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【発明の名称】 乗用型田植機
【発明者】 【氏名】井上 誠
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【氏名】山本 二教
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【氏名】笠原 敏章
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【氏名】橋本 康弘
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【氏名】市川 祐介
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社内

【要約】 【課題】コンパクトな構成で、且つ組み付け精度が良好となり、製造コストも低減できる乗用型田植機を提供する。

【解決手段】機体前部に動力部を配置し、機体後部に苗植付け装置を昇降可能に配置した乗用型田植機において、機体前部に配置するミッションケース2は、その後部側に走行駆動系とPTO駆動系への動力伝達機構を内蔵し、その前部にステアリング駆動機構を内蔵してなる一体型ケース体にて構成し、ミッションケース2の前後方向中途部位の上面に対してエンジン21を固定する。ミッションケース2の前後方向中途部位には、前輪へ動力伝達するフロントアクスルケース4を機体左右両側に突設し、ミッションケースの側面視において、エンジン21の出力軸33とミッションケース2内への入力軸34との間に、フロントアクスルケースにおけるフロントアクスル軸39が配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前部に動力部を配置し、機体後部に苗植付け装置を昇降可能に配置した乗用型田植機において、
機体前部に配置するミッションケースは、その後部側に走行駆動系とPTO駆動系への動力伝達機構を内蔵し、その前部にステアリング駆動機構を内蔵してなる一体型ケース体にて構成し、
前記ミッションケースの前後方向中途部位の上面に対してエンジンを固定したことを特徴とする乗用型田植機。
【請求項2】
前記ミッションケースの前後方向中途部位には、前輪へ動力伝達するフロントアクスルケースを機体左右両側に突設し、ミッションケースの側面視において、前記エンジンの出力軸とミッションケース内への入力軸との間に、前記フロントアクスルケースにおけるフロントアクスル軸が配置されているように構成したことを特徴とする請求項1に記載の乗用型田植機。
【請求項3】
前記エンジンの出力軸と、前記ミッションケース内への入力軸とは、当該ミッションケースの一側面に突出させ、前記出力軸と入力軸とをベルト・プーリにより動力伝達するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量でコンパクトな乗用型の田植機の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から乗用型の田植機の構成は良く知られおり、特に、特許文献1では、機体の平面視において、左右一対の前後長手のメインフレームと、該両メインフレームの前部間を連結するフロントフレームと、それより後側間で両メインフレームを連結する棒状の連結フレームとで矩形枠を構成し、この矩形枠内にてフロントフレームと連結フレームとの間を前後に繋ぐ支持部材上にエンジンを搭載し、このエンジンより後方の両メインフレームの前部間に前後長手のミッションケースを配置したものが知られている。そして、このミッションケース内には、エンジンからの動力を前輪及び後輪にそれぞれ伝達する変速機構付きの走行伝動系とPTO軸への動力伝動機構とが内蔵された一体型のものであった。
【特許文献1】特開平11−318131号公報(図3及び図21参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の構成によれば、メインフレームの後部側にミッションケースを組み付けする工程と、メインフレームの前部側の支持部材上にエンジンを固定(組み付け)する工程とが別々に行われる結果、組み付け時の寸法誤差が累積され、組み立て寸法誤差が大きくなりバラツキが生じやすいという問題があった。
【0004】
また、ミッションケースとエンジンとの取り付け位置が離れる結果、機体をコンパクトにできないし、部品点数も多くなり、コストの削減も困難になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決すべくなされたものであって、コンパクトな構成で、且つ組み付け精度が良好となり、製造コストも低減できる乗用型田植機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の乗用型田植機は、機体前部に動力部を配置し、機体後部に苗植付け装置を昇降可能に配置した乗用型田植機において、機体前部に配置するミッションケースは、その後部側に走行駆動系とPTO駆動系への動力伝達機構を内蔵し、その前部にステアリング駆動機構を内蔵してなる一体型ケース体にて構成し、前記ミッションケースの前後方向中途部位の上面に対してエンジンを固定したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗用型田植機において、前記ミッションケースの前後方向中途部位には、前輪へ動力伝達するフロントアクスルケースを機体左右両側に突設し、ミッションケースの側面視において、前記エンジンの出力軸とミッションケース内への入力軸との間に、前記フロントアクスルケースにおけるフロントアクスル軸が配置されているように構成したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の乗用型田植機において、前記エンジンの出力軸と、前記ミッションケース内への入力軸とは、当該ミッションケースの一側面に突出させ、前記出力軸と入力軸とをベルト・プーリにより動力伝達するように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンをミッションケースの上部に結合することにより、田植機の組み付けの工程を少なくできると共に、従来のようにエンジン支持フレームとミッションケースとを前後に連結する構成よりも機体の前後長さを大幅に短くでき、且つ軽量化を図ることができるという効果を奏する。
【0010】
また、ミッションケースは後部側に動力伝達機構を内蔵し、その前部にステアリング駆動機構を内蔵してなる一体型ケース体にて構成し、かつそのミッションケースの前後方向中途部の上面にエンジンを配置するから、前後重量バランスが向上するという効果を奏する。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ミッションケースの前後方向中途部位には、前輪へ動力伝達するフロントアクスルケースを機体左右両側に突設したから、ミッションケースにエンジンとフロントアクスルケースとが組み付けられた状態での前後重量バランスが一層向上し、且つミッションケースの側面視において、前記エンジンの出力軸とミッションケース内への入力軸との間に、前記フロントアクスルケースにおけるフロントアクスル軸が配置されているように構成したものであるから、前後方向の長さも短くコンパクトにできるという効果を奏する。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記エンジンの出力軸と、前記ミッションケース内への入力軸とは、当該ミッションケースの一側面に突出させ、前記出力軸と入力軸とをベルト・プーリにより動力伝達するように構成したものであるから、請求項1または2に記載の発明による効果に加えて、ミッションケースに対するエンジンの組み立て位置の多少のずれは、弛み調節機構付きのベルト伝動機構による融通で吸収することができ、組み立て作業が容易になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の最良の実施形態に付いて、図面を参照しながら説明する。図1は乗用型田植機の側面図、図2は平面図、図3はミッションケースに対するエンジンの組み付け部を示す側面図、図7〜図11はミッションケースを示す図である。
【0014】
図1〜図10に示すように、本実施形態の4条植え式の乗用型田植機における走行機体は、前後方向に長い左右一対のフレームからなるメインフレーム1と、このメインフレーム1の間に配置される前後方向に長い一体型ケース体からなるミッションケース2とその後方に連結した断面下向きコ字型の伝動部フレーム3とからなる。
【0015】
アルミ合金製等のミッションケース2は走行機体の左右に分割された分割ケースを内部機構の収容にボルト締めして一体化したものである。ミッションケース2の前後方向中途部の左右両側面にはフロントアクスルケース4が突設され、伝動部フレーム3の後端部にはリヤアクスルケース5が取り付けられている。そして、フロントアクスルケース4の左右両端には前輪4aが、リヤアクスルケース5の左右両端には後輪5aがそれぞれ取付けられている(図1及び図2参照)。
【0016】
メインフレーム1の後端には、上下リンクからなる平行リンク機構6を介して苗植付け装置7が昇降可能に連結されている。なお、苗植付け装置7は、従来から公知の構造、即ち、ミッションケース2の後端に突出するPTO軸9から自在継手軸10を介して動力伝達される左右一対の植付け伝動ケース11と、上端が走行機体の後部に接近するように前傾配置された苗載台12と、各植付け伝動ケース11の下面に配置されたフロート13と、各植付け伝動ケース11の左右両側に取り付けられ、圃場面と苗載台12の下端との間を上下昇降しながら苗載台12上の苗マットから1株ずつに分割して植付けする植付爪付き植付機構14とからなる。そして、メインフレーム1の後端に設けられた昇降用油圧シリンダ15は平行リンク機構6に関連して取付けられ、苗植付け装置7を大きく昇降動させることができる。
【0017】
また、メインフレーム1を上から覆うように取付けられた合成樹脂製の車体カバー16の上には、メインフレーム1から立設する座席支軸(図示せず)に座席体17が水平回動可能に装着されている。その前方には、フロントボンネット(エンジンフード)19が車体カバー16の上面に固定されて立設され、その内部には、後述するミッションケース2の上面前端側から立設するステアリング下軸20、エンジン21及び燃料タンク22等が配置されている。そして、ステアリング下軸20に対して自在継手27を介してステアリング上軸23が連結されており、上端に丸ハンドル24が取付けられているステアリング上軸23が走行機体の前後方向に屈曲可能(チルト可能)に構成されている。そして、ミッションケース2の上面の前部に立設し、且つステアリング下軸20の外周を囲む下コラム45の上端と、ステアリング上軸23の外周を囲む上コラム46との間にはチルト機構47及びその傾斜角度を複数段階において姿勢保持するための姿勢保持手段48が設けられている(図3〜図6参照)。
【0018】
また、フロントボンネット19の上面左右中央部はその上面側から前端までの間、切欠き形成された平面視略U字状の空間であり、この空間をステアリング上軸23と一体的に前後動する可動カバー体25とこれに上向き回動可能に連結された補助カバー体26とにより覆われている。
【0019】
ミッションケース2には、その前部内にステアリングのためのステアリング駆動機構28が内蔵され、中途部から後部内には、走行駆動系29とPTO駆動系30への動力伝達機構31とが内蔵されている(図7〜図10参照)。ミッションケース2は側面視において、その上面側の前部の高さが低く、中途部より後部にわたって高さが高くなるように、中途部に段部2aが形成されている(図7 〜図11参照)。この段部2aには、ミッションケース2の上面にて左右に跨いだ平坦なエンジン支持部材32の足部をボルト固着する(図7参照)。エンジン支持部材32には、エンジン21の基部(クランクケース部)21aを固定し、このエンジン21のシリンダケース21b側を後上向きになるように傾斜させて配置する。なお、エンジン21を直立状にして固定しても良い。エンジン21の出力軸33とミッションケース2の前後方向の中途部一側面に突出した入力軸34とに、従来から公知の弛み調節機構35a付きのベルト伝動機構であるプーリ・ベルト33a,34a,35を設けて動力伝達し、入力軸34から動力伝達機構31に動力伝達する。
【0020】
動力伝達機構31には、入力軸34からの動力伝達をオンオフする主クラッチ36と、ブレーキ機構37と、回転数を変速させる歯車式変速機構38と、差動機構39a付きのフロントアクスル軸39と、歯車式変速機構38からチエン伝動機構40を介して動力伝達される後部車輪への走行駆動系としての出力軸41と、歯車式変速機構38からPTOクラッチ42を介してミッションケース2の後端から後向きに突出するPTO軸9とを備えている(図8〜図11参照)。出力軸41からリヤアクスルケース5に動力伝達するチエン伝動機構43は、上述した伝動部フレーム3の内径部に配置されている(図1及び図3参照)。フロントアクスルケース4の横長筒部4bの基部がミッションケース2の側面にボルト固着され、この横長筒部4b内に配置されたフロントアクスル軸39から、前輪4aの車軸に動力伝達される。
【0021】
左右前輪4aの操向方向を変更するピットマンアーム44a、コンロッド、タイロッドなどの舵取りリンク機構44はミッションケース2の前部のステアリング駆動機構28の下方に配置されている(図3、図4参照)。
【0022】
なお、上コラム46の一側方(実施形態では機体の左側)に、主クラッチレバー49とミッションケース2の歯車式変速機構38を前進2段、中立段及び後進1段に切替操作するための主変速レバー50が配置され、上コラム46の他側方(実施形態では機体の右側)に、苗植付け装置7を昇降するための油圧シリンダ15を駆動する昇降操作レバー51が配置され、これらのレバー49〜51は上コラム46と一体的に前後方向に姿勢が変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る乗用型田植機の側面図である。
【図2】乗用型田植機の平面図である。
【図3】走行機体の前部の構造を示す側面図である。
【図4】ミッションケース、エンジン、フロントアクスルケース、及びステアリング機構の取付け状態を示す斜視図である。
【図5】ミッションケース、エンジン、及びハンドルを取付けした状態の走行機体の前左方から見た斜視図である。
【図6】ミッションケース及びエンジンの側面図である。
【図7】ミッションケースを走行機体の右上方から見た斜視図である。
【図8】ミッションケースの一部の内部を切欠きして示す側面図である。
【図9】ミッションケースの一部の内部を切欠きして示す平面図である。
【図10】ミッションケースの内部機構を示す側面図である。
【図11】ミッションケースの内部機構を示す平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 メインフレーム
2 ミッションケース
4 フロントアクスルケース
5 リヤアクスルケース
7 苗植付け装置
9 PTO軸
16 車体カバー
19 フロントボンネット
20 ステアリング下軸
21 エンジン
23 ステアリング上軸
24 丸ハンドル
28 ステアリング駆動機構
29 走行駆動系
30 PTO駆動系
31 動力伝達機構
32 エンジン支持部材
33 出力軸
34 入力軸
33a,34a プーリ
35 ベルト
45 下コラム
46 上コラム
47 チルト機構
48 姿勢保持手段
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成17年3月9日(2005.3.9)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫

【識別番号】100096747
【弁理士】
【氏名又は名称】東野 正

【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸

【公開番号】 特開2006−246762(P2006−246762A)
【公開日】 平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願番号】 特願2005−66224(P2005−66224)