| 【発明の名称】 |
生分解性樹脂と可溶性リン又はリン化合物を含有する炭化物とを含む植物育成用資材と該資材を用いた植物育成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】平野 徳彦
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性樹脂材料と、可溶性のリン又はリン化合物を含有する炭化物と、を含む基材によって形成された植物育成用資材。 【請求項2】 育苗ポット、プランター、鉢、マルチング用シートの中から選択される一つであることを特徴とする請求項1記載の植物育成用資材。 【請求項3】 前記炭化物は、被処理物を複数工程に分けて段階的に低温炭化処理し、かつ該低温炭化処理の過程でタール成分を除去した炭化物であることを特徴とする請求項1記載の植物育成用資材。 【請求項4】 前記被処理物は、脱水汚泥ケーキであることを特徴とする請求項2記載の植物育成用資材。 【請求項5】 前記基材には、肥料成分が添加されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の植物育成用資材。 【請求項6】 生分解性樹脂材料と、可溶性のリン又はリン化合物を含有する炭化物と、を含む基材によって形成された植物育成用資材を用いて、植物に対する肥効時期を調整することを特徴とする植物育成方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、農業や園芸の分野や緑化技術分野などで有用な植物の育成技術に関する。より詳しくは、生分解性樹脂と可溶性リン又はリン化合物を含有する炭化物とを含む植物育成用資材と該資材を用いた植物育成方法に関する。 【背景技術】 【0002】 生分解性樹脂は、土壌微生物によって分解を受けるという特性を有し、成分組成によっては前記分解の速度も異なる。この特性に着目し、近年、生分解性樹脂材料を園芸資材、植生資材、農業資材などに利用する技術が提案され始めている。例えば、生分解性樹脂と他の材料とを組み合わせた育苗ポットやシート材料などが提案されている。 【0003】 まず、特許文献1には、紙基材と生分解性樹脂層からなる積層シートの内面を生分解性樹脂層となるように工夫された育苗ポットが開示されている。この技術では、生分解性樹脂層を脂肪族・芳香族ポリエステル系生分解性樹脂とポリ乳酸系生分解性樹脂を特定の比率で組み合わせている。 【0004】 特許文献2には、廃棄時の環境負荷を低減可能にすることを目的とした、生分解性高分子製プランターが開示されている。 【0005】 特許文献3には、生分解性樹脂材料に肥料を混合して得た材料からなる植木鉢やポットなどの製品が提案されており、肥料が溶け出した後は網目状となって水切り性能を発揮することや苗の成長に合わせた成苗管理を行うことができる旨が述べられている。 【0006】 特許文献4には、ポリビニルアルコールに木粉を分散させた生分解性素材と窒素、燐酸、カリウムを含有する肥料成分との混合物を圧縮成型して得られる育苗用ポットに係わる技術が開示されている。この技術では、この育苗ポットに収容した苗をそのまま移植でき、かつ移植の際の施肥作業を省くことができる。 【0007】 特許文献5には、生分解性樹脂に肥料を配合した組成物層とこの組成物層よりも分解の遅い組成物層とから構成された育苗ポットが開示されている。この育苗ポットによれば、栽培地への移植前の苗に肥料を効果的に与えることができる。 【0008】 特許文献6には、生分解性プラスチック製繊維を不織布にした芯素材の表面に生分解時期の異なる生分解性プラスチック層を形成した農園芸用シート状素材が開示されている。 【0009】 特許文献7には、炭化物を含有するセルローススポンジで構成された生分解性の培土で形成された植物用ポットと、この植物用ポットを用いて水耕栽培した後に、栽培土壌に移植する植物栽培方法が開示されている。 【特許文献1】特開2004−121054号公報。 【特許文献2】特開2004−008044号公報。 【特許文献3】特開平08−012701号公報。 【特許文献4】特開平10−014407号公報。 【特許文献5】特開2001−190158号公報。 【特許文献6】特開2000−014252号公報。 【特許文献7】特開2001−211741号公報。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 上記したように、生分解性樹脂を植生育成用の資材や方法に利用する技術や炭化物を配合した植物用ポット(特許文献7参照)が知られている。炭化物は、微生物吸着能や保水能を有する等の理由から、土壌肥料や土壌改良剤として利用する試みもなされている。例えば、汚泥の再利用技術として、汚泥脱水ケーキを炭化処理し、土壌肥料や土壌改良剤として利用することが行われている。 【0011】 しかし、通常の炭化物は、800℃を越えるような高温条件で炭化処理されることによって製造されているので、植物が利用可能な可溶性のリン又はリン化合物は、前記炭化処理の過程で失われてしまう。このため、炭化物それ自体による肥料効果は、充分とは言えなかった。一方、燻炭の製造過程のように、炭化処理を低温条件の下で行うと、炭化物中に植物に有害なタール成分が残留してしまうので、植物育成用の材料としては適さなくなってしまう。 【0012】 そこで、本発明は、生分解性樹脂材料と肥料成分供給材料として機能し得る炭化物とを組み合わせた植物育成用資材と該資材を用いた植物育成方法を提供することを主な目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明では、第一に、生分解性樹脂材料と、可溶性のリン又はリン化合物を含有する炭化物と、を含む基材によって形成された植物育成用資材を提供する。この「植物育成用資材」としては、例えば、育苗ポット、プランター、鉢、マルチング用シートなどを挙げることができる。 【0014】 植物育成用資材を構成する基材中の「生分解性樹脂材料」は、植物の成長過程で土壌微生物等の働きによって経時的に分解を受ける。また、同基材中の「炭化物」は、生分解性樹脂材料の分解を担う微生物の吸着担体としての機能を発揮しながら、植物の必須肥料成分であるリンを、植物が利用可能な可溶性の形態で供給するという役割を果たす。 【0015】 即ち、本発明に係る植物育成用資材は、微生物によって経時的に分解を受けながら、植物に肥料成分であるリンを供給する肥料源として機能する。なお、前記基材には、目的や必要に応じて、リン以外の他の肥料成分(例えば、窒素、カリウムや微量元素(例えば、鉄、亜鉛など)を添加してもよい。要するに肥料設計は自由である。 【0016】 本発明で好適に採用可能な「炭化物」は、被処理物を複数工程に分けて段階的に低温炭化処理し、かつ該低温炭化処理の過程でタール成分を除去した炭化物である。被処理物としては、例えば、下水処理場や各種工場などから発生する汚泥を脱水処理した汚泥脱水ケーキを採用することもできる。 【0017】 本発明では、第二に、上記した植物育成用資材を用いて、植物に対する肥効時期を調整するように工夫した植物育成方法を提供する。 【0018】 即ち、植物育成用資材中の生分解性樹脂の種類、量等を選択することによって、微生物による該樹脂の分解時期を調整するとともに、該資材中の炭化物からの肥料供給時期(肥効時期)を調整することができる。 【発明の効果】 【0019】 本発明に係る植物育成用資材は、植物の成長過程において、土壌微生物等の働きによって経時的に分解を受けながら、植物の必須肥料成分であるリンを、植物が利用可能な可溶性の形態で供給することができる。また、この植物育成用資材を用いることにより、植物に対する肥効時期を調整することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下、添付した図面に基づいて、本発明に係る物や方法の好適な実施形態について説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されない。 【0021】 図1は、本発明に係る植物育成用資材の基本的な材料構成を説明するための図であり、同資材の部分断面図である。まず、この図1に示された符号1は、本発明に係る植物育成用資材(以下「資材」と略称。)が断面状態で表されている。この資材1は、生分解性樹脂11と、この生分解性樹脂11に配合された炭化物12と、から構成されている。 【0022】 生分解性樹脂11は、自然環境に放置した際に、微生物(特に、土壌微生物)の代謝によって分解を受ける合成樹脂であれば、適宜採用できる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリラクトン、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクタム、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート(PBS)、PBS系アジペート・カーボネート・テレフタレート、ポリブチレンオキサレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸、ポリネオペンチルグリコールオキサレートなどを挙げることができる。 【0023】 なお、生分解性樹脂11の樹脂材料は、分解時期の設定や資材の成形工程の適正等を踏まえて自由に選択すればよく、場合によっては、異なる種類の生分解性樹脂を組み合わせて配合したり、異なる種類の生分解性樹脂を複数の層に分けて成形したりしてもよい。 【0024】 ここで、本発明において、炭化物12は、植物が利用可能な可溶性のリン又はリン化合物を含んでおり、かつ植物の成長に有害なタール成分が除去された状態の炭化物を採用する。即ち、本発明では、可溶性のリン又はリン化合物を含んでいない炭化物やタール成分が充分に除去されていない炭化物(例えば、燻炭)は、植物の成長を有効に促進できず、あるいは植物の成長を逆に阻害するので、採用しない。 【0025】 高温条件下で行われる従来一般の炭化処理の過程においては、最終炭化物中には可溶性のリン又はリン化合物は残留しないが、被処理物を複数工程に分けて段階的に低温炭化処理し、かつ該低温炭化処理の過程でタール成分を除去することによって、本発明に適する炭化物12を得ることができる。なお、炭化物12の好適な製造方法については、後述する。 【0026】 また、本発明では、資材1に対して、肥料成分であるリンの供給源として機能する炭化物12に加えて、窒素やカリウムなどの他の肥料成分や植物の成長に必要な鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの微量元素を添加してもよい。 【0027】 次に、図2は、本発明に係る資材1の第一実施形態である育苗ポットと、この育苗ポットを用いた育苗方法(植物育成方法)を示す図である。 【0028】 図2中に符号101で示された育苗ポットは、上記資材1で形成された育苗用の容器である。図2には、この育苗ポット101内に収容された培土2に苗3が植え付けられており、栽培地(土壌)4へ育苗ポット101ごと設置されている様子が示されている。 【0029】 通常、苗3は、育苗施設で所定期間、施肥育苗された後、育苗用のポットから取り出されて栽培地4へ移植される。しかし、本発明に係る育苗ポット101は、育苗過程で微生物によって次第に分解されていき、かつ資材1からリンなどの肥料成分を苗3に供給できる機能を有するので、苗3が植えられた状態の育苗ポット101を、そのまま最初から栽培地4に設置することができる。 【0030】 苗3は、資材1から肥料成分の供給を受けながら成長を続けていき、ある時期に達すると、苗3の根31は、微生物による分解を受けて脆弱化している育苗ポット101を容易に突き抜けて、栽培地4へ至り、そのまま成長を続けることが可能となる(図2参照)。そして、やがては、育苗ポット101は、微生物によって完全に分解を受けて、その形状をとどめなくなる。即ち、育苗ポット101は、栽培地4に放置しても、環境負荷を与えない。 【0031】 また、資材1に配合された炭化物12は、例えば、保水性に優れ、また、微生物吸着能を有する。このため、育苗ポット101は、苗3の初期成長過程において、該ポット101内に水分を保持させることができ(初期培土の乾燥防止)、かつ育苗ポット101の分解等を行う微生物の活動を維持し、生分解性樹脂11の分解を促進させることができる。 【0032】 また、生分解性樹脂11の材料の選択や生分解性樹脂11中の炭化物12の含有量等を調整することによって、生分解性樹脂11の分解の速度を調整することもできる。このため、苗3の種類に固有の成長速度に見合った育苗ポット1を設計し、これを提供することができる。 【0033】 次に、図3は、本発明に係る資材1の第二実施形態である「鉢」の外観斜視図、図4は、本発明に係る資材1の第三実施形態である「プランター」の外観斜視図である。 【0034】 この図3に示された鉢102や図4に示されたプランター103は、園芸や農業の分野などで用いられる植物育成用の資材の一例である。図示されている鉢102やプランター103は、その代表例であり、その形状やサイズは、目的に応じて、適宜選択することができる。なお、図3に示された符号102aは、鉢102の底部に形成された水抜き用の孔である。 【0035】 続いて、図5は、本発明に係る資材1の第三実施形態である、ロール状形態で提供されるマルチング用シートを示す図、図6は、マルチング用シート104を用いたマルチング栽培の様子を模式的に示す図である。 【0036】 なお、マルチング(mulching)とは、何らかの資材を用いて土壌表面を覆うことを指している。マルチング用シートは、いわゆるフィルムマルチ手法で用いられる資材であって、土壌乾燥防止、土壌温度上昇の防止、土壌浸食防止、雑草発生防止、夜間の土壌温度低下の防止、旱害防止などを目的として用いられる。 【0037】 図5に示されたマルチング用シート104は、上記したように、生分解性樹脂11と炭化物12とから構成されているので、自然環境下で微生物による生分解を受け、かつ前記炭化物12から肥料成分を、土壌を介して植物へ供給する(図6の矢印参照)という役割を果たす。 【0038】 また、マルチング用シート104は、炭化物12が含有されていることによって、黒色を有している(「黒マルチ」と称される場合がある)。このため、シート104に被覆された土壌4への日光照射が確実に防止されるので、雑草の発生を有効に防止することができる。 【0039】 なお、マルチング用シート104は、図6に示されたような、土壌4の表面を被覆する使用形態に限定されず、ハウス栽培やトンネル栽培などにも使用することができる。 【0040】 以下、図7、図8に基づいて、本発明において採用可能な炭化物12の好適な製造方法について説明する。以下の製造方法は、脱水汚泥ケーキを炭化物原料とする場合を代表例として説明するが、これに限定されない。 【0041】 まず、図7中の符号Rは、原料の一例である「脱水汚泥ケーキ」を示している。この脱水汚泥ケーキRは、有機性汚泥を脱水処理したものが広く含まれる。例えば、下水などの排水や廃水を活性汚泥法によって処理したときに生ずる最終汚泥や余剰汚泥などの汚泥を脱水処理したもの、あるいは食品産業廃棄物、畜産廃棄物、製紙工場から排出される廃棄物、植物性産業廃棄物などからなる有機性汚泥を脱水処理したものが含まれる。なお、汚泥の脱水処理の手段そのものは、狭く限定されない。 【0042】 一般に、含水率が、例えば70〜80%程度とされた脱水汚泥ケーキRは、搬送コンベアなどによって前処理工程P0へ移される。この前処理工程P0は、脱水汚泥ケーキRを水分15重量%程度、望ましくは水分10重量%以下に乾燥する工程である。なお、乾燥方法の具体的方法や使用する装置は、特に限定されない。 【0043】 次に、本発明では、前処理工程P0を担う乾燥炉等の乾燥装置から排出された乾燥物Xを、続いて、第一炭化工程P1へ移行させる。この第一炭化工程P1を担う炭化装置としては、バッチ式又は連続式の外熱式回転炉などの炭化炉を適宜採用することができる。炭化の温度条件は、400〜600℃、より好適には400〜500℃、特に好適には500℃程度に設定し、例えば、約1〜2時間かけて炭化処理を行う。 【0044】 この温度条件は、一般的な汚泥の炭化温度である800〜1000℃よりもかなり低温域であるので、汚泥中に含まれているリン又はリン化合物、カリウムなどの無機成分を可溶性の状態に確実に維持することができる。即ち、これらの無機成分を、植物が利用可能な肥料有効成分として機能する状態に保持することができる。 【0045】 しかし、上記第一炭化工程P1における温度条件は、従来、いわゆる「燻炭」を製造するときに採用される程度の低温条件に相当又は近似するものであるから、第一炭化工程P1から得られる一次炭化物Y1には、植物に有害なタール成分が含まれている。このため、この段階での一次炭化物Y1は、まだ、肥料や緑化材料などへの使用には適さない。 【0046】 本発明では、目的の最終製造物である汚泥炭化物中のタール成分をできるだけ少なくするために、この第一炭化工程P1の過程において、該工程P1を担う一次炭化装置(図示せず。)内からタール成分を含む乾留ガスG1を抜き取り(図1参照)、該工程P1の過程でも炭化物に対する乾留ガスG1の接触量をできるだけ低減しておくようにする。 【0047】 第一炭化工程P1での乾留ガスG1の抜き取り位置は、一次炭化装置の入り口側が望ましい(この点、後述の第二炭化工程P2でも同様)。この一次炭化装置内で発生した乾留ガスG1を、該装置の入り口側に吸引等して集め、除去することによって(即ち、向流式)、炭化がより進行する前記装置内の後半側における乾留ガスG1量を有効に減少させる。 【0048】 この結果、後続の炭化工程(ここでは、第二炭化工程P2)へ持ち込まれる、第一炭化工程P1で発生したタール成分の量を、有効に減少させることができる。その上で、本発明では、前記第一炭化工程P1から得られる一次炭化物Y1を、スクリューコンベアなどの手段を介して、この第一炭化工程P1を担う炭化装置とは別個独立に配置された二次炭化装置(図示せず。)へ移送し、第二炭化工程P2を行うようにする。 【0049】 この第二炭化工程P2を担う二次炭化装置についても、前記一次炭化装置同様に、バッチ式又は連続式の外熱式回転炉などの炭化炉を適宜採用することができる。また、炭化の温度条件についても、第一炭化工程P1と同様に、400〜600℃、より好適には400〜500℃を採用し、特に好適には500℃程度を採用する。また、炭化時間についても、上記第一炭化工程P1と同様に、例えば、約1〜2時間かけて行うようにする。 【0050】 なお、第二炭化工程P2の炭化温度条件は、上記第一炭化工程P1の炭化温度条件と同一でもよいが、これよりも低い温度条件を採用することによって、省エネルギーを達成することも可能である。 【0051】 この第二炭化工程P2も上記第一炭化工程P1と同等の低温の条件を採用したため、汚泥中に含まれているリン又はリン化合物、更にはカリウムなどの無機成分を可溶性の状態に維持することができる。即ち、これらの無機成分を、植物が利用可能な肥料有効成分として機能する状態に保持することができる。 【0052】 また、この第二炭化工程P2は、二回目の炭化処理を行う工程であるとともに、該工程P2を担う二次炭化装置内へ一次炭化物Y1とともに持ち込まれたタール及び該工程P2の過程で新たに発生したタールを、乾留ガスG2(図7参照)として除去するための工程としても機能する。 【0053】 第二炭化工程P2から得られる二次炭化物Y2は、炭化がより進行した状態にあり、かつタールが除去されている。この二次炭化物Y2を搬送コンベア等によって冷却工程P3に移送する。なお、この冷却工程P3を担う冷却装置は、水冷ジャケット方式の装置を含めて、適宜採用することができ、狭く限定されない。 【0054】 次に、この冷却工程P3を経て、ハンドリングし易い温度まで冷却された冷却物、即ち汚泥炭化物Zを最終の袋詰め工程P4へ移送し、所定容量ずつ袋詰めした後に、出荷する。 【0055】 ここで、図1中に示された符号P5は、第一炭化工程P1とから発生する乾留ガスG1と第二炭化工程P2から発生する乾留ガスG2を回収してこれを熱源Hとして再生し、第一炭化工程P1と第二炭化工程P2において再利用するための熱源発生工程を示している。この熱源発生工程P5を採用することによって、省エネルギーを達成することができる。 【0056】 なお、図7に示された熱源発生工程P5には、乾留ガスG1並びに乾留ガスG2に含まれる有機性汚泥の臭気を脱臭するための装置を付設し、あるいは、熱分解したタール成分などの有害物質をバグフィルターなどの図示しない集塵器によって回収する装置を付設するようにする。 【実施例】 【0057】 本発明者は、汚泥脱水ケーキを炭化物の原料に用いた場合における該汚泥脱水ケーキ中のリン成分と炭化処理温度との関係を検証するための「試験1」を行なった。 【0058】 使用した汚泥脱水ケーキは、前橋市六供町下水処理場から採取した汚泥脱水ケーキを1kg単位でそれぞれ、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃の各温度条件で炭化処理したサンプル、並びに汚泥自然乾燥サンプル(対照区)における、全リン(T-P)、クエン酸可溶性リン(C−P)、可溶性リン(S−P)、水溶性リン(W−P)を、肥料分析法に基づいて測定した。その測定結果を次の「表1」に示す。なお、表1中の数値の単位は、mg/(汚泥脱水ケーキ)1kgである。 【0059】 【表1】
【0060】 前掲の「表1」に示すように、700℃、800℃の高温条件では、汚泥乾燥物と比較して、クエン酸可溶性リン(C−P)は23%前後まで低下し、可溶性リン(S−P)も55%以下に低下している。温度600℃は、可溶性リン(S−P)は、72%程度の低下に留まっており良好であるが、クエン酸可溶性リン(C−P)は30%程度まで低下している。 【0061】 従って、炭化効率も併せて考えれば、400〜600℃、特に、400〜500℃の範囲の温度設定により炭化処理を行うのが好適と考えられる。 【0062】 次に、群馬県・県央水質浄化センターで採取した汚泥脱水ケーキ(試料1〜3)を、図1に示す工程に準拠する方法に基づいて炭化処理して、汚泥炭化物を得て、この汚泥炭化物の肥料成分組成を分析する「試験2」を行なった。 【0063】 なお、炭化処理の温度条件は500℃に設定した。この汚泥炭化物の肥料成分組成を分析した結果を、次の「表2」に示す。なお、「表2」中のILは、強熱減量(ignition loss)、ECは、電気伝導度(electric conductivity)をそれぞれ示す。 【0064】 【表2】
【0065】 前掲の「表2」に示された汚泥炭化物を用いて、植害発生の有無を検証するための「試験3」を行った。 【0066】 具体的には、腐植質黒ボク土壌を土壌酸度が小松菜の生育に影響がない状態に矯正し、窒素、リン、カリ等の肥料成分が小松菜の正常な生育が保てる量、より詳しくは、試験容器の土壌に対して窒素成分とリン酸成分及びカリ成分をそれぞれ100ミリグラム添加し、更に本発明によって得られた汚泥炭化物を全リン酸として試験容器の土壌に対して1000ミリグラムまでの範囲で添加して、内径11.3cm、高さ6.5cmのプラスチック製有底ポットに収容し、小松菜の種子を播いて、発芽障害を含む生育障害の有無を検証した。 【0067】 本試験3の結果を以下の「表3」、「表4」に示す。なお、「表3」は発芽率を示し、「表4」は21日間栽培した小松菜の乾燥重量と異常生育の有無を示している。 【0068】 【表3】
【0069】 【表4】
【0070】 前掲の「表3」並びに「表4」に示したとおり、本発明によって得られた汚泥炭化物を大量に施用した場合でも、全く植害は観察されなかった。従って、本発明によって得られた汚泥炭化物は、植物に有害なタールや重金属の量が少ないことが明らかになったことから、この汚泥炭化物は、肥料や緑化材料などに利用することができる。 【0071】 次に、汚泥炭化物の施用量と小松菜のリン酸含有率の関係を調べるための「試験4」を行なった。 【0072】 具体的には、資材無施用においてリン酸欠乏のために生育が阻害される条件の土壌において、本発明によって得られる汚泥炭化物の施用量を増加させて、増施した場合に起こる植物に対する生育改善効果を検証すると同時に小松菜のリン酸含有率に対する影響を調べた。 【0073】 より詳しくは、具体的には有効態リン酸が乾燥土壌100グラム当たり1mg以下しか存在しない栽培履歴のない淡色黒ボク土壌(赤土)に対して、窒素成分とカリ成分を試験容器当たり100mg添加し、リン酸成分以外の因子が小松菜の生育に何らの影響も与えない状態に調整した上で、内径11.3cm、高さ6.5ccmのポットに収容し、小松菜の種子を播いて3週間栽培した。この時、発明によって得られる汚泥炭化物の施用量を、試験容器当たりリン酸成分で100mg、200mg、300mg,400mg、1000mgに設定した。 【0074】 本試験4の結果を、以下の「表5」と「表6」に示す。この「表5」は3週間栽培した小松菜の乾物重量を示している。また、地上部のリン酸含有率と汚泥炭化物の施用量の関係を「表6」に示す。図8は、この「表6」に示す結果を示す図面代用グラフである。 【0075】 【表5】
【0076】 【表6】
【0077】 この「試験4」の結果からわかるように、汚泥炭化物の施用量が増加するにつれて、試験栽培した小松菜の乾燥重量やリン酸含有率が増加していることが明らかであるから、この汚泥炭化物に含まれるリン又はリン化合物は、植物に利用される可溶性の状態であることが確認できた。 【0078】 即ち、炭化処理の過程を経ても、肥料有効成分としてリン又はリン化合物が残留しているので、この汚泥炭化物を、育苗ポット、プランター、鉢、マルチチング用シートなどの植物育成用資材などに利用することができることがわかった。 【産業上の利用可能性】 【0079】 本発明は、環境負荷の少なく、かつ植物の成長に有用な植物育成用資材技術や緑化技術として利用できる。また、植物に対する肥効時期調整技術として利用することができる。さらには、汚泥の再利用技術としても利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0080】 【図1】本発明に係る植物育成用資材の基本的な材料構成を説明するための図であり、同資材の部分断面図である。 【図2】本発明に係る資材(1)の第一実施形態である育苗ポット(101)と、該育苗ポット(101)を用いた育苗方法(植物育成方法)を示す図である。 【図3】本発明に係る資材(1)の第二実施形態である鉢(102)の外観斜視図である。 【図4】本発明に係る資材(1)の第三実施形態であるプランター(103)の外観斜視図である。 【図5】本発明に係る資材(1)の第三実施形態である、ロール状形態で提供されるマルチング用シート(104)を示す図である。 【図6】同マルチング用シート(104)を用いたマルチング栽培の様子を模式的に示す図である。 【図7】本発明で利用可能な炭化物の製造工程の概念を示すフロー図である。 【図8】試験4の結果を示す図(図面代用グラフ)。 【符号の説明】 【0081】 1 植物育成用資材 11 生分解性樹脂 12 炭化物 101 育苗ポット 102 鉢 103 プランター 104 マルチング用シート
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| 【出願人】 |
【識別番号】000240293 【氏名又は名称】平野 徳彦
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| 【出願日】 |
平成16年7月20日(2004.7.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112874 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 薫
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| 【公開番号】 |
特開2006−25730(P2006−25730A) |
| 【公開日】 |
平成18年2月2日(2006.2.2) |
| 【出願番号】 |
特願2004−211398(P2004−211398) |
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