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【発明の名称】 旋回スタンド
【発明者】 【氏名】山本 明
【住所又は居所】岡山県赤磐郡山陽町下市447番地 みのる産業株式会社内

【要約】 【課題】圃場において、機体の向きの変更を作業者が一人で簡単に行うことができるようにする。

【解決手段】本発明の旋回スタンド13は、畝Uを跨ぐように配設された左右の前輪2及び左右の後輪3により畝長さ方向である前後方向に走行自在に支持された機体4に取り付けられ、地面に接地して機体4を支持する支持状態Saと、地面から離れて機体4を支持しない退避状態Sbとの間で移動可能に設けられ、支持状態Saでは後輪3を地面から浮かせた状態で機体4を旋回可能に地面に対して支持するように構成されている。そして、支持状態Saにおいて、地面に転動可能に接地する接地輪20と、該接地した接地輪20に対して機体4を支持する支持部22とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝を跨ぐように配設された左右の前輪及び左右の後輪により畝長さ方向である前後方向に走行自在に支持された機体に取り付けられ、地面に接地して前記機体を支持する支持状態と、地面から離れて前記機体を支持しない退避状態との間で移動可能に設けられ、前記支持状態では前記前輪又は/及び前記後輪を地面から浮かせた状態で前記機体を旋回可能に地面に対して支持するように構成された旋回スタンドであって、
前記支持状態において、地面に転動可能に接地する接地輪と、該接地した接地輪に対して前記機体を支持する支持部とを備えた旋回スタンド。
【請求項2】
前記支持状態又は前記退避状態のいずれかの状態に選択的に保持させるための状態保持手段を備えた請求項1記載の旋回スタンド。
【請求項3】
前記支持状態と前記退避状態との間で、前記支持部の基端側を中心にして回動可能に前記機体に支持された請求項1又は2記載の旋回スタンド。
【請求項4】
前記接地輪は、前記支持状態において、前記前輪又は前記後輪の略直下方の地面に接地するように構成された請求項1〜3のいずれか一項に記載の旋回スタンド。
【請求項5】
前記接地輪は、幅広に形成されるとともに、周面の幅方向における断面形状が略円弧状になるように形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の旋回スタンド。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、畝の上面にシートを張り又は回収したり、畝に野菜・花の種・苗を植えたり、畝やそこに植えられた野菜・花に肥料、薬液、水等を散布したり、畝上面付近の低位置に支持された座席に腰掛けて圃場の畝に対して農作業をしたりするための各種農作業車や、播種機等の比較的軽量の各種農作業機等に取り付けられ、これらを圃場において旋回させるための旋回スタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の農作業車として、特許文献1に記載されたものを例示する。図6に示すように、この農作業車81は、前部にバッテリー及び左右一対の前輪83を有し、後部には左右一対の後輪84と該後輪84を回転駆動する走行モータ85及びミッションケース86と後方に向けて突設した操縦ハンドル部87とを備えている。農作業車81は、圃場内の畝を跨ぐように前輪83及び後輪84が畝間を走行し、乗車部88に着座し足を左右のステップ90上に載せた状態にある作業者が苗載せ台91上の苗を取り出しては作業空間部99から畝Uの上面に苗を植え付けていくようになっている。
【0003】
従来、圃場において、ある畝Uでの作業が終了し、隣の畝Uに畝替わりをするために、この種の農作業車を旋回させるときは、図6に二点鎖線で示すように、作業者は乗車部88から降り、反旋回方向側(本例では左側)の前輪付近を手で持ち上げて、旋回方向側の後輪84を中心に一点旋回させるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−38008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、畝Uの中で後輪84を中心に一点旋回をすると、畝間が狭いと、旋回時に畝幅方向に向いた後輪84が畝Uと干渉し、畝Uを崩すことがあるという課題がある。そこで、畝U間が狭い場合は、後輪84の下に例えば回転テーブル(図示略)を置いて旋回することもあるが、該回転テーブルの持ち運びが面倒であるとともに、狭い畝U間での作業が大変であるという課題がある。さらに、畝端部における畝長さ方向のスペースが狭いと、旋回時に、反旋回側の車輪を高く持ち上げる必要があり、労力が掛かるという課題がある。特に高齢者等の体力が強くない者にとっては、この旋回作業を一人で行うことが多大な苦労となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の旋回スタンドは、
畝を跨ぐように配設された左右の前輪及び左右の後輪により畝長さ方向である前後方向に走行自在に支持された機体に取り付けられ、地面に接地して前記機体を支持する支持状態と、地面から離れて前記機体を支持しない退避状態との間で移動可能に設けられ、前記支持状態では前記前輪又は/及び前記後輪を地面から浮かせた状態で前記機体を旋回可能に地面に対して支持するように構成された旋回スタンドであって、
前記支持状態において、地面に転動可能に接地する接地輪と、該接地した接地輪に対して前記機体を支持する支持部とを備えている。
【0007】
この構成によれば、畝上で前記機体を旋回させて向きを変更するときは、該旋回方向側の前記旋回スタンドによって、前記機体を旋回可能に地面に対して支持させておき、前記機体の反旋回方向側を作業者が持ち上げて、前記旋回スタンドを中心に前記機体を一点旋回させることができる。このとき、前記旋回スタンドは、前記前輪又は/及び前記後輪を地面から浮かせた状態で支持するようになっているので、前記機体の旋回時に車輪が畝に接触し難くすることができ、該旋回時に畝を崩すことを防止することができる。この旋回時における前記支持状態では、前記旋回スタンドは、前記接地輪が地面に転動可能に接地しているので、旋回中心を適時移動させることができ、例えば、畝端部における畝長さ方向のスペースが狭い場合でも、旋回中心の移動により、前記機体の反旋回側の車輪等が該スペース内を通過するように適宜調節することができ、前記機体の反旋回側をそれほど高く持ち上げる必要がない。このため、機体の向きの変更を作業者が一人で簡単に行うことができる。
【0008】
前記旋回スタンドは、前記支持状態又は前記退避状態のいずれかの状態に選択的に保持させるための状態保持手段を備えた態様を例示する。
【0009】
この構成によれば、前記機体を旋回させるときは前記旋回スタンドを前記支持状態にして保持させ、前記機体を走行させるときは前記旋回スタンドを前記退避状態にして保持させることができる。
【0010】
前記旋回スタンドは、前記支持状態と前記退避状態との間で、前記支持部の基端側を中心にして回動可能に前記機体に支持された態様を例示する。
【0011】
この構成によれば、前記旋回スタンドを簡単な構成で具体化することができる。
【0012】
前記旋回スタンドにおいては、前記接地輪は、前記支持状態において、前記前輪又は前記後輪の略直下方の地面に接地するように構成された態様を例示する。
【0013】
この構成によれば、前記前輪又は前記後輪の略直下方を中心に前記機体が旋回させることができる。前記前輪又は前記後輪は地面に接する部位であって、農作業車全体で地面に最も近い位置に配設された部位であるので、旋回時に前記前輪又は前記後輪で畝を崩さないように、この部位を地面から確実に持ち上げて前記機体を旋回させるようにしている。
【0014】
前記旋回スタンドにおいては、前記接地輪は、幅広に形成されるとともに、周面の幅方向における断面形状が略円弧状になるように形成された態様を例示する。
【0015】
この構成によれば、前記接地輪の地面に接する部位が略球面状になるので、地面に対して該接地輪がスムーズに旋回する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る旋回スタンドによれば、圃場において、機体の向きの変更を作業者が一人で簡単に行うことができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図5は本発明を具体化した一実施形態を示しており、本例では、畝上面付近の低位置に支持された座席5に腰掛けて圃場の畝Uに対して農作業をするための農作業車1に取り付けられる旋回スタンド13を例示する。本例の農作業車1は、図1及び図2に示すように、畝Uを跨ぐように配設された左右の前輪2及び左右の後輪3により畝長さ方向である前後方向に走行自在に支持された機体4と、該機体4の左右両側に設けられた旋回スタンド13と、前輪2の前方において畝Uの両側にそれぞれ位置するように設けられた一対の畝ガイドローラ9と、前輪2及び後輪3の間において畝Uの両側にそれぞれ位置するように設けられた一対の畝ガイドローラ9と、該機体4により畝上面付近の低位置に支持された座席5と、原動機としてのエンジン8の動力により後輪3を駆動する駆動部7と、前輪2の上方に支持された作業台としての苗載せ台6と、エンジン8の上方に支持されて予備苗ケース10aを載置する予備苗ケース台10とを備えている。なお、各図において、矢印Fは機体前側を指し示している。
【0018】
旋回スタンド13は、図3及び図4に示すように、地面に接地して機体4を支持する支持状態Saと、地面から離れて機体4を支持しない退避状態Sbとの間で移動可能に設けられ、支持状態Saでは後輪3を地面から浮かせた状態で機体4を旋回可能に地面に対して支持するようになっており、支持状態Saにおいて地面に転動可能に接地する接地輪20と、該接地した接地輪20に対しスタンド取付座21を介して機体4を支持する支持部22とを備えている。この旋回スタンド13は、スタンド取付座21を介して機体4に着脱可能に取り付けられているので、機体4に対して簡単に着脱することができる。
【0019】
また、旋回スタンド13は、図4に示すように支持部22の基端側が、スタンド取付座21に設けられた第一支軸25を介して機体4に支持されることにより、支持状態Saと退避状態Sbとの間で、支持部22の基端側を中心にして回動可能に機体4に支持されている。さらに、支持部22の基端側には、機体前後方向に延びる第二支軸26を介してスタンド操作レバー27が回動自在に支持されており、該スタンド操作レバー27を機体前後方向に回動させると、それと同時に支持部22が機体前後方向に回動するようになっている。スタンド取付座21には、スタンド操作レバー27の回動範囲に渡って、該機体外方に突設された突片28が設けられており、該突片28には、支持状態Sa及び退避状態Sbにおいてそれぞれスタンド操作レバー27を係止するための凹部28a,28bが設けられている。そして、スタンド操作レバー27は、その先端側が付勢手段としての圧縮バネ29により、機体内方へ付勢されることにより、両凹部28a,28bのいずれかに係止された状態で保持されるようになっている。このように旋回スタンド13は、支持状態Sa又は退避状態Sbのいずれかの状態に選択的に保持させるための状態保持手段を備えている。
【0020】
接地輪20は、幅広に形成されるとともに、周面の幅方向における断面形状が略円弧状になるように形成されており、これにより接地輪20の地面に接する部位が略球面状になるようにすることにより、接地輪20が地面に対して旋回可能に接地するように構成している。この接地輪20は、旋回スタンド13が支持状態Saにあるときに、後輪3の略直下方の地面に接地するように構成されている(図2参照)。
【0021】
次に、この旋回スタンド13によって農作業車1を旋回させる方法について、図5を参照しながら説明する。ここでは、畝U端部において一人の作業者により農作業車1を右回りに180°旋回させる場合を例示する。まず、畝U端部において、農作業車1を停止させる。次いで、旋回方向側(本例では右側)の後輪3付近の機体4を一方の手で持ち上げて後輪3を浮かせ、他方の手でスタンド操作レバー27を操作し旋回スタンド13を降ろして支持状態Saにする。そして、機体4を降ろすと、機体4が旋回方向側の旋回スタンド13に支持された状態となる。次いで、反旋回方向側(本例では左側)の前輪付近を手で持って、機体4を持ち上げると、機体4は旋回スタンド13の接地輪20を略中心にして一点旋回可能な状態となる(図5(a)参照)。そして、機体4を持ち上げた状態のまま、機体4を旋回させる。このとき、接地輪20が転動可能に地面に接地しているので、機体4が畝Uに接触しないように接地位置を適宜調節しながら旋回させる。機体4を180°旋回させた後、機体4を降ろす(図5(b)参照)。次いで、旋回方向側の後輪3付近の機体4を一方の手で持ち上げて後輪3を浮かせ、他方の手でスタンド操作レバー27を操作し旋回スタンド13を上げて退避状態Sbにすると、旋回が完了する。
【0022】
以上のように構成された本例の旋回スタンド13によれば、畝上で機体4を旋回させて向きを変更するときは、該旋回方向側の旋回スタンド13によって、機体4を旋回可能に地面に対して支持させておき、機体4の反旋回方向側を作業者が持ち上げて、旋回スタンド13を中心に機体4を一点旋回させることができる。このとき、旋回スタンド13は、後輪3を地面から浮かせた状態で支持するようになっているので、機体4の旋回時に車輪が畝に接触し難くすることができ、該旋回時に畝を崩すことを防止することができる。この旋回時における支持状態Saでは、旋回スタンド13は、接地輪20が地面に転動可能に接地しているので、旋回中心を適時移動させることができ、例えば、畝端部における畝長さ方向のスペースが狭い場合でも、旋回中心の移動により、機体4の反旋回側の車輪等が該スペース内を通過するように適宜調節することができ、機体4の反旋回側をそれほど高く持ち上げる必要がない。このため、機体4の向きの変更を作業者が一人で簡単に行うことができる。
【0023】
旋回スタンド13は、前記状態保持手段を備えているので、機体4を旋回させるときは旋回スタンド13を支持状態Saにして保持させ、機体4を走行させるときは旋回スタンド13を退避状態Sbにして保持させることができる。
【0024】
旋回スタンド13は、支持状態Saと退避状態Sbとの間で、支持部22の基端側を中心にして回動可能に機体4に支持されているので、簡単な構成で具体化することができる。
【0025】
接地輪20は、支持状態Saにおいて、後輪3の略直下方の地面に接地するように構成されているので、後輪3の略直下方を中心に機体4が旋回させることができる。後輪3は地面に接する部位であって、農作業車1全体で地面に最も近い位置に配設された部位であるので、旋回時に後輪3で畝を崩さないように、この部位を地面から確実に持ち上げて機体4を旋回させるようにしている。
【0026】
接地輪20は、幅広に形成されるとともに、周面の幅方向における断面形状が略円弧状になるように形成されているので、接地輪20の地面に接する部位が略球面状になり、地面に対して該接地輪20がスムーズに旋回する。
【0027】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)旋回スタンド13を播種機等の比較的軽量の各種農作業機に取り付けること。
(2)旋回スタンド13の接地輪20や支持部22の形状を適宜変更すること。例えば、接地輪20を略球状に形成することが挙げられる。
(3)旋回スタンド13の機体4への取付構造や、状態保持手段の構成を適宜変更すること。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を具体化した一実施形態に係る旋回スタンドを取り付けた農作業車の平面図である。
【図2】同農作業車の側面図である。
【図3】同旋回スタンドの後面図であり、(a)は状態保持された状態、(b)は状態保持を解除した状態をそれぞれ示す図である。
【図4】同旋回スタンドの側面図であり、(a)は退避状態、(b)は支持状態をそれぞれ示す図である。
【図5】同農作業車の旋回方法を示す平面図であり、(a)は旋回前の状態、(b)は旋回後の状態をそれぞれ示す図である。
【図6】従来の農作業車の旋回方法を示す平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 農作業車
2 前輪
3 後輪
4 機体
13 旋回スタンド
20 接地輪
22 支持部
F 機体前側
Sa 支持状態
Sb 退避状態
U 畝
【出願人】 【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
【住所又は居所】岡山県赤磐市下市447番地
【出願日】 平成16年10月4日(2004.10.4)
【代理人】 【識別番号】100108958
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 英一

【公開番号】 特開2006−101753(P2006−101753A)
【公開日】 平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願番号】 特願2004−292016(P2004−292016)