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【発明の名称】 刈払機
【発明者】 【氏名】小竹 正孝

【要約】 【課題】刈り払い作業中に回転刃体の刃部に障害物が接触した際に、回転刃体の回転を速やかに停止させ、障害物の飛散を抑制し、安全性を向上できる刈払機を提供する。

【解決手段】ハウジング13に支持された回転軸14の下端部の回転ディスク21を取り付ける。この回転ディスク21の外周寄り上面に位置規制リブ21fを設け、該リブ21fの外側に位置するように回転刃体31をフリーの状態で支持する。回転刃体31の下端外周部に取り付けたカバー41の外周部分を回転刃体31の上方に配置する。回転ディスク21の回転運動によって、回転刃体31が接触摩擦抵抗により連れ回り回転される。回転刃体31は、回転ディスク21の上面に単に接触されているのみであるため、回転刃体31の刃部31bに小石等の障害物が衝突した際に、回転刃体31の回転が直ちに停止され、障害物に与える運動エネルギーが低減され、障害物の飛散が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作棒の先端部にハウジングを装着し、該ハウジングから回転軸を下向きに突出し、該回転軸の下端部に回転ディスクを取り付け、該回転ディスクの外周寄り上面に対しドーナッツ板状をなす回転刃体を回転ディスクの回転運動による摺動摩擦抵抗により回転可能に支持し、前記ハウジングに対し、前記回転刃体の上面を被覆するカバーを装着したことを特徴とする刈払機。
【請求項2】
請求項1において、前記回転ディスクには、前記回転刃体の内周縁を位置規制するための位置規制リブが上向きに形成されていることを特徴とする刈払機。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記回転ディスクの上面と回転刃体の下面との間にはスペーサリングが介在されていることを特徴とする刈払機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、前記回転ディスクの外周縁には、凹部と凸部が設けられ、凸部の先端の回転中心からの半径は、回転刃体の刃部の回転中心からの半径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする刈払機。
【請求項5】
請求項4において、前記回転刃体の内周縁には、位置規制リングが上向きに形成されていることを特徴とする刈払機。
【請求項6】
請求項4又は5において、前記カバーの外周縁には凹部と凸部が設けられ、該凸部の前記回転刃体の回転方向に関して後行側には、回転方向の先行側ほど半径方向外側に向かって高くなる傾斜部が形成され、回転ディスクの凸部の回転方向に関して先行側には、回転方向の後行側ほど半径方向外側に向かって高くなる傾斜部が形成されていることを特徴とする刈払機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草の刈り取りに適する刈払機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の刈払機として、特許文献1に示すものが提案されている。この刈払機は作業者が把持する操作棒の先端部に対しハウジングを介して回転軸を下向きに支持し、この回転軸により丸鋸を回転させるようになっている。又、前記丸鋸はほぼ全体が上部カバー及び下部カバーによって覆われており、上部カバー及び下部カバーの左右両側に雑草等の被刈払物が進入できる凹部が設けられている。
【0003】
一方、従来の刈払機として特許文献2に示すものも提案されている。この刈払機は、ハウジングに支持した回転軸に対し上下一対の回転ディスクの中心部を嵌合固定し、両回転ディスクの間に遠心刃を介在して連結ピンにより傾動可能に連結し、前記上下の回転ディスクを上方及び下方から覆う保護カバーを設けている。
【特許文献1】実開平3−85820号公報
【特許文献2】特開昭51−55086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前者の刈払機は、丸鋸が積極的に回転されるようになっていたので、丸鋸の先端に例えば小さな石等の障害物が接触すると、障害物が飛散して安全性が損なわれるという問題があった。
【0005】
一方、後者の刈払機は、回転ディスクに対して遠心刃が傾動可能に連結されているので、空き缶あるいは針金等が遠心刃に当たった場合、その衝撃を緩和することができる。しかし、回転ディスクに遠心刃が連結されているので、遠心刃が積極的に旋回され、このため障害物の飛散を十分に防止することができないという問題があった。
【0006】
この発明は従来の技術に存する問題点に着目してなされたものであって、その目的は、刈り払い作業中に、回転刃体の刃部に障害物が接触した際に、回転刃体の回転を速やかに停止させ、障害物の飛散を抑制し、安全性を向上することができる刈払機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、操作棒の先端部にハウジングを装着し、該ハウジングから回転軸を下向きに突出し、該回転軸の下端部に回転ディスクを取り付け、該回転ディスクの外周寄り上面に対しドーナッツ板状をなす回転刃体を回転ディスクの回転運動による摺動摩擦抵抗により回転可能に支持し、前記ハウジングに対し、前記回転刃体の上面を被覆するカバーを装着したことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記回転ディスクには、前記回転刃体の内周縁を位置規制するための位置規制リブが上向きに形成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記回転ディスクの上面と回転刃体の下面との間にはスペーサリングが介在されていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記回転ディスクの外周縁には、凹部と凸部が設けられ、凸部の先端の回転中心からの半径は、回転刃体の刃部の回転中心からの半径よりも大きくなるように設定されていることを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記回転刃体の内周縁には、位置規制リングが上向きに形成されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5において、前記カバーの外周縁には凹部と凸部が設けられ、該凸部の前記回転刃体の回転方向に関して後行側には、回転方向の先行側ほど半径方向外側に向かって高くなる傾斜部が形成され、回転ディスクの凸部の回転方向に関して先行側には、回転方向の後行側ほど半径方向外側に向かって高くなる傾斜部が形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転刃体が回転ディスクの上面とカバーの下面との間に単に接触したフリーの状態で支持されているので、回転ディスクが回転されると、両者の接触摩擦抵抗により回転刃体が回転される。回転刃体による雑草の刈り払い作業中に回転刃体の刃部に障害物が接触すると、回転ディスクの回転は継続されるが、回転刃体の回転が直ちに停止されるので、障害物に与える運動エネルギーが軽減され、障害物の飛散が抑制され、安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように刈払機の操作棒11の先端部には有蓋筒状のハウジング13が下端を開口するように下向きに連結されている。このハウジング13内には回転軸14が上下一対のラジアルボールベアリング15,15により所定位置において回転可能に支持されている。前記回転軸14は、前記操作棒11内を貫通する駆動軸16と、その先端に設けた駆動ベベルギア17Aと、これに噛み合うように回転軸14に設けた被動ベベルギア17Bとにより回転される。前記駆動軸16は、操作棒11の基端部に装着したエンジン(図示略)にクラッチボックス(図示略)を介して連結されている。
【0013】
図1に示すように、前記回転軸14のスプライン部14aには、円盤状の回転ディスク21が装着されている。前記回転軸14の中間部にはフランジ部14bが一体に形成されている。該フランジ部14bの下面と前記回転ディスク21の上面との間にはスプライン部14aに対し一体回転可能に嵌合された取付板22が介在されている。この取付板22の下面には、図1に示すように膨出部22aが一体に形成され、この膨出部22aは前記回転ディスク21の中心部に形成した取付穴21aに嵌入されている。前記回転ディスク21の下面には回転軸14の下端部に対し緩く嵌合された取付板23が当接されている。この取付板23は前記スプライン部14aの下端面に螺合したボルト24により前記回転ディスク21の下面に押圧され、上部の取付板22との間において回転ディスク21が挟着固定されている。
【0014】
図4に示すように、前記回転ディスク21のディスク本体21bの外周縁には凹部21c及び凸部21dが交互に等ピッチで複数箇所(この実施形態では、11箇所)に形成されている。前記ディスク本体21bには、平面扇形状の穴21eが形成され、その外周側の円弧状部には後述する回転刃体31を回転ディスク21の半径方向に位置規制するための位置規制リブ21f が上向きに切り起こし形成されている。前記ディスク本体21bには、軽量化のための円形状の穴21gが複数箇所に形成されている。
【0015】
次に、前記回転ディスク21の位置規制リブ21fより外側の上面に支持された前記回転刃体31について説明する。この回転刃体31は、図4に示すように、ドーナッツ板状のリング部31aと、そのリング部31aの外周縁に形成された鋸歯状をなす多数(例えば36箇)の刃部31bと、前記リング部31aの内周縁に上方向に一体に湾曲形成された位置規制リング31cとによって構成されている。
【0016】
図1に示すように、前記回転ディスク21の上面と、回転刃体31の下面との間には、図4に示すドーナツ板状のスペーサリング32が介在されている。
図1,3に示すように、前記ハウジング13の下部には取付ボス部13aが一体に形成されるとともに、取付ボス部13aの上部外周にはフランジ部13bが一体に形成されている。前記取付ボス部13aには前記回転刃体31を上方から覆うカバー41が取り付けられている。このカバー41は図3に示すように中心に取付穴41aを有する取付リング部41bと、この取付リング部41bの外周縁に一体に半径方向に形成された複数(この実施形態では3本)のアーム部41cと、これらのアーム部41cの先端部に一体に形成されたドーナッツ板状のカバー部41dと、このカバー部41dの外周縁に等ピッチで形成された複数(この実施形態では17箇所)の凹部41e及び凸部41fと、前記カバー部41dの内周縁に下方に一体に折曲げ形成された平面円弧状をなす補強リブ41gとによって構成されている。
【0017】
前記リング部41bの上面は図1に示すように前記フランジ部13bの下面に接触され、前記取付ボス部13aの外周に形成した雄ねじ部13cに螺合された雌ねじ42aを有する締付リング42によって締付固定されている。なお、43はフランジ部13bと締付リング42の間に介在した皿バネである。
【0018】
前記ディスク本体21bの上面と、カバー41のカバー部41dの下面との間には、前記回転刃体31をフリー状態に緩やかに収容するための収容空間44が形成されている。
図1に示すように、前記回転ディスク21の前記凸部21dの先端の回転ディスク21の回転中心Oからの半径R1寸法は、前記カバー41の凸部41fの先端の半径R2寸法と同一に設定されている。又、前記回転刃体31の刃部31bの先端の半径R3寸法は、前記回転ディスク21の凸部21dの半径R1(=R2)寸法よりも短く形成されている。前記回転ディスク21の位置規制リブ21fの外周面の半径R4寸法は、回転刃体31の位置規制リング31cの内周面の半径R5寸法よりも若干(例えば0.2mm〜2.0mm)短く形成されている。さらに、前記位置規制リブ21fの内周面の半径R6寸法は、前記カバー41の補強リブ41gの外周面の半径R7寸法よりも若干(例えば0.2mm〜2.0mm)大きく形成されている。
【0019】
図2に示すように、前記回転ディスク21の凸部21dの回転方向Pの先行側の傾斜部21hは、該回転方向Pの後行側ほど回転ディスク21の半径方向外側に向かって高くなるように形成されている。又、カバー41の凸部41fの前記回転方向Pに関して後行側の傾斜部41hは、回転方向Pに関して、先行側ほど回転ディスク21の半径方向外側に向かって高くなるように形成されている。
【0020】
次に、前記のように構成した刈払機についてその動作を説明する。
前記回転軸14が回転されると、スプライン部14aを介して取付板22,23及び回転ディスク21が回転され、これよりフリー状態の回転刃体31が回転ディスク21との接触摩擦抵抗により回転される。この状態において回転ディスク21及びカバー41が例えば雑草の刈り始め部分に接近すると、カバー41の凹部41e〜41e内に雑草が進入するので、回転刃体31の刃部31bによって雑草が切断される。
【0021】
次に、前記のように構成した刈払機の効果を構成とともに列記する。
(1)前記実施形態では、前記回転ディスク21のディスク本体21bの外周寄り上面に回転刃体31を単に接触するだけのフリーの状態で支持した。このため、刈り払い作業中に回転刃体31に針金や小石等の障害物の噛み込み時に、所定値以上の外部衝撃が作用すると、回転刃体31が回転ディスク21の上面で直ちにスリップし、回転刃体31の回転を速やかに停止させ、障害物の飛散を抑制し、安全性を向上することができる。又、回転刃体31の刃部31bが損傷したりカバー41が損傷したりするのを防止することもできる。
【0022】
(2)前記実施形態では、図2に示すように、前記回転ディスク21の凸部21dの傾斜部21hが回転方向Pの後行側ほど回転ディスク21の半径方向外側に向かって高くなるように形成されているので、回転ディスク21の回転中に、凸部21dが小石等の障害物に衝突してもその衝撃が緩和され、障害物の飛散が抑制される。
【0023】
(3)前記実施形態では、非回転のカバー41の凸部41fの傾斜部41hは、回転ディスク21の回転方向Pに関して、先行側ほど半径方向外側に向かって高くなるように形成されている。このため、凸部41fと、回転刃体31の刃部31bとの間に障害物が噛み込まれても傾斜部41hに沿って半径方向外側に障害物が移動されるので、障害物の噛み込みが防止されるとともに障害物の移動速度を緩和して安全性を高めることができる。
【0024】
(4)前記実施形態では、図1に示すように、回転刃体31の刃部31bの先端の半径R3寸法が回転ディスク21の凸部21dの先端の半径R1寸法及びカバー41の凸部41fの先端の半径R2寸法よりも短くなるように設定した。このため、回転刃体31の刃部31bが障害物に接触する前に、前記回転ディスク21の凸部21dの旋回運動によって障害物が移動され、障害物と刃部31bの接触による刃部31bの損傷が防止される。
【0025】
(5)前記実施形態では、回転ディスク21のディスク本体21bの上面と回転刃体31の下面との間にスペーサリング32を介在したので、ディスク本体21bと回転刃体31の接触面積を少なくすることができ、このため、接触抵抗が小さくなり、回転刃体31に障害物が接触した際に回転刃体31を直ちに停止することが確実となる。
【0026】
なお、前記実施形態は以下のように変更して具体化することもできる。
・図5に示すように、前記回転ディスク21の凹部21c及び凸部21dを省略してもよい。
【0027】
・図6又は図7に示すように、前記回転刃体31の刃部31bを少なくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の刈払機を具体化した要部縦断面図。
【図2】刈払機の要部の平面図。
【図3】ハウジングとカバーの分解斜視図。
【図4】回転ディスクと回転刃体の分解斜視図。
【図5】回転ディスクの別の実施形態を示す斜視図。
【図6】回転刃体の別の実施形態を示す斜視図。
【図7】回転刃体の別の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0029】
O…回転中心、P…回転方向、41e−41e,21c,41e…凹部、11…操作棒、13…ハウジング、14…回転軸、21…回転ディスク、21d,41f…凸部、21f,41g…位置規制リブ、21h,41h…傾斜部、31…回転刃体、31b…刃部、31c…位置規制リング、32…スペーサリング、41…カバー。
【出願人】 【識別番号】598113759
【氏名又は名称】小竹 正孝
【出願日】 平成17年3月30日(2005.3.30)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠

【公開番号】 特開2006−271342(P2006−271342A)
【公開日】 平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願番号】 特願2005−99952(P2005−99952)