トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 モーア
【発明者】 【氏名】辻 英和
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】榎本 和加雄
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】比較的コンパクトな構成で一対の刈刃5,5を駆動できる駆動機構を備えた乗用芝刈機のモーアを提供すること。

【解決手段】互いに逆向きに回転する左右に2枚の刈刃5とその2枚の刈刃5の間に設けた刈取り後の芝草を後方へ搬送する搬送通路40とを車両下方のモーアデッキ38内に設け、2つの刈刃5,5の回転軸37a,35bのうちの一つの回転軸37aは、該回転軸37aから変位した位置に設けられたギア36により駆動され、該ギア36は車両駆動系から動力伝達されるモーア駆動軸28により駆動され、もう一方の刈刃回転軸35bはギア36と同軸上に設けられたプーリ33aにより動力伝達されるモーアである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪(3,3;4,4)を備えた車両の進行方向に向かって左右に2枚の刈刃(5,5)と、前記2枚の刈刃(5,5)が互いに逆向きに回転するそれぞれの刈刃(5,5)の回転軸(37a,35b)を備え、前記2枚の刈刃(5,5)の間に設けた車両下方のモーアデッキ(38)内に、刈取り後の芝草を後方へ搬送する搬送通路(40)を備えた芝草刈取用のモーアにおいて、
前記2つの刈刃(5,5)の回転軸(37a,35b)のうちの一つの刈刃回転軸(37a)は、該回転軸(37a)と一体回転するギア(37)から変位した位置に設けられたギア(36)により駆動され、該ギア(36)は車両駆動系から動力伝達されるモーア駆動軸(28)により駆動され、もう一方の刈刃回転軸(35b)は前記ギア(36)と同軸上に設けられたプーリ(33a)により動力伝達されることを特徴とするモーア。
【請求項2】
前記車両駆動系から動力伝達されるモーア駆動軸(28)へ自在継手(32a)を介して動力を伝達する伝動軸(16)を車両の駆動輪(3)とモーアデッキ(38)内に設けられたシュータ(27)との間に配置したことを特徴とする請求項1記載のモーア。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用芝刈機などの車体の下方に装備されるモーアの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来芝刈機(モーア)を車体前部に装着した、いわゆるフロントモーア型乗用芝刈機が特開2003−289709号公報などに開示されている。この乗用芝刈機は、モーアで刈り取った芝草を車体下方に配したシュータを介して車体後部のコレクターバックに集草する構成を備えている。
【特許文献1】特開2003−289709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の乗用芝刈機に装着されるフロントモーア内には互いに逆向きに回転する一対の刈刃が設けられ、この一対の刈刃で刈り取った芝草を一対の刈刃の間に設けられた芝草排出通路から後方に放出する構成である。
上記一対の刈刃を互いに逆向きに回転させるために、上記モーアは、一対の刈刃の間にカウンタギアを設け、該カウンタギアを介して比較的長いベルトで前記一対の刈刃を駆動させる駆動機構を備えている。そのためモーアの刈刃の駆動機構が複雑となり、コスト高の要因となっていた。
そこで、本発明の課題は、比較的コンパクトな構成で一対の刈刃を駆動できる駆動機構を備えた乗用芝刈機用のモーアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、駆動輪(3,3;4,4)を備えた車両の進行方向に向かって左右に2枚の刈刃(5,5)と、前記2枚の刈刃(5,5)が互いに逆向きに回転するそれぞれの刈刃(5,5)の回転軸(37a,35b)を備え、前記2枚の刈刃(5,5)の間に設けた車両下方のモーアデッキ(38)内に、刈取り後の芝草を後方へ搬送する搬送通路(40)を備えた芝草刈取用のモーアにおいて、前記2つの刈刃(5,5)の回転軸(37a,35b)のうちの一つの刈刃回転軸(37a)は、該回転軸(37a)と一体回転するギア(37)から変位した位置に設けられたギア(36)により駆動され、該ギア(36)は車両駆動系から動力伝達されるモーア駆動軸(28)により駆動され、もう一方の刈刃回転軸(35b)は前記ギア(36)と同軸上に設けられたプーリ(33a)により動力伝達されるモーアである。
【0005】
請求項2記載の発明は、前記車両駆動系から動力伝達されるモーア駆動軸(28)へ自在継手(32a)を介して動力を伝達する伝動軸(16)を車両の駆動輪(3)とモーアデッキ(38)内に設けられたシュータ(27)との間に配置した請求項1記載のモーアである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、左右の刈刃(5,5)の回転軸(37a,35b)を互いに逆転させるには、前記回転軸駆動用の長いベルトを折り返して配索する必要がなく、比較的シンプルな構成であるため低コストのモーアが得られる。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、車両駆動系からのモーア駆動軸(28)と、該モーア駆動軸(28)へ動力を伝達する伝動軸(PTO軸16)との間に設けられる動力伝達用の自在継手(32a)の取付角度が小さくて良いので動力伝達系に余分な負荷がかからない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
本実施例の乗用型芝刈機1の側面図を図1に、フロントモーア部の動力伝動構成の平面図を図2に示す。
【0009】
車体フレーム2の前部と後部にそれぞれ前輪3、3と後輪4、4を備え、車体フレーム2の前部の下方には芝草刈り取り用の刈刃5を備えたモーア6が設けられている。該モーア6は、端部が走行フレーム2に回動自在に接続されたリンクアーム29がモーア昇降シリンダ25により揺動することによって上下動する。車体フレーム2の前部上方のフロア7にはステアリングコラム8を立設し、該コラム8の上部にはハンドル10が設けられている。またハンドル10の後方には操縦席11があり、該操縦席11の後方にはエンジン12を搭載しており、該エンジン12を囲む正面視門型のコレクタバック14が設けられている。
なお、本明細書において乗用型芝刈機1の前進方向を向いて左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後ろということにする。
【0010】
エンジン12の出力軸12aはユニバーサルジョイントを介してHST13に連結され、該HST13は変速装置ケース15内の変速装置の入力軸(図示せず)に連結される。そしてエンジン12の回転動力はHST13で変速され、該変速された走行動力が変速装置ケース15内の動力伝達機構30、前輪3,3及び後輪4,4へ伝達される。
【0011】
さらに、変速装置ケース15の前方上側に設けられた出力軸(図示せず)からの動力によりブロア23が駆動される。ブロア23はブロアケース24に収容されており、該ブロアケース24の上部にはブロアケース24とコレクタバック14を繋ぐ芝草搬送用のダクト26が設けられている。また、ブロア23とモーア6の間にはシュータ27が配置されていて、モーア6により刈り取られた芝草はシュータ27とダクト26を経由してブロア23により後方のコレクタバック14に空気搬送される。
【0012】
また、この乗用芝刈機は、操縦席11の作業者着座位置が前輪駆動軸3a上(鉛直線W上)に配置され、前輪3の前方に配置するモーア6の前端部を、ハンドルポスト8を立設支持するフロア7の先端部とほぼ同一鉛直線V上に配置している。これにより、モーア6は操縦席11に着座した作業者の近くに配置されるので、モーア6の作業位置である芝草の刈り取り位置を視認し易くなり、また操向時にも車体フレームが大きく振られることがない。
【0013】
さらに車体フレーム2の操縦席11の後方部位の左右側面に立設された一対のロプス18,18とコレクタバック14の両側面には一対のコレクタ昇降リンク19,19が図示しない昇降シリンダで昇降自在に取り付けられている。
【0014】
図2には本実施例のリヤディスチャージタイプのモーア6の動力伝動構成の平面図を示す。
エンジン12の回転動力は変速装置ケース15からPTO軸16を経由して、自在継手32a及びモーア駆動軸28などを経由して自在継手32bに連結したモーア入力軸31(図3)へ伝達され、入力プーリ33aの駆動軸33a1に伝えられる。該駆動軸33a1に固着した入力プーリ33aが回転するとタイミングベルト34により右側の刈刃5の駆動軸35bに固着した入力プーリ33bは入力プーリ33aと同一方向に回転する。
【0015】
このとき入力プーリ33aの回転軸33a1と一体的に該軸上にギア36が取り付けられ、該ギア36と噛合するカウンタギア37が該ギア36の左外側に設けられている。該カウンタギア37の回転軸37aは左側の刈刃5の駆動軸でもあるので左右一対の刈刃5,5が互いに矢印r方向に逆向きに回転する。
【0016】
モーアデッキ38内に入り込んだ芝草は前記一対の刈刃5,5によって刈り取られ、モーアデッキ38内の2つの排草路39,39を通って左右方向の中央で合流して芝草搬送通路40、シュータ27及びダクト26を順次通過して車体フレーム2の後方にあるコレクタバック14に回収される。
【0017】
上記一対の刈刃5,5が従来技術に比較して簡単な構成で互いに逆転駆動するので、モーア6の構成がシンプルになり、コスト削減効果がある。
また、モーア駆動軸28及び入力プーリ33aは、車体フレーム2の前後方向の中心線Sより一方の側に偏在させており、より詳しくはモーア駆動軸28及び入力プーリ33aは刈刃駆動軸37aよりモーア左右方向の内側に設けられるため、乗用芝刈機1の本機とモーア6との間の自在継手32aの取付角度を少なくできる。また、前記カウンタギヤ37を用いて刈刃5を回転させる構成であるので、タイミングベルト34のレイアウトが単純化できる。
【0018】
また、図3にはモーアデッキ38上に取り付けたギアケース41の内部の縦断面方向の要部を示す。
エンジン12の回転動力が自在継手32bを経てモーア入力軸31に伝達され、さらに該モーア入力軸31の先端に設けられたベベルギア42が入力プーリ33aの駆動軸33a1と一体回転するベベルギア43と駆動ギア36に伝達される。入力プーリ33aの回転動力はベルト34を介して図2に示す右側の刈刃5を回転させる入力プーリ33bを駆動する。また駆動ギア36の回転動力は左側の刈刃5を回転させるカウンタギア37に伝達される。
【0019】
また、前記フロントモーア6において、モーア6の駆動軸(PTO軸16,モーア駆動軸28)を平面視で前輪3とシュータ27の間に配置しているので、上面視でのモーア6の駆動用の自在継手32a,32bの折角度が少なくなり、これらの継手部品の長寿命化、低騒音及び低振動化などが図れる。
【0020】
さらに本実施例の乗用芝刈機は、操縦席11と変速装置ケース15の間にブロア23を設けている。またこのブロア23は、水平方向に向いているチェーン駆動のポータルタイプの一対の動力伝動機構30間に配置されている。そして前輪駆動軸3aとエンジン動力を前輪3に伝達するデフ30aの回転軸30a1を同一高さに配置し、これら前輪駆動軸3aとデフ回転軸30a1をチェーン30cによって駆動させる。また、同一高さに配置された前輪駆動軸3aとデフ回転軸30a1の間はベベルギヤとシャフトを用いて動力伝達しても良い。
【0021】
このようなモーア6及び前輪駆動系を配置することでモーア6の刈刃5により刈り取った芝草をブロア23を経由してスムーズにコレクタバック14に向けて搬送できる。
【0022】
また、デフ30aの回転軸30a1を前輪回転軸3aの上方に配置する構成を採用する場合には、変速装置ケース15の最低地上高を高くすることができる。このときデフ回転軸30a1と前輪回転軸3aの間はチェーン30cを用いる動力伝導系とする。
【0023】
さらに、前記ブロア23を設けないで、シュータ27とコレクタバック14の間に刈り取った芝草を搬送するバケット式搬送機構、ベルトコンベア式又は螺旋式の搬送機構を設けても良い。
【0024】
本発明の他の実施例の乗用芝刈機の側面図を図4と図5に示す。
図4に示す例は図1の芝草搬送用のダクト26に代えて表面に複数の突起のあるベルトコンベア45を用いて芝草を搬送させる構成である。ベルトコンベア45は変速装置ケース15から取り出したPTO軸16’からの動力により駆動させる。また、図5に示す例は図1の芝草搬送用のダクト26に代えてバネ式のコンベア46を用いて芝草を搬送させる構成である。バネ式コンベア46の上端部はコレクタバック14の内部に位置させる。
【0025】
前記図4、図5の搬送機構等を用いる場合は、ブロア23で芝草を搬送する場合に比較してコレクタバック14を高い位置に配置できるのでコレクタバック14のサイズを比較的大きくでき、またコレクタバック14の上部から芝草を搬入することができるため、芝草の充填率が高くなる。さらにこれらの搬送機構を用いるとブロア23を使用しないので大幅に騒音が低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、家庭用、産業用の乗用芝刈機として有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例の乗用芝刈機の側面図である。
【図2】図1の乗用芝刈機のモーアの動力伝動構成の概略平面図である。
【図3】図1の乗用芝刈機のモーアデッキ上に取り付けたギアケース内の縦断面方向の要部を示す。
【図4】本発明の他の実施例の乗用芝刈機の側面図である。
【図5】本発明の他の実施例の乗用芝刈機の側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 乗用型芝刈機 2 車体フレーム
3 前輪 3a 前輪駆動軸
4 後輪 5 刈刃
6 モーア 7 フロア
8 ステアリングコラム 10 ハンドル
11 操縦席 12 エンジン
12a エンジン出力軸 13 HST
14 コレクタバック 15 変速装置ケース
16,16’ PTO軸 18 ロプス
19 コレクタ昇降リンク 23 ブロア
24 ブロアケース 25 モーア昇降シリンダ
26 ダクト 27 シュータ
28 モーア駆動軸 29 リンクアーム
30 動力伝動機構 30a デフ
30a1 デフ回転軸 30c チェーン
31 モーア入力軸 32a,32b 自在継手
33a,33b 入力プーリ 33a1 駆動軸
34 タイミングベルト 35b 駆動軸
36 ギア 37 カウンタギア
37a カウンタギア回転軸 38 モーアデッキ
39 排草路 40 芝草搬送通路
41 ギアケース 42,43 ベベルギア
45 ベルトコンベア 45 バネ式コンベア
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成17年5月18日(2005.5.18)
【代理人】 【識別番号】100096541
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義

【識別番号】100133318
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 向日子

【公開番号】 特開2006−320231(P2006−320231A)
【公開日】 平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願番号】 特願2005−145441(P2005−145441)