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【発明の名称】 トラクタのレバー操作構造
【発明者】 【氏名】澤井 恵
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】丸山 勝志
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】小田和 昌宏
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【氏名】山本 真史
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】作業装置昇降用の油圧シリンダを作動制御するポジションコントロールバルブを、ポジションコントロールレバーで人為調節操作するよう構成したトラクタのレバー操作構造において、ポジションコントロールレバーに付与する摩擦保持力を小さく設定しても、上限まで上昇させた作業装置が不用意に下降することがないようにする。

【解決手段】上限位置まで操作されたポジションコントロールレバー20が下降方向に移動するのを阻止する上昇ロック機構24を備える。この上昇ロック機構24としては、上限位置まで操作されたポジションコントロールレバー20の下降操作側に配備したレバー係止部材25を、レバー操作方向に沿った軸心周りに回動自在に構成して、レバー係止部材25をレバー操作径路に対して出退切換え可能にしたものが好適に機能する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置昇降用の油圧シリンダを作動制御するポジションコントロールバルブを、ポジションコントロールレバーで人為調節操作するよう構成したトラクタのレバー操作構造であって、
上限位置またはその近傍にまで操作された前記ポジションコントロールレバーが下降方向に移動するのを阻止する上昇ロック機構を備えてあることを特徴とするトラクタのレバー操作構造。
【請求項2】
前記上昇ロック機構が、上限位置またはその近傍まで操作された前記ポジションコントロールレバーの下降操作側に配備したレバー係止部材をレバー操作径路に対して出退切換え可能に構成したものである請求項1記載のトラクタのレバー操作構造。
【請求項3】
前記レバー係止部材を、レバー操作方向に沿った軸心周りに回動自在に構成してある請求項2記載のトラクタのレバー操作構造。
【請求項4】
前記レバー係止部材の切換え作動に抵抗を付与する摩擦抵抗手段を備えてある請求項2または3記載のトラクタのレバー操作構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置昇降用の油圧シリンダを作動制御するポジションコントロールバルブを、ポジションコントロールレバーで人為調節操作するよう構成したトラクタのレバー操作構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポジションコントロールバルブをポジションコントロールレバーで人為調節操作する、いわゆるマニュアル式のポジション制御構造においては、連結した作業装置を任意の高さに調節して保持できるように、ポジションコントロールレバーを任意の操作位置で摩擦保持するよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−333902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マニュアル式のポジション制御を行うトラクタにおいては、トラクタ本機が圃場の硬軟や起伏によって浮沈あるいは前後に傾斜すること、機体後部に連結した作業装置の対地高さが変化することになり、作業装置の対地高さを一定に維持したい作業においては運転作業者が機体の姿勢変化に応じてポジションコントロールレバーを頻繁に調節操作することになる。このようにポジションコントロールレバーを頻繁に調節操作する場合、レバー操作を軽快容易に行うためには、ポジションコントロールレバーに付与する摩擦保持力を小さくすることが望ましい。
【0004】
しかし、ポジションコントロールレバーに付与する摩擦保持力を小さくすると、作業装置を上限まで上昇させて路上走行するような場合に、機体の振動や動揺によってポジションコントロールレバーが自重や慣性で下降方向にずれ動くおそれがあり、ポジションコントロールレバーに付与する摩擦保持力を小さくするにも限界があった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、ポジションコントロールレバーに付与する摩擦保持力を小さく設定しても、上限まで上昇させた作業装置が不用意に下降することがないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るは、作業装置昇降用の油圧シリンダを作動制御するポジションコントロールバルブを、ポジションコントロールレバーで人為調節操作するよう構成したトラクタのレバー操作構造であって、
上限位置またはその近傍にまで操作された前記ポジションコントロールレバーが下降方向に移動するのを阻止する上昇ロック機構を備えてあることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、通常の作業においては、ポジションコントロールレバーを任意に調節操作することでレバー位置に応じた高さに作業装置を昇降させることができるとともに、路上走行などの非作業走行時には作業装置を上限まで上昇させておく。この場合、ポジションコントロールレバーを上限位置またはその近傍にまで操作した後、上昇ロック機構を用いてポジションコントロールレバーが下降側に移動しないようにしておく。これによって、走行中の振動や機体動揺によってポジションコントロールレバーが勝手に下降側に移動して作業装置が下がるのを未然に阻止しておくことができる。
【0008】
従って、第1の発明によると、ポジションコントロールレバーを任意の操作位置に保持しておくための摩擦保持力を小さく設定してレバー操作を軽快容易に行えるようにしながらも、上限まで上昇させた作業装置が不用意に下降することなく移動走行を行うことができるようになる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記上昇ロック機構が、上限位置またはその近傍まで操作された前記ポジションコントロールレバーの下降操作側に配備したレバー係止部材をレバー操作径路に対して出退切換え可能に構成したものである。
【0010】
上記構成によると、レバー係止部材をレバー操作径路に対して退避させておくことで、ポジションコントロールレバーを全操作域で任意に移動させることができ、レバー係止部材をレバー操作径路に対して突出させておくことで、上限位置またはその近傍まで操作されたポジションコントロールレバーを下降側に移動不能に係止保持しておくことができ、上記第1の発明を好適に実施することができる。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明において、
前記レバー係止部材を、レバー操作方向に沿った軸心周りに回動自在に構成してあるものである。
【0012】
上記構成によると、ポジションコントロールレバーを係止したレバー係止部材は、下降側への外力が作用しても切換え回動することはなく、切換え操作が簡単でありながら、ポジションコントロールレバーを上限位置またはその近傍において確実に保持することができる。
【0013】
第4の発明に係るは、上記第2または3の発明において、
前記レバー係止部材の切換え作動に抵抗を付与する摩擦抵抗手段を備えてあるものである。
【0014】
上記構成によると、レバー係止部材自体が振動や機体動揺によって勝手に切換わることがなく、通常の作業中にレバー係止部材が勝手に係止作用状態に切換わってレバー操作を阻害したり、レバー係止作用状態から勝手に解除状態に切換わってしまうようなことがなく、レバー係止部を適正に機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2に、本発明に係るレバー操作構造を備えた主として農用に用いられるトラクタの全体側面と全体平面がそれぞれ示されている。このトラクタは、操向操作される前輪1と推進車輪である後輪2を備えるとともに機体前部に横向きにエンジン3が搭載され、また、機体後部に作業装置連結用の3点リンク機構4と、これを昇降駆動する左右一対のリフトアーム5が装備されるとともに、左右後輪2の間に位置させて運転座席6が配備された構造となっている。
【0016】
図3に、前記リフトアーム5を油圧駆動する油圧回路が示されている。前記リフトアーム5は単動型の油圧シリンダ7で駆動されるものであり、油圧シリンダ7が圧油供給によって伸長作動することでリフトアーム5が上昇駆動され、油圧シリンダ7が排油によって短縮作動することでリフトアーム5が自重下降するよう構成されている。そして、この油圧シリンダ7がポジションコントロールバルブ8によって作動制御されるようになっている。
【0017】
ポジションコントロールバルブ8には、主スプール11、下降用バルブ12、リリーフバルブ13、アンロードバルブ14、等が含まれており、油圧シリンダ7とポジションコントロールバルブ8のシリンダポートcとが落下調節バルブ15を介して接続されている。そして、主スプール11がバネ16によって下降方向Dに付勢されるとともに、シリンダポートcからの圧油排出を阻止する下降阻止位置に付勢された下降用バルブ12が主スプール11に片当たり追従変位するよう構成されている。
【0018】
前記主スプール11の端部には天秤リンク17が揺動自在に連結され、この天秤リンク17の両端が、ポジション調節軸18から延出された調節アーム18aとフィードバック軸19から延出されたフィードバックアーム19aがそれぞれ係合されている。また、ポジション調節軸18と運転座席6の右脇に前後揺動可能に配備されたポジションコントロールレバー20とがリンク連動されるとともに、フィードバック軸19とリフトアーム5とがリンク連動されている。
【0019】
上記構成のポジションコントロールバルブ8は以下のように作動する。
【0020】
図3に示される中立状態から、例えば、ポジションコントロールレバー20を後方に操作すると、これに連動してポジション調節軸18が図3において反時計方向に回動され、天秤リンク17は、フィードバックアーム19aとの係合点を中心にして上昇方向Uに揺動され、主スプール11がバネ16に抗して上昇方向Uにシフトされ、シリンダポートcから圧油が送出されて油圧シリンダに供給され、リフトアーム5が上昇駆動される。この場合、下降用バルブ12は下降阻止位置に付勢保持される。
【0021】
そして、リフトアーム5が上昇変位すると、この変位がフィードバック軸19に、図3において反時計方向の回転としてフィードバック伝達され、天秤リンク17が調節アーム18aとの係合点を中心にして下降方向Dに揺動され、主スプール11が下降方向Dにシフトされる。そして、ポジション調節軸18の回動操作位置に対応した所定の回動位置までフィードバック軸19が回動された時点で主スプール11が中立位置に復帰されて上昇作動が停止する。
【0022】
また、図3に示される中立状態から、ポジションコントロールレバー20を前方に操作すると、これに連動してポジション調節軸18が図3において時計方向に回動され、天秤リンク17は、フィードバックアーム19aとの係合点を中心にして下降方向Dに揺動され、主スプール11が下降方向Dにシフトされるとともに、これに接当追従する下降用バルブ12が開路位置に切換えられ、シリンダポートcが下降用バルブ12を介してタンクに連通されることで油圧シリンダ7からの排油が可能となり、リフトアーム5が自重で下降作動する。
【0023】
そして、リフトアーム5が下降変位すると、この変位がフィードバック軸19に、図3において時計方向の回転としてフィードバック伝達され、天秤リンク17が調節アーム18aとの係合点を中心にして上昇方向Uに揺動され、主スプール11が上昇方向Uにシフトされる。そして、ポジション調節軸18の回動操作位置に対応した所定の回動位置までフィードバック軸19が回動された時点で主スプール11が中立位置に復帰されて下降作動が停止する。
【0024】
つまり、ポジションコントロールレバー20を操作すると、その操作位置に応じた高さまでリフトアーム5が昇降して自動的に停止するようになっているのである。なお、ポジションコントロールレバー20を最後方位置に操作した時のリフトアーム5は、リフトアーム自体の機械的な上昇限界より若干低い位置に設定され、また、ポジションコントロールレバー20を最前方位置に操作した状態では、リフトアーム5の下降変位に伴うフィードバック作動にかかわらずポジションコントロールバルブ8は中立復帰されることなく下降状態が維持されるようになっており、リフトアーム5が機械的な下限まで自重下降可能な状態、いわゆるフローティング状態がもたらされるように設定されている。
【0025】
前記ポジションコントロールレバー20は、運転座席脇のレバーガイド21に形成した前後に長い操作孔22に貫通配備されるとともに、その揺動支点Pには皿バネを利用した摩擦保持機構23が備えられ、ポジションコントロールレバー20を任意の操作位置に保持しておくことができるようになっている。
【0026】
また、図4〜図7に示すように、操作孔22の上限位置またはその近傍にまで操作されたポジションコントロールレバー20が前方(下降方向)に移動するのを阻止する上昇ロック機構24がレバーガイド21に装備されている。なお、ポジションコントロールレバー20の上限位置は、レバーガイド21に取付けられたストッパ37との接当規制によって設定されており、このストッパ37は、操作孔22の一部に回り止め係合されて1本のボルト38で固定されている。
【0027】
前記上昇ロック機構24は、丸棒材を逆L形に屈曲してなるロック金具25を支点ブラケット26を介して前後方向に向かう支点x周りに左右に回倒可能に支持して構成されている。前記ブラケット26は、ロック金具25の支点軸部25aを抱き込むように屈曲形成されたバネ板材で構成されたものであり、レバーガイド21のスリット27に上方から貫通されて、ガイド下面に固設された支持金具28にボルト29で連結されている。そして、ボルト29の締め込み具合を調整することで、ロック金具25が勝手に左右回倒することがなく、かつ、容易に回倒操作できる適度の摩擦抵抗が与えられている。
【0028】
上昇ロック機構24のロック金具25は、通常は左側に回倒されて操作孔22から退避した姿勢に摩擦保持されており、ポジションコントロールレバー20を全操作範囲において任意に操作することができる。また、ポジションコントロールレバー20を上限位置まで操作した後、ロック金具25を右側に反転回倒してレバー操作径路と交差させることで、ポジションコントロールレバー20が上限位置から前方(下降方向)に移動するのを接当阻止することができ、リフトアーム5を上限まで上昇させて3点リンク機構4に連結した作業装置を上昇させた状態で移動走行した際に、機体の振動や動揺によってポジションコントロールレバー20が自重や慣性で勝手に下降方向に移動することが防止できる。
【0029】
〔他の実施例〕
前記上昇ロック機構24は各種の形態で実施することができ、他の実施例のいくつかを以下に例示する。
【0030】
(1)図8,9に示すように、レバーガイド21の上面に溶接固着したU形のブラケット31に、金属板材をU形に屈曲形成してなるレバー係止部材25を支点ボルト32を介して前後方向に向かう支点x周りに左右に回倒可能に枢支連結するとともに、支点ボルト32に装着したナット33の締め込み具合を調整することで、レバー係止部材25の回倒に適度の摩擦抵抗を与えるように上昇ロック機構24を構成することもできる。
【0031】
(2)図10,11に示すように、ポジションコントロールレバー20の側面にフック状の係止金具34を横向き支点y周りに自重揺動可能に枢支連結するとともに、レバーガイド21の上限付近に受け金具35を設け、ポジションコントロールレバー20が上限位置またはその近傍にまで操作されると、係止金具34の端部に形成した斜面sが受け金具35に接当して係止金具34が乗り上がり揺動されて係止金具35に自動係合され、もって、ポジションコントロールレバー20の前方(下降方向)への移動を阻止する上昇ロック機構24を構成することもできる。
【0032】
(3)簡易には、図12,13に示すように、棒材からなるレバー係止部材25をレバーガイド21に連結ボルト36で縦向きの支点周りに適度の回動抵抗をもって回動可能に締め込み装着し、上限位置にあるポジションコントロールレバー20が前方(下降方向)へ移動するのを、レバー操作径路に交差する姿勢に回動させたレバー係止部材25の回動抵抗で阻止する構造の上昇ロック機構24を構成することもできる。
【0033】
(4)図14に示すように、ポジションコントロールレバー20を左右に弾性変形可能な板レバーで構成するとともに、操作孔22の上限位置に、ポジションコントロールレバー20を直接に係止保持す係合部22aを連設して上昇ロック機構24を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】トラクタの全体側面図
【図2】トラクタの全体平面図
【図3】ポジション制御用の油圧回路図
【図4】ポジション調節操作部の側面図
【図5】ポジション調節操作部の平面図
【図6】ポジション調節操作部の縦断正面図
【図7】ポジション調節操作部の分解斜視図
【図8】他の実施例(1)におけるポジション調節操作部の側面図
【図9】他の実施例(1)におけるポジション調節操作部の縦断正面図
【図10】他の実施例(2)におけるポジション調節操作部の側面図
【図11】他の実施例(2)におけるポジション調節操作部の平面図
【図12】他の実施例(3)におけるポジション調節操作部の側面図
【図13】他の実施例(3)におけるポジション調節操作部の平面図
【図14】他の実施例(4)におけるポジション調節操作部の平面図
【符号の説明】
【0035】
7 油圧シリンダ
8 ポジションコントロールバルブ
20 ポジションコントロールレバー
24 上限ロック機構
25 レバー係止部材
x 支点
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成16年11月5日(2004.11.5)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【公開番号】 特開2006−129776(P2006−129776A)
【公開日】 平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願番号】 特願2004−322465(P2004−322465)