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【発明の名称】 電子回路基板の配線補修用の導電性物質含有液体および電子回路基板の配線補修方法
【発明者】 【氏名】平野 貴文
【住所又は居所】神奈川県厚木市岡田3050番地 株式会社ブイ・テクノロジー内

【氏名】水村 通伸
【住所又は居所】神奈川県厚木市岡田3050番地 株式会社ブイ・テクノロジー内

【氏名】梶山 康一
【住所又は居所】神奈川県厚木市岡田3050番地 株式会社ブイ・テクノロジー内

【要約】 【課題】溶液塗布装置の塗布方式に関わりなく、導電性物質含有液体を電子回路基板の配線の断線部に適切に塗布して適切な膜厚の導電性薄膜を形成して配線を補修する。

【解決手段】TFT基板(電子回路基板)1上に形成されたTFT配線(配線)3の断線部3aの補修予定箇所に、レーザ加工装置6によりパルスレーザLaを照射して補修配線結合用孔4a,4bを設けた後に、高揮発性溶媒と低揮発性溶媒を混合した溶媒に導電性を有する物質を含有させてなる導電性物質含有液体8を塗布し、導電性物質含有液体8中の高揮発性溶媒が揮発してから、導電性物質含有液体の塗布部に連続波レーザを照射して導電性物質含有液体8を加熱することにより、導電性を有する物質の導電性薄膜を補修予定箇所に析出させて断線部3aを接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸点が60〜100℃である高揮発性溶媒と、沸点が150〜350℃である低揮発性溶媒とを混合した溶媒に、導電性を有する物質を含有させてなることを特徴とする電子回路基板の配線補修用の導電性物質含有液体。
【請求項2】
前記高揮発性溶媒と低揮発性溶媒と導電性を有する物質の含有割合は、導電性を有する物質が全体のうちの20〜50wt%であり、高揮発性溶媒を低揮発性溶媒に対して1/3〜3倍の割合で混合した溶媒が全体のうちの残りの比率であることを特徴とする請求項1に記載の電子回路基板の配線補修用の導電性物質含有液体。
【請求項3】
前記高揮発性溶媒がエタノールであり、前記底揮発性溶媒がブチルセルソルブ、γ−ブチロラクトン、ポリエチレングリコールのうちから選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子回路基板の配線補修用の導電性物質含有液体。
【請求項4】
電子回路基板上に形成された配線の断線部の補修予定箇所に、パルスレーザを照射して配線接続用の予備加工を施した後に請求項1〜3に記載の導電性物質含有液体を塗布し、導電性物質含有液体中の高揮発性溶媒が揮発してから、前記導電性物質液体の塗布部に連続波レーザを照射して該導電性物質含有液体を加熱することにより、導電性を有する物質の薄膜を前記補修予定箇所に析出させて前記断線部を接続することを特徴とする電子回路基板の配線補修方法。
【請求項5】
前記導電性物質含有液体に連続波レーザ光を照射した後に、電子回路基板上に残った導電性物質含有液体を洗浄液によって除去することを特徴とする請求項4に記載の電子回路基板の配線補修方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、半導体集積回路等の電子回路基板上に形成された配線の断線等を補修するために使用する配線補修用の導電性物質含有液体およびそれを使用した電子回路基板の配線補修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電子回路基板の配線補修方法として、電子回路基板上の配線の断線部に、金属錯体や有機金属化合物を有機溶媒に溶かし込んだ溶液または金属粒子を有機溶媒に分散させた溶液を塗布した後に、その塗布部にレーザ光を照射し、前記溶液中の有機溶媒を蒸発させて金属薄膜を前記断線部に析出させることにより、前記金属薄膜により前記断線部の両端側の配線同士を接続、導通させる方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平7−29982号公報
【特許文献2】特開平2−19838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の電子回路基板の配線補修方法においては、金属を含む溶液を形成する溶媒として、アセトニトリル、トルエン、メタノール、メチルエチルケトン等の揮発性の高い低粘度の有機溶媒を単独にまたは複数混合したものが使用されているので、金属を含む溶液の液滴の断線部への塗布を溶液塗布装置の塗布方式に関わりなく容易に行うことができる反面、金属を含んだ溶液の塗布部にレーザ光を照射した際に、そのエネルギーによって金属を含む溶液の一部が照射部の周辺に逃げてしまい、前記塗布部における溶液中の有機溶媒が蒸発した後に断線部に析出された金属薄膜が十分な厚さに形成することができず、断線部の配線補修が適切に行えないおそれがある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、溶液塗布装置の塗布方式に関わりなく、導電性物質含有液体を電子回路基板の配線の断線部に容易に塗布することができると共に、前記断線部に適切な膜厚の金属薄膜を形成して配線を補修することができ、また、導電性物質含有液体の余剰の塗布液を容易に洗浄することができる電子回路基板の配線補修用の金属分散液体およびそれを使用した電子回路基板の配線補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の点を特徴としている。
すなわち、請求項1に係る電子回路基板の配線補修用の導電性物質含有液体は、沸点が60〜100℃である高揮発性溶媒と、沸点が150〜350℃である低揮発性溶媒とを混合した溶媒に、導電性を有する物質を含有させてなることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る電子回路基板の配線補修用の導電性物含有液体は、請求項1に記載の導電性物質含有液体において、前記高揮発性溶媒と低揮発性溶媒と導電性を有する物質の含有割合は、導電性を有する物質が全体のうちの20〜50wt%であり、高揮発性溶媒を低揮発性溶媒に対して1/3〜3倍の割合で混合した溶媒が全体のうちの残りの比率であることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る電子回路基板の配線補修用の導電性物質含有液体は、請求項1または2に記載の導電性物質含有液体において、前記高揮発性溶媒がエタノールであり、前記底揮発性溶媒がブチルセルソルブ、γ−ブチロラクトン、ポリエチレングリコールのうちから選択された少なくとも1つであることを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る電子回路基板の配線補修方法は、電子回路基板上に形成された配線の断線部の補修予定箇所に、パルスレーザを照射して配線接続用の予備加工を施した後に請求項1〜3に記載の導電性物質含有液体を塗布し、導電性物質含有液体中の高揮発性溶媒が揮発してから、前記導電性物質液体の塗布部に連続波レーザを照射して該導電性物質含有液体を加熱することにより、導電性を有する物質の薄膜を前記補修予定箇所に析出させて前記断線部を接続することを特徴としている。
【0009】
請求項5に係る配線補修方法は、請求項4に記載の配線補修方法において、前記導電性物質含有液体に連続波レーザ光を照射した後に、電子回路基板上に残った導電性物質含有液体を洗浄液によって除去することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導電性物質含有液体が、高揮発性溶媒と低揮発性溶媒とを混合した溶媒に導電性のある物質を含有させてなるものであるから、低粘度である高揮発性溶媒の存在により全体として比較的低粘度になっており、電子回路基板の配線の補修予定箇所に塗布する際には、微小液滴を吐出する溶液塗布装置を使用して導電性物質含有液体を前記補修予定箇所に適切、容易に塗布することができる。そして、前記補修予定箇所に塗布された導電性物質含有液体の塗布膜をレーザ光の照射によって加熱する際には、導電性物質含有液体は高揮発性溶媒が揮発して濃度が増して粘度が高くなるために、前記塗布膜の膜厚が十分な厚さを確保され、かつレーザ光を照射したときに導電性物質含有液体が周辺に逃げてしまうことがない。
したがって、前記塗布膜の焼き固め速度(描画速度)が向上させることができると共に、塗布膜がレーザ光の照射によって析出されて配線補修部に形成された導電性薄膜は導電性物質の密度が高くなって電気抵抗率が小さくなり、電子回路基板の配線の断線部の接続補修を良好に行うことができる。また、レーザ光が照射されずに電子回路基板上に残留した余剰の塗布膜は、洗浄液による除去、清浄を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る電子回路基板の配線補修方法について、添付図面を参照して説明する。
図1、図2は本発明の一実施の形態に係る電子回路基板の配線補修方法、例えば、電子回路基板として液晶表示装置のTFT基板1における配線の断線部を補修する配線補修方法の作業工程を示し、左側の図はTFT基板1の断面図であり、右側の図は同平面図である。
前記TFT基板(電子回路基板)1は、基板2の上にTFT配線(配線)3が形成され、該TFT配線3には被覆膜4が施されている。前記TFT配線3には、TFT基板1を製造する過程において断線部3aが生じている例である。
本発明の一実施の形態に係る電子回路基板の配線補修方法は、先ず、図1(a)に示すように、TFT基板1を配線補修装置のテーブル5の上に載置して固定する。
【0012】
前記配線補修装置は、詳細は図示しないが、前記テーブル5が適宜架台に支持され、レーザ加工装置6と溶液塗布装置7と撮像装置等を備えた補修ヘッドが適宜支持部材に支持され、前記テーブル5と前記補修ヘッド(レーザ加工装置6、溶液塗布装置7)とが、相対的にX軸方向x(図1、図2で左右方向)、Y軸方向y(図1、図2の左側の図で紙面に垂直な方向、右側の図で上下方向)、Z軸方向z(図1、図2の左側の図で上下方向、右側の図で紙面に垂直な方向)に、それぞれX、Y、Z軸駆動手段によって移動されるようになっている。
前記レーザ加工装置6は、パルスレーザ光Laと連続波レーザ光Lbをそれぞれ発振する2つの発振器を備え、それらの切換によって共通の光学系を通して前記TFT基板1上に所要のレーザ光を照射することができるようになっている。また、前記溶液塗布装置7としては、従来周知のインクジェット方式、ディスペンサ方式の吐出機構を有するものを使用することができる。
【0013】
次に、図1(b)に示すように、予め、検査装置によって測定された前記TFT基板1のTFT配線3の断線部3aの位置に応じて、前記X、Y、Z軸駆動手段を作動させて、前記テーブル5と前記補修ヘッドを相対的にX、Y、Z軸方向x,y,zへ移動させることにより、前記レーザ加工装置6のレーザ光軸の位置を、前記断線部3aの一方(図1で左方)の端部に近いTFT配線3上の位置に位置決めすると共に、前記被覆膜4の表面にパルスレーザ光Laの焦点を合わせた後、レーザ加工装置6の一方の発振器からパルスレーザ光Laを前記被覆膜4に照射して、一方の補修配線結合用孔4aを形成する。続いて、レーザ加工装置6とテーブル5をX軸方向xに相対的に移動させて、前記断線部3aの他方(図1で右方)の端部に近いTFT配線3上の位置にパルスレーザ光Laの光軸の位置を位置決めして、前記と同様にして前記被覆膜4に他方の補修配線結合用孔4bを形成する。前記補修配線結合用孔4a,4bを相互にX軸方向に直線状に結ぶ領域がTFT基板1のTFT配線3の補修予定箇所とされ、その領域の両端部に、前記補修配線結合用孔4a,4bが形成されることによって、TFT配線3,3の断線部3aの両端部同士を後述の補修配線3bによって相互に接続させるための配線接続用の予備加工が終了する(図1(c)参照)。
【0014】
次に、図1(d)に示すように、X、Y、Z軸駆動手段を作動させて、前記溶液塗布装置7の吐出ノズル7aのX、Y軸方向x,yの位置を前記断線部3aの略中央に位置決めすると共に、前記吐出ノズル7aのZ軸方向zにおけるTFT基板1の被覆膜4からの高さを調節した後、溶液塗布装置7を作動させて、高揮発性溶媒と低揮発性溶媒とを混合した溶媒に導電性を有する物質を含有させてなる導電性物質含有液体8を、前記吐出ノズル7aから前記被覆膜4上に吐出させて塗布する。これにより、前記導電性物質含有液体8は、前記各補修配線結合用孔4a,4b内に充填されてTFT配線3に付着されると共に、平面視でそれらの補修配線結合用孔4a,4bと前記断線部3aを囲む領域に広がり、かつ断面視で断線部3aに頂部を有して蒲鉾状となって、前記被覆膜4に塗布された状態となる。
【0015】
前記被覆膜4上に前記導電性物質含有液体8が塗布された後に、常温で所定時間経過させるか、必要に応じて塗布部Aを冷却処理、加熱処理、減圧処理等を行うことによって、塗布された導電性物質含有液体8中の高揮発性溶媒eを揮発させると、図2(a)に示すように、導電性物質含有液体8は、その塗布膜8aの厚さが高揮発性溶媒eが揮発したことにより薄くなるが、溶媒が低揮発性溶媒のみとなるため、液体の濃度が増して粘度が高くなるので、周辺への広がりを抑えられて所定の必要厚さが十分に確保される。しかる後に、図2(b)に示すように、前記X、Y軸駆動手段を作動させて、前記テーブル5と前記補修ヘッドを相対的にX、Y、Z軸方向x,y,zへ移動させることにより、前記レーザ加工装置6のレーザ光軸の位置を、前記一方の補修配線結合用孔4aの位置に位置決めすると共に、前記被覆膜4の表面からの所定高さの位置に連続波レーザ光Lbの焦点を合わせた後、レーザ加工装置6の他方の発振器から連続波レーザ光Lbを前記導電性物質含有液体8の塗布膜8aに照射しながら、レーザ加工装置6をTFT配線3の形成方向(図1、図2でX軸方向x)に向けて、前記他方の補修配線連結用孔4bの位置まで移動させる。
【0016】
その際、前記連続波レーザ光Lbによって前記導電性物質含有液体8の塗布膜8aが、X軸方向に沿って直線状に加熱され、該加熱部分において導電性物質含有液体8中の低揮発性溶媒が蒸発し、導電性物質含有液体8中の導電性を有する物質が、前記被覆膜4の上面にX軸方向xに沿って直線状に析出すると共に前記補修配線連結用孔4a,4bの部分に析出し、このコ字状に析出した導電性を有する薄膜(導電性薄膜)3bによって、前記断線部3aの両端側のTFT配線3,3が相互に接続されてその導通状態を回復される(図2(c)参照)。
この後に、前記連続波レーザ光Lbが照射されずに前記TFT基板1の被覆膜4上に残留した導電性物質含有液体8の余剰塗布膜8bは、別途洗浄工程において洗浄液によって洗浄、除去され、これにより、TFT基板1の断線部3aの配線補修作業が終了する(図2(d)参照)。なお、洗浄液としては、水、アルカリ(NaOH、KOH等)水溶液、界面活性剤水溶液、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール等の多価アルコール類、アセトン等のケトン類の低揮発性溶媒に対して親和性が高い溶液を、単独にあるいは二種類以上を混合して使用することができる。また、前記洗浄作業は、前記配線補修装置に洗浄装置を付設して行うようにしてもよい。その場合には、洗浄装置に乾燥装置を付設することにより、洗浄後に、必要に応じてTFT基板1上にエア等を吹き付けて洗浄液の蒸発、乾燥を促進するようにするとよい。
【0017】
前記実施の形態に係る電子回路基板の配線補修方法によれば、前記導電性物質含有液体8が、高揮発性溶媒に低揮発性溶媒を混合させた溶媒に導電性のある物質を含有させてなるものであるから、低粘度である高揮発性溶媒の存在により、全体として比較的低粘度になっているために、溶液塗布装置7によってTFT配線3の補修をしようとする被覆膜4上に塗布する際(図1(d)に示す作業工程)には、ディスペンサ方式の溶液塗布装置はもとより、微小液滴を吐出するように構成されているインクジェット方式の溶液塗布装置7を使用して導電性物質含有液体8を配線の補修予定箇所に適切、容易に塗布することができる。そして、被覆膜4の配線の補修予定箇所に塗布された導電性物質含有液体8の塗布膜8aが連続波レーザ光Lbの照射によって加熱される際(図2(b)で示す作業工程)には、導電性物質含有液体8は高揮発性溶媒が揮発して濃度(液体中の導電性を有する物質の濃度)が増して粘度が高くなるために、前記塗布膜8aの膜厚が十分な厚さを確保され、かつ連続波レーザ光Lbを照射したときに導電性物質含有液体8が照射部の周辺に逃げてしまうことがない。
したがって、前記塗布膜8aの焼き固め速度(描画速度)が50μm/s以上に向上させることができると共に、該塗布膜8aが連続波レーザ光Lbの照射によって析出されて配線補修部に形成された導電性薄膜(補修配線)3bは導電性物質の密度が高くなって電気抵抗率が小さくなり、TFT配線3の断線部3aの接続補修を良好に行うことができる。また、連続波レーザ光Lbが照射されずにTFT基板1の被覆膜4上に残留した余剰塗布膜8bは、低揮発性溶媒のみの溶媒が存在するものであるから、洗浄液に溶解させて容易に除去することができ、TFT基板1を速やかに清浄にすることができる。
【0018】
なお、前記導電性物質含有液体8の溶媒が低粘度の高揮発性溶媒だけの場合には、前記被覆膜4上に塗布した際に、塗布膜8xが図1(d)に鎖線で示すように周囲に薄く広がってしまって、所定の膜厚を確保することができないと共に、塗布膜8xを連続波レーザ光Lbを照射して焼き固める(導電性薄膜3bを析出させる)ときに、照射部の周辺に導電性物質含有液体が逃げてしまい、適切な厚さの導電性薄膜3bによって補修配線を得ることができず、余剰塗布膜8bの洗浄性が悪くなる。また、前記導電性物質含有液体8の溶媒が低揮発性溶媒だけの場合には、前記溶媒が低粘度の高揮発性溶媒だけのような問題はないが、前記導電性物質含有液体の粘度が高くなり、インクジェット方式の塗布機構を有する溶液塗布装置7を使用できない問題が生じる。
【0019】
なお、前記実施の形態に係る配線補修方法においては、TFT配線3の断線部3aの両端部における被覆膜4に補修配線結合用孔4a,4bを設けて、前記断線部3aの上方の被覆膜4の上面において、前記補修配線結合用孔4a,4bを相互に連結するように形成されたコ字状の導電性薄膜(補修配線)3bによって、断線部3aを迂回してTFT配線3,3の端部同士を接合するようにしたので、断線区間が長い場合には、被覆膜4をパルスレーザ光Laにより予備加工する量が少なくて短時間に該予備加工が行えて好ましいが、これに限らず、断線部3aの区間が短い場合には、該断線部3aよりやや広い区間(配線の補修予定箇所)に対応する被覆膜4にパルスレーザ8aを照射して、該区間の被覆膜4(断線部3a内を埋めている被覆膜を含む)を除去する予備加工を行い、該予備加工部分に導電性物質含有液体8を塗布して、その塗布膜8aを連続波レーザ光Lbによって加熱することにより、導電性薄膜3bを析出させてTFT配線3の断線部3aを一直線状に接続して配線補修を行うようにしてもよい。
【0020】
次に、前記実施の形態に係る電子回路基板の配線補修方法において使用する本発明の実施の形態に係る配線補修用の導電性物質含有液体8について説明する。
前記導電性物質含有液体8は、沸点が60〜100℃である高揮発性を有する低粘度の有機性溶媒(高揮発性溶媒)と、沸点が150〜350℃、20℃における蒸気圧が10hPa以下である低揮発性を有する有機性溶媒(低揮発性溶媒)とを混合した溶媒に、貴金属、銅、クロム等の金属、それらの化合物からなる金属粒子、炭素粒子等の導電性を有する物質(導電性物質)の粒子が溶媒液中に均一に分散した状態で存在させた溶液である。前記導電性物質粒子と高揮発性溶媒と低揮発性溶媒との混合割合(含有割合)は、導電性物質含有液体の全体を100wt%とした場合、導電性物質粒子を全体のうちの20〜50wt%、高揮発性溶媒を低揮発性溶媒に対して1/3〜3倍の割合で混合した溶媒を全体のうちの残りの比率(80〜50wt%)とするのが望ましい。
【0021】
前記高揮発性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、イソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル等のエーテル類、へキサン、へプタン等の低級炭化水素類が挙げられる。また、低揮発性溶媒としては、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等の高級アルコール類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、ノナン等の高級炭化水素類、γ−ブチロラクトン等の複素環化合物類、常温で液状の高分子材料等が挙げられる。高揮発性溶媒と低揮発性溶媒とを混合する場合、それらの溶媒の蒸気圧差が50〜100hPaとなるように選択して使用するのが望ましい。
【0022】
なお、溶媒液中の導電性物質粒子を、凝集等を起こさずに液中で安定に浮遊させるために、必要に応じて、溶媒液中に分散剤を添加することができる。導電性物質粒子を溶媒液中に安定に浮遊させるためには、溶媒粘度を増加して前記導電性物質粒子の沈降速度を低くする方法と、導電性物質粒子を溶媒と親和性の高い部位を持つ樹脂材料で被覆する方法とがある。前者の方法を満たす分散剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料があり、これらを溶媒液中に溶解、混合して用い、あるいはエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体やキサンタンガム等のバイオガム、アルギン酸ナトリウム等の増粘、ゲル化剤があり、これらを溶媒液中に混合して用いる。後者の方法を満たす分散剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料があり、これらを前記導電性物質粒子の表面に鹸濁重合や乳化重合等によりコーティングして用いる。
【0023】
表1は、前記高揮発性溶媒と低揮発性溶媒の中から代表的な有機性溶媒を選択し、高揮発性溶媒と低揮発性溶媒とを混合させた溶媒に銀の超微粒子を分散させてなる導電性物質含有液体と、高揮発性溶媒と低揮発性溶媒のいずれか一方の溶媒に銀の超微粒子を分散させてなる導電性物質含有液体とを使用して、前記実施の形態に係る配線補修方法を実施した場合の実施例1〜6の結果を示している。
【0024】
【表1】


【0025】
実施例1は、高揮発性溶媒であるエタノール(沸点78.3℃、蒸気圧59hPa・20℃)のみからなる溶媒を使用した場合であるが、配線補修部に銀薄膜の析出が良好に行われて補修配線3bが確実に形成されるものの、塗布膜4上に残留した導電性物質含有液体の余剰分の洗浄性が良くない。
実施例2は、高揮発性溶媒であるエタノールと、低揮発性溶媒であるブチルセルソルブ(沸点170.2℃、蒸気圧0.8hPa・20℃)とを混合してなる溶媒(蒸気圧差58.2hPa)を使用した場合であり、配線補修部に銀薄膜の析出が良好に行われて補修配線3bが確実に形成されると共に、塗布膜4上に残留した導電性物質含有液体の余剰分の洗浄性も良い。
実施例3は、低揮発性溶媒であるブチルセルソルブのみからなる溶媒を使用した場合であり、配線補修部に銀薄膜の析出が良好に行われず、補修配線3bが確実に形成されない。塗布膜4上に残留した導電性物質含有液体の余剰分の洗浄性は良い。
実施例4は、高揮発性溶媒であるエタノールと、低揮発性溶媒であるγ−ブチロラクトン(沸点204℃、蒸気圧1.5hPa・20℃)とを混合してなる溶媒(蒸気圧差57.5hPa)を使用した場合であり、配線補修部に銀薄膜の析出が良好に行われて補修配線3bが確実に形成されると共に、塗布膜4上に残留した導電性物質含有液体の余剰分の洗浄性も良い。
【0026】
実施例5は、低揮発性溶媒であるγ−ブチロラクトンのみからなる溶媒を使用した場合であり、配線補修部に銀薄膜の析出が良好に行われず、補修配線3bが確実に形成されない。塗布膜4上に残留した導電性物質含有液体の余剰分の洗浄性は良い。
実施例6は、高揮発性溶媒であるエタノールと、低揮発性溶媒であるポリエチレングリコール(沸点185℃)とを混合してなる溶媒を使用した場合であり、配線補修部に銀薄膜の析出が良好に行われて補修配線3bが確実に形成されると共に、塗布膜4上に残留した導電性物質含有液体の余剰分の洗浄性も良い。
前記実施例2,4,6の配線補修結果においては、前記補修配線3bの電気抵抗率ρは10−7Ω・mであり、導通性が極めて良好であった。これらのことから、高揮発性溶媒と低揮発性溶媒とを混合してなる溶媒に導電性を有する物質を含有させてなる導電性物質含有液体を使用して配線を補修した場合、配線補修部に導電薄膜の析出を良好に行えて、補修配線により断線部3aを有するTFT配線3の導通状態を確実に回復させることができると共に、配線補修後に、塗布膜4上に残留した導電性物質含有液体の余剰分を確実に除去してTFT基板1を清浄にすることができることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係る配線補修方法の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る配線補修方法の一例(つづき)を示す説明である。
【符号の説明】
【0028】
1 TFT基板(電子回路基板)
2 基板
3 TFT配線(配線)
3a 断線部
3b 導電性を有する薄膜(導電性薄膜、補修配線)
4 被覆膜
4a,4b 配線補修結合用孔
5 テーブル
6 レーザ加工装置
7 溶液塗布装置
8 導電性物質含有液体
8a 塗布膜
8b 余剰塗布膜
La パルスレーザ光
Lb 連続波レーザ光
【出願人】 【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
【住所又は居所】神奈川県横浜市保土ケ谷区神戸町134番地
【出願日】 平成16年6月14日(2004.6.14)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【公開番号】 特開2005−354009(P2005−354009A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2004−176071(P2004−176071)