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【発明の名称】 屋上緑化構造およびこれを用いた屋上防水メンテナンス方法
【発明者】 【氏名】広重 亮一
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿6−24−1 西新宿三井ビル18階 三井ホーム株式会社内

【要約】 【課題】緑化のための人工地盤を撤去することなく、建物の防水層の状態を確認することができる屋上緑化構造およびこれを用いた屋上防水メンテナンス方法を提供する。

【解決手段】屋上緑化構造1は、主に、バルコニー10と、このバルコニー10から所定間隔を隔てて設けられた緑化ステージ20と、この緑化ステージ20上に設けられた緑化システム30と、バルコニー10と緑化ステージ20との間に設けられたドレイン部40と、から構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋上に構築される屋上緑化構造であって、
前記屋上の外周縁に沿って立設される周壁と、
前記屋上の少なくとも床面を被覆する防水層と、
前記周壁及び前記防水層から所定間隔を隔てて配置される緑化ステージと、
前記緑化ステージ上に設けられる緑化システムと、
前記周壁と前記緑化ステージとの間に形成される第1ドレイン部と、
前記防水層と前記緑化ステージとの間に形成され、前記第1ドレイン部と連通する第2ドレイン部と、
前記周壁に設けられ、前記第1ドレイン部と前記屋上の外部とを連通する第3ドレイン部と、を有することを特徴とする屋上緑化構造。
【請求項2】
前記第1ドレイン部の少なくとも一部は、当該第1ドレイン部に流入した不要物を撤去可能な幅に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の屋上緑化構造。
【請求項3】
前記第1ドレイン部の上部開口部を覆う着脱自在な透水性カバーをさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の屋上緑化構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の屋上緑化構造を有する建物における屋上防水メンテナンス方法であって、
前記第2ドレイン部に撮像装置を挿入し、前記防水層を撮像することにより、前記防水層の状態を確認することを特徴とする屋上防水メンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、屋上緑化構造およびこれを用いた屋上防水メンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物自体の断熱効果やヒートアイランド現象の抑制、あるいは、建物景観の向上やリラックス効果などを目的として、建物の屋上に人工地盤を構築して植物を植え付けることにより緑化を図るいわゆる屋上緑化が行われている。
【0003】
従来の屋上緑化構造としては、例えば、建物の屋上床の上面に防根性を有する防水層を形成し、該防水層の上面に貯水可能な保水層を形成し、該保水層の上面に高排水性土壌を敷き詰めるようにしたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−332372号公報(段落0004、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物の防水性能を長期間にわたって維持するためには、防水層や排水設備の状態を定期的に点検し、保守・管理する必要がある。
【0005】
しかし、従来の屋上緑化構造は、建物の屋上を防水する防水層の上面に、保水層および高排水性土壌を直接敷き詰める構造であるため、建物の防水層の状態を確認するためには、これらの保水層および高排水性土壌を撤去しなければならない。そのため、メンテナンス作業が煩雑であるとともに、高コストとなるという問題があった。また、このような理由からメンテナンス作業が行われず、比較的早期に雨漏りなどの実害が発生することがあった。
【0006】
また、従来の屋上緑化構造は、屋上の角部などの一部分だけに排水設備(排水升)を備える構造であることから、当該排水設備に枯葉や土砂が集中して詰まりやすく、頻繁に排水設備の状態を確認し、目詰まりを起こしていれば枯葉や土砂を撤去しなければならず、その作業が煩雑であるという問題があった。
【0007】
特に、従来の屋上緑化構造を個人住宅に適用した場合には、建物の防水性能の維持管理のために、居住者に過度の負担を強いることとなる。そのため、個人住宅においては、屋上緑化構造が敬遠される傾向にあった。
【0008】
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、緑化のための人工地盤を撤去することなく、建物の防水層の状態を確認することができる屋上緑化構造およびこれを用いた屋上防水メンテナンス方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、枯葉や土砂が集中的に流入することがなく、詰まり難い排水構造を備える屋上緑化構造およびこれを用いた屋上防水メンテナンス方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る屋上緑化構造は、建物の屋上に構築される屋上緑化構造であって、屋上の外周縁に沿って立設される周壁と、屋上の少なくとも床面を被覆する防水層と、周壁及び防水層から所定間隔を隔てて配置される緑化ステージと、緑化ステージ上に設けられる緑化システムと、周壁と緑化ステージとの間に形成される第1ドレイン部と、防水層と緑化ステージとの間に形成され、第1ドレイン部と連通する第2ドレイン部と、前記周壁に設けられ、前記第1ドレイン部と前記屋上の外部とを連通する第3ドレイン部と、を有することを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、周壁と緑化ステージとの間に形成される第1ドレイン部と、防水層と緑化ステージとの間に形成され、第1ドレイン部と連通する第2ドレイン部と、を有することから、例えば、第1ドレイン部から第2ドレイン部にカメラ等の撮像装置を挿入することにより、緑化システムを撤去することなく、第2ドレイン部の底面を覆う防水層の状態を確認することができる。
【0011】
また、緑化ステージ上に設けられた緑化システムから排出される水は、緑化ステージの外周に沿って設けられた第1ドレイン部に流入し、一部の水は第2ドレイン部を通って、周壁に設けられた第3ドレイン部から外部へ排出される。すなわち、緑化システムから排出される水に含まれる枯葉や土砂は、まず、第1ドレイン部および第2ドレイン部に堆積することとなる。そのため、第3ドレイン部が詰まる頻度を低減することができる。
【0012】
さらに、防水層の上に緑化ステージ及び緑化システムが設けられることから、防水層の劣化要因の一つである「紫外線」の影響を受け難い構造となる。そのため、防水層の耐久性が向上し、雨漏りを防止することができるとともに、メンテナンスの手間を少なくすることができる。
また、「水」自体も防水層を劣化させる要因の一つであるが、かかる構成によれば、緑化ステージの上や緑化システムの表面を雨水が流れるため、第2ドレイン部を流れる水の量、すなわち、防水層に触れる水の量が少なくなり、緑化システムの下に直接的に建物の防水層を設けた場合に比べて、防水層の耐久性がさらに向上する。
【0013】
ここで、「屋上」とは、建物の屋根(主に陸屋根)の上の空間をいい、いわゆるバルコニーを含むものである。また、「周壁」とは、屋上の周囲に立設されている壁体であり、例えば、建物の外壁や、建物の屋上に設けられるパラペットや、バルコニーに設けられる手摺壁などである。
【0014】
また、「緑化システム」とは、植物を植生するための装置であり、植物と、植物を植えるための人工地盤とから構成するのが好適である。さらに、人工地盤は、例えば、耐根層と、保水層と軽量人工土壌層とを備えるのが好適である。
【0015】
また、「防水層」としては、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastic)防水、シート防水、アスファルト防水、ウレタン塗膜防水などが好適である。
【0016】
また、「緑化ステージ」とは、建物の屋上の床面および周壁から所定間隔をあけて緑化システムを配置するための台であり、例えば、底部材と、底部材の外周縁に立設された枠部材と、底部材と屋上の床面との間に配置された複数の脚部材と、からなるのが好適である。なお、脚部材は、水平方向に相互に離間して防水層上に載置された直方体形状の部材からなるのが好適である。直方体形状の部材を防水層上に載置するようにすれば、防水層に目地や切れ目を形成する必要がなくなるため、防水層の劣化や損傷を少なくすることができる。
【0017】
また、「第1ドレイン部」は、周壁と緑化ステージとの間に形成される空間であり、「第2ドレイン部」は、防水層と緑化ステージとの間に形成される空間である。かかる空間によって、緑化システムから流出した土砂やごみなどが、直接的にドレイン孔に流入することが防止される。すなわち、「第1ドレイン部」および「第2ドレイン部」は、ドレイン孔の閉塞を防止する緩衝帯としての役割を果たす。
【0018】
また、第3ドレイン部は、屋上と屋上外部とを仕切る壁に形成される排水路であり、例えば、パラペットや手摺壁に形成されるのが好適である。また、第3ドレイン部が形成された周壁が下流側となるように、屋上の床面に排水勾配を設けるのが好適である。
【0019】
なお、底部材と枠部材と脚部材とから緑化ステージを構成する場合は、緑化システムに溜まった雨水等を排水するためのドレイン孔(第4ドレイン部)を、底部材あるいは枠部材に設けるのが好適である。かかるドレイン孔によって、緑化システムに溜まった雨水等を第1ドレイン部あるいは第2ドレイン部に排水することができる。また、緑化ステージ周囲の外壁を伝わった雨水や緑化システムからオーバーフローした雨水は、第1ドレイン部の上部から流入し、一部の水は第2ドレイン部を通って、周壁に設けられた第3ドレイン部から外部へ排出される。
【0020】
また、第1ドレイン部の少なくとも一部は、当該第1ドレイン部に流入した不要物を撤去可能な幅に形成されているのが好適である(請求項2)。
【0021】
かかる構成によれば、第1ドレイン部の底に堆積した枯葉や土砂を容易に撤去することができる。
なお、「不要物を撤去可能な幅」の具体的な寸法は、200mm〜600mm程度が好ましく、300mm〜500mm程度であればさらに好適である。また、すべての第1ドレイン部の幅を「不要物を撤去可能な幅」とするのが好適であるが、第1ドレイン部に流入した不要物は、屋上の床面の排水勾配に沿って下流側に流れていくことから、第1ドレイン部のうち、屋上の床面の排水勾配の下流側に位置する周壁に沿う部分の幅を、「不要物を撤去可能な幅」に形成するのがさらに好適である。これにより、第1ドレイン部の、ひいては第3ドレイン部のメンテナンスを容易にしつつ、屋上に占める緑化システムの面積を大きくすることができる。
【0022】
また、屋上緑化構造は、第1ドレイン部の上部開口部を覆う着脱自在な透水性カバーをさらに備えるのが好適である(請求項3)。
【0023】
かかる構成によれば、第1ドレイン部の上部開口部は、透水性カバーに覆われていることから、緑化システムからオーバーフローした水によって流れてくる枯葉などの大きなごみが第1ドレイン部に流入することを防止することができる。そのため、第3ドレイン部の目詰まりを生じさせやすい枯葉などの大きなごみが第3ドレイン部に流入することが少なくなり、第3ドレイン部を詰まり難くすることが可能となる。また、透水性カバーは着脱自在に構成されていることから、透水性カバーを取り外して第1ドレイン部内に堆積した土砂などの不要物を撤去することができる。
なお、透水性カバーとしては、例えば、木製又は金属製の有孔プレートやグレーチングなどを用いるのが好適である。
【0024】
請求項4に係る屋上防水メンテナンス方法は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の屋上緑化構造を有する建物における屋上防水メンテナンス方法であって、第2ドレイン部に撮像装置を挿入し、防水層を撮像することにより、防水層の状態を確認することを特徴とする。
【0025】
かかる方法によれば、第2ドレイン部に撮像装置を挿入し、防水層を撮像することにより、防水層の状態を確認することができる。そのため、従来の屋上緑化構造のように、防水層の上に敷き詰められた人工地盤を撤去することなく、防水層の状態を点検することができる。これにより、建物の防水性能を長期間にわたって良好な状態に維持することが可能となる。なお、撮像装置としては、工業用のファイバースコープなどを用いるのが好適である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、緑化のための材料を撤去することなく、建物の屋上の床面に敷設された防水層の状態を容易に確認することができる。そのため、定期的にメンテナンスを行うことが容易になり、建物の防水性能を長期間にわたって良好な状態に維持することが容易となる。また、メンテナンスのための労力やコストを低減することができ、屋上緑化構造の普及を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。参照する図面において、図1は、第1実施形態に係る屋上緑化構造の構造図であり、(a)は断面図、(b)は平面図をそれぞれ示す。図2は、図1(a)の第1ドレイン部付近を拡大して示した図である。図3は、防水層の状態を確認している状況を示した説明図である。
【0028】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る屋上緑化構造1は、図1に示すように、主に、バルコニー10と、このバルコニー10から所定間隔を隔てて設けられた緑化ステージ20と、この緑化ステージ20上に設けられた緑化システム30と、バルコニー10と緑化ステージ20との間に設けられたドレイン部40と、から構成されている。
【0029】
(バルコニー10)
バルコニー10は、図1に示すように、木造住宅の1階部分の陸屋根上に設けられており、平面視四角形状を呈している。バルコニー10は、1階居室の屋根を兼ねる床スラブ11と、バルコニー10の外周縁に立設した周壁12と、から構成されている。また、周壁12は、手摺壁13a、13b(以下、単に「手摺壁13」という場合がある。)と、2階居室とバルコニー10とを区画する外壁14a、14b(以下、単に「外壁14」という場合がある。)と、から構成されている。
【0030】
バルコニー10の床スラブ11の上面には、排水勾配を形成するための勾配形成材15が積層されており、外壁14側から手摺壁13側に向かって下り勾配になっている。そして、この勾配形成材15の上面に、木造住宅内部への雨水等の浸入を防止するべく、防水層16が形成されている。防水層16は、バルコニー10の床面全体を覆うとともに、周壁12たる手摺壁13および外壁14の側面をも被覆している。
なお、バルコニー10の床面の排水勾配は、1.0%〜2.0%程度であるのが好適である。また、防水層16としては、木造住宅の防水に適したFRP防水を用いるのが好適である。
【0031】
(緑化ステージ20)
緑化ステージ20は、バルコニー10の防水層16と後記する緑化システム30との間にドレインとなる隙間を形成するための台であり、図1、図2に示すように、底部材21と、底部材21の外周縁に立設された枠部材22と、底部材21の下面とバルコニー10の防水層16の上面との間に配置された複数の脚部材23と、からなる。
【0032】
底部材21は、平面視四角形状を呈しており、例えば耐食性に優れたステンレス製の板材等からなる。底部材21の平面積は、バルコニー10の平面積よりも小さく形成されており、バルコニー10の周壁12と底部材21の各辺との間には隙間が形成されている。また、枠部材22は、平面視方形枠状に形成された部材であり、底部材21の外周縁から周壁12と平行に立設されている。よって、バルコニー10の周壁12と枠部材22の外側面との間にも隙間が形成されている。これらの隙間が特許請求の範囲にいう第1ドレイン部41となる。
【0033】
また、複数の脚部材23は、それぞれ直方体形状の部材からなり、勾配形成材15の上面を被覆する防水層16の上に、互いに所定間隔を隔ててマトリクス状に配列されている。底部材21は、かかる脚部材23の上にネジ等によって固定されている。これにより、防水層16と底部材21との間には隙間が形成されることとなる。かかる隙間が特許請求の範囲にいう第2ドレイン部42となる。
【0034】
枠部材22には、第1ドレイン部41と枠部材22の内側とを連通するドレイン孔22aが所々に設けられており、枠部材22の内側に溜まった余分な水分を第1ドレイン部41に排水できるようになっている。
【0035】
(緑化システム30)
緑化システム30は、緑化ステージ20の上に、さらに詳しくは底部材21と枠部材22とに囲まれた凹部の中に設けられており、植物を植えるための人工地盤31と、この人工地盤に植えられた植物32とから構成されている。
【0036】
人工地盤31は、図2に示すように、複数の層から構成されており、例えば下から(底部材21側から)順に、耐根層31a、保水層31b、透水シート層31c、軽量人工土壌層31d、が積層されている。
【0037】
ここで、耐根層31aは、植物32の根が緑化システム30の外部に侵出するのを防ぐものであり、公知の耐根シートを敷設して構成される。保水層31bは、植物32の育成に必要な水分を保持しつつ、余分な水は排水する層であり、公知の保水・排水マットを敷設して構成されている。透水シート層31cは、保水層31bの目詰まりを防止するとともに、軽量人工土壌層31dの流出を防止する膜状のフィルターである。軽量人工土壌層31dは、通常の土壌に比して単位体積重量が約1/2程度に軽量化された人工土壌の層である。
なお、植物32は、芝や草木等、どのようなものでもよく、施主の好みに合わせてレイアウトされる。
【0038】
(ドレイン部40)
ドレイン部40は、緑化システム30からの排水をバルコニー10の外部に排出するものであり、図1、図2に示すように、緑化システム30の周囲に形成された隙間からなる第1ドレイン部41と、緑化システム30の下に形成された隙間からなる第2ドレイン部42と、第1ドレイン部41の排水を雨樋Dに流すための第3ドレイン部43と、から構成されている。
【0039】
第1ドレイン部41は、いわゆる側溝の役割を果たすものであり、その上部開口部には、網目状のグレーチング44が設置されている。当該グレーチング44は、周壁12の側面と枠部材22の側面とに取り付けられた逆L字型の支持部材45によって係止されており、着脱自在になっている。緑化システム30からの排水は、枠部材22に形成されたドレイン孔22aを通って、あるいは、枠部材22を越えて上部開口部から、第1ドレイン部41に流入する。このとき、上部開口部から流入する排水に含まれる枯葉等の大きな不要物は、グレーチング44の網目に引っ掛かり、第1ドレイン部41に流れ込むのを阻止される。
【0040】
第1実施形態においては、図1に示すように、第1ドレイン部41のうち、手摺壁13に沿う部分(41a、41b)の幅は500mm程度となるように形成され、外壁14に沿う部分(41c、41d)の幅は300mm程度となるように形成されている。そのため、第1ドレイン部41の中に手や道具を入れて、第1ドレイン部41に堆積した土砂や枯葉等の不要物を容易に撤去することができるようになっている。また、第1ドレイン部41は、不要物が第3ドレイン部43に達するまでの緩衝スペースとなり、第3ドレイン部43が閉塞する頻度を低減させることができる。
【0041】
第2ドレイン部42は、底部材21の下面と防水層16との間に形成された平面的な排水路であり、その四方は、第1ドレイン部41の下端部と連通している。そのため、上流側に位置する第1ドレイン部41c、41dから第2ドレイン部42に流入した排水は、脚部材23の間を通って、下流側に位置する第1ドレイン部41a、41bに流出する。また、第2ドレイン部42によって、防水層16の上部に空間が存在することとなるため、防水層16の表面は、乾いた状態に保たれることが多くなり、雨水の滞留や微生物等による防水層16の劣化が抑制される。
【0042】
なお、第2ドレイン部42は、防水層16の点検時において、点検スペースとして機能する。これについては、図3を参照して後に詳しく説明する.
【0043】
第3ドレイン部43は、手摺壁13の外側(第1ドレイン部41と反対側)に沿って設けられた雨樋Dと第1ドレイン部41とを連通するものであり、本実施形態においては、バルコニー10のコーナー部付近の手摺壁13a、13bと、手摺壁13bの中央部に設置されたドレイン管46によって形成されている。ドレイン管46の一方の端部は雨樋Dの内部にはめ込まれており、他方の端部は第1ドレイン部41の底面と側面に沿って折り曲げて広げられている。そして、ドレイン管46の他方の端部の上に防水層16がラップしており、ドレイン管46と防水層16との隙間から床スラブ11等に水が浸入しないようになっている。
【0044】
一般に、バルコニーや屋上の防水層は、異種材料同士の接合箇所となる排水口付近の防水層端部から損傷することが多いが、本実施形態の第1ドレイン部41は、300mm〜500mmと幅広であるため、ドレイン管46付近の防水層16が損傷した場合でも、比較的容易にその修復を行うことができる。
【0045】
つづいて、防水層16のメンテナンス方法について説明する。
【0046】
バルコニー10の防水性能を長期間(例えば10年程度)にわたって良好な状態に保つためには、防水層16の状態を定期的に点検し、劣化や損傷が小さいうちに補修する必要がある。第1実施形態に係る屋上緑化構造1は、防水層16の上部に第2ドレイン部42を有することから、この第2ドレイン部42と工業用のファイバースコープ50とを利用して、防水層16の状態を点検・確認する方法について説明する。
【0047】
(撮像装置挿入工程)
はじめに、図3に示すように、第1ドレイン部41の上部開口部に設置されているグレーチング44を取り外し、第1ドレイン部41から第2ドレイン部42にファイバースコープ50を挿入する。
【0048】
(防水層撮像工程)
つぎに、ファイバースコープ50を用いて防水層16の表面を撮像する。ファイバースコープ50は、モニタ60に接続されており、撮像した映像はモニタ60に映し出される。
【0049】
(防水層確認工程)
そして、モニタ60に映し出された映像を観察して、防水層16の状態を確認する。すなわち、人工地盤31を撤去することなく、防水層16の状態を確認することができる。
【0050】
ある部分の確認が終了したら、ファイバースコープ50を別の位置に移動させ、防水層撮像工程と防水層確認工程とを繰り返すことにより、防水層16の表面全体の状態を確認する。
【0051】
そして、防水層16に補修が必要な程度の損傷が認められた場合には、緑化ステージ20および緑化システム30を撤去し、防水層16を補修する。
【0052】
かかる方法によれば、点検のたびに人工地盤31を撤去する必要がないため、定期的な点検を行い易い。また、定期的な点検により、防水層16の劣化・損傷を軽微な段階で発見することができ、メンテナンスのコストを抑制できるとともに、バルコニー10の防水性能を長期間にわたって良好な状態に保つことができる。
【0053】
以上、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0054】
例えば、本実施形態においては、第1ドレイン部41a、41b、41c、41dの幅を、すべて300mm〜500mm程度となるように構成したが、これに限られるものではなく、不要物が集まり易い下流側の第1ドレイン部41a、41bの幅を300mm〜500mm程度とし、上流側の第1ドレイン部41c、41dの幅を数mm〜数十mm程度(例えば5mm〜50mm程度)にしてもよい。
【0055】
かかる構成によれば、幅数mm〜数十mmの第1ドレイン部41c、41dによって、上流側の周壁12の側面を被覆する防水層16と緑化システム30の人工地盤31とが常時密着することを防止することができる。したがって、上流側の周壁12の側面を保護する防水層16を、通常時において、乾燥した状態に保つことができ、防水層16の劣化・損傷を抑制することができる。また、降雨時においては、緑化ステージ20からオーバーフローした雨水等を、当該第1ドレイン部41c、41dから第2ドレイン部42に排水することができる。
【0056】
また、本実施形態においては、直方体形状の部材からなる脚部材23を、防水層16の上に載置することとしたが、これに限られるものではなく、床スラブ11の上面から勾配形成材15および防水層16を貫通して柱状の脚部材を立設するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態においては、個人住宅のバルコニー10に屋上緑化構造1を適用した場合について説明したが、これに限られるものではなく、ビルの屋上等に適用してもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、防水層16の表面を観察する際に、ファイバースコープ50を用いたが、これに限られるものではなく、防水層16の表面を観察できれば、どのような撮像装置を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1実施形態に係る屋上緑化構造の構造図であり、(a)は断面図、(b)は平面図をそれぞれ示す。
【図2】図1(a)の第1ドレイン部付近を拡大して示した図である。
【図3】防水層の状態を確認している状況を示した説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 屋上緑化構造
10 バルコニー
11 床スラブ
12 周壁
15 勾配形成材
16 防水層
20 緑化ステージ
21 底部材
22 枠部材
23 脚部材
30 緑化システム
31 人工地盤
32 植物
40 ドレイン部
41 第1ドレイン部
42 第2ドレイン部
43 第3ドレイン部
50 ファイバースコープ
【出願人】 【識別番号】000174884
【氏名又は名称】三井ホーム株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿6−24−1
【出願日】 平成16年8月23日(2004.8.23)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造

【公開番号】 特開2006−55111(P2006−55111A)
【公開日】 平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願番号】 特願2004−242028(P2004−242028)