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【発明の名称】 作業車両
【発明者】 【氏名】松谷 俊一
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】無人で走行機体が、所定時間又は所定距離走行して自動停止する作業車両を提供することを課題としている。

【解決手段】エンジン22からの駆動力を変速して走行駆動力として出力するトランスミッション24によって駆動される左右の走行装置2により自走する作業車両に、走行機体1の走行を停止させる走行停止手段と、走行機体1の走行を自動的に停止させる自動停止手段とを設け、自動停止手段を、自動制御開始時点から予め定められた所定距離、又は所定時間走行機体1が走行すると、走行停止手段を作動させる構造とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に走行装置(2)を備えた走行機体(1)と、エンジン(22)からの駆動力を変速して走行駆動力として出力するトランスミッション(24)とを設け、該トランスミッション(24)からの出力によって走行装置(2)を駆動して自走する作業車両において、走行機体(1)の走行を停止させる走行停止手段と、走行機体(1)の走行を自動的に停止させる自動停止手段とを設け、該自動停止手段を、自動制御開始時点の位置から予め定められた所定距離走行機体(1)が走行すると、走行停止手段を作動させる構造とした作業車両。
【請求項2】
左右に走行装置(2)を備えた走行機体(1)と、エンジン(22)からの駆動力を変速して走行駆動力として出力するトランスミッション(24)とを設け、該トランスミッション(24)からの出力によって走行装置(2)を駆動して自走する作業車両において、走行機体(1)の走行を停止させる走行停止手段と、走行機体(1)の走行を自動的に停止させる自動停止手段とを設け、該自動停止手段を、自動制御開始時点から予め定められた所定時間走行機体(1)が走行すると、走行停止手段を作動させる構造とした作業車両。
【請求項3】
トランスミッション(24)に、左右の走行装置(2)側に駆動力を出力する左右の駆動軸(32)を設け、各駆動軸(32)に対して各々駆動軸(32)をロックする左右のブレーキ(33)を設け、走行停止手段を、左右のブレーキ(33)を同時に左右の駆動軸(32)に対して作用させる手段とした請求項1又は2の作業車両。
【請求項4】
走行停止手段を、エンジン(22)の駆動を停止させる手段とした請求項1又は2の作業車両。
【請求項5】
走行機体(1)の後部に、走行中の走行機体(1)の停止を操作する機体停止スイッチ(21)を設けた請求項1又は2又は3又は4の作業車両。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
左右に走行装置を備えた走行機体と、エンジンからの駆動力を変速して走行駆動力として出力するトランスミッションとを設け、該トランスミッションからの出力によって走行装置を駆動して自走する作業車両としてコンバインが公知となっている。コンバインは、所定の圃場での穀稈の収穫作業を終了すると、次の圃場へ運搬される場合がある。
【0003】
コンバインの運搬は、当該コンバインをトラックの荷台に積載して行われる。一般的にコンバインのトラックの荷台への積載は、トラックの荷台にアユミを掛け、コンバインをアユミ上を上方(トラックの荷台)に向けて走行させて行われる。
【0004】
ただし運転者がコンバインに搭乗し、コンバインを運転操作してアユミ上を走行させると危険であるため、従来はコンバインを無線操縦(例えば特許文献1参照)で走行させたり、アユミ上を外れないように走行させるように操向制御して(例えば特許文献2参照)走行させたりしている。
【特許文献1】特開2004−306732号公報
【特許文献2】特開2004−314822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記コンバインの無線操縦システムやコンバインの操向制御システムは複雑であり、このため簡単にアユミ上を走行させてトラックの荷台に積載することができる作業車両が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の作業車両は、左右に走行装置2を備えた走行機体1と、エンジン22からの駆動力を変速して走行駆動力として出力するトランスミッション24とを設け、該トランスミッション24からの出力によって走行装置2を駆動して自走する作業車両において、走行機体1の走行を停止させる走行停止手段と、走行機体1の走行を自動的に停止させる自動停止手段とを設け、該自動停止手段を、自動制御開始時点の位置から予め定められた所定距離走行機体1が走行すると、走行停止手段を作動させる構造としたことを第1の特徴としている。
【0007】
第2に、左右に走行装置2を備えた走行機体1と、エンジン22からの駆動力を変速して走行駆動力として出力するトランスミッション24とを設け、該トランスミッション24からの出力によって走行装置2を駆動して自走する作業車両において、走行機体1の走行を停止させる走行停止手段と、走行機体1の走行を自動的に停止させる自動停止手段とを設け、該自動停止手段を、自動制御開始時点から予め定められた所定時間走行機体1が走行すると、走行停止手段を作動させる構造としたことを特徴としている。
【0008】
第3に、トランスミッション24に、左右の走行装置2側に駆動力を出力する左右の駆動軸32を設け、各駆動軸32に対して各々駆動軸32をロックする左右のブレーキ33を設け、走行停止手段を、左右のブレーキ33を同時に左右の駆動軸32に対して作用させる手段としたことを特徴としている。
【0009】
第4に、走行停止手段を、エンジン22の駆動を停止させる手段としたことを特徴としている。
【0010】
第5に、走行機体1の後部に、走行中の走行機体1の停止を操作する機体停止スイッチ21を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成される本発明の構造によると、自動停止手段により、自動制御開始時点から、走行機体が所定距離走行した時点、又は走行機体が所定時間走行した時点で走行停止手段が作動することによって走行機体の走行が自動停止される。
【0012】
このため、例えばトラックの荷台に対して設置されるアユミ上を走行させて走行機体を上記トラックの荷台に積載する場合、走行機体が荷台に搭載された時点で自動停止するように設定することができる。これによってオペレータが走行機体に搭乗することなく、容易に走行機体(作業車両)をトラック等に積載することができるという利点がある。
【0013】
トランスミッションに、左右の走行装置側に駆動力を出力する左右の駆動軸を設け、各駆動軸に対して各々駆動軸をロックする左右のブレーキを設け、走行停止手段を、左右のブレーキを同時に左右の駆動軸に対して作用させる手段とすることによって、自動停止手段による走行機体の停止時に、走行機体を完全にロックすることができるという効果がある。
【0014】
上記左右のブレーキとして、走行機体を旋回させる際に使用するブレーキを兼用して使用することができる。この場合は専用のブレーキを設けることなく、走行停止手段をローコストで構成することができる。
【0015】
一方走行停止手段を、エンジンの駆動を停止させる手段とすることによって、自動停止手段による走行機体の停止後に、走行機体がエンジンの駆動力によって誤走行する等の不都合が防止され、またエンジンの停止操作を手動で行う必要がないという利点がある。
【0016】
そして走行機体の後部に、走行中の走行機体の停止を操作する機体停止スイッチを設けることによって、エンジンの停止や左右の駆動軸をロックする左右のブレーキ等を、走行機体を停止させる手段として使用して、走行機体を後方から操作して停止させることができ、緊急停止を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1,図2は本発明を採用したコンバインの正面斜視図及び背面図を示す。走行機体1は下方左右にクローラ式の走行装置2を備えている。走行機体1上には右側前方に運転席3が設けられている。運転席3の後方にはグレンタンク4が設けられている。該グレンタンク4の側方には脱穀装置6が設けられている。
【0018】
走行機体1の前方には、上下昇降自在に前処理部7が設けられている。前処理部7は運転席3の左側に位置している。上記構成により、本コンバインは、従来同様、走行に伴い前処理部7により穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈の穂先を脱穀装置6の扱室に供給して脱穀し、脱穀後の穀粒をグレンタンク4に排出する。
【0019】
図3に示されるように、上記運転席3内には座席8が設けられている。座席8の前方にはフロント操作パネル9が設けられている。座席8の側方にはサイド操作パネル11が設けられている。フロント操作パネル10には、走行機体1を所定距離走行させて自動的に停止させる自動停止手段を作動させる停止自動スイッチ12が設けられている。
【0020】
上記停止自動スイッチ12は、モーメンタリスイッチからなる。停止自動スイッチ12には、走行機体1の停止までの距離を設定する停止設定ダイヤル13が一体的に取り付けられている。フロント操作パネル9には、走行機体1の停止までの残り距離を表示する停止距離表示装置14も設けられている。
【0021】
その他フロント操作パネル9には、走行機体1の操向用の操向レバー16が左右揺動自在に設けられている。フロント操作パネル9の側方には駐車ブレーキの操作用の駐車ブレーキレバー17が揺動自在に設けられている。
【0022】
前述のサイド操作パネル11には、前後及び左右揺動自在に主変速レバー18が設けられている。運転席3のフロアからは駐車ブレーキの操作用の駐車ブレーキペダル19が踏み込み操作自在に設けられている。走行機体1の後方には、脱穀装置6の背面に取り付けられて後部停止スイッチ21が設けられている。後部停止スイッチ21はモーメンタリスイッチからなる。
【0023】
オペレータは主変速レバー18を揺動操作して走行機体1を所定の速度で前進又は後進させることができ、操向レバー16を左右に揺動操作することにより走行機体1を旋回させることができる。主変速レバー18を揺動操作し、操向レバー16を中立位置にすることによって走行機体1は前方又は後方に向かって直進する。
【0024】
操向レバー16は左右に揺動操作しなければ、中立位置(センタ)に復帰するように取付けられている。停止自動スイッチ12を入り操作(ON操作)することによって、停止設定ダイヤル13によって予め設定された距離走行機体1が走行すると、走行機体1を自動的に停止させることができる。
【0025】
図4の伝動線図に示されるように、本コンバインは、エンジン22からの出力が油圧無段変速装置(HST)23に入力されて無段階に変速され出力される。HST23からの出力はトランスミッション24に入力され、副変速機構26によって副変速され、中間軸27に伝動される。
【0026】
中間軸27に伝動された駆動力は、中間軸27に設けられたギヤ28から左右のサイドクラッチ機構29を介して左右の伝動ギヤ31に伝動され、各伝動ギヤ31から左右の車軸32に伝動され、左右のクローラ走行装置2が駆動されるように構成されている。上記HST23は主変速レバー18によって操作される。これにより主変速レバー18の操作によって走行機体1の走行速度を変速することができる。
【0027】
左右の伝動ギヤ31側には各々操向ブレーキ33が設けられている。左右の伝動ギヤ31に対応する左右のサイドクラッチ29を切ることによって、サイドクラッチ29が切り状態となった側の伝動ギヤ31を操向ブレーキ33によって固定することができる。伝動ギヤ31を操向ブレーキ33によって固定することによって、当該伝動ギヤ31側の車軸32が固定される。
【0028】
なお左右の伝動ギヤ31に対応する左右のサイドクラッチ29を切ることによって、サイドクラッチ29が切り状態となった側の伝動ギヤ31に操向ブレーキ33を掛けることなく、当該伝動ギヤ31をフリーにすることもできる。
【0029】
左右のサイドクラッチ29は、各サイドクラッチ29に対応する左右の操向比例制御弁によって入り切りが制御される。図5に示されるように、左右の操向比例制御弁34は、マイコンユニット36の出力側に接続されている。該マイコンユニット36の入力側には、操向レバー16の揺動角度を検出する操向レバーポテンショメータ37が接続されている。
【0030】
操向レバー16を左右方向に揺動させると、マイコンユニット36が、操向レバーポテンショメータ37からのデータに基づき操向レバー16の揺動方向及び揺動角度に応じて、左右の操向比例制御弁34をコントロールし、揺動方向側のサイドクラッチ29を切り作動させる。
【0031】
操向レバー16の揺動角度が所定角度以上となると、揺動方向側の伝動ギヤ31に操向ブレーキ33を掛ける。以上のように操向レバー16の左右揺動操作によって走行機体1の旋回がコントロールされる。操向ブレーキ33が掛かると、旋回半径が小さくなる。
【0032】
なお一方の操向ブレーキ33側には、駐車ブレーキ操作アーム30が連結されている。駐車ブレーキ操作アーム30は、前述の駐車ブレーキレバー17及び駐車ブレーキペダル19によって操作される。両サイドクラッチ29が入り状態のときに、駐車ブレーキレバー17又は駐車ブレーキペダル19により、駐車ブレーキ操作アーム30を介して一方の操向ブレーキ33を作動させることによって、両伝動ギヤ31が固定され、駐車ブレーキが作動する。
【0033】
上記マイコンユニット36の出力側には、エンジン22を停止させるエンジン停止装置38と、電子ブザー40と、前述の停止距離表示装置14とが接続されている。マイコンユニット36の入力側には、前述の停止自動スイッチ12及び停止設定ダイヤル13及び後部停止スイッチ21の他、主変速レバーポテンショメータ39と、トランスミッション回転センサ41と、駐車ブレーキスイッチ42と、運転席停止スイッチ43と、赤外線センサ44とが接続されている。
【0034】
主変速レバーポテンショメータ39は、主変速レバー18の揺動角度を検出し、主変速レバー18のポジションを検出することができる。トランスミッション回転センサ41は、トランスミッション24のいずれかの軸の回転数を検出し、走行機体1の走行距離を検出することができる。
【0035】
駐車ブレーキスイッチ42は、駐車ブレーキペダル19又は駐車ブレーキレバー17による駐車ブレーキの作動を検出する。赤外線センサ44は、走行機体1の後方に設けられ、走行機体1の後方にいる人や動物等の検出を行う。運転席停止スイッチ43は運転席3内に設けられ、後部停止スイッチ21と同一機能を有する。
【0036】
マイコンユニット36には、緊急停止プログラムが記憶されている。マイコンユニット36は、緊急停止プログラムに基づいて作動することによって、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作(押すこと)により、走行機体1の走行を停止させる緊急停止手段として機能する。
【0037】
図6に示されるように、緊急停止手段による緊急停止制御は、ステップS1において、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作をチェックする。後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作を検出した場合は、ステップS2に進み、エンジン停止装置38を作動させて、エンジン22を停止させることによって走行機体1を停止させ、且つ電子ブザー40により緊急停止制御による停止の警報を吹鳴させ、その後リターンする。
【0038】
ステップS1において後部停止スイッチ21及び運転席停止スイッチ43がともにOFF状態の場合は、ステップS3に進み、主変速レバー18のポジションを主変速レバーポテンショメータ39からのデータに基づきチェックする。ステップS3において主変速レバー18が、走行機体1を後進させる後進ポジション以外に位置していた場合は、ステップS3からリターンする。
【0039】
ステップS3において主変速レバー18が、後進ポジションに位置していた場合は、ステップS4に進み、赤外線センサ44が人や動物等を検出しているか否かをチェックする。
【0040】
ステップS4において赤外線センサ44が人や動物等を検出している場合は、ステップS5に進み、左右の操向比例制御弁34を作動させ、左右のサイドクラッチ29を同時に切るとともに、左右の両伝動ギヤ31に操向ブレーキ33を掛けて、走行機体1を停止させ、且つ電子ブザー39により緊急停止制御によるクローラ走行装置2をロックしての停止の警報を吹鳴させ、その後リターンする。ステップS4において赤外線センサ44が人や動物等を検出していない場合は、リターンする。
【0041】
上記緊急停止制御により、走行機体1の走行中に後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43をON操作すると、走行機体1はエンジン22が停止することによって走行を緊急停止する。また走行機体1の後進時に赤外線センサ44が人や動物等を検出すると、左右のクローラ走行装置2がロックされた状態で、走行機体1が緊急停止する。
【0042】
これにより本コンバインの走行中に、運転者又は本コンバインの周辺にいる人等が後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43をON操作して、エンジンを停止させることができ、エンジンが回転することにより発生する不都合を緊急停止によって取り除くことができる。また後部停止スイッチ21に人やもの等が当接し、後部停止スイッチ21がONとなった場合も走行機体1が停止する。
【0043】
マイコンユニット36側には、自動停止プログラムが記憶されている。マイコンユニット36は、自動停止プログラムに基づいて作動することによって、前述の自動停止手段として機能する。
【0044】
自動停止手段による自動停止制御は、上記緊急停止制御と重複しないように作動し、図7のフローチャートに示されるように、まずステップS1において停止自動スイッチ12のON操作をチェックする。停止自動スイッチ12のON操作が検出された場合は、ステップS2に進み、主変速レバー18のポジションを主変速レバーポテンショメータ39からのデータに基づきチェックする。
【0045】
ステップS2において主変速レバー18が中立位置(ニュートラル)の時に、ステップS3に進み、自動停止フラグをチェックする。ステップS3において自動停止フラグが1の場合は、ステップS4に進み、自動停止フラグを0にセットし、且つ停止自動スイッチ12がON操作された時点からの走行距離を積算した積算距離をリセットし、リターンする。
【0046】
ステップS3において自動停止フラグが0の場合は、ステップS5に進み、自動停止フラグを1にセットし、停止設定ダイヤル13によって設定される設定距離をシステムにセットし、リターンする。
【0047】
ステップS1において停止自動スイッチ12がOFF状態である場合は、ステップS6に進み、自動停止フラグをチェックする。ステップS6において、自動停止フラグが0の場合は、リターンし、自動停止フラグが1の場合は、ステップS7に進み、一時停止フラグのチェックを行う。
【0048】
ステップS7において一時停止フラグが0の場合は、ステップS8に進み、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作をチェックする。ステップS8において、後部停止スイッチ21及び運転席停止スイッチ43の両方ともがOFF状態の場合は、ステップS9に進む。
【0049】
ステップS9においては、回転センサ41からのデータに基づき、停止自動スイッチ12がON操作された時点からの走行距離を積算し、且つ設定距離から積算距離を引き算した距離を、走行機体1の停止までの残り距離として停止距離表示装置14に表示させ、ステップS10に進む。
【0050】
ステップS10においては、上記積算距離と、停止設定ダイヤル13によって予め設定され、システムにセットされた設定距離とを比較する。積算距離が設定距離以上の場合は、ステップS11に進み、電子ブザー40により警報を吹鳴させ、その後ステップS12に進む。
【0051】
ステップS12においては、左右の操向比例制御弁34を作動させ、左右のサイドクラッチ29を同時に切るとともに、左右の両伝動ギヤ31に操向ブレーキ33を掛けて、走行機体1を停止させ、リターンする。ステップS10において、積算距離が設定距離未満の場合は、ステップS10から直接リターンする。
【0052】
ステップS8において後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43の少なくとも一方のON操作を検出した場合は、ステップS13に進み、一時停止フラグをチェックする。ステップS13において、一時停止フラグが1の場合は、ステップS14に進み、一時停止フラグを0にセットしてステップS9に進む。
【0053】
ステップS13において、一時停止フラグが0の場合は、ステップS15に進み、一時停止フラグを1にセットし、且つ電子ブザー40により後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43の操作による一時停止を開始する警報を吹鳴させ、前述のステップ12に進む。
【0054】
ステップS7において一時停止フラグが1の場合は、ステップS15に進み、その後ステップS12に進み、その後リターンする。ステップS2において、主変速レバー18がニュートラル以外のポジションにある場合は、ステップS16に進み、電子ブザー40により警報を吹鳴させ、リターンする。
【0055】
以上により主変速レバー18がニュートラルに位置している状態(走行機体1はエンジンが作動している状態で停車)で停止自動スイッチ12をON操作することによって、走行機体1が設定距離走行すると自動停止する自動制御のモードに入り、停止自動スイッチ12をON操作した後、走行機体1を走行させると、停止自動スイッチ12をON操作した時点、つまり自動制御のモードに入った時点から、走行機体1が設定距離だけ走行すると、左右のクローラ走行装置2がロックされた状態で自動停止する。
【0056】
上記自動停止時には自動停止手段により自動停止したことが電子ブザー40により報知される。自動停止制御による走行機体1の停止後、又は停止するまでの間の走行中に、主変速レバー18をニュートラルに位置させた状態で、停止自動スイッチ12をON操作すると、積算距離がリセットされ、上記自動停止がリセットされる。これにより上記のように停止自動スイッチ12をON操作した後、走行機体1を走行させた場合、走行機体1が上記のような自動停止することはない。
【0057】
なお自動停止制御中に、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43をON操作することによって、左右のクローラ走行装置2がロックされた状態で走行機体1が一時停止する。自動停止制御による後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作に基づく一時停止中は、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43を再度ON操作するまで、左右のクローラ走行装置2がロックされた状態のまま、走行機体1の一時停止が継続される。
【0058】
そして自動停止手段による自動停止制御の作動中の上記一時停止中に後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43をON操作すると、走行機体1の走行が再開され、積算走行距離が設定距離に達すると、左右のクローラ走行装置2がロックされた状態で停止し、電子ブザー40による報知が行われる。
【0059】
上記のように、通常は走行機体1の旋回時に、旋回の内側が切り作動させられる左右のサイドクラッチ29を両方とも切り、通常は走行機体1の旋回時に、旋回の内側が入り作動させられる左右の操向ブレーキ33を両方とも掛けることにより、左右のクローラ走行装置2をロックして走行機体1を停止させる走行停止手段が本コンバインには備えられている。これにより自動停止制御による走行機体1の自動停止で、走行機体1は完全にロックされた状態で停止し、停止場所等にかかわらず、位置が固定される。
【0060】
なお上記走行停止手段は、専用のブレーキ等を使用することなく、従来から設けられているサイドクラッチ29と操向ブレーキ33を兼用して使用するため、コンバインにローコストで設置することができる。
【0061】
本コンバインをトラックに積載する際に、上記自動停止手段の機能を使用することができる。コンバインのトラックの荷台への積載は、通常図8に示されるように、トラック46の荷台46aにアユミ47を掛け、該アユミ47上をコンバインを上方に向けて走行させて行う。
【0062】
この際オペレータが、コンバインをアユミ47上を直進して走行できる状態として、アユミ47の手前等で、主変速レバー18をニュートラルにして走行機体1を停止させ、停止自動スイッチ12をON操作し、その後主変速レバー18を前進側に低速走行するように操作すると、走行機体1が低速で設定距離だけ走行して自動停止する。
【0063】
設定距離を、コンバインがアユミ47上を走行して、トラック46の荷台46aに完全に積み込まれた時点で停止するように予め設定しておくことによって、オペレータが走行機体1に搭乗することなく、容易に本コンバイン(走行機体1)を簡単な構成の自動停止手段によって、トラック46の荷台46a等に積み込むことができる。
【0064】
なお上記設定距離は、コンバインが完全に荷台46aに収まることなく、クローラ走行装置2がアユミ47を通り過ぎて荷台46aに載る距離でもよい。これによりコンバインが完全に荷台46aに収まっていない場合でもクローラ走行装置2が荷台46aに載っているため、コンバインが完全に収まるまで容易に移動させることができる。
【0065】
そしていずれの場合でもコンバインが荷台46aに載った後、すぐに乗車する必要がないため、コンバインの上記積み込み作業を特に容易に行うことができる。なお上記自動停止手段による自動停止制御中の走行機体1の緊急停止は、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作によって行われるが、例えばマイコンユニット36にマイク等を接続しておき、所定以上の音量を検出すると、上記のように走行機体1を停止させるように構成することもできる。
【0066】
この場合マイクに向かって大声で停止を指示することによって、自動停止手段による自動停止制御中に走行機体1の緊急停止を容易に行うことができる。なお自動停止手段による自動停止制御中に、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作や、大きな声を出すことによって、走行機体1を停止させるのではなく、元の位置までバックさせるように構成することもできる。
【0067】
上記のように自動停止手段による自動停止制御中の後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作に基づく一時停止では、クローラ走行装置2がロックされ、走行機体1は完全にロックされた状態で停車する。このため例えばアユミ47上を走行中に上記一時停止させた場合でも、走行機体1がアユミ47から下がってくるようなことはなく安定した一時停止が実現される。
【0068】
自動停止手段を、停止自動スイッチをON操作することによって、停止自動スイッチをON操作した時点から所定時間走行機体が走行すると、走行機体の走行を自動停止させるように構成することもできる。この場合停止設定ダイヤル13等によって、走行機体1が停止するまでの時間を設定するように構成することが望ましい。これによっても上記同様の効果を得ることができ、アユミ47を使用してコンバインを容易にトラック46の荷台46a等に積み込むことができる。
【0069】
上記自動制御手段は、自動停止プログラムによる自動停止制御を、図9に示されるようなフローチャートとすることによって実現可能である。まずステップS1において停止自動スイッチのON操作をチェックする。停止自動スイッチがON操作された場合は、ステップS2に進み、主変速レバーのポジションを主変速レバーポテンショメータからのデータに基づきチェックする。
【0070】
ステップS2において主変速レバーが中立位置(ニュートラル)の時に、ステップS3に進み、自動停止フラグをチェックする。ステップS3において自動停止フラグが1の場合は、ステップS4に進み、自動停止フラグを0にセットし、且つ停止自動スイッチがON操作された時点からの走行時間を積算した積算時間をリセットし、リターンする。
【0071】
ステップS3において自動停止フラグが0の場合は、ステップS5に進み、自動停止フラグを1にセットし、停止設定ダイヤル等によって設定される設定時間をシステムにセットし、リターンする。
【0072】
ステップS1において停止自動スイッチがOFF状態である場合は、ステップS6に進み、自動停止フラグをチェックする。ステップS6において、自動停止フラグが0の場合は、リターンし、自動停止フラグが1の場合は、ステップS7に進み、駐車ブレーキスイッチのON,OFFのチェックにより、駐車ブレーキが作動中か否かをチェックする。
【0073】
ステップS7において、駐車ブレーキの作動中(制動中)は、ステップS7から直接リターンする。ステップS7において、駐車ブレーキが非作動(非制動中)の場合は、ステップS8に進み、一時停止フラグのチェックを行う。
【0074】
ステップS8において一時停止フラグが0の場合は、ステップS9に進み、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43のON操作をチェックする。ステップS9において、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43の両方ともがOFF状態の場合は、ステップS10に進む。
【0075】
ステップS10においては、最初にステップS1において停止自動スイッチ12がON操作された時点からの走行時間を積算し、且つ設定時間から積算時間を引き算した時間を、走行機体1の停止までの残り時間として停止距離表示装置14に表示させ、ステップS11に進む。例えば回転センサ41は走行機体1の走行中はデータを出力するため、回転センサ41の作動時間を積算することによって走行時間の積算が可能である。
【0076】
ステップS11においては、上記積算時間と、停止設定ダイヤル13によって予め設定され、システムにセットされた設定時間とを比較する。積算時間が設定時間以上の場合は、ステップS12に進み、エンジン停止装置38を作動させてエンジンを停止させ、且つ電子ブザー40により警報を吹鳴させ、リターンする。
【0077】
ステップS9において後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43の少なくとも一方がON操作された場合は、ステップS13に進み、一時停止フラグをチェックする。ステップS13において、一時停止フラグが1の場合は、ステップS14に進み、一時停止フラグを0にセットしてステップS10に進む。
【0078】
ステップS13において、一時停止フラグが0の場合は、ステップS15に進み、一時停止フラグを1にセットし、且つ電子ブザー40により後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43の操作による一時停止を開始する警報を吹鳴させ、且つ左右の操向比例制御弁34を作動させ、左右のサイドクラッチ29を同時に切るとともに、左右の両伝動ギヤ31に操向ブレーキ33を掛けて、走行機体1を停止させる。
【0079】
ステップS8において一時停止フラグが1の場合は、ステップS15に進み、その後リターンする。ステップS2において、主変速レバー18がニュートラル以外のポジションにある場合は、ステップS16に進み、電子ブザー40により警報を吹鳴させ、リターンする。
【0080】
以上により主変速レバー18がニュートラルに位置している状態(走行機体1はエンジン22が作動している状態で停車)で停止自動スイッチ12をON操作することによって、走行機体1が設定時間走行すると自動停止する自動制御のモードに入り、停止自動スイッチ12をON操作した後、走行機体1を走行させると、停止自動スイッチ12をON操作した時点、つまり自動制御のモードに入った時点から、走行機体1が設定時間だけ走行すると、その後エンジン22が停止され、走行機体1の走行が停止される。
【0081】
上記自動停止時には自動停止手段により自動停止したことが電子ブザー40により報知される。主変速レバー18をニュートラルに位置させた状態で、停止自動スイッチ12をON操作すると、積算時間がリセットされ、上記自動停止がリセットされる。これにより停止自動スイッチ12をON操作した後、走行機体1を走行させた場合、走行機体1が上記のような自動停止することはない。
【0082】
なお自動停止手段による自動停止制御中の後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43の操作に基づく一時停止中は、後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43を再度ON操作するまで、左右のクローラ走行装置2がロックされた状態のまま、走行機体1の一時停止が継続される。
【0083】
そして自動停止手段による自動停止制御の作動中の上記一時停止中に後部停止スイッチ21又は運転席停止スイッチ43をON操作すると、走行機体1の走行が再開され、走行時間が設定時間に達すると、エンジン22が停止され、走行機体1の走行が停止され、電子ブザー40による報知が行われる。
【0084】
この場合、例えば上記のようなトラック46の荷台46aへのコンバインの積み込み時に、エンジン22が自動停止し、エンジン22の停止操作を手動で行う必要がない。また本コンバインには、走行機体1の走行を停止させる走行停止手段として、上記操向ブレーキ33を利用したものの他、エンジン22の作動を停止させるエンジン停止装置38が設けられており、上記走行時間に基づく自動停止制御においては、エンジン停止装置38を走行停止手段として使用している。
【0085】
エンジン停止手段によって走行機体1を停止させる場合は、自動停止手段による走行機体1の停止後に、走行機体1がエンジン22の駆動力によって誤走行する等の不都合が防止される。またエンジン22の停止操作を手動で行う必要がない。なおどちらの自動停止手段を使用するかは、使用目的に応じて選択することができ、前述の走行距離に基づく自動停止制御にエンジン停止装置38を使用することや、走行時間に基づく自動停止制御に上記操向ブレーキ33を利用したものを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】コンバインの斜視図である。
【図2】コンバインの背面図である。
【図3】運転席の平面図である。
【図4】走行伝動系の伝動線図である。
【図5】マイコンユニット回りのブロック図である。
【図6】緊急停止制御のフローチャート図である。
【図7】走行距離に基づく自動停止制御のフローチャート図である。
【図8】コンバインのトラックへの積み込み状態を示す側面図である。
【図9】走行時間に基づく自動停止制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0087】
1走行機体
2クローラ走行装置(走行装置)
21後部停止スイッチ(エンジン停止スイッチ)
22エンジン
24トランスミッション
32車軸(駆動軸)
33操向ブレーキ(ブレーキ)
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成17年6月6日(2005.6.6)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠

【公開番号】 特開2006−333834(P2006−333834A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−165353(P2005−165353)