| 【発明の名称】 |
ポリフェノール高含有芽出し野菜の生産方法および装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】前田 智雄
【氏名】角田 英男
【氏名】吉田 知明
【氏名】森 雅三
【氏名】横井 桂
【氏名】高蓋 和朗
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| 【要約】 |
【課題】この発明は、芽出し野菜のポリフェノール含量を高めることを目的とする。
【解決手段】光強度が20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒の光照射下および種子の成長に必要な十分量の養液の存在下でポリフェノール高含有芽出し野菜を生産する方法であって、日長時間が15時間〜24時間でありおよび養液がフェニル基含有アミノ酸を含むことを特徴とする方法、この方法によって生産される芽出し野菜、および芽出し野菜を生産するための装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光強度が20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒の光照射下および種子の成長に必要な十分量の養液の存在下でポリフェノール高含有芽出し野菜を生産する方法であって、日長時間が15時間〜24時間でありおよび養液がフェニル基含有アミノ酸を含むことを特徴とする上記方法。 【請求項2】 アミノ酸がフェニルアラニン、チロシンまたはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 養液中のアミノ酸含量が0.5〜10ppmである、請求項1または2に記載の方法。 【請求項4】 養液中のアミノ酸含量が1〜5ppmである、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 光強度が50μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 【請求項6】 日長時間が20〜24時間である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 【請求項7】 光強度が100μmol/m2・秒でありおよび日長時間が15〜24時間である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリフェノルール高含有芽出し野菜の生産方法に使用するための装置であって、野菜の種子を発芽、成長させるための区画のあるもしくは区画のない容器、種子の仕込みまたは芽出し野菜の取り出しのための手段、20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒の光強度の光を野菜に照射するための1または2以上の人工光源、養液の供給手段、廃液の排出手段、光強度および光照射の制御手段を含む上記装置。 【請求項9】 光強度が50μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒である、請求項8に記載の装置。 【請求項10】 人工光源が、赤外光、可視光、紫外光またはそれらの組み合わせからなる光を照射する、請求項8または9に記載の装置。 【請求項11】 養液を噴霧するための手段をさらに含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の装置。 【請求項12】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で生産された芽出し野菜であって、従来の野菜と比較してポリフェノール含量が1.5倍以上高いことおよび該野菜がブロッコリー、マスタード、ケール、レッドキャベツおよびダッタンソバからなる群から選択されることを特徴とする上記芽出し野菜。 【請求項13】 ポリフェノール含量が2倍以上高い、請求項12に記載の芽出し野菜。 【請求項14】 ポリフェノールがフラボノイドである、請求項12または13に記載の芽出し野菜。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ポリフェノール高含有芽出し野菜の生産方法、芽出し野菜および装置に関する。 【背景技術】 【0002】 ポリフェノールは、同一分子内に2個以上のフェノール性水酸基をもつ化合物の総称である。多くの種類のポリフェノールが主に植物界に広く分布し、ポリフェノールは種々の生理活性があることから近年大いに注目されており、それを含む多くの商品が市場にでまわっている。ポリフェノールには、フェニルカルボン酸系、リグナン系、クルクミン系、クマリン系、フラボノイド系などが含まれるが、それらのなかで特にフラボノイドがよく知られている。 【0003】 フラボノイドは、ベンゼン環2個を3個の炭素原子で結合したジフェニルプロパン構造を有するフェニル化合物群の総称であり、同一分子内に2個以上のフェノール性水酸基(すなわち、ベンゼン環、ナフタリン環などの芳香族環に結合した水酸基)をもつポリフェノールであり、主として植物界に広く分布している。特性や化学構造の違いにより4,000種ほどのフラボノイドが知られており、大別すると、フラボン、フラボノール、イソフラボン、フラバン、フラバノール(カテキン)、フラバノン、フラバノール、カルコン、アントシアニジンに分類される。また、フラボノイドには、炭水化物からなる配糖体分子を含むものもあり、例えばルチン、ダイジン、ナリンギン、ヘスペリジンなどが知られている。 【0004】 ポリフェノールは、種々の生体調節機能、例えば抗酸化性、抗変異原性、抗癌性、血圧上昇抑制、抗糖尿病性、抗アレルギー性などの機能をもつことが知られている。例えば、フラボンの一種であるアピゲニンは、セロリ、パセリ、ピーマンなどに含まれ、抗酸化性や抗癌性を有するし、またルテオリンは、シュンギク、セロリ、ピーマンなどに含まれ、抗酸化性、抗変異原性、抗癌性を有することが知られている。さらに、フラボノールの一種であるケルセチンやルチンは、レタス、ブロッコリー、タマネギ、ソバ、茶などに含まれ、抗酸化性、抗変異原性、抗癌性、血圧上昇抑制、抗糖尿病性、抗アレルギー性を有するし、また、ケンフェロールは、ニラ、ブロッコリー、ダイコン、タマネギなどに含まれ、抗酸化性、抗変異原性、抗癌性、血圧上昇抑制、抗糖尿病性、抗アレルギー性を有することが知られている。さらにまた、イソフラボンの一種であるダイゼインやダイジンは、主にダイズに含まれ、抗癌性を有することが知られている。 【0005】 野菜に含まれるポリフェノールのレベルを比較すると、ポリフェノール低レベル(<10mg/kg)の野菜は、キャベツ、ニンジン、カリフラワー、キュウリ、エンドウ豆、ほうれん草など、中レベル(10mg/kg〜50mg/kg)の野菜は、アプリコット、ソラマメ、ニラ、ネギ、レタス、トマトなど、高レベル(>50mg/kg)の野菜は、ブロッコリー、フランス豆、ケール、タマネギなどである。 【0006】 ポリフェノールに関する上記の知識は、例えば非特許文献1〜4に記載されている。 フラボノイドを含むポリフェノールの生理活性のために、ポリフェノールは半重要な栄養素であり、1日あたりのヒトのポリフェノール平均摂取量は、23〜170mgであると推定されている。健康を維持するためにどれだけの量のポリフェノールを摂取すべきかについては明確な基準はないが、種々の野菜を食べて種々のポリフェノールを適量摂取することが望ましいと考えられている。 【0007】 ところで、健康志向の高まりのために、健康に役立つスプラウト(芽出し野菜)の人気が高まっている。スプラウトは、少量の摂取で、より多くの機能性成分(例えばビタミン類、カロチノイド、ミネラル、ポリフェノールなど)を取り込むことができる野菜であり、従来のモヤシ、かいわれダイコン、アルファルファに加えて、クレス、ヒマワリ、マスタード、ブロッコリーなどの多様なスプラウトが食材として販売されている。かいわれ系スプラウトは、水を湿らせた容器に種をぎっしり蒔き、発芽するまで暗所に置いたのち、5〜6cmほどに伸びてきたら日当たりのよい場所において緑化し、1週間程度で収穫することができる。 【0008】 このような状況のなかで、植物体ポリフェノールの増収方法が検討されている。例えば、特許文献1には、植物を光ストレスおよび/または水ストレスを負荷した条件下で生育することによってポリフェノールを増加させる方法を開示している。この方法では、ベニバナおよびソバに対し、通常の生育条件下での光強度の5倍以上の光(具体的には、45000ルックスまたは55000ルックス)を12時間照射することによって、植物中の含有ポリフェノール量を2倍以上に増加させることができることが記載されている。しかし、これほど強い光を植物に照射すると、発熱量が大きくなるため冷却が必要となり光熱費にかかる費用が増大すること、植物の成長が著しく抑制されること、植物が黄変もしくは褐変するため野菜としての商品価値がなくなること、などの不利益が生じる。特許文献2には、収穫後の植物に特定波長域の紫外線を照射することにより、ポリフェノール含量を増加させる方法が開示されている。さらに、特許文献3にはポリフェノールを含有する生食原料(リンゴの搾汁残渣など)に160〜200℃の加熱処理を施すことによってポリフェノールを増量する方法が開示されている。 【0009】 【特許文献1】特開2003-9665号公報 【特許文献2】特開2004-121228号公報 【特許文献3】特開2003-334023号公報 【非特許文献1】津志田藤二郎, 機能性成分, 食品製造・流通データ集, pp. 234-241 (1998), 産業調査会 【非特許文献2】寺島純二, フラボノイドの抗酸化活性, 抗酸化物質のすべて, pp. 121-128 (1998), 先端医学社 【非特許文献3】川岸舜郎(編), 食品中の生体機能調節物質研究法(1996), 学会出版センター 【非特許文献4】電気通信回線による文献(http://www.e-noni.biz/kousanka-sub3.htm) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 上記のとおり、多くの野菜にはビタミン類、カロチノイド、フラボノイド、ポリフェノール、ミネラルなどの機能性成分が含まれており、とりわけスプラウトすなわち芽出し野菜の中のそのような機能性成分が注目されている。ある一定量の機能性成分を摂取するためには多量の野菜を食べる必要があるが、もし野菜中の機能性成分含量を有意に高めることができるならば少ない量の野菜にて必要量の機能性成分を摂取することが可能となる。 【0011】 本発明は、野菜の品質を維持しながら従来公知の方法で生産された芽出し野菜に比べてポリフェノール含量が高い芽出し野菜の生産方法を提供することを目的とする。 【0012】 本発明はまた、上記方法で生産されたポリフェノール高含有芽出し野菜を提供することを目的とする。 【0013】 本発明はさらに、ポリフェノール高含有芽出し野菜の生産方法に使用するための装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0014】 本発明者らは、意外にも、人工光源下で生産される芽出し野菜について、従来法より大きい強度の光の照射下で日長時間を長くし、かつ、フェニル基含有アミノ酸を含む養液を使用して野菜を栽培するとき、芽出し野菜中のポリフェノール含量を有意に高めることができることを見出した。 【0015】 従って、本発明は以下のものからなる。 (1) 光強度が20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒の光照射下および種子の成長に必要な十分量の養液の存在下でポリフェノール高含有芽出し野菜を生産する方法であって、日長時間が15時間〜24時間でありおよび養液がフェニル基含有アミノ酸を含むことを特徴とする上記方法。 【0016】 (2) アミノ酸がフェニルアラニン、チロシンまたはそれらの混合物である、上記(1)に記載の方法。 【0017】 (3) 養液中のアミノ酸含量が0.5〜10ppmである、上記(1)または(2)に記載の方法。 (4) 養液中のアミノ酸含量が1〜5ppmである、上記(3)に記載の方法。 【0018】 (5) 光強度が50μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。 【0019】 (6) 日長時間が20〜24時間である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。 (7) 光強度が100μmol/m2・秒でありおよび日長時間が15〜24時間である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。 【0020】 (8) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリフェノルール高含有芽出し野菜の生産方法に使用するための装置であって、野菜の種子を発芽、成長させるための区画のあるもしくは区画のない容器、種子の仕込みまたは芽出し野菜の取り出しのための手段、20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒の光強度の光を野菜に照射するための1または2以上の人工光源、養液の供給手段、廃液の排出手段、光強度および光照射の制御手段を含む上記装置。 【0021】 (9) 光強度が50μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒である、上記(8)に記載の装置。 (10) 人工光源が、赤外光、可視光、紫外光またはそれらの組み合わせからなる光を照射する、上記(8)または(9)に記載の装置。 【0022】 (11) 養液を噴霧するための手段をさらに含む、上記(8)〜(10)のいずれかに記載の装置。 【0023】 (12) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法で生産された芽出し野菜であって、従来の野菜と比較してポリフェノール含量が1.5倍以上高いことおよび該野菜がブロッコリー、マスタード、ケール、レッドキャベツおよびダッタンソバからなる群から選択されることを特徴とする上記芽出し野菜。 【0024】 (13) ポリフェノール含量が2倍以上高い、上記(12)に記載の芽出し野菜。 (14) ポリフェノールがフラボノイドである、上記(12)または上記(13)に記載の芽出し野菜。 【発明の効果】 【0025】 本発明により、野菜の品質を維持しながら従来の方法で栽培された芽出し野菜と比べて1.5〜2倍以上高いポリフェノール含量を有する芽出し野菜を生産し供給することが可能となった。ポリフェノール含量の増強によって、必要量のポリフェノールを、より少ない量の芽出し野菜から摂取することを可能にする利点がある。本発明の方法は、ポリフェノールを含有するすべての種類の野菜に適用することができ、それによってフラボノイド高含量の種々の芽出し野菜を生産することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0026】 本発明は、光強度が20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒の光照射下および種子の成長に必要な十分量の養液の存在下でポリフェノール高含有芽出し野菜を生産する方法であって、日長時間が15時間〜24時間でありおよび養液がフェニル基含有アミノ酸を含むことを特徴とする方法を提供する。 【0027】 本明細書中で使用される「芽出し野菜」は、種子の播種後約4日〜約10日で収穫される所謂かいわれ系の新芽野菜(スプラウト)であって、従来法で栽培された芽出し野菜に比べてポリフェノール含量が相対的に多いものを意味する。本発明では、使用する光強度の範囲が重要であるが、光強度が20μmol/m2・秒より低い場合には、ポリフェノール含量は従来法で栽培されたものと同程度であり本発明の範囲外であるし、一方、光強度が100μmol/m2・秒より高い場合には、光源からの発熱量が大きく野菜の品質を損なう危険性が高い。 【0028】 本明細書中で使用される「ポリフェノール」は、同一分子内に2個以上のフェノール性水酸基をもつ化合物であって、フェニルカルボン酸系、リグナン系、クルクミン系、クマリン系、フラボノイド系などの化合物の1以上を指す。また、「ポリフェノール含量」は、フォーリン・デニス法(桑原秀明ら、長野県食品工業試験場研究報告(1985年)、49〜53頁)によって測定される量をいう。好ましいポリフェノールはフラボノイドである。 【0029】 芽出し野菜の具体例は、ソバ、ダッタンソバ、ダイコン、ブロッコリー、キャベツ、レッドキャベツ、セロリ、パセリ、ピーマン、レタス、タマネギ、ネギ、ニラ、ダイズ、クレス、アルファルファ、ケール、カリフラワー、エンダイブ、フランス豆、トマト、そら豆、赤コショウ、ほうれん草、キュウリ、カボチャ、マスタード(例えばブラックマスタード)、青菜および果菜からなる上記野菜以外の中国野菜(例えばチンゲン菜)などであるが、これらに限定されない。さらなる例として、紅茶、緑茶、イチゴ、ヒマワリなども包含されうるものとする。 【0030】 本明細書中で使用されるフラボノイドは、下記の基本骨格: 【化1】
を有するフェニル化合物の総称である。フラボノイドの中には、グリコン(糖部分)を含むフラボノイド配糖体も包含されるものとする。フラボノイドの具体例は、フラボン類、フラボノール類、イソフラボン類、フラバン類、フラバノール(カテキン)類、フラバノン類、フラバノノール類、カルコン類、アントシアニジン類であり、これらの基本構造は、下記に示すとおりである。 【0031】 【化2】
【0032】 さらに具体的には、フラボン類にはアピゲニン(4’,5,7-トリヒドロキシフラボン)、クリシン(5,7-ジヒドロキシフラボン)、ルテオリン(3’,4’,5,7-テトラヒドロキシフラボン)など、フラボノール類にはガランギン(3,5,7-トリヒドロキシフラボン)、ケルセチン(3,3’,4’,5,7-ペンタヒドロキシフラボン)、ルチン(α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ-(1-O→3)-3’,4’,5,7-テトラヒドロキシフラボン)、ケンフェロール(3,4’,5,7-テトラヒドロキシフラボン)、ミリセチン(3,3’,4’,5,5’,7-ヘキサヒドロキシフラボン)など、イソフラボン類にはダイゼイン(2,3-ジデヒドロ-4’,7-ジヒドロキシイソフラバン-4-オン)、ダイジン(2,3-ジデヒドロ-7-(β-D-グルコピラノシルオキシ)-4’-ヒドロキシイソフラバン-4-オン)、ゲニステインなど、フラバノール(カテキン)類にはカテキン((2R,3S)-フラバン-3,3’,4’,5,7-ペンタオール)、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、エアフラビンなど、フラバノン類にはナリンゲニン(4’,5,7-トリヒドロキシフラバン-4-オン)、ナリンギン(α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ-(1-O→7)-4’,5-ジヒドロキシフラバン-4-オン)、ヘスペレチン、ヘスペリジンなど、アントシアニジン類にはシアニジン、シアニン、デルフィニジン、デルフィニン、ペラルゴニジン、ペラルゴニンなどがそれぞれ含まれる。 【0033】 上に例示したフラボノイドが含まれる野菜の一例を挙げると、例えば、アピゲニンは、セロリ、パセリ、ピーマンなどに、ルテオリンはシュンギク、セロリ、ピーマンなどに、ケルセチンやルチンはレタス、ブロッコリー、タマネギ、ソバ、セロリなどに、ケンフェロールはニラ、ブロッコリー、ダイコン、タマネギなどに、ダイゼインやダイジンはダイズナドニ、ルテオリンは赤コショウなどに、それぞれ含まれる。さらに、カテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどは緑茶に、またエアフラビンは紅茶に含まれている。ルチンは、特にダッタンソバ(Fagopyrum tataricum)に多く含まれている。ダッタンソバは、普通ソバと異なり自殖性植物であり、血圧降下作用等を示すルチンを多く含むため薬用ルチンの原料として注目されている。 【0034】 フラボノイドなどのポリフェノールは、上述したように、種々の生体調節機能、例えば抗酸化性、抗変異原性、抗癌性、血圧上昇抑制、抗糖尿病性、抗アレルギー性などの機能をもつことが知られている半重要な栄養素である。それゆえに、芽出し野菜においてポリフェノール含量を増強することは意味のあることである。 【0035】 本発明では、従来法の芽出し野菜の生産で通常使用される光強度(20μmol/m2・秒以下)よりも強い人工光(自然光でない光)が使用される。光強度は、20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒、好ましくは50μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒、さらに好ましくは80μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒である。本発明で使用可能な光は、植物栽培で通常使用されるような蛍光管を光源とするのが望ましい。波長の異なるタイプ、例えば三波長型、四波長型、UV、赤外などの光を単一であるいは組み合わせて使用することができる。フラボノイドなどの生理活性な機能性物質を増加させたり、植物色素を増強したり、茎の長さを伸ばすには、種々の波長域の光、すなわち紫外域から赤外域までの任意の波長の光を目的に応じて照射すること、すなわち光環境制御することが好ましい。例えば、機能性物質の量を増加させるには200〜400nmの紫外域に波長をもつ光の照射が望ましい場合もあるし、一方、植物の栄養成長を促進するには600〜650nm程度の赤外域の波長をもつ光が好ましい場合もある。一般に本発明の実施においては、白色光で十分にその目的を達成可能であるが、目的によって異なる波長の光を発する人工光源を組み合わせることができる。光の強度は、点灯する蛍光管の本数を増減させることにより調節可能であろう。 【0036】 芽出し野菜の生産は、例えば次のようにして行うことができる。光強度、温度、湿度が一定に調節された環境下の容器もしくは室(またはチャンバー)内で、野菜栽培に適する養液の存在下、ウレタン、植物繊維などの支持体の存在または非存在下、次亜塩素酸溶液などの殺菌剤で殺菌された種子を暗所に置床し、適度に水分を補給しながら発芽させたのち、播種約3日後から人工光源下での適する光照射サイクルで播種約4〜10日後まで生育させ、芽出し野菜を収穫する。 【0037】 光強度は上記のとおりである。また、温度および湿度は、一般に植物の発芽・成長に適する温度20〜30℃、湿度50〜80%が望ましい。 【0038】 芽出し野菜の生産のための容器もしくは室は、ポット、トレー、スプラウト製造装置などである。容器は、区画を有し2以上に仕切られていてもよいし、区画を有していなくてもよい。スプラウト製造装置は、大規模に芽出し野菜を生産するための装置であり、例えば区画にて仕切られた複数の室もしくはチャンバーをもつドラムと、その外側から光を照射するための人工光源とを有する装置である。このような装置は、光強度と光照射時間を制御するための手段、養液の供給手段、廃液の排出手段、芽出し野菜の取り出し手段を有し、また必要に応じて、温度や湿度の制御手段を備えていることができる。 【0039】 支持体は必ずしも必要ないが、ウレタンなどの吸湿性ポリマー、植物繊維などを支持体とし、支持体上で野菜種子を発芽・生育させてもよい。 【0040】 養液(すなわち、肥料)は、野菜の種類に応じて適宜選択されてもよい。養液は一般に窒素、燐酸、カリが等量というのが基本であり、これに植物が必要とする16種類の元素、すなわち炭素、水素、酸素、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄の9種類(以上、多量要素)、鉄、マンガン、ホウ素、銅、亜鉛、モリブデン、塩素の7種類(以上、微量要素)が含まれる。通常、炭素は炭酸ガスから、酸素と水素は水から吸収されるので、また水には塩素が十分含まれているので、それ以外の12種類の元素が肥料成分として必要である。具体例は、水1リットルに対し、硝酸カリ1g、硫酸カルシウム0.5g、硫酸マグネシウム0.5g、燐酸カルシウム0.25g、燐酸鉄0.25gなどを含有する養液である。また養液の別の例として、野菜の養液栽培に広く用いられている大塚ハウス肥料A処方が挙げられ、標準濃度の場合、水1リットルあたり窒素259mg、リン52mg、カリウム297mg、カルシウム164mg、マグネシウム45mg、鉄2.7ppm、マンガン1.1ppm、ホウ素0.4ppmである。養液は、支持体に吸収させてもよいし、上部もしくは側部から噴霧してもよい。 【0041】 養液がフェニル基を有するアミノ酸、例えばフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびそれらの混合物を有効量含む場合、無添加の場合と比べてポリフェノール含量をさらに約2%〜50%増加させることができる。アミノ酸の添加量は0.5ppm〜50ppm、好ましくは0.5ppm〜10ppm、さらに好ましくは1ppm〜5ppmである。 【0042】 人工光にさらす日長時間は、15時間〜24時間、好ましくは20時間〜24時間である。本明細書中で使用される「日長時間」とは、一日あたりの光があたっている時間をいう。本発明によれば、光強度を強くするとともに日長時間を長くすることによって、芽出し野菜中のポリフェノールの含量を約1.5〜約2倍増加させることができる。そのような光強度と日長時間の好ましい関係は、例えば光強度100μmol/m2・秒、日長時間15〜24時間、好ましくは20〜24時間である。 【0043】 本発明により、従来使用される光強度下で生産されたものと比べてポリフェノール含量が1.5倍以上、好ましくは1.5〜2倍、さらに好ましくは2倍以上、例えば2〜3倍高い芽出し野菜を作ることができる。 【0044】 本発明は、したがって、上記の方法で生産された芽出し野菜であって、従来の光強度で生産されたものと比較してポリフェノール含量が1.5倍以上、好ましくは1.5〜2倍、高いことを特徴とする、上記芽出し野菜をも提供する。野菜は、ブロッコリー、マスタード(例えばブラックマスタード)、ケール、レッドキャベツおよびダッタンソバからなる群から選択される。その実施態様により、本発明は、ポリフェノール含量が2倍以上、例えば2〜3倍、高い芽出し野菜を提供する。具体的には、本発明の芽出し野菜であるブロッコリー、マスタード、ケール、レッドキャベツおよびダッタンソバはそれぞれ、少なくとも202、150、309、340および500mgケルセチン/100g新鮮重量(fw)の総ポリフェノール含量を有することを特徴とする。 【0045】 この発明において、芽出し野菜およびポリフェノールは、上記と同義であり、本発明方法を適用可能なすべての野菜およびポリフェノールを包含するものとする。 【0046】 本発明はさらに、ポリフェノルール高含有芽出し野菜の生産方法に使用するための装置であって、野菜の種子を発芽、成長させるための区画のあるもしくは区画のない容器、種子の仕込みまたは芽出し野菜の取り出しのための手段、20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒の光強度の光を野菜に照射するための1または2以上の人工光源、養液の供給手段、廃液の排出手段、光強度および光照射の制御手段を含む装置を提供する。 【0047】 本装置は、密閉型または非密閉型のいずれでもよいが、密閉型の場合空気の送気と排気の各手段が必要である。また、本装置は回転可能とするための手段を有していてもよい。容器を回転することによって野菜と養液が均一に接触されるようになるし、また光が野菜に均一にあたるようになる。 【0048】 以下に、本発明の装置の各構成手段について説明する。 本装置における容器は任意の形状であってよく、例えば、円筒型、多角柱型(例えば六角柱、八角柱)などのドラムタイプの形状である。容器の骨格すなわち枠は通常、スチール、アルミなどの金属、樹脂、強化プラスチックなどのポリマーによって形成される。容器の表面は、ある程度の強度を有しかつ光が効率よく透過可能な無色透明材料、例えばアクリル系ポリマーなどのポリマー材料で形成されるのがよい。容器は、ポットやトレーなどではなく、大量生産可能な大型のものを意図しているため、その内部に1以上の区画を設けて複数の室もしくはチャンバーを有することが好ましい。例えば六角柱であれば3つの区画、八角柱であれば4つの区画を設けることができる。区画を構成する仕切り板には、容器表面の材料と同様のものを使用できる。仕切りには、容器本体の枠と結合された、同様の枠材質からなる別の枠が配置されてもよい。容器のサイズが小型である場合には、区画がなくてもよい。 【0049】 種子の仕込みまたは芽出し野菜を取り出すための手段は、容器表面の一部または区画ごとの各容器表面の一部に例えば上下もしくは左右に開閉可能なように設けられた仕込みまたは取り出し口である。従って、仕込みまたは取り出し口は左右に開閉可能な窓のような構造あるいは上下に持ち上げ、持ち下げ可能な窓のような構造であってよいが、これらに限定されない。 【0050】 人工光源は、光強度が20μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒、好ましくは50μmol/m2・秒〜100μmol/m2・秒の範囲となる光を照射できる数の蛍光管からなり、また目的に応じて様々な波長の光を照射可能なように、例えば三波長型、四波長型、白色光、紫外線(UV)、赤外線などの蛍光管を単一もしくは組み合わせて使用することができる。すなわち、人工光源は、赤外光、可視光、紫外光またはそれらの組み合わせからなる光を照射することができるように設計される。例えば、40W、長さ120cmの蛍光管単独、あるいは三波長型蛍光管とUVランプの組み合わせが例示される。本発明での光強度を達成するためには、例えば40W、長さ120cmの蛍光管を少なくとも12本配置することができる。これによって100μmol/m2・秒の光強度を達成可能である。人工光源は、本装置の容器の両サイドから挟むように配置されてもよいし、ドラムの周囲に均等に複数本配置してもよい。また、光源は、容器の表面に接触させるか、あるいは該表面から一定の距離を置いて配置されてもよい。さらに、光源は、容器と一体となっていてもよいし、あるいは独立していてもよい。蛍光管の種類が異なる場合は、それらは1本置きにあるいは数本(例えば2〜3本)置きに交互に配置されるのがよい。光源には、光を反射する背板(例えばステンレスなど)を設けるのが好ましく、背板に光源を固定することができる。 【0051】 養液の供給手段は、養液を各室内に適量送液可能なものであり、例えば養液を容器内に仕込むための開閉可能な仕込み口であればいずれの構造であってもよく、特に限定するものではない。例えば手動で直接仕込む場合には開閉可能な窓もしくはマンホール蓋のような仕込み口、あるいは容器内の室の上面もしくは側面から配管を通して一定量の養液を自動で供給可能な仕込み手段であってもよい。前者の例の場合、芽出し野菜の取り出し口をそのまま利用することもできる。後者の例は、自動制御可能なように必要時に霧状に養液を噴霧することができるようなシステムが好ましい。噴霧手段は、特に限定されないが、容器内部に配設された管とその表面に設けられた複数の噴霧可能に設計された穴から構成されてもよい。この手段を通して野菜に水分を補給することもできる。 【0052】 廃液の排出手段は、容器の外部に廃液を排出可能なものであればいずれの構造であってもよい。例えば、区画板もしくは容器の縁部に設けられた溝を通して容器端部に廃液を集め、容器の外面に配設した管を通して廃液容器に回収する。このとき、ポンプ手段等を用いて廃液を吸引することも可能である。 【0053】 光強度および光照射時間の制御手段は、タイマー方式での制御で十分に目的が達成される。すなわち、タイマーによって一定の時間間隔で光源のオン/オフを調節することができる。この場合、光源の種類ごとに点灯開始時間および終了時間を任意に変えられるように同一種類の光源ごとにタイマーを設置することができる。このようなタイマー方式を採用することによって日長時間や点灯サイクルを適宜設定可能である。 【0054】 本装置には、温度や湿度を制御するための手段は特に必要ないが、その代わり本装置を設置する室内全体を一定の温度と湿度に保持することが必要である。温度や湿度の制御手段は市販のものをそのまま使えばよく、そのような装置は当業者には公知である。 【0055】 本装置の容器を回転させる場合には、変速可能なモーターを使用して実施できる。 以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されないものとする。 【実施例1】 【0056】 方法と材料 (1)種子 ダッタンソバ種子((有)植物育種研究所から購入) 【0057】 (2)芽出しダッタンソバの生産 複数のφ9cmのシャーレに、ウレタン片(6.5×6.5cm)を敷き、大塚ハウス肥料A処方(EC 0.7msに調整)(大塚化学製)にフェニルアラニンを無添加または所定濃度で添加した培養液を分注した。ソバ種子を予め有効塩素濃度 0.05%の次亜塩素酸溶液で15分間表面殺菌した後に流水で十分すすぎ、ろ紙上で表面の水分を切ってからウレタン片の上に播種し、22℃、暗黒条件に設定した人工気象器内に置床した。 播種3日後から、人工気象器を所定の光環境に調整し、播種10日後まで生育させた。1シャーレあたりの播種数は約30粒、それぞれ3反復で試験を行った。 【0058】 (3)試験区 光 強 度: 50または 100μmol/m2・秒 日長時間: 16または24時間/日 フェニルアラニン濃度: 0, 1, 10または 50ppm 【0059】 (4)ルチン(Rutin)及び総ポリフェノールの抽出 播種10日後の芽出しダッタンソバをシャーレ毎に根本から切断して1gを秤量し、10mlの80%MeOHで、氷冷下で2分間ホモジナイズした。これを10mlの80% MeOHを用いて50mlの遠沈管に移し、4℃の条件下で8,000G、10分間遠心分離を行った。遠沈後の上清を0.45μmのPTFEシリンジフィルターを通して分析試料とした。 【0060】 (5)ルチン(Rutin)及び総ポリフェノールの分析 ルチンは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した。下記のHPLC設定条件下で分析試料をそのまま分析した。 HPLCシステム: WATERS 2690システム 検出器: WATERS 996 フォトダイオードアレイ検出器(検出波長 354nm) カラム: WATERS Symmetry C18(4.6×250mm) 分析温度: 40℃ 移動相: A:アセトニトリル、B:0.2% リン酸 A:B= 16:84→65:35(35分間)のリニアグラジェント 【0061】 総ポリフェノール含量はフォーリン・デニス法(桑原秀明ら、「果汁中のポリフェノール定量におけるアスコルビン酸の影響」長野県食品工業試験場研究報告(1985年)49〜53頁)を用いて分析した。96穴のマイクロプレートに、純水で10倍に希釈した分析試料 150μl、50% フォーリン・デニス試薬(FLUKA製) 75μl、2.5% 炭酸ナトリウム 75μlを分注し、室温で60分間インキュベートした後に、マイクロプレートリーダーで700nmの吸光度を測定した。ケルセチン(Quercetin)0, 25, 50, 100ppm溶液を標準試薬として検量線を作成し、分析試料中の総ポリフェノール含量をケルセチン当量であらわした。 【0062】 結果 以下に、条件を変えて実験を行った結果を示す。 (1)ルチン及び総ポリフェノール含量に及ぼす光強度及び日長時間の影響 芽出しダッタンソバのルチン及び総ポリフェノール含量を光強度、日長時間別に表1および図1に示した。 【0063】 【表1】
【0064】 表1に示されるように、ルチン含量は、コントロールとしての光強度10〜20μmol/m2・秒、日長時間16時間の場合、平均336.9 mg/100 g fresh weight (fw)であったのに対し、本発明方法による50μmol/m2・秒の場合は約506〜509 mg/100 g fwでありコントロールより約1.5倍高い。また50μmol/m2・秒の場合、日長時間はルチン含量にほとんど影響しなかったが、100μmol/m2・秒の場合、16時間日長で約700 mg/100 g fwとなり、コントロールに比べてルチン含量が約2.0倍高かった。さらに24時間日長条件では約830 mg/100 g fwとなり、コントロールと比べてルチン含量が約2.5倍高かった。これらの結果は、光強度を強くしかつ日長時間を長くするほど、ルチン含量が有意に増加することを示している。 【0065】 総ポリフェノールについてみると、ルチン含量の場合と傾向はほとんど同じであった。それぞれの分析試料についてルチン含量と総ポリフェノール含量の関係を見ると、両者にはきわめて強い相関関係(R2=0.9126)が認められた(図2)。この結果は、芽出しダッタンソバ中の主要なポリフェノール成分はルチンであることを示している。 【0066】 (2)ルチン含量に及ぼす養液中のフェニルアラニン濃度の影響 ダッタンソバについて、光強度50〜100μmol/m2・秒、日長時間16〜24時間にて上記(1)と同様の条件であるが、養液にフェニルアラニンを添加した場合または無添加の場合の実験を行い、各試験区におけるフェニルアラニン無添加(0ppm区)のルチン含量を100とした場合のフェニルアラニン1, 10, 50ppm添加区におけるルチン含量の相対値を決定した。結果を図3に示す。 【0067】 図に示されるように、フェニルアラニン1ppm区では平均で約30%〜約50%ルチン含量が増加した。10ppm区では約15%〜約20%のルチン増加、50ppm区では約7%のルチン増加であった。養液中に1ppm〜5ppm程度の微量のフェニルアラニンを添加することによって、ルチン含量をさらに高めることが可能であることが分かった。 【実施例2】 【0068】 各種芽出し野菜中の総ポリフェノール含量に及ぼす光強度およびフェニル基含有アミノ酸の影響 芽出し野菜の栽培条件(実験1) φ9cmシャーレにブロッコリー、ブラックマスタード、ケール、レッドキャベツの種子それぞれ50粒を播種し、ECを1.6ms/cm2に調整した大塚ハウス肥料SA処方液を5mlずつ加え、22℃、暗黒条件下で64時間生育させ、その後所定の光強度(PPFD 0, 25, 50, 100μmol/m2・sec)の光環境下、日長時間24時間、22℃で48時間生育させた。なお、各作物とも各区3シャーレずつ供試した。 【0069】 芽出し野菜の栽培条件(実験2) また、光強度100μmol/m2・sec、日長時間24時間、フェニルアラニンもしくはチロシン含有または非含有養液の条件以外の条件を上記と同一にして栽培実験を行った。 試料の抽出と総ポリフェノール含量の測定 所定の日数生育させた各作物のスプラウトを根本から切断して収穫し、1gを秤量した後に20mlの80% MeOHで3時間抽出した。抽出後、4℃・8,000Gで15分間遠心分離し、上澄みをピペットで回収し、これを純水で5倍に希釈したものを試料液とした。 【0070】 試料液は総ポリフェノール含量をフォーリン・デニス法で測定した。ケルセチンを標準品として測定した。測定値は生重100gあたりのケルセチン当量(mg quercetin/100g fw)で表記した。 【0071】 実験1の結果 試験した各芽出し野菜のポリフェノール含量の絶対量および相対量をそれぞれ表2および表3に示した。 【0072】 【表2】
【0073】 【表3】
【0074】 表2および表3から、いずれの芽出し野菜も、光強度の増加にしたがって、総ポリフェノール含量が直線的に増加した。標準的な光強度と思われる20μmol/m2・secにおける総ポリフェノール含量に対し、50μmol/m2・secでは24〜33%、100μmol/m2・secでは40〜54%の増加が認められた。 【0075】 野菜による総ポリフェノール含量を比較すると、光強度によらずレッドキャベツが最も多く、ケール、ブロッコリー、ブラックマスタードの順であった。一方、光強度100μmol/m2・secのときのポリフェノールの増加量を比較すると、ケール、ブラックマスタード、レッドキャベツ、ブロッコリーの順であった。 【0076】 実験2の結果 光強度100μmol/m2・sec 、日長時間24時間、EC1.6の養液にフェニルアラニンまたはチロシンを10ppm添加した以外は実験1と同様の条件で芽出し野菜を栽培し、これらのアミノ酸がポリフェノール含量に及ぼす効果を検討した。試験した各芽出し野菜のポリフェノール含量に及ぼすフェニルアラニンまたはチロシンの添加効果を表4に示す。 【0077】 【表4】
【0078】 表4から、フェニルアラニン10ppm添加ではブラックマスタード、ケール、ブロッコリーで約2〜約25%の総ポリフェノール含量の増加、またチロシン10ppm添加ではケールで約11%の増加をそれぞれ示した。 【産業上の利用可能性】 【0079】 抗酸化性、抗変異原性、抗癌性、血圧上昇抑制、抗糖尿病性、抗アレルギー性などの生体調節機能をもつことが知られているポリフェノールの含量を高めた芽出し野菜を供給することを可能とする。 【図面の簡単な説明】 【0080】 【図1】芽出しダッタンソバ中のルチン含量(A)および総ポリフェノール含量(B)に及ぼす光強度および日長時間の影響を示す。 【図2】芽出しダッタンソバ中のルチン含量と総ポリフェノール含量との相関関係を示す。 【図3】芽出しダッタンソバ中のルチン含量に及ぼす養液中のフェニルアラニン濃度の影響を示す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500221345 【氏名又は名称】森産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年7月8日(2004.7.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183 【弁理士】 【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773 【弁理士】 【氏名又は名称】藤田 節
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| 【公開番号】 |
特開2006−20565(P2006−20565A) |
| 【公開日】 |
平成18年1月26日(2006.1.26) |
| 【出願番号】 |
特願2004−201317(P2004−201317) |
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