トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 植物観賞用照明装置
【発明者】 【氏名】石渡 正紀
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内

【氏名】安部 慎一
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内

【氏名】工藤 章英
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内

【要約】 【課題】植物観賞用照明装置において、室内における観賞用の植物の観賞期間を延ばすために、植物に対して適切な人工光を照射しながら、簡易かつ安価に、培地と植物の乾燥を防いで花弁や葉が枯れてしまうことがなく、観賞期間を長くする。

【解決手段】空間的に開放系に在る観賞用植物1を光照射する光源4と、この植物の周辺に水滴又は水蒸気を発散する霧噴出し口6を備え、植物1の培地を含む周囲環境を高湿度に保つことができ、それらの乾燥を防ぐ。これにより、湿度管理が難しいとされていた植物についても、花弁や葉の表面状態を瑞々しいまま長期間維持することが可能となり、光源による光照射の光合成促進効果に加えて、さらに植物観賞期間を延ばすことが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観賞用植物の上部又は側面部に該植物を光照射する光源を備えた植物観賞用照明装置において、
開放空間に位置させた植物の周辺に水滴又は水蒸気を発散する水発散機構を備えたことを特徴とする植物観賞用照明装置。
【請求項2】
前記水発散機構が、霧吹き又は振動子を用いた機構であることを特徴とする請求項1記載の植物観賞用照明装置。
【請求項3】
前記水発散機構が、水を温水とする熱源を有し、温水から上がる水蒸気や湯気を用いることを特徴とする請求項1記載の植物観賞用照明装置。
【請求項4】
前記熱源が、照明装置本体内に配設された照明器具用安定器であることを特徴とする請求項3記載の植物観賞用照明装置。
【請求項5】
前記植物の周辺の湿度を検知する湿度検知手段と、これにより検知された湿度に応じて前記水発散機構の動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の植物観賞用照明装置。
【請求項6】
前記植物の種類及び/又は季節に応じて1日の予め設定された時間帯に前記水発散機構を動作させるタイマー制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の植物観賞用照明装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉢物の花卉類や観葉植物など観賞用の植物を対象として、それらの室内における観賞期間(花が綺麗に咲いている期間や葉の色が購入時と遜色無いレベルで維持されている期間)を延ばす目的で、植物に対して適切な人工光を照射する植物観賞用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉢物の花卉類や観葉植物などの観賞用の植物に対して、人工光を照射して観賞期間を延ばそうとする照明器具としては、植物の生育に必要な光(光波長が400〜500nmおよび600〜700nm)を効率よく発生し、赤や青い花の色を特に美しく見せる植物育成用の蛍光灯を用いたものがある(本件出願人が「グリーンライト」(商標)という商品で発売)。また、植物育成に必要な青色光成分(光波長が430〜470nm)と赤色光成分(光波長が630〜680nm)を含む白色発光ダイオードを用いた室内用植物栽培用照明器具などが知られている。ところが、これらの照明器具は、いずれも植物に対して人工光を照射する機能しか有しておらず、植物の乾燥を抑えるための機構は備えていない。
【0003】
また、一般的にテラリウムと呼ばれる略密閉型のガラス容器、又は透明な樹脂の容器に囲まれた空間内で温室を形成することにより、温度と湿度を植物の生育しやすい環境に制御する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この温度と湿度の制御のために、空調機をテラリウム内に設置して強制的に温度と湿度を制御しながら、人工光源を略密閉空間に配して積極的に光合成をさせる装置も存在している。
【0004】
しかしながら、このような従来装置は、植物の生長を促す環境を整えることは可能であるが、構成が複雑となり高価となり、鉢花や観葉植物の観賞期間を延ばすという目的のために、消費者が気軽に購入しようとするものではない。また、蘭のように高い湿度環境を必要とする植物を対象とした場合には、略閉鎖空間を持つ装置では内面が結露して装置内にある植物が見難くなるといった問題がある。
【特許文献1】登録実用新案第3038876号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉢花や観葉植物などに対して光が積極的に照射されると、植物は光合成を活発に行い、根からの水分の吸い上げや葉からの水分の発散が促進される性質を有する。このため、植物に対して積極的に人工光を照射して光合成を促進させると、その分だけ、より培地と植物自身が乾燥しやすくなる。家庭住宅内において、蘭など湿度制御が必要な植物を育てる場合、この乾燥を防ぐためには風呂場のような高湿度環境に植物を移動させ、又は植物に水を霧吹きなどで噴霧するといった手間をかけているのが現状である。この手間を怠ると、より早く植物が萎れ、最終的には枯れてしまう可能性が高くなる。
【0006】
植物の乾燥を抑えるために、潅水頻度を高くする方法もあるが、多くの植物は根の周りが濡れている状況が続くと、根腐れを起こすなどの障害が発生し易いので、できる限り根周りの水分を抑えなければならない。また、湿度を人工的に高める手段として、上述のテラリウムを用いる方法もあるが、大掛かりな設備になり、コスト高になっていた。
【0007】
また、室内で育てている植物を越冬させようとした場合、植物に対する潅水を控え目にして植物の生長を抑えようとするのが一般的であるが、潅水を控え目にすることによって花弁や若い葉などを乾燥させ過ぎると、花弁や葉の表面の痛みがより早く進行してしまい、その花弁や葉が枯れてしまい外観を著しく損なうなどの問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、観賞用の植物の室内における観賞期間を延ばすために、植物に対して適切な人工光を照射しながら、潅水頻度を高くする以外の方法で、簡易かつ安価に、培地と植物の乾燥を防ぎ、花弁や葉が枯れてしまうことがなく、観賞期間を長くすることが可能な植物観賞用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述目的を達成するため、本発明は、観賞用植物の上部又は側面部に該植物を光照射する光源を備えた植物観賞用照明装置において、開放空間に位置させた植物の周辺に水滴又は水蒸気を発散する水発散機構を備えたものである。
また、前記水発散機構として、霧吹き又は振動子を用いることができる。
また、前記水発散機構として、水を温水とする熱源を有し、温水から上がる水蒸気や湯気を用いることができる。
また、前記熱源として、照明装置本体内に配設された照明器具用安定器を用いてもよい。
また、植物の周辺の湿度を検知する湿度検知手段と、これにより検知された湿度に応じて水発散機構の動作を制御する制御手段とをさらに備えていてもよい。
また、植物の種類及び/又は季節に応じて1日の予め設定された時間帯に水発散機構を動作させるタイマー制御手段をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空間的に開放系に在る植物に対して、光照射すると共に、水滴又は水蒸気を発散することにより、室内における鉢花や観葉植物の培地を含む周囲環境を高湿度に保つことができ、それらの乾燥を防ぐことができる。このため、湿度の管理が難しいとされていた植物についても、花弁や葉を枯らすことなく、花弁や葉の表面状態を瑞々しいまま長期間維持することが可能となり、人工光源による積極的な光照射の光合成促進効果に加えて、さらに植物観賞期間を延ばすことが可能となる。しかも、従来の閉鎖系の植物観賞装置のように、植物の周りに仕切りのような部材がないので、装置内面に水滴等が付着して観賞の障害を生じるといったことがなくなる。
【0011】
また、熱源が観賞用植物の下部にあることにより、植物の周囲環境の湿度を高めるのに加え、植物周囲の温度も高めることができる。そのため、冬季において余り高くない室温の部屋に観賞用植物を置いた場合においても、植物を健康に生長させながら外観を維持することが可能となり、結果として観賞期間を延ばすことに寄与する。
【0012】
また、植物近傍に湿度センサを設けたものでは、湿度環境をリアルタイムに検知しながら、温水生成用熱源としてのヒータなどへの通電タイミングを制御すれば、植物にとってより適した湿度環境に自動制御することが可能となる。また、検知した結果をフィードバックすることにより、ヒータに対しての過剰な通電が抑えられるため、省エネルギーにも寄与する。
【0013】
また、タイムスイッチを用いてヒータへの通電を制御する場合においても、対象となる植物に応じて植物の発散が活発化するタイミングで集中的に水分を発散させるといった水発散機構を制御するプログラムを前もって入力しておけば、植物を健康に維持し易く、かつ、生育しやすい湿度環境とすることが可能となる。また、ヒータのオン/オフの自動制御が可能となり、同時にヒータへの過剰な通電も抑えるため、省エネルギーに寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る植物観賞用照明装置について図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る植物観賞用照明装置(以下、照明装置という)を示す。照明装置は、開放空間に設けられる鉢花や観葉植物等の植物1の鉢2を乗せる台3と、植物1の上部又は側面部から植物1を光照射するランプを備えた光源4と、台3上に光源4を支持する支柱5と、光源4の下部又は植物1の上部位置に配置され、植物1に向かって水滴又は水蒸気を発散する霧噴出し口6(水発散機構)を備えている。
【0015】
この台3は、内部に水7を貯留するタンク8を備え、水を霧噴出し口6まで押し出すための水送り出し用ポンプ9と、光源4の照明器具用安定器10が併設されている。また、タンク8に蓄えられた水7を霧噴出し口6に導く水用パイプ11が支柱5に沿って設けられている。霧噴出し口6には、周知の霧吹きや振動により噴霧作用を得る振動子を用いてもよい。光源4は、水がかかる可能性が高いため、ランプをむき出しするのではなく、ガラスや樹脂を用いた透明カバーを設けたものとする。カバーを設けない場合は、ランプソケット部や配線部は防水処理を施す。照明装置への電源線、照明器具用安定器10から光源4への配線、ポンプ9への配線は、図示を省略している。
【0016】
本実施形態による照明装置においては、室内の開放空間に在る観賞用の植物1に対して、光源4により光照射すると共に、霧噴出し口6より水滴又は水蒸気を発散する。これにより、植物1の周囲環境を高湿度に保つことができ、植物1の培地2aと植物1の乾燥を防ぐことができる。これにより、湿度の管理などが難しいとされていた植物についても、花弁や葉を枯らすことなく、花弁や葉の表面状態を瑞々しいまま長期間維持することが可能となり、人工光源による積極的な光照射の効果(光合成促進)に加えて、さらに植物観賞期間を延ばすことが可能となる。また、従来の閉鎖系の植物観賞装置に比べて、装置内面に水滴等が付着して観賞の障害を生じるようなことを回避することができる。
【0017】
図2は、第2の実施形態に係る照明装置を示す。この照明装置は、水発散機構及び水貯留構成が上記第1の実施形態と相違し、水発散機構及び水貯留構成として、霧噴出し口6やポンプ9、タンク8に代えて、水蒸気を発散する上面開放の水受け13を植物1の下方域に設けており、照明器具用安定器10の熱を利用して温水を作る水蒸気タイプである。照明装置は、上記と同様の光源4を備え、また、植物1及び水受け13を乗せる台14を備え、水受け13の下で台14内に熱源として照明器具用安定器10を配置している。なお、植物1の鉢2は、水受け13から突設した載置台15上に乗せられる。
【0018】
本実施形態による照明装置においては、照明器具用安定器10の熱を利用して水受け13内の水7を温水とし、この温水から上がる水蒸気や湯気により植物1の周りを加湿する。これにより、植物1の培地2aと植物1の乾燥を防ぐことができ、上記と同等の効果が得られる。さらにまた、熱源が観賞用植物の下部にあることにより、植物1の周囲環境の湿度を高めるのに加え、植物周囲の温度も高めることができ、そのため、冬季において余り高くない室温の部屋に観賞用植物を置いた場合においても、植物を健康に生長させながら外観を維持させ、ひいては観賞期間を延ばすことが可能になる。なお、冬季以外の季節に、積極的に加湿したくない場合や、植物に対して熱を加えないようにするために、水受け13の下の照明器具用安定器10を取り外せる構成とするか、又は、同安定器10の熱を水受け13や植物1の在る上部に伝えないように、水受け13と同安定器10との間に断熱部材を挟み込めるような構造とする。
【0019】
図3は、第3の実施形態に係る照明装置を示す。この照明装置は、水発散機構として、第2の実施形態と同様に、上面開放の水受け13を備え、かつ、この水受け13内の水7を温めるための温水生成用熱源としてヒータ16を備えている。ヒータ16は水受け13に接する形で水受け13の下部又は側面部に配置する。
【0020】
本実施形態による照明装置においては、ヒータ16への通電による発熱を利用して水受け13内の水を温水とし、第2の実施形態と同様に、温水から上がる水蒸気や湯気により植物1の周りを加湿し、上記と同等の効果が得られる。
【0021】
図4は、第4の実施形態に係る照明装置を示す。この照明装置は、第3の実施形態と同等の水発散機構及び水貯留構成を備え、さらに、植物1の周りの湿度を検知する湿度センサ17と、その検知信号が信号線18を経て入力され水発散機構の動作を制御する制御部19とを備え、この制御部19でもって温水生成用熱源としてのヒータ16への通電を制御して、加湿制御するようにしたものである。湿度センサ17は、植物1の在る鉢2の中に簡単に固定することができる構造(培地2aに挿す形状、鉢2に引っ掛ける形状、光源4を支える支柱5の任意の高さに留める形状など)とすればよい。
【0022】
本実施形態による照明装置においては、湿度センサ17によるリアルタイムの湿度環境を検知しながら、検知結果をフィードバックすることにより、ヒータ16をスイッチング制御して加湿制御する。これにより、植物にとってより適した湿度環境に自動制御することができ、また、ヒータに対しての過剰な通電が抑えられ、省エネルギーになる。
【0023】
図5は、第5の実施形態に係る照明装置を示す。この照明装置は、上記第3の実施形態の構成に加えて、植物の種類及び/又は季節に応じて1日の予め設定された時間帯に水発散機構を動作させるタイムスイッチ20(制御手段)を備えている。タイムスイッチ20は、ヒータ16への通電をタイマー制御する。タイマー制御は、対象とする植物種やその植物を観賞する季節によって予め定められた時間に行うものとする。例えば、冬季に蘭のように高い湿度環境が必要な植物種を対象とする場合は、タイムスイッチ20は、長時間、ヒータ16を通電させて水受け13より水蒸気を発生させるものとする。また、温水は一度暖まると、或る一定の時間は、暖かい状態を持続して水蒸気を出し続けることから、タイムスイッチ20によって間欠的にヒータ16の通電を制御することも可能である。
【0024】
本実施形態による照明装置においては、タイムスイッチ20を用いて、植物の発散が活発化する朝又は明期開始時刻から数時間程度、集中的に水分を発散させ、逆に植物の発散の止まる夕方から夜間にかけては、植物1の葉を乾かすために、意識的に水発散機構から水分を発散させないといった制御を行うことが可能となり、ひいては、観賞植物の観賞期間の長期間化効果が顕著に得られる。
【0025】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られることなく、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、室内温度が低い場合は、植物1の葉に水滴が付着しない方が良いので、冬季の夜間温度対策として照明器具用安定器10の熱を利用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置における霧吹きタイプの構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る照明装置における水蒸気タイプの構成図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る照明装置における水蒸気タイプの他の構成図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る照明装置における湿度センサを備えたタイプの構成図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る照明装置におけるタイムスイッチを備えたタイプの構成図。
【符号の説明】
【0027】
1 植物
3 台
4 光源
5 支柱
6 霧噴出し口(水発散機構)
7 水
8 タンク
9 水送り出し用ポンプ
8 水(湯)
10 照明器具用安定器
13 水受け
14 台
16 ヒータ(熱源)
17 湿度センサ(湿度検知手段)
19 制御部(制御手段)
20 タイムスイッチ(タイマー制御手段)
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地
【出願日】 平成16年10月25日(2004.10.25)
【代理人】 【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫

【公開番号】 特開2006−115803(P2006−115803A)
【公開日】 平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願番号】 特願2004−309477(P2004−309477)