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【発明の名称】 農作物収穫機
【発明者】 【氏名】石田 伊佐男
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】小田切 元
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】高木 真吾
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】岩部 孝章
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行操縦用の操縦ハンドル6を機体の後部に設け、駆動回転して機体を前進走行させる走行回転体3,3を機体の左右両側に設け、機体の前進走行中に作物体Pの茎葉部PLを挟持して後側上方に搬送し作物体Pを引上げる引上げ搬送装置15を前記左右走行回転体3,3より機体左右方向内側に設け、作物体Pの茎葉部PLを切断する第一切断装置16を前記引上げ搬送装置15の後部下側に設け、前記引上げ搬送装置15の後部に移送された茎葉部PLの葉先側部分P2を機体左右側方に搬送する排出搬送装置50を設け、該排出搬送装置50で搬送されている葉先側部分P2を切断する第二切断装置52を設け、該第二切断装置52は前記第一切断装置16より機体左右一側に偏倚して配置したことを特徴とする農作物収穫機。
【請求項2】
前記排出搬送装置50の始端部は前記引上げ搬送装置15の搬送終端部の上方に設け、前記排出搬送装置50の搬送終端部は左右一側方の走行回転体3の上方又は外側方で、且つ走行回転体3の車軸より前側に位置させて設け、前記第二切断装置52は前記排出搬送装置50の搬送終端部の下方で、切断位置Hが走行回転体3の前部側上方又は前方側上方に位置するよう設けたことを特徴とする請求項1記載の農作物収穫機。




【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生姜等の農作物を収穫する農作物収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生姜などの農作物を収穫する場合、地上にのびる茎葉部をもって上方に引上げて地中にある最終収穫物を引上げる。この引上げ作業は重労働である。例えば、生姜を引上げる場合には、30kg程度の引上げ力を要する。この引上げ作業を機械で行うものとして、従来、下記特許文献1に記載されるような、生姜等の農作物を引上げる農作物収穫機がある。
【特許文献1】特開2000−333522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の農作物収穫機は、圃場に植生する生姜等の農作物を機械的に引上げ処理するもので収穫作業の省力化が図れるものであり、また、引上げ処理とともに収穫後に不要となる葉先側茎葉部の切断処理が行え、しかも、引上げ処理されて畝上に放出された作物体が切断処理された茎葉部に覆われて見えなくなることがなく、引上げ処理後の作物体の回収作業も容易に行えて、作業能率の向上が図れるものである。
【0004】
しかし、上記の農作物収穫機は、掻き込み装置と切断装置と茎葉放出手段を、引上げ搬送装置の挟持搬送始端部の上側に配置しているので、茎葉切断処理と茎葉放出処理を行う部分が機体前部上方に突出する状態となっている。このため、機体の前方視界が悪く、操縦性が良くないものとなっていた。
【0005】
そこで、本発明は、生姜等の農作物の収穫作業の省力化と作業能率の向上が図れるものにするとともに、機体の前方視界が良く、操縦性が良好なものとすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の技術的手段を講じたものである。
即ち、請求項1記載の発明は、歩行操縦用の操縦ハンドル6を機体の後部に設け、駆動回転して機体を前進走行させる走行回転体3,3を機体の左右両側に設け、機体の前進走行中に作物体Pの茎葉部PLを挟持して後側上方に搬送し作物体Pを引上げる引上げ搬送装置15を前記左右走行回転体3,3より機体左右方向内側に設け、作物体Pの茎葉部PLを切断する第一切断装置16を前記引上げ搬送装置15の後部下側に設け、前記引上げ搬送装置15の後部に移送された茎葉部PLの葉先側部分P2を機体左右側方に搬送する排出搬送装置50を設け、該排出搬送装置50で搬送されている葉先側部分P2を切断する第二切断装置52を設け、該第二切断装置52は前記第一切断装置16より機体左右一側に偏倚して配置したことを特徴とする農作物収穫機としたものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記排出搬送装置50の始端部は前記引上げ搬送装置15の搬送終端部の上方に設け、前記排出搬送装置50の搬送終端部は左右一側方の走行回転体3の上方又は外側方で、且つ走行回転体3の車軸より前側に位置させて設け、前記第二切断装置52は前記排出搬送装置50の搬送終端部の下方で、切断位置Hが走行回転体3の前部側上方又は前方側上方に位置するよう設けたことを特徴とする請求項1記載の農作物収穫機としたものである。
【0008】
従って、この農作物収穫機は、左右の走行回転体3,3の駆動回転により前進走行する。圃場内に機体を移動させたら、作物体Pが植生する畝Uの左右両側方個所(畝両側の谷部)を左右の走行回転体3,3が通過するように機体を位置させ、機体が作物体Pが列状に植生する畝Uを跨ぐような状態として機体を前進させる。作業者は、既作業側に位置する走行回転体3の後方個所に立って移動する機体に追従して歩行移動する。機体の進行方向を変更するなどの操縦操作は、機体と共に歩行移動しながら機体の後部に設けた操縦ハンドル6をもって行う。そして、機体の前進走行中に、左右走行回転体3,3より機体左右方向内側に設けた引上げ搬送装置15が作物体Pの茎葉部PLを挟持して後側上方に搬送し地中にある作物体Pの最終収穫物Eを引上げる。また、引上げ搬送装置15の後部下側に設けた第一切断装置16が引上げ搬送装置15の挟持個所より下側の茎葉部PLを切断する。第一切断装置16が茎葉部PLを切断すると、引上げ搬送装置15による作物体Pの上方への引上げ作用は解放され、切断個所より下側の根本側部分P1は畝U上に放出される。一方、茎葉部PLの切断個所より上側の葉先側部分P2は、引上げ搬送装置15によってその搬送終端部まで搬送され、更に排出搬送装置50に引き継がれ、既作業側となる機体の一側に搬送され、第二切断装置52で切断され、引上げ処理されて畝U上に放出された作物体Pの根本側部分P1から左右側方にずれた個所の圃場に切断処理された葉先側部分P2が排出される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、上記構成としたものなので、圃場に植生する生姜等の作物体Pを機械的に引上げ処理するもので収穫作業の省力化が図れるものであり、また、引上げ処理とともに収穫後に不要となる葉先側の茎葉部の切断処理が行え、しかも、引上げ処理されて畝U上に放出された作物体Pの根本側部分P1が切断処理された葉先側部分P2の茎葉部に覆われて見えなくなることがなく、引上げ処理後の作物体Pの根本側部分P1の回収作業も容易に行えて、作業能率の向上が図れるものである。また、第二切断装置52を第一切断装置16より機体左右一側側に偏倚して配置することで機体の前方視界も良く、機体の操縦性が良いものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記構成としたものなので、請求項1記載の発明の効果を奏するとともに、第二切断装置52で切断された茎葉部P2を走行回転体3で踏みつけていくようになり、走行回転体3の後方で排出搬送装置50の搬送終端部の後方に位置する作業者の歩行を容易にし、又、収穫後の茎葉の鋤き込みをよりし易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明を実施するための最良の形態の一つとして、最終収穫物Eが地中にある生姜の作物体Pを引上げる農作物収穫機を、図示するとともに以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
圃場の畝Uに列状に植生する生姜の引上げ作業をする農作物収穫機を、以下に詳細に説明する。
この農作物収穫機は、図に示すように、走行装置1と、作物体Pの引上げ作業を行う作業部Wとを設けたもので、走行装置1は機体を機体前方となる進行方向Dに向って前進走行させ、その走行中に作業部Wが作物体Pの引上げ作業を行っていく。これにより、この農作物収穫機は、機体進行方向Dにそって列状に並ぶ作物体Pを機械的に且つ連続的に引抜いていくことになる。
【0013】
走行装置1は、左右両側に、走行回転体、即ち、自由回転する前輪2,2と駆動回転する後輪3,3を備え、後側に、エンジン4と、該エンジン4の動力を受けて後輪3,3と作業部Wに動力を変速伝動する変速伝動機構を内装したミッションケース5と、歩行操縦用の操縦ハンドル6を備えた歩行操縦型で四輪構成の走行装置で、これにより機体が自走するよう構成している。左右の前輪2,2及び後輪3,3は、作業時に、圃場に形成された畝Uを跨いで畝両側の谷部分を走行する。後輪3,3は、機体後部に配置されたエンジン4から動力が伝動されて駆動回転する。具体的には、エンジン4の動力が、エンジン4の前側に配置されエンジン4に連結するミッションケース5内の変速伝動機構に伝動し、該変速伝動機構を経てミッションケース5の左右両側部に装着した車輪伝動ケース7,7内の伝動機構に伝動し、該車輪伝動ケース7,7の下部の左右方向外側方に突出する後輪車軸8,8に伝動して該車軸8,8に取り付けている前記後輪3,3が駆動回転する構成としている。
【0014】
また、機体の操縦部として歩行型の操縦ハンドル6をその左右の把持部9,9が機体後端上側に位置するように機体後部に設けている。操縦ハンドル6の把持部9,9から前側に延びる左右のハンドルフレーム10,10は下方に屈曲してミッションケース5の左右両側部に固着している。また、操縦ハンドル6の近傍には、操縦者の握り操作により操作されるサイドクラッチレバー11,11を左右に設けていて、これにより左右の後輪3,3への伝動を個々に遮断するサイドクラッチを操作することができて機体の旋回が容易に行える。更に、後輪3,3への伝動と作業部Wへの伝動を遮断する主クラッチを操作する主クラッチ操作レバー12と、ミッションケース5内の走行伝動部に設けた走行変速装置を、低速前進伝動状態、高速前進伝動状態、後進伝動状態、前後進中立状態に切り替え操作する変速レバー13も操縦ハンドル6の近傍に配置している。
【0015】
なお、上記走行装置1は、左右の走行回転体を左右の前輪2,2と左右の後輪3,3で構成しているが、クローラ式走行装置で構成しても良い。
次に、作業部Wについて説明する。
【0016】
作業部Wには、作物体Pの茎葉部PLを挟持して引上げ搬送する左右一対の引上げ搬送ベルト14,14を緩やかに後上がり傾斜した姿勢に設けた引上げ搬送装置15と、作物体Pの茎葉部PLを切断して根元側部分P1と葉先側部分P2とに分離する第一切断装置16を設けている。また、引上げ搬送装置15は、機体平面視で左右の走行回転体2,2;3,3の間に配置するとともに、機体側面視で機体前部側から機体前後中間部付近にかけて後上がり傾斜姿勢で配置している。第一切断装置16は、引上げ搬送装置15の後部下側に配置している。更に、第一切断装置16により切断されて根本側部分P1から切り離され引上げ搬送装置15の後端部とエンジン4とミッションケース5を覆うカバー33との間に空間部Mを形成する。そして、空間部Mの下方には、ミッションケース5の前部から機体前方へ後上がり姿勢で延びる左右のフレーム19,19を配置し、該左右のフレーム19,19とミッションケース5の下方に、前記第一切断装置16により切断されて地面に落下した根本側部分P1を機体後方に通過可能とする空間部Sを有するように構成している。
【0017】
また、引き上げ搬送装置15の後部上方から走行回転体3,3に向かって葉先側部分P2を搬送する排出搬送装置50を設けている。

更に具体的な構成を説明する。ミッションケース5の前部に、左右の作業部伝動ケース18,18と、前方に前下がり傾斜で延びる左右2本のフレーム19,19の後端部を固着している。そして、引上げ搬送装置15は、左右一対の上側の駆動プーリー20,20と左右一対の下側の従動プーリー21,21、左右の引上げ搬送ベルト14,14の内側から支持する複数のローラー22,22…を左右に設け、これら左右のプーリー及びローラの周りに、それぞれ引上げ搬送装置15の搬送体となる引上げ搬送ベルト14,14を巻き掛け、左右の引上げ搬送ベルト14,14の外周面は機体の左右中央部において互いに接当する状態となるようにしている。そして、ミッションケース5内の動力が伝動フレーム18,18内の伝動手段を経て、駆動プーリー20,20の駆動側回転軸23,23に伝動して、左右の引上げ搬送ベルト14,14がその左右中央部側で互いに接当する作物体挟持箇所において機体後方側に移動するように周回駆動される構成としている。前記駆動プーリー20,20は、前記左右のフレーム19,19の左右間に配置し前記第一作業部伝動ケース18,18の下部に固着した第二作業部伝動ケース24,24から上方に突出させて支持した駆動側回転軸23,23に一体回転するように取付け、前記従動プーリー21,21は、前記フレーム19,19の前端部に固着した取付け部材から上方に突出させて回転自在に支持した従動側回転軸25,25に一体回転するように取付け、前記複数のローラー22,22…は、前記駆動側回転軸23,23と従動側回転軸25,25とにわたって装着された支持部材26,26に取付けた複数の支持軸に回転自在に取付けている。支持部材26,26は、引上げ搬送ベルト14,14の上側に配置しているので、引上げ搬送ベルト14,14で挟持搬送される作物体Pの茎葉部PLに接触しにくくなっている。このため、作物体Pが生姜である場合に、引上げ搬送装置15が茎葉部PLを挟持搬送しているとき左右横方向に広がるように生育する土中の生姜を割ってしまうことが生じにくくなる。すなわち、地中の生姜が左右に広がって生育していて複数本の茎葉部PLが左右に幅広く並んで生育しているとき、引上げ搬送装置15は左右に林立する複数の茎葉部PLの中間部付近を左右中央側一箇所に集めて挟持することになるが、このとき、複数のローラー22,22…を取り付ける支持部材を引上げ搬送ベルト14,14の下側に配置していて、複数のローラー22,22…を取り付ける支持部材の端部に左右両端側の茎葉部PLが当たると、左右に広がった生姜の左右両端部を左右内側に引っ張る状態となって、これにより左右に広がった生姜を大きく湾曲させて割ってしまうことがある。しかしながら、本例では、複数のローラー22,22…を取り付ける支持部材26,26を引上げ搬送ベルト14,14の上側に配置しているので、このような問題を回避できる。
【0018】
引上げ搬送装置15の挟持始端箇所Aは、左右の引上げ搬送ベルト14,14が左右中央側前部でベルト外周面を互いに接触させ始める個所となり、機体の前進走行中に、この挟持始端部に作物体Pの茎葉部PLが入り込んでくると、左右の引上げ搬送ベルト14,14が作物体Pの茎葉部PLを挟んで後側斜め上方に搬送する。引上げ搬送ベルト14,14の機体後方水平方向の移動速度は、作業時の機体前進速度(走行変速装置VCを低速前進伝動状態としたときの速度)と略同じ大きさの速度になるように設定しているので、機体が前進走行していても、引上げ搬送装置15に挟持搬送される作物体Pは畝Uに対して前後に倒れず略垂直姿勢のままで上方に引上げ作用を受けることになる。引上げ搬送装置15の挟持終端箇所は、引上げ搬送装置15の後端部にあって左右の引上げ搬送ベルト14,14が左右中央側後部でベルト外周面が互いに離れ始める個所となり、左右の引上げ搬送ベルト14,14が挟持搬送した作物体Pの茎葉部PLがこの箇所から排出される。なお、引上げ搬送ベルト14,14の機体後方水平方向の移動速度を、作業時の機体前進速度(走行変速装置VCを低速前進伝動状態としたときの速度)よりも10〜20%速い速度に設定すると、地中で互いに繋がった状態にある生姜の塊群を機体前進方向前側から引上げるように作用することになり、引上げ時に生姜の塊群が割れるのを生じにくくすることができる。
【0019】
引上げ搬送ベルト14,14の左右一方側を他方側に対して離れる方向に移動可能に構成している。具体的には、左右一方側の引上げ搬送ベルト14を駆動プーリ20の回転軸23を軸に支持部材26の前側を左右方向外側に回動可能に設けている。作業時は引上げ搬送ベルト14,14が互いに接当状態となる位置で固定する固定手段を設け、該固定手段の固定を解除することで左右方向外側への回動が可能となる。これにより、引上げ搬送ベルト14,14の間に過大な量の茎葉部PLが入り込んで過負荷状態となってエンジン4が停止してしまったときなどに、引上げ搬送ベルト14,14の間に詰まった茎葉部PLを容易に取り除くことができる。ところで、図中の15aは、引上げ搬送装置15の上側を覆うカバーである。
【0020】
左右の前輪2,2は、上下調節可能に設けている。左右の前輪2,2を下方に位置調節すると、引上げ搬送装置15の前下がり傾斜が大きくなって、作物体引上げ高さGが増大し、左右の前輪2,2を上方に位置調節すると、引上げ搬送装置15の前下がり傾斜が小さくなって、作物体引上げ高さGが小さくなる。従って、左右の前輪2,2の上下調節機構によって引上げ搬送装置15の作物体引上げ高さGを設定調節可能となっている。具体的には、左右の前輪2,2は、前記フレーム19,19の前端部左右両側部に取り付けた前輪支持軸27,27の左右両端部の前輪支持アーム取付け部28,28に、上下に延びる前輪支持アーム29,29を装着し、その下端部に前輪車軸30,30を設け、これに左右の前輪2,2を回転自在に取り付けている。左右の前輪2,2の上下調節機構は、前輪支持アーム取付け部28,28に対する前輪支持アーム29,29の取付け高さを調節可能とすることで構成している。図例では、取付け穴と取付けピンで構成しているが、他の構成によって実現してもよい。
【0021】
第一切断装置16は、左右一対の円盤状カッターを左右中央部で一部上下に重なるようにして引上げ搬送装置15の後部下側に設けた構成としている。第一切断装置16の左右の円盤状カッターは、ミッションケース5内からの動力を第一作業部伝動ケース18及び第二作業部伝動ケース24,24内の伝動手段を介して円盤状カッターの回転軸31,31に伝動して駆動回転している。左右の引上げ搬送ベルト14,14によって挟持搬送される作物体Pの茎葉部PLは、その挟持搬送終端個所Cまで搬送される手前でその挟持搬送通路を遮るように配置された駆動回転する左右の円盤状カッターで切断作用を受けて切断される。左右の円盤状カッターの前側外周が交差する個所に作物体Pの茎葉部PLが搬送されるように設定しているので、ここから切断が開始される。そして、引上げ搬送装置15の挟持始端箇所Aから第一切断装置16が茎葉部PLを切断する時点の引上げ搬送装置15の挟持箇所Bまでの作物体引上げ高さGを、引上げ搬送装置15が作用する前で地中に生育していた作物体Pの最終収穫物Eの最大深さdより小さくなるように設定している。具体的には、作物体引上げ高さGを2〜6cmに設定する。なお、第一切断装置16を左右のフレーム19,19より下側に位置するように配置することもできる。このようにすると、第一切断装置16であるカッターの交換がフレーム19,19に妨げられず容易に行え、また、切断された後の根本側部分P1がフレーム19,19に引っかかって引きずって行くようなことが生じにくくなり、一層適確な作業が行える。
【0022】
従って、この農作物収穫機は、歩行操縦型の走行装置1によって機体を前進走行させ、引上げ搬送装置15によって作物体Pの茎葉部PLを挟持して引上げ搬送する。このとき土中にある作物体Pの最終収穫物Eも引上げられ、土中に張った根は引きちぎられる。そして、最終収穫物Eの底部が地表面より上方に上昇する前に第一切断装置16によって茎葉部PLが切断される。このため、最終収穫物Eはその上側に土等が被さった状態のままとなる。第一切断装置16により切断された後の作物体Pの根本側部分P1は、左右のフレーム19,19及びミッションケース5の下方に形成された空間部Sを通って機体後方に通過していく。このような作業を行った後、圃場に残された作物体Pの根本側部分P1は、作業者によって圃場から引き抜かれて最終収穫物Eが回収されるが、前記作業によって一度引上げられているので、軽い力で容易且つ迅速に取り上げることができ、また、完全に引き抜かれずに最終収穫物Eの上側に土等が被さった状態のままで残されているので、乾燥等による品質低下が生じにくい。一方、第一切断装置16によって切断されて根本側部分P1から切り離された葉先側部分P2は、引上げ搬送装置15の後端部から排出され、排出搬送装置50に引き継がれる。
【0023】
排出搬送装置50は葉先側部分P2を挟持して機体左右一側に向かって搬送する一対の排出搬送ベルト51を備えており、排出搬送ベルト51の搬送始端部は引き上げ搬送ベルト14の挟持搬送終端箇所Cの上方に位置しており、排出搬送ベルト51の搬送終端部は走行回転体3の上方で、かつ車軸8の前側に位置している。排出搬送ベルト51の搬送終端部の下方には一対の円盤カッターで形成される第二切断装置52を設け、その切断位置Hは走行回転体3の前部側上方に位置している。
【0024】
排出搬送ベルト51は機体前後方向になるよう設けており、機体前側の排出搬送ベルト51aと機体後側の排出搬送ベルト51bの挟持搬送する部分は空間部Mの上方を通過することで、葉先側部分P2の下端部側が機体側に引っかかること無く搬送できる構成としている。
【0025】
引き上げ搬送ベルト14の駆動側回転軸23を搬送始端側のプーリ55に連結し、第二切断装置52は排出搬送ベルト51の排出終端部側のプーリ53の軸54に連結することで、排出搬送ベルト51及び第二切断装置52を回転駆動する構成としている。
【0026】
搬送始端側プーリ55と搬送終端側プーリ53とはプレート56で連結する構成とし、プレート56を機体側に取り付けることで排出搬送ベルト51及び第二切断装置52を支持する構成としている。
【0027】
排出搬送ベルト51に引き継がれた葉先側部分P2は、挟持された状態で空間部Mを通過し、搬送終端部で第二切断装置52で切断され、排出される。切断され排出された葉先側部分P2は落下して走行回転体3に踏みつけられていく。
【0028】
本実施例では第二切断装置52の切断位置Hと排出搬送ベルト51の搬送終端位置を略同じ位置、すなわち、走行回転体3の前部側上方に位置する構成としているが、走行回転体3より機体左右外側に位置する構成としても良い。この構成場合、第二切断装置52で切断される葉先側部分P2の上部側を走行回転体3の外側に排出し、切断される葉先側部分P2の下部側を回転走行体3で踏みつける場所に排出する構成とすることで、より広い範囲に葉先側部分P2を排出することが可能になり、より鋤き込みをし易くすることができる。
【0029】
また、排出搬送ベルト51の搬送終端側は図示はしないがベルト間の間隔を広げることができる構成としている。
機体前側の排出搬送ベルト51aは、排出搬送ベルト51の挟持始端位置Qよりも機体前側に設けるプーリ58に巻回する構成としている。これにより機体後側の排出搬送ベルト51bより内側を周回するベルト長さを長くして、機体後側の排出搬送ベルト51bと同じ長さにすることで、ベルトを共用化してコストダウンが図れる。また、機体前側の排出搬送ベルト51aの挟持始端位置Qよりも前側に張り出した部分は対向して設ける案内棒60と共に機体平面視でV字型を形成しており、引き上げ搬送ベルト14で挟持されている茎葉部PLの葉先側部分P2が垂れ下がっている場合に支持して挟持始端位置Qに案内することができる。
【0030】
従って、この農作物収穫機は、左右の走行回転体3,3の駆動回転により前進走行する。圃場内に機体を移動させたら、作物体Pが植生する畝Uの左右両側方個所(畝両側の谷部)を左右の走行回転体3,3が通過するように機体を位置させ、機体が作物体Pが列状に植生する畝Uを跨ぐような状態として機体を前進させる。作業者は、走行回転体3の後方個所に立って移動する機体に追従して歩行移動する。機体の進行方向を変更するなどの操縦操作は、機体と共に歩行移動しながら機体の後部に設けた操縦ハンドル6をもって行う。そして、機体の前進走行中に、左右走行回転体3,3より機体左右方向内側に設けた引上げ搬送装置15が作物体Pの茎葉部PLを挟持して後側上方に搬送し地中にある作物体Pの最終収穫物Eを引上げる。また、引上げ搬送装置15の後部下側に設けた第一切断装置16が引上げ搬送装置15の挟持個所より下側の茎葉部PLを切断する。第一切断装置16が茎葉部PLを切断すると、引上げ搬送装置15による作物体Pの上方への引上げ作用は解放され、切断個所より下側部分の作物体P1は畝U上に放出される。一方、茎葉部PLの切断個所より上側部分の葉先側部分P2は、引上げ搬送装置15によってその搬送終端部まで搬送され、排出搬送装置50の排出搬送ベルト51に引き継がれ、機体左右一側に向かって搬送され、搬送終端部で第二切断装置52で切断され、引上げ処理されて畝U上に放出された作物体P1から左右側方にずれた個所の圃場に落下して走行回転体3で踏みつけられていく。よって、この農作物収穫機は、圃場に植生する生姜等の作物体Pを機械的に引上げ処理するもので収穫作業の省力化が図れるものであり、また、引上げ処理とともに収穫後に不要となる葉先側の茎葉部P2の切断処理が行え、しかも、引上げ処理されて畝U上に放出された作物体P1が切断処理された葉先側部分P2に覆われて見えなくなることがなく、引上げ処理後の作物体P1の回収作業も容易に行えて、作業能率の向上が図れるものである。また、機体の前方視界も良く、機体の操縦性が良いものである。
【0031】
また、この農作物収穫機は、機体後部にエンジン4を配置し、該エンジン4の前側にミッションケース5を配置し、該ミッションケース5の前部に機体前方へ後上がり姿勢で延びる左右のフレーム19,19を固着し、該フレーム19,19の上側に前記引上げ搬送装置15を配置し、前記ミッションケース5の左右両側部に走行回転体3,3を駆動する動力を伝動する伝動部材を内装しミッションケース5の底部より下側に延設される伝動ケース7,7を介して左右の後輪3,3を装着した構成としている。これにより、畝Uを跨いで走行する機体の左右のフレーム19,19とミッションケース5の下方に、第一切断装置16により切断され畝Uに残される根本側部分P1を機体後方に通過可能とする空間部Sを機体底部に充分に確保することができる。従って、機体がコンパクトに構成されるものでありながら、畝U上に着地した根本側部分P1を、大きく倒したり引きずったりせずに機体後方に通過させられ、しかも、切断された葉先側部分P2が根本側部分P1の上に落下することも防止される。
【0032】
本例の農作物収穫機は、引上げ搬送装置15の挟持始端部に作物体Pの茎葉部PLを掻集める茎葉掻集め装置34を引上げ搬送装置15の前側に設けている。この茎葉掻集め装置34は、左右のフレーム19,19の各前端部に固着した左右の支持部材35,35にそれぞれ取付けた左右の支持フレーム36,36の前部と後部とに、それぞれ前側プーリー37,37と後側プーリー38,38とを軸着し、左右ぞれぞれの前側プーリー37,37と後側プーリー38,38とに、外周側に突出するラグ39a…を多数有する掻集めベルト39,39を巻き掛け、更に、後側プーリー38,38の回転軸は、引上げ搬送装置15の従動プーリー21,21と一体回転する回転軸25,25の上部に自在継ぎ手を介して連結して構成している。この茎葉掻集め装置34は、左右の掻集めベルト39,39の前側が、左右外側に広がり且つ下位に位置するように傾斜した姿勢で配置している。これにより、掻集めベルト39,39は、左右に広がった作物体Pの茎葉部PLを引上げ搬送装置15の挟持始端部に向けて葉を持上げるようにしながら掻集めるように作用する。なお、畝Uの大きさや作物体Pの茎葉部の左右の広がりの程度に対応して、茎葉掻集め装置34の左右の掻集めベルト39,39の各前部の左右位置及び上下高さを調節可能に設けている。更に、左右の掻集めベルト39,39の各前部の左右位置及び上下高さの調節に対応して左右傾斜角度も調節することで、茎葉部の掻き集め作用力が効果的に発揮されるようにも調節できる。また、掻集めベルト39,39の周回速度は、その機体後方の分速度が機体の前進速度と略同じ大きさから若干早い速度になるように設定して、掻集めベルト39,39が作物体Pを前方に押し倒さないようにしている。
【0033】
また、茎葉掻き集め装置34を駆動する後側プーリー38,38は、引上げ搬送装置15の従動プーリー21,21の上側に設けているので、作物体Pが生姜である場合に、引上げ搬送装置15が茎葉部PLを挟持するとき横側にのびて生育する生姜を割ってしまうことが生じにくくなる。すなわち、地中の生姜が左右に広がって生育していて複数本の茎葉部PLが左右に幅広く並んで生育しているとき、引上げ搬送装置15は左右に林立する複数の茎葉部PLの中間部付近を左右中央側一箇所に集めて挟持することになるが、このとき、茎葉掻き集め装置を駆動する後側プーリーが引上げ搬送装置15の従動プーリー21,21の下側に設けられていて該後側プーリーが大きく下方に突出していると、その突出部に左右両端側の茎葉部PLが当たると左右に広がった生姜の左右両端部を左右内側に引っ張る状態となって、これにより左右に広がった生姜を大きく湾曲させて割ってしまうことがあり、或いはまた、後側プーリーの下側突出部との当たり箇所を通過して逆に左右両端側の茎葉部PLが大きくたるみ、このため、左右に広がった生姜の左右端側が引上げ搬送装置15で挟持された茎葉部で引っ張り上げられず、左右中央側箇所だけで引っ張り上げられる状態が生じ、このため左右に広がった生姜が前記とは逆に大きく湾曲して割れてしまうことがある。しかしながら、本例では、茎葉掻き集め装置34を駆動する後側プーリー38,38は、引上げ搬送装置15の従動プーリー21,21の上側に設けているので、このような問題を回避できる
【0034】
また、茎葉掻き集め装置34は、その掻き集め作用部(掻集めベルト39,39)の前部が走行回転体(前輪)2,2の前方を横切るように左右に広がっている構成としている。これにより、畝Uに生えている作物体Pの茎葉部が畝Uの左右側方の谷部まで左右に大きく広がっている場合でも、適確に引上げ搬送装置15の挟持始端部Aに掻き集められ、且つ、左右に広がった作物体Pの茎葉部を走行回転体(前輪)2,2を踏みつけて引上げ作業の妨げとならないようにすることができ、適確な引上げ作業が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】農作物収穫機の側面図。
【図2】農作物収穫機の平面図。
【図3】農作物収穫機の断面正面図。
【符号の説明】
【0036】
1:走行装置
2,2:前輪(走行回転体)
3,3:後輪(走行回転体)
4:エンジン
5:ミッションケース
6:操縦ハンドル
14,14:引上げ搬送ベルト
15:引上げ搬送装置
16:第一切断装置
19,19:フレーム
50,排出搬送装置
52,第二切断装置
A:引上げ搬送装置の挟持始端箇所
B:切断装置が茎葉部を切断する時点の引上げ搬送装置の挟持箇所
H:切断位置
S:空間部
P:作物体
PL:作物体の茎葉部
P1:茎葉部の根本側部分
P2:茎葉部の葉先側部分
E:最終収穫物
d:収穫作業前に土中にある最終収穫物の最大深さ

【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成16年10月15日(2004.10.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−109783(P2006−109783A)
【公開日】 平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願番号】 特願2004−302146(P2004−302146)