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【発明の名称】 袋培地栽培法および袋培地
【発明者】 【氏名】金子 良成

【氏名】榊原 正典

【氏名】今川 正弘

【氏名】加藤 俊博

【氏名】彦坂 直政

【氏名】仲谷 政弘

【要約】 【課題】施設園芸栽培では、周辺地下水位の変動や排水不良な土壌条件により潅水制御が困難となり、作物品質を低下させるばかりでなく、土壌病害の発生による大幅な減収を引き起こしている。そこで、肥料袋等を再利用して1袋に1株の作物を栽培する袋栽培が提案されたが、少量土壌の管理が難しく、湿害や干ばつになり、普及しなかった。

【解決手段】微細な孔を穿孔することにより通気性を有する30リットルの袋体に、軽量培土と土砂とを適度な配合比で混合して封入した袋培地3を設ける。この袋培地の上面に、4株の作物定植穴8を空け、定植苗7の入った無底のポット5を置いて定植し、水分センサ14を用いて点滴潅水チューブ6により少量潅水を高頻度に行って最適培土水分を維持することを特徴とする袋培地栽培法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製からなるシートの一部または全部に通気性を有する微細な孔を多数穿孔し、このシートにより容量30リットルを目安とした袋体を構成し、この袋体に複数種類の軽量培土および土砂を配合かつ混合して全体比重を0.8以下とした培土を封入し、1袋25kg以下の重量とすることを特徴とする作物栽培用の袋培地。
【請求項2】
ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製からなる厚さ0.22mm以下のシートの一部または全部に通気性を有する0.5mm以下の微細な孔を多数穿孔し、このシートにより容量30リットルを目安とした袋体を構成し、この袋体に複数種類の軽量培土および土砂を配合かつ混合して全体比重を0.8以下とした培土を封入し、1袋25kg以下の重量とすることを特徴とする作物栽培用の袋培地。
【請求項3】
請求項1または2に記載の袋培地を使用する袋培地栽培法であって、前記袋培地を一定間隔で列状に並べ、それぞれの袋培地の袋体上面に、所定のサイズで、所定の間隔に熱処理によって複数株の作物の定植用穴を開け、該定植用穴に定植することを特徴とする袋培地栽培法。
【請求項4】
前記定植は、ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製からなる無底のポットに入れた定植苗を、前記定植用穴に置くことにより完了する定植である請求項3記載の袋培地栽培法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の袋培地を使用する袋培地栽培法であって、前記袋培地を一定間隔で列状に並べ、それぞれの袋培地の袋体上面に、所定のサイズで、所定の間隔に熱処理によって複数株の作物の定植用穴を開け、ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製からなる無底のポットに入れた定植苗を、上記定植用穴に置いて定植し、上記無底のポット上に、定植苗1株に対して1か所の点滴孔を有する点滴潅水チューブを配置して、その点滴潅水チューブにより作物生育に必要な液肥給水および潅水をするとともに、その点滴潅水チューブの重量で定植苗を固定することを特徴とする袋培地栽培法。
【請求項6】
前記潅水は、前記袋培地内に設置した土壌水分センサにより検出される土壌の水分状態と、作物生育ステージ別に設定される培地の好適水分状態とを比較しつつ、上記袋培地内の保水容量に合わせて1回の潅水量を少量にしてなる潅水であり、過剰な潅水量による上記袋培地からの肥料の溶脱または排液を抑制し、施肥効率および潅水効率を向上させてなる環境保全型とした請求項5記載の袋培地栽培法。
【請求項7】
前記点滴潅水チューブは、所定使用水圧範囲内で一定の吐出量を有し、かつ一定間隔に設けられた点滴孔を有する点滴潅水チューブであり、この点滴潅水チューブの点滴孔のうち、不要となる点滴孔を閉鎖して作物の定植間隔に応じて吐出位置を合致させるようにしてなる請求項5または6記載の袋培地栽培法。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれかに記載する袋培地栽培法であって、作物体から収穫した後、前記無底のポットと袋培地との境界を鋸鎌、刈り込み挟み、その他の切断器具により切断し、上記無底のポットとともに収穫後の作物体を撤去し、上記袋培地内に作物根を残存させて放置乾燥後、次作の無底のポットに入れた定植苗を同じ場所に定植し、これを複数年にわたって繰り返すことを特徴とする袋培地栽培法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、施設園芸における栽培方法および培地に関し、特に培地を隔離して栽培する袋培地栽培法と、その栽培方法において使用する所定の袋に軽量培土を封入してなる袋培地に関するものである。ここで、袋培地栽培法とは、適度な培地の保水性と透水性の広がりを持たせるため、バーク堆肥、軽石、ピートモス、バーミキュライト等の軽量培土と土砂とを適度な配合比で混合して袋に封入し、当該袋培地を栽培に使用する栽培方法である。
【背景技術】
【0002】
従来の地床栽培(圃場の土壌に定植する栽培方法)での作物生産は、周辺地下水位の変動や排水不良の土壌条件により潅水制御が困難となり、作物品質を低下させるばかりでなく、青枯病等の土壌病害の発生による大幅な減収を引き起こしている例が多い。土壌病害対策では抵抗性台木による接木苗の導入や土壌消毒が行われているが、接木苗の導入は自根苗に比べて約2倍の経費がかかり、また、土壌消毒では簡便に使用でき強力な土壌消毒力を持つ臭化メチルの使用が平成17年以降禁止となり、その代替策に苦慮しているのが現状である。
【0003】
これらの問題を解決するため、隔離床栽培(コンクリートパネル、FRP、ポリエチレン、発泡スチロール等で構成される栽培容器により地床から隔離する栽培方法)、または養液栽培(ロックウール栽培または水耕栽培に代表される栽培方法)が取り入れられているが、いずれも設置費用が非常に高価であり、栽培に伴う高度な技術や労力が必要であるため、広範囲な普及に至っておらず、また、栽培上排出される排液も多いという問題点を有していた。
【0004】
一方、バッグカルチャーと呼ばれる袋栽培の方法が近年提案されている(非特許文献1参照)。このバッグカルチャーは、肥料袋等を再利用して袋に土砂を詰め、1袋に1株の作物を栽培する形態のものであり、袋体を栽培容器となし、栽培容器を支える架台等も必要がなく、設置も容易で設置コストも安価であり、土壌病害が発生しても袋単位の除去ができるので、非常に利便性の高い栽培方法であった。
【0005】
また、土壌を袋に充填して培地とする袋培地に関連する従来技術としては、フィルムで構成されたプランター形成材料(特許文献1参照)、または、ポリオレフィン系フィルムに培土を充填した袋(特許文献2参照)があったが、これらは、いずれも家庭菜園用であって、農家による施設園芸として使用するには肥料および潅水などの管理に手間がかかるものとなっていた。
【非特許文献1】http://www.oceantrading.co.jp/farm/link/b−system.htm
【特許文献1】特開平10−23834号公報(3頁・図1)
【特許文献2】特開2001−157517号公報(4頁・図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のバッグカルチャーは、上記のとおり、肥料袋が再利用されていることから、通常のビニール製またはその他合成樹脂製であるため袋体の通気性がなく、袋中の土壌が過湿となりやすかった。同様に、プランター形成材料およびポリオレフィン系フィルム製袋についても通気性に欠けていた。
【0007】
また、1袋当たりの土壌量が多いほど保水量も大きくなり、当該土壌量を多くすることによって潅水制御が容易になるが、その反面、全体が大重量となるため、園芸用施設への運搬と設置に多大の労力を要することとなり、簡便さに欠けていた。さらに、これらの運搬・設置に費やさなければならないコストに加え、栽培面積当たりの定植本数に対する必要な袋数と、袋ごとの栽培管理上の手間などを総合的に考えると、適正な1袋当たりの培土量と定植本数を検討すべき必要があった。
【0008】
さらに、バッグカルチャーのような袋栽培では、培土が袋単位で独立しており、土壌病害等が発生しても袋単位で除去して最小限の被害に抑えることができる反面、袋ごとの液肥給水量や潅水量が均一でないと不揃な生育となっていた。しかも、図7に示すように、従来の点滴潅水は、点滴潅水用本管10から幾本かの点滴潅水用枝管9で分岐して定植苗7の株元に潅水する点滴ノズル方式を採用していたため、配管の距離や点滴位置の高低によって給水量がばらつき、均一な栽培ができなかった。
【0009】
また、一般的な潅水管理方法は、最初に作物の1日あたりの消費水量を決めて、農家がタイマー等で潅水開始時刻と潅水時間を設定して数回に分けて潅水していたが、一日のうちの天候変化や作物の生育段階で変動する水分要求量に対応した適切な潅水制御は困難であった。そのため、ロックウール栽培では給液量のうち2〜3割に相当するものが作物に吸収されずに排液となり、袋栽培においても過剰潅水となって湿害が起こっていた。特に、平成11年7月に施行されたいわゆる農業の環境三法により、発ガン物質とされる硝酸態窒素の農地からの流出は、10mg/Lを限度に禁止されることとなり、環境保全型農業の展開が要求されるとともに、排液が僅少となる潅水システムが切望されている。
【0010】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、通気性のよい袋に適正な培土量を封入してなる袋培地と、この袋培地を使用して湿害防止および排液削減を可能にする袋培地栽培法とを提供することである。さらには、土壌条件に左右されることなく、かつ土壌病害に強い培土を提供し、低コストかつ省力な高品質および高収量の作物栽培を実現し、また、誰もが減肥および節水できる作物の安定生産技術の確立を最終目標としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、袋培地にかかる本発明は、ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製からなるシートの一部または全部に通気性を有する微細な孔を多数穿孔し、このシートにより容量30リットルを目安とした袋体を構成し、この袋体に複数種類の軽量培土および土砂を配合かつ混合して全体比重を0.8以下とした培土を封入し、1袋25kg以下の重量とすることを特徴とする作物栽培用の袋培地を要旨としている。
【0012】
上記構成の袋培地によれば、シートの一部または全体に微細の孔を多数穿孔したことにより、通気性が確保されることとなる。また、1袋当たりの重量を25kg以下とすることにより、園芸用施設への搬入が容易となるうえ、園芸用施設内での設置作業をも容易としている。このような重量を実現するために、培土全体の比重を0.8以下としており、この種の培土を構成するためには、バーク堆肥、軽石、ピートモス、バーミキュライト等の軽量培土と土砂とを適度な配合比で混合することとしている。さらに、1袋当たりの培地容量を30リットルとすることから、この30リットルを目安に果菜類では4株を定植することで栽培経済コストを確保するとともに、適度な保水性と透水性の広がりを実現するものである。
【0013】
なお、これまで報告された少量培地栽培における培土量は、滋賀県農業試験場の1株当たり15リットルが最小限であったが、本発明によれば、30リットルを目安に4株の果菜類を定植させるため、上記の半分である1株当たり7.5リットルまで作物栽培の必要培土量を大幅に削減することができる。すなわち、本発明により安定生産できる最大のメリットは、30リットルの培地に4株を栽培することにあり、個別に独立させた7.5リットルの培地に1株を栽培する場合に比較して遙かに収量が多く安定生産できるのである。つまり、本発明における4株の作物根は30リットルの培土全体に渾然一体と根を張り、1株が支配する根域培土量は30リットルそのものであって、従来のように1袋に1株の作物を栽培する場合とは全く異なるものである。
【0014】
また、袋培地にかかる本発明は、ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製からなる厚さ0.22mm以下のシートの一部または全部に通気性を有する0.5mm以下の微細な孔を多数穿孔し、このシートにより容量30リットルを目安とした袋体を構成し、この袋体に複数種類の軽量培土および土砂を配合かつ混合して全体比重を0.8以下とした培土を封入し、1袋25kg以下の重量とすることを特徴とする作物栽培用の袋培地をも要旨としている。
【0015】
上記構成の袋培地によれば、培地を封入する袋が十分な耐久性および柔軟性を備えることとなり、園芸用施設内における袋培地の設置作業(袋培地の取扱いおよび設置方向の調整など)が簡便となる。また、シートの一部または全部に穿孔される微細な孔を0.5mm以下とすることにより、気体のみを通過させこととなり、通気性を確保することができる。なお、この微細な孔は、土壌や水を通過させるものではない。
【0016】
一方、袋培地栽培法にかかる本発明は、請求項1または2に記載の袋培地を使用する袋培地栽培法であって、前記袋培地を一定間隔で列状に並べ、それぞれの袋培地の袋体上面に、所定のサイズで、所定の間隔に熱処理によって複数株の作物の定植用穴を開け、該定植用穴に定植することを特徴とする袋培地栽培法を要旨としている。
【0017】
上記の袋培地栽培法によれば、園芸用施設の圃場面積に応じて最適な数の袋培地を列状に並べることにより、列ごとに給液および潅水状態を管理できる。また、ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製の袋体に対して、環状端縁を有する金属製器具を加熱したうえ当接することにより、当該端縁に沿って袋体の表面を溶断することができ、この溶断により設けられる環状の穴を定植用穴として定植に利用できるものである。そして、上記定植用穴に定植苗を置くことのみによって定植作業を可能にするものである。なお、上述のように、30リットルの袋培地に4株を定植する場合には、袋培地の上面(袋培地を列状に設置したときに上側となった表面)に4個所の定植穴を適宜間隔で設けることとなる。
【0018】
ここで、上記発明における定植が、ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製からなる無底のポットに入れた定植苗を、前記定植用穴に置くことにより完了する定植である袋培地栽培法とすることができる。この方法によれば、定植苗をポットから取り出すことなくポットに収容された状態が維持されつつ定植を可能にするものである。
【0019】
また、袋培地栽培法にかかる本発明は、請求項1または2に記載の袋培地を使用する袋培地栽培法であって、前記袋培地を一定間隔で列状に並べ、それぞれの袋培地の袋体上面に、所定のサイズで、所定の間隔に熱処理によって複数株の作物の定植用穴を開け、ポリエチレン製またはその他の合成樹脂製からなる無底のポットに入れた定植苗を、上記定植用穴に置いて定植し、上記無底のポット上に、定植苗1株に対して1か所の点滴孔を有する点滴潅水チューブを配置して、その点滴潅水チューブにより作物生育に必要な液肥給水および潅水をするとともに、その点滴潅水チューブの重量で定植苗を固定することを特徴とする袋培地栽培法を要旨としている。
【0020】
上記の袋培地栽培法によれば、無底のポットによって定植された定植苗に対する液肥給水および潅水は、点滴潅水チューブの本管に設けられた点滴孔から供給することができ、分岐管を使用した場合に比較して均一かつ安定した液肥給水および潅水を可能にするものである。また、無底のポットにより定植された定植苗は、当該ポットが袋体の定植用穴に置かれた状態であるが、点滴潅水チューブの重量を上記ポットに作用させることで、当該ポットの固定に寄与するものとなる。
【0021】
ここで、上記発明における潅水が、前記袋培地内に設置した土壌水分センサにより検出される土壌の水分状態と、作物生育ステージ別に設定される培地の好適水分状態とを比較しつつ、上記袋培地内の保水容量に合わせて1回の潅水量を少量にしてなる潅水であり、過剰な潅水量による上記袋培地からの肥料の溶脱または排液を抑制し、施肥効率および潅水効率を向上させてなる環境保全型とした構成としている。
【0022】
このような構成にすれば、袋培地内への過剰な液肥給水および潅水を抑え、肥料の溶脱または排液を抑制することとなる。このような潅水制御には、特開2002−281842号(特願2001−92706号)公報において開示される潅水制御装置が使用される。この潅水制御装置は、少量高頻度潅水法を実現するための装置であって、これを利用することにより、1株当たりの根域培土量が大幅に削減された上述の袋培地を使用する袋培地栽培法を実現することができる。なお、土壌水分センサとしては、特開2002−286711号(特願2001−92707号)公報において開示されるテンシオメータを使用することができる。このテンシオメータを使用することにより、高精度かつ安価に袋培地内の土壌水分量を検出することができる。
【0023】
また、上記発明における点滴潅水チューブが、所定使用水圧範囲内で一定の吐出量を有し、かつ一定間隔に設けられた点滴孔を有する点滴潅水チューブであり、この点滴潅水チューブの点滴孔のうち、不要となる点滴孔を閉鎖して作物の定植間隔に応じて吐出位置を合致させるようにしてなる構成としている。
【0024】
このような構成にすれば、所定圧力以上で一斉潅水をすることで、所定圧力以下において一斉止水する際のボタ落ち現象をなくすことができる。このような所定使用圧力範囲内で一定量を吐出するためには、圧力補正機構を有する点滴潅水チューブを使用する。なお、ボタ落ちとは、点滴潅水チューブの水圧がなくなったとき、点滴潅水チューブ配管中の低い部分に点滴潅水チューブ内の残存水が集中し、その近傍の点滴孔からボタボタと滴下する現象をいい、生育ムラを引き起こすばかりでなく、湿害の原因ともなり得るものである。圧力補正機構を有する点滴潅水チューブとは、所定の圧力以上でなければ点滴孔から滴下しない構成の点滴潅水チューブをいう。
【0025】
さらに、袋培地栽培法にかかる本発明は、請求項4ないし8のいずれかに記載する袋培地栽培法であって、作物体から収穫した後、前記無底のポットと袋培地との境界を鋸鎌、刈り込み挟み、その他の切断器具により切断し、上記無底のポットとともに収穫後の作物体を撤去し、上記袋培地内に作物根を残存させて放置乾燥後、次作の無底のポットに入れた定植苗を同じ場所に定植し、これを複数年にわたって繰り返すことを特徴とする袋培地栽培法を要旨とする。
【0026】
この袋培地栽培法によれば、地床栽培のように、収穫終了後の株を引き抜いたり、隔離床栽培のように定植位置を換えるなどの必要がない。すなわち、無底のポットと袋培地との境界を切断するだけで、作物根を除く作物体を撤去することができ、他方、袋培地内に残存する作物根は、次作の定植株の生育とともに袋培地内で腐植することとなる。従って、作物体の撤去後から次作の定植までの期間を短縮することが可能であり、圃場の利用効率を高めることができる。また、長期間放置して作物根を十分腐敗させたのちに次作の定植を行うこともできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の袋培地によれば、通気性のよい袋に適正な培土量を封入してなる袋培地を提供することができる。すなわち、25kg以下の30リットル程度の袋培地は、運搬および設置が困難となる程の重量ではなく、かつ、作物が十分に生育した状態において作物体の重量によってバランスを失することもないのである。また、微細な孔の穿孔により通気性を確保したので、袋内の土壌が過湿となることを防止する。
【0028】
一方、本発明の袋培地栽培法によれば、少量の液肥給水および潅水によって栽培することが可能となる。従って、過剰な液肥給水および潅水による湿害を防止でき、かつ、肥料の溶脱や排液を防止し、袋培地からの排液を削減するものである。特に、本発明は、元肥を施肥するのではなく、その日に消費する肥料分を早朝に1度潅水中に液肥で混入して施肥することから、液肥と潅水を別々に供給し、日々の気象条件等に応じた量の肥料分を低濃度で供給することができ、生育期間中の培土のEC(電気伝導度)も小さく維持されて残留肥料が少なく、生育を安定させる結果となる。
【0029】
さらに、上述のテンシオメータを使用して土壌水分を正確に検出し、この検出値に基づいて上述の自動潅水制御装置により潅水制御することにより、天候の変化や生育ステージに応じた適切な潅水ができ、過剰な潅水をなくして排液が僅少または皆無となる作物栽培システムを構築することができる。
【0030】
また、無底のポットを使用することにより、定植作業は、当該無底のポットを定植用穴に置くだけで、無底のポットに入れた定植苗を定植することができ、また、収穫後においては、上記無底のポットと袋体との境界を切断するだけで、作物体を撤去することができる。従って、定植作業および撤去作業が簡便かつ迅速となる。
【0031】
上記の発明により、土壌条件に左右されることなく、かつ土壌病害に強い培土を提供でき、低コストかつ省力な高品質および高収量の作物栽培を実現することができる。また、誰もが減肥および節水を可能にしつつ、作物の安定生産技術の確立に資するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。袋培地栽培法にかかる本発明の実施形態は、隔離培地栽培のうち低コストを実現できる袋培地栽培を基本として、養液土耕栽培を導入するとともに、土壌水分センサによる潅水制御を使用した少量高頻度潅水法を採用し、点滴潅水チューブを使用する新しい袋培地栽培法である。
【0033】
本実施形態の構成要素は、図1〜図3に示すように、圃場全面のグランドシート1、防根透水シート2、袋培地3、熱処理により設けた定植用穴8、この定植用穴に定植される無底のポット5に入れられた定植苗7、この無底のポットの上に配置される点滴潅水チューブ6、土壌水分センサ14、および、潅水制御器17である。
【0034】
グランドシート1は、雑草および土壌病害を持つ地床土壌から土埃を抑えるために敷設されるものであり、整地した施設園芸圃場内の地面の全体に設けられる。また、防根透水シート2は、作物根が圃場内の地床に侵入するのを防止するためのものであり、透水性を有するシートが設置すべき袋培地3の列に沿って帯状に敷設されるものである。
【0035】
袋培地3は、50cm×30cm×20cm(容積30リットル)の袋体に約19kgの培土を封入したものであり、その長さ方向を上記防根透水シート2の長手方向に合致させつつ直線状に配置するのである。ここで、袋培地3の実施形態を説明すれば、上記袋体に、バーク堆肥、軽石、ピートモス、バーミキュライト等の軽量培土と、マサ土(花崗岩の風化物であり、さば土ともいう)とを適度な配合比で混合してなる培地が封入されてなるものである。また、封入される培地は、全体の比重を0.64としており、30リットルの当該培地を袋体に封入することにより、袋培地3の全体重量を19kg程度にしている。上記袋体は、0.13mmの肉厚のポリエチレン製シートで構成され、直径約0.06mmの微細孔が縦横それぞれ5mmの間隔で帯状に多数穿孔されている。この袋体を構成するシートは、ポリエチレン製であることが好ましいが、他の合成樹脂を使用することも可能である。また、種々のシートを検討した結果、肉厚は、0.22mm以下であれば十分な柔軟性を有し、また、微細孔の大きさを変更しつつ作物根の挿通を試したところ、直径0.5mm以下であれば、作物根が挿通することはない。
【0036】
なお、袋培地を上述のような大きさとすることにより、袋培地3の長辺方向(50cmの方向)を直線状に配置するとき、それらの中心間の距離を80cmとすれば、相互に隣接する袋培地3の端面は30cmの間隔となる。
【0037】
定植用穴8は、上記袋培地3の上面に4か所設けられている(図1参照)。これは、1袋の袋培地当たり4株の定植を予定しているからである。上記定植用穴8は、直径10cmの円形の穴であり、袋体の表面を円形に溶断して構成している。この溶断は、例えば空き缶のような形状の円環状端縁を有する金属製部材を加熱し、その端縁をシート表面に当接させることによって行われる。また、上記定植用穴8に相当する面積分を溶融させて排除することによって円形の穴を構成することも可能である。この場合は、例えば、空き缶のような形状の有底の円筒容器に炭火を入れ、当該円筒容器の底面を加熱するとともに、定植用穴8を設けるべき位置に上記円筒容器の底面を当接することによって、当該範囲のシート部分を溶融除去することが可能となる。なお、上記定植穴8は、袋培地3の上面において、長さ方向に20cmの中心間距離を有し、かつ幅方向に17cmの中心間距離を有して4か所に設けられ、ちょうど、袋培地3の上面の略長方形の内側において長辺を同じ向きにした長方形の4つの角に定植穴8が配置されるように設けられる。
【0038】
無底のポット5は、定植苗を入れた3号サイズ(直径9cm)のポリエチレン製の有底ポットを使用し、その底部のみを切除したものである。この有底ポットそのものは、上部開口部から底部に向かって小径となるテーパ状側面で構成されており、底部の切除によって定植苗が底部側から落下することはない。上記のように構成された無底のポット5を使用して定植する場合には、当該ポット5を上述の定植用穴8に置くだけである(図2参照)。なお、無底のポット5に入った定植苗7を作るには、最初から無底の(底部を切除した)ポット5を使用して定植苗7を育てるか、有底のポット鉢で育てた定植苗を定植時に無底のポット5に移し換えても良い。
【0039】
無底のポット5によって上記のように定植された作物体は、図5のように十分に生育した後においても無底のポット5の内側に存在することとなる。従って、収穫後の作物体の片づけ撤去作業においては、無底のポット5と袋培地3との境界を鋸鎌や刈り込み鋏等で切断することによって、作物体と作物根とを分離することができる。そして、無底のポット5とともに収穫済み作物体を片づけることができる。一方、作物根は、袋培地3の内部に残存することとなるが、この作物根は袋培地3の内部において徐々に腐植することから、この袋培地3に作物根を残存させた状態のまま再度袋培地として使用することができる。なお、このときの定植においても、上述の無底のポット5を定植用穴に置くだけでよく、これを繰り返すことにより、3〜5年の複数年にわたって同じ袋培地3を使用しつつ作物の栽培をすることができる。
【0040】
点滴潅水チューブ6は、停止圧が0.14kgf/cm2で、1〜4kgf/cm2の使用圧力範囲内で一定量を吐出する圧力補正機能を有しており、一斉止水を可能とするとともに、止水時におけるボタ落ち現象をなくし、また、一斉潅水時に所定量を吐出するものである。本実施形態で使用する点滴潅水チューブは、1〜4kgf/cm2の範囲内の使用圧力において吐出量が1分当たり26.7cc程度のものを使用している(例えば、ネタフィム社製ユニラム17など)。この点滴潅水チューブを使用する場合、200ccの水を約7.5分で潅水できることとなる。また、上記の点滴潅水チューブ6には、20cmの間隔で点滴孔12が設けられており、点滴潅水チューブ6の内壁には、上記点滴孔12と同じ20cmの間隔で圧力補正機構が装着され、各点滴孔12が上記圧力補正機構を介して点滴潅水チューブ6の表面で開口しているのである。これらのうち定植苗7が定植される位置の点滴孔12はそのまま開口させ、その他の点滴孔13は閉塞されるものである。
【0041】
この閉塞には、図4に示すような栓止め11によってなされる。この栓止め11は、C字形帯状の本体内壁に突出部を設けた構成の樹脂製部材である。この栓止め11の両端の間隔を拡大させることにより、点滴潅水チューブ6に装着でき、この装着時に内壁の突出部を点滴孔13に挿入できる。そして、この突出部が点滴孔13に挿入されるとき、当該点滴孔13が閉塞されるのである。本実施形態においては、袋培地3の中心間距離を80cmとすることから、その上面に設ける定植用穴8を20cmの間隔で長手方向に2か所設けることにより、隣接する袋培地3の定植用穴8の中間は60cmの間隔となる。そこで、上記点滴孔13の2か所を閉塞することにより、上記60cmの範囲において止水することができる。また、袋培地3の上方において、2か所に設けられる定植用穴8の間隔に合致する2か所の点滴孔12から、それぞれに定植された作物に潅水することが可能となる。
【0042】
土壌水分センサ14は、圃場内に設置した袋培地3のうち、代表的なものに設置されている(図3参照)。それぞれの袋培地3に土壌水分センサ14を設置しないのは、第1に、低コストで制御させるためであること、第2に、袋培地3ごとに水分量を制御することは複雑となるうえ非効率的であること、第3に、土壌水分の差異は専ら日照の程度によって左右するが、これは同一圃場内でほぼ同様であると考えられること、第4に、潅水量を統一することにより各袋培地3の土壌水分状態が均一であると推測されることによるものである。
【0043】
そこで、潅水は、土壌水分センサ14により検出された水分量が、潅水制御器17により設定した最適培地水分量よりも少ないとき、当該土壌が乾燥状態であると判断し、潅水用電磁弁19を開き、1回に作物1株当たり200ccの少ない量の潅水が行われる。本実施形態では、1袋の袋培地3に対して4株を定植するものであるから、上記潅水により袋培地3の1袋当たり800ccの潅水量が供給されることとなる。これらの量の潅水は、袋培地3の全体容量30リットルに比較すれば非常に少量であり、培地に浸透した潅水が過剰となることはなく、当然に排液の発生を抑制させるものである。
【0044】
本実施形態は、上記のような構成であるから、約30リットルの培土に4株を栽培することによって、7.5リットルの培地に1株を栽培する場合に比較して遙かに収量が多く安定生産が可能となる。つまり、4株の作物根は約30リットルの培土全体に渾然一体と根を張り(図5参照)、1株が支配する根域培土量は30リットルそのものであり、従来法の1袋に1株の作物を栽培するバッグカルチャーに比較して効率的である。なお、これまで報告された少量培地栽培における培土量の最小値が15リットルであったのに対し、本実施形態では、1株当たり7.5リットルとなり、作物栽培の必要培土量を大幅に削減できることとなる。さらに、低コストかつ省力な作物栽培を実現し、減肥および節水を可能にしつつ、作物の安定生産技術の確立を可能にするものである。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において異なる態様をとることができるものである。例えば、上述の実施形態における袋培地3は、予め通気性を確保するための微細孔が穿孔されるものであり、袋培地3の設置後には、定植用穴8を穿設することについてのみ説明したが、袋体に排液を流出させるための排液孔を穿設する構成とした袋培地を使用することができる。この場合、図6に示すように、袋培地3の袋体の側面31,32を上下に向けて設置することにより、袋体のシール部33,34の一端が底部に存在することとなるから(図6(b)参照)、このシール部の一端付近の一辺2〜3cm程度とする三角部分21を切除することによって排液孔20を構成することができる(図6(c)参照)。
【0046】
このように、排液孔20を穿設する理由は、急激な気象条件の変化などにより作物体による吸収量が減少したとき、または、サンプリングされる(土壌水分センサを設けた)袋培地3の土壌水分状態よりも過湿状態であったときのように、想定外に潅水が過剰となった場合に備えるためである。すなわち、想定外に潅水が過剰となった場合、これを排出せずに放置すると根腐れなどの原因となることから、この過剰な分だけを排出できるようにするのである。従って、適度な潅水量が供給されている場合には、この排液孔20から排液が流出することはなく、いわゆる安全弁として機能させているのである。なお、圃場内の地面にはグランドシート1および防根シート2が敷設されていることから、排液孔20から作物根が外に出たとしても、作物根が圃場の土壌に到達することはなく、土壌病害に汚染される危険性はない。
【0047】
また、その他の態様としては、図2において示すように、袋培地3の周辺のほぼ全体を覆うように遮熱シート4を設ける構成とする場合がある。この遮熱シート4は、夏季期間中にあっては袋培地3および点滴潅水チューブ6の内部温度が不必要に上昇することを抑え、冬季期間中にあっては保温することを目的とするものである。従って、無底のポット5を置き、点滴潅水チューブ6を設置した後、全体を覆うように遮熱シート4を設けたときは、その状態を維持することにより、一年をとおして遮熱シート4の効果を得ることができる。しかし、この遮熱シート4は、必須の部材ではなく、圃場の状態に応じて敷設または撤去を繰り返すことは自在である。なお、無底のポット5の表面付近を遮熱シート4から外方に露出させるためには、当該部分にスリットや丸孔などが設けられる。
【0048】
袋培地栽培法にかかる本実施形態は上記のとおりであるから、本実施形態に基づく栽培法の具体的な実施手順は以下のとおりとなる。
【0049】
1.整地した施設園芸圃場内の地面の全面にグランドシート1を敷設する。このグランドシート1の表面のうち、袋培地3が整列されるべき範囲に防根シート2を帯状に敷設する。この防根シート2の上面に中心間距離を80cmに維持しつつ袋培地3を整列配置する。このとき、袋培地3は、長さ50cm、幅30cm、深さ20cmの大きさのものを使用し、その長辺方向を防根シート2の長手方向に向けて配置する。
【0050】
2.配置したそれぞれの袋培地3の上面に直径10cmの定植用穴8を設ける。この定植用穴8は、長辺方向の中心間距離を20cmとし、かつ幅方向の中心間距離を17cmとして合計4か所に設ける。全ての袋培地3について同様に定植用穴8を設けることにより、袋培地3の列に沿って、定植用穴8が2列に並んだ状態となる。なお、上記中心間距離は目安であって、正確な距離を有して設けることは必要ない。
【0051】
3.袋培地3の全部に定植用穴8を設けた後、各列に2本ずつの点滴潅水チューブ6を袋培地3の上に載せ、上記2列の定植用穴8に点滴孔12を合致させるように配管する。このとき、袋培地3が配置された位置を調整するなどして、点滴孔12を定植用穴8のほぼ中心に合わせるようにする。また、それぞれの袋培地3の無い区間において閉塞すべき点滴孔13には栓止め11を設ける。
【0052】
4.上記のように、袋培地3の位置が最終的に決定した時点で、袋培地3の底部の1ヶ所または2ヶ所に排液孔20を穿設する。この排液孔20は、上述のとおり、急激な条件変化などに対応すべく、念のために設けられるものであるから、排液孔20が不要であると判断される場合にはこの工程を省略する。
【0053】
4.次に、上記のように配管した点滴潅水チューブ6を持ち上げながら、それぞれの定植用穴8に定植苗7の入った無底のポット5を置いて定植し、この無底のポット5の上に、上記点滴潅水チューブ6を置いて当該ポット5を固定するとともに、点滴潅水チューブ6の位置決めを完了する。
【0054】
5.代表的な袋培地3を選択して上記土壌水分センサ14を設置するとともに、この土壌水分センサ14および点滴潅水チューブ6を潅水制御器17に接続し、水分制御しつつ最適な培地水分量となるように潅水を実施する。このときの最適な培地水分量は、作物の種類によって決定される生育ステージ毎に設定する。
【0055】
6.上記のように潅水制御された状態で収穫時期まで作物を生育させる。なお、必要に応じて袋培地3の全体を遮熱シート4で覆うようにする。
【0056】
7.収穫後の作物体は、無底のポット5と袋培地3との境界面を鋸鎌等で切断し、無底のポット5とともに除去する。これにより作物体の撤去作業を完了するが、無底のポット5は、回収して再利用する。
【0057】
8.次作は、作物根が残存する袋培地3をそのまま利用し、既に設けられている定植用穴8に無底のポット5に入れた定植苗7を置いて作物の栽培を行う。なお、点滴潅水チューブ6は、前作と同様のものを使用することができる。
【0058】
以上の手順により、同じ袋培地3を使用して3〜5年にわたって繰り返し栽培する。なお、複数年にわたって使用した袋培地3は処分するが、袋体は排プラスチックとして処理し、培地は有機物として農地に還元することができる。
【0059】
なお、夏季において、培地の太陽熱消毒を行う場合には、作物体を撤去した袋培地3を園芸施設内に残置し、そのまま施設を閉め切ることにより行うことも可能である。
【実施例】
【0060】
次に、上記実施形態による袋培地栽培法の実施例を説明する。本実施例は、上述の手順によりトマト(品種:桃太郎)を栽培したものであり、複数の列に配置する袋培地に1袋当たり4株の定植苗を定植し、第1作目に収穫されたトマトの収量および品質等を測定した。なお、比較例として、同一の園芸施設内において、従来の隔離培地栽培法により、同じ品種のトマトを同時に栽培した。その結果は、表1および表2に示すとおりである。
【0061】
【表1】


【0062】
【表2】


【0063】
表1のとおり1株当たりの収穫トマトの果数は、本発明定植区も従来移植区もともに同程度の24.5個であったが、1株当たりの収量は従来移植区よりも本発明定植区が多く、平均5.05kgであった。
【0064】
また、表2のとおり本発明定植区での品質は、奇形果および尻腐果は若干増加する傾向にあるが、空洞果の発生率が0%であり、従来移植区と比較して2.1%の良果率の増加となった。
【0065】
以上を総合的に判断すると、収量および品質の面で良い結果を得ることができた。なお、定植から収穫までを観察したところ、活着については従来の栽培法よりもやや遅れることが判明したが、収量および品質においては良好であることから、従来の栽培法よりも優れたものであると判断される。
【0066】
次に、上記実施形態における潅水制御における袋培地内の水分変動を検査したところ、表3に示すような結果を得ることができた。
【0067】
【表3】


【0068】
表3は、pF値2.2を乾燥限界とする潅水制御、およびpF値1.8を乾燥限界とする潅水制御を示しているが、いずれも適性に作動しており、設定pF値以上に乾燥するのを抑えている(pF値の大きい方がより乾燥状態を示す)。計測値が、設定pF値以上に若干越えるのは、潅水が培土中を浸潤して土壌水分センサに到達するまでのタイムラグが存在するためで、設定pF値に到達した時点において潅水は開始されており、作物への潅水の供給に何ら障害はない。このように適切な潅水制御を行うことにより、潅水管理の省力化を図るとともに、過剰潅水による湿害を防止し、排液の発生を抑制することができるものであると判断される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】袋培地栽培法にかかる実施形態による袋培地周辺を示す平面図である。
【図2】II−II断面図である。
【図3】袋培地栽培法にかかる実施形態による袋培地周辺を示す側面図である。
【図4】(a)は点滴潅水チューブと栓止めの状態を示す斜視図であり、(b)は栓止めを装着した状態の断面図である。
【図5】V−V断面図である。
【図6】他の実施形態に使用する袋培地を示す説明図である。
【図7】従来の潅水法を示す平面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 グランドシート
2 防根透水シート
3 袋培地
4 遮熱シート
5 無底のポット
6 点滴潅水チューブ
7 定植苗
8 定植用穴
9 点滴潅水用枝管
10 点滴潅水用本管
11 栓止め
12 点滴孔
13 栓止めした点滴孔
14 土壌水分センサ
15 液肥混入器
16 液肥制御器
17 潅水制御器
18 液肥用電磁弁
19 潅水用電磁弁
20 排液孔
【出願人】 【識別番号】000116622
【氏名又は名称】愛知県
【識別番号】592127459
【氏名又は名称】三河ミクロン株式会社
【出願日】 平成17年1月21日(2005.1.21)
【代理人】 【識別番号】100082773
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 肇

【公開番号】 特開2006−197871(P2006−197871A)
【公開日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願番号】 特願2005−13985(P2005−13985)