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【発明の名称】 灌漑用取水調整器
【発明者】 【氏名】葛 西 茂

【要約】 【課題】従来型の水門に比較して廉価なものとして提供することができる上、従来には得ることのできない程に高い水密性をもって密閉することができ、しかも灌水量をより正確に調節することができる水田用など取水口を実現可能とする。

【解決手段】ブロック本体2に塩化ビニル製丸直管からなる案内管3を縦設し、これに交叉するトンネル状の取水用配管路4を形成し、案内管3と同一塩化ビニル製丸直管からなり、一部を切除し弾性的に縮径可能とした水量調節栓用管体5を、該案内管3に上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能とするように装着してなるものとした灌漑用取水調整器1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製のブロック本体の上下方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成すると共に、当該案内管の上下方向適所において交叉状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成する一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能となる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされてなるものとしたことを特徴とする灌漑用取水調整器。
【請求項2】
コンクリート製のブロック本体の上下方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成すると共に、当該案内管の上下方向適所において交叉状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成する一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能となる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされ、その外周面を自らの弾発力によって当該案内管内周面に密着状となるようにしたことを特徴とする灌漑用取水調整器。
【請求項3】
コンクリート製のブロック本体の上下方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成すると共に、当該案内管の上下方向適所において交叉状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成する一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能であり、上端適所には操作用の把手部を設けてなる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされてなるものとしたことを特徴とする灌漑用取水調整器。
【請求項4】
コンクリート製のブロック本体の上下鉛直方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成すると共に、当該案内管の上下方向適所において直交状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を直状に横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成する一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能であり、上端適所には操作用の把手部を設けてなる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされてなるものとしたことを特徴とする灌漑用取水調整器。
【請求項5】
コンクリート製のブロック本体の上下鉛直方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成した上、水田畦畔所定箇所に埋設されたときにその上端はブロック本体上面よりも上方であって畦畔上に露出、開口するだけの長さに延伸させたものにすると共に、当該案内管の上下方向適所において直交状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を直状に横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成した上、該取水用配管路の灌漑用水路側の開口には水路接続用配管を、また水田側の開口には放水用配管を夫々接続し得るようにする一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能であり、上端適所には操作用の把手部を設けてなる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされ、その外周面を自らの弾発力によって当該案内管内周面に密着状となるようにしたことを特徴とする灌漑用取水調整器。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、水田や畑等に灌漑用水を引き込む取水技術に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであって、取水口を製造する分野は勿論のこと、その製造に必要とする設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用できるようにするリサイクル分野、その他現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(視 点)
我が国における水田や畑は、永い歴史の中で、圃場の周囲に畦を巡らせて自然の降雨を溜めて農作物を栽培する農業から次第に川から水を引き、安定した取水を確保できる灌漑による栽培が行われるようになり、近年では農業用水路や排水路および大型農業機械の搬入を容易にする農業用道路等を完備した農業用地が整備され、旱魃や多雨、台風等の劣悪な気象条件の下でも、より安定した収量を確保できるよう基盤整備が進められてきている。
【0003】
このように灌排水設備の整えられた水田では、春先の代掻きに続く田植えから盛夏、秋の収穫期に渡り、稲の生育状態や除草、施肥等の各種条件に応じて事細かな灌水の管理を行うことが不可欠であり、それを怠ると収穫量の減少や米品質の著しい低下を招く原因となってしまい、稲作農家にとって細心の注意を払わなければならない作業の一つとされている。
【0004】
こうした灌排水設備の具体的なものとしては、農業用水路に面する水田上ての畦畔適所を一部切除し、その間にコンクリート製の左右枠を嵌め込み、設置して左右枠に形成されたレール溝間に、上方から複数枚の木製平板を着脱可能に装着して必要に応じた枚数の平板を着脱できる水門を設け、同様の水門を水田下手の隣接する水田か、あるいは農業用水路下流側等に面する畦畔に設置したものや、あるいは、水田の上てと下てとの畦畔同様箇所の夫々の一部を切除し、防水性の袋に土を入れた土嚢を積み重ねて閉鎖し、土嚢を必要に応じて撤去し、灌水量を調節するといったものであった。
【0005】
ところが、従来までのこのような簡易的な水門は、前者ではコンクリート製の枠と平板との間や平板同士の接合部分に隙間が発生し、また後者では、土嚢を積み重ねて泥等で隙間を埋めて閉鎖するが、強い雨等で灌漑用水の流速が増した場合等には、土嚢同士の積み重ね部分に隙間が発生したり、悪条件が重なると土嚢ごと押し流されてしまう等、完全な閉鎖状態を確保するのが困難であり、なかなか望む湛水状態や排水状態を確保することができないという欠点を有していた。
【0006】
(従来の技術)
こうした弊害を解消しようとして、例えば特開2001‐348850号公報に掲載された「水門とその施工方法」発明のように、プレキャストコンクリート製のベンチフリュームにコンクリートと共に一体に取り付けられた止水板を有し、止水板に接続しコンクリートを貫通する筒状の通水管と、通水管の開口部を開閉自在に密閉する蓋部材を備えるようにしたものや、特開平9‐327244号公報に開示のある「水田水位調整装置」発明に見られるような、両縁にゴム板を装着した可倒板を固定板の間に回転摺動可能に設置して水門を形成し、可倒板の倒れ角度を変えて水門の高さを変えられるようにし、ゴム板は自己の復元力により固定板に接して水密を保つと共に摺動部から泥、草、わら屑等を取り除くことができ、可倒板は電池および太陽電池を動力源とする電気的駆動装置により操作され、本駆動装置は電波により無線遠隔制御されるようにしたもの等が既に開発されている。
【特許文献1】(1)特開2001‐348850号公報 (2)特開平9‐327244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
しかしながら、前者の「水門とその施工方法」による水門は、施工作業の効率化を重視したものであり、その構成部品は、水中に没して設置された通水管を閉鎖する蓋部材に、水上に延伸されるハンドルや棒部材、ならびにそれらを案内するためのガイド金具類等、多数の部品を必要とするものであり、従来型の簡易的な水門に比較して高価なものとなってしまうという欠点があり、また、後者の「水田水位調整装置」もまた、太陽電池利用の駆動源や、無線遠隔制御用の電気的駆動装置等を有するため、従来型の水門に比較して格段に高価な上、複数の水田を個別に灌水管理しようとする場合には、その操作も複雑化してしまい、小規模農家や高齢化により複雑な遠隔操作を好まない人々にとっては、反って取扱い難いものとなってしまうことが懸念されるものであった。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、従来型の水門に比較しても廉価に提供することができる上、従来には得ることのできない程度に高い水密性をもって密閉することができ、しかも灌水量をより正確に調節することができる水門を提供することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の灌漑用取水調整器を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明に包含される灌漑用取水調整器は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、コンクリート製のブロック本体上下方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成すると共に、当該案内管の上下方向適所において交叉状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成する一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能となる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされてなるものとした構成を要旨とする灌漑用取水調整器である。
【0010】
この基本的な構成を換言するならば、コンクリート製のブロック本体の上下方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成すると共に、当該案内管の上下方向適所において交叉状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成する一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能となる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされ、その外周面を自らの弾発力によって当該案内管内周面に密着状となるようにした構成からなる灌漑用取水調整器ということができる。
【0011】
上記した基本的な構成からなる灌漑用取水調整器には、コンクリート製のブロック本体の上下方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成すると共に、当該案内管の上下方向適所において交叉状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成する一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能であり、上端適所には操作用の把手部を設けてなる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされてなる構成の灌漑用取水調整器が包含される。
【0012】
同様に、コンクリート製のブロック本体の上下鉛直方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成すると共に、当該案内管の上下方向適所において直交状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を直状に横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成する一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能であり、上端適所には操作用の把手部を設けてなる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされてなる灌漑用取水調整器を含む。
【0013】
そして、より望ましい構成のものとしては、コンクリート製のブロック本体の上下鉛直方向に渡って塩化ビニル製丸直管からなる案内管を埋入、一体化して中空縦孔を形成した上、水田畦畔所定箇所に埋設されたときにその上端はブロック本体上面よりも上方であって畦畔上に露出、開口するだけの長さに延伸させたものにすると共に、当該案内管の上下方向適所において直交状配置となって該中空縦孔に連通し、同ブロック本体を直状に横断、貫通するようにした案内管内径範囲内に収まる直径の取水用配管路を形成した上、該取水用配管路の灌漑用水路側の開口には水路接続用配管を、また水田側の開口には放水用配管を夫々接続し得るようにする一方、前記案内管の上端開口からは、同案内管と同一直径の塩化ビニル製または同等の弾性素材からなり、案内管全長以上の長さとした丸直管からなり、その周方向所定巾部分が全長に渡って切除され、周方向への弾性変形が可能であり、上端適所には操作用の把手部を設けてなる水量調節栓用管体が、上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着、組み合わされ、その外周面を自らの弾発力によって当該案内管内周面に密着状となるようにした構成からなる灌漑用取水調整器となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明の灌漑用取水調整器によれば、コンクリート製のブロック本体に塩化ビニル製丸直管からなる案内管を略縦姿勢、且つ上端を開口するよう内蔵し、当該ブロック本体の一側面外壁から、案内管適所の内径範囲中に交叉状に貫通し、他側面外壁に達する取水用配管路を形成し、該案内管の上端から、同案内管と同一外径の塩化ビニル製丸直管を創意に基づき加工して得られる水量調節栓用管体を、取水用配管路の開度を、調節自在とするよう上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能とする如く装着したものとすることにより、従来型の水門に比較して必要部品点数を大幅に削減し、比較的低廉にて市場提供することができるものとなり、しかも案内管と同一直径である塩化ビニル製丸直管の円周の一部を切除し、全長に渡り弾性的に縮径するようにした水量調節栓用管体を使用したことにより、共に塩化ビニル製ということも手伝って案内管内周面と水量調節栓用管体外周面とが高い密着性をもって接合するものとなり、従来構造では容易に得ることのできなかった高い密閉性能と水位調節機能とを確保し、灌水量をより正確に調節することができるものになるという秀れた特徴が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
ブロック本体は、水田の畦中に埋設状に設置することにより、灌漑用水路側と水田側とを繋ぐ取水用配管路を形成すると共に、該取水用配管路の中途適所には、水量調節栓用管体を装着および開閉操作可能とする案内管を交叉状に配置させるものとなるという機能を果たすものであり、地中に安定的に埋設可能であって、しかも取水用管路と案内管とを適正な交叉状態に強固に固定可能なものであれば、その材質や形状等に制限を受けるものではないが、設置作業性や地中における長期的使用に耐えるものとするのが好ましく、鉄筋を内蔵したプレキャストコンクリート製とするのが最も望ましものであり、無駄の無い概略立方体かあるいは概略直方体型かの外郭形状とすることが可能であるが、それらのみに限定されるものではなく、側断面三角形状や側断面台形状等の畦畔断面形状中に埋設容易な様々な形状の中から適宜選択することができ、必要に応じて吊上げ用のフックを一体化もしくは脱着可能に設けたものとしたり、周壁面の適所に畦土中に確りと定着させるための凹凸形状や鈎部材等を形成したものとすることが可能である。
【0016】
案内管は、ブロック本体中に略トンネル状に形成された取水用配管路に対して水量調節栓用管体を、交叉状に進退自在に案内可能とすると共に、直径方向外側に向けて弾性的に拡張しようとする水量調節栓用管体の外周壁面に、内周壁面を密接に接合してその接合範囲に渡って液密な状態を確保可能とするという機能を果たすものであり、ブロック本体の上側壁面適所から下側壁面の適所に貫通するものとすることができる外、実施例中に示すように、下側壁面付近にコンクリート肉厚部分を残した有底構造とすることも可能であり、直径寸法およびその直径範囲位置が、取水用配管路交叉部分の直径寸法およびその直径範囲位置に一致するか、あるいは直径寸法が取水用配管路の交叉部分の直径寸法よりも大きく、直径寸法範囲が取水用配管路の直径寸法範囲を含む配置となるよう設定し、取水用配管路の貫通部分に対応する周壁面には通水用の貫通孔を穿孔したものとすべきであり、しかも所定の規格(例えばJIS規格等)に基づいて製造され、広く販売されている塩化ビニル製丸直管からなるものとすべきであり、ブロック本体を畦中に埋設、設置した姿勢で水量調節栓用管体の案内用管路が、略鉛直状の姿勢となるよう形成するのが望ましいが、ある程度傾斜状の姿勢に形成したものとすることも不可能ではない。
【0017】
水量調節栓用管体は、ブロック本体中に略トンネル状に形成された取水用配管路に対して交叉状に進退移動することにより、該取水用配管路の断面積を全閉と全開との間で無段階的に変更、可能として通水量を自在に調節可能とすると共に、その外周壁面を直径方向の外側に向けて拡張するよう弾発力を発揮して案内管の内周壁面に圧接状となり、密着状態を確保可能とするという機能を果たすものであり、案内管と同一直径かあるいは僅かに大きな直径の塩化ビニル製丸直管からなり、周壁面の所定幅範囲を同丸直管の両端間に渡って切除し、外径を弾性的に縮径、可能な形状とすると共に、取水用配管路の内径寸法を越える長さ寸法に設定し、進退操作に支障のない適所に操作用の把手部を適宜設けたものとするのが望ましく、操作性を考慮すれば、案内管の全長を越える長さ寸法に設定すると好都合のものとなるが、閉鎖状態においては案内管内に収納されるよう、できるだけ短く設定して畦畔上に不要に突出させない構造とすることも可能である外、把手部またはその柄の部分等を上方に延長して案内管の上端から突出するようにしたものとすることも可能であり、把手部部分を操作終了後に折り畳んで収納したり、あるいは取り外して別途、保管できるよう脱着可能な構造のものとすることができる。
【0018】
取水用配管路は、ブロック本体の肉厚中に、灌漑用水路側と水田側とを繋ぎ、灌漑用水路からの取水を可能とするものであり、その中途適所に水量調節栓用管体を有する案内管が交叉状となって水量調節栓用管体の進退移動に伴う開度調節を受け、流路断面積を自在に変更可能なものになるという機能を果たすものであり、交叉部分の直径寸法が、案内管の直径寸法に一致し、しかも交叉部分の直径寸法範囲が、案内管の直径寸法範囲に一致するものとするか、あるいは交叉部分の直径寸法が、案内管の直径寸法よりも小さく、交叉部分の直径寸法範囲が、案内管の直径寸法範囲内に収まるよう交叉したものとすべきであり、製造作業性や設置作業性を考慮すると、ブロック本体中に略水平、一直線状の管路とするのが望ましいが、畦中に埋設、設置した際のブロック本体中に、垂直方向や水平方向に、ある程度傾斜させたり、階段状に折り曲げたりした管路形状とすることも可能である外、ブロック本体中で直交状に折れ曲がり、平面形状がL字型あるいはJ字型等の管路形状や、途中で合流あるいは分岐する平面形状がY字型やT字型等の管路形状とすることが可能であり、合流または分岐型の管路形状とした際には、分岐された複数の管路に水量調節栓用管体を装着した案内管を夫々個別に設けたものとすることができ、また、必要に応じてブロック本体の側面外壁に開口する灌漑用水路側の開口端を、畦畔の地中部分から水田側にある程度突出する長さのものに延伸、形成すると共に、水田側の開口端を、灌漑用水路中に達する長さに延伸するようにしたものとすることが可能であり、夫々の開口端に応じた適当な長さおよび形状の塩化ビニル製配管を接続して延長させたものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例】
【0019】
図1の灌漑用取水調整器の斜視図、および図2の畦畔中に埋設された灌漑用取水調整器の断面図に示される事例は、コンクリート製のブロック本体2の上方壁面から下方壁面付近に掛けた肉厚内部に塩化ビニル製丸直管からなる案内管3を縦孔状に貫通、一体化させるようにし、当該ブロック本体2中に、側面外壁の一方に一端を開口し、それとは異なる他方に他端を開口させ、その中途適所が該案内管3の適所に交叉状に貫通するトンネル状の取水用配管路4を一体形成し、前記案内管3の上端開口には、同案内管3と同一直径の塩化ビニル製丸直管からなり、周壁面の所定幅範囲を同丸直管の両端間に渡って切除して外径を弾性的に縮径可能な形状としてなる水量調節栓用管体5が、その外周面を自らの弾発力によって案内管3内周面に液密状に圧接して上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能とする如く装着してなるこの発明の灌漑用取水調整器における代表的な一実施例を示すものである。
【0020】
当該灌漑用取水調整器1は、一辺が200ないし250mm程度の略直方体型に形成され、内部に図示しない鉄筋を配したプレキャストコンクリート製のブロック本体2を有し、該ブロック本体2の上面中央の外壁から、下面中央外壁の数十mm肉厚を残した深さ位置まで、内径132mm前後の塩化ビニル製丸直管からなる中空状の案内管3を鉛直状に埋設、一体化しその上端を、ブロック本体2上面外壁から、鉛直上方に数百mm程度、突出させたものとしている。
【0021】
該ブロック本体2の肉厚内部には、一方の側面外壁の略中央から、案内管3の中途部を貫通し、それとは反対側となる他方の側面外壁の略中央に至る、内径110mm前後の略水平で直線トンネル状の取水用配管路4を形成し、その管路中心を、前記案内管3の管路中心に略直交状に交叉するよう配置させたものとし、ブロック本体2を畦61の土中に設置する際に、同取水用配管路4の水田6側に面する側の端部開口には、内径107mm前後の塩化ビニル製丸直管からなり、適宜寸法に設定された放水用配管41を、また、設置の際に灌漑用水路7側に面する側の端部開口には、放水用配管41と同一の107mm前後の内径に設定された塩化ビニル製丸直管からなり、適宜寸法に設定された水路接続用配管42を夫々一体的に接続する。
【0022】
案内管3、放水用配管41および水路接続用配管42は、予め十文字形状に接続、一体化して置き、ブロック本体のコンクリート成型工程の段階で一体化したものとすることができる外、各部に下孔を有するブロック本体を成型した後に、夫々接着あるいはその他の結合構造を介して装着、一体化したものとすることが可能であり、特に放水用配管41および水路接続用配管42は、設置場所の条件に応じて切断あるいは接続する等、適宜加工を加えて長さや配管形状等を調節した後に、後付け接続できるようにしたものとするのが望ましい。
【0023】
前記案内管3上端開口には、同案内管3と同一直径の塩化ビニル製丸直管からなり、案内管3の全長400ないし500mm前後を越える600ないし700mm前後の長さとなる寸法に設定すると共に、周壁面適所の所定幅範囲、例えば20ないし100mm程度を同塩化ビニル管の両端間(全長)に渡り、切除して該切除部分51の周方向端部分同士を接近させるよう押圧することにより、全長に渡る外径を弾性的に縮径させた形状とした上、当該塩化ビニル製丸直管の全長を決定し切断する段階で予め余剰部分を確保しておき、上端となる一方端部の略均衡、対峙する2箇所の夫々に棒状の把手部部分を残すよう加工し、夫々を内側に約90゜折り曲げて重ねるようにすることにより、操作用の把手部52,52を一体形成したものとしてなる水量調節栓用管体5を、その下端側から上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能に装着させたものとしている。
【0024】
(実施例の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の灌漑用取水調整器1は、図2中に示してあるとおり、水田6の畦畔61の土中に埋設し、ブロック本体2中に形成された取水用配管路4の水田6側となる開口に放水用配管41を接続し、その端部が畦61の土中から露出して水田6側に開口したものにすると共に、同取水用配管路4の灌漑用水路7側となる開口に水路接続用配管42を接続し、その端部が灌漑用水路7中に露出して水面下に開口するものとした上、ブロック本体2の上面から突出している案内管3上端を畦畔61の上部に露出させたものとし、同案内管3の上端開口に、水量調節栓用管体5をその下端側から装着したものとすることによって水田6の畦畔61所定箇所への設置作業を完了する。
【0025】
当該灌漑用取水調整器1は、水田6の給水側となる上てと、排水側となる下てとの双方の畦畔61,61に夫々同様に設置することが可能であり、取水と排水とを夫々個別に調節できるものとすることが可能であり、取水の際には、図2中に示すように、水量調節栓用管体5を上方に引き上げることによって取水用配管路4を開放させ、同図2中に白抜き矢印で示すように、灌漑用水路7から水田6側に所望量の水を流入させることができ、該水量調節栓用管体5の上下進退移動によって無段階的且つ正確に取水量を調節することが可能であり、しかも水量調節栓用管体5の外周壁面が、その弾性的復元力によって案内管3の内周壁面に密着状に接合することから、開放状態から全閉状態に至る何れの段階でも不要な漏水現象を無くし、きめ細やかな取水調節を実現可能とするものとなる。
【0026】
(実施例の効果)
以上のような構成からなる実施例の灌漑用取水調整器1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、取水用配管路4の水田6側の開口に、塩化ビニル製丸直管からなる放水用配管1を、また灌漑用水路7側の開口に、同様の水路接続用配管42を夫々接続したものとすることにより、設置場所の条件に応じて自由な配管を行うことができるものとなり、従来側の水門では得ることのできない取水流入の方向設定等を設置作業の段階で自在に操作することが可能となり、より取水管理者の意向に添った設置構造のものとして提供することができるものになるという利点を得られる。
【0027】
また、水量調節栓用管体5の操作用の把手部52を、塩化ビニル製丸直管から一体的な2本の棒状に切り出した上、それらを内側に折り曲げることによって形成するようにしてあることから、新たな部品を追加、組み合わせたりすることなく水量調節栓用管体5の上下方向摺動可能且つ周方向旋回可能とする操作を行うことができるものとなり、灌漑用取水調整器1の部品構成を、鉄筋を内蔵したプレキャストコンクリート製のブロック本体2、および塩化ビニル製丸直管からなる案内管3、水量調節栓用管体5、ならびに取水用配管路4の放水用配管1、水路接続用配管42のみに抑えたことにより、従来構造の水門では不可欠であったボルト・ナットやその外の金具類を一切必要とせず、錆びや磨耗等による破損が少なく耐久性に秀れ、格段に経済的なものとすることができるという特徴を有するものとなっている。
【0028】
(結 び)
叙述の如く、この発明の灌漑用取水調整器は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易であって、なお且つ従前からの水門に比較して使用部品点数を大幅に削減でき、コンクリート製のブロック本体に塩化ビニル製の配管を組み合わせた簡素なものとして実現されることから、極めて経済的なものとすることができる上、きめ細やかな灌水を的確に実現することができるものとなることから、水田の取水管理に腐心する稲作農家や園芸農家等によって高く評価されることとなり、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面は、この発明の灌漑用取水調整器の技術的思想を具現化した代表的な一実施例を示すものである。
【図1】灌漑用取水調整器の構造を示す斜視図である。
【図2】灌漑用取水調整器の設置状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 灌漑用取水調整器
2 ブロック本体
3 案内管
4 取水用配管路
41 同 放水用配管
42 同 水路接続用配管
5 水量調節栓用管体
51 同 切除部分
52 同 操作用の把手部
6 水田
61 同 畦畔
7 灌漑用水路
【出願人】 【識別番号】504395213
【氏名又は名称】葛 西 茂
【出願日】 平成16年10月22日(2004.10.22)
【代理人】 【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實

【公開番号】 特開2006−115785(P2006−115785A)
【公開日】 平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願番号】 特願2004−308818(P2004−308818)