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【発明の名称】 農作業機の耕耘制御装置
【発明者】 【氏名】丹生 秀和
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内

【氏名】山口 雄司
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内

【氏名】三輪 敏之
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内

【要約】 【課題】耕耘機の耕耘作業を簡単にできるものでありながら、耕耘爪の耕耘深さを略一定に維持する耕耘深さ自動制御を、高精度に実行できる農作業機の耕耘制御装置を提供するものである。

【解決手段】前車輪及び後車輪にて走行自在に支持された作業車両に、耕耘機をリンク機構を介して昇降可能に装着し、前記耕耘機を昇降動する昇降制御油圧シリンダと、前記昇降制御油圧シリンダを作動する昇降制御電磁弁と、前記耕耘機の耕耘深さを検出する耕耘深さセンサと、前記耕耘機の耕耘深さを設定する耕耘深さ設定器と、前記昇降制御電磁弁を作動させる耕耘制御手段とを備えてなる農作業機の耕耘制御装置において、前記昇降制御油圧シリンダの動作速度を検出する速度検出手段を備え、前記耕耘制御手段は、少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前車輪及び後車輪にて走行自在に支持された作業車両に、耕耘機をリンク機構を介して昇降可能に装着し、
前記耕耘機を昇降動する昇降制御油圧シリンダと、前記昇降制御油圧シリンダを作動する昇降制御電磁弁と、前記耕耘機の耕耘深さを検出する耕耘深さセンサと、前記耕耘機の耕耘深さを設定する耕耘深さ設定器と、前記昇降制御電磁弁を作動させる耕耘制御手段とを備えてなる農作業機の耕耘制御装置において、
前記昇降制御油圧シリンダの動作速度を検出する速度検出手段を備え、
前記耕耘制御手段は、少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶することを特徴とする農作業機の耕耘制御装置。
【請求項2】
前記耕耘制御手段は、温度が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶することを特徴とする請求項1に記載の農作業機の耕耘制御装置。
【請求項3】
前記耕耘制御手段は、エンジンの回転数が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶することを特徴とする請求項1に記載の農作業機の耕耘制御装置。
【請求項4】
前記耕耘制御手段は、前記耕耘機の重量が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶することを特徴とする請求項1に記載の農作業機の耕耘制御装置。
【請求項5】
前記耕耘制御手段は、前記耕耘深さセンサ値に基づいた耕耘深さ制御速度の指令値を、前記動作特性パターンから演算するように制御することを特徴とする請求項1ないし4に記載の農作業機の耕耘制御装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車両に牽引されたロータリ耕耘機の姿勢を制御するための装置に係り、より詳しくは、前記ロータリ耕耘機の耕耘深さ制御速度を自動制御する農作業機の耕耘制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のロータリ耕耘機は、耕耘深さを調節するため、前記作業車両にリンク機構を介して昇降動可能に連結されている。また、前記ロータリ耕耘機における耕耘爪の回転軌跡の上側を耕耘カバーにて覆う。前記耕耘カバーの後端部にはリヤカバーを連結している。そして、特許文献1に示されているように、前記ロータリ耕耘機の対車体高さを検出するリフトアームセンサと、前記ロータリ耕耘機の対地高さを検出する耕耘深さセンサとを備え、上下回動可能で所定圧力にて接地するリヤカバーを、前記耕耘爪の耕耘深さの検出手段として利用する。そして、前記ロータリ耕耘機の耕耘深さの検出値が目標耕耘深さと一致するように、前記耕耘爪の耕耘深さを制御していた(耕耘深さ自動制御)。
【0003】
また、特許文献2に示されているように、耕耘機の左右方向の傾斜を制御するリフトロッドシリンダ及びリフトロッドバルブを備え、リフトロッドが最縮入位置から伸長を開始するとき(動作開始点)の制御電流値を記憶し、前記リフトロッドバルブの各個体差に伴う制御(不感帯)のばらつきを吸収するように制御することも公知である。
【特許文献1】特開2000−41415号公報
【特許文献2】特開2003−61407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記耕耘機の耕耘深さ制御の目標値は、前記耕耘深さセンサの検出値と、耕耘深さ設定器の設定値とに基づき演算されていた。また、前記耕耘機の耕耘深さ制御速度が、耕耘深さ制御の目標値に基づき演算されていた。そのため、前記耕耘深さ自動制御では、例えば、耕耘深さ制御機構の特性の差(昇降制御電磁弁の個体差など)、または温度変化(油圧シリンダの作動油の温度変化など)、またはエンジンの回転数変化、または前記耕耘機の重量変化などを考慮することなく、前記耕耘機の耕耘深さ制御速度が算出されていた。したがって、前記耕耘深さ制御速度が、前記耕耘機に適応した耕耘深さ制御速度と大きく相違しやすかった。前記耕耘深さ制御速度の誤差が原因で、耕耘深さ制御の性能が低下する等の問題があった。
【0005】
例えば昇降制御電磁弁の個体差などによって発生する作動速度のばらつきに対して、特許文献2のような制御動作の開始点(不感帯)の補正をしても、同一の耕耘深さ制御の目標値に応答して、前記昇降制御電磁弁を切換えて前記耕耘深さ制御を実行したときに、昇降制御油圧シリンダの作動速度(前記耕耘深さ制御が完了するまでの時間)が不均一になる等の問題があった。その耕耘作業において、効果的な耕耘深さ自動制御を実行するものが無かった。
【0006】
本発明の目的は、前記耕耘機の耕耘作業を簡単にできるものでありながら、前記耕耘爪の耕耘深さを略一定に維持する耕耘深さ自動制御を、高精度に実行できる農作業機の耕耘制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の農作業機の耕耘制御装置は、前車輪及び後車輪にて走行自在に支持された作業車両に、耕耘機をリンク機構を介して昇降可能に装着し、前記耕耘機を昇降動する昇降制御油圧シリンダと、前記昇降制御油圧シリンダを作動する昇降制御電磁弁と、前記耕耘機の耕耘深さを検出する耕耘深さセンサと、前記耕耘機の耕耘深さを設定する耕耘深さ設定器と、前記昇降制御電磁弁を作動させる耕耘制御手段とを備えてなる農作業機の耕耘制御装置において、前記昇降制御油圧シリンダの動作速度を検出する速度検出手段を備え、前記耕耘制御手段は、少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機の耕耘制御装置において、前記耕耘制御手段は、温度が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機の耕耘制御装置において、前記耕耘制御手段は、エンジンの回転数が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機の耕耘制御装置において、前記耕耘制御手段は、前記耕耘機の重量が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4に記載の農作業機の耕耘制御装置において、前記耕耘制御手段は、前記耕耘深さセンサ値に基づいた耕耘深さ制御速度の指令値を、前記動作特性パターンから演算するように制御するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、前車輪及び後車輪にて走行自在に支持された作業車両に、耕耘機をリンク機構を介して昇降可能に装着し、前記耕耘機を昇降動する昇降制御油圧シリンダと、前記昇降制御油圧シリンダを作動する昇降制御電磁弁と、前記耕耘機の耕耘深さを検出する耕耘深さセンサと、前記耕耘機の耕耘深さを設定する耕耘深さ設定器と、前記昇降制御電磁弁を作動させる耕耘制御手段とを備えてなる農作業機の耕耘制御装置において、前記昇降制御油圧シリンダの動作速度を検出する速度検出手段を備え、前記耕耘制御手段は、少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものであるから、前記昇降制御電磁弁の動作特性(個体差)に適応した耕耘深さ制御速度を、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンに基づき高精度に算出でき、その耕耘深さ制御速度に基づいて、前記耕耘爪の耕耘深さ自動制御を実行できる。前記耕耘爪が圃場を耕耘する深さを所定深さに維持する耕耘深さ自動制御の性能を向上できるものである。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、前記耕耘制御手段は、温度(油温)が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものであるから、温度(油温)が変化しても、前記動作特性パターンが温度(油温)によって補正され、前記耕耘爪の耕耘深さ制御速度を高精度に算出できる。したがって、温度(油温)に適応した耕耘深さ制御速度を算出でき、その耕耘深さ制御速度に基づいて、前記耕耘爪の耕耘深さ自動制御を実行できるものである。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、前記耕耘制御手段は、エンジンの回転数が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものであるから、前記エンジンの回転数が変化しても、前記動作特性パターンが前記エンジン回転数によって補正され、前記耕耘爪の耕耘深さ制御速度を高精度に算出できる。したがって、前記エンジンの回転数に適応した耕耘深さ制御速度を算出でき、その耕耘深さ制御速度に基づいて、前記耕耘爪の耕耘深さ自動制御を実行できるものである。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、前記耕耘制御手段は、前記耕耘機の重量が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダの作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁の動作特性パターンを予め求めて記憶するものであるから、前記耕耘機の重量が変化しても、前記動作特性パターンが前記耕耘機重量によって補正され、前記耕耘爪の耕耘深さ制御速度を高精度に算出できる。したがって、前記耕耘機の実際の重量に適応した耕耘深さ制御速度を算出でき、その耕耘深さ制御速度に基づいて、前記耕耘爪の耕耘深さ自動制御を実行できるものである。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、前記耕耘制御手段は、前記耕耘深さセンサ値に基づいた耕耘深さ制御速度の指令値を、前記動作特性パターンから演算するように制御するものであるから、例えば前記昇降制御電磁弁に個体差があっても、温度(油温)が変化しても、前記エンジンの回転数が変化しても、前記耕耘機の重量が変化しても、前記耕耘機の耕耘深さ制御が設定された作動速度にて実行され、前記耕耘爪が圃場を耕耘する深さを略一定に維持する耕耘深さ自動制御の性能を向上できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、作業車両としての農作業用トラクタに適用した場合の図面について説明する。図1はトラクタの側面図、図2は同平面図、図3は油圧式の作業機用昇降機構の側面説明図、図4は同平面説明図、図5は図2のロータリ耕耘機のV−V線矢視側断面図、図6は同背面説明図、図7はトラクタの油圧回路図、図8は制御手段の機能ブロック図、図9は制御速度適応制御のフローチャート、図10は耕耘深さ自動制御のフローチャート、図11は耕耘機を上昇させたときの耕耘機の対本機高さと経過時間との関係を表した線図、図12は耕耘機の上昇(下降)速度と上昇(下降)制御電磁弁の作動電流値との関係(マップ)を表した線図である。
【0018】
図1乃至図4に示す如く、作業車両としてのトラクタ1は、走行機体2を左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持し、前記走行機体2の前部に搭載したエンジン5にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、前後進走行するように構成される。エンジン5はボンネット6にて覆われる。また、前記走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)9とが設置される。キャビン7の外側部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられ、該ステップ10より内側で且つキャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
【0019】
また、図1乃至図4に示されるように、前記走行機体2は、前バンパ12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部にボルトにて着脱自在に固定する左右の機体フレーム16とにより構成される。機体フレーム16の後部には、前記エンジン5の回転を適宜変速して後車輪4及び前車輪3に伝達するためのミッションケース17が連結されている。この場合、後車輪4は、前記ミッションケース17に対して、当該ミッションケース17の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース18を介して取付けられている。
【0020】
図3及び図4に示されるように、前記ミッションケース17の後部における上面には、作業機としてのロータリ耕耘機24を昇降動するための油圧式の作業機用昇降機構20が着脱可能に取付けられている。ロータリ耕耘機24は、ミッションケース17の後部に、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22からなる3点リンク機構を介して連結される。左右ロワーリンク21の前端側を、ミッションケース17の後部の左右側面にロワーリンクピン25を介して回動可能に連結する。トップリンク22の前端側は、作業機用昇降機構20の後部のトップリンクヒッチ26にトップリンクピン27を介して連結する。さらに、ミッションケース17の後側面に、前記ロータリ耕耘機24にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸23が後向きに突出するように設けられている。
【0021】
図3及び図4及び図7に示されるように、油圧式の作業機用昇降機構20には、後述する単動形の昇降制御油圧シリンダ28にて回動させるための1対の左右リフトアーム29が設置されている。進行方向に向かって左側のロワーリンク21とリフトアーム29とが、左リフトロッド30を介して連結されている。進行方向に向かって右側のロワーリンク21とリフトアーム29とは、右リフトロッド31、及びそのロッド31の一部を形成する複動形の傾斜制御油圧シリンダ32、及びそのシリンダ32のピストンロッド33とを介して連結されている。
【0022】
図1に示すように、ロータリ耕耘機24における下リンクフレーム34の前端と左右一対のロワーリンク21とが、下ヒッチピン35aを介して連結され、トップリンク22の各後端側と上リンクフレーム34の前端側とが、上ヒッチピン34aを介して連結されている。
【0023】
図1、図2、図5及び図6に示すように、ロータリ耕耘機24は、横長筒状のメインビーム36と、メインビーム36の左右側端部にそれぞれ上端側が連結されたチェンケース37及び軸受板38と、チェンケース37及び軸受板38の下端側に左右両端部が回転自在に軸支された耕耘爪軸39と、耕耘爪軸39に放射状にて着脱可能に取付く複数の耕耘爪40と、耕耘爪40の回転軌跡の上方を覆うように配置された耕耘上面カバー41と、耕耘爪40の回転軌跡の左右側方を覆うように配置された左右耕耘サイドカバー42と、耕耘爪40の回転軌跡の後方を覆うように配置された耕耘リヤカバー43と、メインビーム36に前端側が取付けられて後方に長く伸びる耕深調節フレーム44と、上リンクフレーム34の後端側と耕深調節フレーム44の前後方向の中間部とに連結された伸縮調節可能な耕深調節軸45等からなる。
【0024】
なお、下リンクフレーム35はメインビーム36に一体的に連結され(図2及び図6参照)。トップリンク22は、ターンバックル22aの回転にて伸縮させて、そのリンク22の長さを変更調節可能となるように構成されている(図3及び図4参照)。上リンクフレーム34の前後方向の中間部は、耕深調節支点軸34bを介してメインビーム36に連結されている(図1参照)。耕深調節フレーム44の前端側をメインビーム36に連結する。耕深調節ハンドル45aの回転操作にて耕深調節軸45を伸縮させたときには、ロワーリンク21及びトップリンク22にて支持されるロータリ耕耘機24が前傾姿勢または後傾姿勢に変化して、耕耘爪40による耕耘深さが変更可能に構成されている。
【0025】
図1、図5及び図6に示されるように、メインビーム36の左右中央部には、PTO軸23からの駆動力を入力するためのギヤケース46が配置されている。PTO軸23と、ギヤケース46の前面側のPTO入力軸46aとを、両端に自在継手が備えられた伸縮自在な伝動軸46bを介して連結する。PTO軸23からの動力が、ギヤケース46に内蔵したベベルギヤ(図示省略)、メインビーム36に内蔵した回転軸(図示省略)、チェンケース37に内蔵したスプロケット及びチェン(図示省略)等を介して耕耘爪軸39に伝えられ、耕耘爪40を図1及び図5において反時計方向に回転させることになる。
【0026】
図5及び図6に示されるように、耕耘上面カバー41の後端部には、枢着軸47を介して耕耘リヤカバー43の前端側が連結されている。走行機体1の幅方向に長い耕耘上面カバー41の上面の後部には、後傾姿勢の一対の左右ハンガーフレーム48が立設されている。耕耘リヤカバー43の上面の後端側と左右ハンガーフレーム48とは1対の左右ハンガー機構49を介して上下動可能に連結されている。各ハンガーフレーム48の上端部には、受圧軸体48aが水平軸線(中心線)回りに回動可能に配置されている。
【0027】
各ハンガー機構49における細長い丸棒形のハンガーロッド50は、受圧軸体48aに水平軸線(中心線)と直交する方向に摺動可能に貫通しており、図5に示されるように、ハンガーロッド50の下端部は、支軸53を介して、耕耘リヤカバー43の後部上面のブラケット54に回動自在に連結されている。ハンガーロッド50の上端側には、下降規制ピン51が設けられ、受圧軸体48aと下降規制ピン51の間のハンガーロッド50には、ドーナツ形の下降規制板52がハンガーロッド50の軸線方向に摺動可能に被嵌されている。また、ハンガーロッド50の下部側(支軸53より上側)には、上昇規制ピン55が配置され、受圧軸体48aと上昇規制ピン55との間のハンガーロッド50には、ドーナツ形の上下座板56,57を介して、耕耘リヤカバー43に鎮圧力を付与するための鎮圧用圧縮バネ58が被嵌されている。
【0028】
この構成により、ロータリ耕耘機24が地表面から離れた高さに持上げられたときには、耕耘リヤカバー43の後端側が枢着軸47回りに下方側に回動し、下降規制ピン51が下降規制板52に当接し、下降規制板52が受圧軸体49に当接し、耕耘リヤカバー43がこの後端側を最下降させた姿勢に維持されることになる。一方、ロータリ耕耘機24が耕地上面に降ろされて、耕耘爪40が着地しているときや、耕耘作業中では、耕耘リヤカバー43の後端側が、耕耘された耕土との接地圧にて枢着軸47回りに上方に回動することになる。また、耕耘リヤカバー43の後端側が枢着軸47回りに上方に回動したときには、上昇規制ピン55及び下座板57を介して鎮圧用圧縮バネ58が圧縮されて、耕耘リヤカバー43の後端側の上方への回動が鎮圧用圧縮バネ58の付勢力にて規制されることになる。そのため、耕耘爪40から耕耘リヤカバー43の後方に排出される耕土量が制限されたり、耕土表面が耕耘リヤカバー43の移動にて均平に均されることになる。
【0029】
図7は本実施形態のトラクタ1の油圧回路100を示し、エンジン5の回転力により作動する作業機用油圧ポンプ101を備える。作業機用油圧ポンプ101は、作業機用昇降機構20における昇降制御油圧シリンダ28に作動油を供給制御するための電磁比例弁構造の上昇制御電磁弁102及び下降制御電磁弁103と、傾斜制御油圧シリンダ32に作動油を供給制御するための傾斜制御電磁弁104とに、分流弁105を介して接続している。昇降制御油圧シリンダ28の作動油の圧力を電気的信号に変換して検出するためのダイヤフラム式油圧センサ106と、昇降制御油圧シリンダ28の作動油の温度を電気的信号に変換して検出するための熱電対式油温センサ107とを備える。この油圧回路100には、図7に示すように、リリーフ弁や流量調整弁、チェック弁、オイルクーラ、オイルフィルタ等を備えている。
【0030】
次に、本実施形態のロータリ耕耘機24の耕耘制御(左右方向の傾斜角度制御、耕耘爪40の耕耘深さ制御)について説明する。図8は、ロータリ耕耘機24の耕耘制御手段の機能ブロック図であり、制御プログラムを記憶したROMと各種データを記憶したRAMとを備えたマイクロコンピュータ等の耕耘制御コントローラ110は、電源印加用キースイッチ111を介してバッテリ112に接続される。キースイッチ111は、エンジン5を始動するためのスタータ113に接続される。
【0031】
また、図8に示されるように、耕耘制御コントローラ110には、エンジン5の回転を制御する電子ガバナコントローラ114が接続されている。電子ガバナコントローラ114には、エンジン5の燃料を調節するガバナ115と、エンジン5の回転数を検出するエンジン回転センサ116とが接続される。ガバナ115に設けた燃料調節ラック(図示省略)が、手動操作するスロットルレバー117にて位置調節される。一方、スロットルレバー117の回動位置をスロットルポテンショメータ118にて検出し、その検出値に基づいて、エンジン5の回転数が設定されたとき、電子ガバナコントローラ114からの信号にてスロットルレバー117の設定回転数とエンジン5の回転数が一致するように、ガバナ115の燃料調節ラックが、スロットルソレノイド119を介して自動的に位置調節され、負荷変動などによってエンジン5の回転が変化するのを防ぐ、換言すると、負荷の変動に拘らずエンジン5の回転数が略一定回転(スロットルレバー117によって設定された回転数)を保持するように構成されている。
【0032】
さらに、耕耘制御コントローラ110には、図8に示すように、入力系の各種センサ及びスイッチ類、即ち、トラクタ1の左右方向の傾斜角を検出する振子式のローリングセンサ120と、トラクタ1が左右方向に傾動開始したときの角速度を検出するガスレート式のローリングジャイロセンサ121と、トラクタ1に対するロータリ耕耘機24の相対的な左右方向の傾斜角を検出するポテンショメータ型の作業機ポジションセンサ122と、トラクタ1に対するロータリ耕耘機24の左右方向の相対傾斜角をオペレータが設定する傾斜設定ダイヤル123と、耕耘爪40の耕耘深さ変動にて変化する耕耘リヤカバー43の回動角度を検出するポテンショメータ型のリヤカバーセンサ124と、リヤカバーセンサ124の出力から限定された帯域の信号出力を取出すローパスフィルタまたはノッチフィルタ等のフィルタ125と、耕耘爪40の耕耘深さをオペレータが設定する耕深設定ダイヤル126と、油圧センサ106と、油温センサ107と、リフトアーム29の回動角度を検出するポテンショメータ型のリフト角センサ129が接続されている。
【0033】
耕耘制御コントローラ110には、図8に示すように、出力系の各種電磁弁、即ち、上昇制御電磁弁102と、下降制御電磁弁103と、傾斜制御電磁弁104とが接続されている。そして、上昇制御電磁弁102または下降制御電磁弁103のいずれかを切換えて、昇降制御油圧シリンダ28を作動させ、耕耘爪40の耕耘深さが耕深設定ダイヤル126の耕耘深さ設定値になるように、耕耘爪40の耕耘深さを自動的に制御するための耕耘深さ自動制御が実行されることになる。一方、ローリングジャイロセンサ121の検出結果と、ローリングセンサ120の検出結果に基づき、傾斜制御電磁弁104を切換えて、ロータリ耕耘機24の左右方向の傾斜角を自動的に制御する傾斜角自動制御が実行されることになる。
【0034】
本実施形態では、図1及び図2及び図8に示されるように、運転部(キャビン)7内の操縦座席8の前方の床板59から突出する操縦コラム60上に丸ハンドル型の操縦ハンドル9が配置され、操縦コラム60より右方にスロットルレバー117と左右ブレーキペダル61とが配置されている。また、操縦コラム60より左方にクラッチペダル62が配置されている。操縦座席8の右側コラム上には、作業機昇降レバー63と、PTO変速レバー64と、傾斜設定ダイヤル123と、耕深設定ダイヤル126とが配置されている。操縦座席8の左側コラム上には走行変速レバー65が配置されている。操縦座席8の左側コラムの前にはデフロックペダル66が配置されている。操縦座席8の後方側で、作業機用昇降機構20の上面側には、ローリングセンサ120と、ローリングジャイロセンサ121とが配置されている。また、図2及び図5に示されるように、耕耘上面カバー41の後部の上面には、リヤカバーセンサ124が配置されている。耕耘リヤカバー43と、リヤカバーセンサ124とを、センサアーム67及びセンサリンク68等を介して連結する。
【0035】
一方、昇降制御油圧シリンダ28及び上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)は、図3に示す作業機用昇降機構20に配置される。昇降制御油圧シリンダ28のラム形ピストン28aと、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の油圧切換用スプール102a(103a)とを、作業機用昇降機構20の鋳造ブロック20aに形成した各シリンダ(図示省略)にそれぞれ組み込む。上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)には、その油圧切換用スプール102a(103a)を作動させるためのソレノイド102b(103b)を配置している(図3及び図7参照)。耕耘制御コントローラ110から耕耘制御信号が出力されたときに、その耕耘制御信号に基づきソレノイド102b(103b)を駆動し、油圧切換用スプール102a(103a)を切換え、昇降制御油圧シリンダ28を作動させ、耕耘機24を上昇(下降)させて、耕耘爪40の耕耘深さが浅く(深く)なるように、耕耘爪40の耕耘深さを修正し、耕深設定ダイヤル126の設定深さに維持できることになる。
【0036】
次に、図11を参照して、耕耘機24の上昇(下降)速度Svと、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の作動電流Aとの関係を説明する。図11に示されるように、耕耘機24の上昇(下降)速度Svと、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の作動電流Aとの関係は、上昇(下降)速度Svを縦軸に採り、作動電流Aを横軸に採ってみると、耕耘機24の上昇(下降)開始から連続作動速度SVt(油圧シリンダ28が同一方向に連続して作動する略一定の速度)になるまでの間は、図11に実線で示される放物線形の二次曲線で切換え起動パターンMxが表される。
【0037】
即ち、耕耘機24の上昇(下降)を開始した前半の区間の切換え起動パターンMxは、作動電流Aの増大につれて上昇(下降)速度Svの増大の割合(二次曲線に対する接線の角度)が緩やかに大きくなるように比例変化する二次曲線で表される。耕耘機24の上昇(下降)速度Svが連続作動速度SVtに到達するまでの上昇(下降)動作の後半の区間の切換え起動パターンMxは、作動電流Aの増大につれて上昇(下降)速度Svの増大の割合が略一定(二次曲線に対する接線の角度が略零)になるように略一次直線的に比例変化する二次曲線で表される。
【0038】
図11の実線に示されるように、耕耘機24が、耕耘作業中に、上昇(下降)動作を開始した場合、開始した前半の区間は、耕耘機24の上昇(下降)速度SVが緩やかに加速され、作動電流Aの増大につれて上昇(下降)速度SVも緩やかに増大する。上昇(下降)動作の後半の区間は、作動電流Aの増大につれて上昇(下降)速度Svが略一次直線的に比例して増大し、上昇(下降)速度Svが連続作動速度SVtに到達する。ところで、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)は、加工または組立などの製造上の原因で、各個体特有の動作特性として切換え起動パターンMx(図11の実線)をそれぞれ有するから、一定の制御ゲイン(耕耘爪40の耕耘深さ制御の作動速度を演算するための比例定数)と、リヤカバーセンサ124値とに基づき、耕耘深さ制御速度を演算しても、その演算にて求めた耕耘深さ制御速度と、耕耘深さ自動制御を実行した実際の耕耘深さ制御速度とが、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の動作特性(切換え起動パターンMx)の差の分だけ不一致となり、実際の耕耘深さ制御速度が各トラクタ1によって異なり、各トラクタ1の耕耘深さ自動制御の性能を均一化できない要因になっていた。
【0039】
そこで、その上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の動作特性(切換え起動パターンMx)の影響を打ち消すため、図11に示されるように、上昇(下降)作動初期の比較的遅い上昇(下降)速度SVdと比較的低い作動電流Adとに応答した切換え起動パターンMx上の低速側特性点Mdと、上昇(下降)作動開始から一定時間が経過したときの比較的早い上昇(下降)速度SVuと比較的高い作動電流Auとに応答した切換え起動パターンMx上の高速側特性点Muとを計測し、低速側特性点Mdと高速側特性点Muとを結ぶ一次直線形の二点鎖線で表される動作特性パターンMaを求め、耕耘深さ自動制御の制御ゲイン(耕耘爪40の耕耘深さ制御の作動速度を演算するための比例定数)を動作特性パターンMaに基づき補正するように、その動作特性パターンMaを耕耘制御コントローラ110のRAMに記憶させる。
【0040】
上述のように、少なくとも2点Md,Mu以上の前記昇降制御油圧シリンダ28の作動速度SVd,SVuと、該作動速度SVd,SVuに応答した前記上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の作動電流値Ad,Auとの関係から、前記上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の動作特性パターンMaを予め求めて記憶する。その場合の計測環境として、異なる温度(油温、シリンダ28の作動油温度、例えば20度と40度など)条件と、異なるエンジン5回転数(例えば500rpmと1000rpmなど)条件と、異なる耕耘機24重量(例えば150kgと200kgなど)条件とを、それぞれ特定し、計測環境が異なる各条件下で、複数の動作特性パターンMaをそれぞれ求めて記憶する。
【0041】
したがって、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の個体の動作特性、及び温度(油温)の変化、及びエンジン5回転数の変化(油流量の変化)、及び耕耘機24重量の変化に適応した耕耘深さ制御速度が、動作特性パターンMaの基づき演算でき、実際の耕耘深さ制御速度が各トラクタ1によって異なるのを防止できる。各トラクタ1の耕耘深さ自動制御の性能を、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の個体の動作特性に関係なく、均一にできる。耕耘深さ自動制御の性能が、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の個体の動作特性によって低下するのを阻止できることになる。なお、動作特性パターンMaを計測するときの温度、及びエンジン5回転数、及び耕耘機24重量は、それぞれを各別に変更してもよく、またそれぞれを関係させて変更してもよい。
【0042】
次に、作動速度適応制御のフローチャート(図9)を参照しながら、ロータリ耕耘機24の耕耘深さ自動制御における耕耘深さ制御速度を決定するための上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の動作特性パターンMaを求める制御態様を説明する。
【0043】
ロータリ耕耘機24を、ロワーリンク21及びトップリンク22を介してトラクタ1の後側に昇降可能に連結し、トラクタ1のエンジン5が始動され、トラクタ1の試運転が製造工場などで開始された場合、試運転制御作動(図示しない試運転制御スイッチのON操作)中は、リフト角センサ129値と、上昇制御電磁弁を駆動する電流値(駆動パルスのデューティ比などコントローラ110からの指令値)が読み込まれる(S1)。また、油温センサ107値と、エンジン回転センサ116値と、油圧センサ106値とを読み込む(S2)。そして、オペレータが作業機昇降レバー63を上げ操作した場合、耕耘機24が着地状態から下降側計測位置に上昇し、耕耘機24の上昇速度SV(上げ操作を開始したときには略零)が、リフト角センサ129値(リフトアーム29角度の上昇方向の変化量)に基づいて演算された上昇速度SVd(初期設定値)に上がったか否かを判断する(S3)。
【0044】
耕耘機24の上昇速度SVが下降側計測位置の上昇速度SVdまで上がった場合(S3;yes)、下降側計測位置の上昇速度SVdと、その上昇速度SVdに応答した作動電流Ad値とを記憶し、その上昇速度SVdと作動電流Ad値とから切換え起動パターンMx上の低速側特性点Mdを決定する(S4)。低速側特性点Mdは、上昇速度SVdと、作動電流Ad値と、油温センサ107からの油温と、エンジン回転センサ116からのエンジン5回転数と、油圧センサ106からの耕耘機24重量とに基づき決定されることになる。
【0045】
次に、耕耘機24の上昇速度SVが上昇側計測位置の上昇速度SVuまで上がった場合(S5;yes)、上昇側計測位置の上昇速度SVuと、その上昇速度SVuに応答した作動電流Au値とを記憶し、その上昇速度SVuと作動電流Au値とから切換え起動パターンMx上の高速側特性点Muを決定する(S6)。高速側特性点Muは、上昇速度SVuと、作動電流Au値と、油温センサ107からの油温と、エンジン回転センサ116からのエンジン5回転数と、油圧センサ106からの耕耘機24重量とに基づき決定されることになる。
【0046】
上述したように、低速側特性点Mdと、高速側特性点Muとが決定された場合、低速側特性点Mdと、高速側特性点Muとを結ぶ二点鎖線で表される上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の動作特性パターンMaが演算される。その動作特性パターンMaの演算が完了したときに(S7;yes)、その動作特性パターンMaをコントローラ110のRAMに記憶させる(S8)。低速側特性点Md及び高速側特性点Muを決定したときの試運転の環境条件(油温、エンジン5回転数、耕耘機24重量)は、トラクタ1が実際の農作業に使用される地域の環境、または繁用される作業内容など、トラクタ1の出荷先の作業条件に適応するように、複数段階に分けて設定し、複数段階の各環境条件下で動作特性パターンMaをそれぞれ演算し、各環境条件に分類された動作特性パターンMaをコントローラ110のRAMに記憶させることになる。
【0047】
また、図9のフローチャートに示される作動速度適応制御において、上述したステップ1からステップ8の制御動作を繰り返して、上昇制御電磁弁102の動作特性パターンMaと、下降制御電磁弁103の動作特性パターンMaとを、それぞれ各別に求めて、コントローラ110のRAMに各別に記憶させることは云うまでもない。なお、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の動作特性パターンMaを演算して記憶させる場合、試運転の環境条件として、油温またはエンジン5回転数または耕耘機24重量のいずれか1つまたは複数を選択し、異なる環境条件の動作特性パターンMaを各環境条件毎に記憶させてもよい。上昇速度SVと作動電流A値の関係だけで動作特性パターンMaを決定し、試運転の環境条件を全く考慮しなくてもよい。
【0048】
次に、耕耘深さ自動制御のフローチャート(図10)を参照しながら、ロータリ耕耘機24の耕耘制御態様を説明する。
【0049】
ロータリ耕耘機24を、ロワーリンク21及びトップリンク22を介してトラクタ1の後側に昇降可能に連結し、トラクタ1のエンジン5が始動され、トラクタ1の耕耘作業が開始され、耕耘深さ自動制御が作動(図示しない耕耘深さ自動制御スイッチのON操作)中は、耕深設定ダイヤル126値が読み込まれる(S9)。また、リヤカバーセンサ124値と、リフト角センサ129値と、油温センサ107値と、エンジン回転センサ116値と、油圧センサ106値とを読み込む(S10)。
【0050】
そして、現在の耕耘爪40の耕耘深さを、リヤカバーセンサ124値から演算する(S11)。リヤカバーセンサ124値と耕深設定ダイヤル126値との偏差を、耕耘爪40の補正耕耘深さ値として求める。また、求められた耕耘爪40の補正耕耘深さ値(現在の耕耘深さと目標耕耘深さとの偏差)と、図11に示す動作特性パターンMaとから、耕耘深さ自動制御における昇降制御油圧シリンダ28の作動速度を演算する(S12)。
【0051】
耕耘爪40の耕耘深さが、耕深設定ダイヤル126の耕耘深さ設定値と一致するか否かを判断し(S13)、上述のステップ11にて演算された耕耘爪40の耕耘深さが、耕深設定ダイヤル126の耕耘深さ設定値と一致していないときには(S13;no)、耕耘深さ制御を実行する(S14)。上昇制御電磁弁102、または下降制御電磁弁103のいずれかを、上述のステップ12にて演算された制御作動速度で、耕耘爪40の耕耘深さを修正する方向に作動させ、昇降制御油圧シリンダ28を上昇動作または下降動作させ、耕耘爪40の耕耘深さを修正する。
【0052】
ステップ14における昇降制御油圧シリンダ28の上昇または下降の作動速度は、図11に示す動作特性パターンMaと、リヤカバーセンサ124値から求めた偏差値(リヤカバーセンサ124値と耕深設定ダイヤル126値との差)とから演算されるから、上昇制御電磁弁102(下降制御電磁弁103)の動作特性は、製造時の加工組立が原因で各個体差を生じても、また寒冷地(冬季)と熱帯地(夏季)との気温差などの温度差を生じても、耕耘作業時のスロットルレバー117操作量の差でエンジン5回転数が変更されても、耕耘機24の重量が機種または仕様の変更などによって変化しても、図11に示す動作特性パターンMaによって補正される。昇降制御油圧シリンダ28の上昇または下降の動作速度が、リヤカバーセンサ124値から求められた同一の偏差値に対して略一定になる。
【0053】
なお、昇降制御油圧シリンダ28の上昇または下降の動作速度は、耕深設定ダイヤル126値に対するリヤカバーセンサ124値の偏差値(または車速など)に比例して変化するように決定される。例えば、その偏差値(または車速など)が大きいときには、昇降制御油圧シリンダ28の上昇または下降の動作速度が速くなる。一方、例えば、その偏差値(または車速など)が小さいときには、昇降制御油圧シリンダ28の上昇または下降の動作速度が遅くなる。したがって、上述のステップ14における耕耘深さ制御が、大きな耕耘深さ変化(または高速移動など)のときに、遅れるのを防止できる。且つ小さな耕耘深さ変化(または低速移動など)のときに、ハンチングするのを防止できることになる。
【0054】
一方、上述のステップ13にて演算された耕耘爪40の耕耘深さが、耕深設定ダイヤル126の耕耘深さ設定値と一致した場合(S13;yes)、上昇制御電磁弁102及び下降制御電磁弁103を中立位置に維持して(S15)、昇降制御油圧シリンダ28を停止させる。耕耘爪40の実際の耕耘深さが、耕深設定ダイヤル126の耕耘深さ設定値に保たれることになる。
【0055】
上記の記載並びに図8などから明らかなように、前車輪3及び後車輪4にて走行自在に支持された作業車両1に、耕耘機24をリンク機構としてのロワーリンク21及びトップリンク22を介して昇降可能に装着し、前記耕耘機24を昇降動する昇降制御油圧シリンダ28と、前記昇降制御油圧シリンダ28を作動する昇降制御電磁弁としての上昇制御電磁弁102及び下降制御電磁弁103と、前記耕耘機24の耕耘深さを検出する耕耘深さセンサとしてのリヤカバーセンサ124と、前記耕耘機24の耕耘深さを設定する耕耘深さ設定器としての耕深設定ダイヤル126と、前記昇降制御電磁弁102,103を作動させる耕耘制御手段としての耕耘制御コントローラ110とを備えてなる農作業機の耕耘制御装置において、前記昇降制御油圧シリンダ28の動作速度を検出する速度検出手段としてのリフト角センサ129を備え、前記耕耘制御手段110は、少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダ28の作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁102,103の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁102,103の動作特性パターンMaを予め求めて記憶するものであるから、前記昇降制御電磁弁102,103の動作特性(個体差)に適応した耕耘深さ制御速度を、前記昇降制御電磁弁102,103の動作特性パターンMaに基づき高精度に算出でき、その耕耘深さ制御速度に基づいて、前記耕耘爪40の耕耘深さ自動制御を実行できる。前記耕耘爪40が圃場を耕耘する深さを所定深さに維持する耕耘深さ自動制御の性能を向上できるものである。
【0056】
上記の記載並びに図8などから明らかなように、前記耕耘制御手段110は、温度(油温)が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダ28の作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁102,103の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁102,103の動作特性パターンMaを予め求めて記憶するものであるから、温度(油温)が変化しても、前記動作特性パターンMaが温度(油温)によって補正され、前記耕耘爪40の耕耘深さ制御速度を高精度に算出できる。したがって、温度(油温)に適応した耕耘深さ制御速度を算出でき、その耕耘深さ制御速度に基づいて、前記耕耘爪40の耕耘深さ自動制御を実行できるものである。
【0057】
上記の記載並びに図8などから明らかなように、前記耕耘制御手段110は、エンジン5の回転数が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダ28の作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁102,103の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁102,103の動作特性パターンMaを予め求めて記憶するものであるから、前記エンジン5の回転数が変化しても、前記動作特性パターンMaが前記エンジン5の回転数によって補正され、前記耕耘爪40の耕耘深さ制御速度を高精度に算出できる。したがって、前記エンジン5の回転数に適応した耕耘深さ制御速度を算出でき、その耕耘深さ制御速度に基づいて、前記耕耘爪40の耕耘深さ自動制御を実行できるものである。
【0058】
上記の記載並びに図8などから明らかなように、前記耕耘制御手段110は、前記耕耘機24の重量が異なる少なくとも2点以上の前記昇降制御油圧シリンダ28の作動速度と、該作動速度に応答した前記昇降制御電磁弁102,103の作動電流値との関係から、前記昇降制御電磁弁102,103の動作特性パターンMaを予め求めて記憶するものであるから、前記耕耘機24の重量が変化しても、前記動作特性パターンMaが前記耕耘機24の重量によって補正され、前記耕耘爪40の耕耘深さ制御速度を高精度に算出できる。したがって、前記耕耘機24の実際の重量に適応した耕耘深さ制御速度を算出でき、その耕耘深さ制御速度に基づいて、前記耕耘爪40の耕耘深さ自動制御を実行できるものである。
【0059】
上記の記載並びに図8などから明らかなように、前記耕耘制御手段110は、前記耕耘深さセンサ124値に基づいた耕耘深さ制御速度の指令値を、前記動作特性パターンMaから演算するように制御するものであるから、例えば前記昇降制御電磁弁102,103に個体差があっても、温度(油温)が変化しても、前記エンジン5の回転数が変化しても、前記耕耘機24の重量が変化しても、前記耕耘機24の耕耘深さ制御が設定された作動速度にて実行され、前記耕耘爪40が圃場を耕耘する深さを略一定に維持する耕耘深さ自動制御の性能を向上できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】油圧式の作業機用昇降機構の側面説明図である。
【図4】同平面説明図である。
【図5】図2のロータリ耕耘機のV−V線矢視側断面図である。
【図6】同背面説明図である。
【図7】トラクタの油圧回路図である。
【図8】制御手段の機能ブロック図である。
【図9】作動速度適応制御のフローチャートである。
【図10】耕耘深さ自動制御のフローチャートである。
【図11】耕耘機の上昇(下降)速度と上昇(下降)制御電磁弁の作動電流値との関係を表した線図である。
【符号の説明】
【0061】
1トラクタ(作業車両)
3前車輪
4後車輪
5エンジン
21ロワーリンク(リンク機構)
22トップリンク(リンク機構)
24ロータリ耕耘機
28昇降制御油圧シリンダ
102上昇制御電磁弁(昇降制御電磁弁)
103下降制御電磁弁(昇降制御電磁弁)
110耕耘制御コントローラ(耕耘制御手段)
124リヤカバーセンサ(耕耘深さセンサ)
126耕深設定ダイヤル(耕耘深さ設定器)
129リフト角センサ
Ma動作特性パターン

【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成17年6月7日(2005.6.7)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫

【識別番号】100096747
【弁理士】
【氏名又は名称】東野 正

【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸

【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一

【公開番号】 特開2006−340621(P2006−340621A)
【公開日】 平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願番号】 特願2005−166902(P2005−166902)