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【発明の名称】 植物活性装置、植物活性化方法及びこれを利用した水質浄化装置
【発明者】 【氏名】大成 博文
【課題】マイクロバブルの生理活性の効果に着目し、これを利用して水生植物の一つであるホテイアオイの成長促進を実現させる実験結果による知見に基いて、植物活性装置、植物活性方法及び水質浄化装置を提供する。

【解決手段】水中にその根系が浸された植物と、これら植物を定植する定植手段と、前記植物の根系にマイクロバブルを供給するマイクロバブル発生装置を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中にその根系が浸された植物と、これら植物を定植する定植手段と、前記植物の根系にマイクロバブルを供給すると共に、付着させるマイクロバブル発生装置を備えたことを特徴とする植物活性装置。
【請求項2】
前記マイクロバブルは、その径が略30μmから略数百nmであることを特徴とする請求項1に記載の植物活性装置。
【請求項3】
水中に植物の根系を浸し、この植物を定植手段にて定植し、前記植物の根系にマイクロバブルを供給すると共に、付着させることを特徴とする植物活性方法。
【請求項4】
植物の根の毛細根にマイナスの電位を有するマイクロバブルを付着させることによって、植物の栄養(チッソ、リン、カリウム等)のプラスイオンをマイクロバブル周辺に集め、毛細根の栄養の吸収を格段に高めることで植物の根を飛躍的に成長させることを特徴とする植物活性化方法。
【請求項5】
発生後のマイクロバブルが収縮し、その最終過程で破裂する際に光と熱を発生させることによって、根の代謝(光合成)を促進させ、植物活性を生起させることを特徴とする植物活性化方法。
【請求項6】


を発生させ、水中で窒素イオンを根に吸収させることで、植物活性を生起させることを特徴とする植物活性化方法。
【請求項7】
前記マイクロバブルは、その径が略30μmから略数百nmであることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の植物活性方法。
【請求項8】
植物活性により根を大幅に成長させ、その根に植物プランクトンを大量に吸着させることによって、水質浄化を行うことを特徴とする植物活性を利用した水質浄化装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブルの特質を利用した植物活性装置、植物活性化方法及びこれを利用した水質浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜等の植物を栽培する方法として、培地を用いずに培養液を用いて栽培する水耕栽培があり、この培養液に、微細にして大量の微細気泡(マイクロバブル)を効率よく混合して、溶存酸素量の多い培養液を安定して連続供給できる水耕栽培システムは公知である(特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−142582
【特許文献2】特開2000−236762
【0003】
これらの特許文献において、マイクロバブルが果たす役割は、培養液の溶存酸素の濃度を増加させることで、植物の毛根から養分と酸素の吸入を促進させて、植物の栽培を効率的にすることができるとされている(特許文献1の段落0027)。
【0004】
しかし、これらの文献においては、植物の生長と微細気泡との因果関係等が明確な裏付けに基いて記載されているわけではない。
即ち、培養液の溶存酸素の濃淡と植物の生長との関係が明確ではなく、また植物の毛根から吸収される養分及び酸素と植物の生長との関係を解明するような実験や実験結果が記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、本願発明者はマイクロバブルの研究の第1人者として、マイクロバブルの基本構成の研究を進めており、マイクロバブルが水の物理化学的性質を変化させる効果や負の電位を有していること等を特許出願(特願2000−347352)によっても明らかにしている。
本発明は、マイクロバブルの生理活性の効果に着目し、これを利用して水生植物の一つであるホテイアオイの成長促進を実現させる実験結果による知見に基いて、植物活性装置、植物活性方法及び水質浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明に係る植物活性装置は、水中にその根系(根ともいう)が浸された植物と、これら植物を定植する定植手段と、前記植物の根系にマイクロバブルを供給すると共に、付着させるマイクロバブル発生装置を備えたことを特徴とする。
【0007】
本願発明に係る植物活性方法は、水中に植物の根系を浸し、この植物を定植手段にて定植し、前記植物の根系にマイクロバブルを供給すると共に、付着させることを特徴とする。
【0008】
本願発明に係る植物活性方法は、植物の根の毛細根にマイナスの電位を有するマイクロバブルを付着させることによって、植物の栄養(チッソ、リン、カリウム等)のプラスイオンをマイクロバブル周辺に集め、毛細根の栄養の吸収を格段に高めることで植物の根を飛躍的に成長させることを特徴とする。
【0009】
本願発明に係る植物活性方法は、発生後のマイクロバブルが収縮し、その最終過程で破裂する際に光と熱を発生させることによって、そのマイクロバブルの周辺の根又はマイクロバブルが付着した根の代謝(光合成)を促進させ、植物活性を生起させることを特徴とする植物活性化方法とした。
【0010】


を発生させ、水中で窒素イオンを根に吸収させることで、植物活性を生起させることを特徴とする植物活性化方法とした。
【0011】
上記各発明において前記マイクロバブルは、常圧下において発生時にその径が略30μmから略数百nmであることを特徴とする。
【0012】
また、上記植物活性装置によって植物活性により根を大幅に成長させ、その根に植物プランクトンを大量に吸着させることによって、水質浄化を行うことを特徴とする植物活性を利用した水質浄化装置とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る植物活性装置及び植物活性化方法により、植物の成長促進が実現される。
また本発明に係る水質浄化装置により、植物に植物プランクトンを吸収させることによって、池等の水質の改善を図ることができる。
従来は、植物の根が育たないことから、根にプランクトンが吸着される量が少なく、水質浄化に結びつかなかった。
本発明の装置では、マイクロバブルで植物の根を育て、この根にプランクトンを吸着させることで、プランクトンを減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る植物活性装置は、水中にその根系が浸された植物と、これら植物を定植する定植手段と、前記植物の根系にマイクロバブルMB(マイクロ・ナノバブル(MNB)ともいう)を供給するマイクロバブル発生装置からなる。
また本発明に係る植物活性方法は、水中に植物の根系を浸し、この植物を定植手段にて定植し、前記植物の根系にマイクロバブルを供給することを特徴とする。
【0015】
前記定植手段としては、筏状のものでもよいし、パネル状の板材に所定間隔で孔を設け、孔の上方に植物の茎が配置され、孔の下方に植物の根系が配置できるものでもよい。
水生植物のように、植物によってはこの定植手段が不要な場合もある。
【0016】
ホテイアオイの成長促進を実現させる実験及び実験結果について説明する。
図1及び図2に実験の行なわれた池の概略図を示す。
水量約38mの池にコンクリート製の水槽を打設し、そこにマイクロ・ナノバブル発生装置を2機、水中ポンプを下層の池に設置して、マイクロ・ナノバブルを供給した。
また、上層の水槽にマイクロ・ナノバブルとともにポンプアップされた水は、水槽に設けられた堰からオーバーフローし、下層の池に流下するという循環システムが構築された。なお、合成肥料が定期的に投入された。
2002年、2003両年の5月中旬、上下層の池内に、同じサイズのホテイアオイの苗が入れられ、その成長ぶりが比較観察された。同時に、池内の水質浄化の水質観測も行われた。
図3は、ホテイアオイの茎の成長曲線を示している。
これより、マイクロ・ナノバブル非供給のホテイアオイは、成長曲線の勾配が緩やかなのに対し、マイクロ・ナノバブルを供給したホテイアオイは、7月の初旬から9月の初旬にかけて、ほぼ一定の勾配で急成長をしていることが注目される。なお、2年目には最大茎長96cmのホテイアオイも確認された。
これらホテイアオイの比較を、図4に定量的に示す。これより、マイクロ・ナノバブル供給のホテイアオイは、非供給のものと比較し、茎長が約4倍、根の重量が5倍弱となった。
特にこの根の成長は重要であり、マイクロ・ナノバブルの供給により、植物活性の効果を得られたことが注目される。
【0017】
次に、ホテイアオイを用いた水質浄化について述べる。
実験対象の池は、人工のコンクリート張りであり、自然には栄養塩の流入はほとんどない状態が維持されている。しかし、藻類を中心とする植物プランクトンが常に発生し、池の濁度が低下せず、池底は過去30年間、一度も見えることが無かった。
図5に実験池の濁度の推移を示す。
これを図3と対応させてみると、池の濁度はホテイアオイの成長に伴って低減していることが明らかである。
また、図6に、本システムにおける水質浄化の過程を示す。
マイクロ・ナノバブルの供給によりホテイアオイの成長促進がなされ、特に根が著しく成長する。植物プランクトンはこの根に付着し、吸収される。結果として、植物プランクトンが減少し、下層の池の濁度が低減する。
よって、植物の成長による浄化であり、装置が簡単で、安価であり理想的な水質浄化装置、方法となっている。
【0018】
マイクロ・ナノバブルの供給による植物の成長促進は、マイクロ・ナノバブルが植物の根系の毛細根に付着し、これが栄養素の吸収を促進させることによる。
より詳細には、従来のミリサイズ、例えば数百μmサイズの気泡は、植物の毛細根に殆ど付着しないが、マイクロバブルは植物の毛細根に付着する。
図7に模式的に図示したように、このマイクロバブルはマイナスに帯電しており、植物の毛細根はプラスに帯電している。
マイクロバブルが毛細根に付着し、その結果、窒素、リン、カリウム等の正に帯電しているミネラル成分が毛細根に集められ、毛細根から吸収され易くなる。
一方、植物の毛細根にマイクロバブルが付着していない場合には、正に帯電しているミネラルの吸収は限られたものになる。
【0019】
また、植物の根、藻類、マイクロ・ナノバブルの三者における電気的関係は次のようである。
マイクロ・ナノバブルはマイナスの電位を有し、通常藻類はプラスの電位を有することが多い。
一方、植物の根が正の電位を有し、この根にマイクロ・ナノバブルが付着すると、マイクロ・ナノバブルを介在させて藻類、植物プランクトンがとも根に付着するものと考えられる。
【0020】
具体的なマイクロバブル発生装置の一例を図8に基づいて説明する。
発生装置1は、一端部10を覆い他端部11を開放した円筒状の容器であって、内部の円筒状スペース12に対して、その円周の接線方向に加圧液を注入する加圧液注入口13を、前記一端部10に気体導入口14を設けている。
【0021】
この発生装置1を用いて前記マイクロバブルを生成するには、まず少なくとも前記他端部11が液体に没するようにセットし、前記加圧液注入口13から液体を圧送する。
圧送された液体は、前記円筒状スペース12を旋回しながら、前記気体導入口14に進み、旋回流を形成する。
前記旋回流の中心部分、即ち、前記円筒状スペース12の中心軸付近には、その軸にそって負圧領域15が形成される。
【0022】
前記気体導入口14から前記負圧領域15に気体が吸込まれ、負圧領域15に沿って気体が通過することにより、旋回気体空洞部16が形成される。
【0023】
前記旋回気体空洞部16は、前記加圧液注入口13からの加圧液の回転力によってその旋回が強められた後、その回転力から開放されるとともに周囲の静液体17により、その旋回が急激に弱められる。
その結果、図8(5)に示したX領域での前後の大きな旋回速度差の発生により、前記旋回気体空洞部16が連続的に、安定して切断され、前記マイクロバブルが生成され、容器外に放出される。
【0024】
前記発生装置は、例えば中型の場合、図9のようにd1=2〜5cm、d2=1〜1.5mm、d3=0.6〜1.0cm、L1=10〜15cmのサイズであり、加圧液用のポンプは、モータ200〜400W、吐出量40リットル/分、揚程15m程度のものを用いる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】 本発明の係る実験装置の平面図、
【図2】 同実験装置の側面図、
【図3】 実験結果を示すグラフ図、
【図4】 実験結果を示す表、
【図5】 実験結果を示すグラフ図
【図6】 水質浄化のサイクル図、
【図7】 マイクロバブルの作用説明図、
【図8】 マイクロバブル発生装置の構成及び作用説明図、
【図9】 マイクロバブル発生装置の構成図。
【符号の説明】
【0026】
1 発生装置 10 一端部
11 他端部 12 円筒状スペース
13 加圧液注入口 14 気体導入口
15 負圧領域 16 旋回気体空洞部
【出願人】 【識別番号】504322644
【氏名又は名称】株式会社ナノプラネット研究所
【出願日】 平成16年8月7日(2004.8.7)
【代理人】 【識別番号】100083851
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 義勝

【識別番号】100095533
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 安男

【公開番号】 特開2006−42785(P2006−42785A)
【公開日】 平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願番号】 特願2004−256304(P2004−256304)