| 【発明の名称】 |
コンバインにおける穀粒排出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡部 高広 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内
【氏名】三島 圭介 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内
【氏名】錦織 将浩 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内
【氏名】大本 啓一 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】排出オーガの詰まりを防止するコンバインにおける穀粒排出装置を提供することを課題としている。
【解決手段】脱穀後の穀粒を一時的に貯粒する穀粒タンク7内の穀粒を排出する排出オーガ8の縦ラセン13と横ラセン12とを連動駆動する駆動装置の油圧モータ26を、駆動開始直後から一定時間寸動運転で回転し、寸動運転終了後に予め定められた所定の回転数に増速して回転する構成とした。又は油圧モータ26にオイルを供給するオイル供給手段42,44を、油圧モータ26の駆動開始直後から一定時間はオイルの流量を少なくし、一定時間経過後に規定回転数で油圧モータ26を駆動する流量のオイルを供給する構成とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱穀後の穀粒を一時的に貯粒する穀粒タンク(7)と、穀粒タンク(7)内の穀粒を排出する排出オーガ(8)とを備え、排出オーガ(8)が、穀粒タンク(7)内の穀粒を横方向に搬送する横ラセン(12)と、横ラセン(12)から穀粒を受け継ぎ、受け継いだ穀粒を上方に搬送する縦ラセン(13)と、縦ラセン(13)と横ラセン(12)とを連動駆動する駆動装置とを備え、上記駆動装置が駆動源として油圧モータ(26)を備えたコンバインにおいて、上記油圧モータ(26)を、駆動開始直後から一定時間寸動運転で回転し、寸動運転終了後に予め定められた所定の回転数に増速して回転する構成とすることにより、縦ラセン(13)及び横ラセン(12)を回転開始から一定時間低速で回転させた後、所定の回転数で回転駆動させるコンバインにおける穀粒排出装置。 【請求項2】 脱穀後の穀粒を一時的に貯粒する穀粒タンク(7)と、穀粒タンク(7)内の穀粒を排出する排出オーガ(8)とを備え、排出オーガ(8)が、穀粒タンク(7)内の穀粒を横方向に搬送する横ラセン(12)と、横ラセン(12)から穀粒を受け継ぎ、受け継いだ穀粒を上方に搬送する縦ラセン(13)と、縦ラセン(13)と横ラセン(12)とを連動駆動する駆動装置とを備え、上記駆動装置が駆動源として油圧モータ(26)を備えたコンバインにおいて、上記油圧モータ(26)にオイルを供給するオイル供給手段(42),(44)を設け、該オイル供給手段(42),(44)を、油圧モータ(26)の駆動開始直後から一定時間は、供給オイルの流量を予め定められた所定の規定回転数で油圧モータ(26)を駆動する量より小さくし、上記一定時間経過後に供給オイルの流量を上記規定回転数で油圧モータ(26)を駆動する量とするように構成することによって、縦ラセン(13)及び横ラセン(12)を回転開始から一定時間低速で回転させた後、予め定められた所定の回転数で回転駆動させるコンバインにおける穀粒排出装置。 【請求項3】 オイル供給手段(42)が、オイルポンプ(33)と油圧モータ(26)との間に設けられた複数の並列するバルブ(38),(41)からなり、各バルブ(38),(41)を入り切りすることによって油圧モータ(26)に流すオイルの流量を調節する構造である請求項2のコンバインにおける穀粒排出装置。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、排出オーガによって脱穀後の穀粒を排出するコンバインにおける穀粒排出装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来脱穀後の穀粒を一時的に貯粒する穀粒タンクと、穀粒タンク内の穀粒を排出する排出オーガとを備え、排出オーガが、穀粒タンク内の穀粒を横方向に搬送する集穀コンベア(本件の横ラセンに対応する)と、集穀コンベアから穀粒を受け継ぎ、受け継いだ穀粒を上方に搬送する垂直オーガ(本件の縦ラセンに対応する)と、垂直オーガの上端から穀粒を受け継ぎ排出する水平オーガとが連動駆動されるように設けられた構造であるコンバインが公知となっている(例えば特許文献1)。 【0003】 通常コンバインは、穀粒を排出する際の排出オーガの駆動開始時には、所定の遅れはあるがほぼ駆動開始直後に、集穀コンベアと垂直オーガとが予め定められている正規の回転数に達し、正規の回転数での回転に対応する正規の流量で穀粒を移送する。排出オーガの駆動開始時に垂直オーガ内に穀粒が残存していると、排出オーガの駆動開始直後には、集穀コンベアから、穀粒が残存している垂直オーガ内に、正規の流量の穀粒が送り込まれ、垂直オーガで穀粒の詰まりが発生する場合がある。 【0004】 また穀粒が残存している垂直オーガを静止状態から回転させる場合、回転開始時点では垂直オーガ内に残る穀粒の重量に抗して垂直オーガを回転させる必要があり、特に垂直オーガを上記正規の回転数のような高速回転させる場合は垂直オーガの回転を開始させるために大きなトルクが必要になる。 【0005】 これらの問題点に対応するために上記コンバインの集穀コンベア,垂直オーガ,水平オーガは、回転開始から所定時間低速回転し、所定時間経過後に上記正規の回転数で回転するように設定されている。 【特許文献1】実公平6−29947号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上記排出オーガは、Vプーリ式無段変速装置又は油圧無段変速装置(HST)によってエンジン側からの駆動力を無段階に変速することによって、集穀コンベア,垂直オーガ,水平オーガの回転開始時の回転を低回転とし、徐々に正規の回転数まで上げていくように構成されている。 【0007】 しかしVプーリ式無段変速装置は、ベルトを使用することになり、ゴミの付着等によってベルトが滑ることを防止するために、ケーシングの必要がある。ケーシングによってベルトの着脱が容易ではなく、調節が困難であるという欠点がある。またHSTを使用する場合は、HSTが高価であり、コストアップにつながるという欠点がある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記課題を解決するための本発明のコンバインにおける穀粒排出装置は、脱穀後の穀粒を一時的に貯粒する穀粒タンク7と、穀粒タンク7内の穀粒を排出する排出オーガ8とを備え、排出オーガ8が、穀粒タンク7内の穀粒を横方向に搬送する横ラセン12と、横ラセン12から穀粒を受け継ぎ、受け継いだ穀粒を上方に搬送する縦ラセン13と、縦ラセン13と横ラセン12とを連動駆動する駆動装置とを備え、上記駆動装置が駆動源として油圧モータ26を備えたコンバインにおいて、上記油圧モータ26を、駆動開始直後から一定時間寸動運転で回転し、寸動運転終了後に予め定められた所定の回転数に増速して回転する構成とすることにより、縦ラセン13及び横ラセン12を回転開始から一定時間低速で回転させた後、所定の回転数で回転駆動させることを第1の特徴としている。 【0009】 第2に脱穀後の穀粒を一時的に貯粒する穀粒タンク7と、穀粒タンク7内の穀粒を排出する排出オーガ8とを備え、排出オーガ8が、穀粒タンク7内の穀粒を横方向に搬送する横ラセン12と、横ラセン12から穀粒を受け継ぎ、受け継いだ穀粒を上方に搬送する縦ラセン13と、縦ラセン13と横ラセン12とを連動駆動する駆動装置とを備え、上記駆動装置が駆動源として油圧モータ26を備えたコンバインにおいて、上記油圧モータ26にオイルを供給するオイル供給手段42,44を設け、該オイル供給手段42,44を、油圧モータ26の駆動開始直後から一定時間は、供給オイルの流量を予め定められた所定の規定回転数で油圧モータ26を駆動する量より小さくし、上記一定時間経過後に供給オイルの流量を上記規定回転数で油圧モータ26を駆動する量とするように構成することによって、縦ラセン13及び横ラセン12を回転開始から一定時間低速で回転させた後、予め定められた所定の回転数で回転駆動させることを特徴としている。 【0010】 第3にオイル供給手段42が、オイルポンプ33と油圧モータ26との間に設けられた複数の並列するバルブ38,41からなり、各バルブ38,41を入り切りすることによって油圧モータ26に流すオイルの流量を調節する構造であることを特徴としている。 【発明の効果】 【0011】 以上のように構成される本発明の構造によると、排出オーガの駆動開始直後から一定時間は、横ラセンと縦ラセンが低速回転するため、排出オーガの駆動開始から一定時間は横ラセンから縦ラセンに送られる穀粒の流量が少なくなる。これにより例えば縦ラセン内に穀粒が残存している状態から、縦ラセンに多くの穀粒を送り込み、縦ラセン及び横ラセンが詰まるという不都合を防止することができる。また縦ラセン内に穀粒が残存している場合でも、縦ラセンの回転開始時のトルクが小さくて済み、排出ラセンの駆動を円滑に開始させることができるという利点がある。 【0012】 そして油圧モータを回転開始直後から一定時間寸動運転(インチング運転)すること、又は油圧モータに供給するオイルの流量を、油圧モータの回転開始直後から一定時間少なくすることによって、容易に油圧モータを回転開始から一定時間低速回転させることができ、縦ラセン及び横ラセンを回転開始時に低速回転させる機構を簡単に且つ低コストで構成することができる。 【0013】 オイル供給手段を、オイルポンプと油圧モータとの間に設けられた複数の並列するバルブを入り切りすることによって油圧モータに流すオイルの流量の調節する構造とすることによって、縦ラセン及び横ラセンを回転開始時に低速回転させる機構をさらに簡単に構成することができ、オイルの流量調節をバルブの入り切りという簡単な制御で、例えばリレー等の簡単な制御機器によって実現することができるという利点がある。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 図1は本発明の穀粒排出装置を採用したコンバインの側面図である。走行機体1の機体フレーム2がクローラ式の走行装置3に支持されている。走行機体1の前方には前処理部4が上下昇降自在に取り付けられている。機体フレーム2上の右側前方には運転席6が設けられている。 【0015】 運転席6の左側には従来同様、前処理部からの穀稈を後方に搬送する穀稈搬送部と、穀稈搬送部から穀稈を受け継ぎ脱穀する脱穀装置が配置されている。脱穀装置の側方となる運転席6の後方には、脱穀後の穀粒を一時的に貯粒するグレンタンク7が設けられている。 【0016】 グレンタンク7の後方側には、グレンタンク7内の穀粒を必要に応じて機外に排出する排出オーガ8の一部を構成する縦ラセン筒9が設けられている。縦ラセン筒9の上部には、縦ラセン筒9とともに排出オーガ8を構成する前後方向のオーガ筒11が設けられている。 【0017】 上記排出オーガ8は、上記縦ラセン筒9とオーガ筒11と、オーガ筒11内に設けられた排出ラセンと、図2に示されるように、グレンタンク7の底部に前後方向に設けられた横ラセン12と、縦ラセン筒9内に設けられた縦ラセン13とを備えて構成されている。横ラセン12は、前後方向の横ラセン軸14の周囲にラセン羽根16が取り付けれてなる。縦ラセン13は、上下方向の縦ラセン軸17の周囲にラセン羽根18が取り付けれてなる。 【0018】 横ラセン軸14の後端近傍に縦ラセン軸17の下端近傍が位置する。横ラセン軸14に設けられたベベルギヤ19と縦ラセン軸17に設けられたベベルギヤ21とが噛合している。縦ラセン軸17は、機体フレーム2側に取り付けられた伝動ケース22から突出した駆動軸23とカップリング24を介して接続されている。 【0019】 図3に示されるように、伝動ケース22における駆動軸23の側方には、油圧モータ26が設けられている。伝動ケース22内において、油圧モータ26の回転軸27側に設けられるギヤ28と駆動軸23側に設けられるギヤ29とが噛合している。油圧モータ26の駆動によって回転軸27が回転し、回転軸27の回転によって駆動軸23が回転駆動され、縦ラセン軸17が回転駆動され、ベベルギヤ19,21を介して横ラセン軸14が駆動される。 【0020】 縦ラセン軸17の回転により縦ラセン13のラセン羽根18が回転して縦ラセン13が回転駆動される。横ラセン軸14の回転によって横ラセン12のラセン羽根16が回転して横ラセン12が回転駆動される。油圧モータ26,伝動ケース22,ベベルギヤ19,21によって縦ラセン13と横ラセン12とを連動駆動する駆動装置が構成されている。なお排出ラセンは従来同様縦ラセン軸17の上端側で縦ラセン17側から駆動力が入力されて回転駆動される。 【0021】 排出オーガ8は以上のように構成されており、油圧モータ26が回転駆動されると、横ラセン12の回転駆動によってラセン羽根16によりグレンタンク7の底部において穀粒を縦ラセン13の下端部分に移送し、移送された穀粒を縦ラセン13の回転駆動によってラセン羽根18により上方に移送して排出ラセンの端部に移送し、さらに排出ラセンの回転駆動によってオーガ筒11の先端側に移送し、オーガ筒11の先端に設けられた排出口31から排出する。 【0022】 図4に示されるように、走行機体1側に設けられたオイルタンク32からオイルを吸い上げるオイルポンプ33の出力側に、ソレノイドバルブ(排出バルブ)34が接続されて設けられている。該排出バルブ34の出力側とオイルタンク32との間に上記油圧モータ26が接続されて設けられている。油圧モータ26にパラレルにアンロードバルブ36が設けられている。 【0023】 排出バルブ34とアンロードバルブ36とによって油圧モータ26にオイルを供給するオイル供給手段35が構成される。 【0024】 油圧モータ26は排出バルブ34のON(開),OFF(閉)によって回転が制御される。排出バルブ34のONによってオイルが油圧モータ26に供給され、油圧モータ26は回転駆動される。排出バルブ34のOFFによって油圧モータ26へのオイルの供給が停止され、油圧モータ26の回転駆動が停止される。 【0025】 油圧モータ26は排出バルブ34がONとなり、油圧モータ26へのオイルの流量が安定すると、この安定した流量に対応する速度(規定回転数)で回転駆動される。この予め定められた規定回転数に対応する回転数で横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンが回転駆動され、横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンの回転数に応じた流量(規定流量)で穀粒がオーガ筒11の排出口31から排出される。 【0026】 上記排出バルブ34は、図示しないマイコンユニットによって作動が制御される。このマイコンユニットが油圧モータ26の駆動をコントロールするコントローラとなる。マイコンユニットには油圧モータ26を回転開始から一定時間低速回転させ、その後上記規定回転数で高速回転させる回転速度可変手段が備えられている。 【0027】 マイコンユニットの入力側には運転席6内に設けられる穀粒排出スイッチ(図示しない)が接続されている。排出オーガ8による穀粒の排出作業が行われていない状態で穀粒排出スイッチを入り(ON)操作すると、排出オーガ8が作動(油圧モータ26が回転駆動)して上記排出オーガ8による穀粒の排出を行う。 【0028】 排出オーガ8による穀粒の排出作業が行われている状態で穀粒排出スイッチを入り(ON)操作すると、排出オーガ8の作動(油圧モータ26の回転駆動)が停止して排出オーガ8による穀粒の排出がストップされる。 【0029】 回転速度可変手段は、マイコンユニット側に記憶されている回転速度可変プログラムに従ってマイコンユニットが作動することによって実現される。回転速度可変プログラムに基づく回転速度可変手段の作動(穀粒排出制御)は、図5に示されるように、まずステップS1で穀粒排出スイッチのON,OFFをチェックし、ONの場合はステップS2に進む。 【0030】 ステップS2においては前回の穀粒排出制御のフロー実行時の穀粒排出スイッチのON,OFFをチェックする。ステップS2において前回の穀粒排出スイッチがOFFの場合は、穀粒を排出するために又は穀粒の排出を停止させるために穀粒排出スイッチをONとした直後であり、ステップS3に進む。 【0031】 ステップS3においては、穀粒排出開始又は停止の警報としてブザーを単音で吹鳴させ、ステップS4に進む。ステップS4においては、現在の制御モードをチェックする。制御モードが「停止モード」の場合は、穀粒を排出するために穀粒排出スイッチをONとした直後であるため、ステップS5に進み、制御モードを「排出モード」とし、且つ排出インチングタイマをセットし、ステップS6に進む。 【0032】 一方ステップS4において、制御モードが「排出モード」の場合は、穀粒の排出を停止させるために穀粒排出スイッチをONとした直後であるため、ステップS7に進み、制御モードを「停止モード」とし、ステップS6に進む。なおステップS1において穀粒排出スイッチがOFFの場合、ステップS2において前回の穀粒排出スイッチがONの場合もステップS6に進む。 【0033】 ステップS6においては、現在の制御モードをチェックする。制御モードが「停止モード」の場合は、ステップS8に進み、排出バルブ34をOFFとし、ステップS9に進み、穀粒排出ランプを消灯させリターンする。ステップS6において制御モードが「排出モード」の場合は、ステップS10に進み、インチングタイマの終了(タイマ=0)をチェックする。 【0034】 ステップS10において、インチングタイマが終了している場合は、ステップS11に進み、排出バルブ34をONとし、ステップS12に進み、穀粒排出ランプを点灯させリターンする。ステップS10において、インチングタイマが終了していない(タイマ≠0の)場合は、ステップS13に進み、排出バルブ34をインチング作動させ、ステップS12に進み、穀粒排出ランプを点灯させリターンする。穀粒排出ランプは運転席11内に設けられ、作業者が視認することができる。 【0035】 以上により図6のタイムチャートに示されるように、穀粒を排出していない状態から穀粒排出スイッチを1回ONすると、穀粒の排出が開始され、穀粒が排出されている状態から穀粒排出スイッチを1回ONすると、穀粒の排出が停止される。 【0036】 穀粒の排出中は穀粒排出ランプが点灯し、穀粒の非排出中は穀粒排出ランプが消灯することによって穀粒の排出状態を作業者に報知する。穀粒の排出開始直後から一定時間(インチングタイマの設定時間)は、排出バルブ34がインチング作動し、インチングタイマ終了後は排出バルブ34がON状態となる。なお穀粒の排出開始及び排出停止の開始時にはブザーが単音で鳴り、排出作業の開始及び終了を報知する。 【0037】 排出バルブ34のインチング作動によって、油圧モータ26はインチング運転(寸動運転)される。排出バルブ34のインチング作動中は、図7に示されるように、油圧モータ26に流れるオイルの流量が徐々に増加する。ただし増加の割合は、排出バルブ34のONを継続させて油圧モータ26に流れるオイルの流量が安定するまでのオイルの流量の増加割合より小さい。排出バルブ34のインチング作動が終了すると若干の遅れの後、上記オイルの流量は一定となる。 【0038】 油圧モータ26の回転数はオイルの流量に比例して増加する。このため穀粒の排出開始(油圧モータ26の駆動開始)直後から一定時間の排出バルブ34のインチング作動時には、油圧モータ26の回転数が上記規定回転数に比較して低くなる。なおインチング作動の期間の一部又は全部は、油圧モータ26の駆動開始から排出バルブ34を連続してON状態とした場合に油圧モータ26が規定回転数に達するまでの遅れの範囲内にあるが、この範囲内においても、排出バルブ34をインチング作動させた方が、排出バルブ34を連続してON状態とした場合よりも、油圧モータ26の回転数は低い。 【0039】 これにより穀粒の排出開始直後から一定時間は横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンの回転数が、穀粒を規定流量で排出させる場合の回転数より低下した状態となり、インチングタイマの設定時間を越えると横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンの回転数は、穀粒を規定流量で排出させる正規の回転数に増速し、排出オーガ8は予め定められた流量で穀粒の排出を行う。 【0040】 これにより例えば縦ラセン筒9内に穀粒が残存している状態から穀粒を排出させるべく穀粒排出スイッチをONした場合でも、縦ラセン13及び横ラセン12は、ともに回転開始直後から所定の一定時間低回転で回転し、この低回転の時間内は穀粒の排出流量が少なくなる。 【0041】 このため穀粒の排出開始にあたって穀粒が残存する縦ラセン13内に横ラセン12から穀粒を送り込む初期の一定期間は、横ラセン12から縦ラセン13に送り込む穀粒の量が規定流量より少なくなり、穀粒の排出開始時に、横ラセン12から縦ラセン13に規定流量の穀粒を送り込むことにより、縦ラセン12内に存在する穀粒の量が規定量より増加し、穀粒詰まりが発生する不都合が防止される。 【0042】 また穀粒が残存する縦ラセン13を静止状態から回転させる場合、回転開始時点では縦ラセン13内に残存する穀粒の重量に抗して縦ラセン13を回転させる必要があり、特に縦ラセン13を正規の回転数で回転させる場合は縦ラセン13の回転を開始させるために大きなトルクが必要になる。 【0043】 本実施形態の場合、縦ラセン13は回転開始時点では低速回転となるため、縦ラセン13の回転を開始させるためのトルクが小さくて済み、横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンの回転開始を円滑に行わせることができる。そして上記のように油圧モータ26を回転開始から一定時間低回転駆動させる手段を排出バルブ34のインチング作動によって簡単に構成することができる。油圧モータ26の低速回転は最小限で済むため、穀粒の排出時間が長くなるという悪影響を最小限に抑えることもできる。 【0044】 一方上記のように縦ラセン12内に穀粒が残存していない場合は、穀粒の排出開始時点から縦ラセン13及び横ラセン12を正規の回転数で回転させることに対する問題はほとんどない。 【0045】 縦ラセン12内に穀粒が残存するケースとしては、グレンタンク7内に穀粒が残った状態で排出オーガ8による穀粒の排出を停止した場合や、エンジンを低回転で駆動した状態で排出オーガ8からの穀粒の排出を行い、排出を停止した場合等が考えられる。エンジンを低回転で駆動した場合は縦ラセン13及び横ラセン12が低回転となるため、穀粒の排出流量が低下し、縦ラセン13内に穀粒が残存する。 【0046】 このため穀粒排出制御を、図8に示されるように、グレンタンク7内に穀粒が残った状態で排出オーガ8による穀粒の排出を停止した場合に、排出オーガ8の駆動開始直後から一定時間横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンを低速で回転させるように構成してもよい。この場合グレンタンク7内の穀粒の量を検出する籾センサを設ける必要がある。 【0047】 通常グレンタンク7を有するコンバインには、上記籾センサが設けられている。以下の実施形態ではグレンタンク7内に上下方向に複数の籾センサを設け、穀粒を検知している籾センサの数によってグレンタンク7内の穀粒の量を検出することができるコンバインとであることを前提としている。 【0048】 図8に示される穀粒排出制御は、ステップS1で穀粒排出スイッチのON,OFFをチェックし、ONの場合はステップS2に進む。ステップS2においては前回の穀粒排出制御のフロー実行時の穀粒排出スイッチのON,OFFをチェックする。ステップS2において前回の穀粒排出スイッチがOFFの場合は、穀粒を排出するために又は穀粒の排出を停止させるために穀粒排出スイッチをONとした直後であり、ステップS3に進む。 【0049】 ステップS3においては、穀粒排出開始又は停止の警報としてブザーを単音で吹鳴させ、ステップS4に進む。ステップS4においては、現在の制御モードをチェックする。制御モードが「停止モード」の場合は、穀粒を排出するために穀粒排出スイッチをONとした直後であるため、ステップS5に進み、制御モードを「排出モード」とし、ステップS6に進む。 【0050】 ステップS6においては、前回の穀粒排出制御のフロー実行時の籾センサの状態をチェックする。いずれかの籾センサがONの場合は、穀粒タンク内に籾が残存しているといえるため、ステップS7に進み、インチングタイマをセットし、ステップS8に進む。 【0051】 一方ステップS4において、制御モードが「排出モード」の場合は、穀粒の排出を停止させるために穀粒排出スイッチをONとした直後であるため、ステップS9に進み、制御モードを「停止モード」とし、ステップS8に進む。なおステップS1において穀粒排出スイッチがOFFの場合、ステップS2において前回の穀粒排出スイッチがONの場合、ステップS6で全ての籾センサがOFFの場合もステップS8に進む。 【0052】 ステップS8においては、現在の制御モードをチェックする。制御モードが「停止モード」の場合は、ステップS10に進み、排出バルブ34をOFFとし、ステップS11に進み、穀粒排出ランプを消灯させリターンする。ステップS8において制御モードが「排出モード」の場合は、ステップS12に進み、インチングタイマの終了(タイマ=0)をチェックする。 【0053】 ステップS12において、インチングタイマが終了している場合は、ステップS13に進み、排出バルブ34をONとし、ステップS14に進み、穀粒排出ランプを点灯させリターンする。ステップS12において、インチングタイマが終了していない(タイマ≠0の)場合は、ステップS15に進み、排出バルブ34をインチング作動させ、ステップS14に進み、穀粒排出ランプを点灯させリターンする。 【0054】 これによりグレンタンク7内に穀粒が残存している場合に、排出オーガ8(油圧モータ26)の駆動開始直後から一定時間、横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンは低速で回転し、上記同様の効果を得ることができる。 【0055】 一方穀粒排出制御を、図9に示されるように、エンジンを低回転で駆動した状態で排出オーガ8による穀粒の排出を行い、排出を停止し、その後排出オーガ8による穀粒の排出を開始する際に、排出オーガ8(油圧モータ26)の駆動開始直後から一定時間、横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンを低速で回転させるように構成してもよい。 【0056】 図9に示される穀粒排出制御は、ステップS1で穀粒排出スイッチのON,OFFをチェックし、ONの場合はステップS2に進む。ステップS2においては前回の穀粒排出制御のフロー実行時の穀粒排出スイッチのON,OFFをチェックする。ステップS2において前回の穀粒排出スイッチがOFFの場合は、穀粒を排出するために又は穀粒の排出を停止させるために穀粒排出スイッチをONとした直後であり、ステップS3に進む。 【0057】 ステップS3においては、穀粒排出開始又は停止の警報としてブザーを単音で吹鳴させ、ステップS4に進む。ステップS4においては、現在の制御モードをチェックする。制御モードが「停止モード」の場合は、穀粒を排出するために穀粒排出スイッチをONとした直後であるため、ステップS5に進み、制御モードを「排出モード」とし、ステップS6に進む。 【0058】 ステップS6においては、前回の穀粒排出制御のフロー実行時のエンジンの回転数をチェックする。エンジンが低回転駆動されていた場合は、ステップS7に進み、インチングタイマをセットし、ステップS8に進む。 【0059】 一方ステップS4において、制御モードが「排出モード」の場合は、穀粒の排出を停止させるために穀粒排出スイッチをONとした直後であるため、ステップS9に進み、制御モードを「停止モード」とし、ステップS8に進む。なおステップS1において穀粒排出スイッチがOFFの場合、ステップS2において前回の穀粒排出スイッチがONの場合、ステップS6でエンジンが低回転駆動されていなかった場合もステップS8に進む。 【0060】 ステップS8においては、現在の制御モードをチェックする。制御モードが「停止モード」の場合は、ステップS10に進み、排出バルブ34をOFFとし、ステップS11に進み、穀粒排出ランプを消灯させリターンする。ステップS8において制御モードが「排出モード」の場合は、ステップS12に進み、インチングタイマの終了(タイマ=0)をチェックする。 【0061】 ステップS12において、インチングタイマが終了している場合は、ステップS13に進み、排出バルブ34をONとし、ステップS14に進み、穀粒排出ランプを点灯させリターンする。ステップS12において、インチングタイマが終了していない(タイマ≠0の)場合は、ステップS15に進み、排出バルブ34をインチング作動させ、ステップS14に進み、穀粒排出ランプを点灯させリターンする。 【0062】 これによりエンジンを低回転で駆動した状態で排出オーガ8による穀粒の排出を行い、排出を停止し、その後穀粒の排出を開始する場合に、排出オーガ8(油圧モータ26)の駆動開始直後から一定時間、横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンは低速で回転し、上記同様の効果を得ることができる。 【0063】 一方図10に示されるように、油圧モータ回りのオイル回路を、走行機体1側のオイルタンク32からオイルを吸い上げるオイルポンプ33の出力側に、ソレノイドバルブ(排出バルブ)37を接続し、該排出バルブ37の出力側に第1絞りバルブ38を接続して設け、第1絞りバルブ38の出力側とオイルタンク32との間に上記油圧モータ26を接続して設け、シリアルに接続されたソレノイドバルブ(流量切換えバルブ)39と第2絞りバルブ41とを第1絞りバルブ38にパラレルに接続して設け、排出バルブ37の出力側とオイルタンク32との間にアンロードバルブ36を設けた構造としてもよい。 【0064】 排出バルブ37,第1絞りバルブ38,流量切換えバルブ39,第2絞りバルブ41,アンロードバルブ36によって油圧モータ26にオイルを供給するオイル供給手段42が構成される。 【0065】 このオイル供給手段42の場合、流量切換えバルブ39がOFFの状態では、油圧モータ26には第1絞りバルブ38のみを経由してオイルが流量Q1で供給され、流量切換えバルブ39がONとなると、第1絞りバルブ38を経由して供給される流量Q1のオイルに加えて、第2絞りバルブ41を経由する流量Q2のオイルが供給され、油圧モータ26には第1絞りバルブ38及び第2絞りバルブ41を経由して流量(Q1+Q2)のオイルが供給される。 【0066】 第1絞りバルブ38及び第2絞りバルブ41を経由してオイルを油圧モータ26に供給することによって、第1絞りバルブ38を経由してオイルを油圧モータ26供給する場合に比較して、油圧モータ26に供給するオイルの流量を大きくすることができる。 【0067】 本実施形態においては第1絞りバルブ38及び第2絞りバルブ41を経由して油圧モータ26にオイルを供給すると、油圧モータ26が前述の規定の速度で回転(高速回転)するように設定されている。従って第1絞りバルブ38のみを経由して油圧モータ26にオイルを供給すると油圧モータ26は上記規定回転数より低回転数で回転する。 【0068】 このため排出オーガ8(油圧モータ26)を駆動開始させるために排出バルブ34をONとした直後から一定時間は、流量切換えバルブ39をOFFとし、前記一定時間経過後に流量切換えバルブ39をONとすることによって、図11に示されるように、油圧モータ26に供給されるオイルの流量が、排出オーガ8(油圧モータ26)の駆動開始直後から所定の一定時間少なく、この一定時間経過後以降は規定の流量に増加する。 【0069】 これにより排出オーガ8(油圧モータ26)の駆動開始直後から一定時間、横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンは低速回転し、上記同様の効果を得ることができる。この場合単にソレノイドバルブのON,OFFのみで、油圧モータ26に供給するオイルの流量を2段階に調節することができるため、オイルの流量(オイル供給手段42)を調節するコントローラを簡単に構成することができ、場合によってはマイコンユニットを使用せず、リレー回路のみでコントローラを構成することができる。 【0070】 その他図12に示されるように、油圧モータ回りのオイル回路を、走行機体1側のオイルタンク32からオイルを吸い上げるオイルポンプ33の出力側に、比例流量制御バルブ43を排出バルブとして接続し、該比例流量制御バルブ43とオイルタンク32との間に上記油圧モータ26を接続して設け、オイルポンプ33の出力側とオイルタンク32との間にアンロードバルブ36を設けた構造としてもよい。 【0071】 比例流量制御バルブ43とアンロードバルブ36とによって、油圧モータ26にオイルを供給するオイル供給手段44が簡単に構成される。 【0072】 上記オイル供給手段44の場合、比例流量制御バルブ43のコントロールによって油圧モータ26に供給されるオイルの流量が変化する。このため排出オーガ8(油圧モータ26)の駆動開始のために比例流量制御バルブ43を作動させる際に、図13に示されるように、作動開始直後から所定の一定時間は油圧モータ26に供給するオイルの流量を、油圧モータ26を前述の規定回転数で回転させるために必要な流量に比較して少なくし、その後上記規定回転数で回転させるための流量に増加させる。 【0073】 これにより排出オーガ8(油圧モータ26)の駆動開始直後から一定時間、横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンは低速回転し、上記同様の効果を得ることができる。この場合比例流量制御バルブ43のコントロールを行うためにマイコンユニット等からなるコントローラを設ける必要があり、コントローラの構成が上記実施形態に比較して比較的複雑になる場合がありえる。 【0074】 なお上記のようなバルブ切り換えタイプのオイル供給手段42、あるいは比例流量制御バルブタイプのオイル供給手段44を、グレンタンク7内に穀粒が残存した状態で排出オーガ8による穀粒の排出を停止した場合、あるいはエンジンを低回転で駆動した状態で排出オーガ8による穀粒の排出を行い、排出を停止し、その後排出オーガ8による穀粒の排出を開始(再開)する場合に、排出オーガ8(油圧モータ26)の駆動開始直後から一定時間横ラセン12,縦ラセン13,排出ラセンを低速で回転させるシステムに採用することもできる。 【図面の簡単な説明】 【0075】 【図1】コンバインの側面図である。 【図2】縦ラセン筒の下端部分の要部断面図である。 【図3】伝動ケース部分の要部背面断面図である。 【図4】油圧モータ回りの油圧回路である。 【図5】穀粒排出制御のフローチャート図である。 【図6】穀粒排出スイッチと排出バルブと穀粒排出ランプのフローチャート図である。 【図7】油圧モータに供給されるオイルの流量変化を示すグラフ図である。 【図8】穀粒排出制御の他の実施形態を示すフローチャート図である。 【図9】穀粒排出制御の他の実施形態を示すフローチャート図である。 【図10】油圧モータ回りの他の実施形態の油圧回路である。 【図11】油圧モータに供給されるオイルの流量変化を示すグラフ図である。 【図12】油圧モータ回りの他の実施形態の油圧回路である。 【図13】油圧モータに供給されるオイルの流量変化を示すグラフ図である。 【符号の説明】 【0076】 7 グレンタンク(穀粒タンク) 8 排出オーガ 12 横ラセン 13 縦ラセン 26 油圧モータ 33 オイルポンプ 38 第1絞りバルブ(バルブ) 41 第2絞りバルブ(バルブ) 42 オイル供給手段 44 オイル供給手段
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
|
| 【出願日】 |
平成17年3月4日(2005.3.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081673 【弁理士】 【氏名又は名称】河野 誠
|
| 【公開番号】 |
特開2006−238832(P2006−238832A) |
| 【公開日】 |
平成18年9月14日(2006.9.14) |
| 【出願番号】 |
特願2005−61265(P2005−61265) |
|