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【発明の名称】 農作業機
【発明者】 【氏名】滝沢 政和
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地 松山株式会社内

【氏名】谷澤 勉
【住所又は居所】長野県小県郡丸子町大字塩川5155番地 松山株式会社内

【要約】 【課題】大きな音および衝撃の発生を防止できる農作業機を提供する。

【解決手段】農作業機1は、作業機本体2と、作業機本体2に回動中心軸線を中心として上下回動可能に設けた延長作業体3と、延長作業体3を上下回動させる駆動手段4とを備える。駆動手段4は、挿通軸部13と係脱可能に係合する係合部を形成した第1リンク17と、挿通軸部13を摺動可能に挿通した長孔部19を形成した第2リンク21とを有する。延長作業体3の重心が回動中心軸線の真上位置およびその近傍位置を通過する際に、係合部と挿通軸部13との係合により長孔部19内における挿通軸部13の摺動を制限する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機本体と、
この作業機本体に回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能に設けられ、挿通軸部を有する延長作業体と、
この延長作業体を上下方向に回動させる駆動手段とを備え、
前記駆動手段は、
駆動源と、
前記作業機本体に回動可能に設けられ、前記挿通軸部と係脱可能に係合する係合部を有し、前記駆動源からの動力で回動する第1リンクと、
この第1リンクに回動可能に設けられ、前記挿通軸部が摺動可能に挿通された長孔部を有する第2リンクとを有し、
前記延長作業体の回動途中でこの延長作業体の重心が前記回動中心軸線の真上位置およびその近傍位置を通過する場合に、前記係合部と前記挿通軸部とが係合して前記長孔部内における前記挿通軸部の摺動が制限される
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
延長作業体を作業位置に固定およびこの固定を解除する作業位置固定手段と、
前記延長作業体を非作業位置に固定およびこの固定を解除する非作業位置固定手段とを備え、
前記作業位置固定手段による固定および固定解除と、前記非作業位置固定手段による固定および固定解除とは、いずれも長孔部内における挿通軸部の摺動に対応して行われる
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機本体とこの作業機本体に回動可能に設けられた延長作業体とを備える農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば作業機本体と、作業機本体の左右両端部に回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能に設けられた延長作業体と、延長作業体を上下方向に回動させるシリンダ装置および一対のリンク等からなる駆動手段とを備えた農作業機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このような折畳み式の農作業機において、1つのシリンダ装置で延長作業体の回動と固定・固定解除とを行えるようにするために、駆動手段のリンクに長孔部を形成することがある。
【特許文献1】特開2001−352807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駆動手段のリンクに長孔部を形成した農作業機では、延長作業体の回動途中でこの延長作業体の重心が回動中心軸線の真上位置およびその近傍位置を通過する場合に、延長作業体の挿通軸部が長孔部内を勢いよく摺動して大きな音および衝撃が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、延長作業体の挿通軸部が長孔部内を勢いよく摺動して大きな音および衝撃が発生する不具合を防止できる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の農作業機は、作業機本体と、この作業機本体に回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能に設けられ、挿通軸部を有する延長作業体と、この延長作業体を上下方向に回動させる駆動手段とを備え、前記駆動手段は、駆動源と、前記作業機本体に回動可能に設けられ、前記挿通軸部と係脱可能に係合する係合部を有し、前記駆動源からの動力で回動する第1リンクと、この第1リンクに回動可能に設けられ、前記挿通軸部が摺動可能に挿通された長孔部を有する第2リンクとを有し、前記延長作業体の回動途中でこの延長作業体の重心が前記回動中心軸線の真上位置およびその近傍位置を通過する場合に、前記係合部と前記挿通軸部とが係合して前記長孔部内における前記挿通軸部の摺動が制限されるものである。
【0007】
そして、延長作業体の回動途中でこの延長作業体の重心が回動中心軸線の真上位置およびその近傍位置を通過する場合に、第1リンクの係合部と延長作業体の挿通軸部とが係合して第2リンクの長孔部内における挿通軸部の摺動が制限されるため、延長作業体の挿通軸部が長孔部内を勢いよく摺動して大きな音および衝撃が発生する不具合を防止可能である。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、延長作業体を作業位置に固定およびこの固定を解除する作業位置固定手段と、前記延長作業体を非作業位置に固定およびこの固定を解除する非作業位置固定手段とを備え、前記作業位置固定手段による固定および固定解除と、前記非作業位置固定手段による固定および固定解除とは、いずれも長孔部内における挿通軸部の摺動に対応して行われるものである。
【0009】
そして、作業位置固定手段による固定および固定解除と非作業位置固定手段による固定および固定解除とがいずれも長孔部内における挿通軸部の摺動に対応して行われるため、固定手段専用の駆動手段を必要とせず、構成の簡素化を図ることが可能である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、延長作業体の回動途中でこの延長作業体の重心が回動中心軸線の真上位置およびその近傍位置を通過する場合に、第1リンクの係合部と延長作業体の挿通軸部とが係合して第2リンクの長孔部内における挿通軸部の摺動が制限されるため、延長作業体の挿通軸部が長孔部内を勢いよく摺動して大きな音および衝撃が発生する不具合を防止できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、作業位置固定手段による固定および固定解除と非作業位置固定手段による固定および固定解除とがいずれも長孔部内における挿通軸部の摺動に対応して行われるため、固定手段専用の駆動手段を必要とせず、構成の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の農作業機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1ないし図3において、1は折畳み式の農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)に連結して使用する牽引式のものである。そして、農作業機1は、トラクタに連結された状態でこのトラクタの走行により圃場上を移動しながら農作業である耕耘整地作業をする。
【0014】
農作業機1は、トラクタの3点リンク部に連結される左右方向長手状の作業機本体(中央作業部)2と、この作業機本体2の左右方向両端部に略前後方向の回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能に設けられ作業位置および非作業位置間で回動する延長作業体(延長作業部)3と、この延長作業体3を上下方向に回動させる駆動手段4とを備えている。
【0015】
作業機本体2は、左右方向長手状の機枠6と、機枠6に回転可能に設けられ入力軸7側からの動力で駆動回転しながら耕耘作業をする耕耘体(図示せず)と、機枠6の後部に上下回動可能に設けられ圃場面に追従するように上下回動しながら整地作業をする整地体(図示せず)とを有している。また、機枠6は、トラクタの3点リンク部に連結される3点連結部8と、入力軸7を回転可能に支持した軸支部9とを有している。また、機枠6は、作業体被取付部10を左右方向両端部に有し、この作業体被取付部10に延長作業体3が支軸11を介して回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0016】
延長作業体3は、作業機本体2の作業体被取付部10に支軸11を介して回動可能に取り付けられた延長機枠12と、延長機枠12に回転可能に設けられ作業機本体2の耕耘体からの動力で駆動回転しながら耕耘作業をする延長耕耘体(図示せず)と、延長機枠12の後部に上下回動可能に設けられ圃場面に追従するように上下回動しながら整地作業をする延長整地体(図示せず)とを有している。また、延長作業体3の延長機枠12は、略前後方向の挿通軸部13を内端部に有している。
【0017】
駆動手段4は、動力を出力する駆動源である例えば流体圧式の伸縮可能なシリンダ装置14と、作業機本体2の作業体被取付部10に軸15を介して回動可能に設けられ挿通軸部13と係脱可能に係合する突出状の係合部16を有しシリンダ装置14からの動力でこのシリンダ装置14の伸縮に応じて回動する第1リンク(位置規制リンク)17とを有している。また、駆動手段4は、第1リンク17に軸18を介して回動可能に設けられ挿通軸部13が摺動可能に挿通された長孔部19を有するとともに回転部であるベアリング部20を有する第2リンク(長孔リンク)21を有している。なお、第2リンク21の長孔部19は、延長作業体3を停止させたまま延長作業体3の固定を解除するためのものである。
【0018】
そして、延長作業体3の回動途中でこの延長作業体3の重心が回動中心軸線Xの真上位置およびその近傍位置を通過する場合に、延長作業体3の挿通軸部13が長孔部19内を勢いよく摺動して長孔部19の端部と衝突して大きな音および衝撃が発生しないように、第1リンク17の係合部16と延長作業体3の挿通軸部13とが係合して第2リンク21の長孔部19内における挿通軸部13の摺動が制限されるようになっている。
【0019】
なお、シリンダ装置14は、シリンダ本体22とこのシリンダ本体22内に出入りするロッド23とを有し、シリンダ本体22の基端部が作業機本体2に軸24を介して回動可能に取り付けられ、ロッド23の先端部が第1リンク17に軸25を介して回動可能に取り付けられている。
【0020】
また、農作業機1は、延長作業体3を作業位置に固定およびこの固定を解除する作業位置固定手段31と、延長作業体3を非作業位置に固定およびこの固定を解除する非作業位置固定手段32とを備えている。そして、作業位置固定手段31による固定および固定解除と、非作業位置固定手段32による固定および固定解除とは、いずれも第2リンク21の長孔部19内における挿通軸部13の摺動に対応して行われる。
【0021】
ここで、作業位置固定手段31は、延長作業体3に軸33を介して回動可能に取り付けられた回動リンク34を有し、この回動リンク34には第2リンク21のベアリング部20と係合する係合面35が形成されている。回動リンク34には連結杆36の一端部が軸37を介して回動可能に連結され、この連結杆36の他端部は、延長作業体3に軸38を介して回動可能に取り付けらればね39にて付勢された作業位置固定フック40の基端部に軸41を介して回動可能に取り付けられている。また、作業位置固定手段31は、延長作業体3が作業位置まで回動すると作業位置固定フック40と係脱可能に係合して延長作業体3を作業位置に固定する固定ピン42を有し、この固定ピン42は作業機本体2の外端部から突出した突出部43に取り付けられている。
【0022】
また、非作業位置固定手段32は、作業機本体2に軸44を介して回動可能に取り付けらればね45にて付勢された非作業位置固定フック46を有している。また、非作業位置固定手段32は、延長作業体3が非作業位置まで回動すると非作業位置固定フック46と係脱可能に係合して延長作業体3を非作業位置に固定する固定ピン47を有し、この固定ピン47は延長作業体3の内端部に取り付けられている。
【0023】
次に、上記一実施の形態の動作等を説明する。
【0024】
図4ないし図12を参照しつつ延長作業体3の展開動作について説明すると、図4に示す状態では、延長作業体3は、非作業位置固定フック46と固定ピン47との係合により非作業位置に固定された状態となっている。
【0025】
そして、シリンダ装置14が伸び、非作業位置固定フック46が第1リンク17にて押されて回動すると、図5に示すように、非作業位置固定フック46が固定ピン47から離れ、延長作業体3の非作業位置への固定が解除される。このとき、挿通軸部13が長孔部19内をこの長孔部19の一端から他端まで摺動し、延長作業体3は非作業位置に位置したままである。
【0026】
続いて、シリンダ装置14がさらに伸びると、図6に示すように延長作業体3が回動中心軸線Xを中心として回動し始め、図7ないし図9に示すように、延長作業体3の回動途中において、その延長作業体3の重心が回動中心軸線Xの真上位置およびその近傍位置を通過する場合には、第1リンク17の係合部16と延長作業体3の挿通軸部13とが係合して第2リンク21の長孔部19内における挿通軸部13の摺動が制限される。すなわちこのとき挿通軸部13は第1リンク17の係合部16にて押されながら長孔部19内を第1リンク17と連動して摺動するため、挿通軸部13が長孔部19内を勢いよく摺動(空走)することがなく、挿通軸部13と長孔部19の端部との衝突による衝撃音が発生するようなことがない。なお、図8に示す状態と図9に示す状態との間におけるある状態で、延長作業体3の重心が回動中心軸線Xの真上位置を通過する。
【0027】
次いで、シリンダ装置14がさらに伸びると、図10および図11に示す状態を経て、図12に示すように、延長作業体3は作業位置まで回動し、その延長作業体3は作業位置固定フック40と固定ピン42との係合により作業位置に固定された状態となる。
【0028】
なお、延長作業体3の折畳動作については、シリンダ装置14が縮みに対応して、上記展開動作と同じように、作業位置固定手段31による固定解除が行われた後、延長作業体3が作業位置から非作業位置まで回動し、非作業位置固定手段32による固定が行われる。
【0029】
そして、上記農作業機1によれば、延長作業体3の回動途中でこの延長作業体3の重心が回動中心軸線Xの真上位置およびその近傍位置を通過する場合に、第1リンク17の係合部16と延長作業体3の挿通軸部13とが係合して第2リンク21の長孔部19内における挿通軸部13の摺動が制限されるため、延長作業体3の挿通軸部13が長孔部19内を勢いよく摺動して大きな音および衝撃が発生する不具合を防止でき、耐久性の向上も図ることができる。
【0030】
また、作業位置固定手段31による固定および固定解除と非作業位置固定手段32による固定および固定解除とがいずれも長孔部19内における挿通軸部13の摺動に対応して行われるため、固定手段31,32専用の駆動手段を必要とせず、構成の簡素化を図ることができる。
【0031】
なお、作業機本体2の左右両端部に延長作業体3をそれぞれ回動可能に設けた構成には限定されず、作業機本体2の左右いずれかのみに延長作業体3を回動可能に設けた構成でもよい。
【0032】
また、駆動手段4の駆動源は、シリンダ装置には限定されず、例えば第1リンク17に連結されたモータ出力軸を有する電動モータ等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の農作業機の一実施の形態を斜視図である。
【図2】同上農作業機の部分正面図である。
【図3】同上農作業機の部分側面図である。
【図4】同上農作業機の動作説明図である。
【図5】図4に続く動作説明図である。
【図6】図5に続く動作説明図である。
【図7】図6に続く動作説明図である。
【図8】図7に続く動作説明図である。
【図9】図8に続く動作説明図である。
【図10】図9に続く動作説明図である。
【図11】図10に続く動作説明図である。
【図12】図11に続く動作説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 農作業機
2 作業機本体
3 延長作業体
4 駆動手段
13 挿通軸部
14 駆動源であるシリンダ装置
16 係合部
17 第1リンク
19 長孔部
21 第2リンク
31 作業位置固定手段
32 非作業位置固定手段
【出願人】 【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
【住所又は居所】長野県上田市塩川5155番地
【出願日】 平成16年11月5日(2004.11.5)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄

【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡

【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也

【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一

【公開番号】 特開2006−129764(P2006−129764A)
【公開日】 平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願番号】 特願2004−321726(P2004−321726)