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【発明の名称】 金属ベース回路基板
【発明者】 【氏名】萩原 裕之
【住所又は居所】茨城県下館市大字五所宮1150番地 日立化成工業株式会社五所宮事業所内

【氏名】小畑 和仁
【住所又は居所】茨城県下館市大字五所宮1150番地 日立化成工業株式会社五所宮事業所内

【要約】 【課題】絶縁層を低弾性化することなく、ベアチップと放熱板との熱膨張差から発生する熱応力を低減し、部品実装信頼性を改善した金属ベース回路基板を提供する。

【解決手段】放熱板上に絶縁層を介して金属回路が形成されてなる金属ベース回路基板において、放熱板が、25℃での熱膨張係数3〜23ppm/℃のアルミニウム板である金属ベース回路基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱板上に絶縁層を介して金属回路が形成されてなる金属ベース回路基板において、放熱板が、25℃での熱膨張係数3〜23ppm/℃のアルミニウム板である金属ベース回路基板。
【請求項2】
アルミニウム板が、アルミニウム又はアルミニウム合金にセラミックスを含有するアルミニウム板である請求項1記載の金属ベース回路基板。
【請求項3】
セラミックスが、炭化珪素、アルミナ、カーボン、窒化アルミニウムの群から1種類以上選択されるセラミックスである請求項2記載の金属ベース回路基板。
【請求項4】
セラミックスの形状が、粒子あるいは繊維である請求項2又は3に記載の金属ベース回路基板。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ベース回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多層配線板、PGA、BGAなどの半導体パッケージに対する配線の高密度化、電子部品の搭載密度が大きくなり、また、半導体素子も高集積化して単位面積あたりの発熱量が大きくなるなど、半導体パッケージからの熱放散をよくすることが望まれるようになっている。それに伴うヒートマネージメントが重要になっている。そのような状況を踏まえて、絶縁層として、放熱板への熱伝導性の他に高温領域の電気絶縁性および銅箔密着性が要求され、電気絶縁性、耐熱性、耐湿性の優れた絶縁層が開発・商品化されている。
【0003】
一方、車載用電子機器に関しては、小型化、省スペース化と並行して、車室内からエンジンルーム内に搭載されることが要望されはじめている。車室内と比較すると、エンジンルーム内の環境は温度が高く、温度変化の大きな厳しい環境である。このような環境に使用可能な放熱基板(金属基板)が強く要求されている。しかしながら、例えばエンジンルーム内を想定した条件(−40℃⇔125℃)でヒートサイクル試験を行うと、搭載部品、特にベアチップと放熱板(アルミニウム板)との熱膨張差により熱応力が発生し、部品を固定している半田およびその周囲にクラックを生じ実装信頼性が低下する問題がある。
【0004】
そのような問題点に対して、絶縁層として低弾性な材料を使用することにより、放熱板と搭載部品の間で発生する熱応力を緩和する方法が提案されている。例えば特許文献1に示される−40℃での弾性率が1×10Pa以下のシリコーンゴム硬化体と樹脂組成層の多層構造を有する絶縁層からなる金属ベース回路基板、特許文献2に示される厚みが100μm以上で、−40℃での弾性率が2×1010Pa以下のエポキシ樹脂硬化体と樹脂組成層の多層構造を有する絶縁層からなる金属ベース回路基板、特許文献3に示されるエポキシ樹脂を主体とする樹脂、硬化剤化合物、シリコーンゴム微粒子及び無機充填剤を有する絶縁層からなる金属ベース回路基板などがある。
【0005】
しかしながら、特許文献1は、具体的にシリコーンゴム硬化体とエポキシ樹脂層の多層構造であるため、両者の界面密着性に問題があり、耐湿信頼試験で界面剥離してしまう場合がある。特許文献2については、エポキシ樹脂硬化体の応力緩和性が不充分であり、部品実装信頼性に問題がある。さらに、エポキシ樹脂硬化体の厚みが100μm以上と厚いため、十分な放熱性が得られにくい。特許文献3についても特許文献2と同様に、シリコーンゴム微粒子の応力緩和性が不充分であり、多量に添加すると被着体との接着性の低下を招く。以上の点から、絶縁層として低弾性、低Tgの柔軟な材料を使用することにより、放熱板及び金属回路との長期密着性の低下さらには、高温雰囲気での密着性の低下を招く。
【特許文献1】特開平11−150345号公報
【特許文献2】特開平11−87866号公報
【特許文献3】特開2002−76549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な手法として、優れた部品実装信頼性を有する金属ベース回路基板を得るためには、絶縁層の低弾性化あるいは放熱板の低熱膨張化が考えられる。絶縁層の低弾性化については、ベアチップと放熱板との熱膨張率差で発生する熱応力を絶縁層で緩和することで有効であるが、絶縁層の弾性率の低下に伴い、絶縁層自体の機械的物性が低下し、金属回路及び放熱板との長期密着性が悪化する問題がある。一方、放熱板の低熱膨張化については、発生する熱応力自体を低減することで有効であり、鉄、銅の放熱板が用いられる(線膨張係数:鉄(14ppm/℃)、銅(16.5ppm/℃)、ベアチップ(7ppm/℃))。
【0007】
しかしながら、鉄及び銅は錆が発生するため、長期間の使用ができず、また基板重量の増加、加工性の悪化のため、これらの点を考慮して車載用電子機器の用途では、放熱板としてアルミニウム板が積極的に使用されている。しかしアルミニウム板を使用した場合、線膨張係数が24ppm/℃と鉄及び銅よりも大きく、ベアチップとの熱膨張差で部品を固定している半田およびその周囲にクラックを生じやすい。その結果、アルミニウム板を放熱板として使用した場合、部品実装信頼性を含めた初期及び長期信頼性に優れた金属ベース回路基板が得られにくい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、低熱膨張性のアルミニウム板を使用することにより、絶縁層を低弾性化することなく、上記の錆、重量、加工性の問題を解決し、ベアチップと放熱板との熱膨張差から発生する熱応力を低減し、部品実装信頼性を改善した金属ベース回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次のものに関する。
(1)放熱板上に絶縁層を介して金属回路が形成されてなる金属ベース回路基板において、放熱板が25℃での熱膨張係数3〜23ppm/のアルミニウム板である金属ベース回路基板。
(2)アルミニウム板が、アルミニウム又はアルミニウム合金にセラミックスを含有するアルミニウム板である項(1)記載の金属ベース回路基板。
(3)セラミックスが、炭化珪素、アルミナ、カーボン、窒化アルミニウムの群から1種類以上選択されるセラミックスである項(2)記載の金属ベース回路基板。
(4)セラミックスの形状が、粒子あるいは繊維である項(2)又は(3)に記載の金属ベース回路基板。
【発明の効果】
【0010】
本発明における金属ベース回路基板の特長をまとめ、以下に示す。
(1)熱膨張性の低いアルミニウム板を使用しているため、ベアチップとの熱膨張率差を抑制することで発生する熱応力の低減が図られ、長期にわたり部品実装信頼性が良好である。
(2)熱膨張性の低いアルミニウム板を使用しているため、絶縁層を低弾性化する必要がなく、機械的特性に優れた絶縁層を使用することで、放熱板及び金属回路の密着性が長期にわたり良好である。
(3)熱膨張性の低いアルミニウム板を使用しているため、鉄、銅と比較して錆が発生しない。
(4)熱膨張性の低いアルミニウム板を使用しているため、鉄、銅と比較して軽量である。
(5)熱膨張性の低いアルミニウム板を使用しているため、鉄、銅と比較して加工性に優れている。
【0011】
本発明に係る金属ベース回路基板は、耐半田クラック性に優れ、また放熱板及び金属回路との密着性に優れている。特に、エンジンルームのような加熱−冷却が繰り返される環境に、金属ベース回路基板の使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の金属ベース回路基板は、多層プリント配線板、ビルドアッププリント配線板、リジッドプリント配線板、フレックスリジッド配線板として使用可能であり、またピングリッドアレイ(PGA)、ボールグリッドアレイ(BGA)、チップサイズパッケージ(CSP)などの半導体パッケージ向け配線板として使用可能である。そして放熱板を有する配線板として、それに必要な電気絶縁性及び接着性に優れ、使用環境の変化に対して優れた部品実装信頼性が要求される用途に好適に使用することができる。また、本発明の金属ベース回路基板の放熱板は、一部又は片面全部が、外部に露出していても良く、あるいは完全に金属ベース回路基板に内蔵されていても良い。なお完全に内蔵されている場合、サーマルビア等で熱を外部に放出することが好ましい。
【0013】
本発明における金属ベース回路基板は、放熱板として通常よりも線膨張係数の低いアルミニウム板を必須材料とし、前記アルミニウム板の熱膨張係数(線膨張係数)が3〜23ppm/℃(25℃)である。また好ましくは5〜20ppm/℃(25℃)であり、より好ましくは7〜18ppm/℃(25℃)である。本発明における熱膨張係数とは線膨張係数であり、熱膨張係数(線膨張係数)は、熱機械分析装置(TMA)により測定することができ、温度と伸びのTMAカーブの傾きから得られる。なおアルミニウム板の熱膨張係数(線膨張係数)が23ppm/℃を超えると、部品実装信頼性を含めた初期及び長期信頼性が低下する。
【0014】
本発明の線膨張係数の低いアルミニウム板としては、セラミックスを含有したアルミニウム板が挙げられる。低熱膨張のセラミックスを添加することにより、アルミニウム板の見かけの線膨張係数を低下させることができる。セラミックスを添加するアルミニウム板としては、アルミニウムあるいはその合金が使用でき、例えばJIS規格で分類される1000系(純アルミニウム)、2000系(アルミニウムー銅系合金)、3000系(アルミニウムーマンガン系合金)、4000系(アルミニウムー珪素系合金)、5000系(アルミニウムーマグネシウム系合金)、6000系(アルミニウムーマグネシウムー珪素系合金)、7000系(アルミニウムー亜鉛ーマグネシウム系合金)が挙げられる。
【0015】
セラミックスとしては、単純酸化物(アルミナ、マグネリア、べリリア、ジルコニア、酸化ウラン、酸化トリウム)、ケイ酸塩(シリカ、ホルステライト、ステアタイト、ワラステナイト、ジルコン、ムライト、コージライト、スポジュメン)、複合酸化物(チタン酸アルミニウム、スピネル、アパタイト、チタン酸バリウム、PZT(ジルコン酸鉛−チタン酸鉛系)、PLZT(ジルコン酸鉛−チタン酸鉛−酸化ランタン系)、フェライト、ニオブ酸リチウム)、窒化物(窒化珪素、窒化アルミニウム、サイアロン、窒化ホウ素、窒化チタン)、炭化物(炭化珪素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン)、ホウ化物(ホウ化ランタン、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム)、硫化物(硫化カドニウム、硫化モリブデン)、ケイ化物(ケイ化モリブデン)、炭素(アモルファス炭素、黒鉛、ダイアモンド)、単結晶サファイアが挙げられ、価格、添加後のアルミニウム板特性の点で、炭化珪素、アルミナ、カーボン、窒化アルミニウムが好適に用いられる。
【0016】
またアルミニウムあるいはその合金に添加されるセラミックスの添加量は制限はないが、成形性及び加工性の点から、3重量%から90重量%の範囲が好ましい。セラミックスを添加したアルミニウム板の製造方法としては、汎用の方法が使用することができ、例えば攪拌法(高速攪拌、真空攪拌、)、浸透法(プリミックス法、非加圧浸透法、加圧浸透法)が挙げられる。また、添加するセラミックスの形状は制限はないが、粒子あるいは繊維が好ましい。放熱板の厚みは特に制限はないが、価格及び加工性の点から0.1〜10mmの範囲が好ましい。なお、市販品としては、ALSIC−MMCアルミニウム板(旭硝子株式会社製、炭化珪素分散アルミニウム板、炭化珪素10重量%分散、線膨張係数16ppm/℃)、ALSIC−MMCアルミニウム板(旭硝子株式会社製、炭化珪素分散アルミニウム板、炭化珪素30重量%分散、線膨張係数14ppm/℃)、炭素繊維強化アルミニウム板(旭硝子株式会社製、線膨張係数10ppm/℃)などが挙げられる。
【0017】
金属ベース回路基板の金属回路としては、銅、アルミ、ステンレス、ニッケル、鉄、金、銀、モリブデン、タングステンなどの金属、またはこれらの金属を2種類以上用いた合金などが挙げられる。中でも、汎用性の高い銅が好ましい。金属箔の厚みは特に制限はないが、価格及び加工性の点から3〜1000μmが好ましい。
【0018】
金属ベース回路基板の絶縁層の樹脂としては特に制限はないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂が好適に用いられる。さらに樹脂に適当な硬化剤や硬化促進剤の添加をしてもよい。絶縁層の熱伝導性を付与するために、無機充填剤の添加が好ましい。無機充填剤としては、酸化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等が挙げられ、1種または2種以上で用いることができる。熱伝導性に優れ、安価に入手可能な材料として、アルミナ、酸化ケイ素が好適である。
【0019】
樹脂に対する無機充填剤の添加量は金属ベース基板としての熱抵抗の要求仕様を満足する添加量に設計することが必要である。一般的に、樹脂に対する無機充填剤の添加量は30重量%から90重量%の範囲が好ましい。絶縁層の厚みについては規定はないが、金属回路及び放熱板との密着性と絶縁性確保のため10μm以上、金属ベース回路基板の熱抵抗を考慮すると、300μm以下が好ましい。
【0020】
無機充填剤を添加した絶縁層は、樹脂、硬化剤、硬化促進剤以外の材料を添加してもよい。例えば、カップリング剤を配合することもできる。カップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、チタネートカップリング剤の使用も可能である。
【0021】
さらに、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の電気絶縁信頼性をよくするために、イオン捕捉剤を配合することができる。イオン捕捉剤の配合量は、添加による効果や低弾性、コストから、絶縁層の総重量に対して5〜10重量%が好ましい。イオン捕捉剤としては、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤を配合することもできる。ビスフェノール系還元剤としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第3−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−第3−ブチルフェノール)等が挙げられる。また、無機イオン吸着剤としては、ジルコニウム系化合物、アンチモンビスマス系化合物、マグネシウムアルミニウム系化合物、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
【0022】
本発明の金属ベース回路基板の絶縁層の貯蔵弾性率は、特に制限はないが、密着力や長期信頼性の点から100〜100000MPaが好ましく、1000〜30000MPaがより好ましい。100MPa未満では、絶縁層自体の機械的物性が低下し、金属回路及び放熱板との長期密着性が悪化するという問題があり、また100000MPaを超えると金属ベース回路基板の加工(打ち抜き等)の際に、絶縁層にクラックを生じるという問題がある。
【0023】
本発明の金属ベース回路基板は、放熱板上に絶縁層を介して回路用金属が接着された構成であり、部品が搭載されるための金属回路が形成されている。例えば以下の方法で作製することができる。
(1)放熱板に接着剤を塗布またはフィルム状の接着剤を貼り合せて絶縁層付放熱板を作製する。次に絶縁層付放熱板の絶縁層面に金属箔(金属板)を置いて熱プレスまたはロールラミネートにより接着して金属ベース回路基板を得る。
(2)金属箔(金属板)に接着剤を塗布またはフィルム状の接着剤を貼り合せて絶縁層付金属箔を作製する。次に絶縁層付金属箔の絶縁層面に放熱板を置いて熱プレスまたはロールラミネートにより接着して、金属ベース回路基板を得る。
(3)放熱板と金属箔(金属板)の間にフィルム状の接着剤を挟み込み、熱プレスまたはロールラミネートにより接着して、金属ベース回路基板を得る。
【実施例】
【0024】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1〜3)
エポキシ樹脂YD−134(東都化成株式会社製商品名)、硬化促進剤として1−アミノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(キュアゾール2E4MZ−CN)(四国化成工業株式会社製商品名)をエポキシ樹脂100重量部に対して1重量部、無機充填剤としてアルミナAS−40(昭和電工株式会社製商品名)を下記表1に示す配合量の接着剤(絶縁層)を作製した。粘度調整としてメチルエチルケトンを適量使用した。次に、小型攪拌脱泡装置の泡とり練太郎MX−201(株式会社シンキー製商品名)で5分攪拌・混練し、接着剤(絶縁層)とした。この接着剤(絶縁層)を、厚み35μm電解粗化銅箔GTSMP(古河サーキットフォイル株式会社製商品名)のマット面上に乾燥後の膜厚が70μmとなるように塗布し、80℃、10分間乾燥させBステージの接着剤(絶縁層)付き銅箔を得た。その後、上記接着剤(絶縁層)付き銅箔と、放熱板として2.0mm厚みのALSIC−MMCアルミニウム板(旭硝子株式会社製、炭化珪素分散アルミニウム板、炭化珪素10重量%分散、線膨張係数16ppm/℃)とを、170℃、2MPa、60分間の条件でプレス接着し、金属ベース基板を作製した。その金属ベース基板及び接着剤(絶縁層)付き銅箔の特性を測定し、結果を表2に示した。
【0025】
(実施例4〜6)
放熱板を、2.0mm厚みのALSIC−MMCアルミニウム板(旭硝子株式会社製、炭化珪素分散アルミニウム板、炭化珪素30重量%分散、線膨張係数14ppm/℃)に変更した以外は、実施例1〜3と同様にして金属ベース基板を作製した。金属ベース基板及び接着剤(絶縁層)付き銅箔の特性を測定し、結果を表2に示した。
【0026】
(実施例7〜9)
放熱板を、2.0mm厚みの炭素繊維強化アルミニウム板(旭硝子株式会社製、線膨張係数10ppm/℃)に変更した以外は、実施例1〜3と同様にして金属ベース基板を作製した。金属ベース基板及び接着剤(絶縁層)付き銅箔の特性を測定し、結果を表2に示した。
【0027】
(比較例1)
放熱板を、2.0mm厚みのアルミニウム板(昭和電工株式会社製#1100、線膨張係数23.6ppm/℃)に変更した以外は、実施例1と同様にして金属ベース基板を作製した。金属ベース基板及び接着剤(絶縁層)付き銅箔の特性を測定し、結果を表2に示した。
【0028】
(比較例2)
放熱板を、2.0mm厚みのアルミニウム板(昭和電工株式会社製#5052、線膨張係数23.8ppm/℃)に変更した以外は、実施例1と同様にして金属ベース基板を作製した。金属ベース基板及び接着剤(絶縁層)付き銅箔の特性を測定し、結果を表2に示した。
【0029】
(比較例3)
放熱板を、2.0mm厚みのアルミニウム板(昭和電工株式会社製#1100、線膨張係数23.6ppm/℃)に、接着剤(絶縁層)をシリコーンゴムKE−1830(信越化学工業株式会社製商品名)に、粘度調節としてメチルエチルケトンをトルエンに変更した以外は、実施例1と同様にして金属ベース基板を作製した。金属ベース基板及び接着剤(絶縁層)付き銅箔の特性を測定し、結果を表2に示した。
【0030】
【表1】


【0031】
なお、実施例1〜9及び比較例1〜3で作製した金属ベース基板及び接着剤(絶縁層)付き銅箔の特性は、次の測定方法によって測定したものである。
(1)貯蔵弾性率
Cステージ状態まで硬化した接着剤(絶縁層)付き銅箔を、エッチング処理して、接着剤(絶縁層)を取り出した。接着剤(絶縁層)の動的粘弾性をDVE−V4(レオロジー株式会社製商品名)を用い、下記の条件で測定した。
・治具:引張り
・チャック間距離:20mm
・昇温速度:5℃/分
・測定周波数:10Hz
・サンプルサイズ:5mm幅×30mm長さ
耐半田クラック性
金属ベース基板の銅箔面をエッチングしてパットを形成した。パット間にチップ抵抗を各5個ずつ半田付けし、−65℃(保持時間30分)⇔125℃(保持時間30分)の条件で3000回ヒートサイクル試験を行い(楠本化成株式会社製エタックNT1020型ヒートサイクル試験機)、光学顕微鏡により半田及びその周辺のクラックの有無を確認した。クラックの判定については、半田の長さの1/2以上の場合をクラック発生とした。チップサイズは以下の通りである。
・1608(1.6mm×0.8mm)
・3225(3.2mm×2.5mm)
・5025(5.0mm×2.5mm)
(3)銅箔密着力
金属ベース基板の銅箔に10mm幅の切れ込みを入れ、銅箔と絶縁層の間で剥がし、銅箔密着力をJIS C 6481に準じて20℃で測定した。
【0032】
【表2】


【0033】
表2から明らかなように、実施例1〜9では、貯蔵弾性率が高い絶縁層を使用しているにもかかわらず、耐半田クラック性に優れている。さらに、銅箔接着力も良好な特性を有していることがわかる。特に耐半田クラック性においては、線膨張係数が10〜16ppm/℃の低熱膨張のアルミニウム板を使用していることにより搭載部品との熱膨張差を抑制し、熱応力を低減しているため、クラックの発生がないことがわかる。
【0034】
なお、比較例1〜2では、23ppm/℃を超す一般的な線膨張係数であるアルミニウム板を使用しているため、耐半田クラック性に問題がある。また比較例3では、低弾性の絶縁層を使用しているため、絶縁層の機械的物性に劣り銅箔密着力が低く、長期信頼性に問題がある。


【出願人】 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目1番1号
【出願日】 平成16年6月14日(2004.6.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−353974(P2005−353974A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2004−175358(P2004−175358)