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【発明の名称】 乗用型草刈機及び乗用型草刈機の草刈方法
【発明者】 【氏名】今村 健二
【住所又は居所】福岡県八女郡広川町大字日吉548番地の22 株式会社オーレック内

【氏名】執行 秀彦
【住所又は居所】福岡県八女郡広川町大字日吉548番地の22 株式会社オーレック内

【氏名】山崎 浩平
【住所又は居所】福岡県八女郡広川町大字日吉548番地の22 株式会社オーレック内

【要約】 【課題】昇降可能に設けられた刈取部を有する乗用型草刈機において、車輪と車体の間に懸架装置を設けることで作業者への振動負担を大幅に低減させると共に、車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させるようにして草や芝の刈り残し(虎刈り)を防止したものを提供する。

【解決手段】乗用型草刈機Aは、昇降可能に設けられた刈取部3を有している。車輪17,17と車体4の間には懸架装置Sが備えられている。車輪17,17と刈取部3の間には、車輪17,17と刈取部3が別々に上下動することを防止して車輪17,17の上下動と刈取部3の上下動を同調させる手段が配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能に設けられた刈取部(3)を有する乗用型草刈機において、
車輪(17,17)と車体(4)の間に懸架装置(S)を備えており、車輪(17,17)と刈取部(3)の間に、車輪(17,17)と刈取部(3)が別々に上下動することを防止して車輪(17,17)の上下動と刈取部(3)の上下動を同調させる手段を配置したことを特徴とする、
乗用型草刈機。
【請求項2】
昇降可能に設けられた刈取部(3)を有する乗用型草刈機において、
車輪(17,17)と車体(4)の間に懸架装置(S)を備えており、車輪(17,17)と刈取部(3)の間に、車輪(17,17)の上下動を刈取部(3)に伝達して車輪(17,17)の上下動と刈取部(3)の上下動を同調させる手段を備えていることを特徴とする、
乗用型草刈機。
【請求項3】
刈取部(3)の刈取高さを無段階に調整できる手段を備えていることを特徴とする、
請求項1または2記載の乗用型草刈機。
【請求項4】
刈取部(3)を昇降操作するための操作レバー(2)と、
該操作レバー(2)の引上げまたは引下げ操作によって刈取部(3)を昇降させる昇降装置と、
上記操作レバー(2)の引上げまたは引下げ位置を無段階で固定できると共に、該操作レバーの引き上げ時の操作力を補助し、更に刈取部(3)が急激に下降することを防止するシリンダー型伸縮装置(8)と、
を備えていることを特徴とする、
請求項1または2記載の乗用型草刈機。
【請求項5】
操作レバー(2)には、シリンダー型伸縮装置(8)による操作レバー(2)の位置の固定を解除でき、操作レバー(2)を握った状態で操作できる操作ボタン(220)が設けてあり、該操作ボタン(220)による操作力はリンク機構によってシリンダー型伸縮装置(8)に伝達されるように構成されていることを特徴とする、
請求項4記載の乗用型草刈機。
【請求項6】
昇降可能に設けられた刈取部(3)を有する乗用型草刈機において、
上記刈取部(3)を昇降操作するための操作レバー(2)と、
該操作レバー(2)の引上げまたは引下げ操作によって刈取部(3)を昇降させる昇降装置と、
上記操作レバー(2)の引上げまたは引下げ位置を無段階で固定できると共に、該操作レバーの引き上げ時の操作力を補助し、更に刈取部(3)が自重により急激に下降することを防止するシリンダー型伸縮装置(8)と、
を備えており、
上記操作レバー(2)には、シリンダー型伸縮装置(8)による操作レバー(2)の位置の固定を解除でき、操作レバー(2)を握った状態で操作できる操作ボタン(220)が設けてあり、該操作ボタン(220)による操作力はリンク機構によってシリンダー型伸縮装置(8)に伝達されるように構成されていることを特徴とする、
乗用型草刈機。
【請求項7】
車輪(17,17)と車体(4)の間に設けてある懸架装置(S)と、刈取部(3)と備えた乗用型草刈機の草刈方法であって、
車輪(17,17)の上下動と刈取部(3)の上下動を同調させることにより、草の刈り残しを防止しながら草刈りを行うことを特徴とする、
乗用型草刈機の草刈方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は乗用型草刈機及び乗用型草刈機の草刈方法にかかり、更に詳しくは、昇降可能に設けられた刈取部を有する乗用型草刈機において、車輪と車体の間に懸架装置を設けることで作業者への振動負担を大幅に低減させると共に、車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させるようにして草や芝の刈り残し(虎刈り)を防止し、また刈取部の刈取高さを段階的にではなく、無段階で調節できるようにして草や芝を所望する長さに的確に刈り取ることができるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、例えば特許文献1に示すような乗用型草刈機(図6参照)を提案している。これによれば、昇降ハンドル91を操作することにより、刈刃を備えた刈取部92の高さを調整できる。図7は、昇降ハンドル91を含む刈取部92の昇降操作機構を説明するための部分拡大説明図である。昇降ハンドル91を引上げまたは引下げることにより、刈取部92の高さを段階的に調整することができる(図7に示す実施例では5段階で調整が可能)。
【特許文献1】特開2001−211719号公報
【0003】
以下、図6及び図7を参照して、特許文献1記載の刈取部92の高さ調整機構を詳しく説明する。
図6に示すリンク装置93によって、刈取部92は車体95に取り付けてある。リンク装置93は、第一リンク931、第二リンク932及び第三リンク933を備えている。第三リンク933の上端部は、昇降ハンドル91の基部側と連結している。図7に示すように、昇降ハンドル91は、円弧状の調整カバー94の調整溝941に挿通してある。調整溝941には、半円状に切り欠かれた掛止部942が上下方向に所要の間隔をおいて複数(図7では5箇所に)設けてある。これにより、昇降ハンドル91を引き上げて、所要の位置の掛止部942に掛止することで、刈取部92を上昇させ所要の高さに保持できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、特許文献1に記載のものは、草刈作業地の状態に合わせて刈取部92の高さを調整できるため、作業地の条件に合わせた能率的な草刈りが可能で十分に実用的である。しかしながら、更に以下のような改良の余地があった。
【0005】
(1) 特許文献1に記載のものはサスペンション機構を有していないため、路面が不整な場所等で作業した場合に、路面からの振動が作業者に伝わりやすく、疲れやすかった。そこで、本発明者らは、車体の上下振動を和らげて乗り心地を改善するために、乗用型草刈機にサスペンション機構の採用を検討した。
【0006】
しかし、図6に示すように、刈取部92はリンク装置93を介して車体95に取り付けてあるので、例えば前輪96と車体95の間にサスペンション機構を介在させた場合、刈取部92は車体95の上下動に連動して同様に上下動してしまう。したがって、草刈作業中にブレーキをかけて乗用型草刈機を減速や停止させたり、あるいは勢い良く加速させたることで車体が上下動すると、刈取部92までもが車体95と連動して上下動してしまい、その結果、草や芝の刈り残し(いわゆる、虎刈り)が発生するという不都合が生じる。
【0007】
(2) 特許文献1に記載のものは、刈取部92の高さを段階的に調整することはできる。しかし、作業地での草の伸び方も一様ではなく、また芝にあっては芝地の使用目的によって所望する芝の長さも異なる。このため、刈取部92の高さを段階的にではなく、無段階で調節できる乗用型草刈機の開発が望まれる。
【0008】
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、刈取部を有する乗用型草刈機において、車輪と車体の間に懸架装置を設けることで作業者への振動負担を大幅に低減させると共に、車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させるようにして草や芝の刈り残し(虎刈り)を防止することにある。
【0009】
また、刈取部の刈取高さを段階的にではなく、無段階で調節できるようにして、草や芝を所望する長さに的確に刈り取ることができるようにした乗用型草刈機を提供することにある。
その他の本発明の目的は以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0011】
第1の発明にあっては、
昇降可能に設けられた刈取部を有する乗用型草刈機において、
車輪と車体の間に懸架装置を備えており、車輪と刈取部の間に、車輪と刈取部が別々に上下動することを防止して車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させる手段を配置したことを特徴とする、
乗用型草刈機である。
【0012】
第2の発明にあっては、
昇降可能に設けられた刈取部を有する乗用型草刈機において、
車輪と車体の間に懸架装置を備えており、車輪と刈取部の間に、車輪の上下動を刈取部に伝達して車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させる手段を備えていることを特徴とする、
乗用型草刈機である。
【0013】
第3の発明にあっては、
刈取部の刈取高さを無段階に調整できる手段を備えていることを特徴とする、
第1または第2の発明に係る乗用型草刈機である。
【0014】
第4の発明にあっては、
刈取部を昇降操作するための操作レバーと、
該操作レバーの引上げまたは引下げ操作によって刈取部を昇降させる昇降装置と、
上記操作レバーの引上げまたは引下げ位置を無段階で固定できると共に、該操作レバーの引き上げ時の操作力を補助し、更に刈取部が急激に下降することを防止するシリンダー型伸縮装置と、
を備えていることを特徴とする、
第1または第2の発明に係る乗用型草刈機である。
【0015】
第5の発明にあっては、
操作レバーには、シリンダー型伸縮装置による操作レバーの位置の固定を解除でき、操作レバーを握った状態で操作できる操作ボタンが設けてあり、該操作ボタンによる操作力はリンク機構によってシリンダー型伸縮装置に伝達されるように構成されていることを特徴とする、
第4の発明に係る乗用型草刈機である。
【0016】
第6の発明にあっては、
昇降可能に設けられた刈取部を有する乗用型草刈機において、
上記刈取部を昇降操作するための操作レバーと、
該操作レバーの引上げまたは引下げ操作によって刈取部を昇降させる昇降装置と、
上記操作レバーの引上げまたは引下げ位置を無段階で固定できると共に、該操作レバーの引き上げ時の操作力を補助し、更に刈取部が自重により急激に下降することを防止するシリンダー型伸縮装置と、
を備えており、
上記操作レバーには、シリンダー型伸縮装置による操作レバーの位置の固定を解除でき、操作レバーを握った状態で操作できる操作ボタンが設けてあり、該操作ボタンによる操作力はリンク機構によってシリンダー型伸縮装置に伝達されるように構成されていることを特徴とする、
乗用型草刈機である。
【0017】
第7の発明にあっては、
車輪と車体の間に設けてある懸架装置と、刈取部と備えた乗用型草刈機の草刈方法であって、
車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させることにより、草の刈り残しを防止しながら草刈りを行うことを特徴とする、
乗用型草刈機の草刈方法である。
【0018】
(作 用)
本発明は次のように作用する。
路面が不整な場所等で作業した場合でも、車輪と車体の間に設けた懸架装置が車体の上下振動を和らげるので、乗用型草刈機の乗り心地が良くなると共に、車輪の不規則な振動が抑制されて接地性が高まり、走行性能が改善される。
【0019】
更に、車輪と刈取部が別々に上下動することを防止して車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させる手段、または車輪の上下動を刈取部に伝達して車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させる手段が車輪と刈取部の間に設けられているため、この手段が上下方向に対する車輪と刈取部の動きを同調させる。これにより、接地している車輪と刈取部との高さ方向の距離、つまり地面(刈取面)と刈取部との高さ方向の距離は本質的に変動せず、草や芝の刈り残し(虎刈り)が防止される。
【0020】
例えば草の伸び方が一様でない作業地などで作業する場合は、草を残さず刈り取るために、刈取部の刈取高さを無段階に調整できる手段によって刈取部の刈取高さを所要の高さに調整する。
【0021】
刈取部を上昇させる際は、操作レバーを所要の位置まで引上げる。この操作レバーの引上げ操作によって昇降装置が刈取部を上昇させる。操作レバーは、操作レバーの引上げまたは引下げ位置を無段階で固定できるシリンダー型伸縮装置によって、引上げた所要の位置で固定される。更にシリンダー型伸縮装置により、操作レバーの引き上げ時の操作力が補助されるので、比較的軽い操作力で操作レバーを操作できる。
【0022】
刈取部を下降させる際は、操作レバーを所要の位置まで引下げる。この操作レバーの引下げ操作によって昇降装置が刈取部を下降させる。操作レバーは、上記したシリンダー型伸縮装置によって、引下げた所要の位置で固定される。更にシリンダー型伸縮装置により、刈取部が自重により急激に下降することが防止されるので、操作レバーの引き下げ操作を作業者(腕)に過度の負担をかけないで安全に行える。
【0023】
操作レバーに操作ボタンが設けてあるものでは、操作レバーを握ったまま、操作ボタンを親指等で押す。操作ボタンを押すと、操作ボタンによる操作力がリンク機構によってシリンダー型伸縮装置に伝達され、シリンダー型伸縮装置による操作レバーの位置の固定が解除される。そこで、操作レバーの引上げまたは引下げ操作を行って、刈取部を昇降させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明によれば、車輪と車体の間に設けた懸架装置により、作業者への振動負担を大幅に低減できる。ただし、懸架装置を設けたことにより、例えば草刈作業中にブレーキをかけて乗用型草刈機を減速や停止させたり、あるいは勢い良く加速させたりすると、車体が車輪に対して上下動してしまう。しかし、本発明では車輪の上下動と刈取部の上下動を同調させることができるので、接地している車輪と刈取部との高さ方向の距離、つまり地面(刈取面)と刈取部との高さ方向の距離は、車体の上下動による影響を受けないで、本質的に変動しない。よって、草や芝の刈り残し(虎刈り)を防止できる。
【0025】
(b)刈取部の刈取高さを無段階に調整できる手段を備えているものは、刈取高さを段階的にしか調整できないものに比べ、草や芝を所望する長さに的確に刈り取ることができる。
【0026】
(c)刈取部を昇降操作するための操作レバーと、該操作レバーの引上げまたは引下げ操作によって刈取部を昇降させる昇降装置と、上記操作レバーの引上げまたは引下げ位置を無段階で固定できると共に、該操作レバーの引き上げ時の操作力を補助し、更に刈取部が自重により急激に下降することを防止するシリンダー型伸縮装置を備えているものは、上記したシリンダー型伸縮装置を採用することにより、操作レバーの引上げ操作を比較的軽い操作力で行うことができ、更に操作レバーの引き下げ操作を作業者(腕)に過度の負担をかけないで安全に行うことができる。
【0027】
(d)操作レバーには、シリンダー型伸縮装置による操作レバーの位置の固定を解除でき、操作レバーを握った状態で操作できる操作ボタンが設けてあり、該操作ボタンによる操作力がリンク機構によってシリンダー型伸縮装置に伝達されるように構成されているものは、操作レバーを握ったまま、単に操作ボタンを親指等で押すことによって操作レバーの位置の固定と固定解除ができる。よって、本発明と相違して、例えば解除レバーとワイヤ機構を採用した場合(例えば自転車のブレーキレバーとブレーキワイヤのごとく)と比べ、レバーを握り替える必要がないので、刈取部の昇降操作が素早くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を図面に示した実施例に基づき更に詳細に説明する。
【実施例】
【0029】
図1ないし図5は、本発明に係る乗用型草刈機の一実施例を示す説明図である。
図1は乗用型草刈機の斜視説明図であり、説明の便宜上、車体正面側を覆うフロントカバーを省略している。
なお、以下の説明において、前後左右の表現は、乗用型草刈機を運転・操作する作業者から見た方向を基準としている。
【0030】
乗用型草刈機Aは、いわゆる自走式乗用型の草刈機である。符号11は座席、12はステアリングホイール、13はバッテリー、14はエンジンをそれぞれ示している。
【0031】
図2は、前車軸と車体の間に介設された懸架装置であるフロントサスペンション機構と、刈取部を昇降させる昇降装置である昇降リンク装置を説明するための一部省略斜視説明図である。なお、図2では説明の便宜上、図1で示したバッテリー13、座席11、操作レバー2の保護カバー20等の各部品を省略している。また、図2及び下記図3で車体左側の前輪17を想像線で表している。
【0032】
符号3は、カッター(図面では隠れて表れず)を内側に備えた刈取部を示している。刈取部3は、操作レバー2による引上げまたは引下げ操作よって昇降できる。符号15は、変速レバー等を含む他の操作手段を示している。符号8は、操作レバー2の引上げまたは引下げ位置を無段階で固定できると共に、操作レバー2の引き上げ時の操作力を補助し、更に刈取部3が急激に下降することを防止するシリンダー型伸縮装置であるオイルダンパ8を示している。
【0033】
図3は、図2に示す車体正面側を拡大した概略説明図である。なお、図3では説明の便宜上、構成部品の一部を想像線で表している。
【0034】
図2に示すように、乗用型草刈機Aは、車体に平面視で略U字状の車体フレーム4を備えている。この車体フレーム4の前後両側に、前輪17,17及び後輪18,18が配置されている。図3に示す符号51,51は、前輪17,17を回転可能に支持する前車軸(フロントアクスル)を示している。前車軸51,51と車体(車体フレーム4)の間には、サスペンション機構Sを構成するサスペンションバネ52,52が介在させてある。
【0035】
図4(a)(b)は、刈取部の昇降機構を説明するための側面視概略説明図である。図4(a)は刈取部3を上昇させたときの状態を示し、図4(b)は刈取部3を下降させたときの状態を示し、説明の便宜上、車体左側の前輪17を省略している。
図5は、刈取部を昇降操作する昇降操作装置を拡大した部分拡大概略斜視図である。
【0036】
以下、乗用型草刈機Aの各構成部材について、順を追って詳しく説明する。
【0037】
図3に示すように、前車軸51,51は車体中心線上にある揺動ピン501,501を支点として、その両側(前車輪17,17側)がそれぞれ独立して上下方向に揺動可能となっている。符号520,520は、サスペンションバネ52,52の上端部に設けてある平板状のフレーム支持部を示している。フレーム支持部520,520上に、車体フレーム4の前部側が固着されている。
【0038】
図4(a)(b)に示すように、刈取部3は、車体フレーム4の下方で昇降リンク装置6によって昇降可能である。
【0039】
刈取部3は、カッターを覆うカバー30を備えている。カバー30の前方と後方は開放されている。カバー30は、図2に示すように、上面カバー301と、上面カバー301の左右両側に側面カバー302,302aを有している。各側面カバー302,302aは鉛直方向に湾曲しており、上下に回動可能となっている。符号19は、カッターを回転駆動させるためのプーリーを示している。
【0040】
刈取部3を昇降させる昇降リンク装置6は、図4(a)(b)に示すように、リンク31、リンク32,リンク33(以下、車体前方から順に、第一リンク31、第二リンク32、第三リンク33という)及び後述する回動リンク71、回動軸41(図2参照)等で構成されている。
【0041】
図2を参照する。
第一リンク31、第二リンク32及び第三リンク33は、車体フレーム4の中心線を境に左右両側それぞれ設けられている。エンジン14の前方に位置する回動軸41は、車体(車体フレーム4)上を左右に横断するように橋渡して設けてある。
【0042】
回動軸41は、各エンジンフレーム42,42に固着された軸受部410,410aにより両端側が軸支され、周方向に回動自在となっている。回動軸41により、左右の各リンク31、32、33は同じ動きをする。
【0043】
詳しくは、図5に示す回動軸41の一端部(車体左側)は軸受部410内を通って、回動リンク71の基端部に挿設された状態で固着している。図2に示す回動軸41の他端側(車体右側)も軸受部410a内を通って、回動リンク71aの基端部に固着されている。各回動リンク71,71aの先端部は、それぞれ各第三リンク33の一端部に連結されている。回動軸41が回動することにより、操作レバー2による動作が車体左側の第三リンク33だけでなく、車体右側の第三リンク33にも伝達される。
【0044】
図3を参照する。
各第一リンク31は、前車軸51と刈取部3の上面カバー301を連結する。この前車輪17と刈取部3の間に配置された第一リンク31が、前車輪17と刈取部3が別々に上下動することを防止するか、前車輪17の上下動を刈取部3に伝達して、前車輪17の上下動と刈取部3の上下動を同調させる手段を構成する。
【0045】
各第一リンク31は、先端側に連結軸310を有し、基端側に棒状のリンク本体312を有しており、連結軸310とリンク本体312は連結ピン311を介して連結されている。第一リンク31(連結軸310)の先端部は、側面視略コ状の固着部502を介して前車軸51に固着されている。第一リンク31(リンク本体312)の基端部は、軸ピン313を介して上面カバー301の表面に回動自在に軸支されている。
【0046】
連結軸310の基端側の孔内には、リンクボール等と称される公知の球状軸受部314が包含された状態で摺動可能に収容されている。この球状軸受部314に上記した連結ピン311の一端部が挿設された状態で固着されており、連結ピン311の他端部はリンク本体312の先端部に固着されている。このような構成により、各前車軸51が揺動ピン501を支点としてそれぞれ独立して上下に揺動しても、連結軸310が球状軸受部314の球面に沿って摺動して連結ピン311の軸心方向へ傾き、前車軸51の動きを吸収する。また、図4(a)から図4(b)に示す状態まで刈取部3を下降させると、連結ピン311を回動中心としてリンク本体312の基端側が下り傾斜する。
【0047】
図4(a)に示すように、第二リンク32は、車体フレーム4と刈取部3の上面カバー301を連結している。第二リンク32の先端部(図4で左端部)は、軸ピン321を介して車体フレーム4に連結されている。軸ピン321は、前後方向に延びる車体フレーム4の中間部よりもやや前方寄りの部分(湾曲した部分)に配置されている。第二リンク32の基端部は、軸ピン322を介して上面カバー301の車両後方寄りに回動可能に軸支されている。
【0048】
第三リンク33は、第二リンク32の基端側と回動リンク71の先端部を連結する(図5も参照)。第三リンク33の他端部(図4(a)で下端部)は、第二リンク32の基端側に軸ピン332を介して回動可能に軸支されている。
【0049】
上記したように、図5に示す回動リンク71は基端部が回動軸41に固着されている。回動軸41が前後に回動することによって、回動リンク71の先端部が上下動する。第三リンク33の先端側には長孔330(図5では隠れて見えず、図4(a)参照)が設けられている。長孔330に挿通された軸ピン331を介して、回動リンク71の先端部が回動自在に軸支されている。回動軸41の一端側は、上記した軸受部410内を通って操作レバー2を受ける操作レバー受部72の側面部に車両内側から固着されている。
【0050】
操作レバー2は、グリップ211を備えた外筒体21と、外筒体21の中を通る内軸体22を備えている。外筒体21は、その基端側の外周面部が操作レバー受部72の側面に車両外側から固着されている。内軸体22の先端部は外筒体21から上方に突出しており、この部分がオイルダンパ8のロック状態を解除する操作ボタンである押しボタン220を構成している。
【0051】
符号74は、ベルクランクを示している。ベルクランク74は、その二股根元部分が軸体75によって軸支され、車体前後方向に回動可能である。軸体75はエンジンフレーム42に立設された軸受部750に固着され、車両の横方向に延びている。
【0052】
操作レバー2の内軸体22の基端部は、ベルクランク74の二股に分かれたアーム先端部の一方に、軸ピン221を介して回動可能に軸支されている。符号741は、軸ピン221が挿通された長孔を示している。ベルクランク74のアーム先端部の他方には、オイルダンパ操作するための棒状のリンク73(以下、ダンパ操作用リンクという)の一端部731(図5で右端部)が回動可能に取り付けられている。ダンパ操作用リンク73がベルクランク74側へ移動することにより、オイルダンパ8のロック状態が解除される。この詳しい作用の説明は後述する。符号733は、ダンパ操作用リンク73の長さを変えて、プッシュバー84とベルクランク74のクリアランスを調整する調整ネジ(アジャストスクリュー)を示している。
【0053】
ダンパ操作用リンク73の一端側(図5で右端側)は、操作レバー受部72と接触しないようにL形状に曲げられ、操作レバー受部72よりも内方に位置している。ダンパ操作用リンク73の他端部732(図5で左端部)は、オイルダンパ8のロック状態を解除するプッシュバー84に連結されている。
【0054】
操作レバー受部72の先部側(図5で上部側)には、軸部811を介してオイルダンパ8のシリンダー81の基端部が回動可能に軸支されている。オイルダンパ8のピストンロッド82は、その先に取り付け用のブラケット83を有している。
【0055】
ブラケット83を取り付ける側面視L形状の取付部831は、車体フレーム4に固着されている。符号832は、ブラケット83を取付部831に取り付けるためのピンを示している。ブラケット83内には、上記したプッシュバー84の先端側が挿通され、軸ピン841を支点としてプッシュバー84の基端側が前後に回動可能となっている。
【0056】
上記したロック機構を有するオイルダンパ8は公知技術を採用しており、その内部構造は以下の通りである(図示省略)。
即ち、オイルダンパ8のシリンダー81内には、油が充填された油圧室と、ガスが充填されたガス室が設けられている。油圧室とガス室は、フリーピストンによって隔てられている。更に、油圧室の中には、ピストンロッド82の基端部が連結されたピストンが挿入されており、このピストンによって更に油圧室は二つに分かれている。ピストンには、オリフィスとバルブ孔が設けられている。
【0057】
そして、シリンダー81内をピストンが動くと、油はシリンダー81の一方の油圧室から他方の油圧室へ移動する。更に、オリフィスとバルブ孔によって油の流路が絞られるので、油圧室が縮小する側の油圧が上昇してピストンに抵抗力が生じ、オイルダンパ8はゆっくり伸縮する。
【0058】
また通常時はガス室の圧力により、フリーピストンと一方の油圧室を介してバルブ孔は塞がっており、ピストンはその位置で固着(ロック)されている。そこで、図5に示すプッシュバー84でピストンロッド82先端に突出したプッシュロッド(図5では隠れて表れず)が押されると、バルブ孔が開いて油圧室同士はオリフェスを介して連通し、ピストンは移動可能となる。なお、シリンダー型伸縮装置として、ガス室だけで構成されたガススプリングや、その他公知のシリンダー型のダンパを採用することもできる。
【0059】
以上のような構成により、操作レバー2を握った状態で押しボタン220を親指で押すと、外筒体21に対して内軸体22が下方へ移動し、押し下げた押しボタン220のストロークに対応してベルクランク74が反時計回りに少しまわる。これにより、ダンパ操作用リンク73が図5で右方向に引っ張られて、プッシュバー84の基端側を右方向へ引き上げる。そして、ピストンロッド82の先端部に突出するプッシュロッド(図5ではブラケット83に隠れて表れず)がプッシュバー84によってシリンダー81側に押され、ピストンロッド82のロック状態が解除される。その結果、ピストンロッド82はシリンダー81に対して進退可能となる。
【0060】
そして、押しボタン220を押したまま、図4(a)に示す位置から図4(b)に示す位置まで、操作レバー2を前方に倒す。そうすると、オイルダンパ8が縮まり、操作レバー受部72も操作レバー2と共に、回動軸41を回動中心として前方へ回動する。その結果、回動軸41が車体進行側(図5で反時計回り)に回動するので、回動軸41に固着されている回動リンク71の先端部が図4(b)に示すように下がる。したがって、刈取部3の自重で第三リンク33が図4(b)に示すように下方移動し、それと連動して第一リンク及び第二リンクも同様に下方に回動して、地面に対する刈取部3の高さが低くなる。ただし、オイルダンパ8は内部の油圧によって負荷がかかりながらゆっくりと縮むので、刈取部3がその自重により急激に下降することが防止される。
【0061】
それとは逆に、操作レバー2を握った状態で押しボタン220から指を離すと、ダンパ操作用リンク73が図5で左斜め下方向に移動し、プッシュバー84を元の位置に戻す。そして、シリンダー81とピストンロッド82はその位置で固定(ロック)され、オイルダンパ8を伸縮させることはできなくなる。
【0062】
(作 用)
以上のような構成により、乗用型草刈機Aは以下のように作用する。
路面が不整な場所等で作業した場合でも、前車輪51,51と車体の間に設けたサスペンション機構Sが車体の上下振動を和らげる。よって、乗用型草刈機の乗り心地Aが良くなると共に、車輪の不規則な振動が抑制されて接地性が高まり、走行性能が改善される。
【0063】
更にサスペンション機構Sを設けたことにより、草刈作業中にブレーキをかけて乗用型草刈機Aを減速や停止させたり、あるいは勢い良く加速させたりすると、車体は前車輪17,17に対して上下動するようになる。しかし、本実施例では、昇降リンク装置6の第一リンク31,31が前車軸51,51に連結しているので、前車輪17,17と刈取部3の上下動をできるかぎり同調させることができる。したがって、接地している前車輪17,17と刈取部3との高さ方向の距離、つまり地面(刈取面)と刈取部3との高さ方向の距離は、本質的に変動しない。これにより、草や芝の刈り残し(虎刈り)を防止できる。
【0064】
図4(a)(b)に示すように、刈取部3の刈取高さの調整を行う場合は、まず操作レバー2を握ったまま、押しボタン220を親指で押して、操作レバー2の位置固定を解除する。次いで、押しボタン220を押したまま、操作レバー2の引上げまたは引下げ操作を行い、刈取部3を昇降させる。刈取部3を所要の高さまで昇降させたら、押しボタン220から親指を離して操作レバー2の位置を固定する。このように、操作レバー2の位置の固定または固定の解除のために、操作レバー2を握り替える必要はないので、刈取部2の昇降操作が素早くできる。
【0065】
しかも、本実施例ではオイルダンパ8によって地面に対する刈取部3の刈取高さを無段階で調節できるので、草や芝を所望する長さに的確に刈り取ることができる。またオイルダンパ8を採用することにより、操作レバー2の引上げ操作を比較的軽い操作力で行うことができ、更に操作レバー2の引き下げ操作を作業者(腕)に過度の負担をかけないで安全に行うことができる。
【0066】
なお、本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0067】
更に、特許請求の範囲には、請求項記載の内容の理解を助けるため、図面において使用した符号を括弧を用いて記載しているが、特許請求の範囲を図面記載のものに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る乗用型草刈機の一実施例を示す斜視説明図。
【図2】前車軸と車体の間に介設された懸架装置であるフロントサスペンション機構と、刈取部を昇降させる昇降装置である昇降リンク装置を説明するための一部省略斜視説明図。
【図3】図2に示す車体正面側を拡大した概略説明図。
【図4】刈取部の昇降機構を説明するための側面視概略説明図。
【図5】刈取部を昇降操作する昇降操作装置を拡大した部分拡大概略斜視図。
【図6】特許文献1に記載の乗用型草刈機を示す側面視説明図。
【図7】図6に示す乗用型草刈機において、昇降ハンドルを含む刈取部の昇降操作機構を説明するための部分拡大説明図である。
【符号の説明】
【0069】
A 乗用型草刈機
S サスペンション機構
2 操作レバー
3 刈取部
4 車体フレーム
6 昇降リンク装置
8 オイルダンパ
11 座席
13 バッテリー
14 エンジン
15 変速レバー等を含む他の操作手段
17 前輪
18 後輪
19 プーリー
20 保護カバー
21 外筒体
211 グリップ
22 内軸体
220 押しボタン
221 軸ピン
30 カバー
301 上面カバー
302,302a 側面カバー
31 第一リンク
310 連結軸
311 連結ピン
312 リンク本体
313 軸ピン
314 球状軸受部
32 第二リンク
321 軸ピン
322 軸ピン
33 第三リンク
330 長孔
331 軸ピン
332 軸ピン
41 回動軸
410,410a 軸受部
42 エンジンフレーム
51 前車軸
501 揺動ピン
502 固着部
52 サスペンションバネ
520 フレーム支持部
71,71a 回動リンク
72 操作レバー受部
73 ダンパ操作用リンク
731 一端部
732 他端部
733 調整ネジ
74 ベルクランク
75 軸体
741 長孔
750 軸受部
81 シリンダー
82 ピストンロッド
83 ブラケット
84 プッシュバー
811 軸部
831 取付部
832 ピン
841 軸ピン
【出願人】 【識別番号】393000984
【氏名又は名称】株式会社オーレック
【住所又は居所】福岡県八女郡広川町大字日吉548番地の22
【出願日】 平成16年10月18日(2004.10.18)
【代理人】 【識別番号】100085327
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 克彦

【公開番号】 特開2006−109805(P2006−109805A)
【公開日】 平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願番号】 特願2004−303312(P2004−303312)