軸周り方向の移動を案内される。また、ハンマ41は、バネであるコイルバネ48によりアンビル42側(下側)に付勢されている。
【0018】
アンビル42は、出力軸43と連結された輪状の基部49と、該基部49から外周側に突出する被打撃部50とを有して形成されており、通常時、軸方向において、この被打撃部50がハンマ41の打撃部44と係合する位置に配設されている。これにより、ハンマ41が回転したときに、ハンマ41の打撃部44がアンビル42の被打撃部50に係合すし、アンビル42がハンマ41と共に回転する。なお、出力軸43は、ハウジング27に設けられた軸受51によって回転自在に保持されているととともに、偏心カム31に連結されている。
【0019】
このインパクト機構24では、変換機構23の出力軸43の負荷(トルク)が規定値以下の場合では、ハンマ41の打撃部44とアンビル42の被打撃部50とが常に係合した状態となり、モータ4の駆動力が駆動軸30、カム機構45、ハンマ41の打撃部44、アンビル42の被打撃部50を介して出力軸43に連続的に伝達される。
【0020】
出力軸43にかかる負荷が規定値を超えると、ハンマ41が駆動軸30に対して相対的に回転し、このとき、カム機構45の誘導によりハンマ41がコイルバネ48の付勢力に抗してアンビル42から後退(上昇)し、ハンマ41の打撃部44とアンビル42の被打撃部50との係合が外れる。即ち、カム機構45は、アンビル42に規定値を超えた負荷が作用した場合に駆動軸30の回転運動をハンマ41のアンビル42からの後退運動に変換している。この間、コイルバネ48は圧縮され、コイルバネ48にモータ4の駆動力が蓄積される。そして、打撃部44が被打撃部50を乗り越えると、コイルバネ48の付勢力によってハンマ41がカム機構45の誘導により出力軸43側に移動し、ハンマ41の回転により再びハンマ41の打撃部44がアンビル42の被打撃部50に衝撃的に係合し、この被打撃部50に回転方向の打撃を与える。この打撃は、コイルバネ48が蓄積したモータ4の駆動力によるものである。
【0021】
このような構成において、例えば切断対象物としての枝が細く、ブレード6,7から変換機構23にかかる負荷が規定値以下の場合には、インパクト機構24によってモータ4からの駆動力が連続的に変換機構23に伝達されて枝を切断することができる。一方、例えば枝が太く、変換機構23に作用する負荷が規定値を超えた場合には、インパクト機構24が、モータ4からの駆動力を蓄積しこの蓄積した力を打撃により変換機構23に与え、これにより、太い枝を切断することができる。このように、本実施形態では、モータ4と変換機構23との間にインパクト機構24を介在させて設けたことにより、モータ4の出力を増大させることなく刈込機1の切断能力を向上させることができる。また、これにより、庭木剪定前に太い枝を鋸で切断する必要がなく、庭木剪定作業の効率を向上させることができる。
【0022】
また、インパクト機構24により刈込機1の切断性能を向上させているので、刈込機1の切断性能を向上させるためにモータ4を大きくする場合に比べて、刈込機1の小型化、軽量化を図ることができる。
【0023】
また、従来では、バリカン刃6a,7a間に異物を噛み込むと、ブレード6,7がロックしその衝撃力が直接駆動伝達系に伝わるので、駆動伝達系を構成するギヤの強度を高いレベルで確保する必要があったが、本実施形態では、規定値を超えた負荷が変換機構23に加わると、インパクト機構24の動作により変換機構23への力の伝達が打撃に切り替わることから、インパクト機構24がクラッチの機能を果たし、駆動伝達系5の各部を保護することができる。
【0024】
また、刈込機1の通常時(連続切断時)の切断能力は、モータ4の出力により決定され、打撃時の切断能力は、コイルバネ48のバネ定数により決定される。従って、モータ4及びコイルバネ48の組み合わせにより、通常時の切断能力と打撃時の切断能力の様々なバリエーションを実現することができる。
【0025】
次に、本発明の第2の実施形態を図6に基づいて説明する。前述した実施形態と同じ部分は、同一符号で示し説明も省略する。
【0026】
図6は、本実施形態の駆動伝達系5を示す縦断側面図である。本実施形態では、駆動伝達系5のアンビル42が偏心カム31aに対面して近接して設けられるととともに、アンビル42の径が偏心カム31aの径よりも大きく形成されている。この構造では、アンビル42が偏心カム31aの上方への移動、即ち、アンビル42側への移動を規制している。
【0027】
このような構成においては、偏心カム31aがアンビル42に上方(アンビル42側)への移動を規制されているので、偏心カム31aに連結されたブレード6が上に移動するのが防止される。従って、ブレード6が異物や太い枝を噛み込んだときに生じる力などで、偏心カム31とブレード6との連結が外れることが防止される。
【0028】
なお、本発明は、本実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、ブレード6,7のうちの一方のみを往復運動させてもよい。また、インパクト機構24としては、例えばオイル式のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態の刈込機を示す側面図である。
【図2】その一部を示す底面図である。
【図3】刈込機の内部構造を示す縦断側面図である。
【図4】駆動伝達系を示す縦断側面図である。
【図5】その底面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の駆動伝達系を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 刈込機
4 モータ(駆動源)
6 ブレード
6a バリカン刃
7 ブレード
7a バリカン刃
23 変換機構
24 インパクト機構
30 駆動軸
31 偏心カム
41 ハンマ
42 アンビル
44 打撃部
45 カム機構
48 コイルバネ(バネ)
50 被打撃部

【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地
【出願日】 平成17年3月28日(2005.3.28)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100108707
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 友之

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【公開番号】 特開2006−271231(P2006−271231A)
【公開日】 平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願番号】 特願2005−93252(P2005−93252)