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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】仲島 鉄弥
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】運転作業者と補助作業者とがコンバインを使用した共同作業を行う場合に、発生した異常に応じた適切な処置を迅速に行うことができるコンバインを提供すること。

【解決手段】コンバイン本体に、携帯式の無線式通信装置42からの無線信号を受信する受信装置56,57,58が備えられたコンバインであって、無線式通信装置が、通報指令を指令する通報指令手段を備えて、この通報指令手段による通報指令を無線信号で送信するように構成され、コンバイン本体に、呼出し用の通報手段65,66、及び、受信装置が通報指令を受信するに伴って、通報手段を通報作動させる通報用の制御手段Hが設けられているコンバインを構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバイン本体に、携帯式の無線式通信装置からの無線信号を受信する受信装置が備えられたコンバインであって、
前記無線式通信装置が、通報指令を指令する通報指令手段を備えて、この通報指令手段による前記通報指令を無線信号で送信するように構成され、
前記コンバイン本体に、呼出し用の通報手段、及び、前記受信装置が前記通報指令を受信するに伴って、前記通報手段を通報作動させる通報用の制御手段が設けられているコンバイン。
【請求項2】
前記コンバイン本体に運転キャビンが備えられ、前記通報手段が、前記運転キャビンの内部に対して通報作動するように構成されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
コンバイン本体に、携帯式の無線式通信装置からの無線信号を受信する受信装置が備えられたコンバインであって、
前記無線式通信装置が、原動部停止指令を指令する停止指令手段を備えて、この停止指令手段による前記原動部停止指令を無線信号で送信するように構成され、
前記コンバイン本体に、前記受信装置が前記原動部停止指令を受信するに伴って、原動部の作動を停止させる原動部停止手段を作動させる停止用の制御手段が設けられているコンバイン。
【請求項4】
前記コンバイン本体に、穀粒排出用オーガとその排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段とが備えられ、
前記無線式通信装置が、前記排出用オーガに対するオーガ操作指令を指令するオーガ操作指令手段を備えて、このオーガ操作指令手段による前記オーガ操作指令を無線信号で送信するように構成され、
前記オーガ制御手段が、前記受信装置が受信する前記オーガ操作指令に基づいて、前記穀粒排出用オーガの作動を制御するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン本体に、携帯式の無線式通信装置からの無線信号を受信する受信装置が備えられたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンバインとしては、穀粒排出用オーガと、その穀粒排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段とが備えられ、前記穀粒排出用オーガに対する操作指令を前記オーガ制御手段に無線信号にて指令する無線式通信装置を備え、この無線式通信装置からの無線信号を受信する受信装置が備えられたコンバインがある(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、コンバインによる作業を行う際には、コンバイン本体の搭乗部に搭乗してコンバインの運転作業を行う運転作業者と、コンバイン本体の周囲で補助作業を行う補助作業者とが共同して作業を進める場合がある。運転作業者と補助作業者とが共同して作業を行うことにより、例えば、刈取作業中に刈取部において穀稈の詰まりが発生したときには、補助作業者がこれを認知して運転作業者に対して刈取作業中断の指示をすることで、穀稈の詰まりが重大な程度に至る前に刈取作業を停止させることができ、結果的に簡単な復旧作業で刈取作業に復帰できるものとなる。尚、補助作業者が運転作業者に伝える情報としては、刈取作業中断の指示の他、刈取作業中においては、燃料の残量が十分でなくなったことの通知や燃料残量に応じた残作業の進行についての指示があり、また、穀粒排出作業中においては、運転作業者が穀粒排出オーガを操作して収穫した穀粒を穀粒運搬車両等に排出するときに、運搬車両の状況に応じた適切な時期における穀粒排出の開始や停止についての指示などがある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−325032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のコンバインでは、上述したような共同作業において補助作業者は運転作業者に対して、必要な情報伝達を行うには、運転作業者に対して肉声による呼び掛けを行う必要がある。このとき、コンバインから発生する騒音のため、或いは、補助作業者がコンバインから離れた位置にいるため、補助作業者が呼び掛けを行っても、運転作業者がこれに気付かない場合がある。このような場合、例えば、刈取作業中に刈取部において穀稈が詰まるという異常が発生した場合に、これに一早く気付いた補助作業者の呼び掛けに運転作業者が気付かず、刈取作業を停止するタイミングが遅れ、穀稈の詰まりがひどくなって復旧作業に時間がかかることになる。
【0006】
つまり、従来では、補助作業者が異常の発生に気付いて、運転作業者に呼び掛けを行っても、運転作業者がこれに気付かない場合には、必要な情報を伝達することができず、発生した異常に応じた適切な処置を迅速に行うことができない不都合があった。特に、運転キャビンが備えられたコンバインにおいては、運転キャビン内にいる運転作業者にはコンバインの周囲にいる補助作業者からの呼び掛けが届き難いものであるため、上述した問題は一層顕著なものとなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、運転作業者と補助作業者とがコンバインを使用した共同作業を行う場合に、発生した異常に応じた適切な処置を迅速に行うことができるコンバインを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴は、コンバイン本体に、携帯式の無線式通信装置からの無線信号を受信する受信装置が備えられたコンバインにおいて、
前記無線式通信装置が、通報指令を指令する通報指令手段を備えて、この通報指令手段による前記通報指令を無線信号で送信するように構成され、
前記コンバイン本体に、呼出し用の通報手段、及び、前記受信装置が前記通報指令を受信するに伴って、前記通報手段を通報作動させる通報用の制御手段が設けられている点にある。
【0009】
本発明の第1特徴構成によると、無線式通信装置から無線信号にて通報指令が指令されると、コンバイン本体に備えられた受信装置が、通報指令を受信し、これに伴って、呼出し用の通報手段が通報作動する。
したがって、運転作業者と補助作業者によるコンバインを使用した共同作業中に、補助作業者が異常の発生に気付いて運転作業者に情報を伝える必要が生じたときには、補助作業者が無線式通信装置を操作して通報指令を指令することにより、コンバインに搭乗している運転作業者を的確に呼び出すことができる。これにより、補助作業者は、運転作業者に必要な情報を伝えて、運転作業者に異常発生に応じた必要な処置を行わせることができる。
ちなみに、本発明の第1特徴構成では、異常発生時の呼出しに使用する他、諸々の作業状況に応じた呼出しに使用できることは勿論である。
このように、本発明の第1特徴構成によると運転作業者と補助作業者とがコンバインを使用した共同作業を行う場合に、発生した異常に応じた適切な処置を迅速に行うことができるコンバインを提供することができる。
【0010】
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴構成において、前記コンバイン本体に運転キャビンが備えられ、前記通報手段が、前記運転キャビンの内部に対して通報作動するように構成されている点にある。
【0011】
本発明の第2特徴構成によると、本発明の第1特徴構成と同様の作用及び効果を備えており、これに加えて以下のような作用及び効果を備えている。
本発明の第2特徴構成によると、運転作業者は、作業時には運転キャビンの内部に位置することになるので、コンバインの周辺で作業をする補助作業者からの肉声による呼出しに気付くことが困難な状況となるが、通報手段が、運転キャビンの内部に対して通報作動するので、補助作業者は、運転作業者を呼出し用の通報手段により呼び出すことができる。
以上のように、本発明の第2特徴構成によると、必要性が高い状況で本発明が実施されることになるので、本発明を実施するに当たって、発明の効果が特に顕著な具体構成を提供することができる。
【0012】
本発明の第3特徴は、コンバイン本体に、携帯式の無線式通信装置からの無線信号を受信する受信装置が備えられたコンバインにおいて、
前記無線式通信装置が、原動部停止指令を指令する停止指令手段を備えて、この停止指令手段による前記原動部停止指令を無線信号で送信するように構成され、
前記コンバイン本体に、前記受信装置が前記原動部停止指令を受信するに伴って、原動部の作動を停止させる原動部停止手段を作動させる停止用の制御手段が設けられている点にある。
【0013】
本発明の第3特徴構成によると、無線式通信装置から無線信号にて原動部停止指令が指令されると、コンバイン本体に備えられた受信装置が、原動部停止指令を受信し、これに伴って、原動部停止手段が作動して原動部の作動が停止する。
したがって、運転作業者と補助作業者によるコンバインを使用した共同作業中に、異常が発生したときには、補助作業者が無線式通信装置を操作して原動部停止指令を指令することにより、原動部の作動を停止させることができる。つまり、異常が発生したときに、騒音等により運転作業者に対して適切な指示を口頭では伝わり難い状況であっても、原動部の作動を迅速に停止させることができる。
以上のように、本発明の第3特徴構成によると、運転作業者と補助作業者によるコンバインを使用した共同作業中に、異常が発生したときに、作業状況に応じた適切な処置を迅速に行うことができるコンバインを提供することができる。
【0014】
本発明の第4特徴は、本発明の第1〜第3特徴構成のうちのいずれか一つにおいて、前記コンバイン本体に、穀粒排出用オーガとその排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段とが備えられ、
前記無線式通信装置が、前記排出用オーガに対するオーガ操作指令を指令するオーガ操作指令手段を備えて、このオーガ操作指令手段による前記オーガ操作指令を無線信号で送信するように構成され、
前記オーガ制御手段が、前記受信装置が受信する前記オーガ操作指令に基づいて、前記穀粒排出用オーガの作動を制御するように構成されている点にある。
【0015】
本発明の第4特徴構成によると、無線式通信装置により、コンバイン本体に備えた穀粒排出用オーガの作動を指令することができるので、コンバインの周辺で作業をする作業補助者は、運転作業者を介することなく、自らオーガ作動を直接に指令することができることになる。
したがって、穀粒排出用オーガの姿勢変更や穀粒排出の開始及び停止といった穀粒排出用オーガについての指令を、補助作業者自身が穀粒排出オーガの動作状況を確認しながら単独で行えることになり、穀粒排出オーガについての操作精度と操作効率が向上する。
以上のように、本発明の第4特徴構成によると、運転作業者と補助作業者とによるコンバインを使用した共同作業において、使い勝手がよく、穀粒の排出の位置を精度よく設定することができるコンバインが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に、本発明を適用した自脱型のコンバインを示す。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1の上部に設けた機体Vの前部に、刈取部3が横軸芯周りに揺動操作自在な状態で付設され、機体Vには、運転作業者を風雨から保護し、快適な運転環境をもたらす空調設備付き運転キャビンCを備えた搭乗運転部2、刈取穀稈を脱穀・選別する脱穀部4、脱穀部4にて選別回収された穀粒を貯留する穀粒タンク5、及び穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出するための穀粒排出用オーガ9等が装備されている。
【0017】
図10に示すように、搭乗運転部2の左前方側には、各種の情報を表示するための表示ユニットDが設けられている。この表示ユニットDには、図11に示すように、図示しない燃料タンク内の燃料残量を示す指示針式の燃料メータ60、エンジンの回転数を表示する指示針式のタコメータ61、左右のウインカランプ62、ブレーキランプ63、エンジンの負荷レベルを5段階のランプで示す負荷表示器64、各種のメッセージやグラフ等の画像情報を表示するLCD表示器65、及び、各種の警報や通知等の音声情報を出力するスピーカー66が装備されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、穀粒タンク5の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア7が設けられ、その底部スクリューコンベア7の搬送終端部から上方に向けてベベルギア連動される状態で縦送りスクリューコンベア8が延設され、この縦送りスクリューコンベア8の上部には、ベベルギア連動される状態で前記穀粒排出用オーガ9が、横軸芯P1周りに揺動操作自在で、且つ、縦軸芯P2周りに旋回操作自在に装備されている。尚、図2は、穀粒排出用オーガ9が格納用の旋回位置HPに旋回した状態にあるコンバインの平面図を示したものでる。穀粒排出用オーガ9は、この格納用の旋回位置HPに旋回操作された状態で下降操作され、格納用保持具としての受止具30に受け止められた状態で格納されることになる。
【0019】
底部スクリューコンベア7の搬送始端部には、機体右前部に設けたエンジンから底部スクリューコンベア7への動力伝達を断続するベルトテンション式の排出クラッチ13の出力プーリ13Aが装着されている。さらに、縦送りスクリューコンベア8は、底部スクリューコンベア7にベベルギアを介して連動連結された縦コンベアスクリュー8Aと、それを覆うとともに穀粒タンク5に連通接続された円筒ケース8Bとからなる。
【0020】
前記穀粒排出用オーガ9の構成について説明を加えると、この穀粒排出用オーガ9(以下、単にオーガという)は、縦コンベアスクリュー8Aにベベルギアを介して連動連結された基端側オーガ部分9Aと、この基端側オーガ部分9Aに対して出退自在に支持される先端側オーガ部分9Bとで構成されている。詳述すると、図3、図4に示すように、基端側オーガ部分9Aにおける円筒状の外装ケース31に、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32がスクリュー軸芯方向にスライド自在に外嵌装着され、先端側オーガ部分9Bの回転スクリュー34が基端側オーガ部分9Aの回転スクリュー35の下方側に位置する状態で設けられている。又、基端側オーガ部分9Aにおける外装ケース31の下端側外周部にラックギア36が形成され、このラックギア36に噛み合うピニオンギア37とこのピニオンギア37を回転駆動する伸縮用電動モータM1とが、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32に備えられている。
【0021】
一方、基端側オーガ部分9Aの回転軸38が筒軸で構成され、この回転軸38の6角形状の内面に嵌合する外形が六角形状の伝動軸39が、一体回転自在に且つ回転軸芯方向にスライド自在に設けられ、この伝動軸39と先端側オーガ部分9Bの回転スクリュー34とが、先端側オーガ部分9Bにおける外装ケース32の先端側部分に備えられたチェーン伝動機構40によって連動連結されている。又、先端側オーガ部分9Bの外装ケース32の先端側下方側箇所には下向きの穀粒排出口10が形成されている。
【0022】
前記伸縮用電動モータM1(以下、伸縮モータと略称する)を正逆方向に回転駆動することによって、図3に示すように、先端側オーガ部分9Bが、基端側オーガ部分9Aの回転駆動状態と連動して回転駆動される状態を維持しながら、コンベア軸芯方向にスライド移動して、オーガ9を伸縮操作させることができる構成となっている。
【0023】
又、前記ピニオンギア37の回転に伴って回転操作される多回転型のポテンショメータを利用した伸縮量検出センサ41が設けられている。そして、予め伸縮操作可能範囲が設定され、伸縮量検出センサ41の検出情報に基づいて、伸縮操作の限界位置に達したときには、自動的に先端側オーガ部分9Bのスライド作動を停止するように伸縮モータM1が制御される構成となっている。
【0024】
又、図5に示すように、基端側オーガ部分9Aの外装ケース31は、縦コンベアスクリュー8Aの円筒ケース8Bに回動ケース6を介して連通接続されており、回動ケース6が、縦送りスクリューコンベア8の円筒ケース8Bに縦軸芯P2周りに相対回動可能に接続されるとともに、基端側オーガ部分9Aの外装ケース31に横軸芯P1周りに相対回動可能に接続されている。
【0025】
図9に示すように、前記排出クラッチ13を入り状態と切り状態とに切り換え操作するためのクラッチ操作用の電動モータM2が備えられ、このクラッチ操作用の電動モータM2(以下、クラッチモータと略称する)を正転方向に駆動することで排出クラッチ13が入り状態に切り換えられ、クラッチモータM2を逆転方向に駆動することで排出クラッチ13が切り状態に切り換えられる構成となっている。
【0026】
この排出クラッチ13を入り状態に切り換えると、底部スクリューコンベア7、縦スクリューコンベア8及びオーガ9が、排出クラッチ13を介して伝達されるエンジンの動力で駆動されて、穀粒タンク5に貯留された穀粒がオーガ9の先端部の穀粒排出口10から排出される構成となっている。
【0027】
尚、排出クラッチ13には、排出クラッチ13が入り状態であることを検出する排出状態検出センサ17が設けられており、排出状態検出センサ17の検出情報に基づいて、後述する制御装置Hは、排出クラッチ13が入り状態であるか切り状態であるかを判別することができるようになっている。
【0028】
オーガ9の旋回操作の駆動構成について説明すると、図5に示すように、回動ケース6の外側面に、旋回駆動用の大径ギア11が固着され、その大径ギア11に咬合するピニオンギア12を回転駆動する旋回用電動モータM3が縦送りスクリューコンベヤ8に固定され、この旋回用電動モータM3(以下、旋回モータと略称する)を正逆転駆動するに伴って、オーガ9が縦軸芯P2周りに旋回操作され、かつ、旋回モータM3を作動停止させるに伴って旋回停止するように構成されている。図中、Ryはオーガ9の旋回位置を検出する多回転型のポテンショメータを利用した旋回位置検出センサであって、旋回モータM3で駆動されるギア18によって旋回駆動用ギア11と同時に回動操作されるようになっている。
尚、図2に示すように、予め旋回可能範囲が設定され、上記旋回位置検出センサRyの検出情報に基づいて、オーガ9がその旋回可能範囲の左限界位置LE及び右限界位置REに達したときには、自動的にオーガ9の旋回を停止するように、旋回モータM3が制御される構成となっている。
【0029】
次に、オーガ9の昇降操作の駆動手段について説明すると、図5に示すように、オーガ9の基端部と、回動ケース6との間に、昇降用油圧シリンダ15が設けられ、この昇降用油圧シリンダ15を伸長させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで上昇操作され、かつ、昇降用油圧シリンダ15を短縮させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで下降操作されるように構成されている。尚、オーガ9が昇降操作範囲の上限位置にあるときにオン作動する上限スイッチ14が設けられている。
【0030】
図9及び図10に示すように、搭乗運転部2には、オーガ9を旋回及び昇降するための操作指令を指示するレバー式の操作部20が設けられている。この機体側の操作部20について説明を加えれば、図6に示すように、中央位置に復帰するように付勢されて前後方向並びに左右方向夫々に十字揺動操作自在な操作レバー20Aが備えられ、操作レバー20Aを前方側に倒した状態では上昇指令スイッチS1がオン作動して上昇指令が指令され、操作レバー20Aを後方側に倒した状態では下降指令スイッチS2がオン作動して下降指令が指令され、操作レバー20Aを左側に倒した状態では右旋回指令スイッチS3がオン作動して右旋回指令が指令され、操作レバー20Aを右側に倒した状態では左旋回指令スイッチS4がオン作動して左旋回指令が指令される。又、上記操作レバー20Aを中央位置に復帰させた状態では、オーガ9の旋回操作を停止させるための旋回停止指令と、オーガ9の昇降操作を停止させるための昇降停止指令が指令される。
【0031】
又、図9及び図10に示すように、前記機体側の操作部20の近くには、オーガ9を自動的に格納位置または目標排出位置に移動させるための自動スイッチ21と、移動中においてオーガ9を停止させるための停止スイッチ22と、上記目標排出位置を設定するための排出位置設定ボリューム23と、前記排出クラッチ13を入り切りするためのクラッチ入切スイッチ24と、オーガ9を伸長させるための伸長スイッチ25、オーガ9を短縮させるための短縮スイッチ26とが設けられている。
【0032】
尚、操作レバー20A、伸長スイッチ25及び短縮スイッチ26により、オーガ9の旋回操作、昇降操作、伸縮操作についての各操作指令が指令されると、排出クラッチ13が入り状態である場合と切り状態である場合とで、異なる操作速度によりオーガ9が作動制御されるように、後述する制御装置Hが構成されている。
【0033】
つまり、制御装置Hは、排出状態検出センサ17の検出情報に基づき、排出クラッチ13が入り状態であるか入り状態でないかを判別し、排出クラッチ13が入り状態であると判別した場合には、オーガ9が比較的低速度にて昇降・旋回・伸縮操作されるように、各操作指令に基づいて、昇降用油圧シリンダ15、旋回モータM3、及び、伸縮モータM1を制御し、排出クラッチ13が入り状態でないと判別した場合には、オーガ9が比較的高速度にて昇降・旋回・伸縮操作されるように、各操作指令に基づいて、昇降用油圧シリンダ15、旋回モータM3、及び、伸縮モータM1を制御するように構成されている。
【0034】
そして、このコンバインでは、前記オーガ9の旋回操作、昇降操作、伸縮操作、及び、穀粒排出状態と排出停止状態との切り換え操作といった各操作指令、運転キャビンC内にいる運転作業者を呼出す通報指令、及び、エンジンの停止を指令する停止指令を無線信号で送信する無線式通信装置42が備えられている。この無線式通信装置42は、運搬車両Nへの穀粒排出作業を行う場合に、運搬車両Nの近くにいる補助作業者が主に利用するものである。
【0035】
詳述すると、図7、図8に示すように、無線式通信装置42は、作業者が容易に持ち運び可能なように小型軽量の装置として構成され、又、互いに異なる周波数の電波を上記各指令の夫々に対応する無線信号として送信するように構成されており、このオーガ9の上昇を指令する上昇指令スイッチ43、オーガ9の下降を指令する下降指令スイッチ44、オーガ9を左方向に移動するように旋回させる左旋回指令スイッチ45、オーガ9を右方向に移動するように旋回させる右旋回指令スイッチ46、オーガ9を自動的に格納位置または目標排出位置に移動させるための自動スイッチ47、自動スイッチ47による移動中においてオーガ9を停止させるための移動停止スイッチ48、前記排出クラッチ13をクラッチ入り状態にさせるための排出スイッチ49、前記排出クラッチ13をクラッチ切り状態にさせるための排出停止スイッチ50、オーガ9を伸長させるための伸長指令スイッチ51、オーガ9を短縮させるための短縮指令スイッチ52、運転キャビンC内の運転作業者を呼び出すオペレータ呼出スイッチ67、コンバイン本体が備えるエンジンを停止させるエンジン停止スイッチ68が夫々設けられている。これらの各スイッチは、指で押し操作するとオンして指を離すとオフするようにオフ状態に復帰付勢される構成となっている。
【0036】
又、前記無線式通信装置42には、指令用の各スイッチの操作に対応させて、スイッチがオンすると、各スイッチ毎に異ならせて対応して設定された特定の周波数の信号を発振してその信号を一定出力の電波として送信する信号送信回路53及び送信アンテナ54と、それらに電力を供給するバッテリー55とが備えられている。尚、バッテリー55からの各部への電力供給の入切を行うためのスライド操作式の電源スイッチ56が設けられ、操作しないとき電源スイッチ56を切にしておくことで、誤操作によって意思に反して不測に各種指令が指令されないようにしている。
【0037】
尚、自動スイッチ47については、指で押し操作してオンすると、目標旋回位置に向けてオーガ9を自動で移動させる操作の開始が指令されるが、指を離してオフしても、オーガ9が目標旋回位置に移動するまでは自動移動操作の停止が指令されることはない。その移動中に移動停止させるときは、移動停止スイッチ48を指で押し操作してオンすることによって停止させることになる。
【0038】
そして、機体側には、前記無線式通信装置42から送信される電波による無線信号を受信する受信アンテナ57及び受信器58が備えられるとともに、受信した信号をその受信周波数に応じていずれの指令情報であるかを判別して、その指令情報に対応する制御用信号に変換する信号処理装置59が備えられている。したがって、受信アンテナ57、受信器58及び信号処理装置59が本発明の受信装置を構成する。
【0039】
又、前記受信アンテナ57及び受信器58は、図1、図2に示すように、オーガ9の先端部における穀粒排出口10の近傍に備えられている。このように受信アンテナ57が穀粒排出口10の近傍に備えられることから、前記無線式通信装置42を用いて、例えば運搬車両等の穀粒排出用の対象箇所の近くにいる作業者がオーガの穀粒排出位置を調整する作業を行う場合、無線式通信装置42と受信アンテナ57とが互いに近づくことになり、しかも、それらの間に他物が存在せず、電波による無線信号が他物により遮られて通信が途切れるおそれが少なく良好に通信を行えることになる。
【0040】
コンバイン本体には、図9に示すように、マイクロコンピュータ利用の制御装置Hが設けられ、その制御装置Hに、前記旋回位置検出センサRy、前記上限スイッチ14、前記機体側の操作部20の各指令スイッチS1,S2,S3,S4、前記自動スイッチ21、前記停止スイッチ22、前記排出位置設定ボリューム23、及び前記クラッチ入切スイッチ24、排出状態検出センサ17の各信号が電線を通して入力され、前記各指令スイッチの操作に対応する制御を実行するように構成されている。
【0041】
そして、制御装置Hには、無線式通信装置42から送信される指令情報が信号処理装置59を介して入力される構成となっており、制御装置Hは、無線式通信装置42からの指令に基づいて制御する場合に、呼出し用の通報指令に対応する信号が入力されるとLCD表示器65に「呼出」の文字情報を点滅表示させるとともに、スピーカー66から所定の音声アナウンスを出力するように構成されている。
【0042】
つまり、無線式通信装置42のオペレータ呼出スイッチ67を指で押し操作してオンすると、無線式通信装置42から通報指令が無線信号で送信され、この無線信号を受信アンテナ57を介して受信器58が受信するに伴って、制御装置Hにより、LCD表示器65に呼出し情報が点滅表示されるとともに、スピーカー66から所定の音声情報が出力されることになる。
【0043】
したがって、無線式通信装置42のオペレータ呼出スイッチ67は通報指令を指令する通報指令手段を構成し、LCD表示器65とスピーカー66とはそれぞれが呼出し用の通報手段を構成し、制御装置Hは通報用の制御手段を構成する。
【0044】
また、制御装置Hは、エンジン停止指令に対応する信号が入力されると、燃料供給装置69を制御して、燃料の供給量をゼロにすることでエンジンの作動を停止させるように構成されている。
【0045】
つまり、無線式通信装置42のエンジン停止スイッチ68を指で押し操作してオンすると、無線式通信装置42からエンジン停止指令が無線信号で送信され、この無線信号を受信アンテナ57を介して受信器58が受信するに伴って、制御装置Hにより、燃料供給装置69の作動が停止されて、エンジンの作動が停止されることになる。
【0046】
したがって、無線式通信装置42のエンジン停止スイッチ68は原動部停止指令を指令する停止指令手段を構成し、燃料供給装置69は原動部停止手段を構成し、制御装置Hは停止用の制御手段を構成する。
【0047】
また、前記制御装置Hは、旋回操作の開始指令に対応する信号が入力されると旋回モータM3の動作を開始させ、旋回操作の停止指令に対応する信号が入力されると旋回モータM3の動作を停止させるように構成されている。又、前記制御装置Hは、昇降操作の開始指令に対応する信号が入力されると制御弁16を介して昇降用油圧シリンダ15の動作を開始させ、昇降操作の停止指令に対応する信号が入力されると昇降用油圧シリンダ15の動作を停止させるように構成されている。又、前記制御装置Hは、伸縮操作の開始指令に対応する信号が入力されると伸縮モータM1の動作を開始させ、伸縮操作の停止指令に対応する信号が入力されると伸縮モータM1の動作を停止させるように構成されている。又、前記制御装置Hは、排出クラッチ13の入り状態への切換え操作に対応する信号が入力されると、クラッチモータM2を正転方向に駆動させ、排出クラッチ13の切り状態への切換え操作に対応する信号が入力されると、クラッチモータM2を逆転方向に駆動させるように構成されている。
【0048】
つまり、無線式通信装置42の上昇指令スイッチ43、下降指令スイッチ44、左旋回指令スイッチ45、右旋回指令スイッチ46、伸長指令スイッチ51、短縮指令スイッチ52、自動スイッチ47、移動停止スイッチ48、排出スイッチ49、排出停止スイッチ50を指で押し操作してオンすると、無線式通信装置42から各スイッチに対応したオーガ操作指令が無線信号で送信され、受信アンテナ57を介して受信器58が受信した無線信号に基づいて、制御装置Hにより、各モータ或いは油圧シリンダが作動制御されることになる。
【0049】
したがって、無線式通信装置42の上昇指令スイッチ43、下降指令スイッチ44、左旋回指令スイッチ45、右旋回指令スイッチ46、伸長指令スイッチ51、短縮指令スイッチ52、自動スイッチ47、移動停止スイッチ48、排出スイッチ49、排出停止スイッチ50はそれぞれが排出用オーガに対するオーガ操作指令を指令するオーガ操作指令手段を構成し、制御装置Hは、穀粒排出用オーガとその排出用オーガの作動を制御するオーガ制御手段を構成する。
【0050】
尚、機体側に備えた、操作レバー20A、伸長スイッチ25及び短縮スイッチ26による、オーガ9の旋回操作、昇降操作、伸縮操作の場合と同様に、無線式通信装置42に備えた、上昇指令スイッチ43、下降指令スイッチ44、左旋回指令スイッチ45、右旋回指令スイッチ46、伸長指令スイッチ51、短縮指令スイッチ52によるオーガ9の旋回操作、昇降操作、伸縮操作の場合にも、これらの各操作指令が指令されると、排出クラッチ13が入り状態である場合と切り状態である場合とで、異なる操作速度によりオーガ9が作動制御されるように、制御装置Hが構成されている。
【0051】
つまり、制御装置Hは、排出状態検出センサ17の検出情報に基づき、排出クラッチ13が入り状態であるか入り状態でないかを判別し、排出クラッチ13が入り状態であると判別した場合には、オーガ9が比較的低速度にて昇降・旋回・伸縮操作されるように、各操作指令に基づいて、昇降用油圧シリンダ15、旋回モータM3、及び、伸縮モータM1を制御し、排出クラッチ13が入り状態でないと判別した場合には、オーガ9が比較的高速度にて昇降・旋回・伸縮操作されるように、各操作指令に基づいて、昇降用油圧シリンダ15、旋回モータM3、及び、伸縮モータM1を制御するように構成されている。
【0052】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0053】
(1)上記実施形態では、通報用の制御手段、停止用の制御手段、及び、オーガ制御手段が同一の制御装置Hにより構成されたものを例示したが、このような構成に代えて、各制御手段を格別の制御装置により構成してもよい。この場合には、無線式通信装置から無線信号にて送信される通報指令、原動部停止指令及びオーガ操作指令のそれぞれに対応する信号が信号処理装置59を介して格別の制御装置に入力されるような構成となる。
【0054】
(2)上記実施形態では、無線式通信装置に通報指令手段と停止指令手段とオーガ操作指令手段とを備えた構成を例示したが、このような構成に代えて、無線式通信装置にオーガ操作指令手段を備えない構成にしてもよい。
【0055】
(3)上記実施形態では、無線式通信装置に通報指令手段と停止指令手段との双方を備え、コンバイン本体に通報用の制御手段と停止用の制御手段との双方を備えた構成を例示したが、このような構成に代えて、無線式通信装置に停止指令手段またはオーガ操作指令手段のいずれか一方を備え、コンバイン本体にこれに対応する通報用または停止用いずれか一方の制御手段を備えた構成にしてもよい。
【0056】
(4)上記実施形態では、通報手段をLCD表示器65及びスピーカー66により構成したものを例示したが、通報手段をLCD表示器65またはスピーカー66のいずれか一方により構成してもよい。また、このような構成に代えて、例えば、コンバイン本体に備えられた警音器により通報手段を構成し、この警音器を短時間に繰り返し作動させて通報作動させるように制御装置Hを構成してもよいし、搭乗運転部2にて運転作業を行う運転作業者が知覚可能な位置に、例えば、スピーカーやパイロットランプなど、音声情報や表示情報を発信できる装置を通報手段として別途設け、無線式通信装置からの通報指令を受信装置が受信するに伴って、これを通報作動させるように制御装置Hを構成してもよい。
【0057】
(5)上記実施形態では、搭乗運転部2に運転キャビンCを備えたコンバインを例示したが、搭乗運転部2に運転キャビンCを備えないコンバインでもよい。
【0058】
(6)上記実施形態では、自脱型コンバインに本発明を適用したものを例示したが、全稈投入型コンバインに本発明を適用してもよい。
【0059】
(7)上記実施形態では、オーガ9が穀粒排出状態と排出停止状態とで、オーガ9の旋回操作、昇降操作、伸縮操作についての各操作指令によるオーガ9の作動速度を高低に異ならせて作動制御する構成を例示したが、このような構成に代えて、オーガ9が排出停止状態にある場合には、操作指令の継続時間に応じて徐々に作動速度を増加させて作動制御するように制御装置Hを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】オーガ先端側の縦断側面図
【図4】オーガの縦断正面図
【図5】オーガの旋回及び昇降の操作構成を示す要部拡大側面図
【図6】機体側の操作部の平面図
【図7】無線式操作装置の斜視図
【図8】無線式操作装置のブロック図
【図9】制御ブロック図
【図10】搭乗運転部の平面図
【図11】表示ユニットの拡大図
【符号の説明】
【0061】
C 運転キャビン
H 通報用の制御手段、停止用の制御手段、オーガ制御手段
9 穀粒排出用オーガ
42 無線式通信装置
43〜52 オーガ操作指令手段
57、58、59 受信装置
65、66 呼出し用の通報手段
67 通報指令手段
68 停止指令手段
69 原動部停止手段
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成17年2月14日(2005.2.14)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2006−217891(P2006−217891A)
【公開日】 平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願番号】 特願2005−36361(P2005−36361)