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【発明の名称】 苗移植機
【発明者】 【氏名】木下 栄一郎
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】勝野 志郎
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】村並 昌実
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】大久保 嘉彦
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】土井 宏貴
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】黒瀬 英明
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】稲田 誠生
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】竹本 雅浩
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【氏名】山根 暢宏
【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内

【要約】 【課題】コンパクトな機体構成と安定走行を確保した上で、作業負荷を軽減しつつ、苗の投入と植付け状況監視の並行作業を可能とする苗移植機を提供する。

【解決手段】苗移植機は、原動機13およびその動力を変速伝動する走行ミッション19を機体前部の機体幅の略中央に配置し、かつ、作業者が投入した苗を所定位置まで移送する苗供給装置4および移送された苗を受けて圃場に植付ける苗植付装置5からなる植付部を機体後部に配置し、この植付部を上記原動機および走行ミッションより幅方向寸法を大きく多条植え用に構成したものであって、上記植付部の前側には、原動機13および走行ミッション19を挟んだ左右の機体側部にそれぞれ作業用座席6を設け、これら作業用座席6は、後方配置の上記苗供給装置4に臨んで配置したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機およびその動力を変速伝動する走行ミッションを機体前部の機体幅の略中央に配置し、かつ、作業者が投入した苗を所定位置まで移送する苗供給装置および移送された苗を受けて圃場に植付ける苗植付装置からなる植付部を機体後部に配置し、この植付部を上記原動機および走行ミッションより幅方向寸法を大きく多条植え用に形成した苗移植機において、上記植付部の前側には、上記原動機および走行ミッションを挟んだ左右の機体側部にそれぞれ作業用座席を設け、これら作業用座席は、後方配置の上記苗供給装置に臨んで配置したことを特徴とする苗移植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、前後一体配置の原動機および走行ミッションを機体前部に、上下配置の苗供給装置および苗植付装置を機体後部に備える苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、原動機と走行ミッションを機体前部に一体的に前後配置するとともに、作業者が投入した苗を所定位置まで移送する苗供給装置および移送された苗をその下方で受けて圃場に植付ける苗植付装置からなる植付部を機体後部に配置した歩行操縦型の苗移植機が知られている。
【0003】
上記苗移植機は、その後部の操縦ハンドル近傍の機体側部に左右の作業用座席を設けることにより、機体の全長増加を抑えた上で、機体の操縦性を確保しつつ、作業用座席に着座してその前方の苗供給装置に苗を容易に投入して植付け走行することができる。
【0004】
しかしながら、上記構成の苗移植機は、苗供給装置に苗を投入する作業者が機体の前方を向いていることから、圃場の植付け状態を確認するためには、苗の投入の合間に後方を振り返って監視する必要があるので、監視のための作業負担が増加して植付け異常の際の発見の遅れを招くという問題があり、また、左右の作業用座席が操縦ハンドルの外側位置にあることから機体重心から遠くなり、機体の安定上の問題があった。
【特許文献1】特開2004−33009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、コンパクトな機体構成と安定走行を確保した上で、作業負荷を軽減しつつ、苗の投入と植付け状況監視の並行作業を可能とする苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、原動機およびその動力を変速伝動する走行ミッションを機体前部の機体幅の略中央に配置し、かつ、作業者が投入した苗を所定位置まで移送する苗供給装置および移送された苗を受けて圃場に植付ける苗植付装置からなる植付部を機体後部に配置し、この植付部を上記原動機および走行ミッションより幅方向寸法を大きく多条植え用に形成した苗移植機において、上記植付部の前側には、上記原動機および走行ミッションを挟んだ左右の機体側部にそれぞれ作業用座席を設け、これら作業用座席は、後方配置の上記苗供給装置に臨んで配置したことを特徴とする。
【0007】
上記左右の作業用座席は、幅方向寸法の小さい原動機および走行ミッションを挟んだ左右の機体側部に後方を向いて配置され、この作業用座席に着座することにより、作業者は、植付部の苗供給装置に苗を投入しつつ、その作業視界内で圃場の植付け状況を監視することができる。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の苗移植機により、原動機および走行ミッションの両脇のスペースを利用し、機体の全長および幅寸法の増加を抑えて構成することにより、コンパクト化と安定走行を確保することができる上に、着座作業によって作業負荷を軽減しつつ、苗の投入と植付け状況監視の両作業が同一視界内において簡易に並行処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
図1、図2にそれぞれ側面図、平面図を示す苗移植機P1は、畝Aを跨いで走行する左右一対の前輪14,14と左右一対の後輪1,1からなる走行部を設けた車体3の後部に歩行操縦用の操縦ハンドル2を設け、機体側面視で前記走行部の後側接地部(後輪)1,1から操縦ハンドル2にかけての前後間に、上下動して圃場に苗を植付ける苗植付装置5と、該苗植付装置5の上から苗を供給する苗供給装置4とからなる植付部を設けた構成のものである。
【0010】
本例では、上記車輪14,14,1,1のうち左右一対の前輪14,14を遊転車輪とし、左右一対の後輪1,1を動力が伝達されて駆動回転する駆動車輪としている。なお、上記車輪14,14,1,1によるホイールタイプの走行部に替えて、クローラタイプの走行部を採用することもできる。この場合、上下動して圃場に苗を植付ける苗植付装置5と、該苗植付装置5の上から苗を供給する苗供給装置4は、機体側面視でクローラの接地部後端部から操縦ハンドル2にかけての前後間に配置される。また、上記左右の走行部14,14,1,1は、車体3に対して左右位置変更調節可能に設けていて、畝幅が異なる場合にも適宜対応して走行することができるようになっている。走行部14,14,1,1の車体3に対する左右位置変更調節機構は、走行部14,14,1,1の車体3に対する支持部を左右伸縮構成にする等の構成で可能となる。
【0011】
車体3の各部の具体的な構成について以下説明する。
車体3は、その前部に原動機13を搭載し、前部左右両側には前輪14,14を伸縮可能の前輪アー厶15で支持し、左右両側のアクスルハウジング16,16の周りに後部が上下動可能の伝動ケース17,17の後部側面から突出する車軸18に駆動車輪1,1を装着し、原動機13の後側に配置した走行ミッション19の後部から後方にのびるフレーム10を突出させて、このフレーム10の後上がり傾斜でのびる後部の上端部に歩行操縦用の操縦ハンドル2を取付けている。操縦ハンドル2の後端部は、機体後方側に立つ操縦者が手で握るグリップ部11となっており、そのグリップ部は図に示すように左右一対設けた構成としても、操縦ハンドルの左右各後端部を互いに連結して平面視ループ状のハンドルに構成してもよい。この場合、操縦ハンドルの左右各後端部を互いに連結する部分をグリップ部に構成する。
【0012】
また、車体3の前記走行ミッション19の後側には、油圧等により駆動される車輪昇降用シリンダ20を有し、該シリンダ20から後方に突出し或はシリンダ20内に引込み動作するピストンの先端部に左右横方向にのびるアー厶21の中央部を連結している。このアーム21の左右両端部と駆動車輪1,1を取付けた前記伝動ケース17,17の基部に一体のアーム22との間を、右側では連動ロッド23で連結し、左側では油圧等によって伸縮動作可能なローリング動作用シリンダ24を介在させて連結する。
【0013】
このように構成することにより、車輪昇降用シリンダ20を伸縮動作させると、左右の駆動車輪1,1が上下動し、車体3が上下動することになる。また、ローリング動作用シリンダ24を伸縮動作させるとローリング動作用シリンダ24を設けた側の駆動車輪1が昇降し、車体3が左右に傾動することになる。車輪昇降用シリンダ20は左右の駆動車輪1,1の間に配置されて畝上面に接地する接地センサ25によって車体3の畝上面に対する高さが検出され、この検出高さが設定高さとなるように車輪昇降用シリンダ20が動作するように構成している。ローリング動作用シリンダ24の伸縮動作は、操縦ハンドル2付近に設けた操作具によって操縦者が適宜動作可能に構成している。
【0014】
駆動車輪1,1及び前輪14,14は、前述のようにアクスルハウジング16,16及び前輪アーム15,15の伸縮によって左右位置調節されてトレッド変更可能に構成される。これにより、苗を植付けする畝Aの左右幅が異なっても、それに対応して左右車輪の左右位置を調節し、該左右の車輪を畝Aの左右両側の谷部を適宜走行させられる。
【0015】
苗植付装置5,5は、本例では、左右の各苗供給装置4,4について2条植えとして構成し、計4条に苗を植え付けすることができる。各苗植付装置5は苗を上方から投入されるようになっていて下部が前後に開閉する一対のくちばし状の苗植付具27となっている。苗植付装置5,5の上方には左右の苗供給装置4,4を配置し、それぞれに備えたた苗供給カップ28から落下供給される苗を受けて下降し、畝Aにくちばし状の苗植付具27の下部を突き刺して前後に開き、植付穴を形成するとともに苗をその植付穴に放出して植付る。
【0016】
走行ミッション19の後部には植付伝動ケース29が連結されていて、この植付伝動ケース29内の伝動機構を経由して苗植付装置5,5と苗供給装置4、4等が駆動される。苗植付具27は、リンク機構により植付軌跡線Mに沿って上下動され、また、苗植付具27の開閉機構が作動して、上端位置から下端位置までの下降するときははくちばし状の苗植付具27が閉じた状態となり、下端位置で前後に開き、そして、前後に開いた状態で上昇し、上端位置で再び閉じるように動作する。植付後の苗は、その左右側方の土が左右の鎮圧輪26,26で鎮圧されて覆土される。
【0017】
苗供給装置4、4は、左右の苗植付具27,27の各上方に配置される。苗供給装置4,4は、それぞれ、前後に延びる長円周回部に複数のカップ状の苗供給カップ28…を一定間隔で支持し、各苗供給カップ28の底部には開閉自在の底蓋が設けられ、前記軌跡Mの上端位置に苗植付具27が位置するとき、その上方に繰り出された苗供給カップ28の底蓋が開き、それ以外の場所では底蓋が閉じるように構成する。苗植付具27が上下動する毎に苗供給装置4、4が回転駆動されて苗を収容した苗供給カップ28…が苗植付具27の上方に一つずつ繰り出されるように動作して、苗植付具27に苗を供給する。苗供給装置4,4への伝動は、前記植付伝動ケース29内の伝動機構を経由して伝動され、苗植付装置5,5とタイミングを合わせて連動する。
【0018】
苗供給装置4,4の前側の機体幅中央位置には、操作ボックス41とその前側に苗を収容した苗箱Bを載せられるように予備苗載台40を設ける。操作ボックス41には、主クラッチレバー41c、手動水平レバー41h、植付け深さ調節レバー41p等を設ける。主クラッチレバー41cは、操縦ハンドル2に設けた主クラッチレバー2cとワイヤーWで連動操作可能に構成する。したがって、後述する左右の作業用座席6,6に座れる作業者からも、操作ボックス41内の各種レバー41c、41h、41pを容易に操作できる。また、左右いずれの作業者も、予備苗載台40から苗供給装置4,4への苗補給を容易に行える。
【0019】
予備苗載台40の両側部には、原動機13および走行ミッション19を挟むように左右の作業用座席6、6を設ける。これら左右の作業用座席6、6は、前輪14,14のやや後方のトレッド上に、後方配置の苗供給装置4に臨んで後ろ向きに配置する。左右の作業用座席6、6の支持脚6s、6sは、前輪アーム15と後輪軸支部18bとの間に架設したスライドフレーム31に取付け、また、支持脚6s、6sの基部に左右のステップ8,8を取付ける。
【0020】
上記構成の苗移植機は、左右の走行部1,1,14,14が畝を跨いで走行し、苗供給装置4が苗を苗植付装置5に供給し、苗植付装置5は上下動して圃場に苗を植付ける。苗供給装置4への苗の補給作業は、車体3に設けた作業用座席6に座った作業者が、苗供給カップ28…の上方から苗を投入する。
【0021】
この場合において、上記左右の作業用座席6,6が幅方向寸法の小さい原動機13および走行ミッション19を挟んだ左右の機体側部に後方を向いて配置され、この作業用座席6,6に着座することにより、作業者は、苗供給装置4,4に苗を投入しつつ、その作業視界内で圃場の植付け状況を監視することができる。
【0022】
したがって、上記構成の苗移植機により、機体の全長および幅寸法の増加が抑えられたコンパクトな構成によって安定走行を確保することができる上に、着座作業によって作業負荷を軽減しつつ、苗の投入と植付け状況監視の両作業が同一視界内において簡易に並行処理することが可能となる。
【0023】
次に、第2の構成例の苗移植機P2について説明する。以下において、前記同様の部材はその符号を付することにより説明を省略する。
図3、図4にそれぞれ側面図、平面図を示す苗移植機P2は、左右のスライドフレーム31、31の外側に後輪1、1とその伝動ケース17,17を囲むように左右それぞれ外側フレーム32、32を張り出して構成する。左右のスライドフレーム31、31および外側フレーム32、32の後部には、後輪1、1を挟んで水タンクT,Tを搭載し、外側フレーム32、32の潅水タンクT,Tの前方に、苗箱コンテナC,Cを搭載する。
【0024】
更に、第3の構成例の苗移植機P3は、図5、図6にそれぞれ側面図、平面図を示すように、左右の外側フレーム32、32に収納展開可能な開閉式のステップ33,33を取付け、また、スライドフレーム31、31の内側の苗供給装置4の下方に潅水タンクT,Tを搭載する。
【0025】
上記構成の苗移植機P3は、ステップ33,33を展開することにより、機体の後方から作業用座席6,6に着座することができる。また、収納位置に折畳むことにより、機体幅を狭くして軽トラックに積載して簡易に移送できる。
さらに、圃場の畝幅が狭い場合は、スライドフレーム31、31の内側のスペースを潅水タンクT1個の厚さ分まで縮小してトレッドを狭く設定し、後輪1、1の外側に展開した左右のステップ33,33に潅水タンクTを搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】苗移植機(第1例)の側面図である。
【図2】図1の苗移植機の平面図である。
【図3】苗移植機(第2例)の側面図である。
【図4】図2の苗移植機の平面図である。
【図5】苗移植機(第3例)の側面図である。
【図6】図5の苗移植機の平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 後輪(走行部)
2c 主クラッチレバー
2 操縦ハンドル
3 車体
4 苗供給装置(植付部)
5 苗植付装置(植付部)
6 作業用座席
6s 支持脚
8 ステップ
10 フレーム
13 原動機
14 前輪(走行部)
16 アクスルハウジング
17 伝動ケース
18 車軸
18b 後輪軸支部
19 走行ミッション
28 苗供給カップ
31 スライドフレーム
32 外側フレーム
40 予備苗載台
41 操作ボックス
41c 主クラッチレバー
B 苗箱
M 植付軌跡線
P1 苗移植機
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
【出願日】 平成17年6月1日(2005.6.1)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男

【公開番号】 特開2006−333771(P2006−333771A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−161702(P2005−161702)