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【発明の名称】 農業用マルチフィルム
【発明者】 【氏名】木村 浩司
【住所又は居所】香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株式会社内

【氏名】福永 秀樹
【住所又は居所】香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株式会社内

【氏名】清水 利明
【住所又は居所】香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂と無機充填材からなる透湿防水膜の少なくとも片面に補強材が積層されている農業用マルチフィルムにおいて、
該透湿防水膜には遮光性顔料が含有されており、
農業用マルチフィルムの全光線透過率が5%以下であることを特徴とする農業用マルチフィルム。
【請求項2】
ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤からなる透湿防水膜が、遮光性顔料を含有する層を少なくとも一層有している多層膜であることを特徴とする請求項1に記載の農業用マルチフィルム。
【請求項3】
補強材が割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体であることを特徴とする請求項1または2に記載の農業用マルチフィルム。
【請求項4】
遮光性顔料がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の農業用マルチフィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は雑草の成長防止効果と地温上昇の防止効果を有する農業用マルチフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、遮光性顔料を含有している透湿防水膜の少なくとも片面に補強材が積層されており、透湿性、通気性、防水性および遮光性を兼ね備えた農業用マルチフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミカンやリンゴ、ブドウなどの果樹の栽培において、果実の糖度アップや早期成熟を目的として透湿防水フィルムで果樹の根元周辺の地表面を被覆することを特徴とする果実植物の栽培方法が提案されている(特許文献1)。
このように果樹の根元に展張し水分コントロールを行い果実の糖度アップを目的としたマルチフィルムには、透湿性、防水性、通気性、機械強度などの特性が必要であり、例えば、ポリオレフィン系のフラッシュ紡糸から形成された不織布や、透湿防水膜と不織布などの補強材からなる積層体がマルチフィルムとして使用されている。
【0003】
ところが、遮光性を有していない従来のマルチフィルムでは、日光がマルチフィルムを透過して地面に到達するので雑草が成長してマルチフィルムが持ち上げられ、マルチフィルムの重ね合わせ箇所に隙間が生じて雨水が浸入することになり、目的とする水分コントロールが行えず、果実の糖度アップや早期成熟効果が得られないという問題があった。そのため、マルチフィルムを展張する前に雑草を刈り取り、除草剤をまくなどして雑草が生えないようにする必要があり、展張作業には非常に手間がかかるという問題があった。
一方、雑草の繁殖防止効果を目的として、日光がマルチフィルムを透過して地面に到達しないように、明色の透湿防水膜とスパンボンド紡糸法により得られる合成樹脂繊維を主成分とする暗色の不織布を積層した農業用マルチシートが提案されている(特許文献2)。暗色の不織布を用いることによって農業用マルチシートに遮光性を付与することが可能となるが、不織布の合成樹脂繊維の密度が均一ではないため、合成樹脂繊維の密度の低い箇所では遮光性が低下するという問題があり、雑草の成長防止効果を得る為に必要な遮光性を均一に付与するためには合成樹脂繊維の密度の高い、高目付の不織布を使用する必要があった。
【特許文献1】特開平4−262716号
【特許文献2】特開2002−119151号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、透湿性と通気性、防水性を有し、果樹の根元に展張して水分コントロールを行い果実の糖度アップなどを図ることができると共に、雑草の成長防止効果と地温上昇の防止効果を有する農業用マルチフィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、透湿防水膜と長繊維不織布や、割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体からなる補強材を積層した農業用マルチフィルムの透湿防水膜に遮光性顔料を含有させることによって上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明によれば、
(1) ポリオレフィン系樹脂と無機充填材並びに遮光性顔料からなる透湿防水膜の少なくとも片面に補強材が積層されている農業用マルチフィルムにおいて、
該透湿防水膜には遮光性顔料が含有されており、
農業用マルチフィルムの全光線透過率が5%以下であることを特徴とする農業用マルチフィルムが提供され、
(2) ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤からなる透湿防水膜が、遮光性顔料を含有する層を少なくとも一層有している多層膜であることを特徴とする(1)に記載の農業用マルチフィルムが提供され、
(3) 補強材が割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体であることを特徴とする(1)または(2)に記載の農業用マルチフィルムが提供され、
(4) 遮光性顔料がカーボンブラックであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の農業用マルチフィルムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の農業用マルチフィルムは全光線透過率が5%以下、即ち遮光性に優れており、なおかつ均一な遮光性を有しているので、マルチフィルムを果樹の根元に展張後、マルチフィルムを透過して日光が地面に到達せず、雑草の成長を防止することが可能である。そのため、雑草の成長によってマルチフィルムが持ち上げられ、フィルムの重ね合わせ箇所に隙間が生じて雨水が浸入することがないので、目的とする水分コントロールが行え、果実の糖度アップや早期成熟効果を確実にすることが可能となる。また、雑草の刈り取りや除草剤の散布などの展張作業の手間を省くことが可能となる。さらに、遮光性を付与することで防草効果だけでなく、地温上昇を防止する効果を有している。
【0007】
また、本発明の農業用マルチフィルムに使用される透湿防水膜は均一な遮光性を有しているので、補強材として空隙部分の多い割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体を使用しても遮光性に何ら問題はない。補強材として空隙部分の多い割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体を使用することで、補強材の凹凸が滑り止めの役割を果たして農業用マルチフィルムの表面が雨水などで濡れた場合でも足下が滑りにくいという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の農業用マルチフィルムは、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤からなる透湿防水膜の少なくとも片面に、長繊維不織布や、割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体からなる補強材が積層されている。
本発明の農業用マルチフィルムを構成する透湿防水膜とは、水は透過せず、水蒸気や空気などの気体が透過可能な微細な連続した空隙を有している合成樹脂製の膜であり、優れた透湿性と通気性、さらに防水性をも兼ね備えたものである。
【0009】
さらに、透湿防水膜には遮光性顔料が含有されており、農業用マルチフィルムの全光線透過率は5%以下であり、より好ましくは1%以下である。全光線透過率が5%を超えると、農業用マルチフィルムを展張した場合、日光がフィルムを通過して地面にまで達するので、雑草が成長しマルチフィルムを押し上げることになる。そのため、マルチフィルムの重ね合わせ箇所に隙間が生じて雨水が浸入し水分コントロールが十分に行えず、果実の糖度アップや早期成熟効果が得られないので好ましくない。
【0010】
本発明の透湿防水膜に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。例えば、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂が好適に利用される。さらに、密度が0.850〜0.920g/cmの直鎖状低密度ポリエチレンがより好適に利用される。これらのポリエチレン系樹脂は、長繊維不織布や、割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体からなる補強材との積層が容易に行えるので好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂には本発明の効果を阻害しない範囲で、熱安定剤や光安定剤、紫外線吸収剤、分散剤など従来公知の添加剤を使用することが可能である。
【0011】
また、ポリオレフィン系樹脂に混入する無機充填剤としては、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの水酸化物、酸化カルシウムや酸化亜鉛などの酸化物、ゼオライトや硫酸バリウム、タルク、珪藻土などの無機充填剤が挙げられる。特に、分散性や加工性、延伸後に形成される空隙の大きさなどから、平均粒径が0.5〜10μm、好ましくは1.0〜5.0μmである炭酸カルシウムが好適に利用される。また、無機充填剤の混入割合は20〜70重量%であることが好ましい。無機充填剤の混入割合が20重量%未満だと、延伸した際に多数の空隙を形成することが困難で透湿性および通気性を付与することができない。また、70重量%を超えると機械強度が低下するので好ましくない。
【0012】
無機充填材はポリオレフィン系樹脂への分散性を良好にするために、事前にステアリン酸などの長鎖脂肪酸やステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸で表面処理を行うことが好ましい。また、バンバリーミキサーなどを用いてポリオレフィン系樹脂と炭酸カルシウムを混練し、炭酸カルシウムを高濃度に含有するマスターバッチを事前に作成し、ポリオレフィン系樹脂に配合して使用することが好ましい。
【0013】
さらに、遮光性顔料としては遮光性を有していれば特に限定されず、カーボンブラックや酸化チタン、アルミニウム粉末などを例示することができる。その中でも、遮光性と分散性、製膜性などを考慮するとカーボンブラックを使用することがより好ましい。
遮光性顔料の添加量は、農業用マルチフィルムの全光線透過率が5%以下となるように設定されれば特に限定されないが、10重量%以下であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂に混合する無機充填剤割合は20〜70重量%であるため、無機充填剤の混入割合を70重量%に設定した場合、遮光性顔料の添加量が10重量%を超えるとポリオレフィン系樹脂の割合が20重量%を下回ることになり、シートへの加工性や延伸性が悪化し好ましくない。
【0014】
透湿防水膜は、上記のポリオレフィン系樹脂と無機充填剤、遮光性顔料を混合してシート状に形成する。次いで、該シートを少なくとも一軸方向に延伸することにより、ポリオレフィン系樹脂相と無機充填剤との境界面に微細な空隙が生じ、透湿性と防水性を兼ね備えた透湿防水膜が得られる。延伸を行う方法としては特に限定されるものではないが、ロール延伸、特に多段ロール延伸法が好適に利用される。延伸倍率としては1.05〜5.00倍に一軸延伸される。また、延伸後の透湿防水膜の厚みは10〜200μmが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。厚みが10μm未満であれば機械強度が低く透湿防水膜が破損する恐れがあるので好ましくない。また、200μmを超えると、機械強度や防水性は優れるものの、透湿性および通気性が低下するので好ましくない。
【0015】
ポリオレフィン系樹脂に無機充填材並びに遮光性顔料を配合することにより、遮光性顔料が均一に分散し、均一な遮光性を有する透湿防水膜を得ることが可能となる。そのため、補強材として空隙部分の大きな割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体と積層しても均一な遮光性を有し、防草効果に優れている農業用マルチフィルムを得ることが可能となる。
【0016】
また、本発明の農業用マルチフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂と無機充填剤からなる透湿防水膜は、遮光性顔料を含有する層を少なくとも一層有している多層膜であることが好ましい。例えば、遮光性顔料を含有している層(a)と含有していない層(b)を一層ずつ積層した(a)/(b)の二層構成でも良いし、(a)/(b)/(a)や(b)/(a)/(b)などの三層構成でも良く、4層以上の多層構成でも良い。
【0017】
温度上昇の防止効果は、遮光性だけでなくフィルム表面の反射率が大きいほどその効果は大きくなるが、透湿防水膜に遮光性を付与するためにカーボンブラックなどの有色遮光性顔料を使用すると反射率が低下してしまう。そこで、地面に展張した際の上側に位置する側に炭酸カルシウムや酸化チタンなどを含有した白色層を設け、カーボンブラックを含有させた層をそれ以外に配することで、フィルム表面の反射率を保持したまま遮光性を付与することが可能となる。
また、遮光性顔料を含有している層を少なくとも一層設けることにより、透湿防水膜の全体に遮光性顔料を含有させるよりも、遮光性顔料の添加量を低減しても同程度の遮光性が得られるという利点がある。
【0018】
透湿防水膜の少なくとも片面には、透湿防水膜の透湿性および通気性を阻害しない補強材が積層されている。この様な補強材としては、長繊維不織布や、割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体が用いられるが、割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体が特に好ましい。
割繊維不織布としては、合成樹脂からなるフィルムに多数のスリットを形成してこれをスリットの方向に延伸した後、延伸方向と直角な方向に広げるか、あるいは、合成樹脂からなるフィルムを一方向に延伸してこれを延伸方向と平行な多数のスリットを形成した後、延伸方向と直角な方向に広げて、網状フィルムを成型し、延伸方向が直交する様に2枚の網状フィルムを重ね合わせて熱接着することによって得られる。割繊維不織布としては、新日石プラスト(株)製のワリフ(商品名)などが挙げられる。
また、ネット状物としては、合成樹脂からなるフラットヤーンを編み込むか、あるいは、積層して熱接着したネット状物を用いることもできる。ネット状物としては、積水フィルム(株)製のソフネット、ソフクロス(いずれも商品名)や倉敷紡績(株)製のクレネット(商品名)、新日石プラスト(株)製のコンウェッドネット(商品名)などが挙げられる。
【0019】
本発明の農業用マルチフィルムは、水分コントロールを行うために果樹などの根元に広範囲にわたって展張する必要がある。そのため、農業用マルチフィルム展張後に作業を行う必要がある場合には、作業者が農業用マルチフィルムの上で作業を行うことになる。そこで、割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体からなる補強材を積層した側が上面、即ち地面とは反対側に位置するように展張することで、透湿防水膜の破損を防止することが可能となる。さらに、補強材として割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体を用いることで、マルチフィルム上で作業を行う際に割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体の凹凸が滑り止めとなり、マルチフィルムの表面が雨水で濡れていたとしても足下が滑りにくいという効果も有している。
【0020】
透湿防水膜と割繊維不織布並びにネット状物などの格子網状体からなる補強材を積層する方法は、透湿防水膜の透湿性および通気性を阻害しない限り特に限定されない。透湿防水膜と補強材とをポイント状に塗布した接着剤を介して積層しても良いし、透湿防水膜と補強材を重ね合わせて熱圧着することによって積層しても良い。熱圧着を行う場合には、ポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレン系樹脂からなる補強材を用いるとポリオレフィン系樹脂からなる透湿防水膜との接着性が良好であるのでより好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤をシート化する際に、ポリオレフィン系樹脂が溶融状態にあるうちに補強材と圧着、積層し、次いで、少なくとも一軸方向に延伸することによって透湿性および通気性を付与してもかまわない。
【0021】
こうして得られた農業用マルチフィルムは、遮光性を有していることはもちろんであるが、透湿性や通気性、防水性を有している必要がある。透湿度は500〜20,000g/m・24hr、通気度は100〜1,000秒/100cc、耐水圧は1,000mmHO以上であることが好ましい。
【0022】
以下、実施例及び比較例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に記載される実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.915g/cm、MI:1.5)45重量%と平均粒径2.0μmの炭酸カルシウム55重量%からなる樹脂組成物(A)、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.915g/cm、MI:1.5)40重量%と平均粒径2.0μmの炭酸カルシウム55重量%、カーボンブラック5重量%からなる樹脂組成物(B)を、2台の押出機と多層Tダイからなる共押出し製膜装置を用いて(A)/(B)の二層構成のシート状物を形成し、次いで、70〜80℃に設定した多段式ロール延伸機により縦一軸方向に3.0倍に延伸して各層の厚みが(A)/(B)=40μm/5μmの二層構成の透湿防水膜を得た。こうして得られた透湿防水膜の両面に補強材として、割繊維不織布である新日石プラスト(株)製の日石ワリフHS24(商品名)を115℃に加熱したロールで熱圧着して、透湿防水膜と補強材が積層された農業用マルチフィルムを得た。
【実施例2】
【0024】
直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.915g/cm、MI:1.5)45重量%と平均粒径2.0μmの炭酸カルシウム55重量%からなる樹脂組成物(A)、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.915g/cm、MI:1.5)40重量%と平均粒径2.0μmの炭酸カルシウム55重量%、カーボンブラック5重量%からなる樹脂組成物(B)を、3台の押出機と多層Tダイからなる共押出し製膜装置を用いて、(A)/(B)/(A)の三層構成のシート状物を形成し、次いで、70〜80℃に設定した多段式ロール延伸機により縦一軸方向に3.0倍に延伸して各層の厚みが(A)/(B)/(A)=20μm/5μm/20μmの三層構成の透湿防水膜を得た。こうして得られた透湿防水膜の片面に補強材として割繊維不織布である新日石プラスト(株)製の日石ワリフHS24(商品名)を、もう一方の面に補強材としてネット状物である積水フィルム(株)製のソフNH22(商品名)を115℃に加熱したロールで熱圧着して、透湿防水膜と補強材が積層された農業用マルチフィルムを得た。
【0025】
[比較例1]
直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.915g/cm、MI:1.5)45重量%と平均粒径2.0μmの炭酸カルシウム55重量%からなる樹脂組成物(A)を、1台の押出機と単層Tダイからなる製膜装置を用いて一層構成のシート状物を形成し、次いで、70〜80℃に設定した多段式ロール延伸機により縦一軸方向に3.0倍に延伸して45μmの一層構成の透湿防水膜を得た。こうして得られた透湿防水膜の両面に補強材として、割繊維不織布である新日石プラスト(株)製の日石ワリフHS24(商品名)を115℃に加熱したロールで熱圧着して、透湿防水膜と補強材が積層された農業用マルチフィルムを得た。
【0026】
実施例1及び2、比較例1によって得られた農業用マルチフィルムの性能評価は、以下の方法で行い、その結果を表1に示す。
[全光線透過率]
JIS K 7361に準拠して株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズメーターHM−150にて測定を行う。
[透湿度]
JIS Z 0208(カップ法)に準拠して、40℃−90%RHにおいて測定を行う。
[通気度]
JIS P 8117(ガーレー試験機法)に準拠して測定を行う。
[耐水圧]
JIS L 1092の低水圧法に準拠して測定を行う。
【0027】
【表1】


【0028】
多層構成の透湿防水膜に遮光性顔料としてカーボンブラックを5重量%添加した5μmの層を一層設けた実施例1および2で得られた農業用マルチフィルムは、全光線透過率が共に0.01%であり優れた遮光性が付与されていた。一方、遮光性顔料を添加していない比較例1で得られた農業用マルチフィルムは全光線透過率が41%であった。
実施例1および2、比較例1で得られた農業用マルチフィルムで地面を覆い、所定期間経過後に防草性の効果を評価した。実施例1および2で得られた全光線透過率が0.01%である農業用マルチフィルムで地面を覆った範囲では、雑草の発生は全く見られなかった。一方、比較例1で得られた全光線透過率が41%である農業用マルチフィルムでは、農業用マルチフィルムで地面を覆わなかった周囲と変わらないほど雑草が成長しており防草効果はほとんど認められなかった。
【0029】
また、実施例1および比較例1で得られた農業用マルチフィルムで地面を覆い、地温の測定を行ったところ、気温34℃条件下において露地の地温が43℃であったのに対して、比較例1で得られた農業用マルチフィルムでは36℃と地温上昇の防止効果が見られた。一方、実施例1で得られた農業用マルチフィルムでは、比較例1よりもさらに4℃低い32℃であり、地温上昇の防止効果がより優れていた。なお、実施例1で得られた農業用マルチフィルムは透湿防水膜のカーボンブラックを含有させた層が地面側に位置するように展張した。
【産業上の利用可能性】
【0030】
ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤からなる透湿防水膜と補強材を積層してなる透湿防水性を有する農業用マルチフィルムの透湿防水膜に、遮光性顔料を含有する層を少なくとも一層設けることにより、均一な遮光性を有し雑草の成長防止および地温上昇の防止効果がより優れている農業用マルチフィルムを得ることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
【住所又は居所】香川県丸亀市中津町1515番地
【出願日】 平成16年8月3日(2004.8.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−42656(P2006−42656A)
【公開日】 平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願番号】 特願2004−226390(P2004−226390)