| 【発明の名称】 |
緑化基盤システム及び緑化基盤システムの施行方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保田 孝幸 【住所又は居所】東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式会社大林組技術研究所内
【氏名】杉本 英夫 【住所又は居所】東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式会社大林組技術研究所内
【氏名】赤川 宏幸 【住所又は居所】東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式会社大林組技術研究所内
【氏名】小宮 英孝 【住所又は居所】東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式会社大林組技術研究所内
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| 【要約】 |
【課題】設置コスト、ランニングコストが安価であるとともに、自由な形状の緑化設計に柔軟に対応できるものを提供する。
【解決手段】建築物等を緑化するための緑化基盤システムであって、緑化対象箇所の基盤2の上部に設けられるとともに、内部に雨水等の水を回収して貯留させる緑化部保持層3と、緑化部保持層3内に設けられるとともに、緑化部保持層3内に水を貯留させるための貯水空間12と、水を排水させるための排水空間13とを形成するスペーサ部材11と、スペーサ部材11の表面に設けられるとともに、スペーサ部材11の少なくとも上面を被覆し、かつ一部が緑化部保持層3内に貯留される雨水等の水内に浸漬される導水性を有する導水シート14と、導水シート14の上部に載置される植物生育培地25とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建築物、道路、公園等を緑化するための緑化基盤システムであって、 緑化対象箇所の基盤の上部に設けられるとともに、内部に雨水等の水を回収して貯留させる緑化部保持層と、 該緑化部保持層内に設けられるとともに、該緑化部保持層内に水を貯留させるための貯水空間と、水を排水させるための排水空間とを形成するスペーサ部材と、 該スペーサ部材の表面に設けられるとともに、該スペーサ部材の少なくとも上面を被覆し、かつ一部が前記緑化部保持層内に貯留される雨水等の水内に浸漬される導水性を有する導水シートと、 該導水シートの上部に載置される植物生育培地とを備えてなることを特徴とする緑化基盤システム。 【請求項2】 前記緑化部保持層の内面には、防水シートが敷設されていることを特徴とする請求項1に記載の緑化基盤システム。 【請求項3】 前記緑化部保持層には、内外を連通するオーバーフロー管が設けられ、該オーバーフロー管により前記緑化部保持層内が所定の水位に保たれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化基盤システム。 【請求項4】 前記導水シートの上部又は下部に透水性防根シートを設けたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の緑化基盤システム。 【請求項5】 前記緑化部保持層には、雨水等の水を回収して緑化部保持層内の底部に導くための流入管が設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の緑化基盤システム。 【請求項6】 前記流入管の前記植物生育培地の上位に位置する部分には、流入管内外を連通するオーバーフロー管が設けられ、該オーバーフロー管を介して流入管内を流れる雨水等の水の一部が流入管外に導かれるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の緑化基盤システム。 【請求項7】 前記緑化部保持層の底面は所定の勾配に形成されているとともに、該勾配に沿って前記緑化部保持層内を複数の小緑化部保持層に区画するための堰が所定の間隔ごとに設けられ、該堰の上位に位置する小緑化部保持層から溢れ出た雨水等の水が該堰を乗り越え、該堰の下位に位置する小緑化部保持層内に流入するように構成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の緑化基盤システム。 【請求項8】 前記各小緑化部保持層には、雨水等の水を回収して各小緑化部保持層の底部に導くための流入管が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の緑化基盤システム。 【請求項9】 建築物、道路、公園等を緑化するための緑化基盤システムの施行方法であって、 緑化対象箇所の基盤の上部に、雨水等の水を回収して貯留させるための緑化部保持層を設けるとともに、該緑化部保持層内にスペーサ部材を設けて、該緑化部保持層内に水を貯留させるための貯水空間と、水を排水させるための排水空間とを形成し、前記スペーサ部材の表面に導水性を有する導水シートを設けて、該導水シートによってスペーサ部材の少なくとも上面を被覆するとともに、該導水シートの一部を前記緑化部保持層内に貯留される雨水等の水内に浸漬させ、前記導水シートの上部に植物生育培地を載置させ、前記緑化部保持層内に貯留される水を前記導水シートを介して前記植物生育培地に作用させることを特徴とする緑化基盤システムの施工方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、緑化基盤システム及び緑化基盤システムの施工方法に関し、特に、建築物、道路、公園等を緑化するために有効な緑化基盤システム及び緑化基盤システムの施工法に関する。 【背景技術】 【0002】 建築物、道路、公園等を緑化するための緑化システムの一例として、建物の屋上やベランダ等の上部に導水シートを敷設し、この導水シートの周囲に設けられている溝内に導水シートの端部を垂らし、給水パイプを介して溝内に水を供給することにより、導水シートを介して導水シートの上部に載置される植物生育培地に水を供給するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。 【0003】 また、緑化システムの他の例として、建物の屋上やベランダ等の上部に、水を貯留する緑化部保持層を有する下層部と、下層部の上部に設けられて植物生育培地を保持する上層部と、下層部と上層部との間に設けられて、下層部の水を毛管作用によって上層部の上部の植物生育培地に供給する保形部とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。 【特許文献1】特開2002−305969号公報 【特許文献2】特許第2842170号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、上記のような各種の緑化システムのうち、特許文献1に記載されているものは、導水シートを敷設している部分が薄層に形成され、その部分の保水力が非常に小さいため、給水システムによって導水シートに強制的に水を供給する必要がある。このため、緑化対象箇所が小面積であっても、タイマー、電磁弁、給水タンク等からなる給水システムを設置しなければならず、単位面積当たりの設置コストが高くなるとともに、ランニングコストも高くなる。また、雨水を利用する場合には、雨水を貯留しておくための貯水タンクが別途必要になるため、更にコスト高になるとともに、貯水タンクの設置スペースも必要になる。 【0005】 また、特許文献2に記載されているものは、水を貯留する緑化部保持層を有しているため、保水力が大きく、貯水タンクを別途設ける必要がなく、また水を供給するための給水システムも必要がなく、設置コスト、ランニングコストを大幅に低減させることができる。 【0006】 しかし、下層部に水を貯留し、上層部で植物生育培地を支持しなければならないため、1つのユニットを小さく形成して強度を高める必要があり、コストが高くなる。また、緑化対象箇所の面積が大きい場合には、複数のユニットを設置しなければならないため、設置に手間がかかるとともに、設置コストも高くついてしまう。 【0007】 さらに、植物生育培地への水の給水能力は、保形部の吸水能力、拡散能力に頼っているため、常に均一の量の水を植物生育培地に供給することができない。 【0008】 さらに、複数のユニットを組み合わせているため、ユニット相互間の水の移動がスムーズでなく、雨水管等を介して水を供給しても、各ユニットに均一に水を行き渡らせることができず、ユニットによって水が多すぎたり、少なすぎたりすることが多々あり、供給される水を有効に使用することができない。さらに、ユニット化されているため、自由な形状の緑化計画に対応するのが難しい。 【0009】 本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、設置コストが安く、ランニングコストが安く済むとともに、常に一定量の水を植物生育培地全体に均一に供給することができ、さらに、自由な形状の緑化計画に柔軟に対応することが可能な緑化基盤システム及び緑化基盤システムの施工方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。 すなわち、請求項1に係る発明は、建築物、道路、公園等を緑化するための緑化基盤システムであって、緑化対象箇所の基盤の上部に設けられるとともに、内部に雨水等の水を回収して貯留させる緑化部保持層と、該緑化部保持層内に設けられるとともに、該緑化部保持層内に水を貯留させるための貯水空間と、水を排水させるための排水空間とを形成するスペーサ部材と、該スペーサ部材の表面に設けられるとともに、該スペーサ部材の少なくとも上面を被覆し、かつ一部が前記緑化部保持層内に貯留される雨水等の水内に浸漬される導水性を有する導水シートと、該導水シートの上部に載置される植物生育培地とを備えてなることを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムによれば、緑化部保持層内に貯留される雨水等の水内に導水シートの一部が浸漬されることにより、導水シートを介して雨水等の水が導水シートの上部の植物生育培地の全体に均一に供給される。また、緑化部保持層内に導かれる雨水等の水はスペーサ部材によって形成される貯水空間内に貯留されるとともに、貯水空間を超える水はスペーサ部材によって形成される排水空間を介して緑化部保持層外に排出されるので、緑化部保持層内には常に一定量の水が貯留されることになる。 【0011】 請求項2に係る発明は、請求項1に記載の緑化基盤システムであって、前記緑化部保持層の内面には、防水シートが敷設されていることを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムによれば、緑化部保持層の貯水空間内に一定量の雨水等の水を漏洩することなく貯留することができ、導水シートを介して植物生育培地の全体に均一に水を供給することができる。 【0012】 請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の緑化基盤システムであって、前記緑化部保持層には、内外を連通するオーバーフロー管が設けられ、該オーバーフロー管により前記緑化部保持層内が所定の水位に保たれていることを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムによれば、緑化部保持層内に導かれる雨水等の水は、オーバーフロー管によって一定の水位に保たれ、必要以上の量の水が緑化部保持層内に貯留されるのが防止される。 【0013】 請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れかに記載の緑化基盤システムであって、前記導水シートの上部又は下部に透水性防根シートを設けたことを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムによれば、植物の根が貯水空間及び排水空間に侵入するのを防止できる。 【0014】 請求項5に係る発明は、請求項1から4の何れかに記載の緑化基盤システムであって、前記緑化部保持層には、雨水等の水を回収して緑化部保持層内の底部に導くための流入管が設けられていることを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムによれば、雨水等の水は、流入管を介して緑化部保持層の底部に導かれることになるので、植物生育培地が緑化部保持層内に導かれる水の流れによって流されるようなことはない。 【0015】 請求項6に係る発明は、請求項5に記載の緑化基盤システムであって、前記流入管の前記植物生育培地の上位に位置する部分には、流入管内外を連通するオーバーフロー管が設けられ、該オーバーフロー管を介して流入管内を流れる雨水等の水の一部が流入管外に導かれるように構成されていることを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムによれば、流入管内を流れる雨水等の水の量が多い場合には、その一部をオーバーフロー管を介して流入管外に導くことができるので、緑化部保持層内に流入する水の流量を所定の範囲内に制限することができる。 【0016】 請求項7に係る発明は、請求項1から6の何れかに記載の緑化基盤システムであって、前記緑化部保持層の底面は所定の勾配に形成されているとともに、該勾配に沿って前記緑化部保持層内を複数の小緑化部保持層に区画するための堰が所定の間隔ごとに設けられ、該堰の上位に位置する小緑化部保持層から溢れ出た雨水等の水が該堰を乗り越え、該堰の下位に位置する小緑化部保持層内に流入するように構成されていることを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムによれば、緑化基盤システムを施工する部分の面積が大きい場合には、複数の小緑化部保持層を組み合わせることができ、各小緑化部保持層内の水位を一定に保つことができ、植物生育培地の全体に均一に水を供給することができる。 【0017】 請求項8に係る発明は、請求項7に記載の緑化基盤システムであって、前記各小緑化部保持層には、雨水等の水を回収して各小緑化部保持層の底部に導くための流入管が設けられていることを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムによれば、雨水等の水は、各流入管を介して各小緑化部保持層の底部に導かれることになるので、植物生育培地が各小緑化部保持層内に導かれる水の流れによって流されるようなことはない。 【0018】 請求項9に係る発明は、建築物、道路、公園等を緑化するための緑化基盤システムの施行方法であって、緑化対象箇所の基盤の上部に、雨水等の水を回収して貯留させるための緑化部保持層を設けるとともに、該緑化部保持層内にスペーサ部材を設けて、該緑化部保持層内に水を貯留させるための貯水空間と、水を排水させるための排水空間とを形成し、前記スペーサ部材の表面に導水性を有する導水シートを設けて、該導水シートによってスペーサ部材の少なくとも上面を被覆するとともに、該導水シートの一部を前記緑化部保持層内に貯留される雨水等の水内に浸漬させ、前記導水シートの上部に植物生育培地を載置させ、前記緑化部保持層内に貯留される水を前記導水シートを介して前記植物生育培地に作用させることを特徴とする。 本発明による緑化基盤システムの施工方法によれば、緑化対象箇所の基盤の上部に緑化部保持層を設け、その緑化部保持層内にスペーサ部材を設けて、スペーサ部材の上部に導水シートを設け、その導水シートの上部に植物生育培地を載置すればよいので、基盤への施工が容易となる。 【発明の効果】 【0019】 以上、説明したように、本発明の緑化基盤システム及び緑化基盤システムの施工方法によれば、建物、道路、公園等の緑化対象箇所の基盤に緑化部保持層を設け、その内部にスペーサ部材を設け、さらにスペーサ部材の上部に導水シートを設けて、その一部を緑化部保持層内の水内に浸漬させ、導水シートの上部に植物生育培地を載置することにより、緑化対象箇所に緑化基盤システムを設置することができるので、緑化基盤システムの設置コストを大幅に低減させることができる。また、タイマー、電磁弁、給水タンク等からなる給水システムを必要とすることなく、緑化部保持層内に一定量の水を貯留することができるので、ランニングコストを低減させることができる。 さらに、スペーサ部材によって緑化部保持層内に水を貯留する貯水空間と水を排出する排出空間とを形成し、一定量の水を貯水空間内に貯留するようにしているので、植物生育培地の全体に均一に水を供給することができる。 さらに、導水シートの上部又は下部に透水性防根シートを設けているので、植物の根が貯水空間及び排水空間内に及ぶのを防止でき、安定した性能を発揮することができる。 さらに、オーバーフロー管によって緑化部保持層内を一定の水位に保つことができるので、緑化部保持層内に流れ込んだ雨水等の水が植物生育培地にまで及んで、植物生育培地を流出させてしまうようなことはない。 さらに、流入管によって緑化部保持層の底部に雨水等の水を導いているので、流入管を介して緑化部保持層内に流入する水が植物生育培地に直接に作用するようなことはなく、植物生育培地が流入する水によって流されるようなことはない。 さらに、流入管の途中に連通しているオーバーフロー管によって流入管内を流れる水の一部を流入管外に導くことができるので、大流量の雨水等の水が緑化部保持層内に導かれるようなことはなく、大雨等の際にも緑化部保持層内を一定の水位に保つことができる。 さらに、緑化部保持層内を堰によって複数の小緑化部保持層に区画することができるので、緑化対象箇所の面積が大きい場合であって、十分に対応することが可能となる。 さらに、緑化部保持層、スペーサ部材、及び導水シートは、様々な形状に柔軟に対応することができるので、自由な形状の緑化計画にも十分に対応することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。 図1〜図3には、本発明による緑化基盤システムの第1の実施の形態が示されていて、図1は緑化基盤システムの全体を示す概略断面図、図2は図1の部分拡大説明図、図3は図2の平面図である。 【0021】 すなわち、この緑化基盤システム1は、建物の屋上、ベランダ、道路、公園等の緑化対象箇所の基盤2の上部に設けられる緑化部保持層3と、緑化部保持層3の内面に設けられる防水シート10と、緑化部保持層3内に設けられるスペーサ部材11と、スペーサ部材11の表面に設けられる導水シート14と、導水シート14の上部に載置される植物生育培地25とを備えている。 【0022】 緑化部保持層3は、基盤2の上部に複数の縁石等を配置して、角環状、円環状等の周壁5を形成し、この周壁5の内側の部分に上部が開口する凹部6を形成し、この凹部6の内面全体に防水シート10を敷設して構成したものである。 【0023】 ただし、緑化部保持層3は、上記の構成に限らず、基盤2の上部に所定の形状の凹部を穿設し、この凹部の内面全体に防水シート10を敷設して構成しても良いし、基盤2を形成する際に凹部を一体に形成し、この凹部の内面全体に防水シート10を敷設して構成しても良い。 【0024】 緑化部保持層3の周壁5の一部(上下方向の中間よりもやや下方に位置する部分)には、周壁5内外を水平方向に貫通するオーバーフロー管7が設けられ、このオーバーフロー管7により緑化部保持層3内が所定の水位以下に保たれる。オーバーフロー管7は、緑化部保持層3の周壁5の外面と面一としても良いし、周壁5の外面よりも更に外方に引き出しても良い。 【0025】 緑化部保持層3の底面4は、図中右から左に向かって所定の勾配に形成され、この勾配の最下位に対応する周壁5の部分にオーバーフロー管7が設けられている。従って、緑化部保持層3内に貯留される水は、勾配の傾斜に沿ってオーバーフロー管7の方向に導かれ、所定の水位を超える水はオーバーフロー管7を介して緑化部保持層3外に排出されることになる。 【0026】 防水シート10は、塩化ビニル等からなるシート状をなすものであって、緑化部保持層3の内面全体に接着剤等の接合手段によって一体に接合され、この防水シート10によって緑化部保持層3内に長期に渡って雨水等の水を貯留することができる。 【0027】 防水シート10の代わりに、緑化部保持層3の内面全体に塩化ビニル等の防水剤をコーティングしても良い。なお、防水シート10は、基盤2が完全な防水性を有する素材(樹脂、金属等)からなるものである場合には設ける必要はない。また、緑化部保持層3内に貯留する水の一部を基盤2内に浸透させるような使い方をする場合にも設ける必要はない。その場合には、一定期間ごとに緑化部保持層3内の水位を確認し、水位が基準よりも下がっている場合には、水道等の給水源から水を補給する必要がある。 【0028】 スペーサ部材11は、内部に互いに連通する空間を有する所定の厚みの乾麺状の樹脂製のシートであって、緑化部保持層3内の上下方向の中間よりも下側の部分に設けられ、このスペーサ部材11によって緑化部保持層3内に相互に連通する空間が形成される。この場合、スペーサ部材11の下半部に対応する部分、すなわちオーバーフロー管7の下端よりも下方に位置する部分は水を貯留するための貯水空間12に形成され、それよりも上方に位置する部分は水を排出させるための排水空間13に形成されている。 【0029】 スペーサ部材11は、その上部に載置される植物生育培地25の重量を支持し得る強度を有し、植物生育培地25の重量に押し潰されることなく、植物生育培地25の下側の部分に水を貯留する貯水空間12と水を排出させる排水空間13とを形成している。 【0030】 ただし、スペーサ部材11は、乾麺状のものに限らず、図5に示すように、複数の画鋲状物を組み合わせて構成しても良いし、図6に示すように、格子状をなすシートの交差部にそれぞれピンを立設したものによって構成しても良いし、図7に示すように、籠状をなすものによって構成しても良いし、図8に示すように、U字状をなすものを複数組み合わせて構成しても良いし、図9に示すように、L字チャンネル、T字チャンネル状をなすものを組み合わせて構成しても良いし、図10に示すように、円錐状、円柱状をなすものに中空部を設けたものを組み合わせて構成しても良いし、図11に示すように、円錐状をなすものを組み合わせて構成しても良いし、図12に示すように、内部に空気を充填した円柱状のものを複数組み合わせて構成しても良い。さらに、図示はしないが、田形状のものやハニカム形状のもので構成しても良い。要は、緑化部保持層3内に水を貯留する貯水空間12と水を排水させる排水空間13とを形成し、かつ植物生育培地25の重量を支持できる形状、強度のものであれば良い。 【0031】 導水シート14は、導水性を有する素材からなるものであって、緑化部保持層3に貯留される水を毛管現象により吸い上げて全体に浸透させ、上部に載置される植物生育培地25に供給する機能を有している。導水シート14の素材としては、ポリエチレン、ポリエステル等の各種の樹脂製フィルム、各種の樹脂、合成繊維等からなる不織布、織布等が挙げられる。 【0032】 導水シート14は、スペーサ部材11の上面、及び上面に連続する側面(オーバーフロー管7に対応する部分を除く)を全周に渡って被覆するように設けられ、端部がスペーサ部材11の側面に沿って垂下し、その先端が緑化部保持層3の底部にまで達している。従って、導水シート14の端部は、緑化部保持層3内に貯留される水内に浸漬されることになるので、緑化部保持層3内に貯留される水が導水シート14に吸い上げられ、導水シート14の全体に浸透されて導水シート14に接触している植物生育培地25の下面全体に供給されることになる。この場合、導水シート14は、一体に形成したものをスペーサ部材11の上面及び側面に敷設してもよいし、別体に形成してものをスペーサ部材11の上部及び側面にそれぞれ敷設して、隣接する部分を互いに接触させるようにしてもよい。 【0033】 導水シート14は、スペーサ部材11の表面の少なくとも上面の全体を被覆し、かつ一部が緑化部保持層3内の水に浸漬するように設ければよい。また、スペーサ部材11が複数のブロックに分割されている場合には、各ブロックの上面及び側面を被覆するように設ければ効果的に水を吸い上げることができる。導水シート14は、図示はしないが、スペーサ部材11の表面全体を被覆するように予め設けておいても良い。このように導水シート14を設けておくことにより、現場において導水シート14を敷設する手間を省くことができる。 【0034】 導水シート14の上部には、人工又は自然の植物生育培地25が載置され、この植物生育培地25に草木等の植物が植栽される。植物生育培地25と導水シート14との間にポリエチレン、ポリエステル等の各種の樹脂製のフィルム、各種の樹脂、合成繊維等からなる不織布、織布等からなる透水性を有する透水防根シート22を介装させても良い。このような透水防根シート22を介装させることにより、植物生育培地25に植栽した植物の根がスペーサ部材11にまで及ぶのを防止でき、植物生育培地25の下側にスペーサ部材11による排水空間と13貯水空間12とを長期に渡って維持することができる。 【0035】 緑化部保持層3には、雨水等の水を緑化部保持層3内に導くための流入管15が設けられている。流入管15は、図2及び図3に示すように、緑化部保持層3の隅部にレンガ、縁石等からなる隔壁19を設け、この隔壁19の内側の部分に植物生育培地25から隔離され、かつスペーサ部材11の上端に連通する流入部20を形成し、この流入部20内に下端部を挿入している。そして、この流入部20を介して緑化部保持層3内に水を導くことにより、流入管15を介して流入する水が植物生育培地25に直接に作用するのを防止できる。なお、図中21は、緑化部保持層3内に流入する水の流速を低減させるための礫である。 【0036】 流入管15の途中の部分(緑化部保持層3よりも上方の部分)には、オーバーフロー管16が連結され、このオーバーフロー管16によって流入管15内を流れる水の一部が流入管15外に導かれる。従って、大雨等の際に、流入管15内を流れる雨水等の水の流量が増えた場合に、その一部をオーバーフロー管16に導くことにより、大量の水が緑化部保持層3内に導かれるのを防止できる。流入管15の下端部には、フィルタ部材17が設けられ、このフィルタ部材17によって雨水等の水内に混入しているゴミ等が除去され、ゴミ等が混入していない水が緑化部保持層3内に供給される。 【0037】 なお、図4に示すように、マンション等の集合住宅やオフィスビル等の各階のベランダの基盤2の上部にそれぞれこの実施の形態による緑化基盤システム1を設ける場合には、上位に位置する緑化基盤システム1の流入管15のオーバーフロー管16から流出する水を、その下位に位置する緑化基盤システム1の流入管15で受けるように構成しても良い。このように構成することにより、建物全体において、効率良く水を利用することができる。 【0038】 上記のように構成したこの実施の形態による緑化基盤システム1及び緑化基盤システム1の施工方法にあっては、緑化対象箇所の基盤2に設けた緑化部保持層3に、防水シート10、スペーサ部材11、導水シート14、植物生育培地25を設けるだけで設置でき、特殊な部材を使用する必要がないので、緑化基盤システム1の設置コストを大幅に低減させることができるとともに、ランニングコストを低減させることもできる。また、タイマー、電磁弁、給水タンク等からなる給水システムを必要とすることなく、緑化部保持層3内に一定量の水を貯留することができるので、これによっても設置コストを低減することができるとともに、ランニングコストも低減させることができる。 【0039】 さらに、スペーサ部材11によって緑化部保持層3内に水を貯留する貯水空間12と水を排出する排出空間13とを形成し、一定量の水を貯水空間12内に貯留するようにしているので、植物生育培地25の全体に均一に水を供給することができる。 【0040】 さらに、オーバーフロー管7によって緑化部保持層3内を一定の水位に保つことができるので、緑化部保持層3内に流れ込んだ雨水等の水が植物生育培地25にまで及んで、植物生育培地25を流出させてしまうようなことはない。 【0041】 さらに、流入管15によって緑化部保持層3の底部に雨水等の水を導いているので、流入管15を介して緑化部保持層3内に流入する水が植物生育培地25に直接に作用するようなことはなく、植物生育培地25が流入する水によって流されるようなことはない。 【0042】 さらに、流入管15の途中に連通しているオーバーフロー管16によって流入管15内を流れる水の一部を流入管15外に導くことができるので、大流量の雨水等の水が緑化部保持層3内に導かれるようなことはなく、大雨等の際にも緑化部保持層3内を一定の水位に保つことができる。 【0043】 さらに、緑化部保持層3、スペーサ部材11、及び導水シート14は、様々な形状に柔軟に対応することができるので、自由な形状の緑化計画にも十分に対応することができる。 【0044】 図13及び図14には、本発明による緑化基盤システム及び緑化基盤システムの施工方法の第2の実施の形態が示されていて、図13は全体を示す平面図、図14は図13の部分拡大断面図である。 【0045】 すなわち、この実施の形態に示す緑化基盤システム1は、緑化対象箇所の基盤2が大面積の場合に有効となるものであって、緑化部保持層3の底部に勾配に沿って所定の間隔ごとに、スペーサ部材11の貯水空間12に対応する高さの堰9を設け、この堰9によって緑化部保持層3内を複数の小緑化部保持層8に区画したものであって、その他の構成は前述した実施の形態に示すものと同様である。 【0046】 すなわち、この実施の形態に示す緑化基盤システム1においては、各小緑化部保持層8内の水位を堰9によって一定の水位に保つことができるとともに、勾配の上位に位置する小緑化部保持層8内から溢れ出た水をその下位に位置する小緑化部保持層8で受け取り、さらにその小緑化部保持層8から溢れ出た水のその下位に位置する小緑化部保持層8で受け取ることができるので、各小緑化部保持層8内を長期に渡って一定の水位に保つことができる。この場合、各々の小緑化部保持層8にそれぞれ前述した実施の形態に示すものと同様の流入管15を設けても良いし、最上位に位置する小緑化部保持層8のみに流入管15を設けても良い。 【0047】 そして、この実施の形態に示す緑化基盤システム1にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏するとともに、緑化部保持層3内を堰9によって複数の小緑化部保持層8に区画しているので、緑化対象箇所の面積が大きい場合であって、十分に対応することが可能となり、汎用性を高めることができる。 【図面の簡単な説明】 【0048】 【図1】本発明による緑化基盤システムの第1の実施の形態の全体を示した概略断面図である。 【図2】図1の部分拡大説明図である。 【図3】図2の平面図である。 【図4】第1の実施の形態の緑化基盤システムの変形例を示した説明図である。 【図5】スペーサ部材の他の例を示した説明図である。 【図6】スペーサ部材の他の例を示した説明図である。 【図7】スペーサ部材の他の例を示した説明図である。 【図8】スペーサ部材の他の例を示した説明図である。 【図9】スペーサ部材の他の例を示した説明図である。 【図10】スペーサ部材の他の例を示した説明図である。 【図11】スペーサ部材の他の例を示した説明図である。 【図12】スペーサ部材の他の例を示した説明図である。 【図13】本発明による緑化基盤システムの第2の実施の形態の全体を示した平面図である。 【図14】図13の部分拡大断面図である。 【符号の説明】 【0049】 1 緑化基盤システム 2 基盤 3 緑化部保持層 4 底面 5 周壁 6 凹部 7 オーバーフロー管 8 小緑化部保持層 9 堰 10 防水シート 11 スペーサ部材 12 貯水空間 13 排水空間 14 導水シート 15 流入管 16 オーバーフロー管 17 フィルタ部材 19 隔壁 20 流入部 21 礫 22 透水防根シート 25 植物生育培地
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000549 【氏名又は名称】株式会社大林組 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜東4番33号
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| 【出願日】 |
平成16年11月22日(2004.11.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000176 【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
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| 【公開番号】 |
特開2006−141309(P2006−141309A) |
| 【公開日】 |
平成18年6月8日(2006.6.8) |
| 【出願番号】 |
特願2004−337178(P2004−337178) |
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