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【発明の名称】 播種機
【発明者】 【氏名】中村 宏志
【住所又は居所】兵庫県養父市八鹿町朝倉200 八鹿鉄工株式会社内

【要約】 【課題】搬送装置で搬送されるトレイに戴置される育苗ポットの各セルの中央に、複数の種子を精度良く播種することができる播種装置を備える播種機を提供する。

【解決手段】トレイ11上に戴置した育苗ポット10を搬送する搬送装置2と、該搬送装置2と同期して駆動されて育苗ポットに播種を行う播種装置6とを備える播種機において、前記播種装置6に備える播種ロールの外周面に育苗ポット10のセル位置に合わせて播種孔31aを設け、該播種孔31aに複数の種子を直径方向に並べて充填可能に構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ上に戴置した育苗ポットを搬送する搬送装置と、該搬送装置と同期して駆動されて育苗ポットに播種を行う播種装置とを備える播種機において、前記播種装置に備える播種ロールの外周面に育苗ポットのセル位置に合わせて播種孔を設け、該播種孔に複数の種子を直径方向に並べて充填可能に構成したことを特徴とする播種機。
【請求項2】
前記播種装置の播種ロールに設けた播種孔よりも深く、かつ、播種孔の回転方向の位置に合わせ環状溝を形成し、該環状溝の下部内にスクレーパを挿入配置したことを特徴とする請求項1に記載の播種機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ネギなどの野菜の種子を育苗ポット(セルトレイ)に播いて育苗する播種機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送装置によって育苗ポットを戴置したトレイを搬送し、育苗ポットの各セルに養土充填装置で養土を充填し、該養土充填装置により養土が充填された育苗ポットの各セルに養土鎮圧装置で播種用穴を穿ち、該播種用穴に播種装置で播種を行い、覆土装置で覆土を行うように構成した播種機は公知とされている。
【0003】
このような播種機に備えられる播種装置は、播種ロールの外周面に種子を充填するための播種孔を複数穿設し、前記播種ロールの上部はその上方に配設したホッパ内に臨ませて回転可能に配置し、播種ロールの回転に伴ってホッパ内で前記播種ロールの各播種孔に種子を順次充填し、各播種孔が下部に達したときに、播種孔から種子を育苗ポットの各セルの播種用穴に落下させて播種を行うように構成されていた。そして、播種ロールの外周面に穿設する播種孔の数を増加させること、または開口面積を広くすることで、一つのセルに複数、例えば二粒の種子を落下させて播種するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−253617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の播種機において、播種装置の播種ロールの播種孔に複数の種子を縦方向(回転方向と同方向)に並べて充填するように構成した場合、二粒目以降の種子が一粒目の種子に対し遅れて育苗ポットのセルに落下することになるので、二粒の種子の播種位置に一粒目の種子が播種されてから育苗ポットが搬送された距離だけ縦(回転)方向にずれが生じてしまうことがあった。また、播種孔に複数の種子を横方向に並べて充填するように構成した場合には、二粒の種子の播種位置に横方向にずれが生じて、種子の一方がセル外に落下し、二粒の種子をともにセル内に播種することができないことがあった。したがって、一つのセルに複数の種子を播種する場合に、各セルの中央に精度良く播種することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、トレイ上に戴置した育苗ポットを搬送する搬送装置と、該搬送装置と同期して駆動されて育苗ポットに播種を行う播種装置とを備える播種機において、前記播種装置に備える播種ロールの外周面に育苗ポットのセル位置に合わせて播種孔を設け、該播種孔に複数の種子を直径方向に並べて充填可能に構成したものである。
【0007】
請求項2においては、前記播種装置の播種ロールに設けた播種孔よりも深く、かつ、播種孔の回転方向の位置に合わせ環状溝を形成し、該環状溝の下部内にスクレーパを挿入配置したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、搬送装置により搬送されるトレイ上の育苗ポットに播種ロールを追従させながら播種を行うことで、複数の種子を播種ロールの播種孔から育苗ポットの各セルの播種用穴中央に精度良く播種することができる。また、トレイ上の育苗ポットの大きさが変更された場合でも、搬送装置及び繰出装置の簡単な調整で、複数の種子を育苗ポットの各セルの中央に確実に播種することができる。さらに、播種装置において、播種ロールを育苗ポットの各セルに一粒の種子を播種する播種ロールに変更した場合でも、搬送装置及び繰出装置の調整を行う必要がないので、各セルに播種する種子の数の変更も容易に行うことができる。
【0010】
請求項2においては、播種孔に嵌入した種子を、播種ロールの回転により下部まで搬送して、その下部位置でスクレーパにより種子を播種孔から確実に排出することができ、播種孔に複数の種子を嵌入した場合であっても底部に嵌入した種子も確実に排出して、精度良く播種を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施例に係る播種機の全体的な構成を示した側面図、図2は播種装置の側面断面図、図3は播種孔から外側の種子が播種された状態を示す図、図4は播種孔から内側の種子が落下する状態を示す図、図5は播種孔から内側の種子が播種された状態を示す図、図6は播種ロールの斜視図、図7は播種ロールの断面斜視図、図8は播種孔に種子を充填した状態を示す図である。
【0013】
まず、播種機1の全体構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、播種機1には、自動搬送装置2と、養土充填装置3と、潅水装置4と、養土鎮圧装置5と、播種装置6と、覆土装置7と、潅水装置8とが備えられ、これらの装置が自動搬送装置2上に順次配設されている。
【0015】
自動搬送装置2においては、搬送方向始端となる養土充填装置3の搬送方向上流側にトレイ供給部9が設けられ、該トレイ供給部9に格子状のセル10aを有する育苗ポット10を戴置したトレイ11が支柱からなるガイド12の間に積重されている。また、搬送方向後端となる前記覆土装置7及び潅水装置8の搬送方向下流側には駆動モータ13が設けられ、該駆動モータ13により各装置が駆動されるように構成されている。
【0016】
そして、自動搬送装置2によって前記トレイ供給部9のトレイ11が養土充填装置3へと搬送されると、該養土充填装置3のホッパ16の養土が供給コンベア17により下方の育苗ポット10の各セル内に充填され、鎮圧ローラ18により均平される。続いて、前記トレイ11が養土充填装置3から潅水装置4に搬送されて、該潅水装置4にて育苗ポット10の各セル内の養土に潅水が施される。
【0017】
潅水後、トレイ11は潅水装置4から養土鎮圧装置5へと搬送され、該養土鎮圧装置5にて突起を放射状に有する鎮圧ローラ20により、育苗ポット10の各セル10a内の養土に播種用穴22が穿たれる。そして、トレイ11は養土鎮圧装置5から播種装置6に搬送され、該播種装置6で各播種用穴22にホッパ32内の種子30が播種ロール31によって繰り出されて、播種ロール31下方に位置する育苗ポット10の各セル10a内の養土に播種が行われる。
【0018】
播種後、トレイ11は播種装置6から覆土装置7に搬送され、該覆土装置7でホッパ23の覆土が繰出ロール24によりトレイ11上の育苗ポット10に送出される。最後に、トレイ11が覆土装置7から潅水装置8に搬送されて、該潅水装置8で育苗ポット10の覆土に潅水が施され、播種機1における播種作業が完了する。
【0019】
次に、前記播種装置6について説明する。
【0020】
図2に示すように、播種装置6には播種ロール31やホッパ32が備えられ、自動搬送装置2で搬送されるトレイ11上方に位置するように配置されている。播種ロール31は、水平且つトレイ11の搬送方向と直交するように自動搬送装置2の両側のフレーム33に回転可能に支持された回転軸34に固設され、該回転軸34の回転駆動により回転される。回転軸34は図示しない動力伝達機構を介して自動搬送装置2と連結され、該自動搬送装置と同期して回転駆動される。
【0021】
また、図6、図7に示すように、前記播種ロール31の外周面には、育苗ポット10のセル10aに合わせて縦横に播種孔31aが穿設されている。すなわち、播種ロール31の外周面に横方向(軸心方向と平行)に設けた播種孔31a・31a・・・は育苗ポット10のセル10a内に形成された各播種用穴22の列位置(搬送方向と平行な列のピッチ)に合わせて設けられ、播種ロール31の外周面に縦方向(回転方向)に設けた播種孔31a・31a・・・は育苗ポット10のセル10a内に形成された各播種用穴22の行位置(搬送方向と直角方向の行のピッチ)に合わせて設けられている。播種孔31aは円柱形状または円錐台状に直径方向に播種ロール31に穿設されている。
【0022】
そして、播種ロール31の外周面に縦方向(回転方向)に設けた播種孔31a・31a・・・の各中心部を結ぶように環状溝31b・31b・・・が左右平行に設けられている。環状溝31bの底部の深さは播種孔31aの底部よりも深く形成され、後述するスクレーパ36の先端が種子30よりも深い位置に入るように構成されて、確実に播種孔31a内の種子30がスクレーパ36により排出可能とされている。また、環状溝31bの幅は播種孔31aの幅(直径)よりも短く構成されている。なお、育苗ポット10の搬送方向を前後方向とし、トレイ供給部9側を前方とする。
【0023】
播種孔31aは種子30を略球状とした場合、その内径が種子30の粒径よりも若干大きくなるように形成されるとともに、深さが複数の種子30が直径方向に並んで充填可能となるように構成されている。本実施例では、図8に示すように、二粒の種子30A・30Bが直径方向に設けられた播種孔31aの外側と内側とに並んで充填可能となるように、播種孔31aの深さ及び直径が設定されているが、三粒以上嵌入できるように構成することも可能である。
【0024】
ホッパ32は播種ロール31の上方に配置され、播種ロール31の上部を該ホッパ32内に臨ませるようにして、フレーム33に取り付けられている。そして、該ホッパ32内に収容された種子が、播種ロール31の上部で該播種ロール31の外周面に設けられた各播種孔31aに前述のように二粒ずつ充填可能とされている。
【0025】
また、前記播種ロール31の外周面のうち、前記ホッパ32と反対側となる搬送方向上流側(前方)の部分には、外周形状に合わせた円弧状のガイド板35が配設され、該ガイド板35により前記ホッパ32から播種ロール31の最下点手前に至るまでの区間にわたって播種孔31aが塞がれている。ガイド板35は、その上端が前記フレーム33にピンにより枢支され、バネなどで播種ロール31の外周面に押圧されている。
【0026】
前記播種ロール31の外周面のうち、前記ガイド板35と反対側(後方)の部分には、軸方向に複数のスクレーパ36が並設されている。スクレーパ36はその基端がステーに固設され、該ステーはフレーム33に左右水平方向に取り付けられている。スクレーパ36の先端は前下方の播種ロール31の最下点付近まで延出されて、播種ロール31の環状溝31bに挿入され、環状溝31b底部に接するように配設されている。但し、スクレーパ36の先端位置はガイド板35の下端の上方よりも播種ロール31の回転方向後側で、回転軸心下方からセル幅の長さ後方までの間にあればよい。また、該播種ロール31は図2における矢印Aの方向に回転され、トレイ11は図2における矢印Bの方向に搬送される。
【0027】
本実施例のスクレーパ36は櫛状に一体的に構成することも、ステーに対して平行に一つずつ取り付ける構成であってもよく、容易に形成でき、取り付けも簡単にできるようにしている。スクレーパ36の幅は環状溝31bの幅よりも短く構成して容易に挿入できるようにしている。また、スクレーパ36は低摩擦部材で構成して種子を傷つけないようにし、弾性を有する金属又は合成樹脂により棒状或いはプレート状にて容易に製造できるようにしている。該スクレーパ36の先端は本実施例では側面視「レ」状に外方向に折り曲げて形成しているが、先端を側面視で三角形の板体又は楔状部材を取り付けた構成としたり、これらを一体的に成形して構成したりすることも可能である。更に、先端は「く」状に折り曲げる構成であってもよい。こうして安価で容易に製作できるようにしている。
【0028】
そして、前述のように構成されたスクレーパ36の先端部において、前上端36aが環状溝31b底部に当接され、後下端36bが播種ロール31の外周まで延設されている。言い換えれば、スクレーパ36の先端部は播種ロール31の下端における環状溝31b内に配置され、環状溝31b底部から斜め後方の播種ロール31の外周まで延設された斜辺を有する構造とされている。こうして、スクレーパ36は種子30Aを確実に播種孔31aの外側までガイドして排出できるように構成されている。
【0029】
このように構成することにより、播種機1による播種作業時に自動搬送装置2の駆動に伴って播種装置6の播種ロール31が回転されると、該播種ロール31上部において、播種ロール31の各播種孔31aにホッパ32内に収容された種子30が、二粒ずつ外側と内側(中心側)とに並んで充填される。
【0030】
播種ロール31の播種孔31aに充填された種子30は、ホッパ32の出口に設けられたブラシ37を通過した後、播種ロール31の側方に配設された円弧状のガイド板35にて播種孔31aから落下しないように保持された状態で、播種ロール31の最下点まで搬送される。そして、播種孔31a内の種子30はガイド板35を通過した時点で開放され、その下方まで自動搬送装置2により搬送されたトレイ11上の育苗ポット10の各セル10a内に落下して播種される。
【0031】
すなわち、まず播種孔31a内の種子30のうち、外側の種子30Aがガイド板35を通過した時点で落下を開始し、図3に示すように、その下方に位置するトレイ11上の育苗ポット10のセル10a中央、つまり播種用穴22中央に落下する。そして、播種ロール31が自動搬送装置2により搬送されるトレイ11上の育苗ポット10に追従するように回転して、図4に示すように、トレイ11が搬送方向下流側に移動する距離だけ播種孔31aの位置も移動しつつ、播種孔31aから内側の種子30Bが落下する。
【0032】
したがって、図5に示すように、内側の種子30Bもトレイ11上の育苗ポット10のセル10a中央となる播種用穴22中央に落下する。つまり、外側の種子30Aと内側の種子30Bの二粒の種子30がセル10aの略同じ位置に落下して、播種されることになる。また、種子30Bは播種ロール31の最下点に達するまでに落下せず、播種孔31aに残った場合には、環状溝31bに挿入された前記スクレーパ36により播種孔31aから下方へ排出される。こうして、播種が確実に行われる。
【0033】
以上のように、トレイ11上に戴置した育苗ポット10を搬送する搬送装置2と、該搬送装置2と同期して駆動されて育苗ポットに播種を行う播種装置6とを備える播種機において、前記播種装置6に備える播種ロールの外周面に育苗ポット10のセル位置に合わせて播種孔31aを設け、該播種孔31aに複数の種子を直径方向に並べて充填可能に構成したことから、自動搬送装置2により搬送されるトレイ11上の育苗ポット10に播種ロール31を追従させながら播種を行うことで、複数の種子30を播種ロール31の播種孔31aから育苗ポット10の各セル10a中央に精度良く播種することができる。また、前記播種装置6の播種ロール31と自動搬送装置2とを同期して駆動されることから、自動搬送装置2と播種ロール31とにモータ負荷などによる速度差が生じることがない。そのため、精度良く播種を行うことができる。
【0034】
さらに、トレイ11上の育苗ポット10の大きさが変更された場合でも、自動搬送装置2及び播種装置6の簡単な調整で、複数の種子30を育苗ポット10の各セル10a中央に確実に播種することができる。また、播種装置6において、播種ロール31を育苗ポット10の各セル10aに一粒の種子を播種する播種ロールに変更した場合でも、自動搬送装置2及び播種装置6の調整を行う必要ないので、各セル10aに播種する種子30の数の変更も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例に係る播種機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】播種装置の側面断面図。
【図3】播種孔から外側の種子が播種された状態を示す図。
【図4】播種孔から内側の種子が落下する状態を示す図。
【図5】播種孔から内側の種子が播種された状態を示す図。
【図6】播種ロールの斜視図。
【図7】播種ロールの断面斜視図。
【図8】播種孔に種子を充填した状態を示す図。
【符号の説明】
【0036】
1 播種機
2 搬送装置
3 養土充填装置
6 播種装置
10 育苗ポット
11 トレイ
30 種子
31 播種ロール
31a 播種孔
31b 環状溝
36 スクレーパ
【出願人】 【識別番号】391025914
【氏名又は名称】八鹿鉄工株式会社
【住所又は居所】兵庫県養父市八鹿町朝倉200
【出願日】 平成16年11月8日(2004.11.8)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎

【公開番号】 特開2006−129812(P2006−129812A)
【公開日】 平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願番号】 特願2004−324168(P2004−324168)