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【発明の名称】 甘藷挿苗機
【発明者】 【氏名】竹山 智洋
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー農機株式会社

【要約】 【課題】一台で苗の植付方法を適宜変更することが可能な甘藷挿苗機を提案する。

【解決手段】一端が機体側に設けた駆動軸9bに固定され、回転駆動される駆動アーム14と、中途部に前記駆動アーム14の他端が回動自在に枢支される植付アーム13と、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が機体側に設けた駆動軸に固定され、回転駆動される駆動アームと、
中途部に前記駆動アームの他端が回動自在に枢支される植付アームと、
一端が前記植付アームの後半部に回転自在に枢支され、他端が機体側に回動自在に枢支される揺動アームと、
前記植付アームの前端部に設けられ、苗を圃場に植え付ける植付爪と、
を具備する甘藷挿苗機において、
植付アームの後半部に設けられ、揺動アームの一端を回動自在に枢支する複数の植付アーム側回動枢支点と、
機体に設けられ、揺動アームの他端を回動可能に枢支する複数の機体側回動枢支点と、
を具備することを特徴とする甘藷挿苗機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、甘藷(さつまいも)の苗を移植するための甘藷挿苗機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
甘藷苗を圃場に植え付ける甘藷挿苗機には、甘藷苗を苗供給機構によって植付機構の近傍まで搬送し、茎端部を植付爪で掴み、該植付爪を上下方向に揺動させ、植付爪の先端を圃場に突入させることで、植込み作業を行うものがある。この形態の甘藷挿苗機には、種々の機種が開発されており、植込作業の効率を向上するため、技術改良が行われてきた。
例えば、特開2000−333515号公報の如く、苗の供給を円滑に行うことで作業効率の向上を図ったものがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、甘藷苗を圃場に植え付ける方法(以下「植付方法」という。)としては、水平植え、改良水平植え、船底植え、斜め植え、直立植え、釣り針植え等、種々の方法が存在し、生育方法や圃場の状況等に応じて適宜選択される(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−333515号公報
【特許文献2】特開2003−70319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術においては、一台の甘藷挿苗機では一種類の植付方法しかなく、異なる植付方法で苗の植え付け作業を行うためにはその方法に応じた植付爪及びその駆動機構を備えた甘藷挿苗機を用意する必要があった。従って、甘薯生産者は甘薯の植付方法の選択は一つであり、異なる方法で植えつけるにはその植付方法が可能な甘藷挿苗機を購入する必要があり、収納スペースやコスト面で大きな負担となっていた。また、メーカーでは別々に生産する必要があるため、製造効率が悪くなっていた。
【0005】
以上の不具合を解決すべく、本発明は、一台で苗の植付方法を適宜変更することが可能な甘藷挿苗機を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、一端が機体側に設けた駆動軸に固定され、回転駆動される駆動アームと、中途部に前記駆動アームの他端が回動自在に枢支される植付アームと、一端が前記植付アームの後半部に回転自在に枢支され、他端が機体側に回動自在に枢支される揺動アームと、前記植付アームの前端部に設けられ、苗を圃場に植え付ける植付爪と、
を具備する甘藷挿苗機において、植付アームの後半部に設けられ、揺動アームの一端を回動自在に枢支する複数の植付アーム側回動枢支点と、機体に設けられ、揺動アームの他端を回動可能に枢支する複数の機体側回動枢支点と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、アームの支点軸の付け替えにより、甘藷挿苗機による苗の植付方法を容易に変更することが可能である。よって、植付方式が圃場によって異なる場合であっても、本機を交換することなく、安価で簡単に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用した甘藷挿苗機を示す側面図、図2は植付機構の構成を示す側面一部断面図、図3は船底植え時の植付機構を示す側面一部断面図、図4は斜め植え時の植付機構を示す側面一部断面図である。図3及び図4には、植付爪の植付静軌跡(黒矢印)及び植付動軌跡(白矢印)を示す側面図も描写している。
なお、以下の説明では、便宜上図1に示す矢印Aの方向を甘藷挿苗機の「前方」と定義する。
【0011】
図1に示す如く、甘藷挿苗機1は、前方左右のガイド車輪2と、後方左右に駆動車輪3を設けてメインフレーム4を支持する構成としている。メインフレーム4の前方に、油圧装置41,燃料タンク42,灌水タンク43を配設する。メインフレーム4のほぼ中央には、エンジン5と、エンジン5に連結してミッションケース6を配設する。
メインフレーム4の後方には、植付機構7と、植付機構7に苗を供給する苗供給機構8を左右対称に配設する。甘藷挿苗機1の走行には、エンジン5からの駆動力を、ミッション6,図示せぬ伝達チェーン、駆動輪スプロケット3a等を経て駆動車輪3に伝達し、該駆動車輪3を回転駆動することにより行われる。
植付機構7は、主に植付ミッションケース9,駆動アーム14,植付アーム13,揺動アーム11,植付爪12・12等で構成される。植付機構7の駆動は、エンジン5からの駆動力を、ミッションケース6,図示せぬチェーン等の伝達機構、植付スプロケット9a等を経て植付ミッションケース9に伝達することにより行われる。
【0012】
また、植付機構7の前方には苗供給機構8が設けられる。
苗供給機構8は甘藷苗を植付機構7に一本ずつ受け渡すものである。苗供給機構8は左右一対の無端状のゴムベルト18・18,及び該ゴムベルト18・18を間欠駆動する図示せぬ駆動部等からなる。なお、図1では説明の便宜上、左側のゴムベルト18を省略し、右側のゴムベルト18のみを図示している。
左右一対の無端状のゴムベルト18・18は、機体後面視において略「V」字を成し、互いに左右逆送りで駆動される。ゴムベルト18の外周面には苗仕切板19・19・・・が突設され、苗仕切板19・19・・・で仕切られる空間に甘藷苗が載置される。
このように構成することにより、苗供給機構8は交互に甘藷苗を「V」字の底に間欠的に搬送し、甘藷苗を植付アーム13に一本ずつ受け渡すことが可能である。
【0013】
次に、植付機構7について説明する。図2に示す植付機構7は、主に、植付ミッションケース9,駆動アーム14,植付アーム13,揺動アーム11,植付爪12・12等で構成される。
【0014】
植付ミッションケース9は、植付機構7の駆動アーム14に回転駆動力を伝達し、植付爪12・12を取り付けた植付アーム13を揺動させるものである。
【0015】
駆動アーム14は略棒状の部材であり、その一端が甘藷挿苗機1の機体側に固設された植付ミッションケース9の側面から突出して回転駆動される駆動軸9bに固定される。
従って、駆動アーム14は、エンジン5から植付ミッションケース9に伝達された駆動力により、駆動軸9bと共に回転駆動される。
なお、「機体」とは、甘藷挿苗機1を構成する構造体または該構造体に固設された部材を指すものとする。
【0016】
植付アーム13は中途部に前記駆動アーム14の他端に設けた枢支軸15が回動自在に枢支され、該植付アーム13の前端部には後で詳述する植付爪12・12が設けられる。前記枢支軸15には図示しないカムが固定され、植付アーム13内において該カムに当接する杆の摺動により植付爪12・12が開閉されるように構成している。
【0017】
揺動アーム11は略棒状の部材であり、揺動アーム11の一端が植付アーム13の後半部に付け替え可能に回動自在に枢支される。
ここで、「植付アーム13の後半部」とは、植付アーム13において植付爪12・12が設けられている方の端部を植付アーム13の前端部、植付爪12・12が設けられていない方の端部を植付アーム13の後端部とした場合において、駆動アーム14が植付アーム13に回動自在に枢支される回動枢支点から植付アーム13の後端部までの部分を指す。
また、揺動アーム11の他端が甘藷挿苗機1の機体、より具体的には植付ミッションケース9の側面に回動自在に枢支される。
【0018】
植付爪12・12は苗供給機構8から受け取った甘藷の苗を圃場に植え付けるものである。植付爪12・12は植付アーム13の前端部に開閉可能に設けられる。植付アーム13には該植付爪12・12を開閉させるための爪開閉機構(図示せず)が設けられている。なお、図2においては植付爪12・12が重なっており、左側の植付爪12のみが図示されている。
【0019】
図2に示す如く、駆動アーム14を左側面視で反時計回りに回転駆動させると、植付アーム13及び植付爪12・12が上下に揺動する。このときの植付アーム13及び植付爪12・12の前方への傾きは揺動アーム11により規制される。
また、植付爪12・12を開閉させるための爪開閉機構(図示せず)は、駆動アーム14の回転と連動し、植付爪12・12の先端部が上方に移動して苗供給機構8の近傍に到達する前に植付爪12・12を開き、植付爪12・12の先端部が苗の左右に位置したときに植付爪12・12を閉じ、植付爪12・12の先端部が下方に移動して圃場に差し込まれたときに植付爪12・12を開いて圃場に苗を残す。
【0020】
本実施例の甘藷挿苗機1は、船底植えまたは斜め植えのうち、いずれかの植付方法を選択して甘藷の苗の植付作業を行うことが可能である。以下、植付方法の変更方法について説明する。
【0021】
植付アーム13の後半部には、揺動アーム11の一端を枢支可能な複数(本実施例では2カ所)の植付アーム側回動枢支点、すなわち植付アーム13と揺動アーム11の一端とを回動可能に枢支する部分が長手方向に複数設けられている。
より具体的には、植付アーム13の後半部に枢支軸15からの距離が異なる位置に2カ所の枢支孔91・92を設け、揺動アーム11の一端に設けられた枢支軸11aを該枢支孔91・92のいずれかに回動可能に貫装することにより、2カ所の植付アーム側回動枢支点のいずれかに揺動アーム11の一端を回動自在に枢支する。但し、揺動アーム11側にも枢支孔を設けて枢支ピンを差し替える構成とすることもできる。
【0022】
また、機体(本実施例の場合、植付ミッションケース9の側面)には、揺動アーム11の他端を回動自在に枢支する機体側回動枢支点、すなわち、機体と揺動アーム11の他端とを回動可能に枢支する部分が、略前後方向に複数カ所(本実施例では2カ所)設けられている。
より具体的には、ブラケット95から突設された枢支軸95aを揺動アーム11の他端に回動可能に貫装し、該ブラケット95を植付ミッション9の側面の異なる2カ所のいずれかにボルトで固定することにより、2カ所の機体側回動枢支点にいずれかに揺動アーム11の他端を回動可能に枢支する。
【0023】
甘藷の苗の植付方法として船底植えを選択して甘藷挿苗機1による植付作業を行う場合には、図3に示す如く、植付アーム13に設けられた2カ所の植付アーム側回動枢支点のうち、前方に位置する植付アーム側回動枢支点(枢支孔92に対応する)に揺動アーム11の一端を回動自在に枢支する。一方、ブラケット95は前側のボルト孔93・93・93にボルトを螺装して固定し、枢支軸95aを前側に位置させ、揺動アーム11を枢支する。
このように構成することで、図3に示す如く、植付爪12・12の先端部が描く動軌跡(図3において白矢印が付された二点鎖線で示される)の下半部、すなわち圃場に差し込まれているときに相当する部分は圃場面に対して略平行であり、甘藷の苗はほぼ横に寝た姿勢で圃場に植え付けられる。
【0024】
また、甘藷の苗の植付方法として斜め植えを選択して甘藷挿苗機1による植付作業を行う場合には、図4に示す如く、植付アーム13に設けられた2カ所の植付アーム側回動枢支点のうち、後方に位置する植付アーム側回動枢支点(枢支孔91に対応する)に揺動アーム11の一端を回動自在に枢支する。一方、ブラケット95は後側のボルト孔94・94・94にボルトを螺装して固定し、枢支軸95aを後側に位置させ、揺動アーム11を枢支する。
このように構成することで、図4に示す如く、植付爪12・12の先端部が描く動軌跡(図4において白矢印が付された二点鎖線で示される)の下半部、すなわち圃場に差し込まれているときに相当する部分は、圃場に対して傾いており、甘藷の苗は傾いた姿勢(ただし、船底植えと比較すると直立状態に近い姿勢)で圃場に植え付けられる。
【0025】
以上の如く、本実施例の甘藷挿苗機1は、一端が機体側に設けた駆動軸に固定され、回転駆動される駆動アーム14と、中途部に前記駆動アーム14の他端が回動自在に枢支される植付アーム13と、
一端が前記植付アーム13の後半部に回転自在に枢支され、他端が機体側に回動自在に枢支される揺動アーム11と、前記植付アーム13の前端部に設けられ、苗を圃場に植え付ける植付爪12・12と、を具備する甘藷挿苗機において、植付アーム13の後半部に設けられ、揺動アーム11の一端を回動自在に枢支する複数の植付アーム側回動枢支点と、機体に設けられ、揺動アームの他端を回動可能に枢支する複数の機体側回動枢支点と、
を具備するものである。
【0026】
このように構成することにより、甘藷挿苗機1により苗の植付方法を適宜変更することが可能である。また、苗の植付方法を変更する際に大幅な部品の変更等の作業を必要とせず、作業性に優れる。
【0027】
なお、本実施例においては、植付アーム13の後半部に設けられ、揺動アーム11の一端を回動可能に枢支する植付アーム側回動枢支点、及び、機体に設けられ、揺動アーム11の他端を回動可能に枢支する機体側回動枢支点は、いずれも2カ所設けられているが、3カ所以上設けて、3種類以上の植付方法を選択可能とすることも可能である。
従って、植付アーム13の後半部に設けられ、揺動アーム11の一端を回動可能に枢支する植付アーム側回動枢支点、及び、機体に設けられ、揺動アーム11の他端を回動可能に枢支する機体側回動枢支点は、少なくとも2カ所設けられていれば略同様の効果を奏する(苗の植付方法を変更することができる)。
また、枢支軸95aは前後2カ所設けておき、揺動アーム11を差し替える構成とすることもできる。
【0028】
また、本実施例においては、苗の植付方法を船底植えと斜め植えとの間で変更可能としたが、他の植付方法(水平植え、改良水平植え、直立植え、釣り針植え等)に合う枢支位置を設けて、その間で変更可能としても良い。このとき、植付方法によっては揺動アーム11の枢支軸11aの位置(枢支軸95aからの距離が異なる位置)を変更するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した甘藷挿苗機を示す側面図である。
【図2】植付機構の構成を示す側面一部断面図である。
【図3】船底植え時の植付機構を示す側面一部断面図である。
【図4】斜め植え時の植付機構を示す側面一部断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 甘藷挿苗機
11 揺動アーム
12 植付爪
13 植付アーム
14 駆動アーム
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成16年9月24日(2004.9.24)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎

【公開番号】 特開2006−87369(P2006−87369A)
【公開日】 平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願番号】 特願2004−277849(P2004−277849)