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【発明の名称】 栽培設備の植物促成装置
【発明者】 【氏名】平井 宏典
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】栽培設備において、植物の生長促進に炭酸ガスボンベ内の炭酸ガスを利用する方式を採用すると、炭酸ガスボンベの費用は高価であり且つ炭酸ガスは生長促進ガスとして大量に消費されるため、ランニングコストが嵩むという問題を解消する。

【解決手段】本発明の植物促成装置は、換気ファン12及びフィルタ部材13を有する酸素調節手段11と、計時用のタイマー14と、当該タイマー14の制御情報に基づいて換気ファン12の作動を制御するコントローラ15とを備える。フィルタ部材13は中空糸分離膜からなり、換気ファン12の換気通路17を塞ぐように配置される。日中は、換気ファン12の駆動により、温室1内からフィルタ部材13を介して酸素富化空気を温室外に放出する。夜間は、換気ファン12の駆動により、温室1外からフィルタ部材13を介して酸素富化空気を温室内に供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実、野菜又は花卉等の植物が栽培される温室等の栽培設備において、
空気を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離するガス分離モジュールを用いて前記栽培設備内の空気の酸素濃度を調節する酸素調節手段と、現在の時間帯を判別する時間帯判別手段と、当該時間帯判別手段の制御情報に基づいて前記酸素調節手段の作動を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする栽培設備の植物促成装置。
【請求項2】
前記酸素調節手段は、前記ガス分離モジュールと前記栽培設備内の換気を行う換気ファンとを備え、当該換気ファンのうち前記栽培設備内外に連通する換気通路を塞ぐように、前記ガス分離モジュールが配置されていることを特徴とする請求項1に記載した栽培設備の植物促成装置。
【請求項3】
前記ガス分離モジュールは平板状のフィルタ部材であることを特徴とする請求項2に記載した栽培設備の植物促成装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、果実、野菜又は花卉等の植物が栽培される温室等の栽培設備において、前記栽培設備内の空気の酸素濃度を調節することにより、前記植物の生長を促進させる植物促成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の栽培設備においては、炭酸ガス(CO2 )入りの炭酸ガスボンベを栽培設備内又は外に設置し、この炭酸ガスボンベからレギュレータを介して所定量の炭酸ガスを栽培設備内に供給することにより、栽培設備内の植物の光合成を人工的に促進させて、その生長を促すことが行われている(例えば特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開平7−274724号公報(段落0005等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記従来のように、植物の生長促進に炭酸ガスボンベ内の炭酸ガスを利用する方式を採用すると、その設備や施工は簡単であるものの、炭酸ガスボンベの費用は高価であり且つ炭酸ガスは生長促進ガスとして大量に消費されるため、ランニングコストが嵩むという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、このような問題を解消した栽培設備の植物促成装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決するため、請求項1の発明に係る植物促成装置は、果実、野菜又は花卉等の植物が栽培される温室等の栽培設備において、空気を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離するガス分離モジュールを用いて前記栽培設備内の空気の酸素濃度を調節する酸素調節手段と、現在の時間帯を判別する時間帯判別手段と、当該時間帯判別手段の制御情報に基づいて前記酸素調節手段の作動を制御する制御手段とを備えたというものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載した栽培設備の植物促成装置において、前記酸素調節手段は、前記ガス分離モジュールと前記栽培設備内の換気を行う換気ファンとを備え、当該換気ファンのうち前記栽培設備内外に連通する換気通路を塞ぐように、前記ガス分離モジュールが配置されているというものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載した栽培設備の植物促成装置において、前記ガス分離モジュールは平板状のフィルタ部材であるというものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のように構成すると、植物が主に光合成を行う日中の時間帯には、酸素調節手段の作動により、栽培設備内からガス分離モジュールを介して酸素富化空気が前記栽培設備外に放出されるから、前記栽培設備内の空気の酸素濃度は低下する。そうすると、前記栽培設備内の空気の二酸化炭素濃度は相対的に上昇することになるから、日中の時間帯は、前記栽培設備内に別途炭酸ガスを供給したりしなくても、前記栽培設備内の植物の光合成を人工的に促進させることができる。
【0009】
一方、植物が呼吸を行う夜間の時間帯には、前記酸素調節手段の作動により、前記栽培設備外から前記ガス分離モジュールを介して酸素富化空気が前記栽培設備内に供給されるから、温室1内の空気の酸素濃度は上昇することになる。従って、夜間の時間帯は、前記栽培設備内の植物の呼吸を人工的に促進させることができる。
【0010】
以上のことから、請求項1の発明によると、前記栽培設備内の空気の酸素濃度を時間帯に応じて調節することにより、前記栽培設備内の植物の光合成作用はもとより呼吸作用をも促進させることができるから、前記栽培設備内の空気を植物にとって常に良好な状態に維持することができ、植物の生長促進に高い効果を発揮するという効果を奏する。
【0011】
また、日中の時間帯には、前記栽培設備内に炭酸ガスを別途供給したりする必要がないから、炭酸ガスボンベ等の購入費用が発生せず、ランニングコストを格段に低減することができるという効果も奏する。
【0012】
請求項2のように構成すると、前記酸素調節手段のうち前記ガス分離モジュールに空気を送り込む手段として、汎用品である(市販されている)換気ファンを使用することができるから、前記栽培設備への取り付け(施工)や維持管理も簡単に行える。従って、コストを安くすることができ、非常に経済的であるという効果を奏する。
【0013】
請求項3の発明によると、前記ガス分離モジュールとして平板状のフィルタ部材を採用しているので、前記換気ファンの換気通路を塞ぐように前記フィルタ部材を配置した状態で前記換気ファンを駆動させることにより、簡単な構成でありながら、前記栽培設備内の空気又は外気を酸素富化空気と窒素富化空気とに効率よく分離することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を具体化した実施形態を、栽培設備の一例である温室に適用した場合の図面(図1〜図7)に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図4は本発明の第1実施形態である。図1は第1実施形態における温室の概略斜視図、図2は換気ファンの正面図、図3は換気ファンの縦側断面図、図4は制御手段の一例としてのコントローラの機能ブロック図である。
【0016】
栽培設備の一例である温室1は、多数本の支柱とフレームとにより骨組みが構成されている。温室1の側壁に形成された複数の開口部には、酸素調節手段11の構成要素の一例として、温室1内の換気を行うための換気ファン12が設けられている。また、側壁における複数の開口部には、側窓2や出入り用の扉3も開閉可能に取り付けられている。温室1内の天井側には、白色灯や水銀灯等の照明具(図示せず)が複数個配置されている。
【0017】
詳細は図示していないが、温室1の側壁又は温室1と別の箇所には、各種操作用のスイッチ類、液晶ディスプレイ等の表示部28(図4参照)及び制御手段の一例であるコントローラ15(図4参照)等を有する制御盤が配置されている。
【0018】
第1実施形態の植物促成装置は、前述の換気ファン12及びガス分離モジュールの一例であるフィルタ部材13を有する酸素調節手段11と、現在の時間帯を判別する時間帯判別手段の一例である計時用のタイマー14と、当該タイマー14の制御情報に基づいて換気ファン12の作動を制御するコントローラ15とを備えている。
【0019】
図2及び図3に示すように、換気ファン12は、温室1における屋根(又は側壁等)の各開口部に嵌め込み装着された中空筒型のケーシング16と、ケーシング16のうち温室1内外に連通する換気通路17内に配置された回転フィン19付きの主軸18と、当該主軸18を正逆回転駆動させるための駆動モータ20と、主軸18及び駆動モータ20を支持する支持ステー21とを備えている。
【0020】
第1実施形態では、駆動モータ20を駆動させて回転フィン19付きの主軸18を正逆回転させることにより、温室1内の空気を外部に放出したり温室1内に外気を導入したりするように構成されている。
【0021】
換気通路17のうち温室1内に向かう内向き開口17aの周囲には、当該内向き開口17aを囲うように化粧枠22が設けられている。この化粧枠22の内径側には、目の粗い網状体と当該網状体の周囲を囲う枠状体とからなるカバー部材23が着脱可能に嵌め込まれている。
【0022】
換気通路17のうち温室1外に向かう外向き開口17b寄りの箇所には、換気通路17を塞ぐように、ガス分離モジュールの一例としての平板状のフィルタ部材13が着脱可能に取り付けられている。第1実施形態のフィルタ部材13は、例えばポリイミド、酢酸セルロース、ポリスルフォン又はポリアミド等の高分子材料製の中空糸分離膜からなるものである。フィルタ部材13は、中空糸分離膜における酸素ガス(O2 )及び窒素ガス(N2 )の透過速度の差を利用して、空気を酸素濃度の高い酸素富化空気と窒素濃度の高い窒素富化空気とに分離することができる。換言すると、フィルタ部材13は、酸素ガスを選択的(優先的)に透過することができる。
【0023】
計時用のタイマー14は、温室1の側壁又は温室1と別の箇所に配置された制御盤(図示せず)内のコントローラ15に内蔵されている。
【0024】
詳細は図示していないが、制御盤(図示せず)内のコントローラ15は、各種演算処理や制御を実行する中央処理装置(CPU)の他、制御プログラムやデータを記憶させるための読み出し専用メモリ(ROM)、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるための随時読み書き可能メモリ(RAM)、前述したタイマー14、センサやアクチュエータ等との間で制御情報のやり取りをするための入出力インターフェイス等を備えている。
【0025】
コントローラ15の入力インターフェイスには、例えば植物促成装置全体の電源を入り切り操作するメインスイッチ25や、各換気ファン12の切替え作動の時間帯を予め設定するための時間設定器26等が接続されている。時間設定器26は、例えば日の出頃から日の入り頃までという日中の時間帯を設定時間帯として予め設定するためのものである。特に、植物の光合成が活発に行われる時間帯を設定時間帯とするのが好ましい。
【0026】
他方、出力インターフェイスには、各換気ファン12における駆動モータ20のモータ駆動回路27や、液晶ディスプレイ等の表示部28等がそれぞれ接続されている(図4参照)。
【0027】
以上の構成において、タイマー14で計時(カウント)している計測時間が時間設定器26で予め設定された設定時間帯内であるとコントローラ15が判断した場合には、この時間帯は植物が主に光合成を行う日中の時間帯であるから、コントローラ15からの指令で、各モータ駆動回路27を介してこれに対応する駆動モータ20を駆動させて、温室1内の空気を外部に放出する方向に回転フィン19付きの主軸18を回転させる。
【0028】
そうすると、換気通路17のうちフィルタ部材13を挟んで上流側の空間が局所的に加圧され、フィルタ部材13を挟んだ上流側と下流側との間に圧力差が生ずるので、この圧力差を利用して、酸素ガスが優先的にフィルタ部材13を通過する。その結果、温室1内からは、酸素富化空気が各換気ファン12で強制的に外部に放出される。
【0029】
このように酸素富化空気を温室1内から外部に放出すると、温室1内の空気の酸素濃度は低下するから、温室1内に別途炭酸ガスを供給したりしなくても、温室1内の空気の二酸化炭素(CO2 )濃度は相対的に上昇することになる。これにより、日中の時間帯は、温室1内の植物の光合成を人工的に促進させることができる。
【0030】
また、温室1内に別途炭酸ガスを供給する必要がないから、炭酸ガスボンベ等の購入費用が発生せず、ランニングコストを格段に低減することができる。
【0031】
一方、タイマー14による計測時間が設定時間帯外であるとコントローラ15が判断した場合には、この時間帯は植物が呼吸を行う夜間の時間帯であるから、コントローラ15からの指令で、各モータ駆動回路27を介してこれに対応する駆動モータ20を駆動させて、外気を温室1内に導入する方向に回転フィン19付きの主軸18を回転させる。
【0032】
そうすると、換気通路17のうちフィルタ部材13を挟んで下流側の空間が局所的に減圧され、フィルタ部材13を挟んだ上流側と下流側との間に圧力差が生ずるので、この圧力差を利用して、酸素ガスが優先的にフィルタ部材13を通過する。その結果、温室1の外からは、酸素富化空気が各換気ファン12で強制的に温室1内に導入される。
【0033】
このように酸素富化空気を外部から温室1内に導入すると、温室1内の空気の酸素濃度は上昇することになるから、夜間の時間帯は、温室1内の植物の呼吸を人工的に促進させることができる。
【0034】
以上のことから、第1実施形態の植物促成装置によると、温室1内の空気の酸素濃度を時間帯に応じて調節することにより、温室1内の植物の光合成作用はもとより呼吸作用をも促進させることができるから、温室1内の空気(雰囲気)を植物にとって常に良好な状態に維持することができ、植物の生長促進に高い効果を発揮するのである。
【0035】
その上、時間帯(日中か夜間か)に応じて換気ファン12の送風方向をコントローラ15で自動的に切り替えることができるから、無人の自動運転(自動制御)を実現することができ、作業者の負担を軽減することもできる。
【0036】
また、第1実施形態では、酸素調節手段11のうちフィルタ部材13に空気を送り込む手段として、温室1内の換気を行う換気ファン12を採用している。当該換気ファン12は汎用品(市販されているもの)で構わない。そうすると、温室1への取り付け(施工)や維持管理も簡単に行えるから、コストを安くすることができ、非常に経済的である。
【0037】
第1実施形態のガス分離モジュールは、中空糸分離膜からなる平板状のフィルタ部材であるから、換気ファン12の換気通路17を塞ぐようにフィルタ部材13を配置した状態で換気ファン12を駆動させることにより、簡単な構成でありながら、温室1内の空気又は外気を酸素富化空気と窒素富化空気とに効率よく分離することができる。
【0038】
しかも、フィルタ部材13が換気ファン12に対して着脱可能に取り付けられているので、例えば長期間の使用等でフィルタ部材13の透過性能が低下した場合に、フィルタ部材13を簡単に交換することができる。
【0039】
なお、例えば日の入り頃から日の出頃までという夜間の時間帯を設定時間帯として、夜間の時間帯を基準に、換気ファン12の送風方向を切り替えるように制御してもよい。また、吸引用ファンと排出用ファンとを1組として、前述の換気ファン12の役割を担わせるように構成しても差し支えない。さらに、ガス分離モジュールとしての分離膜は、中空糸タイプのものに限らず、例えばシリコーン系の非多孔質膜や無機材料系の多孔質膜等であってもよい。要は、空気を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離し得るものであればよい。
【0040】
図5〜図7は酸素調節手段の別例を示す第2実施形態である。図5は第2実施形態における温室の概略斜視図、図6は酸素調節手段の概略斜視図、図7は酸素調節手段のブロック図である。
【0041】
第2実施形態の酸素調節手段31は、温室1の外側壁又は温室と別の箇所に配置された収容ボックス30に内蔵されている(図5参照)。当該酸素調節手段31は、少なくとも外気を圧縮するエアコンプレッサ32と、エアフィルタ33と、ドライヤー34と、中空糸分離膜からなるガス分離モジュール35と、減圧弁36と、エアコンプレッサ32からの排気を屋外に放出するための排気ダクト37とを備えている。
【0042】
エアコンプレッサ32で高圧に圧縮された空気は、エアコンプレッサ32内のバッファタンク(図示せず)に一時的に貯蔵され、次いで、エアフィルタ33を通過させることにより圧縮空気中の水分が除去される。それから、オイルミストフィルタ38を通過させて圧縮空気中の塵が取り除かれる。圧縮空気中から除去された水分及び塵はドレン39に溜まることになる。
【0043】
なお、エアコンプレッサ32の運転で生じた排気及び排熱は、排気ダクト37を介して強制的且つ速やかに屋外に排出される。第2実施形態では、エアフィルタ33の出口とオイルミストフィルタ38の出口との間の圧力差を差圧計40で計測することにより、圧力低下によるオイルミストフィルタ38の目詰まりを検知して、オイルミストフィルタ38の交換時期を確認することができる。
【0044】
オイルミストフィルタ38の下流側に位置するガス分離モジュール35に水分を含んだ空気が供給されると、中空糸分離膜の膜面に水分が凝縮して、酸素ガス及び窒素ガスの透過性能を低下させるおそれがある。そこで、第2実施形態では、万全を期すため、エアフィルタ33及びオイルミストフィルタ38を通過した圧縮空気を、ガス分離モジュール35に送る前にドライヤー34で乾燥させている。そして、ドライヤー34を経由した乾燥圧縮空気がレギュレータ41を介してガス分離モジュール35に送られる。
【0045】
ガス分離モジュール35を構成する中空糸分離膜は、第1実施形態と同様に、例えばポリイミド、酢酸セルロース、ポリスルフォン又はポリアミド等の高分子材料製のものである。従って、第2実施形態のガス分離モジュール35も、中空糸分離膜における酸素ガス及び窒素ガスの透過速度の差を利用して、乾燥圧縮空気を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離することができる。
【0046】
ガス分離モジュール35における一方の出口に接続された窒素富化空気管42は、減圧弁36及び圧力計43を経由して、可変式の第1三方制御弁44の流入口に接続されている。第1三方制御弁44の一方の流出口に接続された供給管45は、温室1の側壁等に形成された導入口46に連通している。他方の流出口に接続された排出管47は、エアコンプレッサ32の排気ダクト37に連通している。
【0047】
なお、減圧弁36及び圧力計43は、ガス分離モジュール35での窒素富化空気や酸素富化空気の発生量を調節すると共に、下流側(温室1側や排気ダクト37側)への各富化空気の圧力を減圧し且つ供給量を調節するためのものである。
【0048】
ガス分離モジュール35における他方の出口に接続された酸素富化空気管48は、可変式の第2三方制御弁49を介して、酸素富化空気供給管50と酸素富化空気排出管51とに分岐して延びている。酸素富化空気供給管50は、供給管45の中途部に連通接続されている。酸素富化空気排出管51は排出管47の中途部に連通接続されている。
【0049】
第2実施形態では、後述する光センサ63(図7参照)の検出値に基づいて、両方の三方制御弁44,49の開閉状態を電磁ソレノイド等の制御弁駆動回路64,65で変更することにより、酸素富化空気及び窒素富化空気の送り方向を、互いに行き違うように温室1内と屋外とに自動的に切り替える構成となっている。
【0050】
温室1の側壁等に形成された排気口52に接続された空気回収管53は、エアコンプレッサ32よりも上流側に位置する第3三方制御弁54の一方の流入口に連通接続されている。第3三方制御弁54の他方の流入口に接続された入口管55は、外気に連通している。第3三方制御弁54の流出口に接続された空気導入管56は、エアコンプレッサ32に接続されている。
【0051】
また、後述する光センサ63の検出値に基づいて、第3三方制御弁54の開閉状態を電磁ソレノイド等の第3制御弁駆動回路66で変更することにより、エアコンプレッサ32に外気を導入するか温室1内の空気を導入するかを自動的に切り替えるように構成されている。
【0052】
なお、ガス分離モジュール35で分離生成された酸素富化空気及び窒素富化空気は完全な乾燥状態であるから、例えば供給管45のうち酸素富化空気供給管50との接続部と導入口46との間等の箇所に、酸素富化空気や窒素富化空気に適当な湿気を付与するための加湿手段を設けたりしてもよい。
【0053】
エアコンプレッサ32の側方に立設された支柱59には制御ボックス60が固定されている。この制御ボックス60には、制御手段の一例としてのコントローラ61が内蔵されている。コントローラ61は、各種演算処理や制御を実行する中央処理装置(CPU)の他、制御プログラムやデータを記憶させるための読み出し専用メモリ(ROM)、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるための随時読み書き可能メモリ(RAM)、センサやアクチュエータ等との間で制御情報のやり取りをするための入出力インターフェイス等を備えている。
【0054】
コントローラ61の入力インターフェイスには、例えば酸素調節手段31全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ62や、温室1外の周囲の明るさを感知する光電効果型等の光センサ63等がそれぞれ接続されている。この光センサ63は特許請求の範囲に記載した時間帯判別手段に相当するものである。第2実施形態の光センサ63は、例えば温室1の屋根等の適宜箇所に配置されている。他方、出力インターフェイスには、電磁ソレノイド等からなる第1〜第3制御弁駆動回路64,65,66や、エアコンプレッサ32がそれぞれ接続されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0055】
次に、酸素調節手段31の作動態様の一例について説明する。ここで、後述する設定照度のデータは、コントローラ61のROM等に記憶させる等して予め設定しておく。この設定照度は、現在の時間帯(日中か夜間か)を判断するための基準として設定されるものである。
【0056】
光センサ35で検出された計測照度が予め設定された設定照度以上であるとコントローラ61が判断した場合には、現在の時間帯が日中の時間帯であるから、コントローラ61から第3制御弁駆動回路66への指令により、第3三方制御弁54のうち入口管55側の流入口を閉じ、空気回収管53側の流入口と空気導入管56側の流出口とを開く。
【0057】
このとき、コントローラ61からの指令で、第1三方制御弁44のうち排出管47側の流出口を閉じ、窒素富化空気管42側の流入口と供給管45側の流出口とを開く。また、第2三方制御弁49のうち酸素富化空気供給管50側の流出口を閉じ、酸素富化空気管48側の流入口と酸素富化空気排出管51側の流出口とを開く。そして、エアコンプレッサ32を駆動させる。
【0058】
そうすると、温室1内の空気が、排気口52から空気回収管53、空気導入管53を経てエアコンプレッサ32に供給される。この空気は、エアコンプレッサ32やドライヤー34等を通じて圧縮乾燥され、ガス分離モジュール35で酸素富化空気と窒素富化空気とに分離される。
【0059】
酸素富化空気は、酸素富化空気管48、排出管47及び排気ダクト37を経由して、強制的に屋外に放出される。窒素富化空気は、窒素富化空気管42及び供給管45を通って導入口46から温室1内に戻される。すなわち、日中の時間帯は、ガス分離モジュール35を利用して、温室1内の空気を酸素付加空気と窒素付加空気とに分離し、温室1内に窒素富化空気を残しつつ、酸素富化空気のみを屋外に放出するのである。
【0060】
このように酸素富化空気を温室1内から外部に放出すると、温室1内の空気の酸素濃度は低下するから、温室1内に別途炭酸ガスを供給したりしなくても、温室1内の空気の二酸化炭素(CO2 )濃度は相対的に上昇する。従って、日中の時間帯は、第1実施形態と同様に、温室1内の植物の光合成を人工的に促進させることができる。また、温室1内に別途炭酸ガスを供給する必要がないから、ランニングコストの低減にも効果が大きい。
【0061】
一方、光センサ35による計測照度が設定照度未満であるとコントローラ61が判断した場合には、現在の時間帯が夜間の時間帯であるから、コントローラ61からの指令により、第3三方制御弁54のうち空気回収管53側の流入口を閉止し、入口管55側の流入口を開放する。このとき、第1三方制御弁44では、供給管45側の流出口を閉止し、排出管47側の流出口を開放する。また、第2三方制御弁49では、酸素富化空気排出管51側の流出口を閉じ、酸素富化空気供給管50側の流出口を開く。次いで、エアコンプレッサ32を駆動させる。
【0062】
そうすると、入口管55から空気導入管56を経てエアコンプレッサ32に供給された外気が、エアコンプレッサ32やドライヤー34等を通じて圧縮乾燥され、ガス分離モジュール35で酸素富化空気と窒素富化空気とに分離される。
【0063】
酸素富化空気は、酸素富化空気管48、酸素富化空気供給管50及び供給管45を通って、導入口46から温室1内に供給される。窒素富化空気は、窒素富化空気管42、排出管47及び排気ダクト37を経由して、強制的に屋外に放出される。すなわち、夜間の時間帯は、ガス分離モジュール35を利用して、外気を酸素付加空気と窒素付加空気とに分離し、温室1内から窒素富化空気を追い出しつつ、酸素富化空気を温室1内に供給するのである。
【0064】
このように酸素富化空気を外部から温室1内に導入すると、温室1内の空気の酸素濃度は上昇することになるから、夜間の時間帯は、温室1内の植物の呼吸を人工的に促進させることができる。
【0065】
以上のことから、第2実施形態の植物促成装置によると、温室1内の空気の酸素濃度を時間帯に応じて調節することにより、第1実施形態と同様に、植物の生長促進に高い効果を発揮するのである。
【0066】
また、第2実施形態の植物促成装置であれば、ガス分離モジュール35の大型化が簡単に行えるので、このような植物促成装置を大規模な栽培設備に適用すれば、栽培設備内の空気を植物にとって常に良好な状態に維持することができ、植物の生長促進に十分な効果を発揮することができるのである。
【0067】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化することができる。例えばガス分離モジュールは、空気を酸素富化空気と窒素富化空気とに分離し得るものであればよく、分離膜を利用したもの以外に、圧力スイング吸着法(PSA法)や深冷分離法等を利用したものであっても差し支えない。
【0068】
その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態における温室の概略斜視図である。
【図2】換気ファンの正面図である。
【図3】換気ファンの縦側断面図である。
【図4】制御手段の一例としてのコントローラの機能ブロック図である。
【図5】第2実施形態における温室の概略斜視図である。
【図6】酸素調節手段の概略斜視図である。
【図7】酸素調節手段のブロック図である。
【符号の説明】
【0070】
1 栽培設備の一例としての温室
11,31 酸素調節手段
12 換気ファン
13 フィルタ部材
14 時間帯判別手段の一例としてのタイマー
15,61 制御手段の一例としてのコントローラ
16 ケーシング
17 換気通路
18 主軸
19 回転フィン
20 駆動モータ
26 時間設定器
27 モータ駆動回路
32 エアコンプレッサ
35 ガス分離モジュール
36 減圧弁
42 窒素富化空気管
45 供給管
46 導入口
47 排出管
48 酸素富化空気管
50 酸素富化空気供給管
51 酸素富化空気排出管
52 排気口
53 空気回収管
63 時間帯判別手段の一例としての光センサ
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成16年12月17日(2004.12.17)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫

【識別番号】100096747
【弁理士】
【氏名又は名称】東野 正

【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸

【公開番号】 特開2006−166846(P2006−166846A)
【公開日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願番号】 特願2004−366667(P2004−366667)