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【発明の名称】 オフセット作業機
【発明者】 【氏名】頭司 宏明
【住所又は居所】岡山県岡山市中畦684番地 小橋工業株式会社内

【氏名】藤井 久征
【住所又は居所】岡山県岡山市中畦684番地 小橋工業株式会社内

【要約】 【課題】構造が簡単で機体幅の異なる走行機体のそれぞれに応じたオフセット作業位置でなおかつ作業中にオフセット量を調整しながらオフセット作業が可能なオフセット作業機を提供する。

【解決手段】オフセット作業機の一例である畦塗り機1は、走行機体90に装着されるフロントフレーム10とこれに回動自在に取り付けられたオフセットアーム20との間に接続されてオフセットアーム20を回動させる伸縮シリンダ21の取付位置を調整するシリンダ取付位置調節機構40を備える。シリンダ取付位置調節機構40は、フロントフレーム10に前後方向に所定間隔を有して配置された複数の枢支孔41、42と、これに挿通して伸縮シリンダ21の前側端部を枢支するピン43を有してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に装着される装着部と、該装着部から左右方向に移動自在に取り付けられたオフセット機構部と、該オフセット機構部を移動させる伸縮シリンダと、前記オフセット機構部の移動端側に回動可能に配設された作業部とを備え、前記走行機体の走行に伴って進行し、該走行機体の走行位置に対して側方のオフセット作業位置に前記作業部を移動させて作業を行うオフセット作業機において、
前記装着部及び前記オフセット機構部間に接続される前記伸縮シリンダの取付位置を調節するシリンダ取付位置調節機構を設け、
該シリンダ取付位置調節機構は、機体幅の異なる走行機体のそれぞれに応じて前記伸縮シリンダの取付位置を調節して、前記作業部を機体幅の異なる前記走行機体に応じたオフセット作業位置に移動させることを特徴とするオフセット作業機。
【請求項2】
前記伸縮シリンダの取付位置を、前記装着部側及び前記オフセット機構部側の少なくとも一方側で調節することを特徴とする請求項1に記載のオフセット作業機。
【請求項3】
前記作業部は、元畦の一部を切り崩して土盛りする前処理体と、該前処理体により盛られた土を元畦に塗り付ける整畦体とを備えた畦塗り機であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオフセット作業機。
【請求項4】
前記作業部は、圃場に溝を形成する溝掘り体を備えた溝掘り機であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオフセット作業機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行機体に装着される作業機であって、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業するオフセット作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の走行機体に装着され、走行機体の進行に伴って各種作業を行う作業機は、農業用機械、土木用機械などとして広く使われている。こうした作業機の中で、畦塗り機、溝掘り機、草刈り機等は、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業できる構成となっており、いわゆるオフセット作業機として知られている。特に、畦塗り機は、広い圃場のほぼ全周にわたって畦を成形するものであり、従来、多くの時間や労力を必要としていた畦塗り作業を機械化した画期的作業機として、近年注目されている。
【0003】
畦塗り作業は、トラクタに畦塗り機を装着し、畦際にトラクタを走行させながら作業を行うものであって、畦塗り機の作業部をトラクタの機体幅から突出させて使用する。したがって、機体幅の異なるトラクタに畦塗り機を装着する場合、その機体幅に応じた作業部のオフセット移動量を持つ畦塗り機を装着する必要があり、トラクタの馬力レンジに個々に対応した畦塗り機が開発されている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
特許文献1に記載の畦塗り機(文献では整畦機)70は、図8(平面図)に示すように、走行機体(文献では走行車)90の後部に設けられた三点リンク機構92に装着される機枠71の前側に掘土ロータ72を配設し、機枠71の後側に整畦体73を配設する。掘土ロータ72及び整畦体73は、走行機体の背部に設けられたPTO軸(文献では動力取出部)74から伝達された動力を機枠71に設けられた動力伝達機構(文献では駆動横軸、駆動縦軸等)75を介して伝達されて回転動するように構成されている。
【0005】
この特許文献1記載の畦塗り機70では、走行機体90が圃場の端部に達すると、走行機体90の先端部から畦塗り機70の整畦体73までの間で、畦の塗り残し部分が発生するという問題点がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の畦塗り機80は、図9(b)(平面図)に示すように、走行機体90の後部に装着される機枠81と、機枠81の後方側に配置されてロータリー83及び畦塗り体84を有してなる可動フレーム82と、機枠81に対して可動フレーム82をオフセット移動可能に連結してロータリー83及び畦塗り体84を走行機体90の後輪外側に突出させたオフセット作業位置(文献では畦塗り作業位置)及び走行機体90の内側に後退させた図9(a)(平面図)に示す非畦塗り作業位置に移動可能にする平行リンク85と、平行リンク85の移動を規制するため、一端部が機枠81に連結されて他端部が平行リンク85に長さ調整可能に連結された支持片86とを有して構成される。
【0007】
この特許文献2に記載の畦塗り機80は、平行リンク85によってロータリー83及び畦塗り体84をオフセット移動させるものであり、支持片86に設けた係合孔87の固定位置を変えて走行機体90に適合したオフセット位置に固定することができるが、作業中にオフセット位置を変えることはできない。
【0008】
そこで、この問題を解決するために、本出願人は、特許文献3に記載の畦塗り機を提案した。この畦塗り機100は、図10(平面図)に示すように、本体フレーム102にリンク部材103(文献では平行リンク)を回動自在に取り付け、これらのリンク部材103の先端部にフロントフレーム104(文献では支持・伝動フレーム)を回動自在に取り付けて、本体フレーム102、リンク部材103、フロントフレーム104によって平行リンク機構を構成している。そして、フロントフレーム104の中央部に垂直方向に回転自在に配設された伝動軸の中心軸心を回動支点として回動自在に取り付けられた伝動フレーム105を設ける。伝動フレーム105の先端部には前処理体107及び整畦体108からなる作業部106が水平回動可能に取り付けられ、前処理体107及び整畦体108は、本体フレーム102に設けられた入力軸、伝動機構、伝動フレーム105内に設けられた動力伝達機構を介して走行機体から取り出された動力によって回転動する。伝動フレーム105は、フロントフレーム104の一方側から他方側に水平方向に180度回動自在に支持されており、伝動フレーム105の回動作によって作業部106を一方側のオフセット作業位置に移動させることができると共に、作業部106を他方側のオフセット作業位置に移動させることができる。その結果、走行機体を前進させて畦塗り作業を行うことができるとともに、走行機体を後進させた場合でも畦塗り作業を可能としたものである。即ち、走行機体を前進させながら畦塗り作業を行う場合には、本体フレーム102に対して作業部106が右側位置に移動するように伝動フレーム105を移動させ、走行機体を後進させながら畦塗り作業を行う場合には、本体フレーム102に対して作業部106が左側位置に移動するように伝動フレーム105を移動させる。これによって、畦の塗り残し部分は前処理体107から整畦体108の間までの狭い範囲に低減できる。また、畦塗り作業中に平行リンク機構を揺動させることでオフセット量を調整して、畦に追従させることができる。
【0009】
この特許文献3に記載の畦塗り機100は、平行リンク機構を介して伝動フレーム105が接続されており、伝動機構や平行リンクを動かすためのシリンダ機構を設けるなど、オフセット量を調節するための機構が複雑で、部品点数の増加に伴うコストアップなどの問題点が発生していた。
【0010】
【特許文献1】特開平8−9706号公報
【特許文献2】特開平10−290601号公報
【特許文献3】特開2001−28903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、従来の畦塗り機(オフセット作業機)では、オフセットアームを左右に移動し、作業部を走行機体の機体幅から突出させる際に、突出量を調整できる構成になってはいるものの、畦塗り機そのものの設計は基本的に所定の機体幅にそれぞれ対応して行われるため、走行機体の馬力レンジに個々に対応した品揃えをしているのが通常である。
【0012】
その結果、馬力レンジの異なる走行機体に同一の畦塗り機を装着しても、畦塗り機そのものの設計が所定の機体幅にしか対応していないために、作業部が走行機体の機体幅から適正に突出せず、適正な畦塗り作業が行えないことがあった。一方、走行機体の馬力レンジに応じてこのような畦塗り機を個々に設計した場合には、各馬力レンジに対応した形状、強度の部品がそれぞれに必要になるため、コストが増大する。また畦塗り機を購入したユーザーにとっても、それまでと違う馬力レンジの走行機体に買い換えた場合には、新たに畦塗り機をも買い換える必要性が生じて、不経済であった。
【0013】
さらに、従来の畦塗り機では、平行リンクを通常のオフセット移動量を超えて傾動させるように使用すると、リンク部材の強度不足が生じて、畦塗り作業が困難になる虞があった。
【0014】
本発明は、以上に述べた従来のオフセット作業機が有していた問題点を解決しようとするものであり、構造が簡単で機体幅の異なる走行機体のそれぞれに応じたオフセット作業位置でなおかつ作業中にオフセット量を調整しながらオフセット作業が可能なオフセット作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明のオフセット作業機(例えば、実施形態における畦塗り機1、溝掘り機60)は、走行機体に装着される装着部(例えば、実施形態におけるフロントフレーム10)と、該装着部から左右方向に移動自在に取り付けられたオフセット機構部と、オフセット機構部を移動させる伸縮シリンダと、該オフセット機構部の移動端側に回動可能に配設された作業部とを備え、走行機体の走行に伴って進行し、該走行機体の走行位置に対して側方のオフセット作業位置に作業部を移動させて作業を行うオフセット作業機において、装着部及びオフセット機構部間に接続される伸縮シリンダの取付位置を調節するシリンダ取付位置調節機構を設け、該シリンダ取付位置調節機構は、機体幅の異なる走行機体のそれぞれに応じて伸縮シリンダの取付位置を調節して、作業部を機体幅の異なる走行機体に応じたオフセット作業位置に移動させることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、オフセット機構部を移動させる伸縮シリンダの取付位置を調節可能にすることで、伸縮シリンダ、オフセット機構部、装着部で構成されるリンクの関係を維持したままで、機体幅の大きな走行機体の車輪外側のオフセット作業位置に作業部を移動させることが可能となり、また、オフセット機構部や伸縮シリンダが強度不足になることなく、このオフセット作業位置で所望のオフセット作業を行うことができる。なお、ここでいう伸縮シリンダ、オフセット機構部、装着部で構成されるリンクとは、図1(平面図)及び図2(斜視図)に示すように、詳細については後述するが、前端側がフロントフレーム10の枢支孔42又は41にピン43にて枢結され、後端側がオフセットアーム20の側部に枢結された伸縮シリンダ21と、前側の回動支点(枢支軸22)を中心として揺動可能であるオフセットアーム20(オフセット機構部)と、枢支軸22と枢支軸22を中心とする円状に配設されているフロントフレーム10の枢支孔42、41とで構成されるもので、以下、単に「オフセットリンク」と記すこともある。
【0017】
また本発明は、伸縮シリンダの取付位置を、装着部側及びオフセット機構部側の少なくとも一方側で調節することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、伸縮シリンダの取付位置を装着部側及びオフセット機構部側の少なくとも一方側で調節することにより、伸縮シリンダ、オフセット機構部、装着部で構成されるリンクの関係を維持することができ、オフセット機構部や伸縮シリンダが強度不足になることなく、異なる機体幅の走行機体に対する適応範囲が広がり、オフセット作業位置で所望のオフセット作業を行うことができる。
【0019】
また本発明は、作業部が、元畦の一部を切り崩して土盛りする前処理体と、該前処理体により盛られた土を元畦に塗り付ける整畦体とを備えた畦塗り機であることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、作業部を前処理体と整畦体とを備えた畦塗り機にすることで、走行機体からより離れた畦塗り作業位置で畦塗り作業を行うことができる。また、より大きな機体幅を有した走行機体に装着した場合でも、この走行機体に応じた畦塗り作業位置に作業部を移動させて畦塗り作業を行うことができる。
【0021】
さらに本発明は、作業部が、圃場に溝を形成する溝掘り体を備えた溝掘り機であることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、作業部を、溝掘り体を備えた溝掘り機にすることで、走行機体からより離れた溝掘り作業位置で溝掘り作業を行うことができる。また、より大きな機体幅を有した走行機体に装着した場合でも、この走行機体に応じた溝掘り作業位置に作業部を移動させて溝掘り作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係わるオフセット作業機によれば、装着部とオフセット機構部との間に接続されてオフセット機構部を移動させる伸縮シリンダの取付位置を調節するシリンダ取付位置調節機構を設け、機体幅の異なる走行機体に応じてシリンダ取付位置調節機構によって伸縮シリンダの取付位置を調節することにより、構造が簡単で機体幅の異なる走行機体のそれぞれに応じたオフセット作業位置でなおかつ作業中にオフセット量を調整しながらオフセット作業が可能なオフセット作業機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るオフセット作業機について、図1から図6を参照して具体的に説明する。本実施の形態は、オフセット作業機のうちの畦塗り機及び溝堀り機を例にして説明する。なお、説明の都合上、図1に示す矢印の方向を前後方向及び左右方向として以下説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態では畦塗り機について説明する。先ず、畦塗り機が装着される走行機体について説明する。走行機体90は、図1に示すように、車体の前側及び後側に左右一対の前輪及び後輪91を配設したいわゆるトラクタであり、一対の後輪91は車体の左右両側の側方に配設されて、一対の後輪91の外側間が走行機体90の機体幅の最大を形成している。走行機体90の後部にはトップリンク及びロアリンクからなる三点リンク連結機構92が設けられている。
【0026】
畦塗り機1は、フロントフレーム10、オフセットアーム20及び作業部30を有しており、フロントフレーム10を走行機体90の三点リンク機構92に連結することにより走行機体90に装着される。走行機体90とフロントフレーム10との間には、図示しないユニバーサルジョイントが介装され、走行機体90からの駆動力がユニバーサルジョイントを介してフロントフレーム10、オフセットアーム20、作業部30へと順次伝達されるように構成されている。
【0027】
オフセットアーム20は、前側部がフロントフレーム10の中央部に回動自在に取り付けられて後方側へ延び、フロントフレーム10及びオフセットアーム20間には、前端側がフロントフレーム10に枢結されて後端側がオフセットアーム20の側部に枢結された伸縮シリンダ21が設けられている。この伸縮シリンダ21の伸縮動作により、オフセットアーム20の前側の回動支点(枢支軸22)を揺動中心としてオフセットアーム20を水平方向に回動して、オフセットアーム20の後端部に枢支された作業部30を走行機体90に対して左右方向に移動させることができる。
【0028】
フロントフレーム10の左側には伸縮シリンダ21の取付位置を調節するシリンダ取付位置調節機構40が設けられている。シリンダ取付位置調節機構40は、図2(斜視図)に示すように、フロントフレーム10の左側に前後方向に所定間隔を有して配置された2つの枢支孔41、42と、伸縮シリンダ21の前側端部及び枢支孔41、42を挿通するピン43とを有してなる。枢支孔41、42は、フロントフレーム10を構成する上板11及び下板12のそれぞれに対向して一対設けられている。つまり、対向配置された一対の枢支孔41、41,42、42に挿通されたピン43に伸縮シリンダ21の前側端部が枢支される。なお、枢支孔41、42は2つに限るものではなく、3個以上であってもよく、また前後方向に延びる長孔状に形成されたものでも良い。枢支孔41,42は前述した枢支軸22を中心とする円状に配設することが好ましく、また長孔状に形成する場合は、枢支軸22を中心とする円弧状に形成することが好ましい。枢支孔41、42を長孔状に形成する場合には、枢支孔41、42を挿通する部材をボルトにし、ナットでボルトをフロントフレーム10に固定することが好ましい。
【0029】
図1に示すように、オフセットアーム20及び作業部30間には回動シリンダ24が介装されており、この回動シリンダ24を伸縮作動させることで、オフセットアーム20を左右に移動させた場合でも作業部30を所望の作業姿勢にする構成となっている。
【0030】
作業部30は、前側から後方側に、前処理体31及び整畦体33を配設してなる。前処理体31は元畦の一部を切り崩して土盛りし、整畦体33は前処理体31により盛られた土を元畦に塗り付けて新畦を形成する。
【0031】
次に、このように構成された畦塗り機1を使った作業方法について説明する。先ず、機体幅の相対的に小さい走行機体90'に装着された畦塗り機1によって畦塗り作業を行う場合を説明する。図3(a)(平面図)に示すように、伸縮シリンダ21の前側端部を前側の前述した枢支孔42に挿通されたピン43に枢支する。そして、畦塗り機1を走行機体90'の三点リンク連結機構に連結し、伸縮シリンダ21を伸縮動させて作業部30をオフセット作業位置Poに移動させるとともに、回動シリンダ24を伸縮動させて作業部30の作業方向を示す作業方向軸O2を元畦Mに沿わせる。そして、走行機体90とフロントフレーム10との間に介装された図示しないユニバーサルジョイントによって、走行機体90'からの駆動力をフロントフレーム10、オフセットアーム20、作業部30へと順次伝達する。そして、走行機体90'を矢印A方向に前進走行させて、作業部30を元畦Mに沿って移動させながら作業部30の整畦作業が行われて新畦Sが形成される。
【0032】
次に、作業部30のオフセット量をさらに増大させるための畦塗り機1の構成を変える手順について説明する。先ず、前述した枢支孔42に挿入されているピン43を抜脱し、伸縮シリンダ21の前側端部をフロントフレーム10から取り外す。そして、図3(b)(平面図)及び(c)(裏面図)に示すように、前述した後側の枢支孔41に、ピン43を伸縮シリンダ21の前側端部とともに挿通する。このように、伸縮シリンダ21の前側端部の枢支位置を後方側に移動することにより、図3(b)に示すように、オフセットアームを作業位置Pより離れたオフセット作業位置P1まで移送することができる。
【0033】
上述したように、本発明によれば,図4(平面図)に示すように,伸縮シリンダ21の前側端部の枢支位置を後方側に移動することで、オフセットアーム20を揺動角度θ1からより大きな揺動角度θ2に移動することができる。伸縮シリンダとして、例えば油圧シリンダを使用した場合などは、通常、伸縮シリンダによるオフセットアームの揺動角度は120〜130°程度の範囲になるように設計されている。仮に、この範囲を越えて大きく揺動しようとする場合には、シリンダに過度のパワーが要求されるようになり、また動作も不安定になるためである。一方、オフセット作業機には、作業機をオフセット位置に設定して作業を行う形態と、作業機を格納して搬送する形態があり、そのために、作業機をオフセット位置から格納位置までに揺動させることが必要であり、また、例えば畦塗り機においては、直進前進作業のみを行うもの、前進作業も後進作業も可能なもの、さらには前進作業のみで圃場隅部まで畦塗り作業を行うものなど種々の形式のものがある。このため、これら各種の形態にも対応可能であり、また、走行機体の馬力レンジが異なることによるオフセット量の違いにも対応できるようなオフセット作業機を実現しようとすると、必要とされるオフセットアームの揺動角度が、上記設計範囲を越えてしまうために、これまで実現されていなかった。
【0034】
しかし、本発明によれば、伸縮シリンダ21の前側端部の枢支位置を後方側に移動することで、オフセットアーム20を揺動角度θ1からより大きな揺動角度θ2に移動することができるとともに、各設定位置において、必要とされる揺動範囲を120〜130°の範囲に収めることができるために、過度の仕様の伸縮シリンダを用いる必要がなく、ある程度の馬力レンジ範囲においては、他の部品についても共通化ができる。すなわち、従来は走行機体の各馬力レンジについて個別に仕様設計されていた部品が、例えば、1300〜1600mm用、1500〜2000mm用の二つのレンジで設計可能となり、部品の共用化ができるのみならず、信頼性の向上も図りやすく、また、需要者にも使い勝手の良いオフセット作業機を提供することが可能である。
【0035】
ここで、力の関係をベクトル図にて説明する。図5(a)は、オフセット位置XAにおけるオフセットアーム20の揺動中心である枢支部Z1、伸縮シリンダ21のオフセットアーム側取付枢支孔Z2、伸縮シリンダ21のフロントフレーム側取付枢支孔Z3を結んだ仮想リンクを示したものである。仮に、実作業時には、伸縮シリンダ21のオフセットアーム側取付枢支孔Z2にトラクタ進行方向とは逆向きにベクトルF1で示す力が加わるものとする。この場合、F1と同じ大きさで逆向きの力−F1が働くことにより力が均衡するが,この逆向きの力−F1は、伸縮シリンダ21の軸線上の分力F2aとオフセットアーム20の軸線上の分力F3aとに成分分解される。すなわち、実作業時においては、F1,F2a,F3aの三つの力で釣り合いを保つ状態となる。
【0036】
図5(b)は、図5(a)に示した仮想リンクにおいて、伸縮シリンダ21を伸ばすことにより枢支孔Z2と枢支孔Z3との距離を大きくし、より離れたオフセット位置XBに移動した場合の力の均衡図を示したものである。この場合,実作業時に加わる力F1は変わらないが、伸縮シリンダ21およびオフセットアーム20の各軸線方向の分力F2b、F3bは、F2aおよびF3aに比べて極めて大きな値となる。従って、このような仮想リンクを採用したオフセット作業機においては、リンクを構成する部材として、最大オフセット位置に設定した場合に対応できる強度やパワーを備えたものが要求されることになり、より小さなオフセット量で常用するような走行機体に標準装着した場合には、過仕様となる。すなわち、広い馬力レンジの走行機体に適用できる作業機としてのメリットがない。
【0037】
これに対して、図5(c)に示すように、枢支孔Z3の位置をトラクタの進行方向後方位置に変更して、図5(b)と同じオフセット位置XBに移動した場合には、実作業時に加わる力F1が、伸縮シリンダ21およびオフセットアーム20の各軸線方向の分力F2cおよび分力F3cの合成力−F1と釣り合うことになるが、このときの分力F2cおよび分力F3cは、前述した分力F2bおよびF3bに比べて極めて小さく、F2aおよびF3aとほぼ同じ程度の分力で済むことがわかる。すなわち、伸縮シリンダ21の前方側を取付ける枢支孔の位置を変更することにより、オフセット位置を大幅に変更できるので、リンクを構成する各部材の仕様を変えることなく、幅広い馬力レンジの走行機体に適用できる作業機を実現できるのである。
【0038】
つまり、伸縮シリンダ、オフセット機構部、装着部で構成されるリンクの関係を維持することにより、伸縮シリンダ21の伸縮によるオフセットアーム20の揺動できる角度は同一となり、伸縮シリンダ21が発生できる推力も同一となる。従って、オフセット機構部19や伸縮シリンダ21が強度不足になることなく、機体幅の大きな走行機体に対しても適正なオフセット作業位置で所望のオフセット作業を行うことができる。
【0039】
また、いずれかの枢支孔に取り付けて所定のオフセット作業位置Pにセットした作業を行っている状態において、例えば、畦Uの形状が進行方向に対して変形しているような場合でも、伸縮シリンダ21の伸縮量を制御することにより畦Uに追従して作業位置を調整できるので、より精度の高い畦塗り作業を中断することなく連続的に行うことができる。
【0040】
なお、本発明は前述した実施の形態に限られるものではなく、例えば、伸縮シリンダ21として油圧シリンダや電動シリンダ等を使用して無段階でオフセット量を調節可能としたり、伸縮シリンダ21の代わりに連結部材をフロントフレーム10とオフセットアーム20との間に回動自在に取り付けて、連結部材に設けられた複数のピン孔にピンを挿着等して、有段階でオフセット量を調節可能にしてもよい。また、枢支孔41、42はフロントフレーム10の右側に設けてもよく、これらの枢支孔41、42をオフセットアーム20側に設けてもよい。
【0041】
また、フロントフレーム10と作業部30との間を繋ぐオオフセット機構部19は、図6(a)(平面図)に示すように、フロントフレーム10と作業部30間をオフセットアーム20とリンク部材51で接続して、平行リンク機構を構成し、オフセットアーム20とフロントフレーム10との間に接続された伸縮シリンダ21の伸縮動によって作業部30をオフセット移動させてもよい。また図6(b)(平面図)に示すように、オフセット機構部19は、図6(a)のオフセットアーム20の代わりにリンク部材52を使用して平行リンク機構を構成し、リンク部材52とフロントフレーム10との間に接続された伸縮シリンダ21の伸縮動によって作業部30をオフセット移動させ、作業部30への動力伝達をユニバーサルジョイントJ等によって行ってもよい。さらに、図6(c)(平面図)に示すように、フロントフレーム10と作業部30とをリンク部材53で繋ぎ、このリンク部材53とフロントフレーム10との間に接続された伸縮シリンダ21の伸縮動によって作業部30をオフセット移動させ、作業部30への動力伝達をユニバーサルジョイントJ等によって行ってもよい。
【0042】
これら図6(a)〜図6(c)に示した伸縮シリンダ21の取付位置を前述した実施の形態と同様に取付位置を調整可能にすることで、前述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係わる溝掘り機ついて説明する。なお、第2の実施の形態については、第1の実施の形態との相違点のみを説明し、第1の実施の形態と同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
【0044】
溝掘り機60は、図7(平面図)に示すように、フロントフレーム10に回動自在に接続されたオフセットアーム20とリンク部材61とを有して平行リンク機構を構成したオフセット機構部62と、オフセットアーム20の後端部に水平方向に回動可能に枢支されて溝掘り作業が可能な作業部65とを有してなる。
【0045】
フロントフレーム10とオフセットアーム20との間には伸縮シリンダ21が接続されて、伸縮シリンダ21の伸縮動によって作業部65がオフセット移動可能である。伸縮シリンダ21の前側端部は、フロントフレーム10に設けられた2つの枢支孔41、42のいずれかに選択的に枢支可能である。
【0046】
作業部65は溝掘り体66を備え、溝掘り体66は、上下方向に延びる回転軸67とこの外側面に形成された螺旋刃体68を有してなる。また作業部65には、溝掘り体66の螺旋刃体68より切削された排土等を溝掘り体66の上部から外側に放出するための排土放出機構が設けられている。
【0047】
このようにオフセット機構部62を移動させる伸縮シリンダ21の取付位置を調整可能にすることで、前述した畦塗り機1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる畦塗り機の平面図を示す。
【図2】この畦塗り機に設けられた伸縮シリンダの取付位置を調整するシリンダ取付位置調節機構の斜視図を示す。
【図3】伸縮シリンダの取付位置と作業部のオフセット位置との関係を示す畦塗り機の平面図(a)(b)及び裏面図(c)である。
【図4】伸縮シリンダの取付位置と作業部のオフセット位置との関係を示した畦塗り機の模式平面図である。
【図5】リンクに作用するベクトルの説明図である。
【図6】オフセット機構部の他の構成を示した平面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる溝掘り機の平面図を示す。
【図8】従来の畦塗り機の平面図を示す。
【図9】従来の他の畦塗り機の平面図を示す。
【図10】従来の他の畦塗り機の平面図を示す。
【符号の説明】
【0049】
1 畦塗り機(オフセット作業機)
10 フロントフレーム(装着部)
19、62 オフセット機構部
21 伸縮シリンダ
30、65 作業部
31 前処理体
33 整畦体
40 シリンダ取付位置調節機構
60 溝掘り機(オフセット作業機)
66 溝掘り体
90 走行機体
M 元畦
【出願人】 【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
【住所又は居所】岡山県岡山市中畦684番地
【出願日】 平成16年12月15日(2004.12.15)
【代理人】 【識別番号】100063565
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳

【識別番号】100118898
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 立昌

【公開番号】 特開2006−166768(P2006−166768A)
【公開日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願番号】 特願2004−362553(P2004−362553)