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【発明の名称】 作業用走行車
【発明者】 【氏名】仲佐 陽一
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】油圧式無段変速装置と駐車ブレーキ操作系の干渉を回避しつつ、ペダル回動支点位置の自由度を高める。

【解決手段】走行動力を無段変速する油圧式無段変速装置9と、走行部6を制動する駐車ブレーキ機構と、クラッチペダル12の操作に応じて駐車ブレーキレバー21を作動させる駐車ブレーキ操作系とを備えるコンバイン1において、ペダル回動支軸13と駐車ブレーキレバー21との間に、油圧式無段変速装置9を配置すると共に、クラッチペダル12と駐車ブレーキレバー21を、油圧式無段変速装置9を迂回する駐車ブレーキ操作系を介して連結する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行動力を無段変速する油圧式無段変速装置と、走行輪を制動する駐車ブレーキ機構と、ペダル操作に応じて前記駐車ブレーキ機構を動作させる駐車ブレーキ操作系とを備える作業用走行車において、
前記ペダルの回動支点と前記駐車ブレーキ機構との間に、前記油圧式無段変速装置を配置すると共に、前記ペダルと前記駐車ブレーキ機構を、前記油圧式無段変速装置を迂回する前記駐車ブレーキ操作系を介して連結したことを特徴とする作業用走行車。
【請求項2】
前記駐車ブレーキ操作系は、曲げ加工された一本のロッドで構成されることを特徴とする請求項1記載の作業用走行車。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル操作に応じて駐車ブレーキ機構を動作させるコンバインなどの作業用走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
走行動力を無段変速する油圧式無段変速装置と、走行輪を制動する駐車ブレーキ機構と、ペダル操作に応じて前記駐車ブレーキ機構を動作させる駐車ブレーキ操作系とを備える作業用走行車が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の作業用走行車では、クラッチペダルが駐車ブレーキペダルに兼用されており、クラッチペダルの操作に応じて、走行クラッチ機構及び駐車ブレーキ機構の動作が行われる。
【特許文献1】特開平10−278761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示されるように、駐車ブレーキ機構及び油圧式無段変速装置をミッションケースに設けたものでは、駐車ブレーキ操作系が油圧式無段変速装置に干渉する可能性があるため、ペダル回動支軸の配置が制限される惧れがある。例えば、特許文献1に記載の作業用走行車では、操作部のフロア下方にペダル回動支軸を配置しているが、これをフロア上方に配置すべく、操作部のサイドパネルからペダル回動支軸を突設する場合について考えてみる。この場合、ペダルアーム形状などの関係でペダル回動支点を後方にシフトする必要があるが、ペダル回動支点を後方にシフトすると、ペダル回動支軸と駐車ブレーキ機構との間に油圧式無段変速装置が介在し、ペダル回動支軸と駐車ブレーキ機構との連結が困難になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行動力を無段変速する油圧式無段変速装置と、走行輪を制動する駐車ブレーキ機構と、ペダル操作に応じて前記駐車ブレーキ機構を動作させる駐車ブレーキ操作系とを備える作業用走行車において、前記ペダルの回動支点と前記駐車ブレーキ機構との間に、前記油圧式無段変速装置を配置すると共に、前記ペダルと前記駐車ブレーキ機構を、前記油圧式無段変速装置を迂回する前記駐車ブレーキ操作系を介して連結したことを特徴とする。このようにすると、油圧式無段変速装置と駐車ブレーキ操作系の干渉を回避しつつ、ペダル回動支点位置の自由度を高めることができる。
また、前記駐車ブレーキ操作系は、曲げ加工された一本のロッドで構成されることを特徴とする。このようにすると、駐車ブレーキ操作系の構成が簡略化され、コストダウンが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀し、かつ、穀粒を選別する脱穀部(図示せず)と、選別した穀粒が貯溜される穀粒タンク3と、脱穀済みの排稈を後処理する後処理部4と、オペレータが乗車する操作部5と、クローラ式の走行部6とを備えて構成されている。
【0006】
操作部5には、オペレータが着座する運転席7が設けられている。運転席7の前方には、機体の操向具及び前処理部2の昇降操作具に兼用されるマルチステアリングレバー8が配置され、運転席7の左側方には、後述する油圧式無段変速装置9(走行主変速機構)を変速操作する主変速レバー10が配置されている。また、操作部5の床部には、走行クラッチ機構11及び駐車ブレーキ機構(図示せず)の操作具に兼用されるクラッチペダル12が配置されている。クラッチペダル12を回動自在に支持するペダル回動支軸13は、従来、操作部5のフロア下方に配置されていたが、本実施形態では、フロア上方に配置するために、操作部5のサイドパネル14からペダル回動支軸13を突設している。それに伴いクラッチペダル12のアーム部が直線的になり、また、ペダル回動支軸13の位置が後方にシフトされる。
【0007】
図2〜図4に示すように、機体フレーム15の前部には、走行動力及び作業動力を発生させるエンジン16や、前述の油圧式無段変速装置9を介してエンジン動力を入力するミッションケース17が設けられている。エンジン16は、左側面部に設けられるエンジンプーリ18からエンジン動力を出力し、このエンジン動力が走行ベルト19を介して油圧式無段変速装置9の入力プーリ20に伝動される。油圧式無段変速装置9は、入力プーリ20が入力した動力で駆動される可変容量油圧ポンプと、該可変容量油圧ポンプの吐出油で駆動される固定容量油圧モータとを組み合せて構成される所謂HSTであり、可変容量油圧ポンプの斜板角を変更するトラニオン軸(図示せず)の回動位置に応じて前進域及び後進域の走行変速を行う。
【0008】
ミッションケース17は、油圧式無段変速装置9を上部に一体的に備えており、ここから入力した動力を、図示しない走行副変速機構やサイドクラッチ機構を介して、左右の走行部6に伝動する。また、ミッションケース17は、前述した駐車ブレーキ機構を内装しており、ミッションケース17の右側面に設けられる駐車ブレーキレバー21の回動操作に応じて、左右の走行部6(走行輪)が制動される。
【0009】
走行クラッチ機構11は、ベルトテンション式のクラッチであって、前記走行ベルト19の緊張/弛緩により、走行動力を断続する。具体的に説明すると、走行クラッチ機構11は、走行ベルト19に上方から当接するプーリ22と、該プーリ22を上下動自在に支持するテンションアーム23と、該テンションアーム23を下方に付勢するテンションスプリング24とを備えて構成され、このテンションスプリング24の付勢力に抗してテンションアーム23を上方に回動させることにより、走行ベルト19が弛緩し、油圧式無段変速装置9への動力伝動が断たれる。
【0010】
図5に示すように、テンションスプリング24は、上下両端部にフック24aを有する引張りコイルスプリングであり、上端のフック部24aは、テンションアーム23に係着され、下端のフック部24aは、固定側に係着される。ここで本実施形態では、下端のフック部24aを固定側に係着するにあたり、ミッションケース17用の支持ブラケット25を利用する。支持ブラケット25は、機体フレーム15の前端部に一体的に溶着される左右一対のサイドプレート26と、左右のサイドプレート26を一体的に連結する補強プレート27とを有し、サイドプレート26の先端部にミッションケース17の後端部が固定される。本実施形態では、支持ブラケット25の補強プレート27に二つの長孔27a、27bを形成し、テンションスプリング24のフック部24aを係着可能とする。
【0011】
図2〜図4に示すように、クラッチペダル12のペダル回動支軸13には、三つのアーム28〜30が一体的に設けられている。第一アーム28は、ペダルスプリング31の一端を係着するためのものであり、このペダルスプリング31によって、クラッチペダル12が非操作位置で付勢保持される。クラッチペダル12には、前述した走行クラッチ機構11のテンションスプリング24や、駐車ブレーキ機構の戻しスプリング(図示せず)の付勢力が作用するため、クラッチペダル12に作用するペダルスプリング31の付勢力は小さいほうが好ましい。
【0012】
そこで、本実施形態では、図6に示すように、第一アーム28をペダル回動支軸13から後下方へ突設し、その先端部にペダルスプリング31の一端を係着する一方、ペダルスプリング31の他端をペダル回動支軸13の前方離間位置に係着している。このようにすると、クラッチペダル12を踏み込んだとき、ペダルスプリング31がペダル回動支軸13に近づき、ペダルスプリング31の実質的な引張り量が小さくなるので、クラッチペダル12の操作負荷を軽減できる。
【0013】
第二アーム29は、連結プレート32を介して走行クラッチ機構11のテンションアーム23に連結されている。これにより、クラッチペダル12の踏込み操作に応じてプーリ22が上動し、走行クラッチ機構11を切り動作させることが可能になる。また、第三アーム30は、連結ロッド33を介して駐車ブレーキレバー21に連結されている。つまり、連結ロッド33は、クラッチペダル12の踏込み操作に応じて駐車ブレーキ機構を入り動作させる駐車ブレーキ操作系を構成している。
【0014】
図2〜図4に示すように、ペダル回動支軸13(第三アーム30)は、油圧式無段変速装置9の上方に配置され、駐車ブレーキレバー21は、油圧式無段変速装置9の下方に配置されている。換言すると、ペダル回動支軸13と駐車ブレーキレバー21との間に、油圧式無段変速機構9が配置されている。本実施形態では、このように配置された第三アーム30と駐車ブレーキレバー21を連結するにあたり、側面視及び正面視において油圧式無段変速装置9を迂回する駐車ブレーキ操作系(連結ロッド33)を介して、第三アーム30と駐車ブレーキレバー21を連結する構成としてある。このようにすると、第三アーム30と駐車ブレーキレバー21の間に油圧式無段変速装置9が介在しても、油圧式無段変速装置9との干渉を回避しつつ、両者間に駐車ブレーキ操作系を構成することが可能になる。
【0015】
駐車ブレーキ操作系は、複数の部材で構成してもよいが、本実施形態のように、曲げ加工された一本の連結ロッド33で構成することが好ましい。このようにすると、駐車ブレーキ操作系の構成が簡略化され、コストダウンが可能になるだけでなく、無駄な荷重の発生を回避し、クラッチペダル12の操作荷重を軽減できる。
【0016】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、走行動力を無段変速する油圧式無段変速装置9と、走行部6を制動する駐車ブレーキ機構と、クラッチペダル12の操作に応じて駐車ブレーキレバー21を作動させる駐車ブレーキ操作系とを備えるコンバイン1において、ペダル回動支軸13と駐車ブレーキレバー21との間に、油圧式無段変速装置9を配置すると共に、クラッチペダル12と駐車ブレーキレバー21を、油圧式無段変速装置9を迂回する駐車ブレーキ操作系を介して連結したので、ペダル回動支軸13と駐車ブレーキレバー21との間に、油圧式無段変速装置9が介在しても、油圧式無段変速装置9との干渉を回避しつつ、両者を連結することができる。
【0017】
しかも、本実施形態の駐車ブレーキ操作系は、曲げ加工された一本の連結ロッド33で構成されているので、駐車ブレーキ操作系の構成を簡略化して、コストダウンが可能になるだけでなく、無駄な荷重の発生を回避し、クラッチペダル12の操作荷重を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コンバインの全体右側面図である。
【図2】コンバインの要部を示す正面図である。
【図3】コンバインの要部を示す右側面図である。
【図4】コンバインの要部を示す左側面図である。
【図5】クラッチスプリングの斜視図である。
【図6】クラッチペダルの右側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 コンバイン
5 操作部
11 走行クラッチ機構
12 クラッチペダル
13 ペダル回動支軸
14 サイドパネル
16 エンジン
17 ミッションケース
21 駐車ブレーキレバー
31 ペダルスプリング
33 連結ロッド
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成17年3月3日(2005.3.3)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫

【公開番号】 特開2006−238781(P2006−238781A)
【公開日】 平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願番号】 特願2005−58576(P2005−58576)