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【発明の名称】 穀粒タンク
【発明者】 【氏名】奥村 健
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】従来、穀粒の排出作業時に穀粒タンクを機体フレームから上方に持ち上げて、側板に設けた排出口から穀粒を自然流下させて外部に排出する技術が公知となっているが、穀粒で満杯になった穀粒タンクを機体フレーム上方へ高く上昇させると、機体の重心が上方へ移動して左右一側へ偏るため、傾斜地での排出作業や排出時に側方へ力を加えるだけで機体が転倒する恐れがあった。

【解決手段】穀粒を貯溜する穀粒タンク4において、該穀粒タンク4内に底板40を上下昇降可能に備え、該底板40の最上昇位置よりも上方に穀粒の投入口33a及び排出口34aを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を貯溜する穀粒タンクにおいて、該穀粒タンク内に底板を上下昇降可能に備え、該底板の最上昇位置よりも上方に穀粒の投入口及び排出口を設けたことを特徴とする穀粒タンク。
【請求項2】
前記投入口を排出口よりも高い位置に配置し、底板を投入口から排出口へ下がる傾斜としたことを特徴とする請求項1に記載の穀粒タンク。
【請求項3】
前記穀粒タンク内の上部に、収納した穀粒の上部を検出する手段を設けて上昇駆動手段と接続し、該検知手段が穀粒上面が所定高さより高くなったことを検知すると、底板の上昇を停止させるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の穀粒タンク。
【請求項4】
前記底板外周と穀粒タンク内面との間にシール部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のいずれか一項に記載の穀粒タンク。
【請求項5】
前記シール部材を穀粒タンクの側板に向かって常時付勢するように構成したことを特徴とする請求項4に記載の穀粒タンク。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀後の穀粒を貯溜する穀粒タンクの技術に関し、特に、底板を上昇させて穀粒が傷つくことなく排出できるようにする穀粒タンクの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインにおいては、機体フレーム上に穀粒タンクとともに排出オーガを備える穀粒排出装置が設けられ、該穀粒排出装置により穀粒タンクに貯溜された脱穀済みの穀粒を外部に排出するように構成されていた。しかし、前記穀粒排出装置を用いての排出作業では、スクリュー式で搬送距離も長い前記排出オーガが用いられるため、排出時間が長くなるとともに、大豆のように、穀粒が軟らかい上に土などの異物が混入しやすい豆類の場合には、穀粒が傷つきやすく、穀粒品質の低下を招くといった問題もあった。そこで、穀粒強制排出装置を設けずに、穀粒タンクを機体フレームから上方に持ち上げて、側板に設けた排出口から穀粒を自然流下させて外部に排出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−61452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記特許文献1に示される技術では、排出作業時に穀粒で満杯になった穀粒タンクを機体フレーム上方へ高く上昇させると、機体の重心が上方へ移動して左右一側へ偏るため、傾斜地での排出作業や排出時に側方へ力を加えるだけで機体が転倒する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、穀粒を貯溜する穀粒タンクにおいて、該穀粒タンク内に底板を上下昇降可能に備え、該底板の最上昇位置よりも上方に穀粒の投入口及び排出口を設けたものである。
【0006】
請求項2においては、前記投入口を排出口よりも高い位置に配置し、底板を投入口から排出口へ下がる傾斜としたものである。
【0007】
請求項3においては、前記穀粒タンク内の上部に、収納した穀粒の上部を検出する手段を設けて上昇駆動手段と接続し、該検知手段が穀粒上面が所定高さより高くなったことを検知すると、底板の上昇を停止させるように構成したものである。
【0008】
請求項4においては、前記底板外周と穀粒タンク内面との間にシール部材を設けたものである。
【0009】
請求項5においては、前記シール部材を穀粒タンクの側板に向かって常時付勢するように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、穀粒を貯溜する穀粒タンクにおいて、該穀粒タンク内に底板を上下昇降可能に備え、該底板の最上昇位置よりも上方に穀粒の投入口及び排出口を設けたことから、穀粒タンクに穀粒が貯溜された状態において、底板を上昇させると、底板上に積載された穀粒が排出口から自然に転がり落ちて外部に排出されることになる。したがって、排出オーガを備える穀粒排出装置が不要となり、穀粒タンクからの搬送時に生じる恐れのある穀粒の損傷を防止することができる。また、穀粒タンク自体を上昇させて穀粒を外部に排出する構成ではないので、機体が転倒する恐れもない。また、前記排出口を穀粒タンクの上部に設けたことから、排出口の位置が比較的高い位置となり、穀粒の排出先である搬送用容器の大きさに柔軟に対応できる。
【0012】
請求項2においては、前記投入口を排出口よりも高い位置に配置し、底板を投入口から排出口へ下がる傾斜としたことから、前記底板の上昇位置において、底板上に積載された穀粒が自然に排出口に向かって流下するため、穀粒の排出を促進できる。また、底板の下側へ穀粒が漏れ落ちることもない。
【0013】
請求項3においては、前記穀粒タンク内の上部に、収納した穀粒の上部を検出する手段を設けて上昇駆動手段と接続し、該検知手段が穀粒上面が所定高さより高くなったことを検知すると、底板の上昇を停止させるように構成したことから、穀粒の排出作業時において、底板の上昇のし過ぎによる穀粒の圧潰を防止することができる。
【0014】
請求項4においては、前記底板外周と穀粒タンク内面との間にシール部材を設けたことから、底板と穀粒タンクの各側板との間から、穀粒が漏れるのを防止することができる。
【0015】
請求項5においては、前記シール部材を穀粒タンクの側板に向かって常時付勢するように構成したことから、穀粒タンクの内圧などにより底板と側板との間の隙間が大きくなった場合でも、穀粒の漏れを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの側面図、図2は同じく後面図、図3は底板を最下位置とした穀粒タンクの後面断面図、図4は底板を最高位置とした穀粒タンクの後面断面図、図5は穀粒タンクの平面断面図、図6は底板を最下位置とした他の穀粒タンクの後面断面図、図7は底板を最高位置とした他の穀粒タンクの後面断面図、図8はシール部材の側面図である。
【0017】
まず、本発明の穀粒タンクを具備する一実施例に係るコンバインの全体構成について説明する。
図1、図2に示すように、クローラ式走行装置1上には機体フレーム2が戴置され、該機体フレーム2上に脱穀部3が搭載されている。脱穀部3の側方には穀粒タンク4が搭載され、該穀粒タンク4の前方に運転部5が配設されている。
【0018】
また、脱穀部3の前方には刈取部6がフィーダハウス7を介して連設されている。刈取部6においては、前記フィーダハウス7の前部に連結されたプラットホーム8やプラットホーム8内部に左右方向に支承された横送りオーガ9、横送りオーガ9の前下部に横設された刈刃10、プラットホーム8の左右両側前端に配設された分草板11、プラットホーム8上方に設けられた掻込リール12などが備えられ、掻込リール12で掻き込まれ、刈刃10により刈り取られた穀稈が、横送りオーガ9によりプラットホーム8に連結されたフィーダハウス7へ送られた後、フィーダハウス7内に配設されたコンベアを介して脱穀部3に搬送されて脱穀処理されるように構成されている。
【0019】
さらに、前記脱穀部3の下方には、揺動選別装置13が配置されている。揺動選別装置13の下方には一番コンベア14が横設され、該一番コンベア14の終端部に揚穀コンベア15が連通されて脱穀部3と穀粒タンク4との間において立設されている。
【0020】
前記揚穀コンベア15においては、その上下部に軸支されたスプロケット16・17間にコンベアチェーン18が巻回され、該コンベアチェーン18上に複数のバケット19・19・・・が列設されている。前記揺動選別装置13で選別された一番物などの穀粒は揚穀コンベア15下部の円弧状の受部に収納され、該受部に収納された穀粒がコンベアチェーン18上のバケット19により掬い上げられ、そのまま揚穀コンベア15の上部まで搬送されるようになっている。
【0021】
前記揚穀コンベア15の上部は連結パイプ20を介して穀粒タンク4に連通され、該穀粒タンク4に搬送されてきた穀粒が、回転するレベリングディスク(図示せず)などで弾き飛ばされて、穀粒タンク4内に均一に分散され均等に貯留されるようになっている。
【0022】
次に、穀粒タンク4について説明する。
図3乃至図5に示すように、前記穀粒タンク4は略直方体形状に形成されており、その脱穀部3側の側板33の上部に前記連結パイプ20に接続された投入口33aが設けられ、該側板33の左右反対側の側板34の上部に排出口34aが設けられている。排出口34aには排出パイプ37がその先端部を斜め下方に突出するように接続され、排出口34aから排出される穀粒を、例えば、図2に示すように、穀粒タンク4側方に配置される搬送車21に搭載された搬送用容器22に確実に案内して漏れなく排出できるように構成されている。なお、図に示すように、穀粒の排出作業時を除いては、排出パイプ37の先端部にはキャップ38が取り付けられて、穀粒が外部に漏れ落ちないようになっている。
【0023】
また、穀粒タンク4においては、その内部に上下昇降可能な底板40が備えられ、該底板40の最上昇位置よりも上方に穀粒の投入口33a及び排出口34aが設けられて、該底板40と穀粒タンク4の前後左右の各側板31・32・33・34と上板35とで囲まれた空間に、前記揚穀コンベア15から連結パイプ20を介して搬送されてきた穀粒を貯溜するように構成されている。
【0024】
前記底板40は、穀粒タンク4の側板31・32・33・34下部に配置するベース板36よりも僅かに小さく構成され、その上面に傾斜底面40aを形成している。該傾斜底面40aは、投入口33a側から排出口34a側に向かって下方に傾斜するように形成され、特に、図5に示すように、底板40の右側に排出口34aを配置した場合、排出口34aの前後長さと同じ長さの底板40右側中央部の一辺が最も低くなるようにしており、その前後両側は上に向かって傾斜し、左側も上に向かって傾斜するように形成されている。つまり、傾斜底面40aは台形状に形成して、排出口34aに向かう右下がりの傾斜面とし、その前後両側の三角形状の傾斜側部底面は傾斜底面40a側へ下がる傾斜面としている。こうして、底板40上に積載された穀粒が自然に排出口34aに向かって流下するように構成されている。なお、底板40の傾斜角は貯留する穀粒が自然に転がり落ちる角度とする。また、排出口34aが後部に設けられる場合には後部が最も下がるように構成される。
【0025】
また、前記底板40の前後両側下面には、支持フレーム41と摺動フレーム42とが左右方向に一直線上に固設され、該摺動フレーム42に長孔(またはレール)42aが水平方向に開口されている。底板40の直下方においても同様に、穀粒タンク4のベース板36の上面に支持フレーム43と摺動フレーム44とが左右方向に一直線上に固設され、該摺動フレーム44に長孔(またはレール)44aが水平方向に開口されている。
【0026】
前記底板40の支持フレーム41には第一アーム46の上端46aが回動自在に枢支され、該第一アーム46の下端46bがベース板36の摺動フレーム44に開口された長孔44aに係合されて左右方向に摺動自在に支持されている。一方、前記ベース板36の支持フレーム43には第二アーム47の下端47aが回動自在に枢支され、該第二アーム47の上端47bが底板40の摺動フレーム42に開口された長孔42aに係合されて左右方向に摺動自在に支持されている。こうして、底板40とベース板36との間において、第一アーム46と第二アーム47の二つのアームが後面視「X」字状に交差して配置されている。
【0027】
そして、前記第一アーム46と第二アーム47の交差部分が支軸48により回動自在に枢支されるとともに、該支軸48とベース板36との間に油圧シリンダ50が介装されている。該油圧シリンダ50は図示しない操作具を操作することにより伸縮され、該操作具の操作で駆動回路を介して電磁バルブのソレノイドを作動し、電磁バルブが切り換えられて、圧油を油圧シリンダ50に送油して伸縮させる。
【0028】
以上のように構成することにより、底板40は第一アーム46及び第二アーム47にて支持され、油圧シリンダが収縮動作すると、第一アーム46の下端46bがベース板36の摺動フレーム44に開口された長孔44a内を図3において右方向に摺動され、これに伴い該第一アーム46に支軸48で枢支された第二アーム47の上端47bも底板40の摺動フレーム42に開口された長孔42a内を図3において右方向に摺動されるため、底板40は下降して図3に示すように最下位置となる。逆に、油圧シリンダが伸長動作すると、第一アーム46の下端46bがベース板36上の摺動フレーム44に開口された長孔44a内を図3において左方向に摺動され、これに伴い該第二アーム47の上端47bも底板40の摺動フレーム42に開口された長孔42a内を図3において左方向に摺動されるため、底板40は上昇して図4に示すように最高位置となる。
【0029】
したがって、収穫作業時において、油圧シリンダを収縮動作させることで、穀粒タンク4内で底板40が最下位置となり、揚穀コンベア15から搬送される穀粒を穀粒タンク4内に貯溜することができる。そして、穀粒タンク4内が穀粒で満杯となり、穀粒の排出作業を行うときには、油圧シリンダを伸長動作させることで、穀粒タンク4内で底板40が最下位置から最高位置まで上昇し、底板40上に積載されていた穀粒を排出口34aから落下させて、排出パイプ37を介して搬送車21に搭載された搬送用容器22などに排出することができる。
【0030】
さらに、図6、図7に示すように、前記第一アーム46を上側が長い第三アーム49と交換することで傾斜を大きくしながら上昇させる構成とすることもできる。即ち、該第三アーム49と第二アーム47の交差部分の支軸48から第三アーム49の上端49aまでの長さをA、支軸48から第三アーム49の下端49bまでの長さをB、支軸48から第二アーム47の下端47aまでの長さをC、支軸48から第二アーム47の上端までのを長さをDとした場合に、これらの関係がA>B(B=C=D)となるように構成する。よって、底板40の水平方向に対する傾斜角度が、最高位置の傾斜角度θ2が最下位置の傾斜角度θ1よりも大きくなるように、底板40が上昇するにつれて大きくなるため、排出作業時において穀粒の排出を更に促進させることができる。
【0031】
また、図4や図5に示すように、前記底板40の外周と穀粒タンク4の内周、即ち、前後左右の側板31・32・33・34との間には、それぞれシール部材51が介設されている。つまり、シール部材51は底板40の全周に渡って配設され、底板40と各側板31・32・33・34との間の間隙が確実に閉塞されるように構成されている。
【0032】
前記シール部材51は、図8に示すように、ブラシやゴムなど(本実施例ではブラシ)で構成され、底板40の下面外周部に前後又は左右に摺動自在に支持されている。また、底板40下面のシール部材51よりもタンク内側には取付ステー52が固設され、該取付ステー52とシール部材51との間にバネ53が介装されている。こうして、シール部材51は、バネ53の付勢力により各側板31・32・33・34側に付勢されて、常に各側板31・32・33・34に当接した状態となるように構成されている。
【0033】
したがって、前記シール部材51により底板40と穀粒タンク4の各側板31・32・33・34との間の間隙を確実に閉塞することができ、さらに底板40と側板31・32・33・34との距離が穀粒タンク4の内圧などにより大きくなった場合でも、バネ53によりシール部材51が各側板31・32・33・34側に付勢され、底板40と側板31・32・33・34との間に間隙が生じることがないので、穀粒が底板40上から漏れ落ちるのを防止することができる。
【0034】
また、穀粒タンク4の上部、具体的には、上板35の下面には、穀粒を検出する手段が設けられ、本実施例では圧力センサ55が一つまたは複数取り付けられ、該圧力センサ55を前記油圧シリンダ50の昇降制御回路と接続し、底板40を上昇させたときに穀粒が圧力センサ55に当接すると自動で停止するように構成されている。これにより、排出作業時において、底板40の上昇し過ぎによって穀粒が底板40と上板35との間で押し潰されるのを防止することができる。但し、圧力センサの代わりに距離センサを上板35又は側板31・32・33・34上部に配置し、穀粒の上面の高さを検知し、その高さが所定高さより高くなると停止するように構成することもできる。なお、底板40の上昇が穀粒が上板35に近づくことにより停止された後、穀粒が排出口34aより排出されて、上板35と穀粒上面の高さが所定高さより低くなると、または、所定時間以上経過すると、自動的に再度上昇させるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの側面図。
【図2】同じく後面図。
【図3】底板を最下位置とした穀粒タンクの後面断面図。
【図4】底板を最高位置とした穀粒タンクの後面断面図。
【図5】穀粒タンクの平面断面図。
【図6】底板を最下位置とした他の穀粒タンクの後面断面図。
【図7】底板を最高位置とした他の穀粒タンクの後面断面図。
【図8】シール部材の側面図。
【符号の説明】
【0036】
4 穀粒タンク
33a 投入口
34a 排出口
40 底板
51 シール部材
55 圧力センサ
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成16年7月1日(2004.7.1)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎

【公開番号】 特開2006−14664(P2006−14664A)
【公開日】 平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願番号】 特願2004−195950(P2004−195950)