| 【発明の名称】 |
水田作業機のローリング制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉川 浩司 【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内
【氏名】石見 憲一 【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内
【氏名】林 繁樹 【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内
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| 【要約】 |
【課題】走行機体に連結された水田作業装置を、優れた応答性および高い精度でローリング制御する。
【解決手段】水田作業装置に左右方向の傾斜角度を検知する角度センサ27と、左右方向の傾斜角速度を検知する角速度センサ28とを装備し、角度センサ27からの検出信号のうちの低周波成分と、角速度センサ28からの検出信号を積分して得られた傾斜角度のうちの高周波成分とを加算して水田作業装置における左右方向の検出傾斜角度θとする傾斜角度演算手段を備え、算出された検出傾斜角θを目標傾斜角度θ0に近づけるようローリング用の駆動機構を作動制御する制御手段を備えてある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に水田作業装置を駆動昇降自在かつ駆動ローリング自在に連結し、水田作業装置の左右方向での傾斜角度検出情報に基づいてローリング用の駆動機構を作動制御して、水田作業装置を目標傾斜角度に近づけるよう構成した水田作業機のローリング制御装置であって、 前記水田作業装置に左右方向の傾斜角度を検知する角度センサと、左右方向の傾斜角速度を検知する角速度センサとを装備し、 前記角度センサからの検出信号のうちの低周波成分と、前記角速度センサからの検出信号を積分して得られた傾斜角のうちの高周波成分とを加算して水田作業装置における左右方向の検出傾斜角度とする傾斜角度演算手段を備え、 算出された前記検出傾斜角を前記目標傾斜角度に近づけるようローリング用の前記駆動機構を作動制御する制御手段を備えてある、 ことを特徴とする水田作業機のローリング制御装置。 【請求項2】 前記角度センサからの検出信号をローパスフィルタに通して低周波成分の角度信号を取得し、角速度センサからの検出信号を積分して得られた角度信号をハイパスフィルタに通して高周波成分の角度信号を取得することを特徴とする請求項1記載の水田作業機のローリング制御装置。 【請求項3】 前記水田作業装置が、ローリング用の前記駆動機構にバネを介して連動連結されている請求項1または2記載の水田作業機のローリング制御装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、田植機や水田直播機などの水田作業機に利用されるローリング制御装置に関する。 【背景技術】 【0002】 水田作業機に利用されるローリング制御装置としては、水田作業装置を駆動昇降自在かつ駆動ローリング自在に連結し、水田作業装置の傾斜角検出情報に基づいてローリング用の駆動機構を作動制御して、水田作業装置の左右方向の傾斜角を目標傾斜角に安定維持するよう構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開平10−146111号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 従来の上記ローリング制御装置においては、水田作業装置に装備した角度センサと加速度センサで左右方向の角度と加速度を検知し、これらセンサの検知情報に基づいてファジー制御を実行して水田作業装置の傾斜姿勢の安定化を図っているのであるが、ファジー制御を好適に実行するためには、種々の作業条件に対応したメンバーシップ函数を構築する必要がある。しかし、水田作業における作業条件は極めて広範であり、例えば、水田条件一つ採ってみても、土質、水量、耕盤深さ、耕盤の均平具合、田面の荒れ具合、など水田条件を決める要素は多くがあり、かつ、機体走行の車輪間隔や走行速度がこれらに関係して水田作業装置の傾斜姿勢変化に影響を与えるものであり、多くのテストデータを収集解析した上でメンバーシップ函数を構築する必要があるとともに、機種ごとに異なった特性の制御を行う必要がある。 【0004】 本発明は、このような点に着目してなされたものであって、合理的な傾斜角度検知に基づいて優れた応答性かつ高い精度で水田作業装置の左右方向での姿勢を安定維持することができるローリング制御装置を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0005】 第1の発明は、走行機体に水田作業装置を駆動昇降自在かつ駆動ローリング自在に連結し、水田作業装置の左右方向での傾斜角度検出情報に基づいてローリング用の駆動機構を作動制御して、水田作業装置を目標傾斜角度に近づけるよう構成した水田作業機のローリング制御装置であって、 前記水田作業装置に左右方向の傾斜角度を検知する角度センサと、左右方向の傾斜角速度を検知する角速度センサとを装備し、前記角度センサからの検出信号のうちの低周波成分と、前記角速度センサからの検出信号を積分して得られた傾斜角のうちの高周波成分とを加算して水田作業装置における左右方向の検出傾斜角度とする傾斜角度演算手段を備え、算出された前記検出傾斜角を前記目標傾斜角度に近づけるようローリング用の前記駆動機構を作動制御する制御手段を備えてあることを特徴とする。 【0006】 上記構成によると、角度センサからの検出信号には振動等による外乱が含まれるとともに、慣性の影響で逆方向の信号が出力されることがあるが、これらを含む高周波成分を除去した値が基本的な傾斜角度として取得される。しかし、この低周波成分だけの傾斜角度は急速な傾斜変化を遅れなくとらえていないので、角速度センサからの検出信号に基づいて取得された高周波成分の傾斜角度を加算し、全体として応答性に優れるとともに精度の高い検出傾斜角度が算出される。 【0007】 そして、このようにして算出された検出傾斜角度は目標傾斜角度と比較され、両者の偏差が不感帯より大きいと、その偏差が不感帯内に収まる方向に駆動機構が作動制御されることで、水田作業装置が目標傾斜角度に安定維持される。 【0008】 従って、第1の発明によると、走行機体が水田における耕盤の凹凸等によって左右に傾斜して、走行機体に連結された水田作業装置が同様に傾斜しかかっても、優れた応答性および高い精度の角度検知に基づくローリング制御が実行されて、水田作業装置を所定の傾斜角度に安定維持することができ、左右位置での植付け深さや播種深さを均一化することができる。 【0009】 第2の発明は、上記第1の発明において、 前記角度センサからの検出信号をローパスフィルタに通して低周波成分の角度信号を取得し、角速度センサからの検出信号を積分して得られた角度信号をハイパスフィルタに通して高周波成分の角度信号を取得することを特徴とする。 【0010】 上記構成によると、角度センサからの検出信号のうちの低周波成分、および、角速度センサからの検出信号に基づいて得られる角度信号のうちの高周波成分を容易に取得することができ、上記第1の発明を好適に実施することができる。 【0011】 第3の発明は、上記第1または2の発明において、 前記水田作業装置が、ローリング用の前記駆動機構にバネを介して連動連結されているものである。 【0012】 上記構成によると、水田作業装置は走行機体に対して所定の範囲内では弾性的に自由ローリングできる状態に連結支持されているので、走行機体が多少左右傾斜しても水田作業装置が自重で田面に追従することになり、自重追従を超える傾斜変化があった場合だけ駆動機構を作動させてのローリング制御を行えばよく、弾性融通なしに駆動機構と水田作業装置を連結して、駆動機構の作動状態によってのみ水田作業装置の姿勢が一義的に決められる場合に比べて、駆動機構が実作動する頻度が少なく、駆動機構の耐久性を維持する面で有利なものとなる。 【0013】 その反面、水田作業装置は外乱によって左右に自由傾動できる状態にあるので、田面の荒れ、水田作業装置自体の作動や振動、等の外乱を受けても左右傾動することになり、姿勢の安定維持には不利な構造となっているが、角度センサと角速度センサを合理的に利用した傾斜角度検知に基づく応答性および生後に優れたローリング制御を的確に行ってその姿勢を安定維持させることができるのである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 図1に、本発明に係る水田作業機の一例として施肥装置付きの乗用型田植機が示されている。この乗用型田植機は、機体前部にエンジン8が搭載されるとともに4輪駆動で走行可能に構成された走行機体1の後部に、平行四連リンク構造のリンク機構2を介して8条植え仕様の苗植付け装置(水田作業装置)3が昇降自在に連結され、機体後部に施肥装置4が装備されるとともに機体前部の左右に予備苗のせ台5を備えた構造となっており、前記リンク機構2を油圧シリンダ6で上下に駆動揺動することで苗植付け装置3を昇降制御することができるようになっている。また、苗植付け装置3は、リンク機構2の後端下部に前後方向支点P周りにローリング自在に連結されるとともに、リンク機構2の後端上部に備えた駆動機構7によって苗植付け装置3をローリング制御するようになっている。 【0015】 図1、2に示すように、前記苗植付け装置3は、横向き角筒状の植付けフレーム11、走行機体1から取り出された作業用動力を受けるフィードケース12、一定ストロークで左右に往復横移動する苗のせ台13、回転式の植付け機構14、および、後部左右に2条分づつの植付け機構14を備えて植付けフレーム11に並列連結された4個の植付けケース15、田面の植付け箇所を均平整地する5個の整地フロート16、等を備えている。なお、詳細な構造は省略するが、並列配備された整地フロート16群のうちの中央のものは、苗植付け装置3の田面に対する高さを検知する接地センサSFとして利用されており、この接地センサSFの上下揺動変位が電気的に検知され、その検知情報に基づいて前記油圧シリンダ6の制御弁を作動制御することで、苗植付け装置3の対地高さを一定に維持して植付け深さを安定維持する自動植付け深さ制御が実行されるようになっている。 【0016】 図3に示すように、ローリング用の前記駆動機構7は、リンク機構2の後端上部に連結したブラケット8に前後向き支点Q周りに左右揺動可能な駆動アーム21と、これをギヤ減速機構9介して揺動駆動する電動モータ(電動アクチュエータ)22とから構成されており、図2に示すように、苗のせ台13を横移動可能に苗のせ面背部から支持するよう前記植付けフレーム11から立設された苗のせ台支持枠23の上部左右箇所と前記駆動アーム21の遊端とがバネ24を介して連結されている。つまり、苗植付け装置3は駆動アーム21に対して弾性融通をもって所定小範囲で自由ローリング可能に支持されており、苗植付け装置3が整地フロート16を介して接地している状態では、走行機体1が多少左右傾斜しても苗植付け装置3は田面に接地追従するようになっている。 【0017】 そして、前記駆動機構7の電動モータ22は、苗植付け装置3に装備された後述する傾斜角検出手段からの検出情報に基づいて作動制御され、走行機体1が耕盤の凹凸等によって左右に傾斜して苗植付け装置3が傾斜しかかっても、その傾斜を復元させる方向に苗植付け装置3がローリング制御されて、常に設定傾斜角(一般に水平)に安定維持され、もって、左右の各植付け部位での植付け深さに差異の少ない植付けが行われるようになっている。 【0018】 また、リンク機構2の後端上部に連結した前記ブラケット8と苗のせ台13の背面における左右箇所とに亘ってローリング復帰用バネ25が張設されており、苗のせ台13の往復横移動によって移動方向側のローリング復帰用バネ25が伸ばされることで、苗のせ台13の横移動に伴うローリング支点P周りの重量バランスの崩れを是正する方向の回動力がローリング復帰用バネ25によってもたらされるようになっている。 【0019】 前記傾斜角検出手段には、苗植付け装置3の左右方向の傾斜角度を検知する重力式の角度センサ27と、苗植付け装置3における左右方向の角速度を検知する振動ジャイロ型の角速度センサ28とが備えられており、両センサ27,28からの検出信号に基づいて苗植付け装置3をローリング制御するための検出傾斜角度θが以下のようにして算出されるものであり、その演算およびローリング制御を行うブロック図が図4に示されている。 【0020】 つまり、前記傾斜センサ27からの検出信号(θg)は、ローパスフィルタ29に通されてその低周波成分だけが取得され、また、角速度センサ28からの検出信号(dθj/dt)は、ローカットフィルタ30を通されたのち積分処理されて傾斜角が算出され、この演算値が更にローカットフィルタ31に通されてその高周波成分だけが取得され、次に、角度センサ27からの検出信号(θg)に基づいて取得された低周波成分の傾斜角度(θ1)と、角速度センサ28からの検出信号に基づいて取得された高周波成分の傾斜角度(θ2)とが加算されて、この値が検出傾斜角度(θ)とされる。 【0021】 なお、傾斜センサ27からの検出信号(θg)はセンサ自体に備えられた平滑特性によって傾斜角信号の高周波成分の一部が外乱とともに除去されているので、この除去された高周波成分を補うために傾斜センサ27の特性に対応した特性のローカットフィルタ30が導入されている。また、ローパスフィルタ29で除去された高周波成分を補うようにローカットフィルタ31の特性が設定される。 【0022】 つまり、苗植付け装置3が急速に傾斜すると、角度センサ27からの検出信号(θg)には振動等による外乱が含まれるとともに、慣性の影響で逆方向の信号が出力されることがあるので、これらを含む高周波成分を除去した値が基本的な傾斜角度(θ1)として取得される。そして、傾斜角変動の除去された高周波成分を補うために、角速度センサ28からの検出信号(dθj/dt)に基づいて演算取得された高周波成分の傾斜角度(θ2)が加算され、全体として優れた応答性および高い精度で検出傾斜角度(θ)が算出されるのである。 【0023】 上記のようにして算出された検出傾斜角度(θ)は、傾斜角度設定器32によって設定された目標傾斜角度(θ0)と比較演算され、両者の偏差(|θ0-θ|)が予め入力設定されている不感帯(ε)より大きいと、その偏差が不感帯内に収まる方向に電動モータ22が通電制御されることで、苗植付け装置3が目標傾斜角度(θ0)に安定維持されるのである。 【0024】 なお、乗用型田植機においては、ほとんどの植付け田面が水平であるので、前記目標傾斜角度(θ0)を水平に設定することで、苗植付け装置3を田面と平行な水平姿勢に維持して全条での植付け深さを均一にすることができるが、畦際において田面が左右に傾斜しているような水田における畦際での植付け作業においては、傾斜角度設定器32を調節して目標傾斜角度(θ0)を田面の傾斜に合わせて調整することで、傾斜した田面と平行な植付けを行って植付け深さを均一化を図ることができるものとなる。 【0025】 また、前記角速度センサ28は、時間経過とともに誤差が累積するとともに、温度の影響を受けて出力が変化する温度ドリフトがあるので、精度の高い検出を行うためには零点値を適時書き替えてゆく必要がある。苗植付け装置3の左右傾斜は長い距離を走行する間には水平に戻されるので、この間に角速度センサ28から取得した検出信号を平均した値が水平時の基準出力値、つまり、零点値とみなすことができ、例えば、往復植え作業において畦際で走行機体1を方向転換するたびに、一行程の植付け走行の間に平均処理して得られた零点値に逐次書き替えを行うことで、累積誤差や温度ドリフトの影響を抑制した角速度を精度良く検知することができるのである。 【0026】 また、エンジン8を始動した際における最初の零点値の設定は以下のようにして行われる。つまり、図5のフロー図に示すように、エンジン8が始動されると、角速度センサ28からの検知信号が予め設定されている零点値を含む所定の範囲内にあるか否かが判断され(♯01〜♯02)、所定の範囲内の検出信号が複数回続けてあったことが判断されると(♯03)、この複数回の検出信号が平均処理され(♯04)、この値が当初の零点値として設定される(♯06)。 【0027】 また、エンジン8の始動時に、空中に持ち上がられている苗植付け装置3がふらついたりすると、上記平均処理が行われるまでに所定の範囲から外れた検出信号が発生することになり、このような場合には、予め記憶された暫定零点値を当初の零点値として設定することになる(♯02,♯05,♯06)。 【0028】 そして、このようにして当初の零点値が設定された状態でローリング制御が行われると、その間の角速度検知を平均処理して上記した零点値の書き替えが逐次実行される(♯06)。 【0029】 そして、キーオフしてエンジン8が停止されると(♯07)、その時点に設定されている零点値が前記暫定零点値として不揮発性メモリに書込み記憶される(♯08)。 【0030】 〔他の実施例〕 【0031】 (1)前記角度センサ27を、2軸型の加速度センサで構成することができる。つまり、図6に示すように、直交する2軸の加速度検知方向を上下方向と左右方向に設定して水田作業装置(苗植付け装置)3に装着すると、検出された垂直加速度(Gy)と水平加速度(Gx)から傾斜角度θは、θ=arcTan(Gx/Gy)として演算することができる。 【0032】 (2)走行機体1に昇降およびローリング自在に連結する水田作業装置3としては、苗植付け装置の他に、水田直播装置、水田除草装置、などが挙げられる。 【図面の簡単な説明】 【0033】 【図1】乗用型田植機の全体側面図 【図2】苗植付け装置の背面図 【図3】ローリング用駆動機構の縦断側面図 【図4】ローリング制御系のブロック図 【図5】零点設定制御のフロー図 【図6】別実施例の角度センサの原理図 【符号の説明】 【0034】 1 走行機体 3 水田作業装置(苗植付け装置) 7 駆動機構 24 バネ 27 角度センサ 28 角速度センサ 29 ローパスフィルタ 30 ローカットフィルタ θ0 目標傾斜角度 θ 検出傾斜角度
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ 【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
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| 【出願日】 |
平成17年3月24日(2005.3.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2006−262801(P2006−262801A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月5日(2006.10.5) |
| 【出願番号】 |
特願2005−86655(P2005−86655) |
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