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【発明の名称】 刈払機
【発明者】 【氏名】吉田 賢一
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士重工業株式会社内

【要約】 【課題】刈払機をその使用環境に応じてエンジンと電動モータのいずれをも動力源として駆動し得るようにする。

【解決手段】刈払機本体としての操作アーム10内に回転自在に装着された従動軸の先端にはカッター13が連結され、操作アーム10の後端には従動側ジョイント16が設けられている。この従動側ジョイント16には、エンジン17のエンジン出力側ジョイント28と、電動モータ18のモータ出力側ジョイント48の何れもが選択的に着脱自在に装着され、それぞれのジョイント28,48は締結部材としての締結レバー33により従動側ジョイント16に締結される。カッター13に連結された従動軸には、エンジン出力軸の駆動側連結部とモータ出力軸の駆動側連結部の何れも選択的に連結される従動側連結部が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にカッターが連結され他端に従動側連結部が設けられる従動軸を回転自在に刈払機本体に装着し、
電動モータの出力軸に設けられ前記従動側連結部に連結される駆動側連結部が組み込まれたモータ出力側ジョイントと、エンジンの出力軸に設けられ前記従動側連結部に連結される駆動側連結部が組み込まれたエンジン出力側ジョイントとのいずれもが選択的に着脱自在に装着される従動側ジョイント部を前記刈払機本体に設け、
前記従動側ジョイントに前記モータ出力側ジョイントと前記エンジン出力側ジョイントとのいずれをも選択的に締結する締結部材を前記従動側ジョイントに装着することを特徴とする刈払機。
【請求項2】
請求項1記載の刈払機において、長手方向中央部に作業者により把持されるハンドルが設けられた中空棒からなる操作アームにより前記刈払機本体を形成することを特徴とする刈払機。
【請求項3】
請求項1または2記載の刈払機において、前記従動側ジョイント内に遠心クラッチを組み込み、前記遠心クラッチのクラッチ入力軸に前記従動側連結部を設けることを特徴とする刈払機。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンと電動モータのいずれをも動力源としてカッターを駆動し得るようにした刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
田畑の畦道の雑草、山林などの下草や牧草などを刈り取るために草刈機とも言われる刈払機が使用されている。刈払機には、操作アームの先端にカーターを取り付け、後端に動力源を取り付けるようにしたアーム連結タイプと、動力源の回転軸に直接カッターを取り付けるようにした直動タイプとがあり、動力源としてはエンジンを使用する場合と電動モータを使用する場合とがある。電動モータを動力源とする刈払機としては、例えば特許文献1に記載されるように、操作アームの先端に電動モータを装着し、電動モータのシャフトにカッターを直接取り付けるようにした直動タイプが多い。また、エンジンを動力源とする刈払機としては、例えば特許文献2に記載されるように、操作アームの先端側にカッターを配置し他端側にエンジンを配置するようにしたアーム連結タイプが多い。
【0003】
操作アームの先端にカッターを取り付け、後端にエンジンを取り付けるようにしたアーム連結タイプには、エンジンを背負い架台に搭載するようにした背負い式、操作アームに取り付けられたループ状のベルトを肩に掛けるようにした肩掛け式、および操作アームに取り付けられたハンドルを手に持って操作するようにしたハンドル式等があり、ハンドル式にはループハンドルと両手ハンドルがある。
【特許文献1】実開平5−2620号公報
【特許文献2】特開2004−8054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動モータを動力源とする刈払機は、使用場所から比較的近い箇所に商用電源端子が存在する場合に使用することができるが、電源端子が存在しない場所ではそのまま使用することができず、使用するには発電機が必要となる。これに対し、エンジンを動力源とする刈払機は、使用場所から比較的近い箇所に商用電源端子が存在しない場合にも使用することができるという利点があるが、作業時のエンジン騒音がモータ駆動の場合よりも大きくなる。
【0005】
このように、電動モータ式の刈払機は、大きな騒音を発生することはないが、使用場所が家屋の周囲等に限られることになり、電源端子が得られない畦道の雑草刈り作業等には適さない。これに対し、エンジン式の刈払機は、山林の下草や牧草を刈り取る際のように電源端子が近くにない場合にも使用できるが、家屋密集地域における雑草刈り取り作業を行う際には近隣の居住者にも騒音が伝わることになる。刈払機の使用者は使用環境に応じて電動式とエンジン式のいずれかを選択しているが、駆動源によって使用環境が制限されることになる。
【0006】
本発明の目的は、刈払機をその使用環境に応じてエンジンと電動モータのいずれをも動力源として駆動し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の刈払機は、一端にカッターが連結され他端に従動側連結部が設けられる従動軸を回転自在に刈払機本体に装着し、電動モータの出力軸に設けられ前記従動側連結部に連結される駆動側連結部が組み込まれたモータ出力側ジョイントと、エンジンの出力軸に設けられ前記従動側連結部に連結される駆動側連結部が組み込まれたエンジン出力側ジョイントとのいずれもが選択的に着脱自在に装着される従動側ジョイント部を前記刈払機本体に設け、前記従動側ジョイントに前記モータ出力側ジョイントと前記エンジン出力側ジョイントとのいずれをも選択的に締結する締結部材を前記従動側ジョイントに装着することを特徴とする。
【0008】
本発明の刈払機は、長手方向中央部に作業者により把持されるハンドルが設けられた中空棒からなる操作アームにより前記刈払機本体を形成することを特徴とする。
【0009】
本発明の刈払機は、前記従動側ジョイント内に遠心クラッチを組み込み、前記遠心クラッチのクラッチ入力軸に前記従動側連結部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、刈払機本体にエンジンと電動モータとのいずれかを選択的に装着することができるので、刈払機のカッターをエンジンで駆動することができるとともに電動モータにより駆動することができる。したがって、それぞれアタッチメントとしてのエンジンと電動モータとを用意しておくことにより、刈り取り作業の使用環境に応じて刈払機をエンジン駆動式とモータ駆動式とのいずれとしても使用することができる。また、刈払機本体とエンジンまたは電動モータとをセットとして購入した使用者は、付加的に電動モータまたはエンジンを購入することにより刈払機を電動式からエンジン駆動式またはエンジン駆動式から電動式に切り換えることができる。
【0011】
刈払機本体をハンドルが設けられた操作アームとすることにより、作業者が操作アームを手動操作して刈り取り作業を行うことができる。刈払機としては、背負い式または肩掛け式とすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である刈払機を示す斜視図であり、図1(A)は刈払機本体にエンジンを装着した状態を示し、図1(B)は刈払機本体に電動モータを装着した状態を示す。図2は図1(A)における2−2線に沿う拡大断面図であり、図3は図2における横断面図であり、図4は図1(B)における4−4線に沿う拡大断面図である。
【0013】
図1に示す刈払機はアーム連結タイプであり、刈払機本体としての操作アーム10を有し、操作アーム10は中空棒状の部材により構成されており、内部には図2に示すように従動軸11が回転自在に装着されている。操作アーム10の先端にはホルダ12が取り付けられ、このホルダ12には外周面に多数の鋸刃状の刃部が形成された円板状の金属製のカッター13が回転自在に取り付けられており、カッター13は従動軸11の先端に傘歯車対(図示省略)を介して連結されている。操作アーム10の先端部にはカッター13の一部を覆うようにカバー14が取り付けられ、作業の安全が図られている。なお、カッター13としては、図示する円板状の金属製のものに代えて、回転中心から放射状に延びる複数本の紐からなるカッターを用いるようにしても良い。
【0014】
操作アーム10の長手方向中央部分には2つのハンドル15が取り付けられており、作業者はハンドル15を両手で把持することにより、草の刈り取り作業を行うことができる。なお、図示する場合には操作アーム10の2つのハンドルを取り付けることにより刈払機は両手ハンドル式となっているが、これに代えてループハンドル式としても良く、操作アーム10にループ状の肩掛け用のベルトを取り付けて刈払機を肩掛け式としても良い。
【0015】
操作アーム10の後端には刈払機側のジョイントつまり従動側ジョイント16が取り付けられており、この従動側ジョイント16は操作アーム10よりも大径の円筒状の部材により構成されている。操作アーム10には、従動側ジョイント16の部分で図1(A)に示すようにエンジン17と、図1(B)に示すように電動モータ18とのいずれもが選択的に着脱自在に装着されるようになっており、電動モータ18には、コンセント(電源端子)に差し込む通電プラグ19が先端に設けられた給電ケーブル20により電力が供給される。或いは、コンセントから通電プラグ19を介しての電源供給によらず、電源としてバッテリを用いても良い。バッテリを用いることにより、電源端子が無い屋外においても静粛性が要求される場所では、モータにより刈払機を駆動することができる。
【0016】
エンジン17は4サイクルの単気筒ガソリンエンジンであり、エンジンカバー21内には、図2に示すクランク軸からなるエンジン出力軸22を回転自在に支持するクランクケース、およびクランクケースに取り付けられピストンが往復動自在に装着されるシリンダ等のエンジン構成部材が組み込まれており、燃料タンク23内のガソリンを燃料として出力軸22が回転駆動される。出力軸22にはエンジン冷却風を発生させる冷却ファン24が取り付けられており、冷却ファン24は出力軸22が固定されるディスク25とこれに設けられるファンブレード26とを有している。出力軸22を手動で回転させてエンジンを始動させるためにリコイルスタータが設けられており、図1(A)に示すようにリコイルノブ27を引っ張ることによりエンジンを始動させることができる。
【0017】
エンジンカバー21には操作アーム10の後端部に設けられた従動側ジョイント16に着脱自在に装着されるエンジン出力側ジョイント28が設けられており、このエンジン出力側ジョイント28の一部は、図2に示すように、従動側ジョイント16に一部嵌合するようになっている。従動側ジョイント16の外周には一端側の支点31を中心に揺動するリンク32が取り付けられ、このリンク32の先端には締結レバー33が揺動自在に取り付けられている。締結部材としての締結レバー33の先端には、エンジン出力側ジョイント28に形成された突起29に係合する爪部34が設けられており、爪部34を突起29に係合させた状態のもとで締結レバー33を従動側ジョイント16に押し付けると、締結レバー33により操作アーム10とエンジン17とをそれぞれのジョイント16,28の部分で連結することができる。
【0018】
なお、締結部材としては図2に示す構造に限られず、それぞれのジョイント16,28にフランジ部を設け、フランジ部をボルトにより締結することによって操作アーム10とエンジン17とを連結するようにしても良く、従動側ジョイント16の外側にスリーブを回転自在に装着し、スリーブの内周面に形成された雌ねじとねじ結合する雄ねじをエンジン出力側ジョイント28に設けるようにしても良い。
【0019】
円筒形状の部材からなる従動側ジョイント16の内部には遠心クラッチ35が組み込まれており、この遠心クラッチ35は従動軸11に固定されるクラッチドラム36と、支持壁37に回転自在に支持されるクラッチ入力軸38とを有している。図3に示すように、クラッチ入力軸38に固定された回転板39には、ピン41によりこれを中心に揺動自在に揺動子42が複数設けられ、それぞれの揺動子42には引っ張りコイルばね43により揺動子42先端の摩擦接触部44がクラッチドラム36の内周面から離れる方向のばね力が加えられている。したがって、クラッチ入力軸38の回転数が上昇すると、遠心力により引っ張りばね43のばね力に抗して揺動子42が拡開し、揺動子42を介してクラッチ入力軸38と従動軸11とが直結状態となる。一方、リコイルノブ27を引っ張ってエンジン17を始動させるときには、遠心クラッチ35が開放状態となっているので、リコイルノブ27には大きな抵抗力が加わることなく、容易にエンジン17を始動させることができる。
【0020】
遠心クラッチ35のクラッチ入力軸38の端面には径方向に延びる係合溝45が形成されており、この係合溝45は遠心クラッチ35を介して従動軸11の他端に設けられる従動側連結部となっている。この従動側連結部つまり係合溝45に係合する係合突起46が冷却ファン24のディスク25に設けられており、この係合突起46は駆動側連結部となっている。したがって、従動軸11とエンジン出力軸22は係合溝45と係合突起46との係合により遠心クラッチ35を介して連結されることになる。なお、駆動側連結部を係合溝とし従動側連結部を係合突起としても良い。
【0021】
図2に示すように係合溝45と係合突起46とを係合させ、つまり従動側連結部と駆動側連結部とを連結させて、操作アーム10の従動側ジョイント16に、エンジンカバー21のエンジン出力側ジョイント28を嵌合させるとともに、締結部材としての締結レバー33を操作することにより、図1(A)に示すように刈払機本体としての操作アーム10にエンジン17を装着することができる。これにより、刈払機はエンジン17を駆動源としてカッター13を回転駆動して草を刈り取ることができる。
【0022】
図1(B)に示す電動モータ18は図4に示すようにモータカバー47を有しており、このモータカバー47にはエンジン出力側ジョイント28と同様のサイズの円筒形状のモータ出力側ジョイント48が設けられており、このモータ出力側ジョイント48には従動側ジョイント16に設けられた締結レバー33の爪部34が係合する突起49が設けられている。電動モータ18のモータ出力軸50には、クラッチ入力軸38に設けられた従動側連結部としての係合溝45に係合する係合突起51が駆動側連結部として設けられている。これにより、従動軸11とモータ出力軸50は係合溝45と係合突起51との係合により遠心クラッチ35を介して連結されることになる。
【0023】
したがって、図4に示すように係合溝45と係合突起51とを係合させ、つまり従動側連結部と駆動側連結部とを連結させて、操作アーム10の従動側ジョイント16に、モータカバー47のモータ出力側ジョイント48を嵌合させるとともに、締結部材としての締結レバー33を操作することにより、図1(B)に示すように刈払機本体としての操作アーム10に電動モータ18を装着することができる。これにより、刈払機は電動モータ18を駆動源としてカッター13を回転駆動して草を刈り取ることができる。
【0024】
このように、1つの操作アーム10に対しては、エンジン17と電動モータ18のいずれをも作業者が選択的に装着することができるので、刈払機本体つまり操作アーム10と、それぞれアタッチメントとしてのエンジン17と、電動モータ18とを用意しておくことにより、刈り取り作業の使用環境に応じて刈払機をエンジン駆動式とモータ駆動式とのいずれとしても使用することができる。例えば、電源端子が存在しない場所或いは静粛性が要求される場所ではエンジン17を駆動源として刈り取り作業を行うことができ、電源端子が存在する場所では電動モータを駆動源として刈り取り作業を行うことができ、使用者は使用環境に応じて駆動源を選択することができる。また、操作アーム10とエンジン17とをセットとして購入した使用者は、付加的に電動モータ18を購入することにより刈払機を電動式に切り換えることができる。
【0025】
図5は本発明の他の実施の形態である刈払機における図2と同様の部分を示す断面図である。この刈払機においては、従動側ジョイント16内には遠心クラッチ35は組み込まれておらず、遠心クラッチ35はエンジンカバー21内に組み込まれており、従動軸11の後端部には係合溝45が形成された大径フランジ52が設けられ、遠心クラッチ35のクラッチドラム36に固定されたクラッチ出力軸53には係合溝45に係合する係合突起46が設けられた大径フランジ54が取り付けられている。
【0026】
このタイプの刈払機に装着される電動モータ18のモータ出力軸50は、前述する実施の形態においては遠心クラッチ35のクラッチ入力軸38に連結されるのに対して、従動軸11の大径フランジ52に直接連結される。このように、エンジン17を容易に始動させるための遠心クラッチ35を刈払機本体である操作アーム10側に組み込むようにしても良く、エンジン17側に組み込むようにしても良い。
【0027】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、特許文献1に記載されるように、操作アームつまり操作桿の先端に駆動源とこれにより駆動されるカッターとを装着するようにした直動タイプの刈払機にもこの発明を適用することができ、その場合には操作アームの先端に取り付けられたハウジングの中にエンジンと電動モータとを選択して装着することになる。さらに、走行台車に駆動源とカッターとを装着するようにしたタイプの刈払機に対しても同様にして、この発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態である刈払機を示す斜視図であり、(A)は刈払機本体にエンジンを装着した状態を示し、(B)は刈払機本体に電動モータを装着した状態を示す。
【図2】図1(A)における2−2線に沿う拡大断面図である。
【図3】図2における横断面図である。
【図4】図1(B)における4−4線に沿う拡大断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態である刈払機における図2と同様の部分を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 操作アーム(刈払機本体)
11 従動軸
13 カッター
15 ハンドル
16 従動側ジョイント
17 エンジン
18 電動モータ
22 エンジン出力軸
28 エンジン出力側ジョイント
33 締結レバー(締結部材)
35 遠心クラッチ
48 モータ出力側ジョイント
50 モータ出力軸
【出願人】 【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号
【出願日】 平成16年10月15日(2004.10.15)
【代理人】 【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和

【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高

【公開番号】 特開2006−109776(P2006−109776A)
【公開日】 平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願番号】 特願2004−301988(P2004−301988)