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【発明の名称】 防草緑化シート及びその製造方法
【発明者】 【氏名】鈴木 克昇
【住所又は居所】愛知県岡崎市日名北町4番地1 ユニチカ株式会社岡崎工場内

【氏名】吉田 典古
【住所又は居所】愛知県岡崎市日名北町4番地1 ユニチカ株式会社岡崎工場内

【要約】 【課題】公園や圃場等における地盤の防草と緑化が同時に行え、しかも安価で敷設が容易であり、且つ緑化が十分進んだ後には資材が生分解され資材の回収も不要となる防草緑化シートを提供する。

【解決手段】生分解性を有する長繊維不織布にて構成されかつ防草効果を有するとともに発芽促進用の微小孔が形成された第1の層と、生分解性を有するとともに植物種子を保持した第2の層と、生分解性を有するウェブにて構成され保水性能を有する第3の層とが積層されている。第3の層の構成繊維と第1の層の構成繊維とが相互に交絡することにより、第1の層と第2の層と第3の層とが一体化されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性を有する長繊維不織布にて構成されかつ防草効果を有するとともに発芽促進用の微小孔が形成された第1の層と、生分解性を有するとともに植物種子を保持した第2の層と、生分解性を有するウェブにて構成され保水性能を有する第3の層とが積層され、第3の層の構成繊維と第1の層の構成繊維とが相互に交絡することにより、前記第1の層と第2の層と第3の層とが一体化されていることを特徴とする防草緑化シート。
【請求項2】
生分解性を有する長繊維不織布にて構成されかつ防草効果を有するとともに発芽促進用の微小孔が形成された第1の層と、植物種子を保持した第2の層とが積層されて一体化されていることを特徴とする防草緑化シート。
【請求項3】
第1の層の長繊維不織布が、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系重合体にて構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の防草緑化シート。
【請求項4】
第1の層の不織布を構成する長繊維が熱可塑性を有する重合体にて構成され、前記第1の層の不織布は構成繊維どうしが部分的に熱圧着されたものであることを特徴とする請求項3記載の防草緑化シート。
【請求項5】
植物種子を保持した第2の層が、生分解性を有する種子テープまたは種子シートにて構成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の防草緑化シート。
【請求項6】
第3の層が、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系重合体からなる短繊維90〜10質量%と、セルロース系短繊維10〜90質量%とによって構成されていることを特徴とする請求項1または3または4または5記載の防草緑化シート。
【請求項7】
生分解性を有する長繊維不織布にて構成され防草効果を有する第1の層と、生分解性を有するとともに植物種子を保持した第2の層と、生分解性を有するウェブにて構成され保水性能を有する第3の層とを積層し、積層状態の3層にわたってニードルパンチ処理を施して第3の層の構成繊維と第1の層の構成繊維とを相互に交絡させることにより、前記第1の層と第2の層と第3の層とを一体化させることを特徴とする防草緑化シートの製造方法。
【請求項8】
ニードルパンチ処理によって第1の層に発芽促進用の微小孔を形成することを特徴とする請求項7記載の防草緑化シートの製造方法。
【請求項9】
発芽促進用の微小孔が予め形成された長繊維不織布を第1の層として用いることを特徴とする請求項7記載の防草緑化シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は防草緑化シート及びその製造方法に関し、特に、庭や公園等の地盤、ゴルフ場、圃場等の畦及び法面において使用可能な、防草緑化シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、公園等の緑化などを行う場合は、地盤上に厚さ20cm程度の客土を敷きつめ、この客土に芝生等の植物を栽培すること等が行われていた。しかしながらこの方法では、雨により客土が流出したり、雑草が生えるので完全に緑化するまでの除草の労力が多大であったり、上記の雑草によって芝生等の生育に影響が出たりする場合があった。
【0003】
また、圃場等の畦や法面での雑草の生育は作物に影響が出る場合があり、ここでも雑草の除去には多大な労力が必要である。一方、防草のみを行うと雨等により土の流出が起こり、圃場が安定しないため問題となっている。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1には、屋上などの人工地盤に適用するものであるが、地盤の上に遮水シートを敷き、その上に、芝生等を植栽する植物育成マットを敷き、遮水シート上に給水するようにした植生培地構造が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、法面緑化用の植生基盤材とそれを用いた緑化工法として、法面の上に防草マットを敷き、この防草マットの表面側の法枠上に、防水性シートと補強ネットにより構成される袋体に植生基材を充填した植生袋を設置し、防草マットは根が通過可能な材料とした植生基盤材が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の植生培地構造では防草が出来ず、また特許文献1、2のいずれの方法も敷設に時間及び費用がかかるものであった。さらには、圃場等の畦や法面には利用が困難なものであった。
【特許文献1】特開平9−308370号公報
【特許文献2】特開2001−131984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような現状を鑑みてなされたものであり、公園や圃場等における地盤の防草と緑化が同時に行え、しかも安価で敷設が容易であり、且つ緑化が十分進んだ後には資材が生分解され資材の回収も不要となる防草緑化シートを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するものであり、下記を解決手段とするものである。
1.生分解性を有する長繊維不織布にて構成されかつ防草効果を有するとともに発芽促進用の微小孔が形成された第1の層と、生分解性を有するとともに植物種子を保持した第2の層と、生分解性を有するウェブにて構成され保水性能を有する第3の層とが積層され、第3の層の構成繊維と第1の層の構成繊維とが相互に交絡することにより、前記第1の層と第2の層と第3の層とが一体化されていることを特徴とする防草緑化シート。
【0009】
2.生分解性を有する長繊維不織布にて構成されかつ防草効果を有するとともに発芽促進用の微小孔が形成された第1の層と、植物種子を保持した第2の層とが積層されて一体化されていることを特徴とする防草緑化シート。
【0010】
3.第1の層の長繊維不織布が、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系重合体にて構成されていることを特徴とする1.または2.の防草緑化シート。
4.第1の層の不織布を構成する長繊維が熱可塑性を有する重合体にて構成され、前記第1の層の不織布は構成繊維どうしが部分的に熱圧着されたものであることを特徴とする3.の防草緑化シート。
【0011】
5.植物種子を保持した第2の層が、生分解性を有する種子テープまたは種子シートにて構成されていることを特徴とする1.から4.までのいずれかの防草緑化シート。
6.第3の層が、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系重合体からなる短繊維90〜10質量%と、セルロース系短繊維10〜90質量%とによって構成されていることを特徴とする1.または3.または4.または5.の防草緑化シート。
【0012】
7.生分解性を有する長繊維不織布にて構成され防草効果を有する第1の層と、生分解性を有するとともに植物種子を保持した第2の層と、生分解性を有するウェブにて構成され保水性能を有する第3の層とを積層し、積層状態の3層にわたってニードルパンチ処理を施して第3の層の構成繊維と第1の層の構成繊維とを相互に交絡させることにより、前記第1の層と第2の層と第3の層とを一体化させることを特徴とする防草緑化シートの製造方法。
【0013】
8.ニードルパンチ処理によって第1の層に発芽促進用の微小孔を形成することを特徴とする7.の防草緑化シートの製造方法。
9.発芽促進用の微小孔が予め形成された長繊維不織布を第1の層として用いることを特徴とする7.の防草緑化シートの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、防草効果を有する第1の層と植物種子を有する第2の層と保水性を有する第3の層で構成され、構成繊維の三次元交絡により一体化されるとともに第1の層には発芽しやすいように微小孔を有するため、地盤の防草と緑化が同時に行え、しかも安価で敷設が容易であり、且つ各層は生分解性を有するため、緑化が十分進んだ後には資材が生分解され、資材の回収を不要とすることができる。
【0015】
場合によっては、保水のための第3の層を省略することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の防草緑化シートは、3つの層または2つの層にて構成されたシートである。
3層構造の場合は、防草効果を有する第1の層と、植物種子を保持した第2の層と、保水のための第3の層とが積層されて一体化されており、第3の層が地面側かつ第1の層が表側として使用される。2層構造の場合は、第3の層が省略されて、防草効果を有する第1の層と、植物種子を保持した第2の層とが積層されて一体化されており、第2の層が地面側かつ第1の層が表側として使用される。植物種子が芝などの発芽の早いものやその他のものである場合には、保水のための第3の層を有した構成とする。これに対し植物種子が発芽の遅いものである場合などにおいては、第3の層を省略して2層構造としただけでも足りる場合がある。
【0017】
第1の層は、生分解性を有する長繊維不織布にて形成される。このような長繊維不織布として、生分解性を有する熱可塑性重合体、たとえば一種又は二種以上の熱可塑性脂肪族ポリエステル系重合体からなる長繊維不織布が好適に用いられる。熱可塑性脂肪族ポリエステル系重合体としては、例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)からなる重合体またはこれらの共重合体が、また、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)が、さらに、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロレート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエートおよびこれらとポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブチレートとの共重合体のようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)が挙げられる。またグリコールとカルボン酸の縮重合体からなるものとして、例えば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレートまたはこれらの共重合体が挙げられる。さらに、前記脂肪族ポリエステルと、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウロラクタミド(ナイロン12)のような脂肪族ポリアミドとの共縮重合体である脂肪族ポリエステルアミド系共重合体が挙げられる。
【0018】
本発明においては、第1の層を構成する生分解性を有する熱可塑性重合体として、前述した以外の熱可塑性重合体であっても、それが生分解性を有するものであれば用いることができる。尚、本発明においては、前述したところの生分解性を有する熱可塑性重合体に、必要に応じて、例えば艶消し剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加することができる。例えば、第1の層を構成する重合体に顔料としてのカーボンブラックなどを添加すると、遮光性を付与することができるため、防草効果を向上させることができる。また顔料を適宜選択して、黒、緑、茶等の色となるようにすることで、美観を呈したり、敷設される場所と周囲との調和を図るようにしてもよい。
【0019】
本発明の防草緑化シートにおける第1の層である長繊維不織布の目付は30〜150g/mが好ましい。この目付が30g/m未満であると、目付が低すぎて十分な防草効果を得にくくなる。一方、目付が150g/mを超えると、防草効果は十分得られるものの、植物種子の発芽まで抑制されてしまうおそれがある。このことから第1の層の目付は30〜120g/mがより好ましく、50〜100g/mがさらに好ましい。
【0020】
第1の層の長繊維不織布は、この第1の層の機械的特性や形態保持性の観点から、部分的に熱圧着されたものが好適である。個々の熱圧着部分の面積は、特に限定はされないが、0.1〜1.0mmであるのが好ましい。熱圧着点密度は4〜80点/cmであるのが好ましく、10〜60点/cmであるのがより好ましい。熱圧着点密度が4点/cm未満であると、不織布の繊維間空隙が多くなり、水の透過及び植物種子の発芽を促進することにはなるが、不織布の機械的特性や形態保持性が不足して取り扱い性が不良となりやすい。一方、熱圧着点密度が80点/cmを超えると、不織布の繊維間空隙が少なくなり、飛来した雑草の種子の着地を防止することによる防草効果は十分得られるものの、水の透過や目的とする植物種子の発芽が抑制されやすくなる。熱圧着部分の面積比率は5〜40%であるのが好ましく、10〜30%であるのがより好ましい。圧着部分の面積比率が5%未満であると、非圧着部分が多く水の透過や植物種子の発芽には好ましいが、不織布の機械的特性や形態保持性が不足しやすくなるる。一方、圧着部分の面積比率が40%を超えると、不織布の繊維間空隙が少なくなり防草効果は十分得られるものの、水の透過や目的とする植物種子の発芽が抑制されやすくなる。
【0021】
熱圧着部を形成させる方法としては、熱エンボス装置や超音波溶着装置を用いる方法が挙げられる。熱エンボス装置を用いる場合は、加熱された表面に彫刻模様が刻印されたエンボスロールと、加熱された表面が平滑なロールとの間にウェブを通すことにより、彫刻模様に該当する部分のウェブ構成繊維どうしを熱的に融着させて、部分的に熱圧着することができる。
【0022】
第1の層は、第2の層や第3の層と一体化する前に、植物種子が発芽しやすいように微小孔をあけておいてもよい。このように微小孔をあける場合は、第1の層の目付は、微小孔をあけることによる機械的特性の低下を防止するために、上記とは異なって50〜300g/mが好ましい。この目付が50g/m未満では、微小孔をあけたことによる機械的特性の低下により、他の層との一体化の工程で工程通過性が低下しやすくなる。また、300g/mを超えると、生産性に劣る傾向が生じるとともにコスト的にも高くなる。このため、微小孔を開ける場合の目付は、より好ましくは70〜250g/mである。この第1の層に微小孔をあける方法は、特に限定はしないが、第1の層の長繊維不織布ウェブを部分熱圧着した後に、ニードルパンチ処理を施す、或いはピンロールに通す、などの方法等が挙げられる。
本発明の防草緑化シートにおける第2の層は、植物種子を保持したものを用いる。たとえば、植物種子を保持した紐状の種子テープやシート状の種子シートなどを用いる。これらのテープやシートは、生分解性を有した材料にて形成されている。また、これらのテープやシートは、生分解性を有する資材により種子を保持固定させるものであるのが好適である。植物種子の種類及び固定する種子数は、任意に設定できる。
【0023】
第2の層は、上記に代えて、第1の層と同様の生分解性を有する不織布にて形成することができる。この場合に、たとえば、抄造により不織布を形成し、その抄造工程で植物種子を撒布すれば、不織布の形成と同時にこの不織布に種子を保持させることができる。
【0024】
本発明の防草緑化シートにおける第3の層は、生分解性能と保水性能とを有する層にて構成される。このような層として、例えば、生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステル系重合体からなる短繊維90〜10重量%と、セルロース系短繊維10〜90重量%とからなる短繊維不織ウェブが挙げられる。この不織ウェブにおける生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステル系重合体としては、第1の層に用いられる重合体を使用できる。セルロース系短繊維としては、コットン、麻等の天然繊維や、各種レーヨン繊維や、キチン等の天然物からなる化学繊維などを用いることができる。このようなものであると、第3の層を嵩高に構成することができるため、地盤の凹凸に良好に追従することができる。
【0025】
第3の層を構成する短繊維不織ウェブにおいて、生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステル系重合体からなる短繊維の構成比率が10%未満であると、その分だけセルロース系短繊維の構成比率が高くなって不織布の保水性能が高くなるものの、保水したときのシートの嵩が低下して地面の凹凸に追従できず、このため植物の根が地面に入りにくくなる。一方、この短繊維の比率が90%を超えると、その分だけセルロース系短繊維の構成比率が低くなって、不織布の保水性が劣ることになる。
【0026】
第3層の短繊維不織ウェブの目付は、30〜500g/mがよい。この目付が30g/m未満であると、低目付ゆえに十分な保水性が得られにくくなるだけでなく、嵩が低いため地面の凹凸に追従しにくくなる。一方、目付が500g/mを超えると、保水性及び嵩は高くなるが、コスト的に高くなるだけでなく、繊維量が多く保水層の密度が高くなって植物の根の成長の妨げとなりやすくなる。このことから第3層の目付は、より好ましくは、50〜300g/mである。
【0027】
各層どうしの一体化について説明する。
2層構造の場合は、テープ状やシート状に形成された第2の層を、接着やその他の手段によって、長繊維不織布にて形成された第1の層に一体化させればよい。
【0028】
3層構造の場合は、長繊維不織布にて形成された第1の層と短繊維不織ウェブにて形成された第3の層とで第2の層を挟み込んだうえで、ニードルパンチ処理によって例えば第3の層の構成繊維を第2の層を貫通させたうえで第1の層に入り込ませ、この第1の層に入り込んだ第3の層の構成繊維と、第1の層の構成繊維とを相互に交絡させることで、これら第1〜第3の層を一体化させるのが好適である。
【0029】
ニードルパンチ処理を施してニードルを貫通させることによって、第1の層を形成する不織布に発芽促進用の微小孔を形成することができる。この微小孔は、不織布における所定の面積で部分的に熱圧着された熱圧着部分をニードルが貫通することによって、確実に形成される。
【0030】
パンチ条件は、パンチ密度が10〜200パンチ/cmであるのが好ましい。パンチ密度が10パンチ/cm未満では、構成繊維どうしの交絡が不充分となり、積層体としての一体性が良好でなくなるため、敷設の際の作業性に劣ることになる。反対にパンチ密度が200パンチ/cmを超えると、植物種子へのダメージが大きく、発芽率が低下する傾向が生じる。このことから、ニードルパンチのパンチ密度は、15〜100パンチ/cmがより好ましい。ニードルパンチの針深は5〜50mmが良い。針深が5mm未満であると、交絡度が少なく、一体化したシートの形態の安定性に劣って敷設時の作業性が悪くなりやすい。一方、針深が50mmを超えると、生産性の観点から好ましくない。このことから針深は5〜20mmがより好ましい。
【0031】
このニードルパンチ処理においては、種子へのダメージを極力少なくして3層の一体化を行うために、上記のパンチ密度、針深の範囲内でも、出来るだけ低いパンチ数で針深は深い程良く、一体化したシートの使用に十分耐えうる交絡度が得られれば良い。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例、比較例中の各特性値は、以下のような方法にて求めた。
【0033】
・メルトフローレート値(g/10分):
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、温度210℃、荷重20.2N(2160gf)で測定した。
【0034】
・融点(℃):
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、試料質量を5mg、昇温速度を20℃/分として測定して得た融解吸熱曲線の極値を与える温度を融点(℃)とした。
【0035】
・目付(g/m):
標準状態の試料から縦10cm×横10cmの試料片各10点を作成し、各試料片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積あたりに換算して目付(g/m)とした。
【0036】
・植物種子発芽状況:
防草緑化シートを敷設してから1ヶ月後に発芽状況を観察し、以下の基準で判定した。
【0037】
◎:全体の7割以上が発芽しており順調に生長している。
○:全体の3割以上が発芽しており順調に生長している。
△:全体の3割未満の発芽が見られ順調に生長している。
【0038】
×:発芽が全く見られない。
【0039】
・防草効果:防草緑化シートを敷設してから1ヶ月後の防草状態を観察し、以下の基準で判定した。
【0040】
◎:全く雑草が生えていない。
○:わずかに雑草が見られるが防草効果は十分ある。
△:雑草の生育が見られ、除草作業が必要で防草効果は低い。
【0041】
×:防草効果が全く見られない。
【0042】
(実施例1)
融点が168℃、MFR値が65g/10分のポリ乳酸にカーボンブラックを0.5質量%添加し、公知のスパンボンド法にて、単糸繊度3.5デシテックスの長繊維不織ウェブを得た。このウェブに、0.6mmの円形彫刻模様が、圧着点密度25点/cm、圧着面積率15%で配置された金属製エンボスロールと、金属製フラットロールとからなるエンボス装置を適用し、ロール表面温度を135℃に設定して部分熱圧着処理を施すことで、部分的に熱圧着された、目付50g/mの、第1の層としての長繊維不織布を得た。
【0043】
また、融点が170℃、MFR値が20g/10分のポリ乳酸を用い、公知の紡糸・延伸方法にて繊度2.2デシテックス、カット長51mmの短繊維を得た。この短繊維と、平均繊度1.7デシテックス、平均繊維長25mmの木綿の晒し綿とを、50/50の質量比で混綿した後、パラレルカード機により目付50g/mの、第3の層としての短繊維ウェブを得た。
【0044】
第2の層としては、西洋芝の種を固定した生分解性を有するテープ状のものを使用した。
【0045】
次いで、これら3層を、第1の層、第2の層、第3の層の順で重ね、第3の層の側より、針深6mm、パンチ密度60パンチ/cmの条件でニードルパンチ処理を施し、第1〜第3の層を一体化するとともに第1の層に微小孔を形成して、本発明の実施例1の防草緑化シートを得た。
【0046】
このシートを圃場の法面に敷設して、植物種子発芽状況と防草効果とを調べた。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】


【0048】
(実施例2)
第1の層の目付を100g/m、ニードルパンチ処理の針深を12mmとした。そして、それ以外は実施例1と同様にして、防草緑化シートを得た。
【0049】
同様に、このシートを圃場の法面に敷設して、植物種子発芽状況と防草効果とを調べた。その結果を表1に示す。
【0050】
(実施例3)
第1の層の目付を100g/mとし、この第1の層について予めパンチ密度30パンチ/cmの条件のニードルパンチ処理によって微小孔をあけた。そして、第3の層の目付を100g/mとした。また、第1〜第3の層を一体化するためのニードルパンチ処理のパンチ密度を30パンチ/cm、針深を12mmとした。そして、それ以外は実指例1と同様にして、防草緑化シートを得た。
【0051】
同様に、このシートを圃場の法面に敷設して、植物種子発芽状況と防草効果とを調べた。その結果を表1に示す。
【0052】
(実施例4)
第1の層の目付を100g/mとした。また、第3の層のポリ乳酸よりなる短繊維と木綿の晒し綿との比率を、質量比で、(ポリ乳酸よりなる短繊維)/(木綿の晒し綿)=70/30とし、第3の層の目付を100g/mとした。そして、それ以外は実施例1と同様にして、防草緑化シートを得た。
【0053】
同様に、このシートを圃場の法面に敷設して、植物種子発芽状況と防草効果とを調べた。その結果を表1に示す。
【0054】
(実施例5)
第1の層の目付を200g/mとし、この第1の層に予めパンチ密度60パンチ/cmで微小孔をあけた。そして、それ以外は実施例3と同様にして、防草緑化シートを得た。
【0055】
同様に、このシートを圃場の法面に敷設して、植物種子発芽状況と防草効果とを調べた。その結果を表1に示す。
【0056】
(比較例1)
第1の層の目付を、防草効果が無くなる程度に低くした。すなわち、第1の層の目付を20g/mとした。また、第3の層の目付は50g/mとした。また、3つの層の一体化のためのニードルパンチ処理の条件は、実施例3と同じにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして、防草緑化シートを得た。
【0057】
同様に、このシートを圃場の法面に敷設して、植物種子発芽状況と防草効果とを調べた。その結果を表1に示す。
【0058】
(比較例2)
第1の層の目付を200g/mと高くした。また第3の層の目付を、20g/mと、所要の保水効果が無くなる程度に低くした。そして、それ以外は実施例1と同様にして、防草緑化シートを得た。
【0059】
同様に、このシートを圃場の法面に敷設して、植物種子発芽状況と防草効果とを調べた。その結果を表1に示す。
【0060】
上記の通り、本発明の実施例1〜5は防草及び緑化の性能を兼ね備えたものであった。これに対し、比較例1は防草効果が得られず、また、比較例2は、第3の層の目付が低く法面への追従及び保水性に劣り且つ第1の層の目付が高く発芽状況が悪いものであった。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市東本町1丁目50番地
【出願日】 平成16年12月28日(2004.12.28)
【代理人】 【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫

【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘

【識別番号】100096437
【弁理士】
【氏名又は名称】笹原 敏司

【識別番号】100100000
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 洋平

【公開番号】 特開2006−180787(P2006−180787A)
【公開日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願番号】 特願2004−378363(P2004−378363)