| 【発明の名称】 |
作業機の走行用伝動構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】上田 吉弘 【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内
【氏名】山中 之史 【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内
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| 【要約】 |
【課題】直進性および旋回性に優れるとともに、電気系の故障発生時でも容易に自力移動することができる作業機の操向用電動構造を得る。
【解決手段】エンジン15に連動連結した無段変速装置からなる主変速装置16によって左右のクローラ走行装置1を同方向に同速度で無段階に変速するとともに、エンジン15に連動連結した無段変速装置からなる旋回用変速装置34で左右のクローラ走行装置1に速度差を与えるよう構成し、主変速装置16を機械的に主変速レバー19に連係するとともに、旋回用変速装置34をステアリング操作具の操作に基づいて電気的に変速制御するよう構成し、電気制御系への通電が遮断された状態では旋回用変速装置34が中立停止状態に機械的に付勢復帰されるよう構成してある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンに連動連結した無段変速装置からなる主変速装置によって左右のクローラ走行装置を同方向に同速度で無段階に変速するとともに、エンジンに連動連結した無段変速装置からなる旋回用変速装置で左右のクローラ走行装置に速度差を与えるよう構成し、前記主変速装置を機械的に主変速レバーに連係するとともに、旋回用変速装置をステアリング操作具の操作に基づいて電気的に変速制御するよう構成し、電気制御系への通電が遮断された状態では前記旋回用変速装置が中立停止状態に機械的に付勢復帰されるよう構成してあることを特徴とする作業機の走行用伝動構造。 【請求項2】 前記主変速装置からの変速動力をサイドクラッチを介して左右のクローラ走行装置に分岐伝達するよう構成し、前記ステアリング操作具の操向操作に基づいて旋回中心側のサイドクラッチを切るとともに、サイドクラッチが切られたクローラ走行装置を前記旋回用変速装置で駆動するよう構成し、ステアリング操作具の操向操作に基づいて旋回用変速装置を減速方向に変速するよう構成してある請求項1記載の作業機の走行用伝動構造。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、コンバインや各種の収穫機などの作業機に用いる走行用伝動構造に関する。 【背景技術】 【0002】 作業機の一例である自脱型コンバインとしては、左右のクローラ走行装置を静油圧式の無段変速装置でそれぞれ独立して駆動することで、操向操作に基づいて左右の無段変速装置を変速制御して左右のクローラ走行装置に速度差を与えることで機体を旋回させるように構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開2002−362406号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 上記構造によると、操向操作に基づいて左右の無段変速装置を変速制御することで、旋回特性を信地旋回モードや超信地旋回モード、などに設定して、圃場条件などに適した旋回を行うことができる特徴を有するものであるが、走行系が左右独立駆動されるために、直進変速は左右の無段変速装置を同方向に同量だけ操作し、旋回時には旋回操作に応じて左右の無段変速装置に異なった変速操作を行う必要があり、変速制御系が複雑になりがちであった。また、直進性を確保するために左右の走行伝動系を連結する直進用クラッチを介在してこれを制御する必要があり、走行用の伝動構造が複雑化するきらいがあった。また、左右の無段変速装置を電気制御によって変速操作するものであるために、電気制御系に断線やショートなどが発生した場合には自力走行および操向が不能となるので、圃場内で電気制御系の故障が発生すると機体を圃場外に出すことが困難なものになる。 【0004】 本発明は、このような点に着目してなされたものであって、直進性および旋回性に優れるとともに、電気系の故障発生時でも容易に自力移動することができるようにすることを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0005】 第1の発明に係る作業機の走行用伝動構造は、エンジンに連動連結した無段変速装置からなる主変速装置によって左右のクローラ走行装置を同方向に同速度で無段階に変速するとともに、エンジンに連動連結した無段変速装置からなる旋回用変速装置で左右のクローラ走行装置に速度差を与えるよう構成し、前記主変速装置を機械的に主変速レバーに連係するとともに、旋回用変速装置をステアリング操作具の操作に基づいて電気的に変速制御するよう構成し、電気制御系への通電が遮断された状態では前記旋回用変速装置が中立停止状態に機械的に付勢復帰されるよう構成してあることを特徴とする。 【0006】 上記構成によると、上記構成によると、前後への直進走行時には主変速装置からの動力が左右のクローラ走行装置に分岐伝動され、左右のクローラ走行装置を同方向に同速度で無段階に変速することができる。また、旋回を行う時には電気制御される旋回用変速装置によって左右のクローラ走行装置に無段階に速度差を与え、これによって機体を所望の方向に滑らかに旋回移動させることができる。 【0007】 そして、旋回用変速装置の電気制御系に万一断線やショートなどの事故が発生すると、旋回用変速装置は機械的に中立に付勢復帰されるので、主変速装置を操作して前後進を行うことは可能である。 【0008】 従って、第1の発明によると、直進走行用と旋回用に変速装置を分けることで直進性および旋回性に優れたものにすることができるとともに、電気制御系の故障時でも自力移動させることができ、作業地からの脱出移動も容易に行える。 【0009】 第2の発明に係る作業機の走行用伝動構造は、上記第1の発明において、 前記主変速装置からの変速動力をサイドクラッチを介して左右のクローラ走行装置に分岐伝達するよう構成し、前記ステアリング操作具の操向操作に基づいて旋回中心側のサイドクラッチを切るとともに、サイドクラッチが切られたクローラ走行装置を前記旋回用変速装置で駆動するよう構成し、ステアリング操作具の操向操作に基づいて旋回用変速装置を減速方向に変速するよう構成してあるものである。 【0010】 上記構成によると、旋回用変速装置の電気制御系に故障が発生した場合、主変速装置の変速操作によって直進走行が行えるとともに、ステアリング操作具の操作によって片駆動による機体旋回を行うことができ、自力移動が更に容易なものとなる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 図1に、本発明に係る自脱型コンバインの側面図が示されている。この自脱型コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部に刈取り部3が昇降自在に連結されるとともに、走行機体2に運転部4、脱穀装置5、および、穀粒回収タンク6、等が搭載された構造となっている。 【0012】 刈取り部3には、植立穀稈を所定の刈取り姿勢に引起す引起し装置7、引起した植立穀稈を切断するバリカン型の刈取り装置8、刈取り穀稈を後方上方に向けて搬送する縦搬送装置9、等を備えて構成されており、刈取り部3全体が後部の支点Pを中心にして油圧シリンダ10で上下揺動されるようになっている。 【0013】 図2に、この自脱型コンバインにおける伝動構造の概略が示されている。図示のように、前記運転部4の座席下方に配備されたエンジン15の動力の一部は正逆転切換え可能な静油圧式の無段変速装置からなる主変速装置16の可変容量ポンプP1に伝達さるとともに、エンジン15の動力の他の一部は脱穀装置5に伝達されて、脱穀装置5に備えられた各機構が定速度で駆動されるようになっている。そして、主変速装置16の定容量モータM1から取り出された変速出力がミッションケース17に入力されて副変速機構18で2段にギヤ変速された後、左右のクローラ走行装置1に分岐伝達されるようになっている。 【0014】 前記主変速装置16における可変容量ポンプP1の斜板角を変更する変速操作部は、運転部に前後揺動可能、かつ、任意の揺動操作位置に保持可能に配備された主変速レバー19に機械的に連動連結されており、主変速レバー19を中立位置から前方に操作することで前進方向への無段変速が、また、中立位置から後方に操作することで後進方向への変速が行われるようになっている。 【0015】 前記副変速機構18は、定容量モータM1から動力を受ける伝動軸20にスプライン装着したシフト部材21と、伝動軸20に装着した一対の遊転ギヤG1,G2と、この遊転ギヤG1,G2にそれぞれ常時咬合する変速ギヤG3,G4を備えて中間軸22に遊嵌支持し変速軸23とで構成されており、運転部4に備えた副変速レバー24を操作してシフト部材21を遊転ギヤG1,G2のいずれか一方に側面から咬合連結することで、変速軸23を高低2段に変速するよう構成されている。そして、変速軸23の動力が、一方の変速ギヤG3を介してカウンタギヤG5に伝達された後、カウンタギヤG5の左右に配備されたサイドクラッチ25、および、ギヤ減速機構26を介して左右の車軸27に分岐伝達されるようになっている。 【0016】 前記サイドクラッチ25は、ギヤ減速機構26に常時咬合する幅広のクラッチギヤG6をシフトしてカウンタギヤG5に側方から係合および離脱することで、カウンタギヤG5から車軸27への伝動を断続するよう構成されている。そして、図3に示すように、各クラッチギヤG6をシフト操作するクラッチシリンダ28が、運転部4に左右揺動操作可能に配備された単一の操向レバー29によって切換え操作される切換弁30に接続されている。 【0017】 また、カウンタギヤG5を備えたカウンタ軸31の左右には多板式クラッチからなる旋回用クラッチ32が配備されており、前記クラッチギヤG6がクラッチ入り付勢用のバネ33に抗してシフトされてサイドクラッチ25が切られると、これに連動して旋回用クラッチ32がクラッチ入り操作されるようになっている。そして、左右の旋回用クラッチ32の駆動側ドラム32aが前記中間軸22にギヤ連動連結されるとともに、この中間軸22が旋回用変速装置34によって変速駆動されるようになっている。 【0018】 前記旋回用変速装置34は、前記主変速装置16の可変容量ポンプP1と同軸で駆動される可変容量ポンプP2と、前記中間軸22に連動連結された定容量モータM2とを備えた静油圧式の無段変速装置で構成されており、図3に示すように、旋回用変速装置34における可変容量ポンプP2の斜板角がサーボ機能付きの電動アクチュエータ35で変更操作されるようになっている。 【0019】 ミッションケース17には静油圧式の無段変速装置からなる刈取り変速装置36が連結されており、この刈取り変速装置36の可変容量ポンプP3がミッションケース17に入力されたエンジン動力で駆動されるとともに、刈取り変速装置36の定容量モータM3から取り出された変速動力が刈取り部3にベルトテンション式の刈取りクラッチ37を介してベルト伝達されるようになっており、図3に示すように、刈取り変速装置36における可変容量ポンプP3の斜板角がサーボ機能付きの電動アクチュエータ38で変更操作されるようになっている。 【0020】 図3に、上記伝動構造を操作する制御系が示されている。図において、41、42、43は、それぞれ主変速レバー19、副変速レバー24、および、操向レバー29の各操作位置を検知するレバー位置センサ、また、44は旋回モード選択スイッチ、45は刈取りモード選択スイッチであり、以下にその作動について説明する。 【0021】 〔刈取り変速制御〕 【0022】 主変速レバー19の操作位置および副変速レバー24の操作位置の検出結果から機体走行速度が演算され、前進走行の場合には、前進走行速度に対して予めプログラム入力設定された特性に基づいて刈取り駆動速度が決定され、刈取り変速装置36が無段に変速制御される。中立あるいは後進であることが検知されると、刈取り変速装置36は中立に制御され、刈取り部3の駆動は停止される。 【0023】 ここで、機体走行速度に対する刈取り駆動速度の特性は、例えば、図4に示すように、倒伏穀稈刈取り用の特性(A)、もしくは、立毛穀稈刈取り用の特性(B)として予め入力設定されており、刈取りモード選択スイッチ45を操作していずれかの特性で刈取り部3を駆動することができるようになっている。 【0024】 〔旋回制御〕 【0025】 操向レバー29が中立位置(直進)にある時、左右のサイドクラッチ25は共に「クラッチ入り」状態に付勢維持さており、カウンタギヤG5の動力が左右の車軸27に等速伝達されて左右のクローラ走行装置1は同方向に同速度で駆動される。この場合、旋回用変速装置34も主変速装置16と連動して同方向に変速操作されている。 【0026】 操向レバー29を、中立直進位置から不感帯を越えて左方あるいは右方に操作すると、切換弁30が切換え操作されてレバー操作方向、つまり、旋回中心側となる一方のクラッチシリンダ28が作動して旋回中心側のサイドクラッチ25が切られるとともに、旋回中心側の旋回用クラッチ32が入れられ、カウンタギヤG5から離脱されたクラッチギヤG6が旋回用クラッチ32を介して中間軸22からの動力を受け、カウンタギヤG5と同方向に駆動される。 【0027】 この場合、操向レバー29が不感帯を越えた直後の操作状態では、旋回中心側のクローラ走行装置1は旋回外側のクローラ走行装置1と略同速度で駆動されており、操向レバー29の操作量が大きくなるに連れて旋回用変速装置34は減速方向に制御され、これによって旋回中心側のクローラ走行装置1の速度が低下し、左右クローラ走行装置1の速度差によて機体は操向レバー29の操作された方向に旋回してゆく。 【0028】 ここで、旋回モード選択スイッチ44で「緩旋回モード」が選択されていると、操向レバー29が左方あるいは右方に限界まで操作された状態で、旋回用変速装置34は中立まで減速制御され、旋回中心側のクローラ走行装置1を停止しての信地旋回(ピボットターン)が行われる。また、旋回モード選択スイッチ44で「急旋回モード」が選択されていると、操向レバー29が左方あるいは右方の限界に到達するまでに、旋回用変速装置34は中立まで減速制御され、操向レバー29が左方あるいは右方の限界に到達した時点では旋回用変速装置34は中立を越えた位置まで操作され、旋回中心側のクローラ走行装置1を旋回外側のクローラ走行装置1と逆方向に駆動しての超地旋回(スピンターン)が行われる。 【0029】 また、電気系統に断線やショートなどが発生して電動アクチュエータ35への通電制御が不能となったような場合には、旋回用変速装置34は中立位置に戻されるよう機械的に復帰付勢されている。従って、電気制御系に故障が発生した時には、刈取り変速装置36による刈取り部3の駆動制御、および、任意の旋回モードでの機体旋回制御はできなくなるが、主変速装置16を主変速レバー19で変速操作して機体の前後進を行うとともに、操向レバー29を左右に操作して旋回中心側のサイドクラッチ25を切り操作することで機体旋回を行うことが可能となっている。この場合、旋回中心側のサイドクラッチ25の切り作動に基づいて対応する旋回用クラッチ32が入れられて旋回中心側のクローラ走行装置1が中立状態の旋回用変速装置34に連動連結されることになり、旋回中心側のクローラ走行装置1には旋回用変速装置34を逆駆動する負荷が制動力として作用し、旋回中心側のクローラ走行装置1を適度に制動しながらのブレーキターンが行われることになる。 【0030】 〔他の実施例〕 【0031】 (1)走行速度に対応して変速制御する前記刈取り変速装置36としては、ベルト式あるいは、その他の無段変速装置を利用することも可能である。 【0032】 (2)ステアリング操作具として回転式のステアリングハンドルを利用し、このステアリングハンドルが中立位置から不感帯以上に左方あるいは右方へ回動されることに連動してサイドクラッチ25を機械的(油圧アクチュエータを介在するもよい)に切り操作するとともに、旋回用変速装置34を減速方向に電気制御する形態で実施することもできる。 【0033】 (3)前記旋回用変速装置34のモータ出力軸にネガティブブレーキを装備して、電気制御系の故障によって旋回用変速装置34が中立に戻された際にモータ出力軸をロックするように構成すると、故障時における上記旋回は、旋回中心側のクローラ走行装置1を完全に固定してのブレーキターンを行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【0034】 【図1】コンバインの側面図 【図2】伝動系統図 【図3】制御系のブロック図 【図4】機体走行速度に対する刈取り駆動速度の特性線図 【符号の説明】 【0035】 1 クローラ走行装置 15 エンジン 19 主変速レバー 16 主変速装置 25 サイドクラッチ 29 ステアリング操作具(操向レバー) 34 旋回用変速装置
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ 【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
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| 【出願日】 |
平成16年7月30日(2004.7.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2006−42606(P2006−42606A) |
| 【公開日】 |
平成18年2月16日(2006.2.16) |
| 【出願番号】 |
特願2004−223660(P2004−223660) |
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