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【発明の名称】 コンバインにおける前処理部移動用の操作レバー
【発明者】 【氏名】前田 滋昭
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】前処理部の左右移動操作を容易に行うことができるコンバインにおける前処理部移動用の操作レバーを提供することを課題としている。

【解決手段】左右の位置が切り換え可能な前処理部11を位置が固定された状態及び移動可能な状態に切り換え操作する操作レバー31の操作方向を、前処理部11を左右移動させる方向に力がかかる向きに設定した。例えば操作レバー31を横方向の揺動支点によって前後揺動自在に軸支するとともに、平行リンク機構を介して前処理部11をコンバインの走行機体6に左右移動自在に取り付け、操作レバー31の起立状態によって、前処理部11を移動可能な状態に切り換える構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の位置が切り換え可能な前処理部(11)を備え、前処理部(11)を位置が固定された状態及び移動可能な状態に切り換え操作する操作レバー(31)を揺動可能に設けたコンバインにおいて、前処理部(11)を移動可能な状態に切り換えるための操作レバー(31)の操作方向を、前処理部(11)を左右移動させる方向に力がかかる向きに設定したコンバインにおける前処理部移動用の操作レバー。
【請求項2】
平行リンク機構を介して前処理部(11)をコンバインの走行機体(6)に左右移動自在に取り付け、操作レバー(31)を横方向の揺動支点によって前後揺動自在に軸支して設け、操作レバー(31)を起立した起立状態とすることによって、前処理部(11)が移動可能な状態に切り換えられる構成とした請求項1のコンバインにおける前処理部移動用の操作レバー。
【請求項3】
操作レバー(11)の先端側を未刈り地側に屈曲又は湾曲させた請求項2のコンバインにおける前処理部移動用の操作レバー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、前処理部を左右移動させることができるコンバインにおける前処理部移動用の操作レバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来左右の位置が切り換え可能な前処理部を備え、前処理部を位置が固定された状態及び移動可能な状態に切り換え操作する操作レバーを設けたコンバインが公知となっている(例えば特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特許第2863743号公報
【特許文献2】特許第3260133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記コンバインは、前処理部の位置を固定するための上下移動するピンと、該ピンが挿入及び脱抜される孔とを備え、ピンを孔に上下方向から挿入することによって前処理部の位置が固定され、ピンを孔から上下方向に抜くことによって前処理部が移動可能な状態となる。
【0004】
上記操作レバーは、ピンと一体又は独立してピンを操作するものであるが、ともに操作レバーを上下方向に操作することによって、ピンの孔への挿入及び孔からの脱抜が操作される。このため前処理部を移動可能な状態に切り換えるための操作レバーの操作方向(上下方向)は、前処理部を左右移動させる方向(左右方向)に力をかける向きとは異なり、上方に操作レバーを持ち上げてピンを穴から抜きながら前処理部を左右方向に移動させることは困難であるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のコンバインにおける前処理部移動用の操作レバーは、左右の位置が切り換え可能な前処理部11を備え、前処理部11を位置が固定された状態及び移動可能な状態に切り換え操作する操作レバー31を揺動可能に設けたコンバインにおいて、前処理部11を移動可能な状態に切り換えるための操作レバー31の操作方向を、前処理部11を左右移動させる方向に力がかかる向きに設定したことを第1の特徴としている。
【0006】
第2に平行リンク機構を介して前処理部11をコンバインの走行機体6に左右移動自在に取り付け、操作レバー31を横方向の揺動支点によって前後揺動自在に軸支して設け、操作レバー31を起立した起立状態とすることによって、前処理部11が移動可能な状態に切り換えられる構成としたことを特徴としている。
【0007】
第3に操作レバー11の先端側を未刈り地側に屈曲又は湾曲させたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成される本発明の構造によると、前処理部を移動可能な状態に切り換えるための操作レバーの操作力が、前処理部を左右移動させるための力(左右方向の力)を補助し、前処理部の移動操作を容易に行うことができるという効果がある。例えば平行リンク機構を介して前処理部をコンバインの走行機体に左右移動自在に取り付けると、前処理部は、円弧状の軌跡に沿って左右に移動する。このため、前方への力によって前処理部を左右移動させる方向に力がかかり、前処理部は左右方向に移動しようとする。
【0009】
この場合、操作レバーを横方向の揺動支点によって前後揺動自在に軸支して設け、操作レバーを起立した起立状態とすることによって、前処理部が移動可能な状態に切り換えられる構成とすると、操作レバーを起立状態に揺動させるための前方向の力は、前処理部を左右方向に左右スライドさせるための力(左右方向の力)の補助として働き、前処理部の移動操作を容易に行うことができる。
【0010】
なお操作レバーは起立すると前処理部を左右に移動させるための縦方向のハンドル(持ち手)となり、左右方向に力がかけ易くなる。このため、操作レバーを持ち手として前処理部を容易に左右スライドさせることができ、前処理部の左右移動作業を特に容易に行うことができる。そして操作レバーの先端側を未刈り地側(コンバインの左側)に屈曲又は湾曲させることによって、左方向への力を容易にかけることができ、前処理部の左側への移動操作が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1,図2はコンバインの前方側の正面図及び平面図である。左右のクローラ式の走行装置1の上に機体フレーム2が支持されている。機体フレーム2上には、前方右側に座席3を有する運転席4が設けられ、走行機体6が構成されている。運転席4の左側方には、前方に向かって突出する縦フレーム7が設けられている。
【0012】
縦フレーム7は、後端部分が機体フレーム2側に上下回動自在に軸支されている。縦フレーム7の先端には左右方向の横フレーム8が一体的に取り付けられている。横フレーム8の左右両端側にはリンクアーム9L,9Rの一端が回動自在に軸支されている。リンクアーム9L,9Rは左右揺動可能となっている。
【0013】
横フレーム8の前方には横パイプ10(図3参照)が横設配置されている。横パイプ10を前処理フレームとして横パイプ10上に前処理部11が構成され、前処理部11は運転席4の左側方から前方に至り配置されている。前処理部11の後方には機体フレーム2上に取り付けられて脱穀装置(図示しない)が設けられている。
【0014】
前処理部11は従来同様先端に分草体12が設けられたディバイダフレーム13,カッタ14(図3参照),引起装置16,扱深さ搬送体17等を備えている。ディバイダフレーム13,カッタ14,引起装置16,扱深さ搬送体17等はそれぞれ横パイプ10側に取り付けられている。
【0015】
横パイプ10内には前処理部11の上記各部に駆動力を伝動するための横軸が収容されている。横軸には、ユニバーサルジョイントを介して走行機体側から駆動力が入力される。引起装置16を支持する縦パイプ18内には駆動力の伝動用の縦軸が収容されている。縦パイプ18は横パイプ10の左右両側に一体的に取り付けられ、横軸側から縦軸側に駆動力が伝動されている。
【0016】
カッタ14,引起装置16,扱深さ搬送体17には、上記横軸又は縦軸を介して駆動力が伝動されている。前処理部11は、カッタ14,引起装置16,扱深さ搬送体17等の駆動により、圃場内の穀稈を分草体12によって分草し、引起装置16によって引き起し、カッタ14によって切断し、切断した穀稈を扱深さ搬送体17によって脱穀装置側に搬送する。
【0017】
横パイプ10の左右両側には側面視でコ字状断面を有するブラケット19が一体的に取り付けられている。上記左右のリンクアーム9L,9Rの先端は左右のブラケット19に回動自在に軸支され、横フレーム8と左右両リンクアーム9L,9Rと横パイプ10とによって平行リンクが構成されている。横パイプ10は両リンクアーム9L,9Rの左右方向の揺動によって円弧状の軌跡に沿って左右に平行移動する。
【0018】
横パイプ10上に上記のように前処理部11が構成されているため、前処理部11は両リンクアーム9L,9Rの左右方向の揺動によって左右に移動し、縦フレーム7の上下揺動によって上下昇降する。なお横軸への駆動力の伝動はユニバーサルジョイントを介して行われるため、前処理部11の上下昇降及び左右揺動を妨げない。
【0019】
本コンバインは、従来同様作業者が運転席4に乗り込み、前処理部11を下降させて駆動しながら圃場を走行させることによって、圃場内の穀稈を前処理部11によって刈り取り、脱穀装置に送り、脱穀装置により穀稈の脱穀を行う。
【0020】
右側のリンクアーム9Rの先端側には、板状の位置決め体21が一体的に設けられている。該位置決め体21には後述する位置決めピンの挿入用の孔22が複数(本実施形態においては2つ)設けられている。
【0021】
図3に示されるように、右側のブラケット19には、側面視で逆L字状をなす板状の受け体23が上方に向かって突出して一体的に取り付けられている。該受け体23に前述の位置決めピン24がスライド自在に上下方向に挿入されている。位置決めピン24の下端側はブラケット19の上面側に一体的に設けられたガイドパイプ26にスライド自在に挿入されている。
【0022】
ブラケット19はガイドパイプ26の位置において位置決めピン24が下方に突出できる構造となっている。ブラケット19におけるガイドパイプ位置の下方に位置決め体21の挿入用のいずれかの孔22が位置すると、位置決めピン24を孔22に挿入することができる。位置決めピン24が孔22に挿入されると、前処理部11の左右移動が規制され、前処理部11の左右位置が固定される。
【0023】
このため図2に示されるように通常の回り刈りを行う場合の運転席4から左側(未刈り地側)に比較的遠く離れた回り刈り位置Aに前処理部11が位置した場合と、図4に示されるように、中割刈りを行う場合の運転席4に比較的近接した中割位置Bに前処理部11が位置した場合に、位置決め体21のいずれかの孔22がブラケット19におけるガイドパイプ位置の下方に位置するように設けられている。
【0024】
位置決めピン24には、ガイドパイプ26より上方位置において回り止め27が設けられている。該回り止め27とブラケット19との間に、圧縮バネ28が位置決めピン24に外嵌されて設けられている。圧縮バネ28によって位置決めピン24は下方(孔22への挿入方向)に付勢されている。
【0025】
右側の縦パイプ18の上方には、レバーブラケット29が一体的に取り付けられている。レバーブラケット29側からは横方向に支点軸30(図5参照)が突出しており、支点軸30に、位置決めピン24の孔22に対する挿脱を操作する操作レバー31が上下回動自在に軸支されている。操作レバー31は先端側が左側に湾曲又は屈曲している。操作レバー31には板状の操作部材32が一体回転するように取り付けられている。
【0026】
操作部材32には、レバーブラケット29側に突出するピン33が設けられている。レバーブラケット29には操作レバー31を支点軸を軸心として回動させた際のピン33の移動軌跡に沿った長孔34が形成されている。ピン33は長孔34に挿入されている。ピン33と長孔34の端部との当接によって操作レバー31の回動範囲が規制されている。
【0027】
上記回動の規制によって、操作レバー31は先端が運転席4に向かうように略水平となる位置から、引起装置16に沿うような角度で起立する位置までの範囲で支点軸30を揺動軸心として前後に揺動する。操作レバー31は図5に示されるように、運転席4(座席3)に座った作業者Pが、運転席4から大きく移動することなく操作レバー31を持って容易に前後揺動操作できる位置に配置されている。
【0028】
上記位置決めピン24の上端部分にはワイヤ36のインナ37の一端が連結されている。該インナ37の他端は操作部材32に連結されている。上記ワイヤ36のアウタ38は、右側の縦パイプ18に支持部材35,40を介して支持されている。
【0029】
前述のように位置決めピン24が、圧縮バネ28によって孔22に挿入される方向に付勢されているため、操作レバー31は先端が運転席4に向かうように略水平となる位置に付勢されている。先端が運転席4に向かうように略水平となる操作レバー31の位置が、前処理部11のロック姿勢Xとなり、位置決め体21のいずれかの孔22がブラケット19におけるガイドパイプ位置の下方に位置していれば、この孔22に位置決めピン24が挿入され、前処理部11の位置が回り刈り位置A又は中割位置Bに固定される。
【0030】
付勢力に抗して操作レバー31を引起装置16に沿うような角度で起立する位置に前方揺動させると、ワイヤ36(インナ37)を介して位置決めピン24が上方にスライドされ、位置決めピン24が孔22から脱抜される。これにより前処理部11の左右移動が可能となる。引起装置16に沿うような角度で起立する操作レバー31の位置が、前処理部11のロック解除姿勢Yとなる。
【0031】
これにより前処理部11を回り刈り位置A又は中割位置Bとし、操作レバー31をロック姿勢Xに切り換えることによって、前処理部11を回り刈り位置A又は中割位置Bに固定できる。また操作レバー31をロック解除姿勢Yに切り換えることによって、前処理部11が左右移動可能となり、前処理部11を左又は右に移動させることによって、前処理部11を回り刈り位置A又は中割位置Bに位置変更することができる。上記前処理部11の位置変更及び位置固定の操作レバー31の操作は作業Pが運転席4から大きく移動することなく容易に行うことができる。
【0032】
上記のように前処理部11の左右移動は、操作レバー31をロック解除姿勢Yに切り換えて行う必要がある。操作レバー31のロック解除姿勢Yでは、操作レバー31は起立状態となる。このため操作レバー31が前処理部11を左右に移動させるための縦方向のハンドル(持ち手)となり、左右方向に力がかけ易くなる。
【0033】
これにより操作レバー31を持ち手として前処理部11を容易に左右スライドさせることができ、前処理部11の左右移動作業を容易に行うことができる。また本実施形態においては、前処理部11は、円弧状の軌跡に沿って左右に移動するため、前方への力によって左右方向に移動しようとする。
【0034】
このため操作レバー31をロック解除姿勢Yに起立させて維持するための前方向の力は、前処理部11を左右方向に左右スライドさせるための力(左右方向の力)の補助として働く。上記前方向への力によって前処理部11は左右方向への移動を開始し、さらに操作レバー31を持ち手として左右方向に力をかけることによって作業者Pは、前処理部11の移動操作を特に容易に行うことができる。
【0035】
そして操作レバー31の先端側が左側に屈曲又は湾曲しているため、前処理部11の左側(回り刈り位置)への移動操作がより容易である。なお前処理部11側に左右移動操作を行うための把持部(図示しない)を設け、ロック解除姿勢Yの操作レバー31を補助的な把持部とすることによって、前処理部11の左右移動作業をさらに容易に行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】コンバインの前方側の正面図である。
【図2】回り刈り位置に位置決めされたコンバインの前方側の平面図である。
【図3】操作レバー及び位置決めピン部分の要部右側面図である。
【図4】中割位置に位置決めされたコンバインの前方側の平面図である。
【図5】運転状態のコンバインの前方側の後方斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
6 走行機体
11 前処理部
31 操作レバー
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成16年11月26日(2004.11.26)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠

【公開番号】 特開2006−149246(P2006−149246A)
【公開日】 平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願番号】 特願2004−342172(P2004−342172)