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【発明の名称】 耕耘爪
【発明者】 【氏名】佐藤 周二
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内

【要約】 【課題】圃場を部分的に耕起して播種や施肥を行う播種機における耕耘装置の耕耘爪は、ロータリ耕耘装置等で使用されているナタ爪と略同一な形状のものを採用すると共に、部分耕起を行う条毎に耕耘爪の左右両側及び上方を覆うカバーを設けているが、当該カバーの内壁に付着した土の抵抗による動力損失、カバーの変形、及び耕耘爪の早期磨耗が発生するといった不具合を解消する。

【解決手段】耕耘軸35への取り付け基部から連続的に形成される縦刃部34aの先端を一側に折り曲げ形成した横刃部34bの折り曲げ開始線L1と、該折り曲げ開始線L1と耕耘爪34の掻き取り面先端部Sとの交点P2と耕耘軸35の軸心Pを結ぶ線L2との交差角θ1が85度以上100度以下となるように耕耘爪34を形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘軸(35)に放射状に取り付けられると共に、取り付け基部から連続的に形成される縦刃部(34a)と、該縦刃部(34a)の先端を一側に折り曲げ形成した横刃部(34b)を備える耕耘爪(34)において、前記横刃部(34b)の折り曲げ開始線(L1)と、該折り曲げ開始線(L1)と耕耘爪(34)の掻き取り面先端部(S)との交点(P2)と耕耘軸(35)の軸心(P)を結ぶ線(L2)との交差角(θ1)が85度以上100度以下となるように、当該耕耘爪(34)を形成したことを特徴とする耕耘爪。
【請求項2】
前記耕耘爪(34)を乾田不耕起直播機(10)に用いることを特徴とする請求項1に記載の耕耘爪。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、不耕起状態の圃場を部分的に耕起して播種や施肥を行う播種機等における耕耘装置の耕耘爪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不耕起状態の圃場を部分的に耕耘して播種や施肥を行う播種機は、トラクタ等の機体後部に備える昇降リンク機構を介して昇降可能に連結されると共に、当該播種機は昇降リンク機構のトップリンク及びロアリンクに連結した耕耘ユニットと、この耕耘ユニットから後方に突出するツールバーに平行リンク機構を介して昇降自在に連結した施肥播種ユニットから構成されている。
【0003】
そして、耕耘ユニットは、機体側からPTO動力が入力されるギヤケース、該ギヤケースから左右に突出する筒フレーム、該筒フレームの左右両端から下方に突出するサイドフレーム、左右のサイドフレーム間に回動可能に支承した耕耘軸、及び該耕耘軸の軸方向に所定の間隔を存して設けた複数の耕耘部を備えると共に、これらの耕耘部に不耕起状態の圃場を耕耘する耕耘爪を設け、当該耕耘爪を回転駆動させることによって圃場の部分耕起を可能にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−139104号公報(第2−3頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の耕耘爪は、ロータリ耕耘装置で一般的に使用されているナタ爪と略同一な形状を採用しており、当該耕耘爪で圃場を耕起すると破砕した土塊が放擲されることから、部分耕起を行う条毎に耕耘爪の左右両側及び上方を覆うカバーを設けなければならなかった。
【0005】
そして、前記カバーは放擲された土塊の飛散を防止すると共に播種に必要な土の量を確保しなければならないので、耕耘爪に対するカバーの隙間を可能な限り最小となるように構成していたが、当該カバーの内壁に付着した土の抵抗による動力損失、カバーの変形、及び耕耘爪の早期磨耗が発生するといった不具合を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、耕耘軸に放射状に取り付けられると共に、取り付け基部から連続的に形成される縦刃部と、該縦刃部の先端を一側に折り曲げ形成した横刃部を備える耕耘爪において、前記横刃部の折り曲げ開始線と、該折り曲げ開始線と耕耘爪の掻き取り面先端部との交点と耕耘軸の軸心を結ぶ線との交差角が85度以上100度以下となるように、当該耕耘爪を形成したことを第1の特徴としている。
【0007】
そして、前記耕耘爪を乾田不耕起直播機に用いることを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、取り付け基部から連続的に形成される縦刃部の先端を一側に折り曲げ形成した横刃部の折り曲げ開始線と、該折り曲げ開始線と耕耘爪の掻き取り面先端部との交点と耕耘軸の軸心を結ぶ線との交差角が85度以上100度以下となるように、当該耕耘爪を形成したことによって、横刃部のすくい面が圃場面に対して緩やかな角度で進入し、前記横刃部及び縦刃部で耕起破砕された土塊がすくい面の放擲作用を受けず飛散しないでその場に留まるので、土塊の飛散防止用カバーを特別に設ける必要がなくコストダウンが図れると共に耕耘爪のメンテナンス性も向上する。
【0009】
そして、請求項2の発明によれば、前記耕耘爪を乾田不耕起直播機に用いることによって、従来のように部分耕を行う条毎に耕耘爪の左右両側及び上方を覆うカバーを設けなくてすむので、該カバーの内壁に付着した土の抵抗による動力損失、カバーの変形、耕耘爪の早期磨耗、及び播種床の形成不良等が発生するといった不具合を解消できる。また、ロータリ耕耘装置等で使用されている上方安全カバーを耕耘爪の上方カバーとして流用することができるので、装置の簡素化とコストダウンも図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、本発明に係る播種装置である乾田不耕起直播機10の側面図及び平面図であって、該乾田不耕起直播機10は、トラクタ等の機体11後部に昇降リンク機構12を介して昇降可能に連結してあり、前記昇降リンク機構12を構成するトップリンク12a及びロアリンク12bに着脱可能に連結した耕耘ユニット13と、この耕耘ユニット13から後方に突出するツールバー14に平行リンク機構15を介して昇降可能に連結した播種ユニット16を備えている。
【0011】
そして、耕耘ユニット13は、その上部に設置した左右2個の肥料タンク17、該肥料タンク17内の肥料を圃場面に供給する施肥パイプ18、及び図示しない耕深調節用の尾輪を有している。
【0012】
また、播種ユニット16は、種子を収容する種子タンク21と、該種子タンク21内の種子を播種部に向けて供給する種子パイプ22と、種子タンク21の後部に配置した薬剤タンク23と、これらのタンク21,23の下方には播種溝形成用の溝切り刃24、更に播種溝に覆土する覆土板25、播種溝の上部を押圧する接地輪26等を備えている。
【0013】
そして、耕耘ユニット13は、機体11側からPTO動力が入力されるギヤケース28と、このギヤケース28の左右の両側には、耕耘ユニット13の横伝動筒を兼ねる筒状アーム31L,31Rとを備え、左側筒状アーム31Lの外端(左端側)には伝動ケースであるチェンケース32、一方右側筒状アーム31Rの外端(右端側)にはサイドプレート33を固設すると共に、チェンケース32とサイドプレート33の間には、複数本の耕耘爪34を放射状に螺設した耕耘軸35を図示しないボールベアリングを介して回転可能に支承している。
【0014】
更に詳しくは、ギヤケース28に入力されたPTO動力が、チェーンケース32を介して耕耘軸35に伝動されることによって、該耕耘軸35の軸方向に所定の播種条間(実施例では、6条)を存して放射状に螺設した耕耘爪34が回転(正転)駆動し、不耕起状態の圃場の当該播種位置のみが部分耕起されるようになっている。
【0015】
ここで、耕耘軸35に放射状に取り付けられる耕耘爪34の形状及び作用について説明する。図3は、耕耘爪34の耕耘軸35に対する取り付け状態と、耕耘爪34の横刃部34bの折り曲げ形状を同時に示したものであって、当該耕耘爪34は耕耘軸35の軸心Pを回転中心としてP1部で螺設してある。
【0016】
そして、耕耘爪34は、その取り付け基部から連続的に形成されると共に外周方向に湾曲した形状の縦刃部34aと、この縦刃部34aの先端を一側に折り曲げ形成した横刃部34bからなり、前記横刃部34bの折り曲げ開始線L1と、該折り曲げ開始線L1と耕耘爪34の掻き取り面先端部Sとの交点P2と耕耘軸35の軸心Pとを結ぶ線L2の交差角θ1が85度以上100度以下、即ち略90度となるように形成してある。尚、折り曲げ形成した横刃部34bの上面側は、土塊をすくい上げて放擲する作用面であり、この作用面をすくい面Cと称している。更に、前記交点P2は、回転駆動される耕耘爪34が掻き取り(耕起)を開始する作用点でもある。
【0017】
上述の如く形成した耕耘爪34によれば、図4に示すように、その横刃部34bのすくい面Cが圃場面Gに対して緩やかな角度で進入し、前記横刃部34b及び縦刃部34aで耕起破砕された土塊G1がすくい面Cの放擲作用を受けず飛散しないでその場に留まるので、土塊G1の飛散防止用カバーを特別に設ける必要がなくコストダウンが図れると共に耕耘爪34のメンテナンス性も向上する。
【0018】
更に、前記耕耘爪34を乾田不耕起直播機10に用いることによって、従来のように部分耕を行う条毎に耕耘爪34の左右両側及び上方を覆うカバーを設けなくてすむので、該カバーの内壁に付着した土の抵抗による動力損失、カバーの変形、耕耘爪34の早期磨耗、及び播種床の形成不良等が発生するといった不具合を解消できる。また、ロータリ耕耘装置等で使用されている上方安全カバー38を耕耘爪の上方カバーとして流用することができるので、装置の簡素化とコストダウンも図れる。
【0019】
尚、図5及び図6は、従来の乾田不耕起直播機20の一例を示す側面図及び平面図であって、その耕耘ユニット13に備える耕耘爪44は、ロータリ耕耘装置で一般的に使用されているナタ爪と略同一な形状のものを採用している。そして、前記耕耘爪44によって耕起破砕される土塊がより細かくなるように、耕耘爪44を逆回転駆動させると共に放擲される土塊の飛散防止を兼ねる当該耕耘爪44の左右両側及び上方を覆うカバー45を設けているが、この構成のものでは、部分耕起しようとする圃場に雑草が繁茂している場合は、カバー45の前側部分Dに雑草の巻き付きが生じやすいといった欠点を有している。
【0020】
また、図7は、従来の耕耘爪44の耕耘軸35に対する取り付け状態と、耕耘爪44の横刃部44bの折り曲げ形状を同時に示したものであり、当該耕耘爪44は耕耘軸35の軸心Pを回転中心としてP1部で螺設されていて、その回転方向は本発明の耕耘爪34と同じ正転方向で例示してある。
【0021】
そして、耕耘爪44は、その取り付け基部から連続的に形成されると共に外周方向に湾曲した形状の縦刃部44aと、この縦刃部44aの先端を一側に折り曲げ形成した横刃部44bからなり、前記横刃部44bの折り曲げ開始線L1と、該折り曲げ開始線L1と耕耘爪44の掻き取り面先端部Sとの交点P2と耕耘軸35の軸心Pとを結ぶ線L2の交差角θ1が略70度となるように形成されている。
【0022】
上述の如く形成されている従来の耕耘爪44では、図8に示すように、横刃部44bのすくい面Cが圃場面Gに対して急な角度で進入し、前記横刃部44b及び縦刃部44aで耕起破砕された土塊G1がすくい面Cの放擲作用を受けて大きく飛散するので、当該土塊G1の飛散を防止して播種に必要な土の量を確保すべく、耕耘爪44に対する隙間が可能な限り最小となるようなカバー45を設けなければならなかった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る乾田不耕起直播機の側面図。
【図2】本発明に係る乾田不耕起直播機の平面図。
【図3】本発明に係る耕耘爪の取り付け状態とその形状とを示す側面図と正面図。
【図4】本発明に係る耕耘爪の作用効果を示すモデル図。
【図5】従来の乾田不耕起直播機の側面図。
【図6】従来の乾田不耕起直播機の平面図。
【図7】従来の耕耘爪の取り付け状態とその形状とを示す側面図と正面図。
【図8】従来の耕耘爪の耕耘爪の作用効果を示すモデル図。
【符号の説明】
【0024】
10 乾田不耕起直播機
34 耕耘爪
34a 縦刃部
34b 横刃部
35 耕耘軸
L1 横刃部の折り曲げ開始線
L2 横刃部の折り曲げ開始線と耕耘爪の掻き取り面先端部との交点と耕耘軸の軸心を結ぶ線
S 耕耘爪の掻き取り面先端部
P 横刃部の折り曲げ開始線と耕耘爪の掻き取り面先端部との交点
θ1 交差角(L1とL2の交差角)
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
【出願日】 平成16年12月21日(2004.12.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−174725(P2006−174725A)
【公開日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願番号】 特願2004−368978(P2004−368978)