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【発明の名称】 コンバインにおける作業機ミッションケース
【発明者】 【氏名】石田 健之
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】コンバインをコンパクトに構成することができる作業機ミッションケースを提供することを課題としている。

【解決手段】圃場の穀稈を刈り取り、且つ後方に搬送する前処理部3用の駆動力を出力する作業機トランスミッションを内装する作業機ミッションケース16の後端部を、前処理部3によって刈り取られた穀稈の脱穀作業を行う脱穀機4の前端より後方に位置させ、側面視において一部が脱穀機4と重複するように作業機ミッションケース16を前処理部3の後方位置に配置した。また作業機ミッションケース16を正面視で、少なくとも一部が脱穀機4と重複するように作業機ミッションケース16の後端部に、脱穀機4の前端側が入り込むための窪み部16Hを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(5)の前方に、圃場の穀稈を刈り取り、且つ後方に搬送する前処理部(3)を設け、前処理部(3)によって刈り取られた穀稈の脱穀作業を行う脱穀機(4)を前処理部(3)より後方に設け、前処理部(3)用の駆動力を出力する作業機トランスミッションを内装する作業機ミッションケース(16)を、走行機体(5)の機体フレーム(1)側に取り付けて設け、作業機ミッションケース(16)を前処理部(3)の後方位置に配置したコンバインにおいて、作業機ミッションケース(16)の後端部を、脱穀機(4)の前端より後方に位置させ、側面視において一部が脱穀機(4)と重複するように作業機ミッションケース(16)を配置したコンバインにおける作業機ミッションケース。
【請求項2】
作業機ミッションケース(16)の後端部に、脱穀機(4)の前端側が入り込むための窪み部(16H)を設け、作業機ミッションケース(16)を正面視で、少なくとも一部が脱穀機(4)と重複するように配置した請求項1のコンバインにおける作業機ミッションケース。
【請求項3】
脱穀機(4)内の前方側に選別用の選別風を発生させる送風ファン(23)を設け、該送風ファン(23)の駆動軸(24)から駆動力の入力を行うように構成した請求項1又は2のコンバインにおける作業機ミッションケース。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、前処理部駆動用の作業機トランスミッションを搭載するコンバインにおける作業機ミッションケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来走行機体の前方に、圃場の穀稈を刈り取り、且つ後方に搬送する前処理部を設け、前処理部によって刈り取られた穀稈の脱穀作業を行う脱穀機を前処理部より後方に設け、前処理部用の駆動力を出力する作業機トランスミッションを内装する作業機ミッションケースを、走行機体の機体フレーム側に取り付けて設け、作業機ミッションケースを前処理部の後方位置に配置したコンバインが公知となっている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−49183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記作業機ミッションケースは、全体が脱穀機の前面より前方に配置されているため、脱穀機の前方に作業機ミッションケースを配置する比較的大きなスペースが必要となり、コンバインの全長を短くすることが困難となり、コンバインのコンパクト化が困難であるという欠点があった。上記コンバインは大型であり、脱穀機前方のスペースに余裕があるため、作業機ミッションケースの配置スペースの問題はない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明のコンバインにおける作業機ミッションケースは、走行機体5の前方に、圃場の穀稈を刈り取り、且つ後方に搬送する前処理部3を設け、前処理部3によって刈り取られた穀稈の脱穀作業を行う脱穀機4を前処理部3より後方に設け、前処理部3用の駆動力を出力する作業機トランスミッションを内装する作業機ミッションケース16を、走行機体5の機体フレーム1側に取り付けて設け、作業機ミッションケース16を前処理部3の後方位置に配置したコンバインにおいて、作業機ミッションケース16の後端部を、脱穀機4の前端より後方に位置させ、側面視において一部が脱穀機4と重複するように作業機ミッションケース16を配置したことを第1の特徴としている。
【0005】
第2に作業機ミッションケース16の後端部に、脱穀機4の前端側が入り込むための窪み部16Hを設け、作業機ミッションケース16を正面視で、少なくとも一部が脱穀機4と重複するように配置したことを特徴としている。
【0006】
第3に脱穀機4内の前方側に選別用の選別風を発生させる送風ファン23を設け、該送風ファン23の駆動軸24から駆動力の入力を行うように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成される本発明の構造によると、作業機ミッションケースの後端部が、脱穀機の前端より後方に位置し、側面視において一部が脱穀機と重複するように作業機ミッションケースが配置されるため、作業機ミッションケースを配置するための前処理部の後方のスペースを小さくすることができる。これによりコンバインの全長を短くすることができ、長さ方向にコンパクトなコンバインを提供することが可能となるという効果がある。
【0008】
一方上記に加え、作業機ミッションケースの後端部に、脱穀機の前端側が入り込むための窪み部を設け、作業機ミッションケースを正面視で、少なくとも一部が脱穀機と重複するように配置することによって、作業機ミッションケースを配置するための脱穀機の側方のスペースを小さくすることができる。これによりコンバインの全幅を短くすることができ、幅方向にもコンパクトなコンバインを提供することが可能となり、特に刈り取り条数が少ないコンバインの小型化に効果的となる。
【0009】
また脱穀機内の前方側に選別用の選別風を発生させる送風ファンを設け、作業機ミッションケースへの駆動力の入力を送風ファンの駆動軸から行うように構成することによって、作業機トランスミッションにエンジンから直接駆動力を入力する必要がなく、作業機ミッションケースの配置がエンジンの位置に規制されず、作業機ミッションケースの配置の自由度が向上するという効果がある。さらにエンジンの側方にスペースが空き、作業機ミッションケースの配置を容易に行うことができるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図4は、本発明を採用したコンバインの右側面概略図,左側面概略図,要部平面概略図,正面概略図である。コンバインの機体フレーム1は、左右のクローラ式の走行装置2に支持されている。機体フレーム1上に走行機体5が構成されている。走行機体5の前方には圃場の穀稈を刈り取り、且つ後方に搬送する前処理部3が設けられている。
【0011】
機体フレーム1上の左側には刈り取られた穀稈の脱穀を行う脱穀機4が搭載されている。脱穀機4と前処理部3との間には、刈取り穀稈を前処理部3から脱穀機4側に扱ぎ深さを調節しながら搬送する扱深さ搬送体6が設けられている。脱穀機4の外側方には、穀稈を扱深さ搬送体6から受け継ぎ、脱穀機4に供給するフィードチェン7が設けられている。
【0012】
機体フレーム1上における脱穀機4の前方には前処理部4の支持機構や駆動機構等が搭載されている。機体フレーム1上の右側前方には、運転席8が設けられている。運転席8の座席下方にエンジンEが収容されている。エンジンEからの駆動力によって走行装置2、前処理部3、扱深さ搬送体6、フィードチェン7、脱穀機4等が駆動される。
【0013】
本コンバインは、従来同様、エンジンEからの駆動力により、各部が駆動され、走行装置2によって圃場内を走行しながら、前処理部3によって圃場内の穀稈を刈り取り、前処理部3により刈り取られた穀稈を、扱深さ搬送体6によって扱ぎ深さを調節して、扱深さ搬送体6からフィードチェン7に受け継がせ、脱穀機4によって脱穀する。
【0014】
前処理部3からは、縦方向の縦伝動パイプ9が後方に向かって突出している。縦伝動パイプ9の機体フレーム1側の端部には、中空パイプ状の横伝動パイプ11が一体的に固定されている。機体フレーム1には、横伝動パイプ11を機体フレーム1より上方位置で支持する支持ブラケット12L,12Rが左右に取り付けられている。
【0015】
横伝動パイプ11は支持ブラケット12L,12Rによって、機体フレーム1の上方位置に配置され、軸心を中心として回動することができるように支持されている。前処理部3は上記のように縦伝動パイプ9によって機体フレーム1側に支持され、横伝動パイプ11の軸心を中心として上下揺動可能となっている。
【0016】
脱穀機4側(左側)の支持ブラケット12Lは、縦伝動パイプ9の近傍に位置し、連結部材10を介して脱穀機4の前壁と連結されて固定されている。これにより前処理部3の支持が安定して行われる。また扱深さ搬送体6は横伝動パイプ11の支持ブラケット12L側の端部側に上下回動自在に支持されており、連結部材10によって安定支持されている。
【0017】
図5(a),(b)に示されるように、運転席8側(右側)の支持ブラケット12Rにおける脱穀機4側の面12Raには、前処理部3及びフィードチェン7の駆動用の作業機トランスミッションのミッションケース(作業機ミッションケース)16の運転席8側の面(右側面)16bが固定して取り付けられている。
【0018】
作業機ミッションケース16の上記支持ブラケット12Rの反対側の面(左側面)16aは、両支持ブラケット12L,12Rの間に位置して機体フレーム1に取り付けられた支持体17に取り付けられている。
【0019】
作業機ミッションケース16は上記のように横伝動パイプ11の支持部材と共用される支持ブラケット12Rと、作業機ミッションケース16専用の支持部材となる支持体17とによって機体フレーム1に取り付けられている。これにより作業機ミッションケース16の取り付けに関する部品点数が少なくなり、作業機ミッションケース16の取り付けを低コストで行うことができる。
【0020】
なお作業機ミッションケース16の支持ブラケット12Rの反対側の面16aは、脱穀機4の前壁と連結部材15を介して連結されて固定され、作業機ミッションケース16の取り付け状態が安定している。
【0021】
作業機ミッションケース16は、機体フレーム1上におけるエンジンE(運転席8)より脱穀機4側(左側)に配置されている。作業機ミッションケース16の後端部分は、平面視において脱穀機4側が切欠き状に窪んだ窪み部16Hとなっている。作業機ミッションケース16は、窪み部16Hに脱穀機4の前端部分が入り込み、側面視及び平面視において脱穀機4と重複するように配置されている。
【0022】
前述の横伝動パイプ11は作業機ミッションケース16の前方側に位置する。ただし横伝動パイプ11の高さ位置は機体フレーム1に取り付けられた作業機ミッションケース16の中間位置程度となっている。このため作業機ミッションケース16の前側の中間部分には、横伝動パイプ11の通過が可能な凹部18が形成されている。
【0023】
横伝動パイプ11は作業機ミッションケース16の前側の凹部18を通過して配置されている。横伝動パイプ11の配置が、機体フレーム1上の前方側に位置することは避けられず、本構造においても横伝動パイプ11は機体フレーム1上の前方側に位置して配置されている。
【0024】
しかし上記本実施形態の横伝動パイプ11の支持構造により、中でも前処理部3の支持位置(横伝動パイプ11の前後位置)は機体フレーム1の後方側に寄る。このため横伝動パイプ11の作業機ミッションケース16より前方への突出量は極めて少ない。
【0025】
一方前述のように作業機ミッションケース16は、後端部が、脱穀機4の前端より後方に位置し、側面視において一部が脱穀機4と重複するように配置されている。これにより作業機ミッションケース16を配置する機体フレーム1上の前方側のスペースは小さくて済む。
【0026】
前述のように横伝動パイプ11の作業機ミッションケース16より前方への突出量が小さく、且つ作業機ミッションケース16を配置する機体フレーム1上の前方側のスペースが小さく抑えられていることにより、本コンバインの全長は短く形成されている。
【0027】
さらに作業機ミッションケース16は、後端部に形成された窪み部16Hに、脱穀機4の前端側が入り込むように配置されて、正面視で一部が脱穀機4と重複する。これにより作業機ミッションケース16を配置するためのエンジンEと脱穀機4との間のスペースは小さくて済む。このため本コンバインの全幅は短く形成されている。
【0028】
以上により本コンバインは長さ方向及び幅方向にコンパクトなコンバインとなっている。特に本構造を刈り取り条数が少ない小型のコンバイン、例えば2条刈り用のコンバインに適用することによって、作業機ミッションケース16の配置スペースを確保することができ、小型化の要求が高いを小型コンバインをさらにコンパクトに構成することができる。
【0029】
なお作業機ミッションケース16の後部上方は、切欠き状に窪んだ凹部20が設けられている。該凹部20によって作業機ミッションケース16の後方上部にある構造物を避けて、作業機ミッションケース16を容易に取り付け配置することができる。
【0030】
次に前処理部3及びフィードチェン7の駆動構造について説明する。図6に示されるように、エンジンEの駆動力は、まずエンジンEから脱穀機4に駆動力を伝動する中間軸21にベルト伝動されている。中間軸21からは2番物の搬送を行う2番ラセン軸22に駆動力がベルト伝動されている。
【0031】
2番ラセン軸22からは、選別用の選別風を発生させる唐箕ファン23の駆動軸24に駆動力がベルト伝動されている。唐箕ファン23は上記駆動軸24に軸支されており、2番ラセン軸22から入力される駆動力によって回転駆動される。2番ラセン軸22からの駆動力の入力は脱穀機4の外側方側において行われる。
【0032】
脱穀機4における内側(エンジンE側)には、上記唐箕ファン23の駆動軸24に取り付けられた出力プーリ26が設けられている。作業機ミッションケース16の運転席8側の面16bには、駆動力の入力軸25に軸支された入力プーリ27が設けられている。該入力プーリ27と上記出力プーリ26との間には、伝動用のベルト28が掛けまわされている。
【0033】
該ベルト28にはテンションクラッチ用のアイドルプーリ29が揺動自在に摺接し、ベルト28にテンションを与えることによって駆動力の伝動を入り状態とするベルトテンションクラッチが構成されている。該ベルトテンションクラッチを介して作業機トランスミッションに駆動力が入り切り自在に伝動されている。作業機ミッションケース16からの出力によって、フィードチェン7及び前処理部3が駆動される。
【0034】
上記唐箕ファン23の駆動軸24はエンジンEの出力軸31より後方に配置されている。このため作業機ミッションケース16を比較的後方側に配置しても上記ベルトテンションクラッチを構成することができる程度に唐箕ファン23の駆動軸24と作業機トランスミッションの入力軸25との軸間距離を維持することができる。
【0035】
これによりベルトテンションクラッチを容易に設けることができる他、作業機ミッションケース16の配置位置をより後方側に設定することができ、コンバインの全長をさらに短くすることができ、コンバインのコンパクト化に有利となる。
【0036】
なお作業機トランスミッションへの駆動力の出力軸から作業機トランスミッションの入力軸までの軸間距離が短いと上記ベルトテンションクラッチを設けることはできないため、エンジンEの出力軸29から作業機トランスミッションへの駆動力を伝動する場合、作業機ミッションケース16の配置位置をより前方に移動させる必要があり、コンバインの全長増加につながる。
【0037】
一方前述のように作業機トランスミッションにエンジンEから直接駆動力を入力する必要がないため、作業機ミッションケース16の配置がエンジンEの位置に規制されない。このため作業機ミッションケース16の配置の自由度が向上するとともに、エンジンEと作業機ミッションケース16との間のスペースを小さくすることができる。これによりコンバインの全幅をさらに短く抑えることができ、コンバインのコンパクト化に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】コンバインの右側面概略図である。
【図2】コンバインの左側面概略図である。
【図3】コンバインの要部平面概略図である。
【図4】コンバインの正面概略図である。
【図5】(a)は作業機ミッションケース部分の要部正面図、(b)は作業機ミッションケース部分の要部左(脱穀機側)側面図である。
【図6】作業機トランスミッションへの駆動力の伝動を示す要部伝動線図である。
【符号の説明】
【0039】
3 前処理部
4 脱穀機
5 走行機体
16 作業機ミッションケース
16 H窪み部
23 唐箕ファン(送風ファン)
24 駆動軸
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成16年12月15日(2004.12.15)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠

【公開番号】 特開2006−166763(P2006−166763A)
【公開日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願番号】 特願2004−362295(P2004−362295)