| 【発明の名称】 |
作業車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】坂本 佳三 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内
【氏名】黒田 晃史 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内
【氏名】水倉 泰治 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内
【氏名】西村 章広 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内
【氏名】高橋 岳志 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】従来正確な負荷変動が検知できなかったので、エンジンの回転数と燃料噴射量からトルクを演算して、該トルクの変化状態を作業時において検知し、そのトルク変化が所定の形状となるとスリップしたと判断し、このスリップが生じないように制御する。
【解決手段】電子制御式燃料噴射装置を具備し、サイクル毎の噴射量を演算する手段を備えたディーゼルエンジンを搭載した作業車両において、該エンジンのクランク軸25の回転を検知する手段33と、作業車両に装着した作業機7と、燃料噴射装置の噴射量制御手段と、作業機の昇降を制御する手段と、作業車両速度制御手段とを備え、燃料噴射量とエンジン回転数によりエンジントルクを演算し、予め任意に設定した所定時間内に急激なトルクの上昇の後に急激なトルクの低下があり、そのトルクが任意に設定した時間持続すると車輪がスリップしたと判断する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子制御式燃料噴射装置を具備し、サイクル毎の噴射量を演算する手段を備えたディーゼルエンジンを搭載した作業車両において、該エンジンのクランク軸の回転を検知する手段と、作業車両に装着した作業機と、燃料噴射装置の噴射量制御手段と、作業機の昇降を制御する手段と、作業車両速度制御手段とを備え、燃料噴射量とエンジン回転数によりエンジントルクを演算し、予め任意に設定した所定時間内に急激なトルクの上昇の後に急激なトルクの低下があり、そのトルクが任意に設定した時間持続すると車輪がスリップしたと判断することを特徴とする作業車両の制御装置。 【請求項2】 前記トルクより演算した負荷が所定値を越えると、作業機を所定量上昇するように制御したことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の制御装置。 【請求項3】 前記トルクより演算した負荷が所定値を越えると、走行速度を所定量遅くするように制御したことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の制御装置。 【請求項4】 前記トルクより演算した負荷が所定値を越えると、作業機を所定量上昇するように制御するか、或いは、走行速度を所定量遅くするように制御するかを選択する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、電子制御式燃料噴射装置を具備したディーゼルエンジンを搭載した作業車両において、負荷を正確に検知して、エンストを防止するとともに、作業精度や仕上がりを向上するための技術に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、作業機を装着した作業車両において、負荷を検出して作業効率が向上するように制御する技術はいろいろ知られている。 例えば、トラクタの後部に3点リンク式の作業機装着装置を配置し、この作業機装着装置のトップリンク基部に歪みゲージ式のドラフトセンサを設けて牽引負荷を検出するように構成し、このドラフトセンサにより検出された牽引負荷が一定以上となるとリフトアームを一定量だけ上昇するように制御していた(例えば、特許文献1参照)。 また、ドラフト制御モードにおいては、ドラフトセンサで検知された牽引負荷と、ドラフト設定器で設定した負荷とを比較して、牽引負荷が目標牽引負荷となるように油圧シリンダを制御して昇降するとともに、電子ガバナによりトルク変動率が大きい場合であって、最大トルク点が低速側に偏位させて、高負荷領域でねばりのあるトルクカーブ特性となるように制御するように制御して、プラウ作業に適するようにエンジンを制御することも行われている(例えば特許文献2参照)。 【0003】 一方、エンジンの回転数検出手段、エンジン負荷検出手段、車両速度検出手段、車両走行状態検出手段、回転数変化率検出手段を有し、回転数の変化率に応じて供給燃料の補正値を演算して、その補正値に応じて燃料を供給して安定した運転が得られるようにした技術も公知となっている(例えば特許文献3)。 また、目標燃料噴射量と現在の燃料噴射量、つまりコントロールラック位置を検知して負荷率を演算し、ドラフトセンサを用いることなく負荷を検出して、設定負荷率となるように昇降用油圧シリンダを制御する技術も公知となっている(例えば特許文献4)。 更に、機関回転数とラック位置から機関にかかっている負荷を検出し、この任意のスパンにおける回転数の第一機関負荷トルクと、その後の任意スパンにおける第二機関負荷トルクとから、負荷偏差を求め、耕深偏差を負荷偏差に基づく補正量で補正する技術も公知となっている(例えば特許文献5)。 また、第一機関負荷トルクと第二機関負荷トルクとを一定サイクル毎(スパン毎)に求めて機関負荷変化を求めて、機関回転数の回転変動や誤差の影響を小さくして負荷を正確に検出して作業部にかかる負荷を一定に保つようにしたり、回転数を一定に保持するようにする技術も公知となっている(例えば特許文献6)。 【特許文献1】特開2000−170564号公報 【特許文献2】特開2000−312505号公報 【特許文献3】特開平10−30470号公報 【特許文献4】特開平10−309106号公報 【特許文献5】特開2000−92913号公報 【特許文献6】特開2000−97100号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上述のように、ドラフト制御を行う場合において、牽引力を直接歪みゲージ等の負荷検知手段を用いて検知する構成では、その直接検知する検知手段が必要となり部品点数が増加して、配線も必要なため組み立て工数も増加し、コストアップとなってしまう。 【0005】 また、機関の回転数とコントロールラックの位置とにより負荷を算出して、作業機の高さ(耕深)や速度を変更する場合には、回転数は瞬時に検知できるが、コントロールラックはソレノイドにより駆動し、その移動後のコントロールラックの位置をセンサで検知する構成のため、応答遅れが生じて負荷が大きくなり過ぎてエンストしたり、作業機の昇降の遅れにより仕上がりが微妙に変化したりすることがあり、更に、燃料噴射量を変更する場合であっても燃料ラックを駆動するため、更に遅れが生じていた。 そこで本発明は、内燃機関として電子制御式燃料噴射装置を具備したエンジンを使用して、該エンジンの回転数と燃料噴射量からトルクを演算して、該トルクの変化状態を作業時において検知し、そのトルク変化が所定の形状となるとスリップしたと判断し、このスリップが生じないように制御するものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。 【0007】 即ち、請求項1においては、電子制御式燃料噴射装置を具備し、サイクル毎の噴射量を演算する手段を備えたディーゼルエンジンを搭載した作業車両において、該エンジンのクランク軸の回転を検知する手段と、作業車両に装着した作業機と、燃料噴射装置の噴射量制御手段と、作業機の昇降を制御する手段と、作業車両速度制御手段とを備え、燃料噴射量とエンジン回転数によりエンジントルクを演算し、予め任意に設定した所定時間内に急激なトルクの上昇の後に急激なトルクの低下があり、そのトルクが任意に設定した時間持続すると車輪がスリップしたと判断するものである。 【0008】 請求項2においては、前記トルクより演算した負荷が所定値を越えると、作業機を所定量上昇するように制御したものである。 【0009】 請求項3においては、前記トルクより演算した負荷が所定値を越えると、走行速度を所定量遅くするように制御したものである。 【0010】 請求項4においては、前記トルクより演算した負荷が所定値を越えると、作業機を所定量上昇するように制御するか、或いは、走行速度を所定量遅くするように制御するかを選択する手段を設けたものである。 【発明の効果】 【0011】 本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。 【0012】 請求項1においては、トルクまたは負荷を直接検出するセンサを配置する必要がなく、急激なトルク変動または負荷変動を素早く検知して、コスト低減化を図りながら、負荷を軽減し、スリップをできるだけ少なくして、作業効率を向上できるように迅速に対処できるようになる。 【0013】 請求項2においては、設定値以上の負荷が増加すると作業機が上昇されて、負荷が軽減され、走行速度を殆ど落とすことなく作業を続行でき、仕上がりをきれいにすることができ、作業性も落とすことがない。 【0014】 請求項3においては、設定値以上の負荷が増加すると走行速度が低下されて、トルクが大きくなり、作業機の高さ(耕深)は殆ど変更することなく作業を続行でき、均一な深さの作業ができる。 【0015】 請求項4においては、作業地の状態や作業の種類等に合わせて、作業機を上昇させるか、走行速度を落とすかを選択することが可能となって、作業に最も適した仕上がりとすることができるようになる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 次に、発明の実施の形態を説明する。 図1は本発明の負荷制御装置を装備したトラクタの全体側面図、図2は制御ブロック図、図3はトルクの変化示す図、図4は制御フローチャートを示す図である。 【0017】 本実施例では、作業車両をトラクタとし、該トラクタに装着する作業機としてプラウを採用し、内燃機関として電子制御式燃料噴射装置を具備したディーゼルエンジンを採用した場合について説明する。 まず、トラクタ1は図1に示すように、機体前部のフロントフレーム2上に内燃機関としてディーゼルエンジン11を載置し、該エンジン11はボンネット6により覆われている。該ボンネット6の後部にハンドル10が配置され、その後方に座席シート12が配置されている。前記フロントフレーム2下方に前輪4が支承され、座席シート12下部のミッションケース13にリアアクスルハウジングを介して後輪5が支承されている。前記ハンドル10近傍には回転数設定手段としてのアクセルレバーが配置され、座席シート12近傍には変速手段としての変速レバー14や負荷設定手段となる負荷設定器(耕深設定レバー)36等が配置され、このハンドル10や座席シート12等はキャビン15により覆われ、運転操作部9としている。 【0018】 また、トラクタ1の後部には3点リンク式の作業機装着装置3を介して牽引作業機としてのプラウ7が装着されている。但し、作業機はプラウに限定するものではなく、ロータリ耕耘装置やモアや掘削機やローダ等を装着することができる。作業機装着装置3は、ミッションケース13後面に取り付けたヒッチブラケットに枢支されるトップリンク16と、ミッションケース13後下部に枢支されるロアリンク17・17と、該ロアリンク17とリフトアーム18と間を連結するリフトロッド19等から構成される。 【0019】 前記エンジン11は電子制御式燃料噴射装置を具備しており、制御装置31により電磁式インジェクタ22の開弁を制御して、クランク軸25の回転を制御できるようにしている。例えばコモンレール式エンジンの場合、サプライポンプ(高圧ポート)28からコモンレール26に燃料を圧送し、電磁式インジェクタ22の開弁により燃焼室に噴射され、燃焼することでピストン21を往復駆動してクランク軸25を回転させるようにしている。その概略構成は図2に示すように、シリンダ20内にピストン21を上下昇降自在に内嵌し、シリンダ20上部のシリンダヘッドに燃料噴射弁(インジェクタ)22を設けて燃焼室に燃料を噴射できるようにしている。該燃料噴射弁22には燃料噴射制御用のソレノイド22aを備えており電磁制御弁(電磁式インジェクタ)を構成し、該ソレノイド22aに制御電圧を印加することにより燃料噴射弁22を開閉して燃料を所定のタイミングで所定量噴射して燃焼させ、前記ピストン21を上下往復駆動させる。該ピストン21にはコンロッド24の上端を枢支し、該コンロッドの下部に出力軸となるクランク軸25を連結して、前記ピストン21の往復動をクランク軸25の回転に変換して駆動するようにしている。つまり、前記燃料噴射弁22の開閉を制御することにより燃料噴射量及び噴射時期を調整してエンジン11の出力回転を制御することができる。 前記クランク軸25にはクラッチやミッションケース13内の変速装置を介して駆動輪となる後輪5または前輪4に動力を伝達する。 【0020】 そして、前記燃料噴射弁22には燃料高圧アキュムレータとなるコモンレール26と接続され、該コモンレール26には配管27を介して高圧ポンプ28と接続され、該コモンレール26と高圧ポンプ28との間にはコモンレール26内に所定の圧力に維持するための弁が介装されている。該高圧ポンプ28にはフィルタを介して燃料タンク29と接続されている。なお、高圧ポンプ28及び燃料噴射弁22には余剰燃料を燃料タンク29に戻す配管がそれぞれ接続されている。また、本実施例では一つの気筒について説明するが、多気筒の機関の場合にも適用できる。 【0021】 また、前記ソレノイド22aには制御装置31と接続され、該制御装置31には前記コモンレール26内の圧力を検知する手段となる圧力センサ30と、高圧ポンプ28の燃料圧送量を調節するための圧力制御電磁弁32と、クランク軸25の回転数を検知する回転数センサ33と、クランク軸25またはカム軸の角度を検知する角度センサ34と、回転数を設定する手段としてのアクセルペダルまたはアクセルレバーの回動と連動する回転数設定器35と、目標となる負荷(牽引力、または耕深)を設定レバーまたはツマミと連動する目標負荷設定器36とを接続している。 更に、制御装置31には作業機を昇降するための油圧シリンダへの圧油の送油を制御する電磁バルブ37が接続されている。該電磁バルブ37の開閉を制御してシリンダ38に圧油を送油してリフトアーム18を昇降回動して作業機を昇降できるようにしている。該リフトアーム18の回動はその基部に配置した角度センサ42により検知されている。前記制御装置31はCPU(中央演算処理ユニット)やメモリ(ROMやRAM等)や入出力回路や駆動回路等を備えている。 【0022】 このようにして、前記センサからの出力信号は制御装置31に入力されて、目標回転数や運転にかかる各種状態を演算して、回転数設定器35で設定した回転数となるように燃料噴射弁22や圧力制御電磁弁32を制御して、燃料噴射量と噴射タイミングを制御するようにしている。 【0023】 次に、エンジンのトルクを演算して、負荷変動があると負荷が設定された負荷となるように制御するための具体的実施例を説明する。 電子制御式燃料噴射装置を具備したエンジンの場合、エンジンの回転数を前記回転数設定器35で設定して駆動すると、その回転数になるように制御装置は働き、その時のエンジンの回転数と燃料噴射量を検知することによりトルクを演算することができる。つまり、エンジン回転数を前記回転数センサ33により検知し、燃料噴射量を燃料噴射弁22の開き量、即ちソレノイド22aへの制御信号より演算できる。このエンジン回転数と燃料噴射量によりマップ等を用いて任意の時間におけるトルクを演算する。 【0024】 そして、作業時における急激な負荷変化時、例えば、作業機装着装置3にプラウ7を装着して、設定回転数で牽引作業をしている時に負荷が急激に変化した場合には、次のように制御する。 図3に示すように、設定回転数で作業しているときに、過負荷がかかっていない状態では、演算したトルクは略T1となっている。このトルクが、時間t1において急激に上昇し、その直後の時間t2から急激に低下して、時間t3よりトルクが略T2となって持続して収束した場合、駆動車輪がスリップしたと判断して、作業機を所定量上昇させるか、或いは、所定速度を低下させて、作業が続行できるようにしている。但し、このトルクの急激な上昇と下降の波形、つまり、t1からt2までの時間、t2からt3までの時間、T1とT2のトルク差、及び、T2とT3のトルク差の値は、それぞれ設定され、それぞれの許容範囲(しきい値)も設定されて、それぞれの値はメモリに記憶されて、図3に示すような波形となったかどうかが判断できるようにしている。 【0025】 例えば、設定回転数でエンジンを作動させて牽引作業を行っている時に、プラウ7が硬い耕盤に当たった場合に、負荷が急激に上昇する。つまり、トルクが急激に上昇し、機体は殆ど前進できなくなり車輪は空回りしてスリップする。このスリップが生じると、トルクは低下してその状態が維持されて、図3に示す波形と略同じ波形となる。 【0026】 このような波形となってスリップを検知すると、時間t4において、作業機を所定量上昇させて負荷を小さくして作業が続行できるようにする。即ち、作業機の上昇により硬い耕盤は回避されてスリップもしなくなり前進して元のトルクT1に戻る。このとき前進速度はトルク変動が生じる前の速度に戻るが、耕深は浅くなっているので負荷が徐々にトルクT1よりも小さくなるから、作業機を下げて元の高さに戻して、負荷がかかる前の状態のトルクT1に戻して設定負荷で作業を続行するようにする。 このように構成することにより、トルク変動から過負荷を検知して、作業ができなくなることを防止し、作業を続行できるようにするのである。 【0027】 また作業能率の低下を防止するために次のように制御することもできる。 即ち、トルク変動が生じた後の時間t4において、走行速度を低下させるように制御するのである。このように走行速度を低下させると、トルクが増加して硬い耕盤を突き進むことができる。このとき耕深の変化が殆どないので、仕上がりがきれいになる。なお、走行速度を遅くするようにする手段は、モータ41やソレノイドやシリンダ等のアクチュエータにより変速アームまたは変速レバー等を動かせて低速側にシフトさせる。例えば、該アクチュエータとしてモータ41を採用し、該モータ41を前記変速レバー14と連結して、該モータ41は駆動回路40を介して制御装置31と接続され、該制御装置31からの制御信号により変速レバー14を回動して変速するのである。 【0028】 こうして、図3に示す波形のような、トルクが急上昇してから下がるような急激なトルク変動が生じると、制御装置31がスリップしたと判断して、変速レバー14を低速側に回動して、変速装置の変速段を下げる。つまり、変速比を上げて出力側の回転数を減少するように、変速装置の変速アームまたは運転操作部9の変速レバー14を低速側に回動するように、モータ41等のアクチュエータを駆動するように制御する。但し、回転数を下げて速度を低下することも可能であるが、トルクも減少するため好ましくない。 そして、通常の固さの耕盤に戻ると、回転数が増加してトルクも増加するため、変速装置を元の変速段となるようにモータ41を駆動する。 【0029】 また、前述のような急激なトルク変動が生じた場合には、作業機を上昇させるか、或いは、車速を低下させるか、どちらかを選択できるようにすることもできる。つまり、作業地や作業内容等によっては何れか一方で制御したほうが都合がよい場合がある。例えば、蒲鉾状の畝を成形するような作業の場合、作業途中で速度が低下すると、ロータリの回転数は変わらないので、土の多少(粗密)ができてしまい畝の形状に大きさに変化ができてしてしまう。よって、このような作業の場合には、作業機を持ち上げて耕深が変化しても畝の土の質が略一定となるほうが好ましい。また、平畝を成形したり水田を耕耘したりする作業の場合には、耕深深さに違いが生じると稲等の作物の植付深さも異なり根の伸びが異なったり、凹凸ができて一部水面より出てしまう場合が生じて、作物の成長にムラができ、収穫物の大きさにも影響してしまう。よって、速度が一時的に低下しても耕深を一定とするほうが好ましい。 【0030】 従って、前記モードを設定するために、制御装置31に選択手段として切換スイッチ39を接続し、該切換スイッチ39を座席近傍の運転操作部9に配置して、作業の種類や圃場や作物や作業者等に合わせて切り換えられるようにすることもできるのである。 【0031】 以上の制御を図4に示すフローチャートに従って説明する。 作業時においては、エンジン回転数と燃料噴射量を常時検知して、その値よりトルクを演算し、このトルクが図3に示すような波形のトルク変動が生じているか検知している(S100)。前記燃料噴射量はクランク軸25の2回転(燃焼行程の1サイクル)毎に検出しており、トルクもその都度検出している。従来では、ラック位置を検出して、その値から燃料噴射量を演算し、トルクを演算する方法を採っていた。このような方法であると、検出サイクルが長くなるなるとともに、誤差も大きくなる。これに対して本発明では、電子制御式燃料噴射装置を具備したエンジン、特に、コモンレール式のエンジンにおける燃料噴射弁22の開度から燃料噴射量を演算してトルクを算出し、トルク変動を検出する構成ととしているので、急激なトルク変動も瞬時に判断することができて、精度良く制御することが可能となるのである。 【0032】 そして、トルクの波形が図3のようになったかどうか、つまり、スリップが発生したかどうかを判断して(S101)、スリップが発生した場合には、切換スイッチ39の選択位置がどちらであるか判断して(S102)、耕深を制御するように選択している場合には、シリンダ38を伸長してリフトアーム18を上昇回動して作業機を所定量上昇させる(S103)。車速を選択している場合には(S104)、モータ41を駆動して変速装置を低速段に落とし車速を所定量減速する(S105)。耕深も車速も選択していてない場合には現状維持となる(S111)。 【0033】 前記ステップS101において、スリップが発生していない場合には、トルク変動が生じていない場合、または、トルク変動が生じた後にスリップを回避する制御が行われてスリップが生じていない場合であるため、次に、作業機を上昇制御したかどうかを判断して(S107)、上昇している場合には、作業機を元の高さに戻すように下降させる(S108)。作業機を上昇させていない場合には、減速したかを判断して(S109)、減速した場合には元の速度に戻すように変速装置を増速側に変速する(S110)。作業機を上昇せず、減速もしていない場合には、現状を維持する(S111)。以上のように制御して、安定して作業ができるようにするのである。 【0034】 また、次のような制御とすることもできる。 即ち、トルク変動が生じた場合には、作業機を上昇させる制御、及び、車速を減速させるいずれのモードも制御できるようにするが、一方を優先的に制御して、その制御後に負荷が更に増大するようであれば、その後、他方で制御するようにする。 つまり、前記切換スイッチ39は優先切換手段とし、例えば、該切換スイッチ39で車速減速優先を選択した場合には、負荷の急激な上昇が生じると、車速を減速するように制御し、それでも負荷が大きい場合には更にトルクの上昇が得られるように所定速度に減速するまでは車速を減速する。しかし、走行速度が遅くなり過ぎると停止する場合や、更に速度を減少すると作業に悪影響(粉砕過剰や散布過剰等)が生じる場合があるので、設定速度以下になるような場合には、他方の制御である作業機を上昇させるように制御する。 【0035】 また、作業機上昇優先を選択した場合には、負荷の急激な上昇により作業機を上昇し、それでも負荷が大きい場合には更に必要トルクが得られるように作業機の上昇を繰り返す。しかし、作業機を高くしても負荷の減少が得られない場合に、更に作業機を上昇すると、所定の耕深が得られない場合があるので、設定高さ以上となると車速を減少するように制御するのである。 【0036】 更に詳しく説明すると、優先切換スイッチ39を車速減速優先(耕深優先)に切り換えた場合には、負荷が増加したときに作業機を上昇させるモードよりも優先して、走行速度を低下させるモードとして制御する。そして、設定回転数で作業を行っている時に、設定量以上のトルク変動が生じた場合には、走行速度を所定速度低下するように変速装置を所定段下げるようにモータ41を作動させる。こうして車速を所定量下げてもトルクの上昇が得られない場合には、更に、所定速度低下させる。このようにして負荷が大きい場合には車速を低下させて耕深が変わらないようにするが、負荷が大きいために設定速度以下となると、作業機を所定量上昇させる制御に自動的に切り換えるのである。 言い換えると、耕深優先を選択して切り換えて作業をすると、急激なトルク変動(負荷上昇)が生じてスリップを検知すると、スリップが回避できるまで所定量ずつ車速を下げる。そして、設定速度まで速度を下げてもスリップが解消しない場合には、作業機を所定量上昇させ、所望のトルクが得られるまで前記制御を繰り返し、エンストや停止することなく作業を続行して作業効率の低下を防止するのである。そして、元の負荷に戻ると車速も作業機高さ(耕深)も元の状態に戻すのである。 【0037】 また、優先切換スイッチ39を作業機上昇優先(車速優先)に切り換えた場合には、負荷が増加したときに車速を低下させるモードよりも優先して、作業機を上昇させるモードで制御するようにする。そして、設定回転数で作業を行っている時に、設定量以上のトルク変動が生じた場合には、作業機を所定高さ上昇するように油圧シリンダを伸長させる。こうして作業機を所定量上昇してもトルクの上昇が得られない場合には、更に、所定高さ上昇させる。このようにして負荷が大きい場合には作業機を上昇させて走行速度が変わらないようにするが、負荷が大きいために作業機の高さ(耕深)が設定高さ以上高くとなると、耕深が浅くなり過ぎないように昇降制御を停止して、走行速度を所定量低下させる制御に自動的に切り換えるのである。 言い換えると、車速優先に選択して切り換えて作業をすると、急激なトルク変動(負荷上昇)が生じてスリップを検知すると、スリップが回避できるまで所定量ずつ作業機を上昇する。そして、設定高さまで作業機を上昇してもスリップが解消しない場合には、走行速度を所定量低下させ、所望のトルクが得られるまで前記制御を繰り返し、エンストや停止することなく作業を続行して作業効率の低下を防止するのである。そして、元の負荷に戻ると車速も作業機高さも元の状態に戻すのである。 【図面の簡単な説明】 【0038】 【図1】本発明の負荷制御装置を装備したトラクタの全体側面図。 【図2】制御ブロック図。 【図3】トルクの変化示す図。 【図4】制御フローチャートを示す図。 【符号の説明】 【0039】 1 トラクタ 3 作業機装着装置 11 エンジン 14 変速レバー 22 燃料噴射弁(インジェクタ) 31 制御装置 33 回転数センサ 35 回転数設定器 39 切換スイッチ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006781 【氏名又は名称】ヤンマー株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
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| 【出願日】 |
平成17年2月9日(2005.2.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開2006−217846(P2006−217846A) |
| 【公開日】 |
平成18年8月24日(2006.8.24) |
| 【出願番号】 |
特願2005−33377(P2005−33377) |
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