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【発明の名称】 ニンニクの発芽発根抑制方法
【発明者】 【氏名】竹内 照雄
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台3丁目6番1号 エージレスサービスセンター株式会社内

【氏名】及川 和男
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台3丁目6番1号 エージレスサービスセンター株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】ニンニクを、エチレン濃度が0.1ppm〜3%の雰囲気で保管するニンニクの発芽発根抑制方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニクを、エチレン濃度が0.1ppm〜3%の雰囲気で保管するニンニクの発芽発根抑制方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫後、保管中のニンニクの発芽発根抑制方法に関するものである。本発明で、ニンニクとはニンニク類の通常食用に供されるリン茎(球)部分を指す。発芽発根の抑制とは、発芽の抑制、発根の抑制あるいは発芽と発根の両方の抑制を含む。
【背景技術】
【0002】
ニンニクは6月中旬頃収穫されるが、これを常態で放置すると10月頃に発芽発根し始める。ニンニクは年間を通じて食用とされる為、出来るだけ発芽発根しない状態で保持されることが望ましい。発芽抑制の方法として、例えば、−3〜2℃に管理された低温貯蔵や、−1〜0℃、酸素濃度3〜4%、炭酸ガス濃度4〜5%のCA貯蔵が効果的であることが知られている。(非特許文献1)また、0〜1℃で65〜75%の湿度で貯蔵する方法も知られている。(特許文献1)しかし、これらの低温を利用した発芽抑制方法は、精密に制御された冷蔵設備が必要であり、安価で容易な方法とは言えなかった。発芽抑制剤として、マレイン酸ヒドラジドコリンやマレイン酸ヒドラジドカリウム等の製剤の葉面散布がニンニクの発芽抑制に効果のあることも知られているが、最近、これら製剤の安全性が問題になってきている。このため、収穫後のニンニクの貯蔵中及び流通消費まで、安全性が高く、安価なニンニクの発芽発根抑制方法が求められている。
【0003】
一方、エチレンは、多くの種子の発芽を促進することが知られている(非特許文献2)。ニンニクに対しても、エチレンの排除が発芽抑制効果を有すると考えられてきた(特許文献1)。
また、馬鈴薯・甘藷などの根菜類を、エチレン発生果菜類とともに発泡合成樹脂容器内に保存したり、貯蔵庫内でエチレン生成菌のようなエチレンガス発生体を共存させたり、エチレンガスを導入する方法が知られている(特許文献2、3)。しかし、ニンニクは葉茎菜類に属し根菜類ではなく、また、ニンニクと同じ茎菜類のアスパラガスがエチレンによって逆に発芽促進されることも知られている。従って、エチレンの及ぼす発芽促進及び抑制効果は、個別の植物について評価されるべきものであって、少なくともニンニクがエチレンによって発芽抑制されるということは知られていない。
【0004】
【非特許文献1】斎藤洋著,「ニンニクの科学」,朝倉書店,2000年6月1日発行,p.75
【非特許文献2】小柴共一・神谷勇治偏,「新しい植物ホルモンの科学」,講談社,2003年1月20日発行,p.107
【特許文献1】特開平6−7081号公報
【特許文献2】特開平4−45717号公報
【特許文献3】特開平9−23740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、収穫された後、倉庫等に保管中のニンニクの発芽発根を抑制するニンニクの発芽発根抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ニンニクの発芽発根抑制方法について鋭意研究を重ねた結果、これまで青果物類の発芽促進剤と考えられていたエチレンガスが、意外にもニンニクには抑制効果があることを見出した。そして、ニンニクの周辺の雰囲気に少なくとも0.1ppm〜3%のエチレンを存在させることによって、好適にニンニクの発芽発根を抑制出来ることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、ニンニクを、エチレン濃度が0.1ppm〜3%の雰囲気で保管するニンニクの発芽発根抑制方法である。
【0008】
本発明において、ニンニクの周辺雰囲気のエチレン濃度を0.1ppm〜3%にする手段は特に限定しないが、ニンニクを保管した倉庫内にエチレンガスを放出する方法や、エチレン発生剤を放置する方法などが用いられる。
ニンニクの周辺雰囲気のエチレン濃度は、ニンニク保管期間中持続的に0.1ppm以上にしておくことが望ましい。好ましいエチレン濃度の下限は0.5ppm、より好ましくは1ppmである。エチレン濃度の上限は3%である。エチレン濃度が3%を超えると、爆発の危険があるので好ましくない。
【0009】
ニンニクを保管する雰囲気条件としては、エチレンガスが共存する空気が利用される。酸素濃度又は炭酸ガス濃度を変化させた空気にエチレンガスを加えても良い。ニンニクの保管温度は、凍結しない限り低温が好ましく、−2℃〜20℃が適し、−2℃〜10℃がより好ましい。これより高い温度での保存でも発芽発根抑制は可能であるが、ニンニク自体の品質維持には好ましくない。
【0010】
ニンニクの保管場所の湿度条件は85%RHから50%RHが好ましい。高湿下では、発芽発根し易く、カビや腐敗の原因にもなる。低湿すぎると、ニンニクの肉質が乾燥して、萎びや重量減の原因にもなる。ニンニクを段ボール箱に収納すると、紙の通気性により箱内湿度を70〜80%RHに保つのが容易である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安全性が高く、作業も容易にニンニクの発芽発根を効果的に抑制でき、良好な状態で長期の保管が可能になる。本発明は、発芽発根前のニンニクに適用でき、収穫後、保管するニンニクの発芽発根抑制に利用できる。
本発明の方法により保管されたニンニクは、有害薬品を含まないので、業務用にも、一般消費者用の食材としても好適に用いられ、食品産業上の利用価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の具体的な、実施態様としては、倉庫内でニンニクを開放容器に収納し、エチレンガスを倉庫内に充満させる方法や、ニンニクを収納した段ボール箱等の容器にエチレン発生剤を封入する方法が望ましい。好ましいエチレン発生剤の例としては、エチレンを吸着させた吸着性担体を、通気性包材で包装した小袋状等の包装体であり、このエチレン発生体をニンニクの近傍に配置して使用する。
【0013】
ここで、吸着性担体には、シリカ、アルミナ、ゼオライト、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、アルカリ土類金属の硫酸塩及び炭酸塩、活性炭が挙げられる。通気性包材とは、ニンニクから蒸散する水分を透過し、エチレンを吸着させた吸着性担体から発生するエチレンを良好に通気する包材であり、紙、有孔プラスチックフィルム、織布、不織布及びこれらの積層フィルムが挙げられる。
【0014】
ニンニクから蒸散した水分は通気性包材を透過して内部の吸着性担体に吸着され、代わって、エチレンが放出される。エチレン発生剤として、エテホン(2-Chloroethylphosphonic acid)を用いても良い。保管中に、ニンニクに若干エチレンが浸透する場合があるが、エチレンが存在しない開放系に放置することによって容易にエチレンが揮散する。
【実施例】
【0015】
次に実施例によって更に詳細に説明する。
【0016】
実施例1
健全なニンニク20株(約2Kg)を、温度15℃、湿度75%RHの容器内に収納し、エチレンガスを封入して容器内のエチレン濃度を3ppmに保持した。1ヶ月後の発芽発根状況を目視で観察した。
その結果を、第1表に記載した。発芽及び発根が抑制された。
【0017】
実施例2
エチレンを吸着させたゼオライトをポリエチレン製繊維で補強された紙と有孔ポリエチレンフィルムとの積層フィルムからなる通気性フィルムで包装した小袋に入れ、エチレン発生体とし、これを健全なニンニク2Kgと共に段ボール箱に収納した。温度15℃で1ヶ月放置し、その間段ボール内のエチレン濃度は1〜3ppm、湿度70〜80%RHで推移した。1ヶ月経過後のニンニクの発芽発根状況を目視で観察した。
その結果を、第1表に記載した。発芽及び発根が抑制された。
【0018】
比較例1
実施例1において、エチレンガスを封入しない以外は、全く同様にして、1ヶ月経過後のニンニクの発芽発根状況を目視で観察した。
その結果を、第1表に記載した。ニンニクの一部の鱗片に発芽が見られ、かつ全面的に発根した。
【0019】
比較例2
実施例2において、エチレン発生体を用いない以外は、全く同様にして、1ヶ月経過後のニンニクの発芽発根状況を目視で観察した。
その結果を、第1表に記載した。
実施例および比較例で各々放置したニンニクの発芽発根状態を、第1表に示した。ニンニクの一部の鱗片に発芽が見られ、かつ全面的に発根した。
【0020】
【表1】


【出願人】 【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目5番2号
【出願日】 平成16年8月24日(2004.8.24)
【代理人】 【識別番号】100117891
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 隆

【公開番号】 特開2006−61013(P2006−61013A)
【公開日】 平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願番号】 特願2004−243769(P2004−243769)