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【発明の名称】 穀粒排出装置
【発明者】 【氏名】吉邨 文夫
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】土居 義典
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】松澤 宏樹
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】穀粒排出装置の作動用スイッチが入りとなって、エンジンが停止している状態からエンジンを始動しても不用意に籾が排穀オーガから排出しない穀粒排出装置を提供すること。

【解決手段】グレンタンク3内の穀粒を排出するための底壁螺旋10の作動を入り切りするテンションプーリ45を作動制御する排出クラッチ装置12(テンションアーム44a、ローラ44b、モータ44)とモータ44の入り切りを行う照光スイッチ46の入りでテンションアーム44aが作動開始すると、同時にランプ47が点灯し、排出クラッチ装置12が作動する間はランプ47が点灯状態を保ち、アーム44aが再び作動開始位置まで戻り、排出クラッチ装置12の完全な切り操作になると初めてランプ47が消灯する構成であり、モータ44による排出クラッチ装置12の入り操作動作の開始後は、エンジンの作動を禁止し、またモータ44による排出クラッチ装置12の切り操作の後で初めてエンジンの作動が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫した穀粒を一時的に貯蔵するグレンタンク3と、
エンジン動力によりグレンタンク3内の穀粒を排出するための穀粒排出手段10と、
該穀粒排出手段10の作動を入り切りするテンションプーリ45を作動制御するテンションローラ44bを先端に備えた揺動自在のテンションアーム44aと該アーム作動用のテンションモータ44を用いる排出クラッチ装置12と、
前記テンションモータ44の入り切りを行う照光スイッチ46と、
該照光スイッチ46の入りでテンションアーム44aが作動開始すると、同時にランプが点灯し、排出クラッチ装置12が作動する間はランプが点灯状態を保ち、テンションアーム44aが再び作動開始位置まで戻り、排出クラッチ装置12の完全な切り操作になると初めてランプが消灯する照光スイッチランプ47と、
照光スイッチランプ47のオン時には、エンジンの作動を禁止し、またテンションモータ44による排出クラッチ装置12の完全な切り操作の後で初めてエンジンの作動が可能になる制御を行う制御装置50
を備えたことを特徴とする穀粒排出装置。
【請求項2】
前記テンションアーム44aの作動開始位置を検出する排出クラッチ装置位置検出センサ48として前記テンションモータ44に内蔵されたリミットスイッチを用いることを特徴とする請求項1記載の穀粒排出装置。
【請求項3】
排出クラッチ装置12の入り後、所定時間が経過すると排出クラッチ装置12を切る排出モードを選択する排出モード選択手段53を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の穀粒排出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で穀類の収穫作業を行うコンバインの穀粒排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、走行クローラを有する走行装置と走行フレームの前方側に植立穀稈を分草した後、植立穀稈を引き起こし、植立穀稈を刈り取る刈取装置と、刈り取られた穀稈を挟持して後方に搬送する供給搬送装置と、穀稈を脱穀、選別する脱穀装置と、脱穀装置で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンクと、グレンタンク内の穀粒をコンバインの外部に排出する穀粒排出装置等を備えている。
【0003】
従来のコンバインの穀粒排出装置の作動用スイッチを操作レバーの後方近傍に配置するにあたり、穀粒排出装置の作動用スイッチを最も高い操作レバーの上端よりも高い位置に配置した発明(特開2003−18912号公報)が開示されている。
【特許文献1】特開2003−18912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のコンバインの穀粒排出装置の作動用スイッチを入りとしておいて、エンジンが停止している状態からエンジンを始動すると、不用意に籾が排穀オーガから排出する。
【0005】
本発明の課題は、穀粒排出装置の作動用スイッチを入りとなって、エンジンが停止している状態からエンジンを始動しても不用意に籾が排穀オーガから排出しない穀粒排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、収穫した穀粒を一時的に貯蔵するグレンタンク3と、エンジン動力によりグレンタンク3内の穀粒を排出するための穀粒排出手段(底壁螺旋)10と、該穀粒排出手段10の作動を入り切りするテンションプーリ45を作動制御するテンションローラ44bを先端に備えた揺動自在のテンションアーム44aと該アーム作動用のテンションモータ44を用いる排出クラッチ装置12と、前記テンションモータ44の入り切りを行う照光スイッチ46と、該照光スイッチ46の入りでテンションアーム44aが作動開始すると、同時にランプが点灯し、排出クラッチ装置12が作動する間はランプが点灯状態を保ち、テンションアーム44aが再び作動開始位置まで戻り、排出クラッチ装置12の完全な切り操作になると初めてランプが消灯する照光スイッチランプ47と、照光スイッチランプ47のオン時には、エンジンの作動を禁止し、またテンションモータ44による排出クラッチ装置12の完全な切り操作の後で初めてエンジンの作動が可能になる制御を行う制御装置50を備えた穀粒排出装置である。
請求項1記載の発明によれば、テンションモータ44による排出クラッチ装置12の入り操作動作の開始後は、エンジンの作動を禁止し、またテンションモータ44による排出クラッチ装置12の切り操作の後で初めてエンジンの作動が可能になる。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記テンションアーム44aの作動開始位置を検出する排出クラッチ装置位置検出センサ48として前記テンションモータ44に内蔵されたリミットスイッチを用いる請求項1記載の穀粒排出装置である。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用に加えて、排出クラッチ装置位置検出センサ48としてテンションモータ44に内蔵された排出クラッチ装置12の切り操作位置を検出するリミットスイッチを用いるので、当該リミットスイッチのオンで排出クラッチ装置12のオフかが分かる。なお、排出クラッチ装置12の入りも前記リミットスイッチで検出する。
【0008】
請求項3記載の発明は、排出クラッチ装置12の入り後、所定時間が経過すると排出クラッチ装置12を切る排出モードを選択する排出モード選択手段(スイッチ)53を設けた請求項1又は2記載の穀粒排出装置である。
請求項3記載の発明によれば、請求項1、2記載の発明の作用に加えて、穀粒排出モード選択手段(スイッチ)53が操作されているときは、穀粒排出開始から所定時間経過後、自動的に排穀オーガ5からの穀粒の排出を停止させるので、いわゆる袋取りといわれる穀粒の排出作業時に穀粒を袋からあふれさせるような不具合が生じることがない。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、キーオン(電源が入りでエンジンが始動していない状態)で、テンションローラ44bの位置が把握できる。また、テンションモータ44による排出クラッチ装置12の入り操作開始の後では、エンジンの作動を禁止し、またテンションモータ44による排出クラッチ装置12が完全に切れた後で初めてエンジンの作動が可能になるので、穀粒排出装置の安全性が確保できる。さらに排出クラッチ装置12の入り切りが照光スイッチランプ47のオンオフで確認できオペレータに分かりやすくなる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、テンションモータ44に内蔵されたリミットスイッチを用いて排出クラッチ装置位置検出センサ48とするので、ポテンショメータなどに比べて安価に構成可能になる。また、排出クラッチ装置12の切り側のリミットスイッチを使用するため、排出クラッチ装置12が完全に切れた状態のときにのみ、照光スイッチランプ47が消灯し、エンジン始動が可能になるのでオペレータに分かりやすくなる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項1、2記載の発明の効果に加えて、穀粒排出モード選択スイッチ53が操作されているときは、穀粒排出開始から所定時間経過後、自動的に排穀オーガ5からの穀粒の排出を停止させるので、いわゆる袋取りといわれる穀粒の排出作業等が能率良く行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について以下図面と共に説明する。
図1は本発明のコンバインの左側面図であり、図2はコンバインの正面図であり、図3はコンバインの背面図、図4はコンバインの排穀用の排穀オーガ部分の構造を説明する図である。
【0013】
図1〜図4を参照して、コンバインの機能の概略を説明する。
コンバインは、クローラ1を有する車台2の上に操縦室40を設けて、該操縦室40においてオペレータが操縦、操作して圃場に植立する穀稈を刈り取る刈取装置34、この刈り取られた穀稈を供給搬送装置で搬送した後、これを脱穀する脱穀装置37、脱穀された穀粒を収容するグレンタンク3、このグレンタンク3の底部に設けた底部螺旋10(図4)によって後方へ排出される穀粒をコンバインの外部へ搬送する排穀オーガ5などから構成される。
【0014】
排穀オーガ5は、底部螺旋10の後端部に連接されて上方へ穀粒を搬送する揚穀筒4および揚穀筒4に連接され、横方向へ穀粒を搬送する固定搬送筒6及び移動搬送筒7などからなる。移動搬送筒7の先端には排穀オーガ排出口9を備えている。
【0015】
図1に示すコンバインは、車台2の下部にゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ1を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ1が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置を備え、車台2の前部には刈取装置34を搭載し、車台2の上部には図示しないエンジンならびにグレンタンク3、脱穀装置37、操縦室40を備えている。
【0016】
コンバインのグレンタンク3に貯留された穀粒はグレンタンク3の底部に設けられた底部螺旋10から排出される。該底部螺旋10は、図3に示すようにグレンタンク3の底部に軸装して設けられ、その始端側を機外の伝動軸11にクラッチ装置12を介して連結し、その終端側を揚穀筒4の下部まで延長して、内装している揚穀螺旋13の下端部に接続した構成からなっている。
【0017】
そして、排穀オーガ5(図4)は、前記揚穀筒4の上部に上下方向へ昇降自由に接続する固定搬送筒6と、これに接続する移動搬送筒7とから構成されているが、以下、その構成を具体的に説明する。
【0018】
まず、固定搬送筒6は、図4に示すように、基部を前記揚穀筒4の上部に連結し、先端部を外方に延長して設け、その筒内には、始端部を前記揚穀螺旋13に接続した搬送螺旋14を内装して揚穀筒4から受け継いだ穀粒を搬送する構成である。
【0019】
移動搬送筒7は、図4に示すように先端部に排穀オーガ排出口9を開口して設け、基部側を前記固定搬送筒6に摺動自由に連結している。また、伸縮螺旋15は図4に示すように移動搬送筒7内において、先端部を排穀オーガ排出口9の上方位置に軸受して後部を固定搬送筒6側に延長して前記搬送螺旋14の軸内に摺動自由に挿入した伝動軸16を軸架して設け、この伝動軸16に多数の螺旋単体を摺動自由に嵌合して相互の間隔を調節できるように構成している。
【0020】
また、図4に示すように、伸縮駆動装置23は揚穀筒4の上部位置に装備した伸縮用駆動モータ24に減速装置を介して螺旋軸25の基端部を連結しており、伸縮用駆動モータ24により螺旋軸25を強制駆動する構成である。そして、移動装置26は上記螺旋軸25の螺旋溝に係合している伝動ピンを介して、強制的に軸方向に移動するように設け、前記固定搬送筒6の基部側に一体的に連結して構成している。
【0021】
なお、伸縮駆動装置23は、図4に示すように排穀オーガ5の最縮側と最伸張側とにそれぞれリミットセンサS1、S2を設け、前記移動装置26がリミットセンサS1またはリミットセンサS2に達すると伸縮用駆動モータ24を自動停止する構成である。
【0022】
また、移動搬送筒7の先端部の位置は種々変化し得るが、排穀オーガ5の先端部の位置はズーム式排穀オーガ5の長さの中間位置で排穀オーガ受け35に収納される場合が多い。
【0023】
なお、伸縮用駆動モータ24は、操縦室40の操作パネル(図示せず)に設けたスイッチ(伸縮スイッチ)のオン操作に基づいて、正転または逆転方向に駆動されて螺旋軸25を回転駆動する構成とし、螺旋軸25が正転すれば、係合している移動装置26を介して移動搬送筒7を伸張し、逆転すれば縮小方向に強制的に移動する構成としている。
【0024】
このようにして、移動搬送筒7は固定搬送筒6に嵌合した状態で固定搬送筒6に沿って伸び縮みして、その先端部の排穀オーガ排出口9の位置を、排穀オーガ5の基部の揚穀筒4に対して、遠ざけたり、近づけたり調節して穀粒の落下位置を選択できる構成としている。
【0025】
なお、図4において、昇降油圧シリンダ27は排穀オーガ5を昇降させ、排穀オーガ旋回モータ28はその回転軸に設けられた旋回ギア29にかみ合う揚穀筒4の外周部に設けられた駆動ギヤ30を介して揚穀筒4の旋回を行う。
【0026】
そして、支持ローラ31は図4に示すように移動搬送筒7の基部位置の下部に軸架して設けられ、固定搬送筒6の周面を転動しながら固定搬送筒6を支持する構成である。また、移動搬送筒7の基部位置の上部には案内車輪32が設けられ、該案内車輪32を案内する案内レール(図示せず)を固定搬送筒6の長手方向に沿って設けている。
【0027】
前述のごとく構成されたコンバインを植立穀稈の刈取作業をさせながら前進させると、植立穀稈は刈取装置34(図1)により刈り取られ、その後、脱穀装置37の始端部へと搬送され、フィードチェンで搬送されながら脱穀選別される。脱穀装置37で脱穀選別された穀粒はグレンタンク3内へ一時貯留され、該グレンタンク3内の穀粒が満杯になると、排穀オーガ受け35(図4)から排穀オーガ5を離脱させて、該排穀オーガ5からトラック等の荷台へと穀粒を排出する。
【0028】
このとき、排穀オーガ排出口9の位置がトラック等の荷台へ達しない長さであると、移動搬送筒7を伸ばして、より遠くに穀粒を排出できるようにする。また、移動搬送筒7を伸縮させて、穀粒をトラック荷台へ均一に排出するようにする。このようにして、グレンタンク3内の穀粒を排出し終えると、排穀オーガ5を再び排穀オーガ受け35へと収納する。
【0029】
図4に示す移動搬送筒7の伸縮螺旋15は合成樹脂製の複数の螺旋単体からなっている。
【0030】
また、図5は本発明の実施の形態の排穀オーガ5の制御にかかわる制御装置50の簡単なブロック図であるが、排出クラッチ装置12の入り切り用の照光スイッチ46と排出クラッチ装置位置検出センサ48と排出モード選択スイッチ53とエンジンのアクセルポジションセンサ49とエンジン回転数センサ57が制御装置50の入力側に接続され、制御装置50の出力側には排出クラッチテンションモータ44と照光ランプスイッチ47などが設けられている。
【0031】
グレンタンク3内の底部螺旋10にエンジン駆動力を伝達する排出クラッチ装置12(図4参照)の入切制御を本実施例ではテンションプーリ45を作動制御するテンションモータ44のオンオフを電力で行い、しかも排出クラッチ装置12の入切制御の様子を照光スイッチランプ47のオンオフで確認できるようにした。
【0032】
本実施例では図5に示すように、排出クラッチ装置12の入切スイッチとしてモーメンタリ式の照光スイッチ46を設け、オペレータが該照光スイッチ46をオンにすると、排出クラッチ装置12を入りとするためにテンションモータ44が作動を始めてテンションアーム44aが作動を開始する。
【0033】
図6に示すように、このテンションアーム44aが作動を開始する位置(A)を排出クラッチ装置位置検出センサ48が検出して、この位置(A)を制御装置50内のメモリに記憶させておく。それと同時に照光スイッチランプ47がオンとなるのでテンションアーム44aが作動を始めたことをオペレータが確認できる。しかし、このときはテンションローラ44bが排出クラッチ装置12を作動する状態までテンションアーム44aが作動していない。
【0034】
その後、テンションアーム44aが所定量動くと、テンションローラ44bがベルト43を張ってプーリ45が作動し、排出クラッチ装置12が作動開始する。このときテンションモータ44がオフとなり、同時に、この排出クラッチ装置12が作動開始した位置(B)を排出クラッチ装置位置検出センサ48が検出し、この位置(B)を制御装置50内のメモリに記憶させておく。
【0035】
エンジンスタータキー(図示せず)を回して電源入りになると上記した照光スイッチランプ47がオンとなり、この照光スイッチランプ47が入り状態であれば、オペレータがエンジンスタータをエンジン始動側に回してもエンジンが始動しないようになっている。これは排出クラッチ装置12が入っているので、エンジンが始動するとグレンタンク3の底部螺旋10が回転してしまい、籾が不用意に排出されてしまうからである。
【0036】
次に、照光スイッチ46をオフにするとテンションモータ44が作動を開始してテンションアーム44aが排出クラッチ装置12の入り位置、すなわちテンションローラ44bがベルト43を張って排出クラッチ装置12が作動する位置(B)から停止位置(A)に戻るとテンションモータ44が停止し、同時に照光スイッチランプ47も消灯する。
【0037】
照光スイッチランプ47のオフで排出クラッチ装置12が完全に切り状態、すなわちテンションローラ44bがベルト43から完全に離れていることが分かるので、このとき排出クラッチ装置位置検出センサ48からの信号により制御装置50はエンジンの始動を可能な状態にする。
【0038】
このように照光スイッチランプ47のオン、オフは排出クラッチ装置位置検出センサ48の検出値に従って切り換わる構成として、排出クラッチ装置12のオンオフを照光スイッチランプ47のオン、オフで確認することができると同時にエンジンの始動が排出クラッチ装置12の完全に切りの状態のときにしかできないようにして、安全性を確保している。
【0039】
前述のように、エンジンスタータキーを回して電源入りにしたとき、排出クラッチテンションモータ44がオンになっていると排出クラッチ装置12が入り状態となっているので、さらにエンジンキーを回してエンジンが作動開始してしまうと、穀粒を受け取る準備ができていない状態で排出オーガ5から穀粒が排出させる動作が始まる。このようなことがないように、本実施例の制御装置50は排出クラッチテンションモータ44がオンになっていると、エンジンキーをさらに回してもエンジンが作動しない制御を行う。
【0040】
上記排出クラッチ装置12の入り切り位置を検出する排出クラッチ装置位置検出センサ48は、それぞれ前記テンションローラ44bによるベルト43の作動位置と停止位置におけるテンションアーム44aの位置を検出するポテンショメータ(図示せず)を用いている。またポテンショメータに代えて前記テンションローラ44bによるベルト43の作動位置と停止位置におけるテンションアーム44aの揺動領域の近傍に配置したリミットスイッチ(図示せず)を用いても良い。
【0041】
また、排出クラッチ装置12の入り切り位置を検出する排出クラッチ装置位置検出センサ48の他の例として、排出クラッチテンションモータ44に内装されたリミットスイッチ(図示せず)を利用することもできる。このとき前記リミットスイッチは、排出クラッチ装置12を切とするときのテンションアーム44aの作動位置を検出する構成にすると、安価なリミットスイッチで排出クラッチ装置位置の検出ができる。
【0042】
また、このリミットスイッチで排出クラッチ装置12が完全に切れていることをテンションアーム44aの作動位置で検出すると、エンジン始動が可能になる構成とする。
【0043】
従来テンションアーム44aの両側の揺動領域の近傍に2個のリミットスイッチを配置して排出クラッチ装置12のテンションの有無を検知していた構成に比較して、排出クラッチテンションモータ44に内装されたリミットスイッチ一つだけを用いて排出クラッチ装置位置検出センサ48とするので、安価に構成可能になる。また排出クラッチ装置12の切り側のリミットスイッチを使用するため、排出クラッチ装置12が完全に切れた状態のときにのみ、照光スイッチランプ47が消灯し、エンジン始動が可能になるのでオペレータに分かりやすくなる。
【0044】
本実施例の上記排出クラッチ装置12をテンションモータ44により作動させる機構を有し、かつその作動制御が可能なコンバインにおいて、グレンタンク3からの穀粒の排出モードを選択し得るスイッチ53を設けている。
【0045】
そして前記穀粒排出モード選択スイッチ53を操作していないときは、照光スイッチ46を穀粒排出スイッチとして用いて、通常の穀粒連続排出を行うことができる。また穀粒排出モード選択スイッチ53が操作されているときは、穀粒排出開始から所定時間経過後、自動的に排穀オーガ5からの穀粒の排出を停止させる構成としている。
【0046】
このような穀粒排出モード選択スイッチ53を設ける理由は、いわゆる袋取りといわれる穀粒の排出作業時の以下のような不具合を無くすためである。すなわち、いわゆる袋取作業は、操縦室40内のオペレータが穀粒排出操作をスタートさせ、一方でコンバインの外にいる補助者が排穀オーガ5の先端部の排出口9付近で袋を構えて穀粒を受けるが、この作業時に補助者の合図でオペレータが穀粒排出操作を実行するか、または停止するが、両者のタイミングが不一致なときには穀粒を袋からあふれさせるような不具合が生じることがある。
【0047】
上記した問題点を解決すべく、穀粒排出モード選択スイッチ53をオンとすることにより、適量または少量ずつ穀粒を排出しながら穀粒排出作業を行うことができ、袋取り時の排出操作が非常に簡単になる。また、万一、いわゆる袋取り作業中であることをオペレータが忘れても、穀粒排出開始から所定時間経過後に自動的に排穀オーガ5からの穀粒の排出が停止されるので、袋から穀粒があふれ出ることはない。
【0048】
また、排出モード選択スイッチ53が押されていない状態で排穀オーガ5から穀粒の排出実行中に、排出モード選択スイッチ53が押されることがある。
【0049】
このような場合には直ちに穀粒の排出を停止する制御を行うこととする。これは、穀粒排出時に誤操作があった可能性があるので、先ず緊急に穀粒排出を停止することで、無駄に穀粒が排出されないようにするためである。
【0050】
また、排出モード選択スイッチ53を押し忘れて、通常の穀粒排出を行うために照光スイッチ46を押して、いわゆる袋詰めを始めることがある。その袋詰めの最中にオペレータが排出モード選択スイッチ53の押し忘れに気がついて、あわてて排出モード選択スイッチ53を押すことがあるが、このようなときには、前記穀粒排出停止制御が実行されると、一旦、穀粒排出を停止して落ち着いて次に行うべき操作について考える余裕を与えることができる。
【0051】
また、前記穀粒排出停止制御の代わりに、穀粒排出速度を下げてゆっくり穀粒を排出させても良い。このときエンジンの回転数を、例えば定格回転から下げることで穀粒排出速度を下げることができる。
【0052】
一方、排出モード選択スイッチ53をオンして穀粒排出操作実行中に当排出モード選択スイッチ53をオフにしても、開始時に設定された所定時間まで穀粒排出動作を続け、一旦始めた袋詰めを完了せる穀粒排出制御を行う。
【0053】
また、排出モード選択スイッチ53をオンして穀粒排出操作実行中に当排出モード選択スイッチ53をオフにしたとき、穀粒排出用の照光スイッチ46がオンであれば、そのまま連続的に通常の穀粒排出動作を続けて、照光スイッチ46がオフになると穀粒排出を停止するモードを採用しても良い。
【0054】
また、排出モード選択スイッチ53が押されているときに、コンバインのエンジン回転数をエンジン回転数センサ57で検出して、検出したエンジン回転数に応じて、穀粒排出の開始から停止までの時間を設定しても良い。これは、グレンタンク3からの穀粒を排出するためのグレンタンク底部螺旋10の回転数がエンジン回転数に比例するためであり、この制御で穀粒の排出量を一定にすることが可能となる。
【0055】
また、コンバインがエンジン回転数制御機構を有している場合に、排出モード選択スイッチ53が押されると、穀粒排出開始時は、エンジン回転数を通常の穀粒排出時(通常は定格エンジン回転数で穀粒排出を行う)より低めの所定回転数までエンジン回転数を下げても良い。
【0056】
これは、いわゆる袋詰め作業のはじめに、補助者が袋詰めの心構えができていないことが考えられるので、いわゆる袋詰めのときは穀粒排出速度をゆっくりに調整して当作業を安全かつ簡単にするためである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、コンバインなどのグレンタンクに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態のコンバインの左側面図である。
【図2】図1のコンバインの正面図である。
【図3】図1のコンバインの背面図である。
【図4】図1のコンバインの排穀用の排穀オーガ部分の構造を説明する図である。
【図5】図1のコンバインの排穀オーガの排出制御のブロック図である。
【図6】図1のコンバインの排穀クラッチ用のテンションプーリとどれを作動するテンションアーム、ベルトとモータの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 クローラ 2 車台
3 グレンタンク 4 揚穀筒
5 排穀オーガ 6 固定搬送筒
7 移動搬送筒 9 排穀オーガ排出口
10 底部螺旋 11 伝動軸
12 クラッチ装置 13 揚穀螺旋
14 搬送螺旋 15 伸縮螺旋
16 伝動軸 23 伸縮駆動装置
24 伸縮用駆動モータ 25 螺旋軸
26 移動装置 27 昇降油圧シリンダ
28 排穀オーガ旋回モータ 29 旋回ギア
30 駆動ギア 31 支持ローラ
32 案内車輪 34 刈取装置
35 排穀オーガ受け 37 脱穀装置
40 操縦室 43 ベルト
44 テンションモータ 44a テンションアーム
44b テンションローラ 45 テンションプーリ
46 照光スイッチ 47 照光スイッチランプ
48 排出クラッチ装置位置検出センサ
49 アクセルポジションセンサ
50 制御装置 53 排出モード選択スイッチ
57 エンジン回転数センサ
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成16年10月6日(2004.10.6)
【代理人】 【識別番号】100096541
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義

【公開番号】 特開2006−101769(P2006−101769A)
【公開日】 平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願番号】 特願2004−293263(P2004−293263)