| 【発明の名称】 |
農業用マルチフィルム |
| 【発明者】 |
【氏名】江上 正之 【住所又は居所】千葉県市原市潤井戸長者原2298番地1−4 みかど化工株式会社内
【氏名】牛場 和美 【住所又は居所】千葉県市原市潤井戸長者原2298番地1−4 みかど化工株式会社内
【氏名】角田 邦彦 【住所又は居所】千葉県市原市潤井戸長者原2298番地1−4 みかど化工株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】特定の密度と厚みで且つ無機添加剤又は着色顔料を含有してなる低密度ポリエチレン系フィルムにレーザービームを照射することにより、マルチ展張時に裂けることがなく、栽培中に引き裂いて作業でき、更に巻きコブを発生させない農業用マルチフィルムを提供すること。
【解決手段】低密度ポリエチレン系フィルムにレーザー照射によるミシン目2加工を施してなる農業用マルチフィルムであって、該低密度ポリエチレン系フィルムが、密度0.910〜0.935g/cm3、厚さ10μm〜30μmで、且つ無機添加剤及び又は着色顔料5を含有してなることを特徴とする農業用マルチフィルム1。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 低密度ポリエチレン系フィルムにレーザー照射によるミシン目加工を施してなる農業用マルチフィルムであって、 該低密度ポリエチレン系フィルムが、密度0.910〜0.935g/cm3、厚さ10μm〜30μmで、且つ無機添加剤及び又は着色顔料を含有してなることを特徴とする農業用マルチフィルム。 【請求項2】 レーザーが、出力10〜100wの炭酸ガスレーザーであり、フィルム加工速度が100〜1000mm/secであることを特徴とする請求項1記載の農業用マルチフィルム。 【請求項3】 ミシン目加工によるスリット幅が、1mm未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の農業用マルチフィルム。 【請求項4】 低密度ポリエチレン系フィルムが、低密度ポリエチレン (LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(マルチサイト触媒を使用して重合したポリマ−、LLDPE)、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体の何れかから選択されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の農業用マルチフィルム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、農業用マルチフィルムに関し、詳しくはマルチ展張時に裂けることがなく、栽培中に引き裂いて作業できる農業用マルチフィルムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、ミシン目加工を施した農業用マルチフィルムは、特許文献1、2に記載のものが知られている。 【0003】 かかる従来のミシン目は、刃物で不連続にカットしたり、熱刃でミシン目状に溶断する方法が採用されていた。 【特許文献1】実用新案登録第3058434号公報 【特許文献2】実開平2−14944号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、刃物で不連続にカットする手法は、マルチ展張時に切れ目から裂けてしまう問題がある。特に植穴を通過するミシン目は裂けやすく実用的でない問題が有った。 【0005】 また熱刃でミシン目状に溶断する手法では、上記のように裂ける問題が解消されるが、溶融部が盛り上がり、巻き取り時にコブになりやすい欠点があった。 【0006】 そこで、本発明者は、マルチ展張時に裂けることがなく、栽培中に引き裂いて作業できる農業用マルチフィルムを検討した結果、以下の知見を得た。 【0007】 即ち、ミシン目加工手段としてレーザービーム照射に着目し、マルチフィルムとして広く普及している低密度ポリエチレン系フィルムにレーザー照射したところ、フィルム密度が一定値以下では引き裂き性が悪く、栽培時ミシン目を破る作業がし難いことがわかった。また厚さ条件も引き裂き性に大きく影響することがわかった。さらに無機添加剤又は着色顔料を含有してなるマルチフィルムの場合に良好なミシン目を形成できることがわかった。さらにレーザースキャン速度も良好なミシン目形成に影響することを見出した。 【0008】 そこで、本発明は、特定の密度と厚みで且つ無機添加剤又は着色顔料を含有してなる低密度ポリエチレン系フィルムにレーザービームを照射することにより、マルチ展張時に裂けることがなく、栽培中に引き裂いて作業でき、更に巻きコブを発生させない農業用マルチフィルムを提供することを課題とする。 【0009】 更に、本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記課題は、以下の各発明によって解決される。 【0011】 (請求項1) 低密度ポリエチレン系フィルムにレーザー照射によるミシン目加工を施してなる農業用マルチフィルムであって、 該低密度ポリエチレン系フィルムが、密度0.910〜0.935g/cm3、厚さ10μm〜30μmで、且つ無機添加剤及び又は着色顔料を含有してなることを特徴とする農業用マルチフィルム。 【0012】 (請求項2) レーザーが、出力10〜100wの炭酸ガスレーザーであり、フィルム加工速度が100〜1000mm/secであることを特徴とする請求項1記載の農業用マルチフィルム。 【0013】 (請求項3) ミシン目加工によるスリット幅が、1mm未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の農業用マルチフィルム。 【0014】 (請求項4) 低密度ポリエチレン系フィルムが、低密度ポリエチレン (LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(マルチサイト触媒を使用して重合したポリマ−、LLDPE)、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体の何れかから選択されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の農業用マルチフィルム。 【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、特定の密度と厚みで且つ無機添加剤又は着色顔料を含有してなる低密度ポリエチレン系フィルムにレーザービームを照射することにより、マルチ展張時に裂けることがなく、栽培中に引き裂いて除去でき、更に巻きコブを発生させない農業用マルチフィルムを提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明の農業用マルチフィルムは、低密度ポリエチレン系フィルムにレーザー照射によるミシン目加工を施してなる農業用マルチフィルムであって、該低密度ポリエチレン系フィルムが、密度0.910〜0.935g/cm3、厚さ10μm〜30μmで、且つ無機添加剤又は着色顔料を含有してなることを特徴とするものである。 【0017】 本発明に用いる低密度ポリエチレン系フィルムは、低密度ポリエチレン (LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(マルチサイト触媒を使用して重合したポリマ−、LLDPE)、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(メタロセンPE)の何れかから選択されることが好ましい。中でも好ましいのは、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(マルチサイト触媒を使用して重合したポリマ−、LLDPE)、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(メタロセンPE)である。 【0018】 メタロセン触媒 により共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂は、通常メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンと1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等、炭素原子数4〜10のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。 【0019】 低密度ポリエチレン系フィルムの密度は0.910〜0.935g/cm3の範囲であり、好ましくは0.915〜0.930g/cm3である。 【0020】 フィルム密度が0.910g/cm3未満では引き裂き性が悪く、栽培時除去しがたい問題がある。またフィルム密度が0.935g/cm3を越えると引き裂き性はよいが、展張時に破れてしまう問題がある。 【0021】 なお、メタロセンポリエチレンの密度(JIS−K6760)は、一般に、0.860g/cm3から0.950g/cm3以上の広い範囲に渡っているが、本発明では、密度0.910〜0.935g/cm3の範囲のものを用いている点で特徴がある。 【0022】 低密度ポリエチレン系フィルムの厚さは、10μm〜30μmの範囲であり、好ましくは15〜25μmである。10μm未満では引き裂け易すぎる問題があり、30μmを越えると引き裂き除去しがたい欠点がある。 【0023】 フィルムに添加される無機添加剤としては、シリカ、アルミナ、ハイドロタルサイト、ネフェリン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合使用できる。また着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、アルミ粉、ベンガラ、フタロシアニンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合使用できる。 【0024】 本発明では、無機添加剤と着色顔料を併用することもできる。 【0025】 無機添加剤の添加量は、フィルムのベース樹脂原料100重量部に対して1〜100重量部の範囲であり、好ましくは2〜50重量部の範囲である。 【0026】 着色顔料の添加量は、フィルムのベース樹脂原料100重量部に対して1〜100重量部の範囲であり、好ましくは2〜50重量部の範囲である。 【0027】 無機添加剤と着色顔料の粒径は、レーザーとの感応性を考慮して0.05〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。 【0028】 フィルム中に添加できる他の成分としては、滑剤、耐候安定剤、可塑剤等が挙げられる。 【0029】 ミシン目加工に用いるレーザーは、炭酸ガスレーザー,アルゴンレーザー,YAGレーザー等が挙げられるが、炭酸ガスレーザーは高エネルギーを得易い等の点から、本発明のミシン目加工の形成に好適である。 【0030】 次に、レーザービーム照射によるミシン目の形成について説明する。 【0031】 図1に示すようなミシン目を形成する場合、フィルム表面の微小領域にレーザービームを照射すると、その領域は瞬時に溶解又は蒸発してミシン目状のスリットが形成される。図1において、1はマルチフィルム、2はミシン目、3は栽培作物、4は植生孔である。 【0032】 具体的には、出力10〜100wの炭酸ガスレーザーで、フィルム表面の所定位置をレーザースキャンする。 【0033】 レーザーによるフィルム加工速度は、遅いと断面が波打ち、また早すぎると切れが不良になるので、100〜1000mm/secの範囲が好ましい。 【0034】 ここで、レーザーによるフィルム加工速度とは、固定されたレーザービーム照射装置から照射されるレーザービームが焦点を結ぶ位置をフィルムが通過し加工される速度を言う。 【0035】 かかるスキャンにより、スリット状のミシン目加工が可能となる。スリット幅は、1mm未満であることが好ましい。 【0036】 本発明においては、フィルム特性が特定され、しかも無機添加剤や着色顔料を含有しているので、無機添加剤や着色顔料の微粒子とレーザーとの感応性を効果的に発揮し、精度のよいミシン目を形成できる。 【0037】 図2には、通常の透明マルチフィルムのレーザー照射の例と、本発明のマルチフィルムのレーザー照射の例を示している。本発明マルチでは、無機添加剤や着色顔料の微粒子5とレーザーとの感応性を効果的に発揮し、精度のよいミシン目を形成していることがわかる。 【0038】 本発明のレーザーミシン目加工によって形成されるミシン目の形状は特に限定されない。 【0039】 例えば、直線状、波状、ジグザグ状、鎖目状、筋状、階段状、水玉状、小判状、うろこ状、渦巻状、星状、十字状等々目的の場所で引裂け易い形状であれば良い。 【0040】 以上説明した本発明の農業マルチフィルムは、苗を定植し、その後、苗が活着してからマルチフィルムを苗上に被せ、フィルムに加工したミシン目を破り、苗をフィルム上に引き出すようにする栽培法や、これとは逆に、ミシン目付きマルチフィルムを先に展張し、その後、ミシン目よりフィルムに開口を形成し、その開口に苗や種子を定植・播種する一般作物栽培にも当然使用可能である。 【0041】 本発明の農業マルチフィルムは、例えば、イチゴやスィートコーン、レタス等の葉物、スイカやメロン等々の栽培に効果的に適用できる。 【実施例】 【0042】 以下、実施例により本発明の効果を例証する。 【0043】 実施例1 (マルチフィルムの製造) 表1に示すLLDPEまたはメタロセンPEをベースに、表1に示す添加剤(無機添加剤や着色顔料)を配合して、インフレーション成形法で、幅950mmのフィルム(NO.1−NO.7)を作り、レーザーでミシン目加工を行った。 【0044】 (ミシン目加工) 処方1:炭酸ガスレーザー装置 出力30W フィルム加工速度 600mm/sec スリット幅:0.3mm 【0045】 (ミシン目形状) 図3に示すように、植え穴位置に十字型を連続したミシン目を作る。長さx=8cm、 間隔y=5cmとした。 【0046】 (栽培試験) みかど化工(株)の試験圃場(千葉県市原市)に、ハウス2棟を用意し、その各々のハウス内に畦4列を作った。 【0047】 各畦に、イチゴ苗を、9月5日に定植し、その後、9月15日にハウスA棟の4列畦には、実施例マルチフィルムを、ハウスB棟の4列畦には比較マルチフィルムを被覆し、それぞれ苗茎葉の位置でミシン目を破り茎葉をマルチ上に引き出した。 【0048】 ここで被覆時や茎葉の引出し作業時に不良のものは使用を止め、他のものと交換した。 【0049】 その後、通常の栽培管理を行い、翌年5月3日にマルチフィルムを除去し、栽培を終了した。 【0050】 <ハウス仕様> ハウスの大きさ:間口4.5m、棟高2.5m、長さ20m、 ハウスフィルム:みかど化工社製「農POフィルム」 商品名「スーパーソーラー」 (「農POフィルム」、「スーパーソーラー」はいずれも登録商標) 【0051】 <畦仕様> 幅: 60cm 高さ:10cm 長さ:18m 列数:4列/1ハウス当り 【0052】 <栽培> 栽培条件:肥料、薬散、潅水、加温等は通常のイチゴ栽培条件に従った。 イチゴ品種:「さちのか」 定植:2条植、株間20cm 本数:1畦当り180株(720株/1ハウス) 【0053】 (評価及び試験結果) 評価項目 1 ミシン目加工精度(レーザー感応性):精度が悪いとミシン目がうまく出来ず、さらには巻き瘤が出来る。 評価基準 ○:良好 △:普通 ×:不良 【0054】 2 マルチ展張作業性:展張時ミシン目から引き裂き破れるか否かを以下の基準で評価した。 ○:良好 △:普通 ×:不良 【0055】 3 ミシン目破り容易性:イチゴの茎葉を容易に引き出せるか否かを以下の基準で評価した。 ○:極めて容易に引き出せる △:容易に引き出せる ×:引き出し困難 【0056】 評価結果 表1に示す。 【0057】 【表1】
【0058】 実施例2 実施例1において、ミシン目加工処方を以下のように変えた以外は、同様に試験を行った。 【0059】 処方2:炭酸ガスレーザー装置 出力30W フィルム加工速度 300mm/sec スリット幅:0.7mm 処方3:炭酸ガスレーザー装置 出力30W フィルム加工速度 50mm/sec スリット幅:1.5mm 【0060】 その結果、ミシン目加工処方2は、ミシン目加工処方1と同様の結果が得られたが、ミシン目加工処方3で行ったマルチフィルムは、栽培期間中にミシン目から雑草が生えてイチゴの栽培を阻害した。 【図面の簡単な説明】 【0061】 【図1】レーザービーム照射によるミシン目の形成例を示す図 【図2】通常の透明マルチフィルムのレーザー照射の例と、本発明のマルチフィルムのレーザー照射の例を示す図 【図3】ミシン目形状の他のを示す図 【符号の説明】 【0062】 1:マルチフィルム 2:ミシン目 3:栽培作物 4:植生孔 5:微粒子
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| 【出願人】 |
【識別番号】000100458 【氏名又は名称】みかど化工株式会社 【住所又は居所】千葉県市原市潤井戸長者原2298番地1−4
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| 【出願日】 |
平成16年12月1日(2004.12.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101340 【弁理士】 【氏名又は名称】丸山 英一
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| 【公開番号】 |
特開2006−149338(P2006−149338A) |
| 【公開日】 |
平成18年6月15日(2006.6.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−349001(P2004−349001) |
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